説明

色変換ルックアップテーブル提供システム

【課題】先の印刷装置と性能が同一又は類似している印刷装置、所謂「後継機」をユーザーが新規に購入した場合、改めて変換テーブルを作成しなければならない。
【解決手段】第1の印刷装置用の第1LUTと、第1の印刷装置の後継機である第2の印刷装置用の第2LUTと、をユーザーに提供するサーバー10と、サーバー10に第1及び第2LUTを提供するサーバー50と、を含むLUT提供システムであって、サーバー10は、ユーザー情報をユーザーから受け付けるユーザー情報受付部15と、前記第1及び第2LUTをサーバー50から取得するLUT取得部17と、取得した第1及び第2LUTを記憶する記憶部19と、ユーザー情報に対応する前記第1及び第2LUTをユーザーに提供するLUT提供部18と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換ルックアップテーブル提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
色変換テーブル(色変換ルックアップテーブル)は、入力表色系と出力表色系との対応関係を示す情報である。色変換テーブルの入力表色系の座標値は、入力表色系の色空間内の点(以下、「入力格子点」と称する。)の位置を表しており、出力表色系の座標値は出力表色系の色空間内の点(以下、「出力格子点」と称する。)の位置を表している。
【0003】
色変換テーブルの入力格子点や出力格子点の配置を平滑なものにする技術として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この平滑化では、L***表色系の格子点を移動させた後、目的関数を用いた最適化処理を利用して、移動後のL***格子点を再現する最適なインク量を決定している。この最適なインク量は、目的関数を最小とするようなインク量として決定される。また、入力画像データから印刷データへ変換する際の基準となる変換テーブルが既知である複数種類の印刷媒体のうち、ある印刷媒体に対応する変換テーブルを、種類が未知の印刷媒体に対応する変換テーブルとして設定する変換テーブル設定方法が例えば特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−197080号公報
【特許文献2】特開2009−220356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1については、印刷媒体の種類毎に同一のインク量に対する発色特性(色彩値特性)が異なると共に、単位面積あたりに付着可能なインク量(デューティー制限値)も異なる。このため、複数の印刷媒体について色変換テーブルを作成するためには印刷媒体の種類毎に目的関数を準備しておく必要がある。また、目的関数には、各インク量のインクを印刷媒体に付着した場合に再現される色の色彩値に基づいて画質を評価する項が含まれるため、インク量に基づいて色彩値を予測するための色予測モデル等も印刷媒体の種類毎に準備しておかなければならない。従って、これまでは、特に一般のユーザーが、自宅や職場において任意に選択した印刷媒体について、その印刷媒体において良好な色再現を実現させるインク量を規定した色変換テーブルを作成しようとしても、上記のような制約(任意に選択した印刷媒体に対応した色予測モデル等を準備できない)があることから、印刷媒体に十分に適応した色変換テーブルを作成することは困難であった。
【0006】
一方、特許文献2については、変換テーブルが既知である複数種類の媒体のうち、ある媒体に対応する変換テーブルを、種類が未知の媒体に対応する変換テーブルとして流用するものであるため、ユーザーが任意に選択した印刷媒体に十分に適応した色変換テーブルを作成するというものではない。
【0007】
更には、ユーザーが作成した色変換テーブル等を用いて印刷処理を行った際に、ユーザーが印刷結果(画質)に満足できないこともある。そのような場合、ユーザーは満足の行く印刷結果を得るための何かしらの処理を行おうとするが、印刷処理に不慣れな多くのユーザーは、どのような印刷結果であるときにどのような処理をすべきかが判らないという問題がある。
【0008】
更には、ユーザーが現在使用している印刷装置(以下、「先の印刷装置」と称する。)よりも後に販売される印刷装置であって、先の印刷装置と性能が同一又は類似している印刷装置、所謂「後継機」をユーザーが新規に購入した場合、改めて色変換テーブルを作成しなければならないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]第1の印刷装置で印字するのに用いられる第1色変換ルックアップテーブルと、前記第1の印刷装置の後継機である第2の印刷装置で印字するのに用いられる第2色変換ルックアップテーブルと、をユーザーに提供する第1の提供装置と、前記第1の提供装置に前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供する第2の提供装置と、を含む色変換ルックアップテーブル提供システムであって、前記第1の提供装置は、前記第1の印刷装置の識別を示す印刷装置情報と、印刷媒体の種類を示す印刷媒体情報と、前記第1の印刷装置における印刷条件を示す印刷条件情報と、を含むユーザー情報を前記ユーザーから受け付けるユーザー情報受付部と、前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを前記第2の提供装置から取得する色変換ルックアップテーブル取得部と、前記取得した第1及び第2色変換ルックアップテーブルを記憶する記憶部と、前記ユーザー情報に対応する前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルが前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、前記ユーザー情報に対応する前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを前記ユーザーに提供する色変換ルックアップテーブル提供部と、を有し、前記色変換ルックアップテーブル提供部は、前記判定部により、前記第1色変換ルックアップテーブルが記憶されていると判定され且つ前記第2の印刷装置が存在し、且つ前記第2色変換ルックアップテーブルが記憶されていると判定されたときに、当該記憶されている第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供し、前記判定部により、前記第1色変換ルックアップテーブルが記憶されておらず、且つ前記第2の印刷装置が存在し、且つ前記第2色変換テーブルが記憶されていないと判定されたときに、前記色変換ルックアップテーブル取得部により、前記ユーザー情報に対応する前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを取得し、当該取得した第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供することを特徴とする色変換ルックアップテーブル提供システム。
【0011】
上記した色変換ルックアップテーブル提供システムによれば、ユーザー情報受付部が、ユーザーからユーザー情報を受け付ける。そして、第1色変換ルックアップテーブルが記憶されていると判定され且つ第2の印刷装置が存在し、且つ第2色変換ルックアップテーブルが記憶されていると判定されたときに、当該記憶されている第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供し、判定部により、第1色変換ルックアップテーブルが記憶されておらず、且つ第2の印刷装置が存在し、且つ第2色変換テーブルが記憶されていないと判定されたときに、ルックアップテーブル取得部により、ユーザー情報に対応する第1及び第2色変換ルックアップテーブルを取得し、当該取得した第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供する。
【0012】
これにより、ユーザーでは、例えば印刷媒体について良好な色再現を実現させるために、色変換ルックアップテーブルを自分で作成したり、他の色変換ルックアップテーブルから流用したりして困難な作業を行う必要がなくなる。更に、第1の提供装置では、様々なユーザーニーズに応じた色変換ルックアップテーブルの全てを保有するのではなく、保有しない色変換ルックアップテーブルについては第2の提供装置から取得してユーザーに提供する。これにより、第1の提供装置において、色変換ルックアップテーブルを保有するための記憶容量を削減することができ、且つ色変換ルックアップテーブルのデータ管理に関わる負荷を減少させることができる。
【0013】
[適用例2]前記第1又は/及び第2の印刷装置がオプションを有する場合に、前記ルックアップテーブル取得部は、前記オプションが指定されたときに対応する前記第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルと、前記オプションが指定されていないときに対応する前記第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルと、を取得することを特徴とする上記色変換ルックアップテーブル提供システム。
【0014】
上記した色変換ルックアップテーブル提供システムによれば、色変換ルックアップテーブル取得部が、印刷装置のオプションが指定されたときと、指定されていないときとの両方の色変換ルックアップテーブルをユーザーニーズに関わらず取得する。これにより、オプション付きの印刷装置を有するユーザーから色変換ルックアップテーブルの要求を受け付けたとき、ユーザーでのオプションの付加状況に応じた色変換ルックアップテーブルを短時間にユーザーに提供することができる。
【0015】
[適用例3]前記第1の提供装置は、前記記憶されている第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルを編集する編集部を更に有し、前記編集部は、前記記憶されている第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルを複写した後に、前記第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルを編集することを特徴とする上記色変換ルックアップテーブル提供システム。
【0016】
上記した色変換ルックアップテーブル提供システムによれば、編集部が、記憶されている色変換ルックアップテーブルを複写した後に、色変換ルックアップテーブルを編集する。これにより、元々記憶されている色変換ルックアップテーブルを元の内容のまま残すことができ、各種のユーザーニーズに応じて色変換ルックアップテーブルを編集することができる。
【0017】
[適用例4]前記ユーザー情報における前記印刷条件情報は、前記第1又は/及び第2の印刷装置が使用可能なインクの乾燥時間を含むことを特徴とする上記色変換ルックアップテーブル提供システム。
【0018】
上記した色変換ルックアップテーブル提供システムによれば、印刷条件情報が、使用可能なインクの乾燥時間を含むことにより、ユーザー環境におけるインクの乾燥時間に応じた色変換ルックアップテーブルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】LUT提供システム等の概略構成を示す図。
【図2】LUT提供システム等の機能構成を示すブロック図。
【図3】ユーザー情報の例を示す図。
【図4】サーバーにおける動作を示すフローチャート。
【図5】サーバーからLUTを取得する動作の詳細を示すフローチャート。
【図6】第2実施形態に係るLUT提供システム等の機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態に係る色変換ルックアップテーブル(以下、「LUT」と略称する。)提供システムについて、図面を参照して説明する。
【0021】
<LUT提供システムの概略構成>
図1は、LUT提供システム100等の概略構成を示す図である。同図に示すLUT提供システム100は、本実施形態では、ベンダーに設置されるサーバー10(第1の提供装置、又はLUT提供装置)と、メーカーに設置されるサーバー50(第2の提供装置)とを含んで構成される。サーバー10とサーバー50とは、インターネット網や専用のケーブル回線等のネットワークを介して接続可能である。
【0022】
サーバー10は、インターネット網等のネットワークを介して、複数のユーザーにおける各コンピューター30と接続可能である。コンピューター30には、USBケーブルや無線等を介してプリンター40が接続されている。プリンター40は、インクを噴射して用紙(印刷媒体)上にインクドットを形成することにより画像を印刷するインクジェット式カラープリンターである。
【0023】
コンピューター30のユーザーは、コンピューター30からネットワークを介してサーバー10に接続し、コンピューター30において必要なLUTの提供をサーバー10から受けることができる。ここで、LUTとは、色変換テーブルとも呼ばれ、コンピューター30において、印刷対象の画像データをプリンター40の印刷用の色データに変換するためのデータテーブルである。また、LUTは、後述するプリンタードライバーの主要な部分を占め、例えばプリンター種類や用紙種類毎にそのデータ構造が異なっている。
【0024】
<LUT提供システムの機能構成>
図2は、LUT提供システム100等の機能構成を示すブロック図である。
最初に、ユーザーにおけるコンピューター30の機能構成について説明する。
図2に示すように、コンピューター30は、制御部31、通信インターフェイス(I/F)32、表示部33、操作部34、アプリケーション35、プリンタードライバー36、LUT取得部37、記憶部38等を備えている。
【0025】
制御部31は、コンピューター30における制御中枢であり、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、コンピューター30内の各部及び各機構を制御する。通信I/F32は、有線又は無線によって接続されるプリンター40と相互にデータ通信を行う。また、通信I/F32は、ネットワークを介してサーバー10と相互にデータ通信を行う。表示部33は、液晶ディスプレイ等で構成されてユーザーへの情報を表示する。操作部34は、キーボードやマウス等で構成されてユーザーからの入力を受け付ける。
【0026】
アプリケーション35は、印刷対象となる画像データを生成し、記憶部38に画像データ38aとして記憶する。また、アプリケーション35は、画像データ38aをプリンタードライバー36に出力して印刷指示を行う。プリンタードライバー36は、アプリケーション35から受け取った画像データ38aを、印刷可能な形式の印刷データに変換してプリンター40に送信する。このとき、プリンタードライバー36は、記憶部38のLUT38bに記憶されている各種LUTを参照して色変換処理を行う。この色変換処理では、プリンター40において用いる用紙種類やインク種類等に対応したLUTを参照することにより、RGB系色座標値によって表現された画像データ38aを、プリンター40に適応した画像データに色変換する。
【0027】
LUT取得部37は、プリンタードライバー36において必要なLUTを、サーバー10から取得して記憶部38のLUT38bに記憶する。記憶部38は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置であり、画像データ38a、各種LUTが記憶されるLUT38b等が記憶されている。
【0028】
ここで、記憶部38のLUT38bには、一般的に用いられる用紙種類やインク種類等について、それぞれに対応した各種LUTが予め記憶されている。また、LUT取得部37は、LUT38bに記憶されていない用紙種類やインク種類等に対応するLUTを必要とする場合、LUT取得の要求と共に当該用紙種類やインク種類等の情報を含むユーザー情報をサーバー10に送信する。そして、LUT取得部37は、サーバー10から当該用紙種類やインク種類等に対応したLUTを取得する。なお、ユーザー情報の詳細については後述する。
【0029】
次に、プリンター40の機能構成について説明する。
図2に示すように、プリンター40は、制御部41、通信I/F42、操作パネル43、印刷ヘッド44、ヘッド駆動部45、キャリッジ機構46、紙送り機構47等を備えている。また、プリンター40には、各色のインクが収容されたインクカートリッジ48a〜48jが装着されている。各インクカートリッジ48a,48b,48c,48d,48e,48f,48g,48h,48i,48jには、それぞれシアン(C),マゼンタ(M),ホワイト(W),クリアーインク(CL),オレンジ(OR),グリーン(GR),ブラック(K),イエロー(Y),ライトシアン(LC),ライトマゼンタ(LM)の計10色のインクが収容されている。
【0030】
制御部41は、プリンター40における制御中枢であり、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、プリンター40内の各部及び各機構を制御する。通信I/F42は、有線又は無線によって接続されるコンピューター30と相互にデータ通信を行う。操作パネル43は、例えば、液晶ディスプレイ、ボタンやタッチパネルにより構成されて、ユーザーへの情報の表示及びユーザーからの入力の受け付けを行う。
【0031】
印刷ヘッド44は、各インク種類に対応して設けられた複数のノズル列からなり、インクカートリッジ48a〜48jに収容された各インクをノズル列からインク滴として吐出することで用紙に画像を形成する。ヘッド駆動部45は、印刷ヘッド44の各ノズル列に内蔵されたピエゾ素子への印加電圧パターンを生成して出力し、印刷ヘッド44にインク種類毎のインク滴を吐出させる。キャリッジ機構46は、プリンター40が備える図示しないガイドレールに沿って、印刷ヘッド44を搭載した図示しないキャリッジを往復動させる駆動機構である。紙送り機構47は、図示しない紙送りローラーにより、用紙をキャリッジの往復動方向と略直交する一方の向きとなる用紙搬送方向に所定の速度で搬送する。
【0032】
次に、ベンダーに設置されるサーバー10の機能構成について説明する。
図2に示すように、サーバー10は、制御部11、通信I/F12、表示部13、操作部14、ユーザー情報受付部15、判定部16、LUT取得部17、LUT提供部18、記憶部19等を備えている。
【0033】
制御部11は、サーバー10における制御中枢であり、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、サーバー10内の各部及び各機構を制御する。通信I/F12は、ネットワークを介してコンピューター30と相互にデータ通信を行う。また、通信I/F12は、ネットワークを介してサーバー50とも相互にデータ通信を行う。表示部13は、液晶ディスプレイ等で構成されて情報を表示する。操作部14は、キーボードやマウス等で構成されてサーバー10への入力を受け付ける。
【0034】
ユーザー情報受付部15は、コンピューター30からLUT取得の要求を受け付けると共に、コンピューター30に関するユーザー情報15aを受け付ける。図3は、ユーザー情報15aの例を示す図である。同図では、ユーザー情報15aは、ユーザー識別15a1と、プリンター識別15a2と、用紙種類15a3と、印刷条件15a4となるインク種類15a5、インク乾燥時間15a6及び印刷品質15a7と、で構成される。
【0035】
具体的に、ユーザー識別15a1は、コンピューター30のユーザーを識別するユーザーコード等のデータである。プリンター識別15a2は、プリンター40を識別するプリンター40の機種コード等のデータである。用紙種類15a3は、例えば、普通紙、専用紙、再生紙等の用紙種類のデータである。印刷条件15a4となるインク種類15a5は、例えば、シアン(C),マゼンタ(M),ホワイト(W)等のインク色等のデータである。インク乾燥時間15a6は、ユーザーの環境において用紙に付着したインクを乾燥させるために要する時間のデータである。印刷品質15a7は、例えば、印刷を行う解像度や、フォト用印刷及びグラフィック用印刷等の色調等のデータである。
なお、ユーザー情報15aの内容は、図3に示す例に限られず、例えば、染料系インク及び顔料系インクの識別や、印刷物に要求される粒状性や色再現範囲の程度等の種々の条件としても良い。
【0036】
判定部16は、ユーザー情報受付部15が受け付けたユーザー情報15aに対応するLUT、即ち、プリンター識別15a2、用紙種類15a3及び印刷条件15a4の組合せに対応するLUTが、記憶部19のLUT識別情報19aに記憶されているか否かを判定する。判定部16により、ユーザー情報15aに対応するLUTがLUT識別情報19aに記憶されていないと判定された場合、LUT取得部17は、当該LUTをサーバー50から取得して記憶部19のLUT19bに記憶すると共に、取得したLUTの識別をLUT識別情報19aに登録する。
また、コンピューター30のユーザーは、ユーザーが現在使用しているプリンター40(第1の印刷装置)よりも後に販売されるプリンターであって、プリンター40と性能が同一又は類似しているプリンター(第2の印刷装置)、所謂「後継機」をユーザーが新規に購入した場合、改めてLUTを作成/取得する必要がなく、ユーザーの手間を省くことができる。
【0037】
LUT提供部18は、記憶部19のLUT識別情報19aに基づいて、LUT19bに記憶されているLUTの中から、ユーザー情報15aに対応するLUT(第1LUT)及び後継機のLUT(第2LUT)をユーザーに提供する。即ち、ユーザー情報15aに対応するLUT及び後継機のLUTをコンピューター30に送信する。記憶部19は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置であり、LUT識別情報19a、各種LUTが記憶されるLUT19b等が記憶されている。ここで、LUT19bには、一般的に様々なユーザーで用いられる用紙種類やインク種類等について、それぞれに対応した各種LUTが予め記憶されている。
【0038】
次に、本実施形態ではメーカーに設置されるサーバー50の機能構成について説明する。
図2に示すように、サーバー50は、制御部51、通信I/F52、表示部53、操作部54、ベンダー情報受付部55、LUT提供部56、記憶部57等を備えている。
【0039】
制御部51は、サーバー50における制御中枢であり、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、サーバー50内の各部及び各機構を制御する。通信I/F52は、ネットワークを介してサーバー10と相互にデータ通信を行う。表示部53は、液晶ディスプレイ等で構成されて情報を表示する。操作部54は、キーボードやマウス等で構成されてサーバー50への入力を受け付ける。
【0040】
ベンダー情報受付部55は、サーバー10からLUT取得の要求を受け付けると共に、サーバー10に関するベンダー情報55aを受け付ける。ベンダー情報55aの構成は、図3に示すユーザー情報15aにおけるユーザー識別15a1がベンダー識別に置き換わるだけで、他については同様の構成となる。なお、ベンダー識別は、サーバー10のベンダーを識別するベンダーコード等のデータである。
【0041】
LUT提供部56は、記憶部57のLUT識別情報57aに基づいて、LUT57bに記憶されているLUTの中から、ベンダー情報55aに対応するLUT及びベンダー情報55aに基づいて特定された後継機に対応するLUTをベンダーに提供する。即ち、ベンダー情報55aに対応するLUT及び後継機に対応するLUTをサーバー10に送信する。記憶部57は、例えばハードディスク等の大容量の記憶装置であり、LUT識別情報57a、各種LUTが記憶されるLUT57b等が記憶されている。ここで、LUT57bには、メーカーが対応する用紙種類やインク種類等について、それぞれに対応した各種LUTが全て記憶されている。
【0042】
<サーバー10における動作>
次に、サーバー10における動作について説明する。
図4は、サーバー10における動作を示すフローチャートである。
【0043】
最初に、サーバー10は、ユーザー情報受付部15がユーザーからユーザー情報15aを受け付けたか否か、即ち、コンピューター30からLUT取得の要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS10)。
ユーザー情報15aを受け付けた場合(ステップS10:YES)は、次のステップS20へ進む。他方、ユーザー情報15aを受け付けていない場合(ステップS10:NO)は、ユーザー情報15aを受け付けるまで待機する。
【0044】
ステップS20では、サーバー10は、判定部16により、ステップS10において受け付けたユーザー情報15aに対応するLUTが記憶部19のLUT19bに記憶されているか否か、即ち、ユーザー情報15aに対応するLUTが記憶部19のLUT識別情報19aに登録されているか否かを判定する。
ユーザー情報15aに対応するLUTがLUT19bに記憶されている場合(ステップS20:YES)は、ステップS21へ進む。他方、ユーザー情報15aに対応するLUTがLUT19bに記憶されていない場合(ステップS20:NO)は、ステップS30へ進み、LUT取得部17により、サーバー50からユーザー情報15aに対応するLUTを取得する。そして、取得したLUTをLUT19bに記憶すると共にLUT識別情報19aに登録し(ステップS40)、ステップS50へ進む。
【0045】
ステップS21では、サーバー10は、ユーザー情報15aに含まれるプリンター識別15a2に基づき後継機があるか否かを判定する。後継機がない場合(S21:NO)はステップS50へ進む。他方、後継機がある場合(S21:YES)はステップS22へ進む。
【0046】
ステップS22では、サーバー10は、判定部16により、後継機に対応するLUTが記憶部19のLUT19bに記憶されているか否か、即ち、後継機に対応するLUTが記憶部19のLUT識別情報19aに登録されているか否かを判定する。
後継機に対応するLUTがLUT19bに記憶されている場合(ステップS22:YES)は、ステップS50へ進む。他方、後継機に対応するLUTがLUT19bに記憶されていない場合(ステップS22:NO)は、ステップS30へ進み、LUT取得部17により、サーバー50から後継機に対応するLUTを取得する。そして、取得したLUTをLUT19bに記憶すると共にLUT識別情報19aに登録し(ステップS40)、ステップS50へ進む。
【0047】
図5は、図4のステップS30におけるサーバー50からLUTを取得する動作の詳細を示すフローチャートである。同図に示すように、サーバー10は、ユーザーから受け付けたユーザー情報15aのプリンター識別15a2又は/及びプリンター識別15a2により特定される後継機の情報、に基づいて、プリンター40又は/及びプリンター40の後継機が、オプション「有り」のプリンター、即ち、オプションを付加することが可能なプリンターであるか否かを判定する(ステップS31)。ここで、オプションの付加項目としては、例えば、測色器、ロール紙、インクカートリッジ交換ができるインクチェンジ等がある。
【0048】
オプション「有り」のプリンターである場合(ステップS31:YES)は、サーバー50から、LUT取得部17により、ユーザー情報15aの条件に加えて、オプションを付加する場合の条件に対応したLUT(プリンター40のLUT又は/及び後継機のLUT)を取得する(ステップS32)。他方、オプション「無し」のプリンターである場合(ステップS31:NO)は、ステップS33へ進む。
【0049】
ステップS33では、サーバー10は、サーバー50から、LUT取得部17により、オプションを付加しない場合の条件に対応したLUT(プリンター40のLUT又は/及び後継機のLUT)を取得する。つまり、プリンター40又は/及び後継機が、オプション「有り」のプリンターの場合は、オプションを付加する場合と付加しない場合との両方のLUTを取得する。一方、プリンター40又は/及び後継機が、オプション「無し」のプリンターの場合は、オプションを付加しない場合に対応したLUTのみを取得する。
なお、プリンター40又は/及び後継機が、複数のオプション項目を付加することが可能なプリンターの場合は、それぞれのオプション項目について、オプションを付加する場合と付加しない場合との両方のLUTを取得する。
【0050】
図4に戻って、ステップS50では、サーバー10は、LUT提供部18により、記憶部19のLUT19bに記憶されているLUTの中から、ユーザー情報15a又は/及び後継機、に対応するLUTをユーザーに提供する。そして、サーバー10は、ステップS10に戻り、次にユーザーからユーザー情報15aを受け付けるまで待機する。
【0051】
上述したように、コンピューター30のユーザーは、例えば、プリンター40で印刷する用紙種類を新規に追加したような場合、LUT取得の要求と共に新規の用紙種類の情報を含むユーザー情報をサーバー10に送信する。そして、サーバー10では、ユーザーからユーザー情報15aを受け付け、当該ユーザー情報15aに対応したLUTをユーザーに提供する。このとき、サーバー10に、ユーザー情報15aに対応したLUTが存在しない場合は、サーバー10がサーバー50から取得する。このように、ユーザーでは、必要とするLUTをコンピューター30において生成するのではなくサーバー10から取得する。これにより、コンピューター30では、サーバー10から取得したLUTを参照し、新規に追加した用紙種類において良好な色再現を容易に実現させることができる。
【0052】
また、コンピューター30のユーザーは、ユーザーが現在使用しているプリンター40よりも後に販売されるプリンターであって、プリンター40と性能が同一又は類似しているプリンター、所謂「後継機」をユーザーが新規に購入した場合、改めてLUTを作成/取得する必要がなく、ユーザーの手間を省くことができる。
【0053】
また、サーバー10では、ユーザーのプリンター40又は/及び後継機が、オプションを付加することが可能なプリンターである場合、サーバー50から、オプションを付加する場合と付加しない場合との両方のLUTを取得する。これにより、ユーザーがプリンター40に対してオプションを新たに付加したような場合、ユーザーは、サーバー50を経由しないで直接サーバー10から、オプションを付加する場合に対応したLUTを短時間に取得することができる。
【0054】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態に係るLUT提供システムについて、図面を参照して説明する。
【0055】
第2実施形態に係るLUT提供システム100では、図1に示す概略構成を示す図、及び図4に示すフローチャート等がそのまま適用できるが、図2に示す機能構成を示すブロック図とは、一部の内容が異なっている。
【0056】
図6は、第2実施形態に係るLUT提供システム100等の機能構成を示すブロック図である。なお、図6に示す第2実施形態における機能構成を示すブロック図では、図2に示す第1実施形態における機能構成を示すブロック図と共通の構成については、同一符号を付してあり、以下異なる構成についてのみ説明する。
【0057】
図6に示す第2実施形態における機能構成を示すブロック図では、図2に示す第1実施形態における機能構成を示すブロック図に対して、サーバー10に編集部20が追加されている。更に、サーバー10の記憶部19には、ユーザー識別情報19cが追加されている。編集部20は、記憶部19のLUT19bに記憶されているLUTに対して、データ内容の編集を受け付ける。このとき、サーバー10に予め登録されているLUT、及びサーバー50から取得したLUTについては、一旦複写を行った後にデータ内容の編集を受け付ける。また、編集後のLUTについては、記憶部19のユーザー識別情報19cに、編集後のLUTを利用するユーザーの識別を登録する。
【0058】
上述したように、サーバー10において、予め登録されているLUT、及びサーバー50から取得したLUTはそのまま保存しておき、LUTのデータ内容の編集を行うことができる。これにより、ユーザー特有のニーズに応じたLUTをユーザーに提供することができる。また、当該LUTをユーザーに対応付けて管理することができる。
【0059】
(変形例)
上述した実施形態では、ユーザーのコンピューター30、サーバー10、及びサーバー50のそれぞれについて、ネットワークを介して各種のデータを授受する構成とした。しかし、ネットワークに限られず、例えば、CD−RW、USBメモリー、SDカード等の可搬型記憶媒体を介して各種のデータを授受する構成としても良い。
【0060】
また、上述した実施形態では、サーバー10が、コンピューター30からネットワークを介してLUT取得の要求及びユーザー情報15aを受け付ける構成とした。しかし、これに限られず、コンピューター30から受け付けるのではなく、サーバー10の操作部14を介して、LUT取得の要求及びユーザー情報15aを受け付ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0061】
10,50…サーバー、11,31,41,51…制御部、12,32,42,52…通信I/F、13,33,53…表示部、14,34,54…操作部、15…ユーザー情報受付部、15a…ユーザー情報、15a1…ユーザー識別、15a2…プリンター識別、15a3…用紙種類、15a4…印刷条件、15a5…インク種類、15a6…インク乾燥時間、15a7…印刷品質、16…判定部、17…LUT取得部、18…LUT提供部、19…記憶部、19a…LUT識別情報、19b…LUT、19c…ユーザー識別情報、20…編集部、30…コンピューター、35…アプリケーション、36…プリンタードライバー、37…LUT取得部、38…記憶部、38a…画像データ、38b…LUT、40…プリンター、43…操作パネル、44…印刷ヘッド、45…ヘッド駆動部、46…キャリッジ機構、47…紙送り機構、48a〜48j…インクカートリッジ、55…ベンダー情報受付部、55a…ベンダー情報、56…LUT提供部、57…記憶部、57a…LUT識別情報、57b…LUT、100…LUT提供システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の印刷装置で印字するのに用いられる第1色変換ルックアップテーブルと、前記第1の印刷装置の後継機である第2の印刷装置で印字するのに用いられる第2色変換ルックアップテーブルと、をユーザーに提供する第1の提供装置と、
前記第1の提供装置に前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供する第2の提供装置と、を含む色変換ルックアップテーブル提供システムであって、
前記第1の提供装置は、
前記第1の印刷装置の識別を示す印刷装置情報と、印刷媒体の種類を示す印刷媒体情報と、前記第1の印刷装置における印刷条件を示す印刷条件情報と、を含むユーザー情報を前記ユーザーから受け付けるユーザー情報受付部と、
前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを前記第2の提供装置から取得する色変換ルックアップテーブル取得部と、
前記取得した第1及び第2色変換ルックアップテーブルを記憶する記憶部と、
前記ユーザー情報に対応する前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルが前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記ユーザー情報に対応する前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを前記ユーザーに提供する色変換ルックアップテーブル提供部と、を有し、
前記色変換ルックアップテーブル提供部は、
前記判定部により、前記第1色変換ルックアップテーブルが記憶されていると判定され且つ前記第2の印刷装置が存在し、且つ前記第2色変換ルックアップテーブルが記憶されていると判定されたときに、当該記憶されている第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供し、
前記判定部により、前記第1色変換ルックアップテーブルが記憶されておらず、且つ前記第2の印刷装置が存在し、且つ前記第2色変換テーブルが記憶されていないと判定されたときに、前記色変換ルックアップテーブル取得部により、前記ユーザー情報に対応する前記第1及び第2色変換ルックアップテーブルを取得し、当該取得した第1及び第2色変換ルックアップテーブルを提供することを特徴とする色変換ルックアップテーブル提供システム。
【請求項2】
前記第1又は/及び第2の印刷装置がオプションを有する場合に、
前記ルックアップテーブル取得部は、前記オプションが指定されたときに対応する前記第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルと、前記オプションが指定されていないときに対応する前記第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルと、を取得することを特徴とする請求項1に記載の色変換ルックアップテーブル提供システム。
【請求項3】
前記第1の提供装置は、前記記憶されている第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルを編集する編集部を更に有し、
前記編集部は、前記記憶されている第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルを複写した後に、前記第1又は/及び第2色変換ルックアップテーブルを編集することを特徴とする請求項1又は2に記載の色変換ルックアップテーブル提供システム。
【請求項4】
前記ユーザー情報における前記印刷条件情報は、前記第1又は/及び第2の印刷装置が使用可能なインクの乾燥時間を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の色変換ルックアップテーブル提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101452(P2013−101452A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244221(P2011−244221)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】