説明

芳香族保存料及び抗酸化剤を含有してなる高濃縮第VII因子ポリペプチド製剤

本発明は、少なくとも10mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)を含有してなり、場合によって該組成物は更なる成分を含むが、ただしこの更なる成分はいずれも、(a) 亜鉛を除く酸化状態+IIの第一遷移系列金属からなる群から選択される金属を含有する薬剤、及び(b) −C(=N−Z−R1)−NH−Z−Rモチーフを含有する安定剤、から選択される第VII因子ポリペプチド安定剤でない、製薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃縮の第VII因子ポリペプチド、バッファ剤、及び少なくとも一の芳香族保存料と少なくとも一の抗酸化剤との組合せを含有してなる、新規のすぐに使用できる第VII因子ポリペプチド製剤(以下、液体水性製薬組成物)に関する。
【背景技術】
【0002】
凝固カスケードに関与する第VII因子は、様々な病理学的症状を治療するための有用な治療剤であることが明らかとなった。したがって、製薬的に許容され、均一かつ一定の臨床効果を表す、活性化第VII因子ポリペプチドを含有してなる製剤の需要が高まっている。
現在市販の、組み換えて作製される第VII因子ポリペプチド組成物であるNovoSeven(登録商標) (Novo Nordisk A/S, Denmark)は、例えば1.2mg 組換えヒト第VIIa因子、5.84mg NaCl、2.94mg CaCl、2 HO、2.64mg GlyGly、0.14mg ポリソルベート80、及び60.0mg マンニトールを含有するバイアル(およそ3.0mlの容量)として提供される。この製品は、使用前に2.0mlの注入用水(WFI)にてpH5.5に再構成されて、およそ0.6mg/mlの第VII因子ポリペプチドの濃度となる。
多量な(例えば10−20mg)活性化第VII因子ポリペプチド(例えばrhFVIIa)の投与が必要な治療に用いる場合、典型的に注入によって非常に多くの量(例えば15−30ml)を投与する必要があるため、NovoSeven(登録商標)組成物のような製剤を用いるのは不便である。
したがって、比較的高い濃度で活性化第VII因子ポリペプチドを含有する液体製薬製品の需要がある。
【0003】
第VII因子ポリペプチドの液体製剤は自動溶解によって分解される。これは高濃縮製剤に特に急性に働き、液体安定性を制限する。第VII因子インヒビター/安定剤を含有する第VII因子ポリペプチドの液体製剤は既に記載されている。しかしながら、これら第VII因子インヒビター/安定剤は、第VII因子ポリペプチド分子とともに注入されており、第VII因子インヒビター/安定剤のヒトに対する作用は一般的に知られていない。
国際公開2005/002615A1は、第VII因子ポリペプチド、およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤、少なくとも一の金属含有剤を含んでなる液体の水性製薬組成物であって、該金属が亜鉛を除く酸化状態+II;及び非イオン性界面活性剤の第一遷移系列金属からなる群から選択される組成物を開示している。銅など、このクラスのイオンの中には公知の毒性があるものがあり、この種の製剤をヒトへの投与に適さなくしうる。
国際公開2005/016365A1は、少なくとも0.01mg/mlの第VII因子ポリペプチド(i)、およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤(ii)、及び−C(=N−Z−R)−NH−Z−Rモチーフ(例えばベンズアミジン又はアルギニン)を含む少なくとも一の安定剤(iii)、を含有してなる液体の水性製薬組成物を開示している。L−アルギニンなどのこのクラスの化合物の中には、血圧を低下させる効果があることが知られており、この種の製剤をヒトへの投与に適さなくしうる。
【0004】
液体製剤は注入用製薬製品に適している。いくつかの注射用量が同じバイアルから取り出される場合、保存料が監督官庁から必須条件として課せられることが多い。多くの異なる化合物が注入用製品の保存料として用いられている(S. Nema, N.R. Washkuhn and R.J. Brendel: Excipients and their use in injectable products, PDA Journal of Pharmaceutical Science and Technology 51 (4), 166-171)。
Catharina Margrethe Lerche and Charlotte Petersen (Pharmaceutical University of Denmark, 2004)は”Et studie af mikrotiterpladers anvendelse i formuleringsscreening af proteiner - med rFVIIa som modelstof”において、1mg/mlの活性化第VII因子と2mg/mlのメタ−クレゾールを含有するが抗酸化剤を含有しない製剤を開示している。この筆者等は驚くべきことに、メタ−クレゾールの存在下では、25℃で4週間インキュベートした後におよそ30%のタンパク質分子が酸化されることを発見し、このことから、保存料を有する製剤はタンパク質の安定性に対して非常に有害であることが示唆される。
【発明の概要】
【0005】
本発明者等は、抗酸化剤と組み合わせた芳香族保存料が第VII因子ポリペプチド(例えばRFVIIA)の活性を阻害し、高濃縮の第VII因子ポリペプチドを有する製剤の安定性を上げることを発見した。これら化合物は、既にヒトの注入の承認を得ている。本発明は、阻害作用が化合物の芳香族の性質に関連しているという仮説に基づく。
本発明の第一の態様は、
少なくとも10mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなる液体の水性製薬組成物であって、
場合によって該組成物は更なる成分を含むが、ただしこの更なる成分はいずれも、(a) 亜鉛を除く酸化状態+IIの第一遷移系列金属からなる群から選択される金属を含有する薬剤、及び(b) −C(=N−Z−R)−NH−Z−Rモチーフを含有する安定剤、から選択される第VII因子ポリペプチド安定剤でない、液体の水性製薬組成物に関する。
【0006】
本発明の第二の態様は、医薬として使用するための本明細書中で定義される液体の水性製薬組成物に関する。
本発明の第三の態様は、第VII因子応答性症候群を治療するための医薬を調製するための、本明細書中で定義される液体の水性製薬組成物に関する。
本発明の第四の態様は、必要とする被検体に本明細書中で定義される液体の水性製薬組成物の有効量を投与することを含む、第VII因子応答性症候群の治療方法に関する。
本発明の第五の態様は、本明細書中で定義される液体の水性製薬組成物と場合によって不活性ガスを内包する密封容器に関する。
【0007】
本発明の第六の態様は、
(a) 凍結乾燥した形態で、少なくとも第VII因子ポリペプチド(i)を収容する第一の容器、
(b) バッファ剤(ii)と少なくとも一の芳香族保存料(iii)を少なくとも含む水性再構成液体を収容する第二の容器
を具備する、本明細書中で定義される組成物を調製するためのキットに関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】選択した芳香族保存料(フェノール及びm−クレゾール)の存在下におけるrFVIIaのアミド溶解活性。
【図2】選択した保存剤(フェノール及びm−クレゾール)の漸増濃度下における15mg/mlのrFVIIaの濁度。
【図3】30mMのm−クレゾールと漸増濃度のポロキサマー(poloxamer)-188の存在下における15mg/mlのrFVIIaの濁度。
【図4】30mM m−クレゾールの有無の下における5mg/mlのrFVIIaを含有する試料における重鎖断片の形態。この試料は37℃に3日間置いた。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
上記のように、本発明は、高濃縮の第VII因子ポリペプチドを含有する新規の安定化した液体の水性製薬組成物の開発にある。
より具体的には、液体の水性製薬組成物は、
少なくとも10mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
少なくとも1mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなり、
場合によって該組成物は更なる成分を含むが、ただしこの更なる成分はいずれも、(a) 亜鉛を除く酸化状態+IIの第一遷移系列金属からなる群から選択される金属を含有する薬剤、及び(b) −C(=N−Z−R)−NH−Z−Rモチーフを含有する安定剤、から選択される第VII因子ポリペプチド安定剤でない。
【0010】
第VII因子ポリペプチド (i)
第VII因子ポリペプチドと組み合わされて他の活性な成分が含まれうるが、製薬組成物の生物学的効果は主に、第VII因子ポリペプチドの存在によるものである。
本明細書中で用いる「第VII因子ポリペプチド」なる用語には、野生型第VII因子(すなわち米国特許第4784950号に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)、野生型第VII因子と比較して実質的に同じか改善された生物学的活性を示す第VII因子の変異体、並びに第VII因子誘導体及び第VII因子コンジュゲートが含まれる。「第VII因子」なる用語は、それらの非切断(チモーゲン)型の第VII因子ポリペプチド、並びに第VIIa因子と称されうるそれぞれ生物活性型を得るようにタンパク質分解されてプロセシングされている第VII因子ポリペプチドを包含することを意図する。一般的に、第VII因子は、残基152と153の間で切断されて第VIIa因子となる。「第VII因子ポリペプチド」なる用語には、第VIIa因子の生物学的活性が野生型第VIIa因子の活性と比較して実質的に修飾されているかいくらか低減している変異体、誘導体及びコンジュゲートを含むポリペプチドも包含される。これらポリペプチドには、限定するものではないが、該ポリペプチドの生物学的活性を変更するか又は破壊するように特定のアミノ酸配列の変更が導入されている第VII因子又は第VIIa因子が含まれる。
血液凝固の際の第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 組織因子(TF)に結合する、及び(ii) 第IX因子又は第X因子のタンパク質分解性の切断を媒介して活性化した第IX因子又は第X因子(それぞれ第IXa因子又は第Xa因子)を生成するという能力に由来する。
【0011】
本発明のために、第VII因子ポリペプチドの生物学的活性(「第VII因子生物学的活性」)は、調製物の血液凝固を促進する能力を測定することによって定量化されうる(本明細書中のアッセイ4を参照)。このアッセイにおいて、生物学的活性は、コントロール試料に対する凝固時間の減少として表され、1単位/mlの第VII因子活性を含むプールしたヒト血清標準物質との比較により、「第VII因子単位」に変換される。あるいは、第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 脂質膜に包埋されたTF及び第X因子を含む系における第VII因子ポリペプチド(例えば第VIIa因子)の活性化第X因子(第Xa因子)生産能の測定(Persson等, J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii) 水性の系における第X因子の加水分解の測定(「インビトロタンパク質分解アッセイ」、下記のアッセイ2を参照);(iii) 表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)を基礎とする装置を用いた、第VII因子ポリペプチド(例えば第VIIa因子)のTFへの物理的な結合の測定(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);(iv) 第VII因子ポリペプチド(例えば第VIIa因子)による合成基質の加水分解の測定(「インビトロ加水分解アッセイ」、下記のアッセイ1を参照);又は(v) TF-非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成の測定(下記のアッセイ3を参照)によって、定量化されうる。
野生型第VIIa因子と比較して実質的に同じか又は改善された生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記の凝固アッセイ(アッセイ4)、タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)又はTF結合アッセイの一又は複数にて試験された場合に、同じ細胞型で生産された第VIIa因子の特定の活性の少なくともおよそ25%、好ましくは少なくともおよそ50%、より好ましくは少なくともおよそ75%及び最も好ましくは少なくともおよそ90%を表すものを包含する。野生型第VIIa因子と比較して実質的に低減した生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記の凝固アッセイ(アッセイ4)、タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)又はTF結合アッセイの一又は複数にて試験された場合に、同じ細胞型で生産された野生型第VIIa因子の特定の活性のおよそ25%未満、好ましくはおよそ10%未満、より好ましくはおよそ5%未満及び最も好ましくはおよそ1%未満を表すものを包含する。野生型第VII因子と比較して実質的に修飾された生物学的活性を有する第VII因子変異体には、TF-非依存性第X因子タンパク質分解活性を示す第VII因子変異体及びTFを結合するが第X因子を切断しない変異体が含まれるが、これらに限定するものではない。
野生型第VII因子と実質的に同じかより良好な生物学的活性を示すか、ないしは野生型第VII因子と比較して実質的に修飾されたか低減した生物学的活性を示す第VII因子の変異体には、一又は複数のアミノ酸を挿入、欠失又は置換することによって野生型第VII因子の配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが、これに限定するものではない。
【0012】
本明細書中で用いられる「第VII因子誘導体」なる用語は、野生型第VII因子に対して相対的に同じか又は改善された生物学的活性を実質的に示すFVIIポリペプチドを表すことを意図し、このFVIIポリペプチドにおいて、親ペプチドの一又は複数のアミノ酸が、例えばアルキル化、グリコシル化、PEG化、アシル化、エステル形成又はアミド形成などによって遺伝的に及び/又は化学的に及び/又は酵素的に修飾されている。これには、PEG化されたヒト第VIIa因子、システイン-PEG化ヒト第VIIa因子及びその変異体を含むが、これらに限定されるものではない。第VII因子誘導体の非限定的な例には、国際公開第03/31464号及び米国公開特許第20040043446号、同第20040063911号、同第20040142856号、同第20040137557号、同第20040132640号、国際公開第2007022512号及び米国公開第20070105755号(Neose Technologies, Inc.)に開示されるグリコPEG化FVII誘導体;国際公開第01/04287号、米国公開特許第20030165996号、国際公開第01/58935号、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)及び国際公開第02/02764号、米国公開特許第20030211094号(University of Minnesota)に開示されるFVIIコンジュゲートが含まれる。
【0013】
「改善された生物学的活性」なる用語は、i) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加したタンパク質分解活性を有するFVIIポリペプチド、又はii) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加したTF結合活性を有するFVIIポリペプチド、又はiii) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加した血漿中の半減期を有するFVIIポリペプチドを指す。「PEG化されたヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子ポリペプチドにコンジュゲートされたPEG分子を有するヒト第VIIa因子を意味する。PEG分子が、第VIIa因子ポリペプチドのいずれかのアミノ酸残基又は糖鎖を含む第VIIa因子ポリペプチドのいずれかの部分に付着しうることは理解される。「システイン-PEG化ヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子に導入されるシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートされるPEG分子を有する第VIIa因子を意味する。
野生型第VII因子と比較して実質的に同じ生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa( Lino等, Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);米国特許第5580560号に開示される、増加したタンパク質分解性安定性を表すFVIIa変異体;残基290と291又は残基315と316の間でタンパク質分解的に切断されている第VIIa因子(Mollerup等, Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);第VIIa因子の酸化型(Kornfelt等, Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189に開示されるFVII変異体;及び、国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute)に開示される、増加したタンパク分解性安定性を表すFVII変異体;国際公開第99/20767号(University of Minnesota)に開示される、変性Gla-ドメインを有し、亢進した膜結合を示すFVII変異体;及び、国際公開第01/58935号(Maxygen ApS)に開示されるFVII変異体が含まれる。
【0014】
野生型FVIIaと比較して増加した生物学的活性を有するFVII変異体の非限定的な例には、国際公開第01/83725号(Novo Nordisk)、国際公開第02/22776号(Novo Nordisk)、国際公開第02/077218号(Novo Nordisk)、国際公開第03/027147号(Novo Nordisk)、国際公開第03/37932号、国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute)に開示されるFVII変異体;及び、特願2001061479(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示される、亢進された活性を有するFVIIa変異体が含まれる。
野生型第VII因子と比較して実質的に低減したか又は修飾した生物学的活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、R152E-FVIIa (Wildgoose et al., Biochem 29:3413-3420, 1990)、S344A-FVIIa (Kazama et al., J. Biol. Chem. 270:66-72, 1995)、FFR-FVIIa (Holst et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15:515-520, 1998)、及びGlaドメインを欠く第VIIa因子(Nicolaisen et al., FEBS Letts. 317:245-249, 1993)が含まれる。
【0015】
第VII因子ポリペプチドの例には、野生型第VII因子、L305V-FVII、L305V/M306D/D309S-FVII、L305I-FVII、L305T-FVII、F374P-FVII、V158T/M298Q-FVII、V158D/E296V/M298Q-FVII、K337A-FVII、M298Q-FVII、V158D/M298Q-FVII、L305V/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII、V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII、K157A-FVII、E296V-FVII、E296V/M298Q-FVII、V158D/E296V-FVII、V158D/M298K-FVII、及びS336G-FVII、L305V/K337A-FVII、L305V/V158D-FVII、L305V/E296V-FVII、L305V/M298Q-FVII、L305V/V158T-FVII、L305V/K337A/V158T-FVII、L305V/K337A/M298Q-FVII、L305V/K337A/E296V-FVII、L305V/K337A/V158D-FVII、L305V/V158D/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V-FVII、L305V/V158T/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V-FVII、L305V/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、L305V/V158D/E296V/K337A?FVII、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/K316H-FVII、S314E/K316Q-FVII、S314E/L305V-FVII、S314E/K337A-FVII、S314E/V158D-FVII、S314E/E296V-FVII、S314E/M298Q-FVII、S314E/V158T-FVII、K316H/L305V-FVII、K316H/K337A-FVII、K316H/V158D-FVII、K316H/E296V-FVII、K316H/M298Q-FVII、K316H/V158T-FVII、K316Q/L305V-FVII、K316Q/K337A-FVII、K316Q/V158D-FVII、K316Q/E296V-FVII、K316Q/M298Q-FVII、K316Q/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D-FVII、S314E/L305V/E296V-FVII、S314E/L305V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/V158T-FVII、S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/K337A/E296V-FVII、S314E/L305V/K337A/V158D-FVII、S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V-FVII、S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V-FVII、S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D-FVII、K316H/L305V/E296V-FVII、K316H/L305V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/V158T-FVII、K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/K337A/E296V-FVII、K316H/L305V/K337A/V158D-FVII、K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V-FVII、K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V-FVII、K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A ?FVII、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D-FVII、K316Q/L305V/E296V-FVII、K316Q/L305V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII、K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII、K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII、K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII、K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII、K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A ?FVII、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/K337A-FVII、F374Y/V158D-FVII、F374Y/E296V-FVII、F374Y/M298Q-FVII、F374Y/V158T-FVII、F374Y/S314E-FVII、F374Y/L305V-FVII、F374Y/L305V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D-FVII、F374Y/L305V/E296V-FVII、F374Y/L305V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T-FVII、F374Y/L305V/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E-FVII、F374Y/K337A/V158T-FVII、F374Y/K337A/M298Q-FVII、F374Y/K337A/E296V-FVII、F374Y/K337A/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q-FVII、F374Y/V158D/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q-FVII、F374Y/V158T/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E-FVII、F374Y/S314E/M298Q-FVII、F374Y/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII、F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII、F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII、F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII、F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII、F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII、F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII、F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII、F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII、F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII、F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII、F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII、F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII、F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII、F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII、F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A ?FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII、S52A-第VII因子、S60A-第VII因子;R152E-第VII因子、S344A-第VII因子、Glaドメインを欠く第VIIa因子;及びP11Q/K33E-FVII、T106N-FVII、K143N/N145T-FVII、V253N-FVII、R290N/A292T-FVII、G291N-FVII、R315N/V317T-FVII、K143N/N145T/R315N/V317T-FVII;及び233Thrから240Asnのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII、304Argから329Cysのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII、及びアミノ酸配列Ile153−Arg223に置換、付加又は欠失を有するFVIIが含まれるが、これらに限定されるものではない。
したがって、第VII因子ポリペプチドの置換変異体には、位置P10、K32、L305、M306、D309、L305、L305、F374、V158、M298、V158、E296、K337、M298、M298、S336、S314、K316、K316、F374、S52、S60、R152、S344、T106、K143、N145、V253、R290、A292、G291、R315、V317での置換、及びT233からN240まで、又はR304からC329までのアミノ酸配列中の置換、付加又は欠失;又はI153からR223まで、又はこれらの組み合わせ、特に、P10Q、K32E、L305V、M306D、D309S、L305I、L305T、F374P、V158T、M298Q、V158D、E296V、K337A、M298Q、M298K、S336G、S314E、K316H、K316Q、F374Y、S52A、S60A、R152E、S344A、T106N、K143N、N145T、V253N、R290N、A292T、G291N、R315N、V317Tなどの変異、及びT233からN240まで、又はR304からC329まで、又はI153からR223までのアミノ酸配列中の置換、付加又は欠失、又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドはヒト第VIIa因子(hFVIIa)であり、好ましくは組み換えて作製したヒト第VIIa因子(rhFVIIa)である。
他の実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子配列変異体である。
いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドは野生型ヒト第VII因子とは異なるグリコシル化を有する。
いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドはペグ化したFVII誘導体であり、好ましくはグリコペグ化したFVII誘導体である。
現在最も興味深い実施態様では、タンパク質は活性化形態の第VII因子ポリペプチドである。
【0017】
様々な実施態様、例えば、第VII因子ポリペプチドが第VII因子配列変異体である実施態様では、第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との比率は、本明細書において記載されるように、「インビトロタンパク質分解アッセイ」(アッセイ2)において試験された場合に、少なくともおよそ1.25、好ましくは少なくともおよそ2.0、又は4.0、最も好ましくは少なくともおよそ8.0である。
いくつかの実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子変異体であり、このとき該第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との比率は、「インビトロ加水分解アッセイ」(以下のアッセイ1を参照)にて試験された場合に、少なくともおよそ1.25であり、他の実施態様では、比率は少なくともおよそ2.0であり、更なる実施態様では、比率は少なくともおよそ4.0である。
製薬組成物では、活性成分の濃度は、単位用量の適用が患者に不必要は不快感を引き起こさないようにするのが望ましい場合が多い。したがって、およそ2−10mlより多い単位用量は望ましくない場合が多い。したがって、本発明のためには、第VII因子ポリペプチドの濃度は非常に高く、すなわち少なくとも10mg/mlである。異なる実施態様では、第VII因子ポリペプチドは、10−90mg/mL;12−80mg/mL;16−80mg/mL;22−70mg/mL;22−60mg/mL;22−50mg/mL;又は25−50mg/mLの濃度で存在する。
第VIIa因子の濃度は、便宜上、mg/mL又はIU/mLと表し、1mgは通常43000−56000IU以上を表す。
【0018】
バッファ剤 (ii)
ヒトなどの哺乳動物に直接非経口投与するために有用な液体の水性製薬組成物にするために、通常、組成物のpH値をおよそ5.0からおよそ9.0などの一定の範囲内に保つ必要がある。一定条件下で適切なpH値に確実にするために、製薬組成物は、およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適切なバッファ剤(ii)も含む。
「バッファ剤」なる用語は、溶液のpHをおよそ5.0からおよそ9.0の許容される範囲に維持する薬剤ないしは薬剤の組合せを包含する。
一実施態様では、バッファ剤(ii)は、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えばナトリウム又は酢酸カルシウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸及びコハク酸の塩類及び酸からなる群から選択される少なくとも一の成分である。バッファ剤は、混合物が特定の範囲のpH値を提供することができる場合に2以上の成分の混合物を含みうることは理解されるであろう。実施例は上記の酢酸及び酢酸ナトリウムなどであってもよい。
バッファ剤の濃度は、溶液の好適なpHを維持するために選択される。様々な実施態様では、バッファ剤の濃度は、1−100mM、1−50mM、1−25mM、又は2−20mMである。
一実施態様では、組成物のpHは、およそ5.0からおよそ8.0、例えばおよそ5.0からおよそ7.5、およそ5.0からおよそ7.0、およそ5.0からおよそ6.5、およそ5.0からおよそ6.0、およそ5.5からおよそ7.0、およそ5.5からおよそ6.5、およそ6.0からおよそ7.0、およそ6.4からおよそ6.6、又はおよそ5.2からおよそ5.7に維持される。
【0019】
芳香族保存料(類) (iii)
製薬組成物はさらに、少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)を含む。
保存料は、微生物の成長を遅らせるために通常組成物中に含まれ(すなわち、芳香族保存料には、静菌性/殺菌効果がある)、その結果、第VII因子ポリペプチドの「複数回投与」パッケージが可能となる。しかしながら、また、抗酸化剤(類)と組み合わせた芳香族保存料(類)が特に非常に高い濃度の水溶液の第VII因子ポリペプチドの安定性に非常に顕著な影響を与えることが明らかになった。
以下、「芳香族」なる用語は、炭素原子の不飽和6員環(すなわち、ベンゼン環)を構造に含む化学物質を指す。
芳香族保存料の例には、フェノール、ベンジルアルコール、orto-クレゾール、メタクレゾール、パラ-クレゾール、クロロ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムが含まれる。
通常、少なくとも一の芳香族保存料(iii)は、pH領域と芳香族保存料の種類に応じて、0.1−20mg/mLの濃度で含まれる。例えば、典型的な濃度は、1−4mg/mL メタクレゾール、又は1−6mg/mL フェノール、又は5−20mg/mL ベンジル・アルコール、又は1−3mg/mL クロロクレゾールである。
【0020】
抗酸化剤(類) (iv)
上記のように、液体組成物の第VII因子ポリペプチドの安定性は、芳香族保存料(類)(iii)と抗酸化剤(類)(iv)との組み合わせに帰する。少なくとも一の抗酸化剤は少なくとも0.1mg/mLの濃度で存在する。
異なる実施態様では、少なくとも一の抗酸化剤(iv)は、L-メチオニン、D-メチオニン、メチオニン類似体、メチオニンを含むペプチド、メチオニンホモログ、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、及びシスタチオニンからなる群から選択される。好ましい実施態様では、抗酸化剤はL-メチオニンである。
少なくとも一の抗酸化剤の濃度は、通常0.1−5.0mg/mL、例えば0.1−4.0mg/mL、0.1−3.0mg/mL、0.1−2.0mg/mL、又は0.5−2.0mg/mLである。
発明者等は、活性化された第VII因子が芳香族保存料と抗酸化剤(例えば、0.5mg/mL メチオニン)の同時存在下で実際に非常にゆっくりと酸化されることを発見した。
【0021】
更なる成分
保存料(類)と抗酸化剤(類)が組み合わされて存在すると、上記のタイプ(a)及び(b)の安定剤の必要が高まり、より好ましい実施態様では、第VII因子ポリペプチド安定剤の必要がさらに高いことは理解されるであろう。ゆえに、好ましい実施態様では、組成物の前記の更なる成分のいずれもが第VII因子ポリペプチドの安定剤ではない。
タイプ(a)の安定剤については、国際公開2005/002615に記載され、定義される。
タイプ(b)の安定剤については、国際公開2005/016365に(置換Z1、Z2、R1及びR2の詳細な意味については一般的に及び具体的に)記載され、定義される。便宜上、Z及びZは-O-、-S-、-NR-及び単結合からなる群から独立して選択され、Rは水素、C1−4-アルキル、アーリル、及びアリールメチルからなる群から選択され、R及びRは水素、置換されていてもよいC1−6-アルキル、置換されていてもよいC2−6-アルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から独立して選択されるか、又はZ及びRが前記に定義したものであり、-C=N-Z-Rが複素環の一部を形成するか、又はZ及びRが前記に定義したものであり、-C-NH-Z-Rが複素環の一部を形成するか、又は-Z-R-R-Z-がビラジカルである場合に-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rが複素環を形成するとする。
【0022】
液体の水性製薬組成物をいう場合、必須の成分に加えて、調製物、製剤又は組成物の投与に有益な付加的成分を含んでもよい。
いくつかの実施態様では、組成物はさらに浸透圧変更剤(v)を含む。
本明細書中で用いられる「浸透圧変更剤」なる用語には、溶液の浸透圧に寄与する薬剤が含まれる。浸透圧変更剤(v)には、中性塩、アミノ酸、2−5のアミノ酸残基のペプチド、単糖、二糖類、多糖類、及び糖アルコール類からなる群から選択される少なくとも一の薬剤が含まれる。いくつかの実施態様では、組成物は前記薬剤の二以上を組み合わせて含む。
「中性塩」とは、液体の溶液中に溶解した場合に酸性でも塩基性でもない塩を意味する。
一実施態様では、少なくとも一の浸透圧変更剤(v)は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される中性塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、カルシウム酢酸塩、グルコン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、塩化マグネシウム、マグネシウム酢酸塩、グルコン酸マグネシウム、及びレブリン酸マグネシウムである。
更なる実施態様では、浸透圧変更剤(v)には、塩化カルシウム、カルシウム酢酸塩、塩化マグネシウム、及びマグネシウム酢酸塩からなる群から選択される少なくとも一と組み合わせた塩化ナトリウムが含まれる。
また更なる実施態様では、浸透圧変更剤(v)は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、蔗糖、グルコース、及びマンニトールからなる群から選択される少なくとも一である。
【0023】
異なる実施態様では、浸透圧変更剤(v)は、少なくとも1mM、少なくとも5mM、少なくとも10mM、少なくとも20mM、少なくとも50mM、少なくとも100mM、少なくとも200mM、少なくとも400mM、少なくとも800mM、少なくとも1000mM、少なくとも1200mM、少なくとも1500mM、少なくとも1800mM、少なくとも2000mM、又は少なくとも2200mMの濃度で存在する。
ある系列の実施態様では、浸透圧変更剤(v)は、5−2200mM、例えば、25−2200mM、50−2200mM、100−2200mM、200−2200mM、400−2200mM、600−2200mM、800−2200mM、1000−2200mM、1200−2200mM、1400−2200mM、1600−2200mM、1800−2200mM、or 2000−2200 mM; 5−1800mM、25−1800mM、50−1800mM、100−1800mM、200−1800mM、400−1800mM、600−1800mM、800−1800mM、1000−1800mM、1200−1800mM、1400−1800mM、1600−1800 mM; 5−1500mM、25−1400mM、50−1500mM、100−1500mM、200−1500mM、400−1500mM、600−1500mM、800−1500mM、1000−1500mM、1200−1500 mM; 5−1200mM、25−1200mM、50−1200mM、100−1200mM、200−1200mM、400−1200mM、600−1200mM、又は00−1200mMの濃度で存在する。
【0024】
本発明の好ましい実施態様では、少なくとも一の浸透圧変更剤(v)はイオン強度変更剤(v/a)である。
本明細書中で用いる「イオン強度変更剤」なる用語には、溶液のイオン強度に寄与する薬剤が含まれる。この薬剤には、中性塩、アミノ酸、2から5のアミノ酸残基のペプチドが含まれるがこれらに限定されるものではない。いくつかの実施態様では、組成物は前記薬剤の二以上を組み合わせて含む。
イオン強度変更剤(v/a)の好ましい例は、中性塩、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムである。好ましい薬剤(v/a)は塩化ナトリウムである。
「イオン強度」なる用語は、方程式:μ=1/2Σ([i](Z))により定義される溶液(μ)野イオン強度であり、このときμはイオン強度であり、[i]はイオンのミリモル濃度であり、Zはそのイオンの電荷(+又は−)である。(例として、Solomon, Journal of Chemical Education, 78(12):1691-92, 2001;James Fritz and George Schenk: Quantitative Analytical Chemistry, 1979を参照)。
本発明の異なる実施態様では、組成物のイオン強度は、少なくとも50、例えば少なくとも75、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも400、少なくとも500、少なくとも650、少なくとも800、少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1600、少なくとも2000、少なくとも2400、少なくとも2800、又は少なくとも3200である。
【0025】
いくつかの具体的な実施態様では、浸透圧変更剤(v)とイオン強度変更剤(v/a)の合計濃度は、いずれか他の成分が持ちうる浸透圧及びイオン強度に対する作用に応じて、1−500mMの範囲、例として1−300mM、又は10−200mM、又は20−150mMである。
一実施態様では、組成物は等張であり、他の実施態様では高張である。
「等張」なる用語は「血清により等張」、すなわちおよそ300±50ミリオスモル/kgを意味する。浸透圧は、投与前の溶液の重量モル浸透圧濃度の単位であることを意味する。「高張」なる用語は、血清の生理的レベルを超える重量モル浸透圧濃度のレベル、例えば300±50ミリオスモル/kgを超えるレベルを示すことを意味する。
【0026】
また、本発明の具体的な実施態様は、芳香族保存料(類)(iii)及び抗酸化剤(類)(iv)と、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される非常に高い濃度のイオン強度変更剤(v/a)との組み合わせに関する。この実施態様では、イオン強度変更剤(v/a)、すなわちナトリウム塩、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩は、15−1000mM、例えば25−1000mM、50−1000mM、100−1000mM、200−1000mM、300−1000mM、400−1000mM、500−1000mM、600−1000mM、700−1000mM;15−800mm、25−800mm、50−800mm、100−800mm、200−800mm、300−800mm、400−800mm、500−800mm;15−600mm、25−600mm、50−600mm、100−600mm、200−600mm、300−600mm;15−400mm、25−400mm、50−400mm、又は100−400mmの濃度で存在する。
これらの実施態様では、ナトリウム塩は塩化ナトリウムでもよく、カルシウム塩は、塩化カルシウム、カルシウム酢酸塩、グルコン酸カルシウム、及びレブリン酸カルシウムからなる群から選択されてもよく、マグネシウム塩は塩化マグネシウム、マグネシウム酢酸塩、グルコン酸マグネシウム、レブリン酸マグネシウム、及び強酸のマグネシウム塩からなる群から選択されてもよい。より具体的な実施態様では、カルシウム塩及び/又はマグネシウム塩は塩化ナトリウムと組み合わせて使用される。
ある現在の好ましい実施態様では、組成物は、カルシウム(Ca2+)塩及びマグネシウム(Mg3+)塩からなる群から選択される一又は複数のイオン強度変更剤、例えば塩化カルシウム、カルシウム酢酸塩、グルコン酸カルシウム、レブリン酸カルシウム、塩化マグネシウム、マグネシウム酢酸塩、硫酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、レブリン酸マグネシウム、強酸のマグネシウム塩からなる群から選択される一又は複数の塩類を含む。このある実施態様では、カルシウム(Ca2+)及び/又はマグネシウム(Mg3+)塩(類)の濃度は、少なくとも2mM、例えば少なくとも5mM又はおよそ10mMである。特定の実施態様では、組成物は少なくとも2mMの濃度でCa2+を含む。
【0027】
前述と組み合されうる更なる実施態様では、また、薬剤組成物は非イオン性界面活性剤(vi)を含んでもよい。一般に、界面活性剤(清浄剤ともいう)には、空気/溶液作用面が引き起こすストレス及び溶液/界面が引き起こすストレスからタンパク質を保護する薬剤(例えば結果としてタンパク質凝集をもたらす)が含まれる。
典型的な種類の非イオンの界面活性剤は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレンステアリン酸塩、及びポリオキシエチレンヒマシ油である。
非イオン性界面活性剤の例示的な例は、Tween(登録商標)、ポリソルベート20、ポリソルベート80、Brij-35(ポリオキシエチレンドデシルエーテル)、ポロキサマー188、ポロキサマー407、PEG8000、Pluronic(登録商標)ポリオール、ポリオキシ-23-ラウリルエーテル、Myrj49、及びCremophor A、特にポロキサマー188である。
一実施態様では、非イオン性界面活性剤は0.005−2.0重量%の量で存在する。
【0028】
好ましい実施態様
本発明者等は現在、特に有用であるとして以下の実施態様、つまり本明細書中で定義される、
10−90mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
0.1−20mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
0.1−5.0mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなる、液体の水性製薬組成物を同定した。
【0029】
安定性
本発明の組成物は、安定したすぐに使える第VII因子ポリペプチドの組成物として有用である。該組成物は、2℃から8℃の範囲の温度で貯蔵する場合、典型的には少なくとも6か月間、好ましくは最大36か月間安定であろう。
「安定性」なる用語は、(i) 2℃から8℃で6か月間貯蔵した後に組成物が1-段階凝血アッセイ(one-stage clot assay)(アッセイ4)にて測定するところの最初の生物学的活性の少なくとも50%を保持している、又は(ii) 2℃から8℃で6か月間貯蔵した後に重鎖分解生成物の含量が、初めの試料に重鎖分解生成物が含まれないとすれば(すなわち、第VII因子ポリペプチドのみを割合の算出に用いる)、最大40%(w/w)であることを意味することを意図する。好ましくは、組成物は、2から8℃で6か月間貯蔵した後にその最初の活性の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持する。また好ましくは、組成物中の重鎖分解生成物の含量は、最大30%(w/w)、最大25%(w/w)、最大20%(w/w)、最大15%(w/w)、最大10%(w/w)、最大5%(w/w)又は最大3%(w/w)である。
好ましくは、安定な組成物は、2から8℃で6か月間貯蔵した後にその最初の活性の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持する。
好ましくは、様々な実施態様では、安定な組成物中の重鎖分解生成物の含量は、最大30%(w/w)、最大25%(w/w)、最大20%(w/w)、最大15%(w/w)、最大10%(w/w)、最大5%(w/w)又は最大3%(w/w)である。
【0030】
使用方法
理解されるように、本明細書中で定義した液体の水性薬剤組成物は医学の分野で用いられうる。したがって、本発明は特に、本明細書中で定義した液体の水性薬剤組成物の、医薬としての使用、より具体的には第VII因子応答性症候群を治療するための医薬としての使用を提供する。
またその結果、本発明は、本明細書中で定義される液体の水性薬剤組成物の、第VII因子応答性症候群を治療するための医薬の調製のための使用、並びに、本明細書中で定義される液体の水性薬剤組成物の有効量を必要とする被検体へ投与することを含む、第VII因子応答性症候群を治療するための方法を提供する。
本発明の調製は、凝固因子欠損によって引き起こされるもの(例えば血友病A、血友病B、凝固第XI因子欠損、凝固第VII因子欠損);血小板減少症又はフォンウィルブランド病、又は凝固因子インヒビターの獲得が原因となるもの、及び脳内出血、又は任意の原因(例えば外傷、外科手術)による過剰出血を含む、例えば出血性疾患などの任意の第VII因子応答症候群を治療するために用いられうる。また、調製物は外科手術ないしは他の外傷に関連する患者又は抗凝固療法を受けている患者に投与されてもよい。
【0031】
「有効量」なる用語は、所望の応答を達成するために用量を設定する有資格者によって決定される有効量である。用量を考慮する要因には、有効性、生物学的利用率、所望の薬物動態/薬力学的な性質、治療条件、患者に関する要因(例えば、体重、健康状態、年齢など)、同時に投与する医薬の有無(例えば抗凝固剤)、投与時間、又は医師が知る他の要因が含まれるであろう。
「治療」なる用語は、疾患、症状又は疾病と戦う目的で、哺乳動物などの被検体、特にヒトの管理や看護として定義され、症状ないし合併症の発症を予防する、又は症状ないし合併症を軽減する、又は疾患、症状又は疾病を取り除くために第VII因子ポリペプチドを投与することを含む。第VII因子ポリペプチドを含有する本発明の製薬的組成物は、治療を必要とする被検体に非経口投与されてもよい。非経口投与は、注射器、場合によってペン様注射器によって皮下、筋肉内又は静脈内にて実施されてもよい。あるいは、非経口投与は注入ポンプによって実施されうる。
重要な実施態様では、製薬組成物は当分野で公知の方法に従って、皮下、筋肉内又は静脈内注射に適している。
【0032】
密封容器
したがって、本発明はまた、本明細書中で定義される液体の水性薬剤組成物と場合によって不活性ガスを含む密封容器(例えばバイアル又はカートリッジ(例としてペン様塗布器))を提供する。
不活性ガスは、窒素、アルゴンなどからなる群から選択されうる。容器(例えばバイアル又はカートリッジ)は典型的には、ガラス又はプラスチック、特にガラス製であり、場合によってゴム製の隔壁か又は製薬組成物の完全性を保ったままで貫通可能な他の封鎖手段によって封鎖される。更なる実施態様では、容器は、密封バッグ、例えば密封されたビニールバッグ、例として、積層(例えば金属(アルミニウムなど)積層プラスチックバッグ)に内包されるバイアル又はカートリッジである。
【0033】
凍結乾燥した第VII因子ポリペプチドを含むキット
先に定義した液体の水性薬剤組成物は主に、直接的な使用、典型的には注射によるなどの非経口的投与を対象とする。しかしながらまた、この液体の水性薬剤組成物が、施術者や末端消費者により実際の非経口的使用に先立って、例えば使用の1−24時間前、又は使用の数週間、例えば2−4週間前に、例えば複数回用量バッチの形態に対応する凍結乾燥した製剤から調製されうることは予測される。このような場合、施術者や末端消費者が適切な量の水性再構成液体とともに凍結乾燥させた形態の第VII因子ポリペプチドを摂取するために便利である。
ゆえに、本発明の更なる態様は、本明細書中で定義される組成物の調製のためのキットであり、
(a) 凍結乾燥した形態で、第VII因子ポリペプチド(i)を少なくとも収容する第一容器;
(b) バッファ剤(ii)と少なくとも一の芳香族保存料(iii)を少なくとも含む、水性再構成液体を収容する第二容器
を具備するキットに関する。
便宜上、第二容器は抗酸化剤(iv)を含む。
いくつかの実施態様では、第一容器と第二容器は、一つのデバイスの別々の区画として、例えばペン状などのシリンジのデバイスのためのアンプルとして配置されてもよい。
【実施例】
【0034】
一般的な方法
割合は、溶液中に溶解した固形物を指す場合でも溶液に混合した液体を指す場合でも(重量/重量)である。例えばポロキサマー188の場合、100%貯蔵の重量/溶液の重量である。
第VII因子ポリペプチドの生物学的活性を決定するために適切なアッセイ
本発明に関して有用な第VII因子ポリペプチドは、簡単な予備的なインビトロ試験として実施されうる好適なアッセイによって選択されうる。ゆえに、本明細書は、第VII因子ポリペプチドの活性についての簡単な試験(「インビトロ加水分解アッセイ」と題する)を開示する。
【0035】
第一世代凝血アッセイ
第VII因子ポリペプチドの活性は、基本的には国際公開第92/15686号又は米国特許第5997864号に記載のように、1-段階凝血アッセイを用いて測定してもよい。簡単に言うと、試験する試料は50mM トリス(pH7.5)、0.1% BSAにて希釈し、100μlを10mM Ca2+を含む200μlのトロンボプラスチンCと100μlの第VII因子欠失血漿とともにインキュベートする。凝固時間を測定し、参照標準物質又は段階希釈のクエン酸化正常ヒト血漿のプールを用いた標準曲線と比較する。
【0036】
インビトロ加水分解アッセイ(アッセイ1)
天然の(野生型) 第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(以降、ともに「第VIIa因子」と称する)は、比活性について検定してもよい。また、比活性を直接比較するために同時にアッセイしてもよい。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で行う。終濃度1mMの発色基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix, Sweden)を、0.1M NaCl、5mM CaCl及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50mM HEPES, pH7.4中の第VIIa因子(終濃度100nM)に加える。SpectraMaxTM 340プレート読み取り機(Molecular Devices, USA)にて405nmの吸光度を連続して測定する。20分間のインキュベートの間に反応した吸光度を、酵素を含まないブランクウェルの吸光度を減算した後、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子との活性間の比率を算出するために用いる。
比率=(A405nm 第VII因子ポリペプチド)/(A405nm 野生型第VIIa因子)
【0037】
これに基づき、天然の第VIIa因子より低い、天然の第VIIa因子に相当する、又は天然の第VIIa因子より高い活性を有する第VII因子ポリペプチド、例えば第VII因子ポリペプチドの活性と天然の第VII因子(野生型FVII)の活性との間の比率がおよそ1.0対1.0を超える第VII因子ポリペプチドなどが同定されうる。
また、このアッセイを用いて、異なるバッファ条件下で第VII因子の活性を探索することもできる。
また、第VII因子ポリペプチドの活性は、第X因子などの生理的な基質を、適宜100〜1000nMの濃度で用いて測定してもよく(「インビトロタンパク質分解アッセイ」)、このとき生成された第Xa因子は適する色素生産性基質(例えば、S-2765)を加えた後に測定される。さらに、活性アッセイは生理学的温度で行ってもよい。
【0038】
インビトロタンパク質分解アッセイ(アッセイ2)
天然の(野生型) 第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(以降、ともに「第VIIa因子」と称する)は、比活性を直接比較するために同時にアッセイしてもよい。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で行う。0.1M NaCl、5mM CaCl及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む100μlの50mM HEPES, pH7.4中の第VIIa因子(10nM)と第X因子(0.8μM)を15分間インキュベートする。次いで、0.1M NaCl、20mM EDTA及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50μlの50mM HEPES, pH7.4を加えて第X因子切断を止める。生成された第Xa因子の量は、終濃度0.5mMの発色基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765、Chromogenix, Sweden)を加えて測定する。SpectraMaxTM 340プレート読み取り機(Molecular Devices, USA)にて405nmの吸光度を連続して測定する。10分間反応させた吸光度を、FVIIaを含まないブランクウェルの吸光度を減算した後、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子とのタンパク質分解活性間の比率を算出するために用いる。
比率=(A405nm 第VII因子ポリペプチド)/(A405nm 野生型第VIIa因子)
【0039】
これに基づき、天然の第VIIa因子より低い、天然の第VIIa因子に相当する、又は天然の第VIIa因子より高い活性を有する第VII因子ポリペプチド、例えば第VII因子ポリペプチドの活性と天然の第VII因子(野生型FVII)の活性との間の比率がおよそ1.0対1.0を超える第VII因子ポリペプチドなどが同定されうる。
【0040】
トロンビン生成アッセイ(アッセイ3)
第VII因子ポリペプチドのトロンビン生成能は、生理的濃度のインヒビター及び関係するすべての凝固因子(血友病A状態を模倣する場合には第VIII因子を除く)と活性化血小板を含むアッセイ(アッセイ3)で測定することができる(Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547の543頁に記載される、この文献は出典明記によって本明細書中に援用される)。
【0041】
1-段階(One-stage)凝固アッセイ(凝血アッセイ)(アッセイ4)
また、第VII因子ポリペプチドは1-段階凝血アッセイ(アッセイ4)を用いて比活性(「凝血活性」)についてアッセイしてもよい。このために、試験する試料は50mM PIPES-バッファ(pH7.2)、1% BSAにて希釈し、40μlを、10mM Ca2+と合成リン脂質を含む80μlのヒト組み換え組織因子と40μlの第VII因子欠失血漿とともにインキュベートする。凝固時間(凝血時間)を測定し、平行してアッセイした参照標準物質を用いた標準曲線と比較する。
【0042】
重鎖分解アッセイ
重鎖分解産物の含量を測定するために、逆相HPLCを、5μmの粒径と300Åの孔径を有する登録商標の4.5×250mm ブチル結合シリカカラムにて行った。カラム温度:70℃。A−バッファ:0.1%v/v 三フッ化酢酸。B−バッファ:0.09%v/v トリフルオロ酢酸、80%v/v アセトニトリル。カラムは、30分かけてXから(X+13)%Bまでの直線濃度勾配にて溶出した。Xは、FVIIaがおよそ26分の持続時間にて溶出するように調整した。流速:1.0ml/分検出:214nm。ロード:25mgのFVIIa。重鎖分解産物の初めの含量は、重鎖分解産物の測定された含量から減算する、すなわち、重鎖分解産物の初めの含量は0%とする。次いで、時間xでの重鎖分解産物の含量は以下のように算出される:
%=(HCDP(x)−HCDP(0))/(HCDP(x)−HCDP(0)+FVII(x))×100%
=(HCDP(x)−HCDP(0))/(FVII(0))×100%
このとき、HCDP(x)は時間xでの重鎖分解産物の測定された含量であり、HCDP(0)は重鎖分解産物の測定された初めの含量であり、FVII(x)は時間xでの初めの第VII因子ポリペプチドの含量である。
【0043】
逆相HPLCによる酸化された産物の測定
HPLCカラム5μmの粒径と300Åの孔径を有するブチル結合シリカカラムを内包した4.5×250mmカラム。カラム温度:70℃。溶出剤A:水99.9%v/v及びトリフルオロ酢酸0.1%v/v。溶出剤B:アセトニトリル80%v/v、トリフルオロ酢酸0.09%v/v、及び水19.91%v/v。カラムは、30分かけてX%Bから(X+13)%Bの直線濃度勾配にて溶出した。流速:1.0ml/分検出:214nm。
酸化形態は、第VII因子ポリペプチドのメチオニンスルホキシドである。例えば、FVIIの2つの主な誘導体は、Met(O)298 FVIIとMet(O)306 FVIIである。
酸化形態の含量は、第VII因子ポリペプチドの酸化形態として回収される調製時の組成物中の第VII因子ポリペプチドの初めの量の割合として表される。
【0044】
第VII因子ポリペプチドの調製及び精製
本発明で使用するのに適した、精製されたヒト第VIIa因子は、例えば、Hagen et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 83: 2412-2416, 1986に記載されているように、又は「欧州特許第0 200 421号(ZymoGenetics, Inc.)に記載されているように、好ましくは、DNA組換え技術によって作製される。
第VII因子は、Broze and Majerus, J.Biol.Chem. 255 (4): 1242-1247, 1980及びHedner and Kisiel, J.Clin.Invest. 71: 1836-1841, 1983によって記載される方法によって作製することもできる。これらの方法により、検出可能な量の他の血液凝固因子なしに、第VII因子を与えるが得られる。さらに精製された第VII因子調製物は、最終精製工程として、ゲル濾過をさらに含めることによって得ることができる。次いで、公知の手段によって、例えば、数個の異なる血漿タンパク質(第XIIa、IX又はXa因子など)によって、第VII因子を活性化された第VIIa因子に変換される。あるいは、Bjoern等(Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564-565)によって記載されるように、第VII因子は、Mono Q(登録商標) (Pharmacia fine Chemicals)などのイオン交換クロマトグラフィーカラムを通過させることによって、又は溶液中での自己活性化によって活性化され得る。
【0045】
第VII因子ポリペプチドは、野生型第VII因子の修飾によって、又は組換え技術によって作製することができる。野生型第VII因子に比較したときに変化を受けたアミノ酸配列を有する第VII因子ポリペプチドは、公知の手段によって、例えば、部位特異的突然変異誘発によってアミノ酸コドンを変化させることによって、又は天然第VII因子をコードする核酸中のアミノ酸コドンの幾つかを除去することによって、野生型第VII因子をコードする核酸配列を修飾させることによって作製することができる。
置換は、第VIIa因子分子の機能にとって極めて重要な領域外に作製することが可能であり、なお活性なポリペプチドをもたらすことが、当業者に自明であろう。第VII因子ポリペプチドの活性にとって不可欠であり、従って、置換を受けないことが好ましいアミノ酸残基は、部位特異的突然変異誘発又はアラニンスキャニング突然変異誘発(例えば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照)など、本分野で公知の手順に従って同定し得る。後者の技術では、分子内にある、正に帯電した全ての残基に変異が導入され、得られた変異分子の凝固、架橋活性をそれぞれに検査して、分子の活性に不可欠であるアミノ酸残基を同定する。基質−酵素相互作用の部位は、核磁気共鳴分析、結晶学又は光親和性標識などの技術によって決定される三次元構造の分析によっても決定することができる(例えば、de Vos et al., 1992, Science 255: 306-312;Smith et al., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904;Wlodaver et al., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照)。
【0046】
あるヌクレオチドを別のヌクレオチドに交換するために、核酸配列中に変異を導入することは、本分野で公知の任意の方法を用いて、部位特異的突然変異誘発法によって達成され得る。特に有用なのは、目的のインサートを有する、スーパーコイルを形成された、二本鎖DNAベクターと、所望の変異を含有する二つの合成プライマーを使用する手法である。Pfu DNAポリメラーゼを用いた温度サイクリングの間に、それぞれ、ベクターの反対の鎖に相補的なオリゴヌクレオチドプライマーが伸長する。プライマーが取り込まれると、ねじれた切れ目を含有する変異されたプラスミドが生成される。温度サイクリングに続いて、メチル化されたDNAとヘミメチル化されたDNAに対して特異的であるDpnIで、産物を処理し、親DNAテンプレートを消化し、変異を含有する合成DNAを選択する。例えば、遺伝子シャッフリング又はファージディスプレイ技術など、変異形を作製、同定及び単離するための、本分野で公知の他の手法も使用し得る。
ポリペプチド源の細胞からポリペプチドを分離することは、所望の産物を含有する細胞培地を付着性細胞培養から除去すること;非付着性細胞を除去するための遠心又は濾過などを含むがこれらに限定されない、本分野で公知の任意の方法によって達成し得る。
【0047】
必要に応じて、第VII因子ポリペプチドをさらに精製してもよい。例えば、抗第VII因子抗体カラム上などでのアフィニティークロマトグラフィー(例えば、Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097, 1986; and Thim et al., Biochem. 27:7785, 1988参照);疎水性相互作用クロマトグラフィー;イオン交換クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;電気泳動操作(例えば、調製用等電点電気泳動(IEF)、溶解度差(例えば、硫安沈殿)又は抽出などを含むがこれらに限定されない、本分野で公知の任意の方法を用いて、精製を行うことができる。一般的に、Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982;及びProtein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989を参照。精製後、前記調製物は、好ましくは、宿主細胞に由来する非第VII因子ポリペプチドの10重量%未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満を含有する。
第VII因子ポリペプチドは、第XIIa因子又はトリプシン様特異性を有するその他のプロテアーゼ、例えば、第IXa因子、カリクレイン、第Xa因子及びトロンビンなどを使用して、タンパク質分解切断によって活性化することができる。例えば、Osterud et al., Biochem. 11:2853 (1972);Thomas, 米国特許第4456591号;及びHedner et al., J. Clin. Invest. 71:1836 (1983)を参照されたい。あるいは、第VII因子ポリペプチドは、Mono Q(登録商標) (Pharmacia)などのイオン交換クロマトグラフィーカラムを通過させることによって、又は溶液中での自己活性化によって活性化され得る。次いで、得られた活性化された第VII因子ポリペプチドを調合し、本願に記載されているように投与し得る。
【0048】
以下の実施例は、本発明の実施を説明する。これらの実施例は、例示的な目的のためにのみ記載されており、いかなる意味においても、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0049】
実施例 1
活性化された第VII因子のアミド分解活性は、以下の条件下で、上記のD−ILE−PRO−ARG−P−NITROANILIDEの分解により測定した:3μM 活性化された第VII因子、50mM イミダゾール、pH6.5、20mM CaCl、50mM NaCl、0.5mg/ml ウシ血清アルブミン、1mM S−2288。活性は、多くの異なる濃度のメタ-クレゾール及びフェノールで測定した。すべての実験は2通り実行した。図1は、任意の単位での、異なる保存濃度でのアミド分解活性を示す。驚くべきことに、活性は保存濃度の増加につれて減少するということがわかる。
【0050】
実施例 2
活性化された第VII因子は、以下の条件下で異なる濃度のメタ-クレゾール又はフェノールと混合した:15mg/mL 活性化された第VII因子、10mM ヒスチジン、pH6.0、20mM CaCl、8%スクロース。総容積100μlの試料は、クォーツマイクロタイタープレート(Hellma)に分配し、濁度をプレート読み取り機にて400nmの吸光度を測定することによって評価した。濁度は試料中の沈殿を表す。調査したうちの最も高い保存濃度のときに、試料中に有意な沈殿があるということがわかる。この現象は、沈殿を改善するために更なる賦形剤を添加しない場合、メタ-クレゾールとフェノールの使用を制限しうる。
【0051】
実施例 3
活性化された第VII因子は、以下の条件下で、30mMのメタ-クレゾールと異なる濃度のポロキサマー-188と混合した:15mg/ml 活性化された第VII因子、10mM ヒスチジン、pH6.0、20mM CaCl、8%スクロース。総容積100μlの試料は、クォーツマイクロタイタープレート(Hellma)に分配し、濁度をプレート読み取り機にて400nmの吸光度を測定することによって評価した。ポロキサマー-188の濃度を増やすと濁度を減少させることがわかる。ゆえに、ポロキサマー-188などの非イオン性界面活性剤の包含は場合によって有益になりうる。
【0052】
実施例 4
以下の組成物を有する溶液を調製した:5mg/ml 活性化された第VII因子、10mM ヒスチジン、pH6.0、20mM CaCl、0.1%ポロキサマー-188、8%スクロース。2つの溶液を調製した:1つは30mM メタ-クレゾールを含むものであり、1つはメタ-クレゾールを含まないものである。37℃で3日間インキュベートした後、重鎖分解の量を、逆相HPLCにて測定した。図4は結果を示す。重鎖分解の量はメタ-クレゾールの存在下では実質的に低く、製剤に有利に働くことがわかる。
【0053】
実施例 5
2mlの以下の溶液を凍結乾燥させた:12mg/ml 活性化された第VII因子、0.39mg/mL NaCl、5.15mg/ml CaCl(2HO)、10mM ヒスチジン、0.5mg/ml メチオニン、0.07%トゥイーン80、10mg/ml スクロース及び25mg/ml マンニトール。凍結乾燥した塊を2mlの水に溶解し、5℃でインキュベートした。2週間後、重鎖断片の含量はおよそ10%から19.5%に増加した。
【0054】
実施例 6
2mlの以下の溶液を凍結乾燥させた:12mg/ml 第VII因子、0.39mg/ml NaCl、5.15mg/ml CaCl(2HO)、10mM ヒスチジン、0.5mg/ml メチオニン、0.07%トゥイーン80、10mg/ml スクロース及び25mg/ml マンニトール。凍結乾燥した塊を2mlの1.5%のベンジルアルコールに溶解し、pHを6.0に調整し、試料を5℃でインキュベートした。2週間後、重鎖断片の含量はおよそ10%から14.5%に増加した。
【0055】
実施例 7:
5mlの以下の組成物を凍結乾燥させた:1.0mg/ml 活性化した第VII因子、2.34mg/ml NaCl、1.47mg/ml 塩化カルシウム、1.32mg/ml グリシルグリシン、25mg/ml マンニトール、10mg/ml スクロース、0.5mg/ml メチオニン、0.07mg/ml トゥイーン80、pH6.00。凍結乾燥した粉を、1.2mlの0.3%メタ-クレゾール、10mM ヒスチジン、0.3%ポロキサマー-188、pH6.0にて再構成した。試料は5℃でインキュベートした。0、1、2、3及び4週間後に一定分量を採取し、凍結させた。実験の終わりに、すべての試料を解凍し、重鎖断片及び酸化産物について分析した。下表は結果を示す:

重鎖断片及び酸化のいずれも許容範囲内である。
【0056】
ここで引用される刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての文献は、各文献が、ここの他の箇所でなされる特定の文献の別個に提供された援用にかかわらず、個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体(法律により許容される最大範囲)が記載されているかの如く、その全体が同じ範囲まで出典明示によりここに援用される。すべての見出しと下位の見出しは便宜上にのみ本明細書中で用いられ、いずれにおいても本発明を限定するものとみなされない。特段の定義がなされていない限り、本明細書中で示すいずれか及びすべての実施例又は例示的言葉(例えば「など」)は、単に本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明の権利範囲を限定するものではない。本明細書中の言葉はいずれも、特許請求の範囲に記載していない要素を本発明の実施に必須なものとして示すと解されるものではない。本明細書中の特許文書の引用及び援用は単に便宜上のものであり、前記特許文書の有効性、特許性及び/又は権利行使可能性のいずれかの見地を表すものではない。本発明には、適用される法律によって許可される、本明細書に添付の特許請求の範囲に挙げる物質の均等物及びすべての変更が含まれる。
【0057】
本発明の好ましい特徴
1.
少なくとも10mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなる液体の水性製薬組成物であって、
場合によって該組成物は更なる成分を含むが、ただしこの更なる成分はいずれも、
(a) 亜鉛を除く酸化状態+IIの第一遷移系列金属からなる群から選択される金属を含有する薬剤、及び
(b) −C(=N−Z−R)−NH−Z−Rモチーフを含有する安定剤、
から選択される第VII因子ポリペプチド安定剤でない、液体の水性製薬組成物。
2. 前記の更なる成分のいずれもが第VII因子ポリペプチド安定剤でない、1節に記載の組成物。
3. 少なくとも一の芳香族保存料(iii)は、フェノール、ベンジルアルコール、orto-クレゾール、メタ-クレゾール、パラ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムから選択され、特にメタ-クレゾール、フェノール及びベンジルアルコールである、前節のいずれか一に記載の組成物。
4. 少なくとも一の芳香族保存料は0.1−20mg/mlの濃度で含まれる、前節のいずれか一に記載の組成物。
5. 少なくとも一の抗酸化剤(iv)は、L-メチオニン、D-メチオニン、メチオニン類似体、メチオニンを含むペプチド、メチオニンホモログ、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、及びシスタチオニンから選択される、前節のいずれか一に記載の組成物。
6. 少なくとも一の抗酸化剤(iv)は0.1−5.0mg/mlの濃度で存在する、前節のいずれか一に記載の組成物。
7. 第VII因子ポリペプチドがヒト第VIIa因子である、前節のいずれか一に記載の組成物。
8. 第VII因子ポリペプチドが第VII因子配列変異体である、前節のいずれか一に記載の組成物。
9. 第VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒト第VIIa因子(野生型FVIIa)の活性との比率は、本明細書において記載されるように、「インビトロタンパク質分解アッセイ」(アッセイ2)において試験された場合に、少なくとも1.25である、8節に記載の組成物。
10. 第VII因子ポリペプチドは10−90mg/mlの濃度で存在する、前節のいずれか一に記載の組成物。
11. およそ5.0からおよそ8.0の範囲のpH値を有する、前節のいずれか一に記載の組成物。
12. バッファ剤(ii)が、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸及びコハク酸の塩類及び酸からなる群から選択される少なくとも一の成分を含む、前節のいずれか一に記載の組成物。
13. バッファ剤(ii)の濃度が1−100mMである、前節のいずれか一に記載の組成物。
14. さらに、浸透圧変更剤(v)を含む、前節のいずれか一に記載の組成物。
15. 浸透圧変更剤(v)が、中性塩、アミノ酸、2−5のアミノ酸残基のペプチド、単糖、二糖類、多糖類、及び糖アルコール類からなる群から選択される少なくとも一である、14節に記載の組成物。
16. 少なくとも一の浸透圧変更剤(v)は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される中性塩である、14−15節のいずれか一に記載の組成物。
17. 浸透圧変更剤(v)が、塩化カルシウム、カルシウム酢酸塩、塩化マグネシウム、及びマグネシウム酢酸塩からなる群から選択される少なくとも一と組み合わせた塩化ナトリウムである、14−15節のいずれか一に記載の組成物。
18. 浸透圧変更剤(v)が少なくとも1mMの濃度で存在する、14−17節のいずれか一に記載の組成物。
19. 少なくとも一の浸透圧変更剤(v)がイオン強度変更剤(v/a)である、14−18節のいずれか一に記載の組成物。
20. さらに非イオン性界面活性剤(vi)を含む、前節のいずれか一に記載の組成物。
21. 非イオンの界面活性剤が、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー、及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される少なくとも一である、20節に記載の組成物。
22. 非イオン性界面活性剤(vi)の濃度が0.005−2重量%である、20−21節のいずれか一に記載の組成物。
23.
10−90mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
0.1−20mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
0.1−5.0mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなる、前節のいずれか一に記載の液体の水性薬剤組成物。
24. 非経口投与に適する、前節のいずれか一に記載の組成物。
25. 皮下、筋肉内又は静脈内注射に適する、24節に記載の組成物。
26. 医薬としての使用のための、1−25節のいずれか一に定義される液体の水性薬剤組成物。
27. 第VII因子応答性症候群を治療するための医薬の調製のための、1−25節のいずれか一に定義される液体の水性薬剤組成物の使用。
28. 1−25節のいずれか一に定義される液体の水性薬剤組成物の有効量を、必要とする被検体に投与することを含む、第VII因子応答性症候群の治療方法。
29. 1−25節のいずれか一に定義される液体の水性薬剤組成物と、場合によって不活性ガスを収容する密封容器。
30.
(a) 凍結乾燥した形態で、少なくとも第VII因子ポリペプチド(i)を収容する第一の容器、
(b) 水性再構成液体を収容する第二の容器
を具備する、1−25節のいずれか一に定義される組成物を調製するためのキット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも10mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
少なくとも0.1mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなる液体の水性製薬組成物であって、
場合によって該組成物は更なる成分を含むが、ただしこの更なる成分はいずれも、
(a) 亜鉛を除く酸化状態+IIの第一遷移系列金属からなる群から選択される金属を含有する薬剤、及び
(b) −C(=N−Z−R)−NH−Z−Rモチーフを含有する安定剤、
から選択される第VII因子ポリペプチド安定剤でない、液体の水性製薬組成物。
【請求項2】
前記の更なる成分のいずれもが第VII因子ポリペプチド安定剤でない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも一の芳香族保存料(iii)は、フェノール、ベンジルアルコール、orto-クレゾール、メタ-クレゾール、パラ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウムから選択され、特にメタ-クレゾール、フェノール及びベンジルアルコールである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも一の芳香族保存料は0.1−20mg/mlの濃度で含まれる、請求項1から3のいずれか一に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも一の抗酸化剤(iv)は、L-メチオニン、D-メチオニン、メチオニン類似体、メチオニンを含むペプチド、メチオニンホモログ、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、及びシスタチオニンから選択される、請求項1から4のいずれか一に記載の組成物。
【請求項6】
少なくとも一の抗酸化剤(iv)は0.1−5.0mg/mlの濃度で存在する、請求項1から5のいずれか一に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、浸透圧変更剤(v)を含む、請求項1から6のいずれか一に記載の組成物。
【請求項8】
浸透圧変更剤(v)が、中性塩、アミノ酸、2−5のアミノ酸残基のペプチド、単糖、二糖類、多糖類、及び糖アルコール類からなる群から選択される少なくとも一である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも一の浸透圧変更剤(v)は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩からなる群から選択される中性塩である、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項10】
浸透圧変更剤(v)が、塩化カルシウム、カルシウム酢酸塩、塩化マグネシウム、及びマグネシウム酢酸塩からなる群から選択される少なくとも一と組み合わせた塩化ナトリウムである、請求項7又は8に記載の組成物。
【請求項11】
さらに非イオン性界面活性剤(vi)を含む、請求項1から10のいずれか一に記載の組成物。
【請求項12】
非イオン性界面活性剤(vi)が、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー、及びポリエチレングリコール(PEG)からなる群から選択される少なくとも一である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
10−90mg/mlの第VII因子ポリペプチド (i)、
およそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために適するバッファ剤 (ii)、
0.1−20mg/mlの濃度の少なくとも一の芳香族保存料 (iii)、及び
0.1−5.0mg/mlの濃度の少なくとも一の抗酸化剤 (iv)
を含有してなる、請求項1から12のいずれか一に記載の液体の水性薬剤組成物。
【請求項14】
第VII因子応答性症候群を治療するための医薬の調製のための、請求項1から13のいずれか一に定義される液体の水性薬剤組成物の使用。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一に定義される液体の水性薬剤組成物と、場合によって不活性ガスを収容する密封容器。
【請求項16】
(a) 凍結乾燥した形態で、少なくとも第VII因子ポリペプチド(i)を収容する第一の容器、
(b) バッファ剤(ii)と少なくとも一の芳香族保存料(iii)を少なくとも含む水性再構成液体を収容する第二の容器
を具備する、請求項1から13のいずれか一に定義される組成物を調製するためのキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−525034(P2010−525034A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504744(P2010−504744)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055348
【国際公開番号】WO2008/135500
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】