説明

芝刈機

【課題】 コレクタのダンプ操作と、このコレクタの収容位置のロック解除操作を各別に操作する形態は、構成・操作共に煩雑である。
【解決手段】 コレクタ9をコレクタ回動軸24周りに回動する回動操作レバー30と、ロックフック48とロックピン50とを備え該コレクタ9のコレクタ回動軸24周りの回動を規制し又は解除するロック機構40とを設け、回動操作レバー30を長手方向に操作可能に設け、ロック機構40は、コレクタ9が前記作業位置にあるときに回動操作レバー30の引き上げ操作によってロックピン50がロックフック48から離脱可能なロック解除位置に切替わりとし、次いで回動操作レバー30を回動操作しコレクタを回動すると、ロックフック48はロック待機状態に切り替わり、コレクタ9の作業位置への復帰作動によりこのロックフック48にロックピン50が係合してロック状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、モーアによって刈取られた芝草を収容するコレクタを、回動操作して排出する芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
コレクタの作業位置のロックを解除するためのロック解除レバーと、このコレクタを回動操作する操作レバーを設ける技術が特許文献1に記載されている。
また、一本の操作レバーでコレクタの作業位置のロックの入り切りと、コレクタを回動操作を行なう技術が特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−6207号公報
【特許文献2】特許第4193938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、コレクタの回動操作と、このコレクタの収容位置のロック解除操作を各別に操作する形態は、構成、及び操作共に煩雑である。
特許文献2においては、ロックの入り切りの操作とコレクタの回動操作を同じ方向で連続した操作を行なうため、ロックの入り切りの操作とコレクタの回動操作との区別がつき難く誤操作する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、モーア1と、車体2の後部に設けるコレクタ回動軸24と、該コレクタ回動軸24周りに回動して芝草を受け入れる作業位置と芝草を機外に排出する排出位置に姿勢変更可能なコレクタ9と、該コレクタ9を前記コレクタ回動軸24周りに回動する回動操作レバー30と、該コレクタ9のコレクタ回動軸24周りの回動を規制し又は解除するロックフック48とロックピン50を備えたロック機構40とを設けた芝刈機において、回動操作レバー30を長手方向に操作可能に設け、前記ロック機構40は、コレクタ9が前記作業位置にあるときに回動操作レバー30をレバー長手方向の引き上げ操作によってロックピン50がロックフック48から離脱可能なロック解除位置に切替わる構成とし、かつ、コレクタ9を回動操作レバー30によりコレクタ回動軸24周りに回動操作すると、前記ロック機構40のロックフック48はロック待機状態に切り替わり、コレクタ9の作業位置への復帰作動によりロック待機状態のロックフック48にロックピン50を係合してロック状態とする構成としたことを特徴とする芝刈機とする。
【0006】
車体2に装着されたコレクタ9は、モーア1によって刈取られる芝草の搬送を受けて収容する。このコレクタ9を作業位置から排出位置に回動操作するときは、回動操作レバー30をレバー長手方向に引き上げ操作することによって、ロック機構40を作動して、このコレクタ9の作業位置のロックを解除して、コレクタ9をコレクタ回動軸24周りに回動操作可能の状態とする。
【0007】
そして、回動操作レバー30を引き上げた状態で回動操作することによって、このコレクタ9をコレクタ回動軸24周りに回動して収容芝草を刈取跡地面等に排出することができる。
【0008】
上記の回動操作レバー30の回動操作によってロック機構40のロックフック48はロック待機状態に切り替わり、コレクタ9の作業位置への復帰作動によってロックピン50を係合してロック状態とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記回動操作レバー30に突出部32を設け、ロック機構40は、車体2側のフック軸47周りに上下回動自在のロックフック48と、該ロックフック48に係合または離脱するコレクタ9側のロックピン50と、下端を前記ロックフック48に連携したリンクロッド59と、該リンクロッド59の上端と連携し車体2側の支持軸41周りに上下揺動する揺動アーム51とを備え、前記揺動アーム51を、支持軸41に装着された揺動アーム本体51aと、前記回動操作レバー30の長手方向の引き上げ操作によって前記突出部32と係合し、前記回動操作レバー30のコレクタ9の回動操作により前記突出部32から離脱する係合レバー51bとにより構成し、該揺動アーム51を支持軸41周りに下方回動側に付勢する復帰スプリング54を設けた請求項1に記載の芝刈機とする。
【0010】
回動操作レバー30の引き上げ操作によって、回動操作レバー30の突出部32は揺動アーム51のうち係合レバー51bを係合して揺動アーム本体51aと一体的に支持軸41周りに揺動しその作動はリンクロッド59を介してロックフック48を連動し、ロック解除位置に移動させる。これによってコレクタ9のロックを解除してコレクタ9の回動動作を可能にする。
【0011】
また、回動操作レバー30の前側への回動操作によって突出部32が係合レバー51bから離脱し、このため復帰スプリング54の付勢力で揺動アーム51、リンクロッド59を介してロックフック48をロック待機状態とする。そしてコレクタ9の作業位置側への復帰によってロックピン50が接近しロックフック48に当接すると、ロックフック48を復帰スプリング54に抗して退避動させながら進入し、このロックフック48に係合しロック状態とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記係合レバー51bは所定間隔L離れて前記回動操作レバー30のレバー杆部30aの進入を許容する開口部Aを後端側に形成し、更に該係合レバー51bを支持軸41に連結する揺動アーム本体51a側に対して上下動可能でかつ復帰スプリング54により後端側が上向くよう付勢して設けた請求項2に記載の芝刈機とする。
【0013】
係合レバー51bの開口部Aからレバー杆部30aを進入させた状態で引き上げることにより突出部32で該係合レバー51bを引き上げることができ、揺動アーム51を支持軸41周りに回動させる。次いで回動操作レバー30を回動操作すると、開口部Aからレバー杆部30aは出て突出部32は係合レバー51bから離脱し、揺動アーム51は復帰スプリング54の付勢作用で復帰動しロックフック48をロック待機状態とする。
【0014】
回動操作レバー30でコレクタ9を作業位置に戻すため回動操作するとき、回動操作レバー30を長手上方に過剰な引き上げ状態で戻し回動する場合があり、このようなときには突出部32が係合レバー51bの上側に位置するが、回動操作レバー30を押し下げ操作すると復帰スプリング54に抗して係合レバー51b部が揺動アーム本体51aに対して屈曲状態に退避し、回動操作レバー30を初期位置に収納状態とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は、回動操作レバー30のレバー長手方向の引き上げ操作によって、ロック機構40を介してコレクタ9のロック状態を解除することができ、このロック解除状態で回動操作レバー30を把持したままで回動操作するため、レバー操作の持替えをなくして、単一の回動操作レバー30を把持したままでロック解除と回動操作することができ、回動操作を簡単、迅速に行うことができる。また、ロック解除のための操作とコレクタ9の回動操作の操作方向を別方向にすることで、芝刈作業中に誤ってロック解除されることを防止することができる。
【0016】
また、コレクタ9の排出位置側に向けて回動操作レバー30を回動操作するとロック機構40のロックフック48がロック待機状態に切り替わり、コレクタ9の作業位置への復帰作動によりロック待機状態のロックフック48にロックピン50を係合してロック状態とするものであるから、ロックの掛け忘れを防止できる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の効果を奏する上、回動操作レバー30の引き上げ操作によって、回動操作レバー30に形成した突出部32が、係合レバー51bを係合して揺動アーム本体51aと一体的に支持軸41周りに揺動し、その作動はリンクロッド59を介してロックフック48を連動し、ロック解除位置に移動させるものであるから、コレクタ9のロックを簡単な構成で確実に解除してコレクタ9の回動動作を可能とするものである。
【0018】
また、回動操作レバー30の前側への回動操作によって突出部32が係合レバー51bから離脱し、このため復帰スプリング54の付勢によって揺動アーム51及びリンクロッド59を介してロックフック48をロック待機状態とし、コレクタ9の作業位置側への復帰によってロックピン50を受けて係合しロック状態とすることができ、このロックフック48のロック作動や、ロック待機状態への切替え作動、ロック解除作動等を的確に行わせることができるとともに、構成を簡潔化することができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明の効果を奏する上、回動操作レバー30でコレクタ9を作業位置に戻すため回動操作するとき、回動操作レバー30を長手上方に過剰な引き上げ状態で戻し回動すると、突出部32が係合レバー51bの上側に位置してしまうが、回動操作レバー30を押し下げ操作すると復帰スプリング54に抗して係合レバー51b部が揺動アーム本体51aに対して屈曲状態に退避でき、確実に回動操作レバー30を初期位置に収納状態に戻すことができる。復帰スプリング54は揺動アーム51を復帰動作する付勢力と揺動アーム本体51aに対する係合レバー51bの位置決め用の付勢力を備えることができ、単一のスプリングで複数の作用を行なうため構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】芝刈機の全体側面図
【図2】コレクタの作業状態を示す側面図
【図3】コレクタの排出状態を示す側面図
【図4】ロック機構の一部の平面図(A)、及び側面図(B)
【図5】ロック機構の一部の作用を示す側面図
【図6】ロック機構の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面に基づいて、この発明の実施の形態を芝を刈り取る芝刈機に基づいて説明する。
この実施例で前後方向とはモーア1を装着した芝刈機の車体2の進行方向を指し、左右方向とは該車体2の正面側から見た方向を指す。
【0022】
モーアデッキ3を芝刈機車体2の腹部に装着したミッドモーアの形態とし、このモーアデッキ3の中央後側に集草口5を形成している。集草口5は、左右の後輪6,6間のダクト7を経て、車体2後端部のリヤフレーム8に取付けるコレクタ9に連通する。
【0023】
車体2は、前輪10,10と後輪6,6、前輪10,10を操舵するハンドル11、運転席12、エンジン13、フロア14等を備える。フロア14の下側には前後方向にわたって該エンジン13の動力を取り出す動力取出軸15を設ける。動力取出軸15の動力は伝動ベルト16を介してモーア1の入力軸17に伝動し、該入力軸17からモーアデッキ3の左右両側部に設けるブレード軸18,18に伝動してブレード19,19が縦軸周りで互いに逆回転して芝草の刈取を行う。
【0024】
前記動力取出軸15の後部には走行伝動軸20を連結し、伝動ケース21、油圧式の無段変速装置(HST)22を経て前記後輪6,6を駆動する構成である。
前記車体2の後端部のリヤフレーム8に、取付ブラケット23を介してコレクタ9を装着する。この取付ブラケット11はコレクタ9の回動軸となる水平方向軸芯のコレクタ回動軸24を支持する構成である。
【0025】
上記コレクタ回動軸24の周りには該回動軸24の回動と共に一体的に回動する回動プレート25を設けている。
コレクタ9は、上下前後左右に箱形状に形成するネットフレーム26の上下面及び左右面と後面を通風性ネットNで囲われている。なお、コレクタ9の前面は通風性ネットNで覆わず開放部Gを形成し、前記リヤフレーム8の後面に対応させている。そして、開放部Gは、リヤフレーム8に接続させたダクト17の終端のダクト開口部と連通する構成としている。
【0026】
前記モーア1のブレード19,19の回転で芝を刈り取ると共に、送風を発生させ、刈り取った芝草をダクト7内を通過して終端のダクト開口部、及びコレクタ9の開放部Gからコレクタ9内に排出して収容する。そして、芝草を搬送した送風は通風性ネットNから排風させる。
【0027】
コレクタ9の左右一側の前部にコレクタ9の回動操作をする回動操作レバー30を設ける。該回動操作レバー30は、コレクタ9が刈り取られた芝草を受け入れ収容する作業位置にあるときは縦長姿勢となって、前記回動プレート25に形成する上下一対のレバー支持体31,31に形成する貫通穴に支持され、回動操作レバー30を長手方向にスライド自在に構成している。そして、作業者が回動操作レバー30を操作するときには回動操作レバー30の上部を把持して前方に回動操作する。回動操作レバー30の下部に、レバー長手方向と交差する方向に突出する突出部、即ち図示例ではレバー径より大きい径の係合リング32を形成する。
【0028】
前記回動操作レバー30の下部側と前記リヤフレーム8との間には、コレクタ回動軸24周りの回動を規制し又は解除するロック機構40を構成する。
更にロック機構40の構成について以下詳述する。
【0029】
リヤフレーム8の左右一側には、後述する支持軸41を突設するブラケット42を設け、このブラケット42の外側面に、フックプレート43を前後回動可能に支持軸としての締付ボルト44で支持している。なおこのフックプレート43に形成する長穴45に調整ボルト46を挿通して、前記ブラケット42に対してフックプレート43の前後角度を調整して固定する構成としている。
【0030】
そして、このフックプレート43の下端部にロックフック48を上下回動自在にフック軸47によって支持する構成とし、該ロックフック48が前記コレクタ9のネットフレーム26の下部前方に設けられたロックピン50に引っ掛けることにより、コレクタ9がコレクタ回動軸24周り回動することを規制(ロック)する構成である。
【0031】
ブラケット42の上端部には支持軸41周りに上下回動可能の揺動アーム51を設けている。該揺動アーム51は、支持軸41に直接装着される揺動アーム本体51aと、この揺動アーム本体51aの後端部に連結される左右一対の係合レバー51bとからなり、該係合レバー51bをレバーピン53周りに上下回動自在に設け、前記ブラケット42と係合レバー51bの前側とを連結する復帰スプリング54によって、係合レバー51bは後端側が上方に付勢される構成とし、揺動アーム本体51aに係合レバー51bの前側下縁部が当接するストッパー55を設けており、該ストッパー55に当接する状態で揺動アーム本体51aと係合レバー51bとが一体的に前記支持軸41周りに下側に引っ張られる構成としている。
【0032】
前記係合レバー51bは、回動操作レバー3の係合リング32より上の位置に、回動操作レバー30の左右両脇を平面視で挟む姿勢に位置するとき、回動操作レバー30を引き上げて突出部としての係合リング32を係合すると、前記のように復帰スプリング54とストッパー55とで一体化された揺動アーム本体51aと係合レバー51bとは支持軸41周りに上方に回動する構成としている。
【0033】
前記揺動アーム51とロックフック48とは、揺動アーム本体51a側の連結ピン56と、ロックフック48側の連結ピン49とに夫々回動自在に連結された連結ボス57,58間をリンクロッド59で連結する。そして、揺動アーム51の支持軸41周りの上下回動によってロックフック48を上下回動して、このロックフック48をコレクタ9のネットフレーム26側に形成するロックピン50に係合、離脱する構成としている。
【0034】
すなわち、ロック機構40は、係合レバー51bと揺動アーム本体51aとからなる揺動アーム51と、リンクロッド59、ロックフック48を連結して構成し、ロックフック48によるロックピン50のロック及びロック解除をすることで、コレクタ2の回動の規制又はその規制の解除をする構成である。
【0035】
次に、コレクタ9の動作の概要について説明する。
作業者が回動操作レバー30の上部を把持して該回動操作レバー30のスライド下端側とする初期位置から上方に引き上げ操作を行なうとロック機構40が作動してコレクタ9の作業位置姿勢のロックを解除して、コレクタ9を回動操作可能な状態とする。次いで、回動操作レバー30を引き上げた状態で回動操作レバー30への上部を前側に向かって回動操作することによって、このコレクタ9が排出位置姿勢に回動して収容芝草を刈取跡地面等に回動排出することができる。この回動後のコレクタ9が作業位置姿勢へ復帰回動されると、ロック機構40によって自動的にロックされる。そして、作業者が回動操作レバー30を離すと回動操作レバー30をスライドさせて前記初期位置に戻る。
【0036】
次に、コレクタ9の動作に伴うロック機構40の動作の詳細について説明する。
ロックピン50に係合されているロックフック48の係合を外してコレクタ9を回動させるときは、回動操作レバー30を初期位置からレバー支持体31,31に沿って上方へ引き上げる(図3の矢印P方向)。すると、下端部の係合リング32が係合レバー51bの後部下端に当接し、該係合レバー51bを共に上方へ引き上げる。このため揺動レバー51は係合レバー51bと一体に支持軸41回りに上方に回動し、それに伴いリンクロッド59も上側に移動する。するとロックフック48がフック軸47周りに上側に回動して、ロックピン50との係合を外して、ロック解除することができ、コレクタ9はコレクタ支持軸24周りに回動可能の状態となる。
【0037】
次いで、作業者が把持している回動操作レバー30の上部を前側へ回動操作すると(図3矢印Q方向)、コレクタ9はコレクタ回動軸24周りに回動する。このとき、このコレクタ9の前側の開放部Gを地面と対向する位置まで回動すると、コレクタ2内に収容される芝草を排出できる。
【0038】
なお、前述の回動操作レバー3を前側に回動操作すると、回動操作レバー30は係合リング32を連れて移動するものであるが、一方前記係合レバー51bは左右一対に構成されて回動操作レバー30のレバー軸がその対向する係合レバー51bの解放部からの退避動作を許容し、係合リング(突出部)32は係合レバー5から外れる。上記の係合リング(突出部)32が係合レバー51bから脱すると直ちに、係合レバー51bと揺動アーム本体51aとは支持軸41周りに復帰スプリング54の作用で下側に回動し、それに伴いリンクロッド59が下側に引かれ、ロックフック48がロック位置に戻る待機状態となる。
【0039】
コレクタ2を排出位置の姿勢から作業位置の姿勢に復帰させるときは、回動操作レバー30の上部を後側へ回動動作する(図3逆矢印Q方向)。コレクタ9はコレクタ回動軸24周りに回動し、コレクタ9が作業位置まで回動すると、前記待機状態においてロック位置で待機しているロックフック48がロック解除方向に退避動作しながらロックピン50を受け入れて係合ロック状態とする。そして、作業者が回動操作レバー30を押し下げると、回動操作レバー30は下方へスライドして初期位置に戻る。
【0040】
ところで、回動操作レバー30の戻し回動操作によって該レバー30のレバー杆部30aは前記係合レバー51bの解放部から進入しうるものであるが、該レバー30の引き上げ距離が大きくてレバー30を戻し回動操作しても係合リング(突出部)32が係合レバー51b位置よりも高い位置にあるときは、係合レバー51bの上側に係合リング(突出部)32が位置することとなり、係合レバー51bが揺動アーム本体51aと一体に構成される場合には、支持軸41周りの下方回動が規制されて回動操作レバー30が下方に移動できなくなる恐れがある。しかしながら、図5に示すように、係合レバー51bは揺動アーム本体51aに対してレバーピン53により互いに屈曲できる構成としているため、強制的に回動操作レバー30をX位置から下方にスライド操作することにより(Y、Z位置)、係合レバー51bは係合リング(突出部)32に押されて上記レバーピン53周りに下方に回動して退避し、回動操作レバー30は初期位置に復帰することができ、かつ該初期位置に復帰途中でレバー杆部30aは係合レバー51bの解放部から進入する状態にセットされる。
【0041】
なお符号60は前記揺動アーム51の一定以上の下方回動を規制するストッパー、61は係合レバー51bの並行姿勢を維持する固定ピンである。
図2,3において、前記ブラケット42と回動プレート25とをダンパー65で連結している。
【0042】
ダンパー65の両端はそれぞれブラケット42に形成するピン66と、ブラケット42に形成するピン67に取り付けられている構成としている。該ダンパー65はコレクタ9の回動動作に伴い伸縮する構成で、コレクタ9が作業位置にあるときに最も縮まり、コレクタ9を回動して排出位置にするときには伸長して回動操作レバー30の回動動作を補助する構成としている。また、前記フックプレート43を、ボルト46を緩めることによって長穴45領域で前後に回動調節することによって、コレクタ9のロックピン50に対する最適係合フック位置を調整することができる。
【0043】
以上のように、ロック機構40は、回動操作レバー30の引き上げ操作によって係合される係合レバー51b、該係合レバー51bの上下動に連動して揺動する揺動アーム本体51a、この揺動アーム本体51aによって連動するリンクロッド48、該リンクロッド59を介するリンク連動でコレクタ9のロックピン50に回動係合するロックフック48、復帰用スプリング54等によって構成する。そして、回動操作レバー30の引き上げによって係合レバー51bと揺動アーム本体51aを一体として支持軸41周りに揺動させ、リンクロッド59を引き上げてロックフック48をロック解除位置に回動する。
【0044】
回動操作レバー30の回動操作により、係合リング(突出部)40が係合レバー51bから離脱すると、揺動アーム本体51aやリンクロッド59やロックフック48を復帰スプリング54によってロック解除位置からロック位置に復帰させる。そして、この回動操作レバー30の回動操作によって、排出位置に回動されたコレクタ9が、作業位置に復帰操作されると、このロック位置に待機していたロックフック48が、コレクタ9のロックピン50を係合して、コレクタ9を作業位置の姿勢でロックするものである。
【0045】
本実施例では、回動操作レバー30に設ける突出部として、係合リング32を示したが、ピン部材を貫通させて設けるなど他の形態でもよい。
また、本実施例では、復帰スプリング54の上端を係合レバー51bに連結して、揺動アーム51を支持軸41周りに下方に回動付勢する作用と、かつ係合レバー51bが揺動アーム本体51aに対して上下揺動可能になしストッパー55の範囲で後端側が上方向くように付勢する作用とを兼用させたため単一の復帰スプリング54を設ければよく構成を簡素化できるものであるが、復帰スプリングを揺動アーム51に連結する一方、ロックフック48のロック側付勢用のスプリングを別途設ける構成でもよい。また、揺動アーム51への連結は揺動アーム本体51a、係合レバー51bのいずれでもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 モーア
2 車体
3 モーアデッキ
24 コレクタ回動軸
30 回動操作レバー
32 係合リング(突出部)
40 ロック機構
48 ロックフック
50 ロックピン
51 揺動アーム
51a 揺動アーム本体
51b 係合レバー
59 リンクロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーア(1)と、車体(2)の後部に設けるコレクタ回動軸(24)と、該コレクタ回動軸(24)周りに回動して芝草を受け入れる作業位置と芝草を機外に排出する排出位置に姿勢変更可能なコレクタ(9)と、該コレクタ(9)を前記コレクタ回動軸(24)周りに回動する回動操作レバー(30)と、該コレクタ(9)のコレクタ回動軸(24)周りの回動を規制し又は解除するロックフック(48)とロックピン(50)を備えたロック機構(40)とを設けた芝刈機において、回動操作レバー(30)を長手方向に操作可能に設け、前記ロック機構(40)は、コレクタ(9)が前記作業位置にあるときに回動操作レバー(30)をレバー長手方向の引き上げ操作によってロックピン(50)がロックフック(48)から離脱可能なロック解除位置に切替わる構成とし、かつ、コレクタ(9)を回動操作レバー(30)によりコレクタ回動軸(24)周りに回動操作すると、前記ロック機構(40)のロックフック(48)はロック待機状態に切り替わり、コレクタ(9)の作業位置への復帰作動によりロック待機状態のロックフック(48)にロックピン(50)を係合してロック状態とする構成としたことを特徴とする芝刈機。
【請求項2】
前記回動操作レバー(30)に突出部(32)を設け、ロック機構(40)は、車体(2)側のフック軸(47)周りに上下回動自在のロックフック(48)と、該ロックフック(48)に係合または離脱するコレクタ(9)側のロックピン(50)と、下端を前記ロックフック(48)に連携したリンクロッド(59)と、該リンクロッド(59)の上端と連携し車体2側の支持軸(41)周りに上下揺動する揺動アーム(51)とを備え、前記揺動アーム(51)を、支持軸(41)に装着された揺動アーム本体(51a)と、前記回動操作レバー(30)の長手方向の引き上げ操作によって前記突出部(32)と係合し、前記回動操作レバー(30)のコレクタ(9)の回動操作により前記突出部(32)から離脱する係合レバー(51b)とにより構成し、該揺動アーム(51)を支持軸(41)周りに下方回動側に付勢する復帰スプリング(54)を設けた請求項1に記載の芝刈機。
【請求項3】
前記係合レバー(51b)は所定間隔(L)離れて前記回動操作レバー(30)のレバー杆部(30a)の進入を許容する開口部(A)を後端側に形成し、更に該係合レバー(51b)を支持軸(41)に連結する揺動アーム本体(51a)側に対して上下動可能でかつ復帰スプリング(54)により後端側が上向くよう付勢して設けた請求項2に記載の芝刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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