説明

芳香発生マスク

【課題】 使用時に十分に芳香剤が存在して、芳香を発生する時間が長いと共に、製造コストがかからず、安価にすることができる芳香発生マスクを提供する。
【解決手段】 マスク本体2に芳香剤を内包した圧縮崩壊性マイクロカプセルを付着させて芳香発生マスク1を構成する。マスク本体2は、強度の高い合成樹脂から成る不織布を成形した外層体4、エレクトレットフィルターを成形した中層体5、及び、芳香剤を内包した圧縮崩壊性マイクロカプセルMを付着させた、天然繊維から成る不織布を成形した内層体6を順次貼着した三層構造とするのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻炎緩和効果、精神安定効果、口臭軽減効果等を得ることができる芳香発生マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、汚染大気、ハウスダスト、花粉等によって、喘息、鼻炎等のアレルギー症状を発症する者が多くなってきた。又、社会、家庭等において種々発生する問題によって、ストレス、精神疾患等を訴える者も多くなってきた。さらに、歯槽膿漏、内臓疾患等に起因して発生する口臭を気にする者も多くなってきた。
【0003】
アレルギー症状、ストレス、精神疾患、口臭等は、根本的には医科、歯科等による治療によって回復、治癒させるものではあるが、中々短期的に回復、治癒できるものではないため、治療中には少しでもその症状を軽減、緩和することが望まれる。
【0004】
このような要望に応えて、従来、芳香を発生するマスクが種々提案されており、マスクを装着した者が発生する芳香を鼻、口から吸入すると、芳香を発生する芳香剤の種類によって、鼻炎緩和効果、精神安定効果、口臭軽減効果等が得られる。
【0005】
芳香を発生するマスクとしては、従来、マスク本体2又は添付するガーゼ11に芳香剤を直接含浸又は付着させたもの(特許文献1参照)、マスク本体1に芳香剤を収納した袋体4を装着自在としたもの(特許文献2参照)が知られている。
【0006】
【特許文献1】実開平3−91364号公報
【特許文献2】実開平3−83544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されたマスクは、マスク本体2又は添付するガーゼ11に芳香剤を直接含浸又は付着させたものであるから、製造後徐々に芳香剤が消失していき、使用時には芳香剤が減少して、芳香を発生する時間が短い場合があった。
又、包装袋から取り出したまま放置しておくと、使用時には芳香剤が完全に消失していて、もう芳香を発生しない場合もあった。
【0008】
又、特許文献2に記載されたマスクは、マスク本体1に芳香剤を収納した袋体4を装着自在としたものであるから、やはり、製造後徐々に芳香剤が消失していき、袋体4使用時には芳香剤が減少して、芳香を発生する時間が短い場合があった。
又、芳香剤を収納した袋体4を必要とすると共に、マスク本体1には袋体4を装着するポケット6を形成する必要もあり、製造コストがかかり、どうしても高価にならざるを得なかった。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて為されたものであって、その目的とするところは、使用時に十分に芳香剤が存在していて、芳香を発生する時間が長いと共に、包装袋から取り出して放置しても、芳香剤が消失することがなく、又、芳香剤を収納した袋体を必要とせず、マスク本体にもポケット等を形成する必要もなく、製造コストがかからず、安価にすることができる芳香発生マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の芳香発生マスクは、マスク本体に芳香剤を内包した圧力崩壊性マイクロカプセルを付着させたことを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、輸送、販売、保管時等に芳香剤が徐々に消失することはなく、使用時に芳香剤が十分に存在していて、マスク装着後、十分長時間に亘って芳香を発生することができ、包装袋から取り出して放置しても、芳香剤が消失することはなく、使用時に芳香を発生しない事態を防止することができる。
【0012】
前記芳香剤としては、芳香オイルを使用するのが好ましい。
【0013】
前記圧力崩壊性マイクロカプセルの被覆材としては、圧力崩壊性ポリマーであるメラミン樹脂を使用するのが好ましい。
【0014】
前記マスク本体は、強度の高い合成樹脂から成る不織布を成形した外層体、エレクトレットフィルターを成形した中層体、及び、芳香剤を内包した圧力崩壊性マイクロカプセルを付着させた、天然繊維から成る不織布を成形した内層体を順次貼着した三層構造とするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の芳香発生マスクの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
本発明の芳香発生マスク1は、図1に示すように、マスク本体2及び耳掛け紐3,3から構成される。
【0017】
マスク本体2は、図1及び図2に示すように、長方形状を呈するものであって、外層体4,中層体5及び内層体6を順次貼着した三層構造から成る。
【0018】
外層体4は、ポリプロピレン等の強度の高い合成樹脂から成る不織布を成形したものであって、長辺と平行に複数の襞4a,4a,・・・を形成してある。
【0019】
中層体5は、超極細帯電繊維から成るエレクトレットフィルターを成形したものであって、長辺と平行に複数の襞5a,5a,・・・を形成してある。
又、上端部には、長辺と平行にステンレス鋼等から成る薄肉帯状の形状維持部材7を挿入してあり、左右側端部には、ゴム紐から成る耳掛け紐3,3を固着してある。
【0020】
内層体6は、人肌に優しい綿等の天然繊維から成る不織布を成形したものであって、長辺と平行に複数の襞6a,6a,・・・を形成してある。
又、中央部を中心とする適宜領域Dには、芳香剤を内包した圧力崩壊性マイクロカプセルMを付着させてある。
【0021】
圧力崩壊性マイクロカプセルMは、図3に示すように、内包される芯物質Cとそれを包囲する被覆材Sとから構成され、適宜圧力を負荷することによって、被覆材Sが崩壊して芯物質Cが露出する、いわゆる感圧型マイクロカプセルである。
圧力崩壊性マイクロカプセルMは、直径を1〜100μm、特には1〜10μmとしてあり、好ましくは、多核型マイクロカプセルとしてある。
【0022】
芯物質Cとしては、芳香剤を使用し、グレープフルーツ、オレンジ、ユーカリ、ジャスミン等の芳香を放散する天然芳香オイルを使用する。
被覆材Sとしては、芯物質を完全に封止すると共に、適宜圧力で崩壊する完全閉孔型メラミン樹脂等の圧力崩壊性ポリマーを使用する。
【0023】
圧力崩壊性マイクロカプセルMは、天然芳香オイルと圧力崩壊性ポリマーとから、以下のようにして製造することができる。
先ず、水に芳香オイル、乳化剤及び硬化触媒を添加し、十分に攪拌、混合して水溶液を作製する。次に、その水溶液に崩壊性ポリマーを添加して攪拌、混合すれば、硬化触媒の作用によって、芳香オイルの表面において崩壊性ポリマーが硬化、付着し、被覆層を形成するから、芳香オイルを内包した圧力崩壊性マイクロカプセルMが製造される。
【0024】
上記の如く製造した圧力崩壊性マイクロカプセルMを含む溶液を、マスク本体2の内層体6の内側中央部に浸み込ませ、その後、十分に乾燥させれば、圧力崩壊性マイクロカプセルMは微小粒子であるから、内層体6を構成する天然繊維間に絡まって、内側中央部を中心とする適宜領域Dに圧力崩壊性マイクロカプセルMが付着する。
【0025】
本発明の芳香発生マスク1は、製造後、包装袋に収容されて輸送、販売、保管等されている時は、圧力崩壊性マイクロカプセルMによって芳香剤が完全に封止されているから、芳香剤が徐々に消失して、芳香剤が減少してしまうということはない。
よって、使用時に芳香剤が十分に存在しており、マスク装着後、十分長時間に亘って芳香を発生することができる。
【0026】
本発明の芳香発生マスク1を使用する時には、包装袋から取り出した後、図4に示すように、マスク本体2の左右側端部を両手指で握り、マスク本体2を軽く揉む。
これによって、内層体6に付着している圧力崩壊性マイクロカプセルMの被覆材Sが圧力によって崩壊され、内包された芯物質Cである芳香剤が露出するから、以後芳香剤が徐々に消失していき、芳香を発生することとなる。
よって、包装袋から取り出したまま放置しても、マスク本体2を揉まない限り、芳香剤が減少することはないから、使用時に芳香を発生しない事態を防止することができる。
【0027】
本発明の芳香発生マスク1は、外層体4,中層体5及び内層体6を順次貼着した三層構造とし、綿等の天然繊維から成る不織布を成形した薄肉の内層体6に、圧力崩壊性マイクロカプセルMを付着させるようにしたから、圧力崩壊性マイクロカプセルMを容易に付着させることができ、製造コストを低減することができる。
【0028】
又、外層体4をポリプロピレン等の強度の高い合成樹脂から成る不織布を成形して構成したから、マスク本体2を揉む際、揉んだ後にも、十分に強度を確保することができ、マスク本体2を破損することがない。
【0029】
又、中層体5を超極細帯電繊維から成るエレクトレットフィルターを成形して構成したから、中層体5によって花粉、粉塵、ハウスダスト等を吸着することができ、さらに、上端部に薄肉帯状の形状維持部材7を挿入させたから、芳香発生マスク1の装着時に、形状維持部材8を適宜変形させて鼻に密着させることができ、花粉、粉塵、ハウスダスト等がマスク本体2の内側に侵入することを極力防止することができる。
【0030】
さらに、本発明の芳香発生マスク1は、芳香剤を収納した袋体は必要とせず、マスク本体2にもポケット等を形成する必要もないから、製造コストがかからず、安価にすることができる。
【0031】
尚、上記実施形態にあっては、マスク本体を三層構造としたが、マスクの奏する効果は低減するものの、場合によっては、単層構造、二層構造としてもよく、又は三層以上の多層構造としてもよい。
【0032】
又、本発明の芳香発生マスクは、上記実施形態のような形状のマスクに限らず、頂点部を曲面状とした逆円錐形状を呈するマスクに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の芳香発生マスクの正面図である。
【図2】本発明の芳香発生マスクの分解背面図である。
【図3】圧力崩壊性マイクロカプセルの概略断面図である。
【図4】本発明の芳香発生マスクの使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 芳香発生マスク
2 マスク本体
4 外層体
5 中層体
6 内層体
M 圧力崩壊性マイクロカプセル
C 芯物質
S 被覆材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク本体に芳香剤を内包した圧縮崩壊性マイクロカプセルを付着させたことを特徴とする芳香発生マスク。
【請求項2】
前記芳香剤は、芳香オイルであることを特徴とする請求項1に記載の芳香発生マスク。
【請求項3】
前記圧縮崩壊性マイクロカプセルの被覆材は、メラミン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の芳香発生マスク。
【請求項4】
前記マスク本体は、強度の高い合成樹脂から成る不織布を成形した外層体、エレクトレットフィルターを成形した中層体、及び、芳香剤を内包した圧縮崩壊性マイクロカプセルを付着させた、天然繊維から成る不織布を成形した内層体を順次貼着した三層構造であることを特徴とする請求項1乃至3何れかに記載の芳香発生マスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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