色処理装置および方法
【課題】 従来の色変換処理は、目標色データが入力色域に最適な設計となっているため、入力色域が異なる場合には目標色データを変える必要があるため複数組の目標色が必要であった。また、任意の入力色域に関しては目標色をあらかじめ作成しておくことが困難なため高精度な目標色再現は実現困難であった。
【解決手段】 入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出する算出手段と、前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出する補正手段と、前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換する色変換手段とを有する。
【解決手段】 入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出する算出手段と、前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出する補正手段と、前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換する色変換手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力色を出力色域内の出力色に色変換するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ/ワークステーションの普及に伴い、デスクトップ・パブリッシング(DTP)やCADが広く一般に使用されている。このような中で、コンピュータによってモニタ上で表現される色と、出力媒体上に再現される色とのマッチングを行う色再現技術が重要となっている。例えばDTPにおいては、モニタ上にてカラー画像の作成/編集/加工等を行い、成果物として画像をカラープリンタで出力するというワークフローで作業を行う。このワークフローに於いて、モニタ上のカラー画像とプリンタ出力画像とが知覚的に一致していることを、ユーザは強く望んでいる。
【0003】
しかしながら色再現技術において、モニタ上のカラー画像とプリンタ出力画像とに於いてこのような知覚上の一致を図ることには困難が伴う。この困難さは以下の理由による。
【0004】
カラーモニタにおいては、蛍光体を用いて特定波長の光を発光することによりカラー画像を表現する。他方、カラープリンタにおいてはインク等を用いて特定波長の光を吸収し、残りの反射光によってカラー画像を表現する。このように画像表示形態が異なることに起因して、両者を比較すると色域が大きく異なる。さらに、カラーモニタであっても、液晶モニタと電子銃方式のブラウン管のモニタとでは色域が異なる。またカラープリンタであっても、紙質等の相違、あるいはインク組成の相違等により色域が異なる。このため、カラーモニタ上の画像とカラープリンタ出力画像、あるいは複数種の機種、複数種の紙質にて出力したカラープリンタ出力画像において、これらの画像の色を測色的な意味において完全に一致させることは困難である。
【0005】
ここで、これら色域の異なる表示媒体間において、色域の相違を吸収すると共に表示画像の知覚的一致を図るための技術として、L*a*b*空間あるいはJCh空間等において、ある色域を別の色域内へ写像するガマットマッピング技術が存在する。従来から、以下のようなガマットマッピング技術が知られている。
(1)色域全体を線形に写像する方法
(2)色域外の色だけを色域の表面に写像する方法
(3)色域内では元の色を保存するためにできる限り圧縮せず、色域外の色は例えばL軸上の一点を目標点として、色域の高彩度部へ圧縮することにより階調性を保つ方法
しかしながら、の従来のガマットマッピング技術はプリンタの色域ごとにそれぞれ最適な圧縮を行っていたため、同じ画像を異なる色域のプリンタで出力した場合、出力画像の色みがことなってしまう。
【0006】
確かに、色域が異なるため、完全に同一の色再現を実現することはできない。しかしながら、出力画像の色のみえができるだけ近い方がのぞましい。
【0007】
そこで、特許文献1のようにプリンタの出力条件に応じて目標色を等色相方向に補正することで出力条件が異なる場合においても色味の同一性を増す手法が提案されている。
【特許文献1】特開2004−64668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記、特開2004−64668のような方法では出力色域に対しては色味の同一性を増すことができるが、目標色データが入力色域に最適な設計となっているため、入力色域が異なる場合には入力色域ごとに目標色データを変える必要があるため複数組の目標色が必要なうえに、任意の入力色域に関しては目標色をあらかじめ作成しておくことが困難なため高精度な目標色再現は実現困難であった。そこで、本発明は入力色域情報に基づいて目標色データを補正することで目標色データを複数組作成する必要をなくし、任意の入力色域に対しても高精度な目標色再現を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出する算出手段と、前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出する補正手段と、前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換する色変換手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
異なるデバイス間の色再現において、入力色域情報に応じて基準目標色を補正することによって任意の入力色域に対しても高精度な目標色再現を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
図1は本実施形態にかかる画像処理システムの構成を示したブロック図である。
【0012】
本実施形態の画像処理システムは、画像処理装置1、モニタ等画像を表示するための画像表示装置2およびプリンタ等画像を印刷するための画像出力装置4を有する。画像処理装置1が有する代表的な構成について以下に説明する。3は画像表示装置2にて表示されている画像データを入力する画像入力部である。5は画像出力装置4に画像データを出力する画像出力部である。6は画像入力部3にて入力された画像データに対して色変換を行なう色変換処理部である。7は画像表示装置2や画像出力装置4のプロファイルを記憶しておくためのプロファイル記憶部である。8は選択されたプロファイルの色域情報を算出する色域情報算出部である。9は基準色域情報を記憶しておくための基準色域情報記憶部である。11は基準色域情報記憶部9に記憶されている基準色域情報に対応した基準目標色情報を記憶しておくための基準目標色情報記憶部である。12は、画像表示装置の色域情報、基準色域情報に基づき、基準目標色情報を補正する目標色情報補正部である。
【0013】
図2は画像処理装置1における処理フローを示したフローチャートである。図3は、カラーマッチングに必要な条件を設定するためのUI(ユーザインタフェイス)である。このUIでは、カラーマッチングにおけるソースデバイスに対応する画像表示装置2のプロファイル、デスティネーションデバイスである画像出力装置4のプロファイルおよびカラーマッチングにおけるマッチング方法が選択・設定される。
【0014】
S201では、カラーマッチング設定UIにて選択された画像表示装置プロファイルと画像出力装置プロファイルをプロファイル記憶部7から取得する。プロファイル内には例えば、デバイス値と測色値との対応関係がデバイス特性情報として記述されている。例えば、デバイス特性情報として、RGB各9段階のデータ(計729色)に対応したパッチの測色値(XYZ値)が記述されている。
【0015】
S202では、色域情報算出部8が、S201にて読み込んだ画像表示装置2と画像出力装置4のプロファイルの各々から、画像表示装置2の色域情報および画像出力装置4の色域情報を算出する。
本実施形態では、L*a*b*色空間において色域情報を生成する。まず、プロファイルの測色値(XYZ値)をL*a*b*値に変換する。
【0016】
生成した測色値群の色分布情報から、Convex Hull技法を用いて色域外殻情報を生成し、記憶する。図4に色分布情報の一例を、図5に色域外殻情報の一例を示す。なお、色域外殻情報は複数のポリゴンの組み合わせで表現される。
【0017】
次に、プライマリ (Red、Green、Blue、Cyan、Magenta、Yellow)のL*a*b*値をプライマリ情報として算出し、記憶する。デバイス値がRGB値で有る場合は、以下のRGB値に対応する測色値のL*a*b*値がプライマリのL*a*b*値となる。
【0018】
Red[(R,G,B)=(255,0,0)]
Green[(R,G,B)=(0,255,0)]
Blue[(R,G,B)=(0,0,255)]
Cyan[(R,G,B)=(0,255,255)]
Magenta[(R,G,B)=(255,0,255)]
Yellow[(R,G,B)=(255,255,0)]
S203では、基準色域情報記憶部9から基準色域情報を取得する。基準色域情報には基準色域の色域外殻情報とプライマリ情報が記憶されている。本実施形態では基準色域情報をsRGB色域とする。しかしながら、例えばAdobeRGBの色域や、あるデバイスの色域など他の色域を使用しても構わない。
【0019】
S205では、基準目標色情報記憶部11から基準目標色情報を取得する。基準目標色情報とは、例えばsRGB色域のプライマリ値6色に対して最も色味が一致するあるプリンタ色域におけるL*a*b*値をさしている。基準目標色情報はテーブルデータとして基準目標色情報記憶部11にあらかじめ記憶しておくものとする。また、本実施形態では基準目標色情報をプライマリ値6色としているがこれに限定されるものではなく、ユーザの要求に従い追加できるよう構成してもよい。
【0020】
S206では、目標色情報補正部12が、画像表示装置の色域情報、基準色域情報に基づき、S205にて取得した基準目標色情報を補正し、色変換処理部6に供給する。
【0021】
S207では、画像入力部3にて入力された画像データを入力する。
【0022】
S208では、色変換処理部6が、S201にて入力した画像表示装置のプロファイルと画像出力装置のプロファイルおよび目標色情報補正部12より供給された目標色情報を用いて色変換処理を行なう。
【0023】
S209では、画像出力部5がS208にて色変換された画像データを画像出力装置4に供給する。
【0024】
以下では、S206における基準目標色情報の補正処理について、図6のフローチャートに従い説明する。本実施形態では、図7〜図9に示されるように、画像表示装置のプライマリ情報と基準色域のプライマリ情報との差分を求める。そして、この差分に基づき、基準色域に対応した目標色を示す基準目標色情報を補正することにより、画像表示装置の色域に対応した目標色情報を算出する。
【0025】
まず、S601では、画像表示装置のプライマリ情報、基準色域のプライマリ情報および基準目標色情報のL*a*b*値をLCh値に変換する。ここで、Lは明度成分、Cは彩度成分、hは色相成分である。
【0026】
S602では、画像表示装置のプライマリ情報のL成分と、基準色域のプライマリ情報のL成分との差分を算出し、基準目標色情報を補正する。
【0027】
図7は本実施形態における明度成分における目標色補正の概念図であり、あるプライマリ情報の色相断面図である。基準目標色と等明度のL軸上の点を基準点とし、基準目標色と基準点を結ぶ線分を線Aとする。基準色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線B、画像表示装置色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線Cとする。線Bと線Cからなる角を角Mとし、基準点を中心に線Aから角Mずらした直線を線Dとする。基準目標色を通るC軸に対する垂線を線Eとする。線Dと線Eの交点を補正後の目標色のL成分とする。
【0028】
S603では、S204にて比較した色域比較結果をもとにプライマリ情報のC成分の差分を算出し、基準目標色情報を補正する。図8は本実施形態におけるC成分目標色補正の概念図であり、あるプライマリ情報の色相断面図である。基準目標色と等CのC軸上の点を基準点とし、基準目標色と基準点を結ぶ線分を線Fとする。基準色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線Gとし、画像表示装置色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線Hとする。線Gと線Hからなる角を角Nとし、基準点を中心に線Fから角Nずらした直線を線Iとする。目標色からL軸に落とした垂線を線Jとする。線Iと線Jの交点を補正後の目標色のC成分とする。
【0029】
S604では、S204にて比較した色域比較結果をもとにプライマリ情報のh成分の差分を算出し、基準目標色情報を補正する。図9は本実施形態におけるh成分目標色補正の概念図であり、あるプライマリ情報におけるa*b*平面図を表している。基準色域のプライマリと画像表示装置色域のプライマリの色相差Δhを算出し、基準目標色の色相にΔhを加算した結果を補正後の目標色のh成分とする。
S605では、算出された目標値を記憶する。
【0030】
なお、上記S602〜S604の処理は、プライマリ色の各色に対して行われる。つまり、本実施形態の場合は、Red、Green、Blue、Cyan、Magenta、Yellowの6色について、目標値を算出する。
【0031】
以下では、S208における色変換処理を図10のフローチャートに従い説明する。
S1001では、画像表示装置プロファイルに記述されている格子点のデバイスRGB値とXYZ値の関係を取得する。
S1002では、各格子点XYZ値をL*a*b*値に変換する。
S1003では、S1002で求められた各格子点のL*a*b*値に対して後述の処理に従い目標色変換処理を行なう。
【0032】
S1004では、S1003で求められた目標色変換処理後の各格子点のL*a*b*値に対して色域圧縮処理を行なう。これは、画像出力装置色域形状によっては目標色変換処理後の値が画像出力装置色域(出力色域)外である場合があるため、色域圧縮処理によって全ての格子点を出力色域内に圧縮し、画像出力装置で再現可能な色に変換するためである。本実施形態では、色域圧縮処理としてカラリメトリック色域圧縮を用いる。カラリメトリック色域圧縮は、画像出力装置色域内の色はそのまま保ち、画像出力装置色域外の色は画像出力装置色域の最も近い点に圧縮する手法である。ただし、ここで用いる色域圧縮処理はカラリメトリックに限られるものではなく他の方法を用いてもよい。
【0033】
S1005では、色域圧縮処理後のL*a*b*値をXYZ値に変換する。
S1006では、画像出力装置プロファイルを用いてXYZ値を画像出力装置のデバイスRGB値に変換する。
S1007では、S1001にて取得した格子点の画像表示装置のデバイスRGB値と、S1006で求めた画像出力装置のデバイスRGB値を対応づけ、LUTを作成する。
S1008では、S1007で作成したLUTを用いてS207で入力された画像のRGB値を画像出力装置RGB値に変換する。LUTにない入力RGB値の場合は周りの格子点から四面体補間等の補間処理を用いて求める。
【0034】
以下では、S1003における目標色変換処理を図11のフローチャートに従い説明する。また、図12は本実施形態における目標色変換の概念図である。図12aは目標色変換処理前の画像表示装置色域のある等色相断面における格子点分布の一例である。図12bは同じ等色相断面における目標色変換処理後の画像表示装置色域の格子点分布の一例である。
【0035】
S1101では、S1002で変換された格子点のL*a*b*値を取得する。
S1102では、取得した格子点の色相を算出し、その色相を挟む順方向と逆方向の画像表示装置プライマリ情報を取得する。
S1103では、S1102にて取得した二つのプライマリ情報に対応する二つの目標値を取得する。
【0036】
S1104では、S1102にて取得した二つのプライマリ情報と、S1103にて取得した二つの補正後の目標色情報とから、各プライマリにおける差分を算出し、補正量とする。
S1105では、二つのプライマリ情報の色相値に対する入力点色相値の内分比を算出する。
S1106では、二つのプライマリ情報の補正量を上記内分比で補間し、入力点色相の最大彩度点における補正量とする。
S1107では、入力点彩度と入力点色相の最大彩度点の比を、S1106にて算出した最大彩度点の補正量に乗算し、入力点の補正量を算出する。
【0037】
これは低彩度の色はなるべく補正をせずに忠実に再現したいために補正量に彩度による重み付けを行うためである。
S1108では、入力点にS1107にて求めた補正量を加算し、目標色変換処理後の補正値とする。
【0038】
このように、まり、本実施形態によれば、基準色域の基準目標色に基づき、任意の入力色域(画像表示装置の色域)に応じた目標色を算出することができる。よって、基準色域の色再現の色再現を考慮しつつ、入力色域に適した色再現を実現する色処理を行うことができる。
【0039】
(実施形態2)
図13は実施形態2にかかる画像処理システムの構成を示したブロック図である。
【0040】
本実施形態の画像処理システムは、画像処理装置1301、モニタ等画像を表示するための画像表示装置1302、プリンタ等画像を印刷するための画像出力装置1304を有する。画像処理装置1301が有する代表的な構成について以下に説明する。1303は画像表示装置2にて表示している画像データを入力する画像入力部である。1305は画像出力装置1304にて画像を出力するための画像出力部である。1306は画像入力部1303にて入力された画像データに対して色変換を行なう色変換処理部である。1307は画像表示装置1302や画像出力装置1304のプロファイルを記憶しておくためのプロファイル記憶部である。1308はプロファイル記憶部1307からユーザによって選択されたプロファイルの色域情報を算出する色域情報算出部である。1309は複数の基準色域情報を記憶しておくための基準色域情報記憶部である。1310は色域情報算出部1308で算出した色域情報と基準色域情報記憶部1309から取得した基準色域情報を比較する色域情報比較部である。1311は基準色域情報記憶部1309に記憶されている基準色域情報に対応した基準目標色情報を記憶しておくための基準目標色情報記憶部である。1312は色域情報比較部1310における比較結果に基づいて基準目標色情報を切替える目標色情報切替部である。
【0041】
図14は画像処理装置1301における処理フローを示したフローチャートでる。
S1401では、カラーマッチング設定UIにて選択された画像表示装置プロファイルと画像出力装置プロファイルとをプロファイル記憶部1307から取得する。
【0042】
S1402では、S1401にて取得した画像表示装置1302と画像出力装置1304のプロファイルから、画像表示装置1302と画像出力装置1304の各々に対応する色域外殻情報を、実施形態1と同様の方法を用いて算出する。次に、色域外殻情報から色域の体積を算出し、記憶する。
【0043】
S1403では、基準色域情報記憶部1309から基準色域情報を取得する。基準色域情報には基準色域の色域外殻情報と色域の体積情報が記憶されている。
【0044】
S1404では、S1402にて算出した画像表示装置1302の色域情報の体積と、S1403にて読み込んだ複数の基準色域情報の体積とを比較し、比較結果を目標色情報切替部1312に供給する。また、本実施形態では基準色域情報をsRGB色域とAdobeRGB色域とするがこれに限定されるものではない。
【0045】
S1405では、S1404における色域情報比較結果に基づき、複数の基準色域情報に対応した複数の基準色情報から、画像表示装置1302の色域情報の体積に最も体積が近い基準色域情報に対応した基準目標色情報を選択する。そして、選択された基準目標色情報を基準目標色情報記憶部1311から取得する。
【0046】
S1406では、画像入力部1303にて入力された画像データを入力する。S1407では、S1401にて取得した画像表示装置のプロファイルと画像出力装置のプロファイルおよび目標色情報切替部1312より供給された目標色情報を用いて、上記第一の実施形態と同様に色変換処理を行なう。S1408では、S1407にて色変換された画像データを画像出力装置1304に供給する。
【0047】
本実施形態によれば、入力の色域(画像表示装置の色域)により近い基準色域の色再現を考慮することができる。したがって、より高品質な色再現を実現することができる。
【0048】
<変形例>
上記の第一の実施形態、および第二の実施形態において、デバイス非依存色空間としてL*a*b*色空間を用いたが、近年CIE(国際照明委員会)により提案されたCIECAM02等のモデルを用いて算出されるJCh色空間等他の色空間を用いてもよい。
【0049】
また前述した実施形態の機能を実現するためのソフトウエアのプログラムコードをネットワークを介して供給し供給することも本発明の範疇に含まれる。 またこの場合、ソフトウエアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段は本発明を構成する。
【0050】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを、記憶媒体であるメモリに記憶し、実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態1の画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の画像処理装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】カラーマッチングの設定をするためのUIの一例である。
【図4】色域の色分布情報の一例を示す図である。
【図5】Convex Hull技法により生成された色域外殻情報の一例を示す図である。
【図6】基準目標色情報を補正する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】基準目標色情報のL成分補正の概念図である。
【図8】基準目標色情報のC成分補正の概念図である。
【図9】基準目標色情報のh成分補正の概念図である。
【図10】実施形態1の色変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】実施形態1の目標色変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】目標色変換処理の概念図である。
【図13】実施形態2の画像処理装置を示すブロック図である。
【図14】実施形態2の画像処理装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力色を出力色域内の出力色に色変換するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ/ワークステーションの普及に伴い、デスクトップ・パブリッシング(DTP)やCADが広く一般に使用されている。このような中で、コンピュータによってモニタ上で表現される色と、出力媒体上に再現される色とのマッチングを行う色再現技術が重要となっている。例えばDTPにおいては、モニタ上にてカラー画像の作成/編集/加工等を行い、成果物として画像をカラープリンタで出力するというワークフローで作業を行う。このワークフローに於いて、モニタ上のカラー画像とプリンタ出力画像とが知覚的に一致していることを、ユーザは強く望んでいる。
【0003】
しかしながら色再現技術において、モニタ上のカラー画像とプリンタ出力画像とに於いてこのような知覚上の一致を図ることには困難が伴う。この困難さは以下の理由による。
【0004】
カラーモニタにおいては、蛍光体を用いて特定波長の光を発光することによりカラー画像を表現する。他方、カラープリンタにおいてはインク等を用いて特定波長の光を吸収し、残りの反射光によってカラー画像を表現する。このように画像表示形態が異なることに起因して、両者を比較すると色域が大きく異なる。さらに、カラーモニタであっても、液晶モニタと電子銃方式のブラウン管のモニタとでは色域が異なる。またカラープリンタであっても、紙質等の相違、あるいはインク組成の相違等により色域が異なる。このため、カラーモニタ上の画像とカラープリンタ出力画像、あるいは複数種の機種、複数種の紙質にて出力したカラープリンタ出力画像において、これらの画像の色を測色的な意味において完全に一致させることは困難である。
【0005】
ここで、これら色域の異なる表示媒体間において、色域の相違を吸収すると共に表示画像の知覚的一致を図るための技術として、L*a*b*空間あるいはJCh空間等において、ある色域を別の色域内へ写像するガマットマッピング技術が存在する。従来から、以下のようなガマットマッピング技術が知られている。
(1)色域全体を線形に写像する方法
(2)色域外の色だけを色域の表面に写像する方法
(3)色域内では元の色を保存するためにできる限り圧縮せず、色域外の色は例えばL軸上の一点を目標点として、色域の高彩度部へ圧縮することにより階調性を保つ方法
しかしながら、の従来のガマットマッピング技術はプリンタの色域ごとにそれぞれ最適な圧縮を行っていたため、同じ画像を異なる色域のプリンタで出力した場合、出力画像の色みがことなってしまう。
【0006】
確かに、色域が異なるため、完全に同一の色再現を実現することはできない。しかしながら、出力画像の色のみえができるだけ近い方がのぞましい。
【0007】
そこで、特許文献1のようにプリンタの出力条件に応じて目標色を等色相方向に補正することで出力条件が異なる場合においても色味の同一性を増す手法が提案されている。
【特許文献1】特開2004−64668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記、特開2004−64668のような方法では出力色域に対しては色味の同一性を増すことができるが、目標色データが入力色域に最適な設計となっているため、入力色域が異なる場合には入力色域ごとに目標色データを変える必要があるため複数組の目標色が必要なうえに、任意の入力色域に関しては目標色をあらかじめ作成しておくことが困難なため高精度な目標色再現は実現困難であった。そこで、本発明は入力色域情報に基づいて目標色データを補正することで目標色データを複数組作成する必要をなくし、任意の入力色域に対しても高精度な目標色再現を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出する算出手段と、前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出する補正手段と、前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換する色変換手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
異なるデバイス間の色再現において、入力色域情報に応じて基準目標色を補正することによって任意の入力色域に対しても高精度な目標色再現を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
図1は本実施形態にかかる画像処理システムの構成を示したブロック図である。
【0012】
本実施形態の画像処理システムは、画像処理装置1、モニタ等画像を表示するための画像表示装置2およびプリンタ等画像を印刷するための画像出力装置4を有する。画像処理装置1が有する代表的な構成について以下に説明する。3は画像表示装置2にて表示されている画像データを入力する画像入力部である。5は画像出力装置4に画像データを出力する画像出力部である。6は画像入力部3にて入力された画像データに対して色変換を行なう色変換処理部である。7は画像表示装置2や画像出力装置4のプロファイルを記憶しておくためのプロファイル記憶部である。8は選択されたプロファイルの色域情報を算出する色域情報算出部である。9は基準色域情報を記憶しておくための基準色域情報記憶部である。11は基準色域情報記憶部9に記憶されている基準色域情報に対応した基準目標色情報を記憶しておくための基準目標色情報記憶部である。12は、画像表示装置の色域情報、基準色域情報に基づき、基準目標色情報を補正する目標色情報補正部である。
【0013】
図2は画像処理装置1における処理フローを示したフローチャートである。図3は、カラーマッチングに必要な条件を設定するためのUI(ユーザインタフェイス)である。このUIでは、カラーマッチングにおけるソースデバイスに対応する画像表示装置2のプロファイル、デスティネーションデバイスである画像出力装置4のプロファイルおよびカラーマッチングにおけるマッチング方法が選択・設定される。
【0014】
S201では、カラーマッチング設定UIにて選択された画像表示装置プロファイルと画像出力装置プロファイルをプロファイル記憶部7から取得する。プロファイル内には例えば、デバイス値と測色値との対応関係がデバイス特性情報として記述されている。例えば、デバイス特性情報として、RGB各9段階のデータ(計729色)に対応したパッチの測色値(XYZ値)が記述されている。
【0015】
S202では、色域情報算出部8が、S201にて読み込んだ画像表示装置2と画像出力装置4のプロファイルの各々から、画像表示装置2の色域情報および画像出力装置4の色域情報を算出する。
本実施形態では、L*a*b*色空間において色域情報を生成する。まず、プロファイルの測色値(XYZ値)をL*a*b*値に変換する。
【0016】
生成した測色値群の色分布情報から、Convex Hull技法を用いて色域外殻情報を生成し、記憶する。図4に色分布情報の一例を、図5に色域外殻情報の一例を示す。なお、色域外殻情報は複数のポリゴンの組み合わせで表現される。
【0017】
次に、プライマリ (Red、Green、Blue、Cyan、Magenta、Yellow)のL*a*b*値をプライマリ情報として算出し、記憶する。デバイス値がRGB値で有る場合は、以下のRGB値に対応する測色値のL*a*b*値がプライマリのL*a*b*値となる。
【0018】
Red[(R,G,B)=(255,0,0)]
Green[(R,G,B)=(0,255,0)]
Blue[(R,G,B)=(0,0,255)]
Cyan[(R,G,B)=(0,255,255)]
Magenta[(R,G,B)=(255,0,255)]
Yellow[(R,G,B)=(255,255,0)]
S203では、基準色域情報記憶部9から基準色域情報を取得する。基準色域情報には基準色域の色域外殻情報とプライマリ情報が記憶されている。本実施形態では基準色域情報をsRGB色域とする。しかしながら、例えばAdobeRGBの色域や、あるデバイスの色域など他の色域を使用しても構わない。
【0019】
S205では、基準目標色情報記憶部11から基準目標色情報を取得する。基準目標色情報とは、例えばsRGB色域のプライマリ値6色に対して最も色味が一致するあるプリンタ色域におけるL*a*b*値をさしている。基準目標色情報はテーブルデータとして基準目標色情報記憶部11にあらかじめ記憶しておくものとする。また、本実施形態では基準目標色情報をプライマリ値6色としているがこれに限定されるものではなく、ユーザの要求に従い追加できるよう構成してもよい。
【0020】
S206では、目標色情報補正部12が、画像表示装置の色域情報、基準色域情報に基づき、S205にて取得した基準目標色情報を補正し、色変換処理部6に供給する。
【0021】
S207では、画像入力部3にて入力された画像データを入力する。
【0022】
S208では、色変換処理部6が、S201にて入力した画像表示装置のプロファイルと画像出力装置のプロファイルおよび目標色情報補正部12より供給された目標色情報を用いて色変換処理を行なう。
【0023】
S209では、画像出力部5がS208にて色変換された画像データを画像出力装置4に供給する。
【0024】
以下では、S206における基準目標色情報の補正処理について、図6のフローチャートに従い説明する。本実施形態では、図7〜図9に示されるように、画像表示装置のプライマリ情報と基準色域のプライマリ情報との差分を求める。そして、この差分に基づき、基準色域に対応した目標色を示す基準目標色情報を補正することにより、画像表示装置の色域に対応した目標色情報を算出する。
【0025】
まず、S601では、画像表示装置のプライマリ情報、基準色域のプライマリ情報および基準目標色情報のL*a*b*値をLCh値に変換する。ここで、Lは明度成分、Cは彩度成分、hは色相成分である。
【0026】
S602では、画像表示装置のプライマリ情報のL成分と、基準色域のプライマリ情報のL成分との差分を算出し、基準目標色情報を補正する。
【0027】
図7は本実施形態における明度成分における目標色補正の概念図であり、あるプライマリ情報の色相断面図である。基準目標色と等明度のL軸上の点を基準点とし、基準目標色と基準点を結ぶ線分を線Aとする。基準色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線B、画像表示装置色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線Cとする。線Bと線Cからなる角を角Mとし、基準点を中心に線Aから角Mずらした直線を線Dとする。基準目標色を通るC軸に対する垂線を線Eとする。線Dと線Eの交点を補正後の目標色のL成分とする。
【0028】
S603では、S204にて比較した色域比較結果をもとにプライマリ情報のC成分の差分を算出し、基準目標色情報を補正する。図8は本実施形態におけるC成分目標色補正の概念図であり、あるプライマリ情報の色相断面図である。基準目標色と等CのC軸上の点を基準点とし、基準目標色と基準点を結ぶ線分を線Fとする。基準色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線Gとし、画像表示装置色域のプライマリと基準点を結ぶ線分を線Hとする。線Gと線Hからなる角を角Nとし、基準点を中心に線Fから角Nずらした直線を線Iとする。目標色からL軸に落とした垂線を線Jとする。線Iと線Jの交点を補正後の目標色のC成分とする。
【0029】
S604では、S204にて比較した色域比較結果をもとにプライマリ情報のh成分の差分を算出し、基準目標色情報を補正する。図9は本実施形態におけるh成分目標色補正の概念図であり、あるプライマリ情報におけるa*b*平面図を表している。基準色域のプライマリと画像表示装置色域のプライマリの色相差Δhを算出し、基準目標色の色相にΔhを加算した結果を補正後の目標色のh成分とする。
S605では、算出された目標値を記憶する。
【0030】
なお、上記S602〜S604の処理は、プライマリ色の各色に対して行われる。つまり、本実施形態の場合は、Red、Green、Blue、Cyan、Magenta、Yellowの6色について、目標値を算出する。
【0031】
以下では、S208における色変換処理を図10のフローチャートに従い説明する。
S1001では、画像表示装置プロファイルに記述されている格子点のデバイスRGB値とXYZ値の関係を取得する。
S1002では、各格子点XYZ値をL*a*b*値に変換する。
S1003では、S1002で求められた各格子点のL*a*b*値に対して後述の処理に従い目標色変換処理を行なう。
【0032】
S1004では、S1003で求められた目標色変換処理後の各格子点のL*a*b*値に対して色域圧縮処理を行なう。これは、画像出力装置色域形状によっては目標色変換処理後の値が画像出力装置色域(出力色域)外である場合があるため、色域圧縮処理によって全ての格子点を出力色域内に圧縮し、画像出力装置で再現可能な色に変換するためである。本実施形態では、色域圧縮処理としてカラリメトリック色域圧縮を用いる。カラリメトリック色域圧縮は、画像出力装置色域内の色はそのまま保ち、画像出力装置色域外の色は画像出力装置色域の最も近い点に圧縮する手法である。ただし、ここで用いる色域圧縮処理はカラリメトリックに限られるものではなく他の方法を用いてもよい。
【0033】
S1005では、色域圧縮処理後のL*a*b*値をXYZ値に変換する。
S1006では、画像出力装置プロファイルを用いてXYZ値を画像出力装置のデバイスRGB値に変換する。
S1007では、S1001にて取得した格子点の画像表示装置のデバイスRGB値と、S1006で求めた画像出力装置のデバイスRGB値を対応づけ、LUTを作成する。
S1008では、S1007で作成したLUTを用いてS207で入力された画像のRGB値を画像出力装置RGB値に変換する。LUTにない入力RGB値の場合は周りの格子点から四面体補間等の補間処理を用いて求める。
【0034】
以下では、S1003における目標色変換処理を図11のフローチャートに従い説明する。また、図12は本実施形態における目標色変換の概念図である。図12aは目標色変換処理前の画像表示装置色域のある等色相断面における格子点分布の一例である。図12bは同じ等色相断面における目標色変換処理後の画像表示装置色域の格子点分布の一例である。
【0035】
S1101では、S1002で変換された格子点のL*a*b*値を取得する。
S1102では、取得した格子点の色相を算出し、その色相を挟む順方向と逆方向の画像表示装置プライマリ情報を取得する。
S1103では、S1102にて取得した二つのプライマリ情報に対応する二つの目標値を取得する。
【0036】
S1104では、S1102にて取得した二つのプライマリ情報と、S1103にて取得した二つの補正後の目標色情報とから、各プライマリにおける差分を算出し、補正量とする。
S1105では、二つのプライマリ情報の色相値に対する入力点色相値の内分比を算出する。
S1106では、二つのプライマリ情報の補正量を上記内分比で補間し、入力点色相の最大彩度点における補正量とする。
S1107では、入力点彩度と入力点色相の最大彩度点の比を、S1106にて算出した最大彩度点の補正量に乗算し、入力点の補正量を算出する。
【0037】
これは低彩度の色はなるべく補正をせずに忠実に再現したいために補正量に彩度による重み付けを行うためである。
S1108では、入力点にS1107にて求めた補正量を加算し、目標色変換処理後の補正値とする。
【0038】
このように、まり、本実施形態によれば、基準色域の基準目標色に基づき、任意の入力色域(画像表示装置の色域)に応じた目標色を算出することができる。よって、基準色域の色再現の色再現を考慮しつつ、入力色域に適した色再現を実現する色処理を行うことができる。
【0039】
(実施形態2)
図13は実施形態2にかかる画像処理システムの構成を示したブロック図である。
【0040】
本実施形態の画像処理システムは、画像処理装置1301、モニタ等画像を表示するための画像表示装置1302、プリンタ等画像を印刷するための画像出力装置1304を有する。画像処理装置1301が有する代表的な構成について以下に説明する。1303は画像表示装置2にて表示している画像データを入力する画像入力部である。1305は画像出力装置1304にて画像を出力するための画像出力部である。1306は画像入力部1303にて入力された画像データに対して色変換を行なう色変換処理部である。1307は画像表示装置1302や画像出力装置1304のプロファイルを記憶しておくためのプロファイル記憶部である。1308はプロファイル記憶部1307からユーザによって選択されたプロファイルの色域情報を算出する色域情報算出部である。1309は複数の基準色域情報を記憶しておくための基準色域情報記憶部である。1310は色域情報算出部1308で算出した色域情報と基準色域情報記憶部1309から取得した基準色域情報を比較する色域情報比較部である。1311は基準色域情報記憶部1309に記憶されている基準色域情報に対応した基準目標色情報を記憶しておくための基準目標色情報記憶部である。1312は色域情報比較部1310における比較結果に基づいて基準目標色情報を切替える目標色情報切替部である。
【0041】
図14は画像処理装置1301における処理フローを示したフローチャートでる。
S1401では、カラーマッチング設定UIにて選択された画像表示装置プロファイルと画像出力装置プロファイルとをプロファイル記憶部1307から取得する。
【0042】
S1402では、S1401にて取得した画像表示装置1302と画像出力装置1304のプロファイルから、画像表示装置1302と画像出力装置1304の各々に対応する色域外殻情報を、実施形態1と同様の方法を用いて算出する。次に、色域外殻情報から色域の体積を算出し、記憶する。
【0043】
S1403では、基準色域情報記憶部1309から基準色域情報を取得する。基準色域情報には基準色域の色域外殻情報と色域の体積情報が記憶されている。
【0044】
S1404では、S1402にて算出した画像表示装置1302の色域情報の体積と、S1403にて読み込んだ複数の基準色域情報の体積とを比較し、比較結果を目標色情報切替部1312に供給する。また、本実施形態では基準色域情報をsRGB色域とAdobeRGB色域とするがこれに限定されるものではない。
【0045】
S1405では、S1404における色域情報比較結果に基づき、複数の基準色域情報に対応した複数の基準色情報から、画像表示装置1302の色域情報の体積に最も体積が近い基準色域情報に対応した基準目標色情報を選択する。そして、選択された基準目標色情報を基準目標色情報記憶部1311から取得する。
【0046】
S1406では、画像入力部1303にて入力された画像データを入力する。S1407では、S1401にて取得した画像表示装置のプロファイルと画像出力装置のプロファイルおよび目標色情報切替部1312より供給された目標色情報を用いて、上記第一の実施形態と同様に色変換処理を行なう。S1408では、S1407にて色変換された画像データを画像出力装置1304に供給する。
【0047】
本実施形態によれば、入力の色域(画像表示装置の色域)により近い基準色域の色再現を考慮することができる。したがって、より高品質な色再現を実現することができる。
【0048】
<変形例>
上記の第一の実施形態、および第二の実施形態において、デバイス非依存色空間としてL*a*b*色空間を用いたが、近年CIE(国際照明委員会)により提案されたCIECAM02等のモデルを用いて算出されるJCh色空間等他の色空間を用いてもよい。
【0049】
また前述した実施形態の機能を実現するためのソフトウエアのプログラムコードをネットワークを介して供給し供給することも本発明の範疇に含まれる。 またこの場合、ソフトウエアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段は本発明を構成する。
【0050】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを、記憶媒体であるメモリに記憶し、実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施形態1の画像処理装置を示すブロック図である。
【図2】実施形態1の画像処理装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【図3】カラーマッチングの設定をするためのUIの一例である。
【図4】色域の色分布情報の一例を示す図である。
【図5】Convex Hull技法により生成された色域外殻情報の一例を示す図である。
【図6】基準目標色情報を補正する処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】基準目標色情報のL成分補正の概念図である。
【図8】基準目標色情報のC成分補正の概念図である。
【図9】基準目標色情報のh成分補正の概念図である。
【図10】実施形態1の色変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11】実施形態1の目標色変換処理の流れを説明するフローチャートである。
【図12】目標色変換処理の概念図である。
【図13】実施形態2の画像処理装置を示すブロック図である。
【図14】実施形態2の画像処理装置における処理の流れを説明するフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出する算出手段と、
前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出する補正手段と、
前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換する色変換手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
前記基準色情報は、プライマリ色の情報であることを特徴とする請求項1記載の色処理装置。
【請求項3】
前記比較手段は、明度、色相、彩度ごとに行う比較することを特徴とする請求項1または2記載の色処理装置。
【請求項4】
さらに、入力色域と複数の基準色域とを比較し、1つの基準色域を選択する選択手段を有し、
前記算出手段は、前記選択された基準色域にいおける基準色情報を使用し、
前記補正手段は、前記選択された基準色域における基準目標色情報を使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の色処理装置。
【請求項5】
前記色変換手段は、前記入力色の基準色情報と前記目標色情報とに基づき前記入力色を補正する手段と、前記補正された入力色を前記出力色域にマッピングする手段とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の色処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の色処理装置をコンピュータを用いて実現するために、コンピュータが読み取り可能に記憶媒体に記憶されたプログラム。
【請求項7】
入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出し、
前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出し、
前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換することを特徴とする色処理方法。
【請求項1】
入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出する算出手段と、
前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出する補正手段と、
前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換する色変換手段とを有することを特徴とする色処理装置。
【請求項2】
前記基準色情報は、プライマリ色の情報であることを特徴とする請求項1記載の色処理装置。
【請求項3】
前記比較手段は、明度、色相、彩度ごとに行う比較することを特徴とする請求項1または2記載の色処理装置。
【請求項4】
さらに、入力色域と複数の基準色域とを比較し、1つの基準色域を選択する選択手段を有し、
前記算出手段は、前記選択された基準色域にいおける基準色情報を使用し、
前記補正手段は、前記選択された基準色域における基準目標色情報を使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の色処理装置。
【請求項5】
前記色変換手段は、前記入力色の基準色情報と前記目標色情報とに基づき前記入力色を補正する手段と、前記補正された入力色を前記出力色域にマッピングする手段とを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の色処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の色処理装置をコンピュータを用いて実現するために、コンピュータが読み取り可能に記憶媒体に記憶されたプログラム。
【請求項7】
入力色域における基準色情報と基準色域における基準色情報とから補正値を算出し、
前記補正値に基づき前記基準色域における基準目標色情報を補正し、目標色情報を算出し、
前記目標色情報を用いて、前記入力色域における入力色を、出力色域内の出力色に色変換することを特徴とする色処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−294929(P2008−294929A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−140562(P2007−140562)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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