説明

芳香族化合物の製造方法

【課題】医・農薬やその製造中間体等として利用できるカルボキシルアルキル芳香族化合物、アシル芳香族化合物及び/又はアルキル芳香族化合物を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】芳香族化合物とアルケン酸を、触媒存在下で、マイクロ波を照射して反応させ、カルボキシアルキル芳香族化合物、アシル芳香族化合物(テトラロン、インダノン等)及び/又はアルキル芳香族化合物を製造する。触媒としては、たとえば、ゼオライト等の固体酸触媒を使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシアルキル芳香族化合物、アシル芳香族化合物および/またはアルキル芳香族化合物を効率的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アシル芳香族化合物は、テトラロン、インダノン等の環状ケトン(芳香環縮合シクロアルケノン)であり、医・農薬関係の生理活性化合物やその合成中間体等として有用である。また、カルボキシアルキル芳香族化合物は、それら環状ケトンや他の医・農薬化合物の原料として使用できる。
また、アルキル芳香族化合物も、各種機能性化学品の合成中間体等として用いることができる。この中で、とくに有用性が高いと考えられるアシル芳香族化合物の製造法としては、芳香族化合物に触媒存在下でアルケン酸を反応させる方法が知られていた(たとえば、非特許文献1〜2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Catal.Lett.87,p.109(2003)
【非特許文献2】Org.Lett.9,p.3889(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の製造法では、反応を進行させるために、触媒であるトリフルオロメタンスルホン酸を原料に対して5当量用いる等、多量の酸触媒の使用や、或いは、例えば、160℃で20時間等の、高温・長時間の加熱が必要であり、工業的に有利な方法とはいえなかった。
【0005】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、芳香族化合物とアルケン酸から、カルボキシアルキル芳香族化合物、アシル芳香族化合物および/またはアルキル芳香族化合物を、多量の廃棄物を出すことなく、短時間で、効率的に製造できる方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族化合物とアルケン酸との触媒存在下での反応が、マイクロ波照射により著しく加速されることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、この出願は、以下の発明を提供するものである。
【0007】
〈1〉下記の一般式(I)
【化1】

(式中、環Aは単環または縮合多環の芳香環基を示し、その環を構成する原子には、窒素、酸素、硫黄またはセレンから選ばれる原子を含んでいてもよく、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていても差し支えない。)
で表される芳香族化合物と、下記の一般式(IIA)
【化2】

(式中、環Bは単環または縮合多環の芳香環基を示し、その環を構成する原子には、窒素、酸素、硫黄またはセレンから選ばれる原子を含んでいてもよく、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていても差し支えない。pは0以上3以下の整数を示す。)
で表されるアルケン酸を、触媒の存在下で、マイクロ波を照射して反応させることを特徴とする、下記の一般式(IIIA)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物、下記の一般式(IVA)及び/又は一般式(IVB)で表されるアシル芳香族化合物、及び/又は下記の一般式(VA)で表されるアルキル芳香族化合物の製造方法。
【0008】
【化3】

(これら式中、A、Bおよびpは前記と同じ意味である。)
【0009】
〈2〉上記一般式(I)で表される芳香族化合物と、下記の一般式(IIB)
[R(CHq]RC=CR(CHrCOH・・・・・(IIB)
(式中、R、RおよびRは水素原子またはアルキル基であり、qは0または1の整数を示し、rは0以上3以下の整数を示す。)
で表されるアルケン酸を、触媒の存在下で、マイクロ波を照射して反応させることを特徴とする、下記の一般式(IIIB)、一般式(IIIC)及び/又は一般式(IIID)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物、下記の一般式(IVC)、一般式(IVD)及び/又は一般式(IVE)で表されるアシル芳香族化合物、及び/又は下記の一般式(VB)、一般式(VC)及び/又は一般式(VD)で表されるアルキル芳香族化合物の製造方法。
【0010】
【化4】

(これら式中、A、R、R、R、qおよびrは前記と同じ意味である。)
【0011】
〈3〉触媒が酸触媒であることを特徴とする上記〈1〉又は〈2〉の製造方法。
〈4〉酸触媒が、固体酸であることを特徴とする上記〈3〉の製造方法。
〈5〉固体酸が、ゼオライト、モンモリロナイト、シリカ及び酸性ポリマーから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記〈4〉の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製法方法によれば、従来の方法に比べ短時間で効率的にカルボキシアルキル芳香族化合物、アシル芳香族化合物及び/又はアルキル芳香族化合物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の製造方法は、芳香族化合物とアルケン酸を、触媒の存在下、マイクロ波を照射して反応させることを特徴とする。
【0014】
本発明において使用される芳香族化合物は、下記の一般式(I)
【化1】

で表されるもので、環Aは単環または縮合多環の芳香環基を示し、その環を構成する原子には、窒素、酸素、硫黄またはセレンから選ばれる原子を含んでいてもよく、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていても差し支えない。そのような環を有する芳香族化合物の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール、ジメトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、N−メチルピロール、フラン、チオフェン、セレノファン、N−メチルインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。
【0015】
また、本発明で使用されるアルケン酸は、一般式(IIA)
【化2】

又は一般式(IIB)
[R(CHq]RC=CR(CHCOH・・・・・(IIB)
で表されるものである。
【0016】
一般式(IIA)中、環Bは単環または縮合多環の芳香環基を示し、その環を構成する原子には、窒素、酸素、硫黄またはセレンから選ばれる原子を含んでいてもよく、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていても差し支えない。そのような環を有する芳香族化合物の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アニソール、ジメトキシベンゼン、エトキシベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。また、pは0以上3以下の整数を示し、好ましくは0以上2以下である。したがって、それらの置換基等を有するアルケン酸の具体例としては、桂皮酸、3−フェニル−2−プロペン酸、3−ナフチル−2−プロペン酸、3−フリル−2−プロペン酸、3−チエニル−2−プロペン酸、4−フェニル−3−ブテン酸、5−フェニル−4−ペンテン酸、6−フェニル−5−ヘキセン酸等を挙げることができる。
【0017】
また、一般式(IIB)中、R、R及びRは、水素原子又はアルキル基を示し、互いに同一でも異なっていてもよい。アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8であり、それらの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。また、qは0または1の整数を示す。さらに、rは0以上3以下の整数を示し、好ましくは0以上2以下である。
したがって、それらの置換基等を有するアルケン酸の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、3−ブテン酸、クロトン酸、2−または3−メチルクロトン酸、2−、3−または4−ペンテン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−、3−、4−または5−ヘキセン酸、3−メチル−3−ヘキセン酸、2−、3−、4−または5−オクテン酸等が挙げられる。
【0018】
一方、本発明では、一般式(I)と一般式(IIA)の化合物との反応では、下記の一般式(IIIA)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物、下記の一般式(IVA)及び/又は一般式(IVB)で表されるアシル芳香族化合物、及び/又は下記の一般式(VA)で表されるアルキル芳香族化合物が製造される。
【0019】
【化3】

【0020】
さらに、一般式(I)と一般式(IIB)の化合物との反応では、下記の一般式(IIIB)、一般式(IIIC)及び/又は一般式(IIID)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物、下記の一般式(IVC)、一般式(IVD)及び/又は一般式(IVE)で表されるアシル芳香族化合物、及び/又は下記の一般式(VB)、一般式(VC)及び/又は一般式(VD)で表されるアルキル芳香族化合物が製造される。
【0021】
【化4】

【0022】
これら式中、A、B、p、R、R、R、qおよびrは前記と同じ意味である。この中で一般式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)又は(IIID)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物の具体例としては、3−フェニルプロピオン酸、3,3−ジフェニルプロピオン酸、3−フェニル−3−トリルプロピオン酸、3−フェニル−3−キシリルプロピオン酸、3−フェニル−3−メトキシフェニルプロピオン酸、4,4−ジフェニル酪酸、4−フェニル−4−トリル酪酸、4−フェニル−4−キシリル酪酸、4−フェニル−4−メトキシフェニル酪酸、4−ナフチル−4−フェニル酪酸等を挙げることができる。
【0023】
また、一般式(IVA)、(IVB)、(IVC)、(IVD)又は(IVE)で表されるアシル芳香族化合物の具体例としては、ベンゾシクロペンテノン(1−インダノン)、3−フェニル−1−インダノン、4−、5−、6−または7−メチル−1−インダノン、4,7−ジメチル−1−インダノン、5,6−ジメチル−1−インダノン、3−フェニル−1−インダノン、3−フェニル−5または6−メチル−1−インダノン、3−フェニル−5または6−メトキシ−1−インダノン、3−フェニル−4,7または5,6−ジメチル−1−インダノン、3−フェニル−4,7または5,6−ジメトキシ−1−インダノン、3−メチル−1−インダノン、3,3−ジメチル−1−インダノン、ベンゾシクロヘキセノン(1−テトラロン)、6−または7−メチル−1−テトラロン、6−または7−メトキシ−1−テトラロン、5,8−または6,7−ジメトキシ−1−テトラロン、4−フェニル−1−テトラロン、4−フェニル−6−または7−メチル−1−テトラロン、4−フェニル−6−または7−メトキシ−1−テトラロン、4−フェニル−5,8−または6,7−ジメチル−1−テトラロン、4−フェニル−5,8または6,7−ジメトキシ−1−テトラロン、4−メチル−1−テトラロン、ベンゾシクロヘプテノン(1−ベンゾスベロン)、ベンゾシクロオクテノン、4−または7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロオキサナフテン、4−または7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロチアナフテン、4−または7−オキソ−4,5,6,7−テトラヒドロセレナナフテン等を挙げることができる。
【0024】
さらに、一般式(VA)、(VB)、(VC)及び/又は(VD)で表されるアルキル芳香族化合の具体例としては、1,1−ジフェニルエタン、1−フェニル−1−トリルエタン、1−フェニル−1−キシリルエタン、1−フェニル−1−メトキシフェニルエタン、1−フェニル−1−ジメトキシフェニルエタン、1−フェニル−1−ナフチルエタン、1,1−ジフェニルプロパン、1−フェニル−1−ナフチルプロパン等を挙げることができる。
【0025】
本発明では、フリーデル・クラフツ型の求電子置換反応で使われる従来公知の各種の触媒を用いることができる。それらの具体例としては、金属塩、金属酸化物等の無機物、有機物等、各種酸性化合物が挙げられ、無機物をより具体的に示せば、金属塩(アルミニウム、鉄等の塩化物、臭化物等)や、プロトン性水素原子あるいは金属カチオン(アルミニウム、チタン、ガリウム等)を有するゼオライト、モンモリロナイト、シリカ、ヘテロポリ酸、ポリリン酸等の無機系固体酸が挙げられる。また有機物をより具体的に示せば、トリフルオロメタンスルホン酸、スルホン酸基を有するデュポン社から入手可能なナフィオン(Nafion)(登録商標)、ダウ・ケミカル社から入手可能なダウエックス(Dowex)(登録商標)、ローム&ハス社から入手可能なアンバーライト(Amberlite)(登録商標)、同社から入手可能なアンバーリスト(Amberlyst)(登録商標)等の酸性ポリマーや他の有機系固体酸が挙げられる。さらに、シリカ等に前記ナフィオン等の有機系酸性化合物を担持した触媒であるデュポン社から入手可能なナフィオン(Nafion)SAC−13等を用いることもできる。
【0026】
この中でゼオライトの種類としては、Y型、ベータ型、ZSM−5型、モルデナイト型、SAPO型等の基本骨格を有する各種のゼオライトを使用できる。それら、ゼオライト触媒におけるシリカ/アルミナ比は、通常2〜500であり、好ましくは2〜300、より好ましくは3〜200、さらに好ましくは4〜150である。プロトン性水素原子を有するゼオライトは、H−Y型、H−ベータ型のように表され、市販品を含む各種のものを使用できる。また、アンモニウム型のNH−Y型、NH−ベータ型等のゼオライトを焼成してプロトン型のH−Y型、H−ベータ型等に変換したものを使用することもできる。
市販品のものとしては、たとえば、H−Y型ゼオライトとしては、ゼオリスト社から入手可能な、CBV760、CBV720、CBV780、CBV400及びCBV600、東ソー社から入手可能な、341HUA、350HUA、360HUA及び390HUA、UOP社から入手可能なLZY−84等を使用でき、H−ベータ型ゼオライトとしては、東ソー社から入手可能な940HOA及び930HOA等をできる。また、NH−Y型のゼオライトを焼成しH−Y型に変換して使用できるものとしては、ゼオリスト社から入手可能な、CBV300、CBV500及びCBV712等を挙げることができる。
【0027】
触媒の量は、所望する反応速度等に応じて任意に決めることができるが、原料に対する重量比として、通常0.0001〜200であり、好ましくは0.002〜150、より好ましくは0.005〜100である。
【0028】
反応の温度は、−20℃以上、好ましくは−10〜300℃、より好ましくは、0〜280℃であり、反応時間は反応温度にもよるが、0.5〜420分、好ましくは0.5〜360分、より好ましくは0.5〜300分程度である。
【0029】
また、反応は、溶媒の有無にかかわらず実施できるが、溶媒を用いる場合には、デカリン、デカン等の炭化水素、クロロベンゼン、1,2−または1,3−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ジブチルエーテル等のエーテル等、原料と反応するものを除いた各種の溶媒が使用可能で、2種以上混合して用いることもできる。
【0030】
本発明において照射するマイクロ波の出力や周波数、照射方法は、特に限定されるものではなく、反応温度が所定の範囲に保持できるように制御すればよい。マイクロ波の周波数は、通常、0.3GHz〜30GHzである。0.3GHz未満又は30GHzを超える周波数範囲では、反応が不十分となり促進効果が不十分となる。
本発明の反応におけるマイクロ波の照射では、接触式または非接触式の温度センサーを備えた各種の市販装置等を使用できる。さらに、マイクロ波照射の出力、キャビティの種類(マルチモード、シングルモード)、照射の形態(連続的、断続的)等は、反応のスケールや種類等に応じて任意に決めることができる。
マイクロ波発振器としては、マグネトロン等のマイクロ波発振器や、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器等を適宜用いることができる。
【0031】
本発明では、カルボキシアルキル芳香族化合物(一般式(IIIA〜IIID))、アシル芳香族化合物(一般式(IVA〜IVE))およびアルキル芳香族化合物(一般式(VA〜VD))を製造できるが、それらの製造比は、触媒の種類、温度、時間等の反応条件により制御可能である。
たとえば、カルボキシアルキル芳香族化合物およびアシル芳香族化合物は、触媒としてH−Y型ゼオライト等を用いることにより効率よく製造できる。
また、カルボキシアルキル芳香族化合物の製造では、低温、短時間の反応条件が好ましく、アシル芳香族化合物の製造では、高温、長時間の反応条件が好ましい。
一方、アルキル芳香族化合物は、触媒としてH−ベータ型ゼオライト触媒を用いることにより効率よく製造できる。
【0032】
本発明の方法で生成した環状ケトンの精製は、クロマトグラフィー、蒸留、再結晶等の通常用いられる手段により容易に達せられる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ベンゼン(I−a) 1.4mL、桂皮酸(IIA−a) 0.10mmol、H−Y型ゼオライト CBV760(ゼオリスト社製) 200mg、1,2−ジクロロベンゼン 0.6mLの混合物を反応管に入れ、放射温度計を備えたマイクロ波照射装置(Biotage社製、Initiator、シングルモード型)を用いて、攪拌しながら150℃で20分反応させた後、さらに180℃で10分反応させた。生成物をガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ質量分析計で分析した結果、3,3−ジフェニルプロピオン酸(IIIA−a)が9.6%、3−フェニル−1−インダノン(IVA−a)が61.4%、1,1−ジフェニルエタン(VA−a)が8.2%の収率で生成したことがわかった(表1)。
【0034】
【表1−1】

【0035】
【表1−2】

【0036】
【表1−3】

【0037】
【表1−4】

【0038】
【表1−5】

【0039】
(実施例2〜50)
原料の芳香族化合物、アルケン酸や反応条件(触媒、溶媒、温度、時間等)を変えて、実施例1と同様に反応及び分析を行い、生成物の収率を測定した結果を表1に示す。
【0040】
(実施例51)
ベンゼン(I−a) 10.5mL、4−フェニル−3−ブテン酸(IIA−b) 5.0mmol、H−Y型ゼオライト CBV760(ゼオリスト社製) 1.0g、1,2−ジクロロベンゼン 4.5mLの混合物を反応管に入れ、放射温度計を備えたマイクロ波照射装置(Biotage社製、Initiator、シングルモード型)を用いて、攪拌しながら180℃で270分反応させた。反応液を遠心分離器で処理して上澄み液を分離し、残固体をメタノール10mLで2回洗浄して、洗浄液を上澄み液と合わせて減圧下濃縮した。濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製した結果、4−フェニル−1−テトラロン(IVA−d)が50.8%の収率で得られた。
【0041】
(実施例52)
ベンゼン(I−a)の代わりにトルエン(I−b)を用いる他は実施例51と同様に反応、後処理および精製を行った結果、5−,6−,7−または8−メチル−4−フェニル−1−テトラロン(IVA−e)が64.6%、4−(2−,3−または4−トリル)−1−テトラロン(IVB−e)が10.9%の収率で得られた。
【0042】
(実施例53)
ベンゼン(I−a)の代わりに1,4−キシレン(I−c)を用いる他は実施例51と同様に反応、後処理および精製を行った結果、5,8−ジメチル−4−フェニル−1−テトラロン(IVA−f)が22.5%、4−(2,5−キシリル)−1−テトラロン(IVB−f)が25.2%の収率で得られた。
【0043】
(実施例54)
ベンゼン(I−a)の代わりにトルエン(I−b)を用い、4−フェニル−3−ブテン酸(IIA−b)の代わりに桂皮酸(IIA−a)用いる他は実施例51と同様に反応、後処理および精製を行った結果、4−,5−,6−または7−メチル−3−フェニル−1−インダノン(IVA−b)が36.2%、3−(2−,3−または4−トリル)−1−インダノン(IVB−b)が6.0%の収率で得られた。
【0044】
(実施例55)
ベンゼン(I−a)の代わりに1,4−キシレン(I−c)を用い、4−フェニル−3−ブテン酸(IIA−b)の代わりに桂皮酸(IIA−a)用いる他は実施例51と同様に反応、後処理および精製を行った結果、4,7−ジメチル−3−フェニル−1−インダノン(IVA−c)が44.0%、3−(2,5−キシリル)−1−インダノン(IVB−c)が3.3%の収率で得られた。
【0045】
(実施例56)
4−フェニル−3−ブテン酸(IIA−b)の代わりに桂皮酸(IIA−a)を用い、触媒としてH−Y型ゼオライト CBV760の代わりにH−ベータ型ゼオライト 940HOA(東ソー社製)を用いる他は実施例51と同様に反応、後処理および精製を行った結果、1,1−ジフェニルエタン(VA−a)が63.8%の収率で得られた。
【0046】
上記実施例で得られた化合物、(IVA−f)(3種類の異性体)、(IVB−f)(2種類の異性体)、(IVA−g)、(IVB−g)、(IVA−b)(3種類の異性体)、(IVB−b)(2種類の異性体)、(VA−b)(2種類の異性体)、(IVA−c)、(IVB−c)、(VA−c)、(IVA−j)、(IVB−j)(2種類の異性体)、(IVA−i)(2種類の異性体)、(IVB−i)、(IVA−h)(2種類の異性体)、(IVB−h)、(IVA−d)(2種類の異性体)、(IVB−d)、(VA−d)(2種類の異性体)、(IVC−m)、(IVC−n)、(IVC−o)(2種類の異性体)、(IIIA−a)、(IVA−a)、(VA−a)、(IVA−e)及び(IVD−k)のGC−MS及び/又はNMRスペクトルデータは次の通りである。
【0047】
化合物(IVA−f、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 208 (96), 207 (27), 194 (26), 193 (52), 179 (30), 178 (37), 165 (70), 115 (29), 89 (40).
化合物(IVA−f、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (43), 208 (73), 207 (52), 194 (41), 193 (66), 179 (54), 178 (56), 165 (59), 158 (26), 152 (20), 115 (48), 103 (20), 91 (30), 89 (55), 77 (23), 76 (33), 51 (20).
化合物(IVA−f、異性体3)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (33), 208 (55), 207 (26), 194 (60), 193 (53), 179 (31), 178 (32), 165 (53), 115 (24), 89 (34).
化合物(IVB−f、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 208 (84), 207 (82), 194 (39), 193 (54), 179 (41), 178 (46), 165 (66), 115 (43), 89 (50).
化合物(IVB−f、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (30), 208 (82), 207 (37), 194 (41), 193 (62), 179 (44), 178 (43), 165 (67), 115 (36), 91 (20), 89 (47), 76 (28).
化合物(IVA−g)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 222 (100), 207 (81), 193 (29), 179 (30), 178 (47), 115 (24), 89 (21).
1H-NMR (CDCl3): δ (ppm) 2.06 (s, 3H), 2.18-2.23 (m, 1H), 2.40-2.47 (m, 1H), 2.50-2.55 (m, 2H), 2.68 (s, 3H), 6.97-7.27 (m, 7H).
13C-NMR (CDCl3): δ (ppm) 19.4, 23.4, 30.2, 35.1, 41.6, 126.3, 128.1 (2C), 128.4 (2C), 130.9, 132.0, 134.4, 134.6, 138.9, 141.8, 144.2, 200.5.
化合物(IVB−g)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 235 (43), 222 (39), 221 (29), 207 (80), 193 (32), 179 (31), 178 (57), 120 (29), 115 (37), 91 (20), 89 (38).
1H-NMR (CDCl3): δ (ppm) 2.19 (s, 3H), 2.23-2.32 (m 1H), 2.37 (s, 3H), 2.60-2.67 (m, 1H), 2.76-2.83 (m, 1H), 6.64 (s, 1H), 6.87-6.99 (m, 2H), 7.10-7.14 (m, 1H), 7.30-7.42 (m, 2H), 8.09-8.13 (m, 1H).
13C-NMR (CDCl3): δ (ppm) 19.2, 21.0, 30.1, 37.3, 41.5, 126.7, 127.0, 127.4, 129.1, 129.2, 130.6, 132.8, 132.9, 133.6, 135.7, 141.5, 146.8, 198.2.
化合物(IVA−b、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 222 (M+, 100), 221 (24), 207 (38), 179 (50), 178 (43), 115 (41), 91 (21), 89 (27), 63 (21), 51 (24).
1H-NMR (CDCl3): δ (ppm) 2.67 (dd, J = 4.0, 19.1 Hz, 1H), 2.69 (s, 3H), 3.18 (dd, J = 8.1, 19.1 Hz, 1H), 4.49 (dd, J = 4.0, 8.1 Hz, 1H), 7.03-7.42 (m, 8H).
13C-NMR (CDCl3): δ (ppm) 18.3, 43.9, 47.3, 124.2, 126.8, 127.6 (2C), 128.8 (2C), 129.6, 134.3, 138.5, 144.0, 158.7, 206.9.
化合物(IVA−b、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 222 (M+, 100), 221 (22), 207 (56), 179 (44), 178 (52), 116 (33), 115 (54), 91 (27), 89 (34), 77 (22), 63 (22), 51 (26).
化合物(IVA−b、異性体3)
GC-MS: m/z (相対強度) 222 (M+, 100), 221 (34), 220 (32), 194 (23), 191 (26), 179 (44), 178 (49), 115 (42), 89 (33).
化合物(IVB−b、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 222 (M+, 100), 207 (77), 192 (57), 191 (63), 179 (73), 178 (85), 130 (67), 92 (51), 91 (50), 89 (44), 77 (60), 76 (52), 51 (45).
化合物(IVB−b、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 222 (M+, 100), 221 (24), 207 (68), 179 (41), 178 (50), 89 (20), 77 (26), 76 (22).
化合物(VA−b、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 196 (M+, 43), 181 (100), 166 (41), 165 (38), 77 (24).
化合物(VA−b、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 196 (M+, 37), 181 (100), 166 (42), 165 (39), 77 (20).
化合物(IVA−c)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (61), 193 (30), 178 (29), 115 (25).
1H-NMR (CDCl3): δ (ppm) 1.96 (s, 3H), 2.56 (dd, J = 2,6, 18.9 Hz, 1H), 2.67 (s, 3H), 3.19 (dd, J = 8.4, 18.9 Hz, 1H), 4.51 (dd, J = 2.6, 8.4 Hz, 1H), 7.00-7.04 (m, 2H), 7.07-7.12 (m, 1H), 7.17-7.28 (m, 4H).
13C-NMR (CDCl3): δ (ppm) 18.0, 18.1, 43.3, 48.0, 126.5, 127.3 (2C), 128.8 (2C), 130.1, 133.7, 134.5, 135.7, 135.8, 144.1, 156.2, 207.5.
化合物(IVB−c)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (100), 206 (27), 193 (36), 192 (26), 191 (54), 189 (29), 178 (66), 165 (22), 115 (33), 106 (93), 105 (48), 103 (37), 102 (27), 91 (32), 89 (27), 77 (62), 76 (34), 51 (29).
1H-NMR (CDCl3): δ (ppm) 2.18 (s, 3H), 2.37 (br s, 3H), 2.53-2.62 (br m, 1H), 3.22 (dd, J = 8.2, 19.2 Hz, 1H), 4.76-4.83 (br m, 1H), 6.53-6.62 (br m (singlet-like), 1H), 6.93-6.97 (m, 1H), 7.07-7.12 (m, 1H), 7.27-7.32 (m, 1H), 7.40-7.45 (m, 1H), 7.56-7.62 (m, 1H), 7.80-7.84 (m, 1H).
13C-NMR (CDCl3): δ (ppm) 19.4, 20.9, 40.6 (br), 45.8, 123.4, 126.9, 127.5, 127.7, 130.5 (br), 132.6, 135.0, 136.0, 137.2, 141.7 (br), 158.0, 206.1.
化合物(VA−c)
GC-MS: m/z (相対強度) 210 (M+, 53), 195 (100), 180 (34), 165 (34), 77 (22).
化合物(IVA−j)
GC-MS: m/z (相対強度) 252 (M+, 100), 224 (26), 223 (23), 210 (55), 209 (20), 181 (45), 175 (20), 165 (26), 152 (53), 115 (22).
化合物(IVB−j、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 252 (M+, 100), 209 (43), 195 (29), 181 (44), 165 (38), 152 (45), 121 (24), 115 (29), 76 (21).
化合物(IVB−j、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 252 (M+, 100), 224 (49), 210 (29), 209 (27), 181 (68), 165 (29), 153 (33), 152 (64), 115 (26).
化合物(IVA−i、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 235 (58), 222 (61), 221 (39), 208 (40), 207 (89), 193 (25), 179 (35), 178 (64), 115 (33), 89 (34).
化合物(IVA−i、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 235 (29), 222 (53), 221 (22), 208 (90), 207 (82), 193 (25), 179 (34), 178 (50), 89 (26).
化合物(IVB−i)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 235 (30), 222 (74), 208 (37), 207 (83), 193 (25), 179 (45), 178 (56), 115 (23), 89 (22).
化合物(IVA−h、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 91), 222 (100), 208 (26), 207 (68), 179 (38), 178 (48), 115 (22), 89 (22).
化合物(IVA−h、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 235 (38), 222 (46), 221 (25), 208 (54), 207 (67), 193 (39), 179 (27), 178 (54), 115 (26), 89 (26).
化合物(IVB−h)
GC-MS: m/z (相対強度) 250 (M+, 100), 235 (44), 222 (66), 221 (21), 208 (22), 207 (87), 193 (31), 179 (33), 178 (64), 144 (21), 115 (37), 89 (38).
化合物(IVA−d、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 235 (25), 221 (55), 193 (37), 192 (23), 191 (23), 178 (30), 115 (28), 77 (26), 51 (22).
化合物(IVA−d、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (66), 193 (36), 191 (21), 178 (29), 115 (26).
化合物(IVB−d)
GC-MS: m/z (相対強度) 236 (M+, 100), 221 (92), 206 (28), 193 (29), 192 (21), 191 (40), 189 (22), 178 (53), 115 (22), 106 (68), 105 (23), 103 (23), 91 (23), 89 (21), 77 (38), 76 (22).
化合物(VA−d、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 210 (M+, 43), 195 (100), 180 (33), 165 (35), 77 (21).
化合物(VA−d、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 210 (M+, 44), 195 (100), 180 (31), 165 (32), 77 (20).
化合物(IVC−m)
GC-MS: m/z (相対強度) 160 (M+, 35), 145 (100), 117 (47), 115 (53), 91 (23).
化合物(IVC−n)(IVD−lと同一の化合物)
GC-MS: m/z (相対強度) 160 (M+, 26), 132 (100), 131 (58), 103 (54), 77 (38).
化合物(IVC−o、異性体1)
GC-MS: m/z (相対強度) 160 (M+, 38), 145 (100), 117 (38), 115 (42), 91 (21).
化合物(IVC−o、異性体2)
GC-MS: m/z (相対強度) 160 (M+, 33), 145 (100), 117 (35), 115 (49), 91 (21).
化合物(IIIA−a)
GC-MS: m/z (相対強度) 226 (M+, 17), 167 (100), 165 (43), 152 (25), 77 (28).
化合物(IVA−a)
GC-MS: m/z (相対強度) 208 (M+, 100), 207 (40), 179 (41), 178 (59), 165 (38), 89 (24), 77 (37), 76 (37), 51 (27).
化合物(VA−a)
GC-MS: m/z (相対強度) 182 (M+, 34), 167 (100), 165 (35), 152 (22).
化合物(IIIA−e)
GC-MS: m/z (相対強度) 240 (M+, 20), 180 (30), 168 (21), 167 (100), 165 (60), 152 (29).
化合物(IVA−e)
GC-MS: m/z (相対強度) 222 (M+, 74), 207 (20), 194 (68), 193 (36), 180 (38), 166 (20), 165 (100), 115 (36), 82 (40).
化合物(IVD−k)(IVC−lおよびIVE−nと同一の化合物)
GC-MS: m/z (相対強度) 160 (M+, 87), 145 (57), 132 (78), 131 (31), 118 (68), 117 (52), 115 (46), 104 (100), 103 (38), 91 (24), 78 (43), 77 (38), 51 (24).
【0048】
(比較例1)
マイクロ波照射装置の代わりにオイルバスを用いる他は実施例2と同様に反応及び分析を行った結果、III−a、IV−a及びV−aの収率は、それぞれ19.7%、1.4%及び2.3%であり、その合計収率の23.4%は、実施例2で得られた合計収率の84.1%よりも低いものであった(表2)。
このことは、マイクロ波照射の反応が、同じ反応温度・時間でのオイルバスによる通常加熱の反応に比べ、目的化合物を短時間で収率よく与えることを示している。
【0049】
(比較例2〜4)
他の実施例において、比較例1と同様に、オイルバスでの反応及び分析を行った結果を、対応する実施例の結果と共に表2に示す。
【0050】
【表2】

括弧内の数字は、実施例の数値/比較例の数値を示す。
【0051】
いずれの比較例においても、生成した目的化合物の収率は対応する実施例の値よりも低く、マイクロ波照射を用いることにより、原料や触媒の種類等の反応条件に関わりなく、目的化合物をより効率的に製造できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の方法により、各種医・農薬やその製造中間体として有用な化合物である、カルボキシアルキル芳香族化合物、アシル芳香族化合物及び/又はアルキル芳香族化合物を、入手容易な原料を用いてより効率的かつ安全に製造できる。とくに、本発明により得られるテトラロン、インダノン等のアシル芳香族化合物には、さまざまな生理活性等が知られているため利用価値が高く、本発明の工業的意義は多大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(I)
【化1】

(式中、環Aは単環または縮合多環の芳香環基を示し、その環を構成する原子には、窒素、酸素、硫黄またはセレンから選ばれる原子を含んでいてもよく、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていても差し支えない。)
で表される芳香族化合物と、下記の一般式(IIA)
【化2】

(式中、環Bは単環または縮合多環の芳香環基を示し、その環を構成する原子には、窒素、酸素、硫黄またはセレンから選ばれる原子を含んでいてもよく、環上の水素原子の一部が反応に関与しない基で置換されていても差し支えない。pは0以上3以下の整数を示す。)
で表されるアルケン酸を、触媒の存在下で、マイクロ波を照射して反応させることを特徴とする、下記の一般式(IIIA)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物、下記の一般式(IVA)及び/又は一般式(IVB)で表されるアシル芳香族化合物、及び/又は下記の一般式(VA)で表されるアルキル芳香族化合物の製造方法。
【化3】

(これら式中、A、Bおよびpは前記と同じ意味である。)
【請求項2】
上記一般式(I)で表される芳香族化合物と、下記の一般式(IIB)
[R(CHq]RC=CR(CHrCOH・・・・・(IIB)
(式中、R、RおよびRは水素原子またはアルキル基であり、qは0または1の整数を示し、rは0以上3以下の整数を示す。)
で表されるアルケン酸を、触媒の存在下で、マイクロ波を照射して反応させることを特徴とする、下記の一般式(IIIB)、一般式(IIIC)及び/又は一般式(IIID)で表されるカルボキシアルキル芳香族化合物、下記の一般式(IVC)、一般式(IVD)及び/又は一般式(IVE)で表されるアシル芳香族化合物、及び/又は下記の一般式(VB)、一般式(VC)及び/又は一般式(VD)で表されるアルキル芳香族化合物の製造方法。
【化4】

(これら式中、A、R、R、R、qおよびrは前記と同じ意味である。)
【請求項3】
前記触媒が酸触媒であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記酸触媒が、固体酸であることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記固体酸が、ゼオライト、モンモリロナイト、シリカ及び酸性ポリマーから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。

【公開番号】特開2011−16748(P2011−16748A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161357(P2009−161357)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「革新的マイクロ反応場利用部材技術開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】