芳香器
【課題】気温の変化に応じて、柔軟に芳香機能を制御できる芳香器を提供する。
【解決手段】 上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一ヒータと、第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、第一出力端子及び第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、第二出力端子及び第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、第一ヒータ及び第二ヒータと電気的に接続する共通電極と、を有するヒータモジュールと、を含む。
【解決手段】 上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一ヒータと、第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、第一出力端子及び第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、第二出力端子及び第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、第一ヒータ及び第二ヒータと電気的に接続する共通電極と、を有するヒータモジュールと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱により芳香剤を拡散させる芳香器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱により芳香剤を拡散させる芳香器の従来技術として、特許文献1や特許文献2が知られている。
【0003】
特許文献1では、芳香剤吸い上げ芯を加熱する正特性サーミスタ発熱体を断続させるインターバルスイッチを正特性サーミスタ発熱体に直列に介在させた回路を構成する。
【0004】
また、特許文献2では、2個の薬液カートリッジと各カートリッジを加熱するヒータを備え、スイッチ操作により各ヒータの通電時間を設置し、各ヒータのON−OFF制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−391号公報
【特許文献2】特開平8−155018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
芳香剤はヒータによる加熱だけではなく、気温によりその拡散量が変化するので、ヒータの温度が同じ場合、暑いときは拡散量が増加し香りが強くなり、寒いときは拡散量が減少し香りが弱くなる。よって、従来技術では、気温の変化に関わらず、拡散量を略一定に保ち、同じ強さの香りを提供することは難しかった。
【0007】
本発明は、気温の変化に応じて、柔軟に芳香機能を制御できる芳香器を提供することを目的とする。なお、芳香機能とは、例えば、気温の変化に応じてヒータ温度を変更し気温が変化しても拡散量を略一定に維持する機能や、気温の変化に応じて香りの種類や香りの濃さの異なる芳香剤を拡散する機能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一ヒータと、第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、第一出力端子及び第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、第二出力端子及び第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、第一ヒータ及び第二ヒータと電気的に接続する共通電極と、を有するヒータモジュールと、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第二の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一ヒータと、第一出力端子及び第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一ヒータモジュールと、第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、第二出力端子及び第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二ヒータモジュールと、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の第三の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の温度未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の温度以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一PTCヒータと、第一出力端子及び第一PTCヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一PTCヒータモジュールと、第二PTCヒータと、第二出力端子及び第二PTCヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二PTCヒータモジュールと、を含む。第一芳香剤と第二芳香剤の香りの(1)種類、(2)濃度の少なくとも何れか一方は異なるものとし、第一PTCヒータモジュールは第一芳香剤を加熱し、第二PTCヒータモジュールは第二芳香剤を加熱する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る芳香器は、気温の変化に応じて、加熱するヒータを変更し、柔軟に芳香機能を制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】芳香器1の斜視図。
【図2】図1の芳香器1からACコード11と上ケース12とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図。
【図3】図1の芳香器1の回路図。
【図4】図2の分解斜視図。
【図5】図2の芳香器1を矢印方向から見た側面図。
【図6】芳香器1の構成を説明するための図。
【図7】PTCヒータモジュール16の分解斜視図。
【図8】PTCヒータモジュール16からケース165を取り外した状態の斜視図。
【図9】図9Aは気温とヒータ温度と周囲温度の関係を示す図、図9Bは気温と拡散量の関係を示す図。
【図10】芳香器2の斜視図。
【図11】図10の芳香器2からACコード11と上ケース22とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図。
【図12】図11の分解斜視図。
【図13】第一PTCヒータモジュール26Aの分解斜視図。
【図14】芳香器2の構成を説明するための図。
【図15】図15Aは気温が所定の温度未満の場合の切替機構17の変形例の動作を示す図、図15Bは気温が所定の温度以上の場合の切替機構17の変形例の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。
【0014】
<第一実施形態に係る芳香器1>
図1は芳香器1の斜視図を示す。芳香器1は、ACコード11と上ケース12とスイッチ13とを含む。図2は芳香器1からACコード11と上ケース12とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図を(各配線については図3参照)、図4は図2の分解斜視図を示す。芳香器1は、下ケース15とPTCヒータモジュール16と切替機構17とを含む。
【0015】
<ACコード11、上ケース12、スイッチ13>
図1に示すように、上ケース12は、中空の略半球状に形成される。上ケース12は、その内部に下ケース15とPTCヒータモジュール16と切替機構17を収容し、外部から保護し、利用者が後述する芳香剤や放熱筒を触ってしまうのを防止する。上ケース12には拡散した芳香剤を外部に放出するための開口部121が設けられている。ACコード11は、芳香器1内部の機器(例えば、PTCヒータモジュール16)に電流を流す(図3参照)。スイッチ13は電源スイッチであり、ACコード11の差込プラグをプラグ受けに抜き差しせずとも、利用者はスイッチ13のオンとオフを切り替えることで、芳香器1を流れる電流を制御することができる。
【0016】
<下ケース15>
図2及び図4に示すように、下ケース15は、略四角筒状であり、上端は蓋され、蓋部分中央に、カートリッジ14の吸液芯部141の外周よりも大きい孔151が設けられている。下端は開口しており、この開口部からカートリッジ14が挿入される。
【0017】
カートリッジ14は芳香器1とは別品として構成される。カートリッジ14は吸液芯部141と固定キャップ142と容器143とからなる。容器143内部には、加熱されて拡散する液体の芳香剤が収容されている。固定キャップ142の中央部には孔が設けられており、その孔には容器143の内部から外部まで延びる吸液芯部141が嵌挿されている。
【0018】
カートリッジ14は、吸液芯部141の上端部分を除き、下ケース15に覆われる(図2参照)。吸液芯部141の上端部分は下ケース15の孔151を貫通し、PTCヒータモジュール16の放熱筒169に囲まれるように配置される。
【0019】
下ケース15は下端において、放射方向に延長して形成された台部154を備える(図2参照)。台部154は中央に略正方形状の開口部を備える円板状である。下ケース15の円板の台部154の外周縁上面と上ケース12の下端とが接する。
【0020】
図4に示すように下ケース15は、その上端において、PTCヒータモジュール16が設置される設置部152を備える。また、下ケース15は、その側壁において、切替機構17を取り付ける取付部153を備える。取付部153は5つの凸部153a〜153eからなる。
【0021】
なお、下ケース15の内周面と容器143の外周面に係止部を設け、下ケース15にカートリッジ14を挿入した際に、下ケース15に対してカートリッジ14が固定される構成としてもよい。例えば、一方に凸部を、他方に凹部を設け、嵌合することによって固定する。また、下ケース15の下端に蓋を設けて、蓋を閉じることでカートリッジを固定する構造としてもよい。
【0022】
<切替機構17>
切替機構17は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する。以下、詳細を説明する。
【0023】
本実施形態では図5に示すように、切替機構17は、スイッチ171と形状記憶バネ172と引張コイルバネ173と回動部材174とを含む。
【0024】
スイッチ171は例えばマイクロスイッチであり、入力端子171aを介して取得した電流を、第一出力端子171bと第二出力端子171cとの何れかから出力する。例えば、スイッチ171がオン状態では第一出力端子171bから出力し、オフ状態では第二出力端子171cから出力する。スイッチ171には、孔171e、171fが形成されている。この孔171e、171fにそれぞれ凸部153a、153bが挿入される。このような構成により、下ケース15に対してスイッチ171の位置が固定される。図6に示すように、入力端子171aはACコード11と接続される。第一出力端子171bはPTCヒータモジュール16の第一電極161と電気的に接続され、第二出力端子171cはPTCヒータモジュール16の第二電極162と電気的に接続される。
【0025】
形状記憶バネ172は、形状記憶合金からなる引張コイルバネであり、所定の温度未満の場合には変形して伸び、所定の温度以上の場合には変形前の形状に回復して縮む。この切替機構17は、形状記憶バネ172を用いて、気温に応じてスイッチ171を制御する。言い換えると、形状記憶バネ172は、気温が所定の温度未満の場合には変形してスイッチ171をオン状態とし、気温が所定の温度以上の場合には変形前の形状に戻りスイッチ171をオフ状態とする。
【0026】
回動部材174は、細長い板状であり、その一端側に孔174aを、その他端に凸部174cを、中央に凸部174bを形成されている。また、凸部174c近傍にはその凸方向に競り上がった壁からなる押下部174dが形成されている。その凸部174b及び174cを備えていない板面と下ケース15の側壁面が対向するように配置される。押下部174dは後述するスイッチ171のレバー171dと係合する。凸部153dが孔174aを貫通し、回動部材174は凸部153dに軸支される。
【0027】
引張コイルバネ173の両端は輪状に形成される。引張コイルバネ173の一端の輪を、凸部174bが貫通し、他端の輪を凸部153eが貫通する。形状記憶バネ172の両端は輪状に形成される。形状記憶バネ172の一端の輪を凸部174cが貫通し、他端の輪を凸部153cが貫通する。
【0028】
所定の温度未満の場合、回動部材174は、凸部153dにより軸支され、その中央部分に存する凸部174bにおいて、引張コイルバネ173により矢印d1方向に引っ張られ、形状記憶バネ172は変形して伸びて、押下部174dがスイッチ171のレバー171dを押下し、スイッチ171をオンの状態にする。
【0029】
所定の温度以上の場合、形状記憶バネ172が回復して縮み、回動部材174は、凸部174cにおいて、形状記憶バネ172により矢印d2方向に引っ張られ、押下部174dはスイッチ171のレバー171dの押圧を解き、スイッチ171をオフの状態にする。
【0030】
<PTCヒータモジュール16>
図7はPTCヒータモジュール16の分解斜視図を示す。PTCヒータモジュール16は、第一電極161と第二電極162と第一PTCヒータ163と第二PTCヒータ164とケース165と第一絶縁体166と共通電極167と第二絶縁体168と放熱筒169とを有する。
【0031】
また、図6及び図8に示すように、第一電極161は、第一PTCヒータ163と電気的に接続し、第二電極162は、第二PTCヒータ164と電気的に接続している。
【0032】
よって、第一出力端子171bから出力された電流は、第一電極161、第一PTCヒータ163、共通電極167に流れる。同様に第二出力端子171cから出力された電流は、第二電極162、第二PTCヒータ164、共通電極167に流れる。
【0033】
なお、PTCヒータとはPTC特性を持ったヒータであり、PTCとはPositive Temperature Coefficient(正温度係数)の略であり、PTC特性とは温度が上がるにつれ、電気抵抗値が正の係数をもって変化する性質のことをいう。PTCヒータは、電流が流れて温度が上がると次第に電気が流れにくくなり、温度が上限に達して安定するとそれ以上電流が流れない。PTCヒータは、例えば、チタン酸バリウムを主成分とする半導体セラミックにより構成し、その構成成分の割合を変更することで、その上限温度を変更することができる。本実施形態では第一PTCヒータ163の上限温度(例えば90度)が第二PTCヒータ164の上限温度(例えば50度)よりも高くなるように設計する。各PTCヒータは、円板状に形成される。
【0034】
ケース165は、絶縁体(合成樹脂等)であり、略直方体状に形成され、放熱筒169に対向する面に開口部を備え、その内部に第一電極161と第二電極162と第一PTCヒータ163と第二PTCヒータ164と第一絶縁体166と共通電極167と第二絶縁体168とを収容する空間を備える。ケース165には、第一電極161の端子部分161aが貫通する貫通孔165aと、第二電極162の端子部分162aが貫通する(図示しない)貫通孔と、共通電極167の端子部分167aが貫通する貫通孔165cと、が形成される。
【0035】
各PTCヒータの熱は、共通電極167を介して、第二絶縁体168に伝わり、更に、第二絶縁体168を介して放熱筒169に伝わる。
【0036】
第一絶縁体166及び第二絶縁体168は例えばセラミックにより形成される。第一絶縁体166は、第一PCTヒータ163及び第二PCTヒータ164の外周面と共通電極167のヒータプレート部167bの前面との短絡を防ぐ。第二絶縁体168は、放熱筒169に電流が流れるのを防ぐ。なお、第二絶縁体168を熱伝導率の高い材質で形成することで、PTCヒータで発生した熱を効率的に放熱筒169に伝えることができる。
【0037】
放熱筒169は、熱伝導率の高い材料(例えば、金属)により形成される。その形状は
略円筒状であり、その内周面が吸液芯部141の上端部分の外周面よりも大きくなるように形成される。例えば、カートリッジ14を下ケース15に挿入する際に、挿入軸が多少ずれても放熱筒169の内周面と吸液芯部141の外周面が接触しない程度の大きさであって、かつ、PTCヒータの加熱時に吸液芯部141の周囲の温度を効率的に上げることができる大きさとなるように形成される。または、放熱筒169は、ケース165に対して自身を固定するための係止部169a、169bを備える。
【0038】
<組立>
例えば、PTCヒータモジュール16は以下のように組み立てる(図7参照)。
【0039】
第一電極161の端子部分161aを貫通孔165aに、ケース165の内壁面と出力板161bとが接するまで挿入し、ケース165に対して第一電極161を固定する。同様に、第二電極162の端子部分162aを貫通孔に、ケース165の内壁面と出力板162bとが接するまで挿入し、ケース165に対して第二電極162を固定する。
【0040】
次に、第一PTCヒータ163の一方の板面と第一電極161の出力板161bとが接するように、ケース165内部に第一PTCヒータ163を配置し、同様に第二PTCヒータ164の一方の板面と第二電極162の出力板162bとが接するように、ケース165内部に第二PTCヒータ164を配置する。
【0041】
第一絶縁体166の背面と共通電極167のヒータプレート部167bの前面とが接するまで、共通電極167の端子部分167aを第一絶縁体166の貫通孔166aに挿入する。
【0042】
端子部分167aは細長い板状であり、前方部分の幅が後方部分の幅よりも狭く形成され、段部167cが設けられている。ケース165の内壁面と段部167cの前方端とが接するまで端子部分167aをケース165の貫通孔165cに挿入する。このとき、第一PTCヒータ163と第二PTCヒータ164との間に、端子部分167aの後方部分が存在し、後方部分の一方の板面と第一PTCヒータ163の他方の板面とが接し、後方部分の他方の板面と第二PTCヒータ164の他方の板面とが接するように各部品が形成され、配置されている。
【0043】
第二絶縁体168は、共通電極167のヒータプレート部167bを覆うように配置する。
【0044】
放熱筒169の係止部169aをケース165の係止部165dに嵌める。また、係止部169bをケース165の底面に設けた図示しない係止部に嵌める。このような構成により、各部品を固定する。例えば、各係止部は、一方を嵌合爪、他方を爪受部として形成する。また、各係止部にネジ孔を設け、ネジにより固定してもよい。
【0045】
さらに、下ケース15の設置部152に図示しないネジ孔を設け(図4参照)、ケース165の孔165eとネジ孔を合わせて、ネジによりPTCヒータモジュール16を下ケース15に対して固定する。
【0046】
なお、カートリッジ14を下ケース15に挿入したときに、放熱筒169が、吸液芯部141の上端部分を包囲するように形成する。
【0047】
<作用・効果>
PTCヒータの温度(以下「ヒータ温度」と呼ぶ)は、上限温度に達するとそれ以上電流が流れないようにPTCヒータ自体が制御するため、上限温度で安定する、言い換えると、ヒータ温度は、気温に左右されず、上限温度で安定する。しかし、吸液芯部141の周囲の温度(以下「周囲温度」と呼ぶ)は、気温に左右される。例えば、気温が10度であっても30度であってもヒータ温度は上限温度(例えば90度)で安定する。一方、周囲温度は、例えば気温が10度の場合には50度になり、気温が30度の場合には60度になる。よって、周囲温度に応じて、拡散量が変化するため(言い換えると、拡散量は周囲温度に比例する)、ヒータ温度が一定であっても気温が変化することで周囲温度が変化して、拡散量は増減し(図9Bの実線参照)、香りの強弱が生じてしまう。つまり、暑い日には芳香剤の香りが強く、寒い日には芳香剤の香りが弱いといったばらつきが生じてしまう。
【0048】
そこで、上述の構成により、上限温度の異なる二つのPTCヒータを用意し、気温が高い場合には上限温度の低い第二PTCヒータ164に電流を流し、気温が低い場合には上限温度の高い第一PTCヒータ163に電流を流す。このような構成とすることで、周囲温度を略一定に保つようにする(図9A参照)。そして、周囲温度を略一定に保つことで、拡散量を略一定に保ち(図9Bの一点鎖線参照)、香りの強さを略一定に保つことができる。なお、図9A、Bにおいて、気温がt度(例えばt=25℃)のときに、PTCヒータを切り替えていることを表す。
【0049】
<第二実施形態に係る芳香器2>
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図10は芳香器2の斜視図を示す。芳香器2は、ACコード11と上ケース22とスイッチ13とを含む。図11は芳香器1からACコード11と上ケース22とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図を、図12は図11の分解斜視図を示す。芳香器1は、下ケース25と第一PTCヒータモジュール26Aと第二PTCヒータモジュール26Bと切替機構17とを含む。
【0050】
<上ケース22>
図10に示すように、上ケース22は、中空の略直方体状に形成される。上ケース22は、その内部に下ケース25と第一PTCヒータモジュール26Aと第二PTCヒータモジュール26Bと切替機構17を収容する。上ケース22には拡散した芳香剤を外部に放出するための開口部221A、221Bが設けられている。
【0051】
<下ケース25>
図11及び図12に示すように、下ケース25は、略四角筒状であり、上端は蓋され、蓋部分に、カートリッジ24の吸液芯部241A、241Bの外周よりも大きい孔251A、251Bが設けられている。下端は開口しており、この開口部からカートリッジ24が挿入される。
【0052】
カートリッジ24は芳香器2とは別品として構成される。カートリッジ24は吸液芯部241A、241Bと固定キャップ242A、242Bと容器243とからなる。容器243内部には、加熱されて拡散する液体の芳香剤が収容されている。固定キャップ242A、242Bの中央部分には孔が設けられており、その孔には容器243の内部から外部まで延びる吸液芯部241A、241Bがそれぞれ挿入されている。
【0053】
カートリッジ24は、吸液芯部241A、241Bの上端部分を除き、下ケース25に覆われる(図11参照)。吸液芯部241A、241Bの上端部分は下ケース25の孔251A、251Bを貫通し、それぞれ第一PTCヒータモジュール26Aの放熱筒269A、第二PTCヒータモジュール26Bの放熱筒269Bに囲まれるように配置される。
【0054】
下ケース25は下端において、放射方向に延長して形成された楕円形板状の台部254を備える(図11参照)。台部254は中央に略矩形状の開口部を備える円板状である。下ケース25の円板の台部254の外周縁上面と上ケース22の下端とが接する。
【0055】
図12に示すように下ケース25は、その上端において、第一PTCヒータモジュール26A、第二PTCヒータモジュールがそれぞれ設置される設置部252A、252Bを備える。
【0056】
<第一PTCヒータモジュール26A、第二PTCヒータモジュール26B>
図13は第一PTCヒータモジュール26Aの分解斜視図を示す。
【0057】
第一PTCヒータモジュール26Aは、電極261Aと電極267AとPTCヒータ263Aとケース265Aと絶縁体268Aと放熱筒269Aとを有する。なお、第二PTCヒータモジュール26Bも同様の構成(電極261Bと電極267BとPTCヒータ263Bとケース265Bと絶縁体268Bと放熱筒269B)を有するので、説明を省略する。
【0058】
また、図14に示すように、電極261Aは、PTCヒータ263Aと電気的に接続している。
【0059】
よって、第一出力端子171bから出力された電流は、電極261A、PTCヒータ263A、電極267Aに流れる。
【0060】
PTCヒータ263A、263Bの構成は、それぞれ第一実施形態の第一PTCヒータ163、第二PTCヒータ164と同様であり、PTCヒータ263Aの上限温度(例えば90度)がPTCヒータ263Bの上限温度(例えば50度)よりも高くなるように設計する。
【0061】
ケース265Aは、略直方体状に形成され、放熱筒269Aに対向する面に開口部を備え、その内部に電極261AとPTCヒータ263Aと電極267Aと絶縁体268Aとを収容する空間を備える。ケース265Aには、電極261Aの端子部分261Aaが貫通する貫通孔265Aaと、電極267Aの端子部分267Aaが貫通する貫通孔265Abと、が形成される。
【0062】
PTCヒータ263Aの熱は、電極267Aを介して、絶縁体268Aに伝わり、更に、絶縁体268Aを介して放熱筒269Aに伝わる。絶縁体268A、放熱筒269Aはそれぞれ第二絶縁体168、放熱筒169と同様の構成である。
【0063】
<組立>
例えば、第一PTCヒータモジュール26Aは以下のように組み立てる(図13参照)。
【0064】
電極261Aの端子部分261Aaを貫通孔265Aaに、ケース265Aの内壁面と出力板261Abの前面とが接するまで挿入し、ケース265Aに対して電極261Aを固定する。
【0065】
次に、PTCヒータ263Aの前面と電極261Aの出力板261Abの背面とが接するように、ケース265A内部にPTCヒータ263Aを配置する。
【0066】
電極267Aの端子部分267Aaを貫通孔265Abに、PTCヒータ263Aの背面と電極267Aのヒータプレート部267Abの前面とが接するまで挿入し、ケース265Aに対して電極267Aを固定する。このようにして、電極261Aと電極267Aとで、PTCヒータ263Aを挾持する。
【0067】
絶縁体268Aは、電極267Aのヒータプレート部267Abを覆うように配置する。
【0068】
放熱筒269Aの係止部269Aaをケース265Aの係止部265Adに嵌める。また、係止部269Abをケース265Aの底面に設けた図示しない係止部に嵌める。
【0069】
放熱筒269Aとケース265Aとの係止方法、下ケース25に対する第一PTCヒータモジュール26A、第二PTCヒータモジュール26Bの固定方法は第一実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0070】
<効果>
このような構成とすることで、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、第一実施形態よりも部品点数が多くなり、コストが高くなる。
【0071】
<第一変形例>
第二実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第二実施形態ではPTCヒータ263Aの上限温度がPTCヒータ263Bの上限温度よりも高くなるように設計しているが、PTCヒータ263AとPTCヒータ263Bの上限温度を同一としてもよい。その場合、カートリッジ24はその内部に仕切りを設け、香りの濃さの異なる二つの芳香剤を収容しておく。吸液芯部241Aが浸る芳香剤の濃さを、吸液芯部241Bが浸る芳香剤の濃さよりも高く設定する。吸液芯部の周囲温度は気温に応じて上昇し、拡散量も増加するが、気温が低い場合には濃さの高い芳香剤を拡散し、気温が高い場合には濃さの低い芳香剤を拡散するため、香りの強さを略一定に保つことができる。
【0072】
<第二変形例>
第一変形例と異なる部分についてのみ説明する。第一変形例では、カートリッジ24はその内部に仕切りを設け、香りの濃さの異なる二つの芳香剤を収容しておいたが、本変形例では、香りの種類の異なる二つの芳香剤を収容しておく。例えば、一方の芳香剤は、温かい香り(言い換えると、温かみのある香り、例えば、薔薇の香りやフルーツの香り、柑橘系の香り)であり、他方の芳香剤は爽やかな香り(言い換えると、涼を誘う香り、例えば、森林浴の香り、石鹸の香り、ハーブの香り、ミント系の香り)である。
【0073】
吸液芯部241Aが浸る芳香剤は温かい香りとし、吸液芯部241Bが浸る芳香剤は爽やかな香りとする。吸液芯部の周囲温度は気温に応じて上昇し、拡散量も増加するが、気温が低い場合には温かい香りの芳香剤を拡散し、気温が高い場合には爽やかな香りの芳香剤を拡散する。そのため、暑い日には爽やかな香りを、寒い日には温かい香りを利用者に提供することができる。
【0074】
<その他の変形例>
PTCヒータを用いずに、ニクロム線やカーボン繊維など一般的なヒータを用いる構成としてもよい。但し、一般的なヒータの場合、電流が流れると温度が上がり続けるので、温度センサ(サーミスタ)を使ってヒータ温度を測定し、マイコン制御により上限値よりも高くなったらヒータへの電力の供給を停止し、下限値よりも低くなったら電力の供給を再開する。また、マイコン制御に代えて、特許文献1記載のバイメタルスイッチと一般的なヒータを使ってヒータ温度を一定に保ってもよい。第一実施形態や第二実施形態のように、二つのヒータの上限温度を異なるものとする場合には、一方のヒータの下限値と上限値の組合せ(例えば85度から95度)が、他方のヒータの上限値と下限値の組合せ(例えば45度から55度)よりも高くなるように設計すればよい。但し、PCTヒータに比べ、部品点数が多くなり、コストが高くなる。また、電力供給をオンオフするため、ヒータ温度は上昇と下降を繰り返し、PTCヒータに比べると安定しない。また、PTCヒータに比べると消費電力量が大きくなる。さらに、PTCヒータは電流が流れ続けても温度が上昇し続けることがないため安全性が高い。
【0075】
切替機構17は、第一実施形態において説明した以外の構造であってもよい。形状記憶バネ172が温度センサ兼アクチュエータとして機能し、形状記憶バネ172の変化(変形、回復)により、スイッチ171のレバー171dを押下、解除すればよい。他の例を図15A及び図15Bに示す。また、スイッチ171も必ずしもマイクロスイッチである必要はなく、アクチュエータとして機能する形状記憶バネ172の変化によってオンオフ制御されるスイッチであればよい。
【0076】
さらに、切替機構17は、形状記憶バネ172やスイッチ171を用いずに、温度センサ(サーミスタ)を使って気温を測定し、測定結果を利用してマイコン制御により電流を流すPTCヒータを切り替える構成としてもよい。但し、その場合、部品点数が多くなり、コストが高くなる。
【0077】
また、第二実施形態の第一変形例と第二変形例を組合せて香りの種類及び香りの濃さの異なる芳香剤をカートリッジ24に収容してもよい。
【0078】
また、第二実施形態の変形例において、カートリッジはその内部に仕切りを設けているが、香りの濃さや種類の異なる芳香剤を別個のカートリッジに分けて収容するようにしておいてもよい。このような構成とすることで利用者はより容易に所望の香りの濃さや種類を組合せることができる。
【0079】
マイコン制御により、または、上述の切替機構17を組合せて制御することにより、3個以上のPTCヒータを制御し、香りの種類や香りの濃さを3以上に分けてもよい。このとき、ヒータモジュールの個数をNとし、n=1,2,…,Nとし、tn<tn+1とすると、マイコンまたは切替機構17の組合せからなる切替機構は、入力端子を介して取得した電流を、気温がtn以上tn+1未満の場合には、第n出力端子から出力する。N個のヒータモジュールを含み、第nヒータモジュールは、第nヒータと、第n出力端子及び第nヒータと電気的に接続する第n電極と、を有する。n’=1,2,…,N、n≠n’であり、第n芳香剤と第n’芳香剤の香りの(1)種類、(2)濃さの少なくとも何れか一方は異なるものとする。第n出力端子から電力の供給を受けて、第nヒータモジュールは第n芳香剤を加熱する。このような構成とすることで、気温に応じて、香りの(1)種類、(2)濃さが異なる芳香剤を拡散することができる。
【0080】
カートリッジを芳香器の一部としてもよい。
【0081】
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱により芳香剤を拡散させる芳香器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱により芳香剤を拡散させる芳香器の従来技術として、特許文献1や特許文献2が知られている。
【0003】
特許文献1では、芳香剤吸い上げ芯を加熱する正特性サーミスタ発熱体を断続させるインターバルスイッチを正特性サーミスタ発熱体に直列に介在させた回路を構成する。
【0004】
また、特許文献2では、2個の薬液カートリッジと各カートリッジを加熱するヒータを備え、スイッチ操作により各ヒータの通電時間を設置し、各ヒータのON−OFF制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−391号公報
【特許文献2】特開平8−155018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
芳香剤はヒータによる加熱だけではなく、気温によりその拡散量が変化するので、ヒータの温度が同じ場合、暑いときは拡散量が増加し香りが強くなり、寒いときは拡散量が減少し香りが弱くなる。よって、従来技術では、気温の変化に関わらず、拡散量を略一定に保ち、同じ強さの香りを提供することは難しかった。
【0007】
本発明は、気温の変化に応じて、柔軟に芳香機能を制御できる芳香器を提供することを目的とする。なお、芳香機能とは、例えば、気温の変化に応じてヒータ温度を変更し気温が変化しても拡散量を略一定に維持する機能や、気温の変化に応じて香りの種類や香りの濃さの異なる芳香剤を拡散する機能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の第一の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一ヒータと、第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、第一出力端子及び第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、第二出力端子及び第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、第一ヒータ及び第二ヒータと電気的に接続する共通電極と、を有するヒータモジュールと、を含む。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の第二の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一ヒータと、第一出力端子及び第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一ヒータモジュールと、第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、第二出力端子及び第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二ヒータモジュールと、を含む。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の第三の態様によれば、芳香器は、入力端子を介して取得した電流を、所定の温度未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の温度以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、第一PTCヒータと、第一出力端子及び第一PTCヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一PTCヒータモジュールと、第二PTCヒータと、第二出力端子及び第二PTCヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二PTCヒータモジュールと、を含む。第一芳香剤と第二芳香剤の香りの(1)種類、(2)濃度の少なくとも何れか一方は異なるものとし、第一PTCヒータモジュールは第一芳香剤を加熱し、第二PTCヒータモジュールは第二芳香剤を加熱する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る芳香器は、気温の変化に応じて、加熱するヒータを変更し、柔軟に芳香機能を制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】芳香器1の斜視図。
【図2】図1の芳香器1からACコード11と上ケース12とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図。
【図3】図1の芳香器1の回路図。
【図4】図2の分解斜視図。
【図5】図2の芳香器1を矢印方向から見た側面図。
【図6】芳香器1の構成を説明するための図。
【図7】PTCヒータモジュール16の分解斜視図。
【図8】PTCヒータモジュール16からケース165を取り外した状態の斜視図。
【図9】図9Aは気温とヒータ温度と周囲温度の関係を示す図、図9Bは気温と拡散量の関係を示す図。
【図10】芳香器2の斜視図。
【図11】図10の芳香器2からACコード11と上ケース22とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図。
【図12】図11の分解斜視図。
【図13】第一PTCヒータモジュール26Aの分解斜視図。
【図14】芳香器2の構成を説明するための図。
【図15】図15Aは気温が所定の温度未満の場合の切替機構17の変形例の動作を示す図、図15Bは気温が所定の温度以上の場合の切替機構17の変形例の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、同じ機能を持つ構成部や同じ処理を行うステップには同一の符号を記し、重複説明を省略する。
【0014】
<第一実施形態に係る芳香器1>
図1は芳香器1の斜視図を示す。芳香器1は、ACコード11と上ケース12とスイッチ13とを含む。図2は芳香器1からACコード11と上ケース12とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図を(各配線については図3参照)、図4は図2の分解斜視図を示す。芳香器1は、下ケース15とPTCヒータモジュール16と切替機構17とを含む。
【0015】
<ACコード11、上ケース12、スイッチ13>
図1に示すように、上ケース12は、中空の略半球状に形成される。上ケース12は、その内部に下ケース15とPTCヒータモジュール16と切替機構17を収容し、外部から保護し、利用者が後述する芳香剤や放熱筒を触ってしまうのを防止する。上ケース12には拡散した芳香剤を外部に放出するための開口部121が設けられている。ACコード11は、芳香器1内部の機器(例えば、PTCヒータモジュール16)に電流を流す(図3参照)。スイッチ13は電源スイッチであり、ACコード11の差込プラグをプラグ受けに抜き差しせずとも、利用者はスイッチ13のオンとオフを切り替えることで、芳香器1を流れる電流を制御することができる。
【0016】
<下ケース15>
図2及び図4に示すように、下ケース15は、略四角筒状であり、上端は蓋され、蓋部分中央に、カートリッジ14の吸液芯部141の外周よりも大きい孔151が設けられている。下端は開口しており、この開口部からカートリッジ14が挿入される。
【0017】
カートリッジ14は芳香器1とは別品として構成される。カートリッジ14は吸液芯部141と固定キャップ142と容器143とからなる。容器143内部には、加熱されて拡散する液体の芳香剤が収容されている。固定キャップ142の中央部には孔が設けられており、その孔には容器143の内部から外部まで延びる吸液芯部141が嵌挿されている。
【0018】
カートリッジ14は、吸液芯部141の上端部分を除き、下ケース15に覆われる(図2参照)。吸液芯部141の上端部分は下ケース15の孔151を貫通し、PTCヒータモジュール16の放熱筒169に囲まれるように配置される。
【0019】
下ケース15は下端において、放射方向に延長して形成された台部154を備える(図2参照)。台部154は中央に略正方形状の開口部を備える円板状である。下ケース15の円板の台部154の外周縁上面と上ケース12の下端とが接する。
【0020】
図4に示すように下ケース15は、その上端において、PTCヒータモジュール16が設置される設置部152を備える。また、下ケース15は、その側壁において、切替機構17を取り付ける取付部153を備える。取付部153は5つの凸部153a〜153eからなる。
【0021】
なお、下ケース15の内周面と容器143の外周面に係止部を設け、下ケース15にカートリッジ14を挿入した際に、下ケース15に対してカートリッジ14が固定される構成としてもよい。例えば、一方に凸部を、他方に凹部を設け、嵌合することによって固定する。また、下ケース15の下端に蓋を設けて、蓋を閉じることでカートリッジを固定する構造としてもよい。
【0022】
<切替機構17>
切替機構17は、入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する。以下、詳細を説明する。
【0023】
本実施形態では図5に示すように、切替機構17は、スイッチ171と形状記憶バネ172と引張コイルバネ173と回動部材174とを含む。
【0024】
スイッチ171は例えばマイクロスイッチであり、入力端子171aを介して取得した電流を、第一出力端子171bと第二出力端子171cとの何れかから出力する。例えば、スイッチ171がオン状態では第一出力端子171bから出力し、オフ状態では第二出力端子171cから出力する。スイッチ171には、孔171e、171fが形成されている。この孔171e、171fにそれぞれ凸部153a、153bが挿入される。このような構成により、下ケース15に対してスイッチ171の位置が固定される。図6に示すように、入力端子171aはACコード11と接続される。第一出力端子171bはPTCヒータモジュール16の第一電極161と電気的に接続され、第二出力端子171cはPTCヒータモジュール16の第二電極162と電気的に接続される。
【0025】
形状記憶バネ172は、形状記憶合金からなる引張コイルバネであり、所定の温度未満の場合には変形して伸び、所定の温度以上の場合には変形前の形状に回復して縮む。この切替機構17は、形状記憶バネ172を用いて、気温に応じてスイッチ171を制御する。言い換えると、形状記憶バネ172は、気温が所定の温度未満の場合には変形してスイッチ171をオン状態とし、気温が所定の温度以上の場合には変形前の形状に戻りスイッチ171をオフ状態とする。
【0026】
回動部材174は、細長い板状であり、その一端側に孔174aを、その他端に凸部174cを、中央に凸部174bを形成されている。また、凸部174c近傍にはその凸方向に競り上がった壁からなる押下部174dが形成されている。その凸部174b及び174cを備えていない板面と下ケース15の側壁面が対向するように配置される。押下部174dは後述するスイッチ171のレバー171dと係合する。凸部153dが孔174aを貫通し、回動部材174は凸部153dに軸支される。
【0027】
引張コイルバネ173の両端は輪状に形成される。引張コイルバネ173の一端の輪を、凸部174bが貫通し、他端の輪を凸部153eが貫通する。形状記憶バネ172の両端は輪状に形成される。形状記憶バネ172の一端の輪を凸部174cが貫通し、他端の輪を凸部153cが貫通する。
【0028】
所定の温度未満の場合、回動部材174は、凸部153dにより軸支され、その中央部分に存する凸部174bにおいて、引張コイルバネ173により矢印d1方向に引っ張られ、形状記憶バネ172は変形して伸びて、押下部174dがスイッチ171のレバー171dを押下し、スイッチ171をオンの状態にする。
【0029】
所定の温度以上の場合、形状記憶バネ172が回復して縮み、回動部材174は、凸部174cにおいて、形状記憶バネ172により矢印d2方向に引っ張られ、押下部174dはスイッチ171のレバー171dの押圧を解き、スイッチ171をオフの状態にする。
【0030】
<PTCヒータモジュール16>
図7はPTCヒータモジュール16の分解斜視図を示す。PTCヒータモジュール16は、第一電極161と第二電極162と第一PTCヒータ163と第二PTCヒータ164とケース165と第一絶縁体166と共通電極167と第二絶縁体168と放熱筒169とを有する。
【0031】
また、図6及び図8に示すように、第一電極161は、第一PTCヒータ163と電気的に接続し、第二電極162は、第二PTCヒータ164と電気的に接続している。
【0032】
よって、第一出力端子171bから出力された電流は、第一電極161、第一PTCヒータ163、共通電極167に流れる。同様に第二出力端子171cから出力された電流は、第二電極162、第二PTCヒータ164、共通電極167に流れる。
【0033】
なお、PTCヒータとはPTC特性を持ったヒータであり、PTCとはPositive Temperature Coefficient(正温度係数)の略であり、PTC特性とは温度が上がるにつれ、電気抵抗値が正の係数をもって変化する性質のことをいう。PTCヒータは、電流が流れて温度が上がると次第に電気が流れにくくなり、温度が上限に達して安定するとそれ以上電流が流れない。PTCヒータは、例えば、チタン酸バリウムを主成分とする半導体セラミックにより構成し、その構成成分の割合を変更することで、その上限温度を変更することができる。本実施形態では第一PTCヒータ163の上限温度(例えば90度)が第二PTCヒータ164の上限温度(例えば50度)よりも高くなるように設計する。各PTCヒータは、円板状に形成される。
【0034】
ケース165は、絶縁体(合成樹脂等)であり、略直方体状に形成され、放熱筒169に対向する面に開口部を備え、その内部に第一電極161と第二電極162と第一PTCヒータ163と第二PTCヒータ164と第一絶縁体166と共通電極167と第二絶縁体168とを収容する空間を備える。ケース165には、第一電極161の端子部分161aが貫通する貫通孔165aと、第二電極162の端子部分162aが貫通する(図示しない)貫通孔と、共通電極167の端子部分167aが貫通する貫通孔165cと、が形成される。
【0035】
各PTCヒータの熱は、共通電極167を介して、第二絶縁体168に伝わり、更に、第二絶縁体168を介して放熱筒169に伝わる。
【0036】
第一絶縁体166及び第二絶縁体168は例えばセラミックにより形成される。第一絶縁体166は、第一PCTヒータ163及び第二PCTヒータ164の外周面と共通電極167のヒータプレート部167bの前面との短絡を防ぐ。第二絶縁体168は、放熱筒169に電流が流れるのを防ぐ。なお、第二絶縁体168を熱伝導率の高い材質で形成することで、PTCヒータで発生した熱を効率的に放熱筒169に伝えることができる。
【0037】
放熱筒169は、熱伝導率の高い材料(例えば、金属)により形成される。その形状は
略円筒状であり、その内周面が吸液芯部141の上端部分の外周面よりも大きくなるように形成される。例えば、カートリッジ14を下ケース15に挿入する際に、挿入軸が多少ずれても放熱筒169の内周面と吸液芯部141の外周面が接触しない程度の大きさであって、かつ、PTCヒータの加熱時に吸液芯部141の周囲の温度を効率的に上げることができる大きさとなるように形成される。または、放熱筒169は、ケース165に対して自身を固定するための係止部169a、169bを備える。
【0038】
<組立>
例えば、PTCヒータモジュール16は以下のように組み立てる(図7参照)。
【0039】
第一電極161の端子部分161aを貫通孔165aに、ケース165の内壁面と出力板161bとが接するまで挿入し、ケース165に対して第一電極161を固定する。同様に、第二電極162の端子部分162aを貫通孔に、ケース165の内壁面と出力板162bとが接するまで挿入し、ケース165に対して第二電極162を固定する。
【0040】
次に、第一PTCヒータ163の一方の板面と第一電極161の出力板161bとが接するように、ケース165内部に第一PTCヒータ163を配置し、同様に第二PTCヒータ164の一方の板面と第二電極162の出力板162bとが接するように、ケース165内部に第二PTCヒータ164を配置する。
【0041】
第一絶縁体166の背面と共通電極167のヒータプレート部167bの前面とが接するまで、共通電極167の端子部分167aを第一絶縁体166の貫通孔166aに挿入する。
【0042】
端子部分167aは細長い板状であり、前方部分の幅が後方部分の幅よりも狭く形成され、段部167cが設けられている。ケース165の内壁面と段部167cの前方端とが接するまで端子部分167aをケース165の貫通孔165cに挿入する。このとき、第一PTCヒータ163と第二PTCヒータ164との間に、端子部分167aの後方部分が存在し、後方部分の一方の板面と第一PTCヒータ163の他方の板面とが接し、後方部分の他方の板面と第二PTCヒータ164の他方の板面とが接するように各部品が形成され、配置されている。
【0043】
第二絶縁体168は、共通電極167のヒータプレート部167bを覆うように配置する。
【0044】
放熱筒169の係止部169aをケース165の係止部165dに嵌める。また、係止部169bをケース165の底面に設けた図示しない係止部に嵌める。このような構成により、各部品を固定する。例えば、各係止部は、一方を嵌合爪、他方を爪受部として形成する。また、各係止部にネジ孔を設け、ネジにより固定してもよい。
【0045】
さらに、下ケース15の設置部152に図示しないネジ孔を設け(図4参照)、ケース165の孔165eとネジ孔を合わせて、ネジによりPTCヒータモジュール16を下ケース15に対して固定する。
【0046】
なお、カートリッジ14を下ケース15に挿入したときに、放熱筒169が、吸液芯部141の上端部分を包囲するように形成する。
【0047】
<作用・効果>
PTCヒータの温度(以下「ヒータ温度」と呼ぶ)は、上限温度に達するとそれ以上電流が流れないようにPTCヒータ自体が制御するため、上限温度で安定する、言い換えると、ヒータ温度は、気温に左右されず、上限温度で安定する。しかし、吸液芯部141の周囲の温度(以下「周囲温度」と呼ぶ)は、気温に左右される。例えば、気温が10度であっても30度であってもヒータ温度は上限温度(例えば90度)で安定する。一方、周囲温度は、例えば気温が10度の場合には50度になり、気温が30度の場合には60度になる。よって、周囲温度に応じて、拡散量が変化するため(言い換えると、拡散量は周囲温度に比例する)、ヒータ温度が一定であっても気温が変化することで周囲温度が変化して、拡散量は増減し(図9Bの実線参照)、香りの強弱が生じてしまう。つまり、暑い日には芳香剤の香りが強く、寒い日には芳香剤の香りが弱いといったばらつきが生じてしまう。
【0048】
そこで、上述の構成により、上限温度の異なる二つのPTCヒータを用意し、気温が高い場合には上限温度の低い第二PTCヒータ164に電流を流し、気温が低い場合には上限温度の高い第一PTCヒータ163に電流を流す。このような構成とすることで、周囲温度を略一定に保つようにする(図9A参照)。そして、周囲温度を略一定に保つことで、拡散量を略一定に保ち(図9Bの一点鎖線参照)、香りの強さを略一定に保つことができる。なお、図9A、Bにおいて、気温がt度(例えばt=25℃)のときに、PTCヒータを切り替えていることを表す。
【0049】
<第二実施形態に係る芳香器2>
第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。図10は芳香器2の斜視図を示す。芳香器2は、ACコード11と上ケース22とスイッチ13とを含む。図11は芳香器1からACコード11と上ケース22とスイッチ13と各配線を取り外した状態の斜視図を、図12は図11の分解斜視図を示す。芳香器1は、下ケース25と第一PTCヒータモジュール26Aと第二PTCヒータモジュール26Bと切替機構17とを含む。
【0050】
<上ケース22>
図10に示すように、上ケース22は、中空の略直方体状に形成される。上ケース22は、その内部に下ケース25と第一PTCヒータモジュール26Aと第二PTCヒータモジュール26Bと切替機構17を収容する。上ケース22には拡散した芳香剤を外部に放出するための開口部221A、221Bが設けられている。
【0051】
<下ケース25>
図11及び図12に示すように、下ケース25は、略四角筒状であり、上端は蓋され、蓋部分に、カートリッジ24の吸液芯部241A、241Bの外周よりも大きい孔251A、251Bが設けられている。下端は開口しており、この開口部からカートリッジ24が挿入される。
【0052】
カートリッジ24は芳香器2とは別品として構成される。カートリッジ24は吸液芯部241A、241Bと固定キャップ242A、242Bと容器243とからなる。容器243内部には、加熱されて拡散する液体の芳香剤が収容されている。固定キャップ242A、242Bの中央部分には孔が設けられており、その孔には容器243の内部から外部まで延びる吸液芯部241A、241Bがそれぞれ挿入されている。
【0053】
カートリッジ24は、吸液芯部241A、241Bの上端部分を除き、下ケース25に覆われる(図11参照)。吸液芯部241A、241Bの上端部分は下ケース25の孔251A、251Bを貫通し、それぞれ第一PTCヒータモジュール26Aの放熱筒269A、第二PTCヒータモジュール26Bの放熱筒269Bに囲まれるように配置される。
【0054】
下ケース25は下端において、放射方向に延長して形成された楕円形板状の台部254を備える(図11参照)。台部254は中央に略矩形状の開口部を備える円板状である。下ケース25の円板の台部254の外周縁上面と上ケース22の下端とが接する。
【0055】
図12に示すように下ケース25は、その上端において、第一PTCヒータモジュール26A、第二PTCヒータモジュールがそれぞれ設置される設置部252A、252Bを備える。
【0056】
<第一PTCヒータモジュール26A、第二PTCヒータモジュール26B>
図13は第一PTCヒータモジュール26Aの分解斜視図を示す。
【0057】
第一PTCヒータモジュール26Aは、電極261Aと電極267AとPTCヒータ263Aとケース265Aと絶縁体268Aと放熱筒269Aとを有する。なお、第二PTCヒータモジュール26Bも同様の構成(電極261Bと電極267BとPTCヒータ263Bとケース265Bと絶縁体268Bと放熱筒269B)を有するので、説明を省略する。
【0058】
また、図14に示すように、電極261Aは、PTCヒータ263Aと電気的に接続している。
【0059】
よって、第一出力端子171bから出力された電流は、電極261A、PTCヒータ263A、電極267Aに流れる。
【0060】
PTCヒータ263A、263Bの構成は、それぞれ第一実施形態の第一PTCヒータ163、第二PTCヒータ164と同様であり、PTCヒータ263Aの上限温度(例えば90度)がPTCヒータ263Bの上限温度(例えば50度)よりも高くなるように設計する。
【0061】
ケース265Aは、略直方体状に形成され、放熱筒269Aに対向する面に開口部を備え、その内部に電極261AとPTCヒータ263Aと電極267Aと絶縁体268Aとを収容する空間を備える。ケース265Aには、電極261Aの端子部分261Aaが貫通する貫通孔265Aaと、電極267Aの端子部分267Aaが貫通する貫通孔265Abと、が形成される。
【0062】
PTCヒータ263Aの熱は、電極267Aを介して、絶縁体268Aに伝わり、更に、絶縁体268Aを介して放熱筒269Aに伝わる。絶縁体268A、放熱筒269Aはそれぞれ第二絶縁体168、放熱筒169と同様の構成である。
【0063】
<組立>
例えば、第一PTCヒータモジュール26Aは以下のように組み立てる(図13参照)。
【0064】
電極261Aの端子部分261Aaを貫通孔265Aaに、ケース265Aの内壁面と出力板261Abの前面とが接するまで挿入し、ケース265Aに対して電極261Aを固定する。
【0065】
次に、PTCヒータ263Aの前面と電極261Aの出力板261Abの背面とが接するように、ケース265A内部にPTCヒータ263Aを配置する。
【0066】
電極267Aの端子部分267Aaを貫通孔265Abに、PTCヒータ263Aの背面と電極267Aのヒータプレート部267Abの前面とが接するまで挿入し、ケース265Aに対して電極267Aを固定する。このようにして、電極261Aと電極267Aとで、PTCヒータ263Aを挾持する。
【0067】
絶縁体268Aは、電極267Aのヒータプレート部267Abを覆うように配置する。
【0068】
放熱筒269Aの係止部269Aaをケース265Aの係止部265Adに嵌める。また、係止部269Abをケース265Aの底面に設けた図示しない係止部に嵌める。
【0069】
放熱筒269Aとケース265Aとの係止方法、下ケース25に対する第一PTCヒータモジュール26A、第二PTCヒータモジュール26Bの固定方法は第一実施形態と同様の方法を用いることができる。
【0070】
<効果>
このような構成とすることで、第一実施形態と同様の効果を得ることができる。但し、第一実施形態よりも部品点数が多くなり、コストが高くなる。
【0071】
<第一変形例>
第二実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第二実施形態ではPTCヒータ263Aの上限温度がPTCヒータ263Bの上限温度よりも高くなるように設計しているが、PTCヒータ263AとPTCヒータ263Bの上限温度を同一としてもよい。その場合、カートリッジ24はその内部に仕切りを設け、香りの濃さの異なる二つの芳香剤を収容しておく。吸液芯部241Aが浸る芳香剤の濃さを、吸液芯部241Bが浸る芳香剤の濃さよりも高く設定する。吸液芯部の周囲温度は気温に応じて上昇し、拡散量も増加するが、気温が低い場合には濃さの高い芳香剤を拡散し、気温が高い場合には濃さの低い芳香剤を拡散するため、香りの強さを略一定に保つことができる。
【0072】
<第二変形例>
第一変形例と異なる部分についてのみ説明する。第一変形例では、カートリッジ24はその内部に仕切りを設け、香りの濃さの異なる二つの芳香剤を収容しておいたが、本変形例では、香りの種類の異なる二つの芳香剤を収容しておく。例えば、一方の芳香剤は、温かい香り(言い換えると、温かみのある香り、例えば、薔薇の香りやフルーツの香り、柑橘系の香り)であり、他方の芳香剤は爽やかな香り(言い換えると、涼を誘う香り、例えば、森林浴の香り、石鹸の香り、ハーブの香り、ミント系の香り)である。
【0073】
吸液芯部241Aが浸る芳香剤は温かい香りとし、吸液芯部241Bが浸る芳香剤は爽やかな香りとする。吸液芯部の周囲温度は気温に応じて上昇し、拡散量も増加するが、気温が低い場合には温かい香りの芳香剤を拡散し、気温が高い場合には爽やかな香りの芳香剤を拡散する。そのため、暑い日には爽やかな香りを、寒い日には温かい香りを利用者に提供することができる。
【0074】
<その他の変形例>
PTCヒータを用いずに、ニクロム線やカーボン繊維など一般的なヒータを用いる構成としてもよい。但し、一般的なヒータの場合、電流が流れると温度が上がり続けるので、温度センサ(サーミスタ)を使ってヒータ温度を測定し、マイコン制御により上限値よりも高くなったらヒータへの電力の供給を停止し、下限値よりも低くなったら電力の供給を再開する。また、マイコン制御に代えて、特許文献1記載のバイメタルスイッチと一般的なヒータを使ってヒータ温度を一定に保ってもよい。第一実施形態や第二実施形態のように、二つのヒータの上限温度を異なるものとする場合には、一方のヒータの下限値と上限値の組合せ(例えば85度から95度)が、他方のヒータの上限値と下限値の組合せ(例えば45度から55度)よりも高くなるように設計すればよい。但し、PCTヒータに比べ、部品点数が多くなり、コストが高くなる。また、電力供給をオンオフするため、ヒータ温度は上昇と下降を繰り返し、PTCヒータに比べると安定しない。また、PTCヒータに比べると消費電力量が大きくなる。さらに、PTCヒータは電流が流れ続けても温度が上昇し続けることがないため安全性が高い。
【0075】
切替機構17は、第一実施形態において説明した以外の構造であってもよい。形状記憶バネ172が温度センサ兼アクチュエータとして機能し、形状記憶バネ172の変化(変形、回復)により、スイッチ171のレバー171dを押下、解除すればよい。他の例を図15A及び図15Bに示す。また、スイッチ171も必ずしもマイクロスイッチである必要はなく、アクチュエータとして機能する形状記憶バネ172の変化によってオンオフ制御されるスイッチであればよい。
【0076】
さらに、切替機構17は、形状記憶バネ172やスイッチ171を用いずに、温度センサ(サーミスタ)を使って気温を測定し、測定結果を利用してマイコン制御により電流を流すPTCヒータを切り替える構成としてもよい。但し、その場合、部品点数が多くなり、コストが高くなる。
【0077】
また、第二実施形態の第一変形例と第二変形例を組合せて香りの種類及び香りの濃さの異なる芳香剤をカートリッジ24に収容してもよい。
【0078】
また、第二実施形態の変形例において、カートリッジはその内部に仕切りを設けているが、香りの濃さや種類の異なる芳香剤を別個のカートリッジに分けて収容するようにしておいてもよい。このような構成とすることで利用者はより容易に所望の香りの濃さや種類を組合せることができる。
【0079】
マイコン制御により、または、上述の切替機構17を組合せて制御することにより、3個以上のPTCヒータを制御し、香りの種類や香りの濃さを3以上に分けてもよい。このとき、ヒータモジュールの個数をNとし、n=1,2,…,Nとし、tn<tn+1とすると、マイコンまたは切替機構17の組合せからなる切替機構は、入力端子を介して取得した電流を、気温がtn以上tn+1未満の場合には、第n出力端子から出力する。N個のヒータモジュールを含み、第nヒータモジュールは、第nヒータと、第n出力端子及び第nヒータと電気的に接続する第n電極と、を有する。n’=1,2,…,N、n≠n’であり、第n芳香剤と第n’芳香剤の香りの(1)種類、(2)濃さの少なくとも何れか一方は異なるものとする。第n出力端子から電力の供給を受けて、第nヒータモジュールは第n芳香剤を加熱する。このような構成とすることで、気温に応じて、香りの(1)種類、(2)濃さが異なる芳香剤を拡散することができる。
【0080】
カートリッジを芳香器の一部としてもよい。
【0081】
本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、
第一ヒータと、前記第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、前記第一出力端子及び前記第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、前記第二出力端子及び前記第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、前記第一ヒータ及び前記第二ヒータと電気的に接続する共通電極と、を有するヒータモジュールと、を含む、
芳香器。
【請求項2】
入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、
第一ヒータと、前記第一出力端子及び前記第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一ヒータモジュールと、
前記第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、前記第二出力端子及び前記第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二ヒータモジュールと、を含む、
芳香器。
【請求項3】
入力端子を介して取得した電流を、所定の温度未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の温度以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、
第一PTCヒータと、前記第一出力端子及び前記第一PTCヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一PTCヒータモジュールと、
第二PTCヒータと、前記第二出力端子及び前記第二PTCヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二PTCヒータモジュールと、を含み、
第一芳香剤と第二芳香剤の香りの(1)種類、(2)濃度の少なくとも何れか一方は異なるものとし、前記第一PTCヒータモジュールは前記第一芳香剤を加熱し、前記第二PTCヒータモジュールは前記第二芳香剤を加熱する、
芳香器。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の芳香器であって、
前記第一ヒータと前記第二ヒータは、PTCヒータである、
芳香器。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の芳香器であって、
前記切替機構は、入力端子を介して取得した電流を、オン状態では第一出力端子から出力し、オフ状態では第二出力端子から出力するマイクロスイッチと、気温が所定の気温未満の場合には変形して前記マイクロスイッチをオン状態とし、気温が所定の気温以上の場合には変形前の形状に戻り前記マイクロスイッチをオフ状態とする形状記憶バネを含む、
芳香器。
【請求項1】
入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、
第一ヒータと、前記第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、前記第一出力端子及び前記第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、前記第二出力端子及び前記第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、前記第一ヒータ及び前記第二ヒータと電気的に接続する共通電極と、を有するヒータモジュールと、を含む、
芳香器。
【請求項2】
入力端子を介して取得した電流を、所定の気温未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の気温以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、
第一ヒータと、前記第一出力端子及び前記第一ヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一ヒータモジュールと、
前記第一ヒータよりも低い上限温度を備える第二ヒータと、前記第二出力端子及び前記第二ヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二ヒータモジュールと、を含む、
芳香器。
【請求項3】
入力端子を介して取得した電流を、所定の温度未満の場合には第一出力端子から出力し、所定の温度以上の場合には第二出力端子から出力する切替機構と、
第一PTCヒータと、前記第一出力端子及び前記第一PTCヒータと電気的に接続する第一電極と、を有する第一PTCヒータモジュールと、
第二PTCヒータと、前記第二出力端子及び前記第二PTCヒータと電気的に接続する第二電極と、を有する第二PTCヒータモジュールと、を含み、
第一芳香剤と第二芳香剤の香りの(1)種類、(2)濃度の少なくとも何れか一方は異なるものとし、前記第一PTCヒータモジュールは前記第一芳香剤を加熱し、前記第二PTCヒータモジュールは前記第二芳香剤を加熱する、
芳香器。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の芳香器であって、
前記第一ヒータと前記第二ヒータは、PTCヒータである、
芳香器。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載の芳香器であって、
前記切替機構は、入力端子を介して取得した電流を、オン状態では第一出力端子から出力し、オフ状態では第二出力端子から出力するマイクロスイッチと、気温が所定の気温未満の場合には変形して前記マイクロスイッチをオン状態とし、気温が所定の気温以上の場合には変形前の形状に戻り前記マイクロスイッチをオフ状態とする形状記憶バネを含む、
芳香器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−31501(P2013−31501A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168157(P2011−168157)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
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