説明

花びん及びその作製用ブランク

耐水性のボール紙様材料製の花びんである。ブランクに適切な折り目を設けると、花びんが得られる。前記花びんは、接着剤又は密閉技術を用いることなく耐水性を有する。具体的には、前記花びんの中に花束をしっかりと差し込んで収容するために、花びんの中央に弾性材料のフラップが存在するように、この折り構造を設計することを提案する。内側に向かって折るため、本花びんの外側は頑丈になる。必要に応じ、花束を保持するための内側への移動効果を強化するように、ひも等の持運び用の取っ手を設けることができる。このような花びんは、所望の任意のプリントを施し、所望の任意の寸法にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による花びんに関する。
【背景技術】
【0002】
このような花びんが、特開平7−277317により知られている。かかる文献は、単一ブランク片を折って作る花びんについて記載している。用いる材料は、片側が積層された段ボール紙である。
【0003】
このように、適切な折り目を設けることにより、単一のブランクから、単一の操作で花びんを提供することができる。さらに、前記ブランクを折った後/折っている間も、花びんを平らな状態にすることが可能であり、この状態でスペースを節約して運搬することができる。
【0004】
ブランクを折って作る場合に、材料が「余る」という問題がある。前記日本出願の公報においては、実質的に正方形の花びんが提供され、余った材料は1つの側面の外側上に水平方向に折り曲げられ、ホチキス針等の固定手段により、前記側面に固定され、持運び用の取っ手になる。
【0005】
この折り曲げた材料が花びんから突出していることにより、この花びんは、特定の側から見ると洗練されていない。
【0006】
さらに、このような花びんの不都合な点は、その中に配置した花が、見栄え良く花びん表面の上方に均等に分散しないことである。この公報の図面から明らかなように、花は常に一方向に移動する傾向がある。
【0007】
米国特許第5,005,760号公報により、平坦な部分を折ってなる花びんが知られている。折られた部分が、長方形の底から伸長する側壁を形成しており、ひもにより蛇腹のように押したたむことができる。前記ひもを長くすることにより、折りたたんだ蛇腹様部分を広げると、花びんを得ることができる。
【0008】
このような花びんは、前記の折りたたんだ状態でスペースをとるため、販売店に効率的に供給することができない。その一方、ブランクの折り方が非常に複雑なので、花用に販売店側で作製するのも容易ではない。
【0009】
本発明の目的は、これらの不利点を回避することである。
【特許文献1】特開平7−277317号公報
【特許文献2】米国特許第5,005,760号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1の特徴を有する花びんを用いて実現される。底部を折れるようにすることにより、予め折られた状態且つ特にコンパクトな状態で本花びんを販売店に供給することが可能であり、折りたたまれたものを単に広げるだけで、花びんを作製するに十分である。
【0011】
本発明によれば、「余分な」材料が内側に向かって延在するように材料を折る。したがって「余分な」材料は花びんのユーザーの目に触れない。さらにこれにより、できる限り常に花びんの中心の周囲に花束を配置して運ぶことが可能になる。
【0012】
本発明の有利な実施形態によれば、末端壁フラップ(end wall flaps)が、花びんの底部から最上部にかけて、花びんの中心に向かって徐々に細くなっていると、かかる効果がさらに助長される。このようにすれば、花びんの最上部付近で花束がしっかりと保持される。前記末端壁フラップ内には折り目が設けられているため、この係合には弾性がある。
【0013】
前記補助側壁部にさらなる折り目を設け、補助側壁部を各々2つのサブ側壁部に分割することにより、この効果はさらに助長される。これにより、花びんの外側限界(outer limitation)から花びんの内部へと伸長する蛇腹様構造(concertina-like structure)が生じる。
【0014】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、主要側壁部を除き、花びんの外側限界は、末端壁部の第1部分により形成される。より具体的には、前記第1部分は、最上端付近で接着剤又はホチキスにより互いに固定される。これらの固定点の存在により、折りたたまれた運搬状態から最終製品の状態(final end position)へと開くことが一層容易になる。これらの固定点において、様々な壁部分は互いに対して枢動可能である。
【0015】
さらに、前記末端壁部の第1部分に取っ手用の固定手段を設ける。一例としては開孔を設け、そこに持運び用のひもを通すことができる。これにより、前記第1部分がさらに互いに近づく動作が助長される。
【0016】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、前記底部は実質的に長方形に、より具体的には正方形に具体化され、末端壁部付近に三角形部分が常に存在する。これら三角形部分は好ましくは、花びんが折られた状態で底部からわずかに外側に向かって延在し、さらなる有利な実施形態によれば、末端壁部の第1部分と同一の面に存在する。
【0017】
前記サブ側壁部の限界を定める上記のさらなる折り目が、主要側壁及び末端壁との間に設けられた2つのサブ側壁部の限界を定める折り目から伸長している。しかしより具体的にはこれらの折り目は、関連する底部頂点から距離aを置いた場所に伸長する。
【0018】
最初に上記花びんを折った後、主要な折り目に沿って底の部分を折ることにより、平坦な状態にすることができる。押し出すと、安定した状態が生じて安定した花びんができる。この安定した状態は当然、花びんの中にある花、及び花びんに入っていると考えられる水の重量により助長される。
【0019】
本発明はまた、折ることにより上記の花びんが作製できるブランクに関する。
【0020】
以下に、図面に示す具体的な実施例を参照し、より詳細に本発明を説明する。
【0021】
図1は、花束22用の花びん1を示す。花束の代わりに苗等を本花びんで運搬することもできると理解される。花びん1は、開孔21を通して配置した、ひもを意図した持運び用の取っ手10を備える。この持運び用の取っ手については、他の実施形態も考えられる。
【0022】
図1に示す花びん1は、図6に図示するブランク2を折ることにより得られる。前記ブランクは、任意の材料を含むことができるが、好ましくはプラスチック膜の耐水層を備えた紙又はボール紙様の材料からなる。しかし、硬いプラスチック製の材料等から作製することも可能である。
【0023】
図6を参照し、本花びんの様々な部分について論じる。
【0024】
本花びんは、実質的に長方形、さらにより具体的には正方形として具体化された底部3を有する。
【0025】
前記底部に、2つの主要側壁部4が隣接する。三角形部分18は常に、別の側に隣接して設けられる。前記底部の頂点は20で示す。
【0026】
本花びんの末端壁部を6で示す。各々の末端壁部6は、主要な折り目16により2つの末端壁フラップ11及び12に分割される。
【0027】
末端壁部6と主要側壁部4との間には、補助側壁部5が延在する。補助側壁部5は各々、折り目15によりサブ側壁部8及び9に分割される。図6から明らかなように、折り目15から伸長する折り目17が存在するが、かかる折り目17は頂点20から距離aを置いた場所に発端を有する。前記折り目17の終端は、本花びんの最上部付近(later top end)の切込み24である。この折り目17は、頂点20から伸長することも可能であると理解される。
【0028】
主要側壁部4と補助側壁部5との間には、折り目25がある。補助側壁部5と末端壁部6との境界は、折り目26が形成する。
【0029】
折り目17は、各々のサブ側壁部8又は9を第1部分13及び第2部分14に分割する。前記第1部分及び第2部分の両方に、開孔21を設け、第1部分13には、折り目27をさらに設ける。
【0030】
主要な折り目16は、底部3の全長に伸長し、三角形部分及び末端壁部6の全長にも伸長する。
【0031】
様々な壁部分を立てることにより、図6に示すブランクから花びんを得ることができる。これは、図1及び図2の花びんができるように実行する。これに関連し、主要側壁部4、直接隣接する第1部分13及び三角形部分18が、外側の限界を形成することが重要である。第1部分13は、対向する2つの主要側壁部4に常に隣接し、互いに対照に配置されている。折り目27に沿ってリップ28を折り、次にホチキス針30で第1部分13を互いに固定すると、安定的に固定することができる。ホチキス針の代わりに接着剤等のその他の連結方法を用いることもでき、例えばポリエチレン、又は紙とプラスチック材との積層材からブランクを作製してプラスチック膜を融接することもできる。さらに、開孔21にひもを通すことができる。この場合、第1部分13又は折り目17から花びんの内部へと、様々な部分が延在する。これらのさらなる部分は、サブ側壁部8の第2部分14によって形成される。前記サブ側壁部8の第2部分14とサブ側壁部9の第2部分14とが、折り目15を介して隣接する。サブ側壁部9の第2部分14にサブ側壁部9の第1部分13が隣接し、次いで末端壁部6が内側に折られた末端壁フラップ11がある。
【0032】
図1、3、及び4から明らかなように、末端壁フラップ11及び12の間の境界、即ち折り目16は、斜めに内側に向かって伸長するように配置される。同じことが、末端壁部6と補助側壁部5との間の折り目26にもいえる。これらのジグザグのフラップが互いに対向するように設計されているので、花束又はその他の物体を中に収容する長方形の開口29が生じる。この長方形の開口は、図3b又は図4bからそれぞれ明らかなように、容易に拡張することができる。これにより、花束を安定的に配置することができる。最上部から底部に伸長し、水が沈降(settle)しない特定の空洞も結果的に花びんになると理解されるべきである。このような空洞の例は、図2の空間53である。
【0033】
図6に図示するブランクから、暫定的な状態の本花びんを提供することが可能である。これは、底部3の全長に折り目16が伸長し、さらにホチキス針30の存在がそれを助長することによる。この状態を、図5a及びbに示す。この場合、本花びんは実質的に完全に折られているが、続いて又は速やかに、つぶした状態にするとその大きさが著しく小さくなる。この場合、第1部分13及びその後ろに位置する部分は、枢動によりホチキス針30の回りを周って内側に折られる。また底を2つにたたむことにより、特にコンパクトになる。したがってこのような方法で本花びんを販売店に卸すことができ、たたまれたものを広げる動作は一回で済み、かかる動作は非常に簡単でその方法は一つしかない。
【0034】
図1から明らかなように本花びんは、フラップ等が突出していない、外方向に広がった特に見栄えのよい外見を有する。
【0035】
有利な実施形態を参照して本発明を上記に説明したが、当業者であればその変形に想到することが明らかである。上記の折り目を別の方法で適用すること、及び/又は全く長方形に配置しないことも可能である。さらに、適切な状態に打抜くことにより、本花びんの最上部に波形又はその他の特別な特徴を備えることができる。これらの及びさらなる変更は、添付の特許請求の範囲に含まれる。さらに、請求項1と組み合わせない場合でも、後続の請求項の主題が保護されるよう明確に要求するものと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】折った状態の、本発明による花びんの斜視図を示す。
【図2】部分的に折り広げた、本発明による花びんを示す。
【図3a】花びんの内部の様々な配置の平面図を示す。
【図3b】花びんの内部の様々な配置の平面図を示す。
【図4a】花びんの内部の様々な配置の断面図を示す。
【図4b】花びんの内部の様々な配置の断面図を示す。
【図5a】運搬時の折りたたまれた状態の、本花びんの側方の斜視図を示す。
【図5b】図5aの状態の花びんの平面図を示す。
【図6】本発明による花びんを折って作製するためのブランクを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(3)と該底部から伸長する2つの対向する主要側壁部(4)とを備える折られたブランクを有する花びんであって、
各主要側壁部(4)に隣接して補助側壁部(5)が設けられ、
前記補助側壁部(5)が、末端壁部(6)に連結し、
前記末端壁部(6)又は主要側壁部(4)が、折り目(16)により末端壁フラップ(12)に分割され、
各補助側壁部(5)が、各補助側壁部を2つのサブ側壁部(8、9)に分割するための折り目(15)を有し、
前記花びんは、外側に向かう前記折り目(16)を有する前記末端壁部又は主要側壁部(4)が、前記花びん(1)の内部へと伸長するように折られ、
底部(3)が折り目(16)を有することを特徴とする花びん。
【請求項2】
折り目(16)が、末端フラップの折り目を備える、請求項1記載の花びん。
【請求項3】
末端壁フラップ(11、12)が、底部(3)から花びんの最上部にかけて、花びんの中心(19)に向かって徐々に細くなるように設けられている、請求項1又は2記載の花びん。
【請求項4】
補助側壁部がさらなる折り目(17、18)を備え、前記折り目が各々のサブ側壁部(8、9)を第1部分(13)及び第2部分(14)に分割する、請求項1〜3のいずれか記載の花びん。
【請求項5】
第1部分(13)により花びんの外側限界が形成される、請求項4記載の花びん。
【請求項6】
隣接する第1部分(13)が、それらの最上部付近で互いに連結されている、請求項4又は5記載の花びん。
【請求項7】
末端壁部付近に、底部(3)に接して三角形部分(18)が設けられ、前記三角形部分が前記底部(3)から外側に傾斜して延在する、請求項1〜6のいずれか記載の花びん。
【請求項8】
三角形部分(18)が、実質的に第1部分(13)と同一の面にある、請求項5及び7記載の花びん。
【請求項9】
−サブ側壁部(8)の第1部分(13)及び第2部分(14)と、
−隣接するサブ側壁部(9)の第2部分(14)及び第1部分(13)と、末端フラップ(11)とが、
ジグザクになって主要壁(4)から連続的に内側に延在するように設けられている、請求項1〜8のいずれか記載の花びん。
【請求項10】
底部(3)の隅部(20)から、(a)の距離を置いて、折り目(15)から伸長するさらなる折り目(17)を有する、請求項4と組み合わせた請求項1〜9のいずれか記載の花びん。
【請求項11】
第1及び第2部分が、取っ手用の固定手段(21)を備える、請求項1〜10のいずれか記載の花びん。
【請求項12】
末端壁部(16)が、弾性的に移動可能である、請求項1〜11のいずれか記載の花びん。
【請求項13】
底部(3)と該底部から伸長する2つの対向する主要側壁部(4)とを備える花びんを形成するためのブランクであって、前記主要側壁部(4)の各々と常に隣接する補助側壁部(5)があり、前記補助側壁部(5)が末端壁部(6)に連結し、前記末端壁部(6)が折り目(16)により末端壁フラップ(12)に分割され、前記補助側壁部(5)の各々が、各補助側壁部を2つのサブ側壁部(8、9)に分割するための折り目(15)を有し、前記底部(3)が、折り目(16)にしたがって互いを向くように折られる半分に分かれた底部を有するブランク。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか記載の花びんを作製するためのブランク。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2009−506865(P2009−506865A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529938(P2008−529938)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際出願番号】PCT/NL2006/050225
【国際公開番号】WO2007/061302
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508071434)
【氏名又は名称原語表記】DE COMMANDITAIRE VENNOOTSCHAP BIN 2004
【Fターム(参考)】