説明

花差し具

【課題】生活に潤いを与える生花は誰しもが好むものであるが、生花を花器に入れて維持するには毎日もしくは数日ごとに花器の水を入れ替えることが必要であり、こまめに水の取り換えができれば問題はないが、長く家を不在する場合には水の入れ替えができず、生花は水不足が原因となって枯れてしまうという問題があった。
【解決手段】アダプター的に花器16の花入れ口に差し込んで、花器を簡単に自動給水花器化する円筒容器構造の花差し具であって、円筒容器構造をした花差し具の上部外周面に沿って密着取り付けしたリング状の弾性体3によって、花器の花入れ口を閉塞し、花器内部に水と空気を閉じこめて密閉空間を形成し、当該空気と水を花差し具と連通させて、密閉空間内の空気と外気のバランスによって、生花を入れる花差し具内部の花入れ空間の水位が一定になるように、花器内部の水を自動給水する仕組みで花器の自動給水花器化に供する花差し具である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に花入れ口を持つ一般的な花器を自動給水花器化する花差し具に関する。
【背景技術】
【0002】
生花を花器に入れて維持するには、毎日もしくは、数日ごとに、花器の水を入れ替えることが従来から行われてきた。しかしながら、長く不在する場合には水の入れ替えが出来ず、生花は枯れてしまった。
この問題を解決するために、たとえば次の特許文献に示すように、花器の外部からサイホン作用で自動的に補水を適時用水内に補充する生花用の自動給水容器や、 花器に給水部を差し込んで、自動給水する献花用自動給水器がある。
ほかに、貯水タンクと花瓶を一体化して自動給水に利用する花筒自動給水装置や、花瓶の側周部を密閉二重構造にし、その部分に貯水した水を自動給水に利用する自動給水機能を持つ花瓶もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−87413広報
【特許文献2】特開平9ー47168広報
【特許文献3】特開2002−223647広報
【特許文献4】特開2004−65222広報 このような問題に対して、花器の外部から、サイホン作用で自動的に用水に補水する(特許文献1)の生花用の自動給水容器は、生花入れとなる花器が大きい場合は、当該生花用の自動給水容器で補水できるが、一般家庭で使用する花器は小さいので、生花用の自動給水容器を家庭で使用する一般用花器として使用するのは困難である。また献花のような比較的背丈の高い花については、献花用花入れに自動給水器の給水部を差し込んで自動給水する(特許文献2)の献花用自動給水器があるが、献花に比して、一般の花器に入れる生花は背丈も小さく切るため、献花用自動給水器に比べて、家庭で使用する一般用花器が小さいので、献花用自動給水器の給水部を家庭で使用する一般用花器に差し込むことは大きさの点で難しく、また当該給水部が差し込まれることで、自動給水器を含む花器全体の重心が高くなり転倒し易くなるなどのことから、一般家庭の花器に使用するには不向きである。
【0004】
ほかに、貯水タンクと花瓶を一体化した(特許文献3)花筒自動給水装置があるが、花瓶の役割をしている花筒の上に貯水タンクを載せて一体化をしているので、背が高く、上部が大きく重いのに比べて底面積が小さいので、差込固定する墓石の花器には適するが、置くだけの一般的な花器としては、その高さと不安定さから不向きである。
このほか、花器の側壁を二重構造にした(特許文献4)自動給水機能を持つ花瓶があるが、貯水部となる二重構造の側壁による密閉空間の内壁側を開放出来ないので、使用に伴い付着する水垢を除去することが困難であり、また水の給水口が底面にあるため、給水の度に生花を抜き、花瓶をひっくり返す必要があるなど、取り扱い上の不便さがある。
【0005】
また、(特許文献1)、(特許文献2)の発明は花入れ容器はそのままで、給水を外部から行う仕組みに関する発明であり、大きさや構造に問題があるが、(特許文献3)、(特許文献4)の発明は花入れ容器自体に自動給水機能を持たせる発明なので、既存の花器には使用できないなどの問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、元来、花器は生花とともに美的空間を醸成する役割が大きく、花器のみで美的空間を醸成する場合も多々ある。一般の花器だけでなく、仏花器にあっても同様であり、前述した花器では、大きさや形から花器を置いた周囲の美的空間を損なう可能性が高いこと、設置するために花器の外に新たなスペースを必要とすること、既存の花器には使用出来ないこと、などの点で問題があった。
本発明は、花器周りの美的空間を損なうことなく、花器の新造、既存にかかわらず、花器の花入れ口に簡易に押圧挿入するだけで、花器に自動給水機能を付加することができる花差し具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の花差し具は、花器に差し込んで用いる円筒容器構造の花差し具であって、1円筒内周面に水位調節ダクトを備えた縦長円筒、2フランジ形状の鍔を上部に備えた鍔円筒、3多数の貫通孔を表面に有する円盤状の網蓋、4内部に底面を貫通する湧水管と外周面下端部に複数のU字切り欠けを備えた上げ底容器、5縦長円筒の上部外周面に沿って巻き付けるように密着して装着するリング状の弾性体、の1から5の部材で構成されており、主体となるの縦長円筒は内周面の上・下端部に雌ネジ構造、外周面の上部に廻り縁、廻り縁直下に外周面を貫通する連絡孔、内周面にあって連絡孔に連通する水位調節ダクトを備えている。
【0008】
また、縦長円筒の外周面の上部には、扁平な逆円錐台の中央に縦長円筒の外径に適合した口径の貫通穴を備えてリング状にした弾性体を上端から差し込むようにして密着取り付けするとともに、当該弾性体の上面を押さえるようにして、縦長円筒の上端部にフランジ状の鍔を備えた鍔円筒の下端部外周面に備えた雄ネジ構造を縦長円筒の内周面上端部の雌ネジ構造に螺合させて取り付け、弾性体を鍔と廻り縁で挟むようにして縦長円筒の外周面に固定する。
【0009】
さらにまた、縦長円筒の下端部には、多数の貫通孔を表面に有するストレーナ状の円盤の縁外周側面に雄ネジ構造を備えた網蓋を螺合取り付けするとともに、縦長円筒下端からはみ出た網蓋の縁外周側面の雄ネジ構造に、上端が網蓋下で下端が底面下で開口する湧水管を底面に備えるとともに、底面下となる外周面下端部に複数のU字切り欠けを備えた上げ底容器の上端部内周面の雌ネジ構造を螺合取り付けして底部を形成し、円筒容器構造として前記項目を達成する。
【0010】
請求項2記載の水位調節ダクトは、請求項1記載の花差し具を構成する縦長円筒の内
周面に形成するダクト状の小空間構造であって、円筒の内部空間を、貫通孔にゴム栓を施して閉塞した水位調節孔を複数備えた隔壁によって間仕切り、隔壁と縦長円筒内周面の一部で囲まれた縦長の小空間の上端を閉塞したダクト状の小空間で、当該小空間上部は縦長円筒に設けた連絡孔に連通しており、下端の開放口で外気に連通するだけでなく、隔壁に施したゴム栓を脱栓することによって、開放口よりも高い位置にある複数の水位調節孔を外気に追加連通させることができる構造を持ったダクト状の小空間構造として前記項目を達成する。
【0011】
請求項3記載の花差し具の補助継ぎ円筒は、継ぎ長さ可変構造の円筒からなる請求項1
記載の花差し具の補助部材であって、花差し具を構成する縦長円筒と同じ外径、内径、廻り縁を備え、外周面下部に、管接続部を下端に備えた連絡管とともに。管を固定する管固定部を備え、内周面に縦長円筒と同じ雌ネジ構造を備えた円筒であり、円筒内部に内周面の雌ネジ構造に螺合する雄ネジ構造を外周面に備えた接続円筒を螺合収容し、接続円筒を回転させて螺合長さを変えることによって円筒全体の長さを調節する、継ぎ長さ可変構造の円筒として前記項目を達成する。
【0012】
請求項4記載の花差し具の補助固定枠は、花器の花入れ口に装着固定する円環形状をし
た花差し具の補助部材であって、滑らかな表面を持つ材料で形成し、外径は花入れ口の口径に適合し、内径は花差し具を構成する弾性体の外径に適合した大きさで断面がくの字状をした円環形状の固定枠として前記項目を達成する。
【0013】
請求項5記載の花差し具の補助固定鍔枠は、広口花器の花入れ口に装着固定するドーナ
ツ状の円盤に支持円筒を取り付けた形状を持つ花差し具の捕助部材であって、円盤は花入れ口に適合した外径を持ち、上面中央に花差し具の弾性体の外径に適合した口径の貫通穴、外周側面にくの字状の溝を備えた円盤に、花器の内部高さに適合した高さで内径が円盤の貫通穴と同じ口径を持つ円筒の外周壁下部を三脚状に加工した支持円筒を貫通穴と同心状にして下面に取り付け、円筒の一端に鍔を取り付けた構造の固定鍔として前記項目を達成する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の花差し具を単独または補助部材と組み合わせることで、花器の形状や大きさに
影響されることなく、上面に花入れ口を有する花器であれば、既存の花器であっても新規
製作の花器でも容易に自動給水花器化することが出来る。
本発明の花差し具に適合する花器と当該花差し具を共に規格化することによって、大量生産による低コストの自動給水花器を実現することができ、補助部材との組み合わせによって、規格化対象外の花器にも規格化した花差し具を適用する事が出来るので、規格化対象外の花器も低コストで自動給水花器化することが出来る。
【0015】
本発明の花差し具を使用して自動給水花器を構成すると、花器自体に貯水された水が生花に対し、ほぼ一定の水位を保つように自動給水されるので、生花が一日に蒸散する水量に等しい水位に設定することで、花器に水を毎日新しく追加するのと同じ効果があり、手間をかけることなく、生花の寿命を長く保つことが出来る。
本発明の花差し具は、構成している各部分がバラバラに分解出来るので、長期間使用して、内部に汚れが多量に付着し、雑菌が繁殖した場合でも、容易に分解清掃して除去出来る構造としている。また、各部の損耗についても部分取り替えが出来るメンテンナンスを考慮した構造にしているので、長期間使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の花差し具の外観図(正面)
【図2】本発明の花差し具の外観図(右側面)
【図3】花差し具の花器への挿入状況図(途中図)
【図4】花差し具の花器への挿入状況図(完了図)
【図5】実施例1の花差し具の分解構成図
【図6】実施例2で変形した部材の分解構成図
【図7】実施例3で変形した部材の分解構成図
【図8】実施例4で変形した部材の分解構成図
【図9】実施例5で変形した部材の分解構成図
【図10】実施例6の花差し具Dの外観図
【図11】実施例6の花差し具Dの分解構成図
【図12】花差し具の補助継ぎ円筒の外観図
【図13】花差し具に花差し具の補助継ぎ円筒を装着した状態図
【図14】花差し具の補助固定枠
【図15】花差し具の補助固定枠装着図
【図16】花差し具の補助固定鍔枠
【図17】花差し具の補助固定鍔枠装着図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明にかかる実施形態について、実施例をあげ図1ないし図17の添付図を参照して説明する。
【0018】
本発明にかかる花差し具の外観図を図1、図2に示す。図1は正面からの外観図、図2は右側面からの外観図である。
図1、2おいて、1は鍔円筒、2は縦長円筒、3は弾性体、4は廻り縁、5は隔壁、6は上げ底容器、7は水位調節孔、8は連絡孔、9は湧水管、10は網蓋、11は水位調節ダクト、12は花入れ空間、13はU字切り欠け、14は老廃物沈殿空間、15はゴム栓である。
図5は花差し具の分解構成図である。
同図で(A)は鍔円筒1の外観図と正面図、(B)は弾性体3の外観図と正面図、(C)は縦長円筒2の外観図と平面図、(D)は上げ底容器6の外観図と正面図、(E)は網蓋10の平面図と正面図、(F)はゴム栓15の平面図と正面図と外観図である。
【実施例1】
【0019】
実施例1は、図1、2、の外観図と図5の分解構成図に示したように、上・下端が開口し外周面の上部に側壁を貫通する連絡孔8とその直上の外周面を取り巻く廻り縁4、円筒上・下端の開口部の内周面に沿う雌ネジ構造を備えた縦に長い円筒に、互いに高さが異なる複数の貫通孔にゴム栓15を施して閉塞状態にした水位調節孔を表面に備えた平板を隔壁5として、円筒の内部空間の一部を間仕切り、連絡孔8を含む円筒内周面の一部と隔壁5で囲まれた半円パイプ状の縦長小空間を円筒の内部に形成し残りの大部分を占める内部空間を花入れ空間12として生花を差し入れる空間とする。
また、小空間の上部は閉塞して連絡孔8を上部、開放口を下部をとする半円パイプ状の縦長小空間を形成し、それを構成する隔壁の表面に有するゴム栓15で閉塞状態にした複数の貫通孔を水位調節孔7とする円筒の内周面に縦に形成した水位調節ダクト11などで構成する。
【0020】
逆円錐台の中央に縦長円筒2の外径に適合した口径の貫通穴をあけてリング状にした弾性体3を縦長円筒2の上端から押し込むようにして縦長円筒2の外周面の上部に密着取り付けするとともに、当該弾性体3の下面が廻り縁4の上面に接触するまで押し込み、弾性体3の上面を押しつけるように鍔円筒1の下端部外周面に沿った雄ネジ構造を縦長円筒2の上端開口部の内周面に備えた雌ネジに螺合取り付けし、弾性体3を廻り縁の上面と鍔円筒の鍔下面で挟んで縦長円筒2の外周面上部に固定して、花差し具を花入れ口に挿入した時に弾性体3が大きく変形して花入れ口との間に間隙が生じることがないようにしている。
【0021】
次に網蓋10の外周側面の雄ネジ構造を縦長円筒2下端の開口部の内周面に沿った雌ネジ構造に螺合取り付けして、縦長円筒2内部の花入れ空間12のストレーナの役割をする網蓋底を形成し、縦長円筒2からはみ出た、網蓋10の外周側面で未螺合の雄ネジ部に、上げ底容器6の上端開口部の内周面に沿った雌ネジ構造を螺合させ、上げ底容器6を網蓋10を介して縦長円筒2に取り付け、円筒容器構造の花差し具18を構成する。
ここで、製造に際しては、縦長円筒2の内周面に形成する水位調節ダクトは、成形によって、円筒製作の最初の段階から円筒内部に形成できるような型を使用して、廻り縁や連絡孔、上下端の雌ネジ構造も同時に成形する。同じく鍔円筒1の鍔と雄ネジ構造、上げ底容器6の内部に具備する湧水管、底壁下端部のU字切り欠け、網蓋10の雄ネジ構造や表面の多数の孔も同様に型による成形で製作し、同じく弾性体も成形で製作する。
【実施例2】
【0022】
実際に、花差し具18を花器に押圧挿入した場合の状況図を図3、4に示す。ここで、図3は水を貯水した花器の花入れ口に花差し具18を挿入する途中の状況図である。図4はその完了図である。図のなかで、16は花器、17は花差し具の補助固定枠、18は花差し具、19は花入れ口、20は密閉空間である。
【0023】
本実施例2は、花差し具18を構成する、縦長円筒2と上げ底容器6の結合に係る構造と網蓋10の構造に係る変形例であって、縦長円筒2の高さを高くして下端にU字切り欠けを設けた縦長円筒A、上げ底容器6の内周面の雌ネジ構造を除去した上げ底容器A、網蓋の外周側面のネジ構造を除去して縦幅を薄くし外周縁の上面に鍔を取り付けた網蓋Aに係る変形である。
【0024】
実施例1に対する実施例2の変形箇所を図6に示す。同図で、(C)は縦長円筒Aの外観図と平面図、(D)は上げ底容器Aの正面図と平面図、(E)は網蓋Aの平面図と正面図である。
【0025】
図1,2に示したように、実施例1では網蓋10のネジ構造を介して縦長円筒2と上げ
底容器6を螺合結合するが、実施例2では図6に示したように、縦長円筒の側壁下端部に直接U字切り欠け13を設けた構造に変形した縦長円筒Aに、上げ底容器の内周面上を底面中心となる湧水管9の開口部を挟んで平行に取り付けるとともに、外径を縦長円端部の雌ネジ構造を除去するとともに上げ底部の側壁を除去して、底面下に2つの直方体筒Aの内径に適合する大きさに縮小した構造の上げ底容器Aの上端部開放口に、網蓋外周側面の雄ネジ構造を除去して側面の幅を薄くするとともに外周縁の上面に鍔を取り付け、縦長円筒Aの内径に適合する大きさの外径に変形した網蓋Aをはめ込み、縦長円筒Aの下端の開放口から押し込み装着して花差し具18を構成する。ここで、上げ底容器Aは表面が滑らかで滑り難い材質で形成するが、その他の材料に変更はない。
【実施例3】
【0026】
本実施例3も実施例2同様に、縦長円筒2と上げ底容器6の結合に係る構造と網蓋構造
の変形と構成材料の変更であって、弾性を有する材料で成形した上げ底容器Bに、湧水管9と網蓋10を一体化した網蓋構造体Bを挿入して構成する上げ底容器構造体に係る変形である。
【0027】
実施例1に対して実施例3の変形した箇所を図7に示す。
同図で、(C)は実施例2と同じの縦長円筒Aの外観図と平面図、(D)は上げ底容器
Bの正面図と平面図、(E)は網蓋構造体、(G)は網蓋構造体を上げ底容器Bに差込
装着した状態の正面図である。
図7に示したように実施例2と同じ構造の縦長円筒Aに、弾性を有する材料で形成し上
面に同心円状の溝と中心を垂直に貫通する孔を備えた円錐台に直方体を2つ底面下で中
心孔を挟み平行に具備した上げ底容器Bに網蓋の中心部に貫通孔を設けて湧水管を下面
から貫通し一体化構造とした網蓋構造体を差込み装着した状態で、実施例2同様に縦長
円筒Aの下端の開放口から押し込み装着して花差し具を構成する。
【実施例4】
【0028】
本実施例4も実施例2、3同様に、縦長円筒2と上げ底容器6の結合に係る構造の変形
であって、図8に示したように、実施例1の縦長円筒2の外周面の下端部に縦長円筒の
中心をはさんで対称位置に円柱状の小突起をそれぞれ具備した縦長円筒Cに、実施例1
の上げ底容器6の内径を縦長円筒Cの外径に適合するように拡大するとともに、縦長円筒
Cの外周面の下端部に位置する2つの小突起に嵌合するL字状の溝を内周面の上端部に
備え、内側面が底面に近くなるほど側壁幅が厚くなるように傾斜面とした上げ底容器C
を嵌合装着して花差し具18を構成する。網蓋10は実施例1と同じ構造であり、縦長
円筒Cの内周面の下端部への螺合取り付けすることに変更はない。
【実施例5】
【0029】
本実施例5は縦長円筒2の水位調節ダクト11に係る構造の変形であって、図9に示
したように、実施例1の縦長円筒2から隔壁5を取り除き縦長円筒Eに変形し、水位調節
ダクト11を半円パイプの上端を塞ぎ、平面部に水位調節孔7を設け、凸面部に縦長円筒
Eの連絡孔8を通る外径で雄ネジ構造を備えたパイプを取り付けて連絡孔の代替とし、当
該パイプの外周面の雄ネジ構造に(J)に示した弾性のある材料で成形した平ワッシャー
を取り付け、同じく(J)に示した雌ネジで縦長円筒Eに固定し、実施例1の縦長円筒2
の代替とした変形であり、図9で(C)は縦長円筒Eの外観図と平面図である。(H)は
半円パイプを使用して成形した水位調節ダクトAの平面、正面、側面図である。(J)は
水位調節ダクトAを縦長円筒Eに固定する雌ネジと平ワッシャー平面図と側面図である。
【0030】
この縦長円筒と、水位調節ダクトに係る変形は、縦長円筒の製作を簡易にするための変形であって、その他の変形はなく、花差し具としての変更はない。ただ、この変更は、実施例2〜4のすべてに適用することが出来るので、自由な組み合わせの変形構造に対応することができる。
【実施例6】
【0031】
本実施例6は、実施例1の縦長円筒2から水位調節ダクト11、隔壁5、連絡孔8を除去するとともに、水位調節孔7よりも口径の大きい水位調節孔7Aを縦長円筒2の側壁に複数設けた縦長円筒2の変形となる縦長円筒Dに、継ぎ円筒で使用する管接続部を下端に備えた連絡管を、縦長円筒Dの水位調節孔7Aに挿入結合し、残りの水位調節孔7Aには実施例1よりも口径が大きいゴム栓15Aを詰め、連絡管の管接続部を挿入結合する水位調節孔7Aを高さの異なる水位調節孔7Aに変えることで水位調節の仕組みを変更した花差し具Dについての変形である。
【0032】
花差し具Dの外観図を図10に、分解構成図を図11に示す。
図9で、1は鍔円筒、2Aは縦長円筒D、3は弾性体、4は廻り縁、6は上げ底容器、7Aは水位調節孔、9は湧水管、10は網蓋、12は花入れ空間、13はU字切り欠け、14は老廃物沈殿空間、15Aはゴム栓、23は管接続部、24は連絡管である。
図10で、(A)は鍔円筒の外観図と正面図、(B)は弾性体の外観図と正面図、(C)は縦長円筒Dの外観図と平面図、(D)は上げ底容器の外観図と正面図、(E)は網蓋の平面図と正面図、(F)はゴム栓Aの外観図、(G)は連絡管の外観図である。
【0033】
この実施例6は、実施例1、2、3,4、5と異なり、管接続部23が縦長円筒Dの外側面に位置するので、比較的大きな広口の花器に適用することが出来て、縦長円筒Dの構造が実施例1の縦長円筒2に比べて簡易であることから、条件を満足する場合は簡易に製作できる広口花器の花差し具Dとしての使用が見込まれる。また、実施例1と実施例2、3、4の縦長円筒と上げ底容器の結合の違いによる変形例は、当該花差し具Dにも適用することができるので、自由に組み合わせを変えた構造にすることが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 鍔円筒
2 縦長円筒
3 弾性体
4 廻り縁
5 隔壁
6 上げ底容器
7 水位調節孔
8 連絡孔
9 湧水管
10 網蓋
11 水位調節ダクト
12 花入れ空間
13 U字切り欠け
14 老廃物沈殿空間
15 ゴム栓
16 花器
17 花差し具の補助固定枠
18 花差し具
19 花入れ口
20 密閉空間
21 花差し具の補助継ぎ円筒
22 接続円筒部
23 連絡管
24 管接続部
25 花差し具の補助固定鍔枠






【特許請求の範囲】
【請求項1】
花器に差し込んで用いる円筒容器構造の花差し具であって、
1円筒内周面に水位調節ダクトを備えた縦長円筒、2フランジ形状の鍔を上部に備えた鍔円筒、3多数の貫通孔を表面に有する円盤状の網蓋、4内部に底面を貫通する湧水管と外周面下端部に複数のU字切り欠けを備えた上げ底容器、5縦長円筒の上部外周面に沿って巻き付けるように密着して装着するリング状の弾性体、の1から5の部材で構成されており、主体となるの縦長円筒は内周面の上・下端部に雌ネジ構造、外周面の上部に廻り縁、廻り縁直下に外周面を貫通する連絡孔、内周面にあって連絡孔に連通する水位調節ダクトを備えている。
また、縦長円筒の外周面の上部には、扁平な逆円錐台の中央に縦長円筒の外径に適合した口径の貫通穴を備えてリング状にした弾性体を上端から差し込むようにして密着取り付けするとともに、当該弾性体の上面を押さえるようにして、縦長円筒の上端部にフランジ状の鍔を備えた鍔円筒の下端部外周面に備えた雄ネジ構造を縦長円筒の内周面上端部の雌ネジ構造に螺合させて取り付け、弾性体を鍔と廻り縁で挟むようにして縦長円筒の外周面に固定する。
また、縦長円筒の下端部には、多数の貫通孔を表面に有するストレーナ状の円盤の縁外周側面に雄ネジ構造を備えた網蓋を螺合取り付けするとともに、縦長円筒下端からはみ出た網蓋の縁外周側面の雄ネジ構造に、上端が網蓋下で下端が底面下で開口する湧水管を底面に備えるとともに、底面下となる外周面下端部に複数のU字切り欠けを備えた上げ底容器の上端部内周面の雌ネジ構造を螺合取り付けして底部を形成し、円筒容器構造を特徴とする花差し具。
【請求項2】
請求項1記載の花差し具を構成する縦長円筒の内周面に形成するダクト状の小空間構造
であって、円筒の内部空間を、貫通孔にゴム栓を施して閉塞した水位調節孔を複数備えた隔壁によって間仕切り、隔壁と縦長円筒内周面の一部で囲まれた縦長の小空間の上端を閉塞したダクト状の小空間で、当該小空間上部は縦長円筒に設けた連絡孔に連通しており、下端の開放口で外気に連通するだけでなく、隔壁に施したゴム栓を脱栓することによって、開放口よりも高い位置にある複数の水位調節孔を外気に追加連通させることができる構造を持ったダクト状の小空間構造を特徴とする水位調節ダクト。
【請求項3】
継ぎ長さ可変構造の円筒からなる請求項1記載の花差し具の補助部材であって、花差し
具を構成する縦長円筒と同じ外径、内径、廻り縁を備え、外周面下部に、管接続部を下端に備えた連絡管とともに。管を固定する管固定部を備え、内周面に縦長円筒と同じ雌ネジ構造を備えた円筒であり、円筒内部に内周面の雌ネジ構造に螺合する雄ネジ構造を外周面に備えた接続円筒を螺合収容し、接続円筒を回転させて螺合長さを変えることによって円筒全体の長さを調節する、継ぎ長さ可変構造の円筒を特徴とする花差し具補助継ぎ円筒。
【請求項4】
花器の花入れ口に装着固定する円環形状をした花差し具の補助部材であって、滑らかな
表面を持つ材料で形成し、外径は花入れ口の口径に適合し、内径は花差し具を構成する弾性体の外径に適合した大きさで断面がくの字状をした円環形状の固定枠あることを特徴とする花差し具の補助固定枠。
【請求項5】
広口花器の花入れ口に装着固定するドーナツ状の円盤に支持円筒を取り付けた形状を持
つ花差し具の捕助部材であって、円盤は花入れ口に適合した外径を持ち、上面中央に花差し具の弾性体の外径に適合した口径の貫通穴、外周側面にくの字状の溝を備えた円盤に、花器の内部高さに適合した高さで内径が円盤の貫通穴と同じ口径を持つ円筒の外周壁下部を三脚状に加工した支持円筒を貫通穴と同心状にして下面に取り付け、円筒の一端に鍔を取り付けた構造を特徴とする花差し具の固定鍔枠。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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