説明

苗植機

【課題】
左右前輪、左右後輪が畝溝を走行し、機体の左右への倒れを防止しながら畝溝に隣接する左右の畝の左右両側部に苗の植え付け作業をする苗植機を提供する。
【解決手段】
上下動機構4により上下動して圃場に苗を植え付ける左右苗植付け体5、左右苗植付け体5へ苗を供給する苗供給装置24、苗落下供給機構27等を備えた苗植機において、左右前輪6及び後輪7のトレッドを幅狭に構成し、左右転倒防止輪141のトレッドを幅広で且つ左右前輪6及び後輪7よりも高位に位置するように構成し、左右前輪6及び後輪7が畝溝UMを走行し、左右転倒防止輪141が畝溝UMに隣接する左右の畝U上面を走行しながら、左右苗植付け体5により畝溝UMに隣接する左右畝Uの左右両側部に苗を植え付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、苗植機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
苗植機において前輪の左右両側にガイド輪軸を設け、このガイド輪軸に左右一対のガイド輪を左右方向に変更可能に取り付け、畝溝の幅に合わせて左右ガイド輪体を左右方向に調整して畝溝の左右両側を走行させ、左右後輪を畝の上面を走行させながら苗を植え付けるものは、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−135477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記背景技術のものは、前輪及び左右ガイド輪が畝溝を走行し、左右後輪が隣接する左右の畝の左右両側部を走行しながら、前輪の走行跡に1条の苗を植え付けするものであり、畝溝に隣接する左右の畝の左右両側部には苗を植え付けできない構成である。また、これを2条植えに変更しても、左右後輪が隣接する左右の畝の左右両側部を走行するものであるため、苗の植え付け位置が制限されるという不具合がある。
【0004】
そこで、本発明はこのような不具合をなくし、左右前輪及び左右後輪が畝溝を走行し、機体の左右への倒れを防止しながら畝溝に隣接する左右の畝の左右両側部に苗の植え付けが適正に行なえる苗植機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、上下動機構4により上下動して圃場に苗を植え付ける苗植付け体5を左右に各々設け、該左右各々の苗植付け体5へ苗を供給する苗供給装置24は、苗を収容する複数の苗収容体25と、該複数の苗収容体25を所定の配列ピッチでループ状に配置し順次各々の苗植付け体5の上方を通過するように周回移動させる移動機構26と、該移動機構26により苗収容体25が苗植付け体5の上方位置となる落下供給位置39・40に移動すると苗収容体25が収容する苗を上下動機構4で上動した苗植付け体5へ落下供給させる苗落下供給機構27とを備え、一方の落下供給位置39で落下供給する苗を収容する第一の苗収容体25bと他方の落下供給位置40で落下供給する苗を収容する第二の苗収容体25cとを各別に設けて、前記第一及び第二の苗収容体25b・25cが移動機構26による周回移動で各々の落下供給位置39・40に到達する構成とした複数条植え苗植機において、左右前輪6及び後輪7のトレッドを幅狭に構成し、左右転倒防止輪141のトレッドを幅広で且つ前記左右前輪6及び後輪7よりも高位に位置するように構成し、前記左右前輪6及び後輪7が畝溝UMを走行し、左右転倒防止輪141が畝溝UMに隣接する左右の畝U上面を走行しながら、前記左右苗植付け体5により畝溝UMに隣接する左右畝Uの左右両側部に苗をそれぞれ植え付けるように構成したことを特徴とする苗植機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の苗植機は、左右前輪6及び後輪7を畝溝UMを走行させ、苗供給装置24が複数の苗収容体25をループ状経路で移動機構26により周回移動させ、苗落下供給機構27により、第一の苗収容体25bが一方の落下供給位置39に到達すると苗を下方の苗植付け体5へ落下供給し、第二の苗収容体25cが他方の落下供給位置40に到達すると苗を下方の苗植付け体5へ落下供給し、左右転倒防止輪141を畝溝UMに隣接する左右の畝Uの左右両側部を走行させながら、左右の苗植付け体5が上下動機構4により所定の作動軌跡で上下動して畝溝UMに隣接する左右の畝Uの左右両側部に苗を植え付ける。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明は、左右前輪6及び後輪7を畝溝UMを走行させ、左右転倒防止輪141を畝溝UMに隣接する左右の畝Uの左右両側部を走行させ機体の左右方向の倒れを防止しながら、左右苗植付け体5により畝溝UMに隣接する畝Uの左右両側部に苗の植え付けを適正に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明の実施の一形態の実施例である苗植機1を以下に説明する。尚、以下の説明では、操縦ハンドル2を配置した側を後とし、その反対側、即ちエンジン3を配置した側を前とする。そして、機体後部において機体前部側に向って立つ作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
【0009】
苗植機1は、走行装置と操縦ハンドル2を備えた機体に昇降駆動する上下動機構4と連結して昇降動作する開閉可能なくちばし状の苗植付け体5を備え、走行装置は、転動自在に支持した左右一対の前輪6とエンジン3の動力が伝達されて駆動回転する左右一対の後輪7とを備えている。この前輪6及び後輪7を畝溝に案内して、機体を畝U上方で走行することができる。
【0010】
エンジン3の後部にはミッションケース8を配置し、そのミッションケース8内にはエンジン3の出力軸が入り込んでおり、エンジン3の出力軸からミッションケース8内の伝動機構にエンジン動力が伝達される構成となっている。ミッションケース8の左右両側部にチェーン伝動ケース9を回動支点9aを中心に回動自在に取り付け、このチェーン伝動ケース9の回動支点9aにミッションケース8から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んでチェーン伝動ケース9内の伝動機構に走行用の動力を伝達している。そして、走行用の動力はチェーン伝動ケース9内の伝動機構を介して機体後方側に伸びてその後端側側方に突出する車軸10に伝動し、後輪7が駆動回転するようになっている。
【0011】
左右水平用油圧式の伸縮作動可能なローリングシリンダ11が機体の左側に設けられ、該左右水平用ローリングシリンダ11のピストンロッド先端に上下軸心周りに回動自在に天秤杆12が取り付けられている。また、天秤杆12の連結部の右側はロッド13に連結している。
【0012】
機体中央部に設けられた昇降用油圧シリンダ14が後述する畝高さ検知センサの検出結果に基づいて、そのピストンロッド14aが機体後方に突出すると、ロッド13や左右水平制御用ローリングシリンダ11も後方に移動し、前記ロッド13とローリングシリンダ11にそれぞれ連結しているアーム16が機体側面視で後方に回動し、これに伴い左右のチェーン伝動ケース9が回動支点9aを中心に下方に回動して左右の後輪7が下降し、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ14のピストンロッド14aが機体前方に引っ込むと、左右の前記アーム16は前方に回動し、これに伴いチェーン伝動ケース9が回動支点9aを中心に上方に回動して左右の後輪7が上昇し、機体が下降する。
【0013】
また、前記左右水平制御用ローリングシリンダ11が伸縮作動すると、左側のチェーン伝動ケース9のみを上下動させて左側の後輪7のみを昇降し、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用ローリングシリンダ11は、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出するセンサ(図示せず)の検出結果に基づいて機体を左右水平になるように作動する構成にしている。
【0014】
一対の前輪6は、エンジン3の下方の左右中央位置から左右に延びる前輪支持フレーム17の左右両側部の下方に延びるアーム部分18の下端部側方に固定した車軸19に回転自在に取り付けている。
【0015】
操縦ハンドル2は、ミッションケース8に前端部を固定した機体フレーム20の後端部に取り付けられている。機体フレーム20は、機体の左右中央に配置されて後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。操縦ハンドル2は、機体フレーム20の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル2のグリップ部2a,2aとしている。操縦ハンドル2の左右のグリップ部2a,2aは、作業者がそのグリップ部2a,2aを楽に手で握れるように適宜高さに設定する。なお、図例ではグリップ部2a,2aを左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル2の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部2aとしても良い。
【0016】
苗植付け体5作動用の上下動機構4は、ミッションケース8内から苗植付け体5を駆動させる動力を伝動軸21を介して伝動する伝動機構を内装する植付伝動ケース22に装着している。植付伝動ケース22内には苗植付け体上下動機構4を昇降駆動するための動力を伝達する伝動機構を内装している。
【0017】
なお、植付伝動ケース22内の伝動機構には、上下動機構4及び左右一対の苗植付け体5をその昇降動最上位の位置で、又はその近傍位置で設定時間停止させる間欠駆動機構と、上下動機構4及び苗植付け体5の昇降動を停止させるクラッチ機構とを備えている。間欠駆動機構によって停止する時間は、該間欠駆動機構が備える変速機構によって調節され、この調節によって苗植付け体5による苗植付株間が変更調節されるようになっている。
【0018】
また、苗植付け体5を備える苗植付装置23に苗を供給する苗供給装置24は、苗を上方から受け入れて内側に苗を収容する複数(計32個)の苗収容体となる苗供給カップ25と、該苗供給カップ25を苗植付け体5の上方を通過するように周回移動させる移動機構26と、苗植付け体5の上方位置で苗供給カップ25の底部を開放して内側に収容した苗を落下させて苗植付け体5に苗を供給する苗落下供給機構となる開放機構27とを備えている。前記苗供給カップ25は、上下に開口する筒状体と該筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋25aとを有し、互いにループ状に連結されている。前記移動機構26は、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で周回動させる構成となっている。前記開放機構27は、苗供給カップ25の底蓋25aを苗植付け体5の上方位置で開放する構成である。尚、この苗供給装置24は、二つの苗植付け体5に対して苗供給カップ25が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
【0019】
前記苗供給カップ25の外周に円筒外周部を形成し、該円筒外周部に外側から回動自在に係合する係合部(丸孔)を有して二つの苗供給カップ25を連結する連結体28を複数設け、該連結体28の係合部を苗供給カップ25の円筒外周部に回動自在に係合し該円筒外周部を回動軸として隣の苗供給カップ25が回動自在に連結する状態として複数の苗供給カップ25を互いに連結した構成としている。即ち、苗供給カップ25と連結体28とで無端チェーンのように連結した構成である。これにより、苗供給カップ25は、直線的に移動する部分でも円弧状に移動する部分でも隣接する苗供給カップ25との間隔が変わらないので、苗供給カップ25から苗植付け体5に苗を供給する個所で苗供給カップ25が苗植付け体5に対して位置ズレが生じにくくなり苗供給が適正に行われて適確な苗の移植ができる。
【0020】
移動機構26は、無端チェーンのように互いに連結する苗供給カップ25を左右に設けた巻掛用のスプロケット29の外周の円弧状切欠部に係合させて巻き掛け、この左右の巻掛スプロケット29を植付伝動ケース22内から取り出した動力で駆動回転することにより、苗供給カップ25を機体平面視で左回りに周回動させる構成としている。巻掛スプロケット29を駆動回転可能に取付ける各々の回動軸30を植付伝動ケース22から左右に延びる支持フレームに回動可能に取付け、植付伝動ケース22上部から上方に突出させた出力軸から各々の駆動スプロケット33、チェン34及び従動スプロケット35を介して該従動スプロケット35と一体回転する前記回動軸30に伝動する構成としている。尚、従動スプロケット35と巻掛スプロケット29とは、ボルト36により結合され、両者が一体回転する構成となっている。従って、苗供給カップ25の周回移動経路には、左右各々の半円状の円弧状部分37と、該円弧状部分37につながる前後各々の直線状部分38とを備える。そして、苗供給カップ25が後側の直線状部分38において右方へ移動して左右の苗植付け体25の上方を通過するようにしており、該直線状部分38に苗を苗植付け体5へ落下供給する左右の落下供給位置39,40が設定されている。苗供給カップ25が周回する左右の回動軸30は、左右の後輪7より機体内側で、且つ、後輪7の車軸10位置より後側に配置している。また、苗植付け体5は、後輪7の車軸10位置より後側に配置している。
【0021】
前記ボルト36は、巻掛スプロケット29に設けたその回転方向に長い円弧状長孔29aを通って従動スプロケット35の螺子孔に下側から螺合している。従って、前記ボルト36を弛めることにより、従動スプロケット35と巻掛スプロケット29との回転位相を、前記円弧状長孔29aの範囲内で変更して調節できる構成となっている。尚、前記ボルト36は1本だけであるので、従動スプロケット35と巻掛スプロケット29との回転位相の変更を容易に行える。前記円弧状長孔29aによる調節範囲は、巻掛スプロケット29において苗供給カップ25の配列ピッチ分(後述する第一及び第二の苗供給カップ25b,25cの配列ピッチの2分の1分)に設定されている。この円弧状長孔29a及びボルト36等により、左右の落下供給位置39,40の変更に合わせて左右各々の苗植付け体5が上動したときに該苗植付け体5へ落下供給する苗を収容する苗供給カップ25が当該落下供給位置39,40に到達するように上下動機構4の作動に対する苗供給カップ25の周回位置を変更する周回タイミング変更機構となる。
【0022】
複数(計32個)の苗供給カップ25は、専ら一方(左側)の落下供給位置39で落下供給する苗を収容する第一の苗供給カップ25bと、専ら他方(右側)の落下供給位置40で落下供給する苗を収容する第二の苗供給カップ25cとを、各別に各々計16個備え、第一の苗供給カップ25bと第二の苗供給カップ25cとが交互に連結された構成となっている。そして、一方の落下供給位置39に第一の苗供給カップ25bが位置するとき、他方の落下供給位置40に第二の苗供給カップ25cが位置するように設定している。従って、前記第一及び第二の苗供給カップ25b,25cは、移動機構26によりループ状の一経路上で互いに同じ移動量で周回移動するから、移動機構26による周回移動により各々の落下供給位置39,40に同じタイミングで且つ同じ回数到達する構成となっている。そして、左側の苗植付け体5へ落下供給する苗を収容する第一の苗供給カップ25bの底蓋25aには、周回方向に対して右側端(周回の外側端)に突起41を設けている。一方、右側の苗植付け体5へ落下供給する苗を収容する第二の苗供給カップ25cの底蓋25aには、周回方向に対して左側端(周回の内側端)に突起41を設けている。
【0023】
開放機構27は、苗供給カップ25の周回軌跡下方で底蓋25aが下方に回動しないように底蓋25aに下方から当接して支持する支持体42を設け、この支持体42を苗植付け体5の上方位置には設けないようにすることで、苗植付け体5の上方位置(前記落下供給位置39,40)を苗供給カップ25が通過するとき、底蓋25aが支持体42による支持状態が解かれてその自重及び苗の重力により下方回動し、苗を下方に落下するべく苗供給カップ25の下部を開放する構成としている。尚、底蓋25aの回動支点は苗供給カップ25の周回下手側部分に設けられ、底蓋25aは、苗供給カップ25の周回上手側から開く構成となっている。
【0024】
前記支持体42は、機体に固定された固定支持体42a,42b,42c,42dと、機体に対して位置変更できる移動支持体42e,42fとからなる。前記固定支持体42a,42b,42c,42dは、苗供給カップ25の周回軌跡における左右の円弧状部分37並びに前側の直線状部分38の全域にわたる主固定支持体42aと、後側の直線状部分38の一部に設けた第一、第二並びに第三の副固定支持体42b,42c,42dとを備える。これらの主固定支持体42a及び第一、第二並びに第三の副固定支持体42b,42c,42dは、棒材で構成されている。前記主固定支持体42aは、底蓋25aの中央に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って延設され、第一並びに第二の苗供給カップ25b,25cの底蓋25aを開かないように支持する。第一の副固定支持体42bは、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aにおいて周回の外側端に設けた突起41に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って直線状に設けられ、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを開かないように支持する。
【0025】
この第一の副固定支持体42bは、苗供給カップ25の周回において後側の直線状部分38の途中から第一の苗供給カップ25bの底蓋25aのみを閉じて支持してこの底蓋25aの支持を後続の主固定支持体42aに引き継ぐように、後側の直線状部分38の右寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋周回上手側に設けられている。第二の副固定支持体42cは、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aの周回の内側端に設けた突起41に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って直線状に設けられ、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを開かないように支持する。この第二の副固定支持体42cは、苗供給カップ25の周回において主固定支持体42aの底蓋25aの支持に引き継いで第二の苗供給カップ25cの底蓋25aのみを支持するように、後側の直線状部分38の左寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋周回下手側に設けられている。第三の副固定支持体42dは、底蓋25aの中央に当接する構成であり、苗供給カップ25の周回において後側の直線状部分38の途中から第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを閉じるべく周回上手側ほど下位となる傾斜部分を備え、該傾斜部分で開いた第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを上側へ案内しながら閉じる構成となっており、後側の直線状部分38の略中央の位置で且つ第一の副固定支持体42bの底蓋周回における始端部(左端部)と並行して設けられている。尚、第三の副固定支持体42dの底蓋周回における終端(右端)は、第二の副固定支持体42cの底蓋周回における終端(右端)より底蓋周回における上手側(左側)に位置している。尚、主固定支持体42aの底蓋周回における始端部は、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを閉じるべく周回上手側ほど下位となる傾斜部分を備え、該傾斜部分で開いた第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを上側へ案内しながら閉じる構成となっている。
【0026】
尚、第一の副固定支持体42bは、右端を支持フレーム31から後側の直線状部分38の右端部に延びる第一支持部材43に固着して設けられている。また、第二の副固定支持体42cは、左端を支持フレーム31から後側の直線状部分38の左端部に延びる第二支持部材44に固着し、右端部を植付伝動ケース22から後方に延びる第三支持部材45に固着して設けられている。また、第三の副固定支持体42dは、前記第三支持部材45に固着して設けられている。尚、主固定支持体42aは、前記第一支持部材43及び第二支持部材44の上面に固着して設けられている。
【0027】
前記移動支持体42e,42fは、後側の直線状部分38の一部に設けた第一移動支持体42eと第二移動支持体42fとからなる。尚、これらの第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fは、板材で構成される。前記第一移動支持体42eは、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aにおいて周回の外側端に設けた突起41に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿って直線状に設けられ、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aを開かないように支持する構成であり、苗供給カップ25の周回において主固定支持体42aの底蓋25aの支持に引き継いで第一の苗供給カップ25bの底蓋25aのみを支持するように、後側の直線状部分38の左寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋周回下手側に設けられている。この第一移動支持体42eは、第二支持部材44に設けた左右方向に長い長孔46を貫通して設けた取付ボルト47により前記第二支持部材44に皿バネ47’を介して左右方向に移動自在に装着され、前記長孔46により左右方向の位置を変更でき、また、その位置で皿バネ47’の弾性力にて固定される構成となっている。尚、前記取付ボルト47は、苗供給カップ25の周回域より外側(後側)に位置し、苗供給カップ25が邪魔にならない位置に設けている。
【0028】
前記第二移動支持体42fは、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aの周回の内側端に設けた突起41に当接するように苗供給カップ25の周回軌跡に沿う直線状部分を備え、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを開かないように支持する構成であり、苗供給カップ25の周回において第二の副固定支持体42cの底蓋25aの支持に引き継いで第二の苗供給カップ25cの底蓋25aを支持するように、後側の直線状部分38の右寄りの位置で且つ主固定支持体42aの底蓋周回上手側の端部(周回軌跡における右側の円弧状部分37の始端部)との間隔を空けて設けられている。この第二移動支持体42fは、該第二移動支持体42fが備える左右方向に長い長孔48を貫通する取付ボルト49により前記第三支持部材42dに皿バネ49’を介して左右方向に移動自在に装着され、前記長孔48により左右方向の位置を変更でき、また、その位置で皿バネ49’の弾性力にて固定される構成となっている。尚、第二移動支持体42fは、長孔48を設けた位置調整用部分と底蓋25aを支持する底蓋支持部分とで2又に分かれた平面視U字型の形状になっており、この位置調整用部分と底蓋支持部分との間に第二の副固定支持体42cを配置して、該第二の副固定支持体42cに引き継いで確実に底蓋25aを支持できる構成としている。また、第二移動支持体42fの位置を長孔48により最も底蓋周回上手側の位置(左端位置)にしたとき、前記底蓋支持部分が第二の副固定支持体42cと第三の副固定支持体42dとの間に位置する構成となっており、これらの第二移動支持体42f及び第二並びに第三の副固定支持体42c,42dをコンパクトに配置している。尚、前記取付ボルト49は、苗供給カップ25の周回域の内側(前側)に位置し、苗供給カップ25が邪魔にならない位置に設けている。
【0029】
また、第一移動支持体42eと第二移動支持体42fの右端部(第一移動支持体42eまたは第二移動支持体42fにて底蓋25aの突起41を下方から支えることを解除して、苗供給カップ25bの底蓋25aが下方に開いて苗が苗植付け体5内に供給される部位)に、苗を苗植付け体5内に適切に供給する為の苗案内体を設けると、落下供給位置39,40で苗供給カップ25内の苗が苗植付け体5内に適切に供給されて、苗供給カップ25から苗植付け体5への苗供給ミスが防止されて欠株が防止されると共に、内苗植付け体5は苗を適正な姿勢で植付けることができ、苗の植付け姿勢が向上する。
【0030】
尚、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの位置を変更するための長孔46,48及び取付ボルト47,49は、各々左右に2個づつ設けられ、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fを左右真直方向に移動できる構成としている。また、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの位置変更量は、前記長孔46,48により苗供給カップ25における配列ピッチ分に規制されており、この規制手段により後述する植付位置の変更で落下供給位置39,40を誤った位置に調節しないように構成している。従って、第一の苗供給カップ25bが第一移動支持体42eの底蓋周回下手側の端部(右端部)で該第一の苗供給カップ25bの底蓋25aが支持されなくなる位置まで移動すると、第一の苗供給カップ25bの底蓋25aが開放される。すなわち、第一移動支持体42eの底蓋周回下手側の端部(右端部)が、第一(左側)の落下供給位置39となる。また、第二の苗供給カップ25cが第二移動支持体42fの底蓋周回下手側の端部(右端部)で該第二の苗供給カップ25cの底蓋25aが支持されなくなる位置まで移動すると、第二の苗供給カップ25cの底蓋25aが開放される。すなわち、第二移動支持体42fの底蓋周回下手側の端部(右端部)が、第二(右側)の落下供給位置40となる。尚、第二の副固定支持体42cにより、周回上手側の第一の落下供給位置39で第二の苗供給カップ25cの底蓋25aが開放しないようにする開放規制手段が構成されている。
【0031】
よって、第一移動支持体42eを長孔46により最も周回下手側(右側)に位置させ、第二移動支持体42fを長孔48により最も周回上手側(左側)に位置させると、第一の落下供給位置39と第二の落下供給位置40との互いの間隔が最も狭まり、植付条間が最も狭い状態となる。このとき、左右の落下供給位置39,40の間隔は、苗供給カップ25における配列ピッチの3倍すなわち第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの1.5倍となる。逆に、第一移動支持体42eを長孔46により最も周回上手側(左側)に位置させ、第二移動支持体42fを長孔48により最も周回下手側(右側)に位置させると、第一の落下供給位置39と第二の落下供給位置40との互いの間隔が最も広がり、植付条間が最も広い状態となる。このとき、左右の落下供給位置39,40の間隔は、苗供給カップ25における配列ピッチの5倍すなわち第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの2.5倍となる。従って、各々の落下供給位置39,40は苗供給カップ25における配列ピッチ分だけ位置変更できる構成となっており、左右の落下供給位置39,40の互いの間隔が、第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの整数倍(1倍)(苗供給カップ25における配列ピッチの偶数倍(2倍))の距離分変化するようになっている。
【0032】
苗植付装置23は、先端が下方に向かうくちばし状の苗植付け体5と、該苗植付け体5の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに昇降するように苗植付け体5を上下動させる上下動機構4と、くちばし状の苗植付け体5の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と苗植付け体5の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能する開状態とに苗植付け体5を開閉する開閉機構50を備えている。
【0033】
この苗植機1は、苗植付け体5を左右に設定間隔で複数体並べて配備した複数条植の構成としている。本例では、苗植付け体5を左右に設定間隔で二体並べて配備した二条植えの構成としている。
【0034】
二体の苗植付け体5は、植付伝動ケース22の左右両側部に設けた上下動機構4に一体づつ装着している。先端が下方に向いたくちばし状の苗植付け体5を左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとで構成して左右に分割し、後述する開閉機構50により左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとが左右方向に回動して下端部を開く構成となっている。尚、左右の苗植付け体5は、上下動機構4及び開閉機構50により、同期して上下動及び開閉し、圃場に並木状に苗を2条植えする構成となっている。
【0035】
苗ガイド51は、苗植付け体5の上方に設けられ、苗供給装置24から供給された苗を苗植付け体5内に案内する筒状体であり、苗供給装置24から落下供給される苗を適確に苗植付け体5内に供給することができる。
【0036】
苗植付け体5の上下動機構4は、植付伝動ケース22の左右両側部に設けている。具体的には、植付伝動ケース22の左右側方に突出させた軸に前部を上下回動自在に装着し後部を苗植付け体5に連結した上側と下側の昇降リンク52,53と、植付伝動ケース22の側部から突出させた駆動回転する駆動軸54と、該駆動軸54に一体回転するように取付けた駆動アーム55と、該駆動アーム55の回転外周側端部と前記上側の昇降リンク52とに回動自在に連結する連動アーム56とで構成している。そして、上側と下側の昇降リンク52,53の各後端部(回動先端部)を連結部材57に回動自在に取付けて連結している。苗植付け体5は、前記連結部材57に取り付けられている。
【0037】
従って、駆動軸54の回転により駆動アーム55が駆動回転すると、昇降リンク52,53が上下動して、左右の苗植付け体5が上下動する。この上下動の上昇位置では苗植付け体5の下端部が圃場面より上方に位置し、下降位置では苗植付け体5の下端部が圃場面より下方に位置する。
【0038】
また、上側の昇降リンク52の回動支点軸58は、植付伝動ケース22から突出して回転駆動する植付出力軸59の先端部に該出力軸59の中心軸心より偏心させた位置に設けられ、該植付出力軸59の回転によって植付出力軸59の軸芯を中心として偏心量(回動支点軸58と植付出力軸59の軸芯との間隔)を半径として回転しながら移動する構成とし、上側の昇降リンク52の上下動中に回動支点軸58が前後に移動することにより、苗植付け体5をその昇降動中に前後に傾け、苗植付け体5を側面視ループ状の作動軌跡で上下動させる構成となっている。
【0039】
次に、苗植付け体5の開閉機構50について説明する。左側苗植付け体5Lの上部に設けた左側開閉用アーム部60の先端部に開閉用ケーブル61のインナーワイヤ61aの端部を連結し、右側苗植付け体5Rの上部に設けた右側開閉用アーム部62の先端部に開閉用ケーブル61のアウターケーブル61bの端部を連結し、下側の昇降リンク53の基部を枢着している回動支点軸63に回動自在に取付けた作動アーム64を設け、この作動アーム64の先端部に前記開閉用ケーブル61のインナーワイヤ61aの他端を連結し、機体側に開閉用ケーブル61のアウターケーブル61bの他端を固定して取り付けている。尚、図5は左側の苗植付装置23を示すものであり、右側の苗植付装置23においては、左側の苗植付装置23と左右対称であるので、左側開閉用アーム部の先端部に開閉用ケーブルのアウターケーブルの端部を連結し、右側開閉用アーム部の先端部に開閉用ケーブルのインナーワイヤの端部を連結した構成となっている。そして、作動アーム64が、上側の昇降リンク52の基部を枢着している回動支点軸58を回転移動させる植付出力軸50と一体回転するよう取付けたカムの作用を受けて、設定したタイミングで前側に回動する構成としている。これにより、駆動軸54の駆動回転により苗植付け体5が上下動して下降下端位置に達すると、カムの作用位置の変化により作動アーム64が前側に回動し、開閉用ケーブル61のアウターケーブル61bに対してインナーワイヤ61aが右側に引かれて左側開閉用アーム部60と右側開閉用アーム部62とが互いに近づくように回動し、右側苗植付け体5Rが右方に回動し、これに連動して左側苗植付け体5Lが左方に回動して、苗植付け体5の下部側が左右に開いて下方に開放状態となる。そして、苗植付け体5が上昇してカムの作用位置の変化により作動アーム64が苗植付け体5に対して元の位置(後側)に回動して開閉用ケーブル61のインナーワイヤ61aが弛められ、左右に開いた苗植付け体5の下部が閉じる。これにより、苗植付け体5の開閉を開閉用ケーブル61で行う構成としたので、従来のロッドあるいはリンクによる開閉機構と比較して、開閉用ケーブル61の連結の自由度が高いため、前後に作動する作動アーム64により左側苗植付け体5L及び右側苗植付け体5Rを異なる方向(左右方向)に回動させることができると共に、作動アーム64の少量の作動量で苗植付け体5の所望の開閉量を得る構成とすることができる。尚、左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとは、スプリング65により苗植付け体5の下部が閉じる側へ回動付勢されている。
【0040】
上下動機構4の上下の昇降リンク52,53における各々の回動先端部(後端部)は、上下各々の連結軸66,67を介して連結部材57に連結されている。前記連結部材57は、側面視三角形状のプレート68を左右に備え、この左右のプレート68で上下の昇降リンク52,53の先端部を挟んだ構成となっており、後部には左右のプレート68にまたがる左右方向のボス69を設けている。尚、側面視で前記プレート68の三角形状の各頂点付近に前記連結軸66,67及びボス69を配置しており、上下の連結軸66,67よりボス69を後側に配置しているので、ボス69に対して後述の位置調節軸70をスライドさせるときに上下の連結軸66,67や上下の昇降リンク52,53が邪魔にならないようにしている。尚、左右のプレート68は略正三角形状であり、上下の連結軸66,67部分を上下逆にして連結部材57を取り付けてもいいように構成している。前記ボス69のボス孔は、六角形状(多角形状)になっている。一方、苗植付け体5の基部には、左右方向に延びる六角形状(多角形状)の位置調節軸70を固着して設けている。従って、前記ボス69に位置調節軸70が挿入されて連結部材57に苗植付け体5が支持され、ボス69に対して位置調節軸70を摺動させて左右方向に移動させることにより、苗植付け体5の左右位置を変更できる構成となっている。
【0041】
この苗植付け体5の左右位置の変更は、落下供給位置39,40の変更に合わせて該落下供給位置39,40の下方に苗植付け体5が位置するよう苗供給カップ25における配列ピッチ分の距離を変更できるように、位置調節軸70の長さが設定されている。すなわち、左右の苗植付け体5の互いの間隔を第一及び第二の苗供給カップ25b,25cにおける配列ピッチの整数倍(1倍)分変化させることができ、ボス69及び位置調節軸70等により苗植付け体5を移動できる植付位置変更機構が構成されている。尚、位置調節軸70は、ボス69に設けたセットボルト71によりボス69に対して左右移動しないように固定でき、左右に移動させるときは前記セットボルト71を弛めて移動させる構成となっている。このセットボルト71は、ボス69及び位置調節軸70の後側に設けられ、後側から昇降リンク52,53が邪魔にならずに容易に締付又は弛緩できる。また、位置調節軸70の断面の六角形状(多角形状)の対向する頂点が上下に位置するようにしており、上下方向の曲げに対する断面係数が向上するので、この位置調節軸70で苗植付け体5を片持ち支持するのに必要な強度を得ることができる。また、位置調節軸70の適宜位置の外周には苗植付け体5の左右位置の目安となる溝72を3箇所設け、該溝72をボス69の端に揃えることにより通常条間(320mm)と狭い植付条間時(300mm)と広い植付条間時(350mm)との苗植付け体5の左右位置に調節できるようにしており、苗植付け体5の位置変更を容易に行える構成としている。
【0042】
そして、各苗植付け体5の苗ガイド51には左方向に向けて延びた連係ロッド90の基部が溶接固着されており、
該連係ロッド90の先端部は上方に向けて延びた連係部90’が形成されている。
【0043】
一方、第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの下方には、上記連係ロッド90の連係部90’が係合する係合溝部91が一体に形成されており、各苗植付け体5が最上昇位置に来た時に、各苗植付け体5の連係ロッド90の連係部90’が各々第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの係合溝部91に係合する構成となっている。この植付け体5の苗ガイド51に設けた連係ロッド90の連係部90’と第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの係合溝部91とによって連係機構Aが構成されている。
【0044】
従って、各苗植付け体5が最上昇位置に来た時に、各苗植付け体5の連係ロッド90の連係部90’が各々第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの係合溝部91に係合するので、各苗植付け体5が最上昇位置にある時に、各苗植付け体5を位置調節軸70に沿って左右位置調節して条間調節すると、各苗植付け体5の左右位置調節と同時に、各苗植付け体5の連係ロッド90の連係部90’と第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの係合溝部91との係合により、自動的に第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fが左右位置調節されて、各苗植付け体5の左右位置変更と落下供給位置39,40の変更を同時に行なうことができる。よって、条間調節する作業が簡略化されて、作業能率が良い。
【0045】
また、苗供給装置24のフレーム部を機体フレーム20に補強フレーム92で連結して、苗供給装置24の支持を適正にして、苗供給装置24の各苗植付け体5に対する苗供給を適確に行なえる構成とし、且つ、補強フレーム92の中途部に回動調節自在のミラー93を装着して、座席79に着座して移植作業を行っている作業者が各苗植付け体5の苗の植付け状態を確認できる構成としている。従って、苗供給装置24の各苗植付け体5に対する苗供給を適確に行なえて苗の植付け作業が適正に行なえ、更に、作業者はミラー93にて植付け状態を確認できるので、トラブルがあれば即座に対応でき、作業性が良い。
【0046】
そして、上下動機構4により苗植付け体5の上下動が一周期動作する間に、第一及び第二の苗供給カップ25b,25cは各々における配列ピッチ分(一列状の苗供給カップ25の2個分:隣接するカップ25の中心間の距離が80mmにしているので、160mm)周回移動する。そして、例えば、通常条間(320mm)では、落下供給位置39,40で苗供給カップ25の底蓋25aが開くタイミングを苗植付け体5が苗供給カップ25の直下まで最上昇したときとなるように設定している(条間が320mmの場合、左右苗植付け体5の上下動が一周期動作する間の各苗供給カップ25b,25cの移動ピッチ160mmの倍数であるから、常に、落下供給位置39,40で苗供給カップ25の底蓋25aが開くタイミングを苗植付け体5が苗供給カップ25の直下まで最上昇したときに設定できる。)。この時、左側の1条目の落下供給位置39を決定する第一移動支持体42eは,条間320mmと刻印した位置に第二支持部材44の右端部に合わせた位置に設定され、右側の2条目の落下供給位置40を決定する第二移動支持体42fは,条間320mmと刻印した位置に第三支持部材42dの右端部に合わせた位置に設定される。これにより、苗供給カップ25が二つの苗植付け体5の上方を直列的に通過しながら二つの苗植付け体5に対して苗供給漏れが生じることなく同時に苗を供給でき、且つ、二つの苗植付け体5の上方を通過した後に苗が供給されなかった苗供給カップ25が生じないよう余すことなく二つの苗植付け体5に対して苗を供給できるものとなり、苗供給作業が余裕をもって行え、且つ、二つの苗植付け体5に対して確実に苗を供給できる。
【0047】
植付条間を変更しても、苗植付け体5への苗の供給を適正に行え、苗の植付精度を維持できる。また、苗植付け体5の左右方向移動と落下供給位置39,40の変更とにより、簡単に植付条間を変更できる。特に、植付条間を変更しても、左右の落下供給位置39,40の変更を第一移動支持体42e及び第二移動支持体42fの位置変更という簡単な構成で行え、更に周回タイミング変更機構による苗収容体25の周回位置(位相)の変更を従動スプロケット35に対する巻掛スプロケット29の回転位相の変更という簡単な構成でチェン34及び苗供給カップ25の巻回を外さずに行え、植付条間の変更が容易になる。尚、苗植付け体5及び鎮圧輪73の位置変更は、位置調節軸70及び支持枠76の可動部分をスライドさせるだけなので、容易に行える。
【0048】
また、図7で示すように、前記苗植付け体5の苗ガイド51の形状を苗植付け体5の前後方向の片方に大きく突出した形状にしても良い。即ち、苗植付け体5が最上昇位置に来た時に、苗供給カップ25の底蓋25aが開くタイミングを設定できない場合、例えば、苗植付け体5が軌跡Tの上昇過程イで苗供給カップ25の底蓋25aが開くタイミングになっている場合には、苗植付け体5の前方向に苗ガイド51が大きく突出した形状とすれば、苗供給カップ25から苗植付け体5内に適正に苗を供給することができ、適正な苗の移植作業が行なえる。逆に、苗植付け体5が軌跡Tの下降過程ロで苗供給カップ25の底蓋25aが開くタイミングになっている場合には、苗植付け体5の後方向に苗ガイド51が大きく突出した形状とすれば、苗供給カップ25から苗植付け体5内に適正に苗を供給することができ、適正な苗の移植作業が行なえる。
【0049】
また、植え付けた苗の周辺に覆土しながら苗の周辺の土壌を鎮圧する左右の鎮圧輪73,73は、図面に示すように、左右の苗植付け体5のすぐ後ろ側にそれぞれ配置して設け、畝の上に植終わった苗の根元を左右両側から鎮圧して根つきを促進する。機体フレーム20に横向きに設けたロック軸74aに上下に挿し通したロット74bの下部に軸架した構成としている。そして、前記ロック軸74aは、下部に鎮圧輪73を有する2本のロット74bを上下に貫通させているが、上下に自由に移動(摺動)できる状態と鎮圧輪73を上動させて収納した位置に固定する状態とに切替できる構成にしている。尚、左右の鎮圧輪73,73は、機体フレーム20に前端部が回動自在に支持された支持枠76に遊転自在に装着されている。
【0050】
即ち、図1の実線の状態で、左右ロット74b,74bは自由にロック軸74aの貫通孔内を上下移動できるので、左右の鎮圧輪73,73は上下に自由に移動する。そして、左右ロット74b,74bには、その中途部に切り溝(軸径を細くした部位)74c,74cを設け、左右ロット74b,74bの上端部に握り部74d,74dを設けている。従って、作業者が握り部74dを握ってロット74bを上方に引き上げると、ロット74bはロック軸74aの貫通孔内を上方に移動して、鎮圧輪73は上方に移動し収納位置になる。その時、ロット74bの切り溝74cをロック軸74aの貫通孔の上端部に引っ掛けることによって、ロット74bは上方位置で係止されて下方に落下しないように固定された状態となり、鎮圧輪73を機体旋回時等に上方に収納することができる。尚、機体旋回時等には、作業者は左右ロット74b,74b両方共上方に引き上げて、左右の鎮圧輪73,73を上方に収納すると、機体後方を下げて左右前輪6,6を圃場面から浮かせて旋回することができ、旋回が容易に行なえる。また、左右ロット74b,74bを共に上方に引き上げる操作部材を設けて、該操作部材にて左右の鎮圧輪73,73を一緒に上方に収納できる構成とすれば、更に、旋回時の作業性が良くなる。
【0051】
また、鎮圧輪73,73の支持枠76には、苗植付け体5に付着した泥土を取り除くスクレーパ94が設けられている。
ここで、該スクレーパ94の詳細構成を説明する。鎮圧輪73,73の支持枠76の中央位置(苗植付け体5の後方位置)に鉄製の円筒95を溶接固定し、先端部に平面視で三角形状のゴム製スクレーパ96を固定したスクレーパ支持棒97を上記円筒95に挿入し、そのスクレーパ支持棒97の後端部に抜け止めナット98を締めてる。そして、スクレーパ支持棒97の上面に溶接固定したカム99と円筒95前端部との間に圧縮バネ100を装着して、先端部にゴム製スクレーパ96を固定したスクレーパ支持棒97は前方に向けて付勢された構成(苗植付け体5の上昇作動軌跡内に入り込む位置まで付勢されている)となっている。
【0052】
一方、苗植付け体5の後方部には前記カム99と接当してゴム製スクレーパ96を後方に退避させる作動体101が設けられており、苗植付け体5の下降途中に作動体101がカム99に接当してゴム製スクレーパ96を後方に退避させ(苗植付け体5の下降途中から上昇途中の間、退避させ)、苗植付け体5の左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rが開いて上昇している途中で作動体101がカム99に接当しなくなり、三角形状のゴム製スクレーパ96が圧縮バネ100の付勢力で開いている左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとの間に嵌り込み苗植付け体5の左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとの内部に付着した泥土を掻き落として掃除する。この時、ゴム製スクレーパ96は先が尖った三角形状をしているので、左側苗植付け体5Lと右側苗植付け体5Rとの内部に嵌り込み易くて適切なスクレーパー機能を発揮して植付け体5内部を掃除でき、良好な苗の移植作業が行える。また、図10に示すように、ゴム製スクレーパ96を平面視で三叉状にすれば、植付け体5内部と外側面とに同時に接当して、植付け体5内部と外側面とを同時掃除できる。
【0053】
また、支持枠76の最後部にものさし102を設けておけば、作業者は実際の株間を測ることができ、その実際の株間に応じて株間調節して、適切な苗の移植作業が容易に行える。
【0054】
また、ボンネット78の上方に苗供給装置24側に向くべく後向きの座席79を設け、苗供給装置24との間に足を乗せる平面状のステップ80を設けている。前記座席23は、ボンネット78の左右一方側(右側)を通って上方に延びる支持フレーム81を介して機体に支持されている。この支持フレーム81に円筒形のパラソル支持部材を設けて、該円筒形のパラソル支持部材に日除け用のパラソルや傘を挿して固定し、座席23に座った作業者に日差しや雨があたらないようにして、作業環境を良くすることができる。
【0055】
前記ステップ80は、機体平面視で座席79と苗供給装置24との間に配置されるメインステップ82と、座席79及びボンネット78の左右両側に設けたサブステップ83とで構成される。前記サブステップ83は、機体の前端部からメインステップ82近くまで前後に延設され、前部83aが後部83bより一段低い位置に構成され、作業者が機体の前端部から乗降することができるように構成されている。このサブステップ83の上段となる後部83bの下方には車輪(後輪)7を昇降させるための昇降機構(アーム11、ローリングシリンダ15、ロッド14等)を配置することができ、機体のスペースを有効利用して機体のコンパクト化を図っている。また、車輪(後輪)7のトレッド変更に応じて、サブステップ83の後部の下方に上下に回動する走行伝動ケースとなるチェーン伝動ケース9を配置することができる。また、メインステップ82の前端部には上方に傾斜して立ち上がる立ち上がり部82aを設けており、該立ち上がり部82aにより座席79に座る作業者の足が苗植付装置23の上下動機構4に接触しないように防護している。また、立ち上がり部82aを苗供給装置24の下方に位置させることにより、機体の前後長を短縮できる。また、メインステップ82は、立ち上がり部82aを備えることにより、強度が向上する。尚、立ち上がり部82aには、左右の後輪7と苗植付装置23並びに苗供給装置24の駆動を入り切り操作する乗車用主クラッチレバー84と、左右の後輪7の駆動を断つことができる左右各々のサイドクラッチペダル85とを設けており、座席79にいる作業者が機体の停止や機体の進行方向の修正を行うことができる。
【0056】
尚、上述ではサブステップ83を左右両側に設ける構成としたが、左右何れか一方のみにサブステップ83を設ける構成としてもよく、このときは座席79の支持フレーム81がない側(左側)にサブステップ83を設ける構成とすれば、前記支持フレーム81が邪魔にならずにサブステップ83により容易に乗降できる。
【0057】
左右の前輪6の間となる機体の前端部には畝Uの上面に接地して該畝Uの終端を検出する畝終端センサ86を設け、該畝終端センサ86は機体の前進により畝のないところに到達して畝上面を感知しなくなることにより畝の終端に到達したことを検出する構成となっている。この畝終端センサ86による畝の終端の検出に基づいて、主クラッチを自動的に切って左右の後輪7の駆動と苗植付装置23並びに苗供給装置24の駆動を停止し、機体を停止させると共に、警報(例えばブザー等の警音)を出して作業者に告知する。これにより、座席79に座る作業者は、機体の進行方向に対して後ろ向きとなり、苗補給作業に集中しているため機体の前方を確認しにくく、機体が畝の終端に達したことに気づかず、周囲の構造物への衝突等の事故を発生させるおそれがあるが、前記畝終端センサ86により畝の終端で機体を自動停止すると共に警報で畝の終端に達したことを告知するため、安全に作業が行え、また機体の前方の状況及び畝の終端の位置を気にせずに苗供給装置24への苗補給作業を集中して行え、植付作業能率が向上する。前記畝終端センサ86は、機体の左右中央(左右の車輪6,7のトレッド)に対して右寄りの位置に配置され、ローリングシリンダ11による左側の後輪7の上下動に伴う上下動が小さいので、適確に且つ安定して畝の上面を検出することができる。また、畝終端センサ86は、機体の対地高さを制御するための前鎮圧輪15と苗植付け体5の苗植付位置とを避けた左右位置(右側の前鎮圧輪15及び苗植付位置より左側)に設けているので、苗植付位置の土壌を荒らさず、植付精度を低下させないようにしている。
【0058】
また、操縦ハンドル2の近くには、左右の後輪7と苗植付装置23並びに苗供給装置24の駆動を手動で入り切りする主クラッチレバー87と、苗植付装置28並びに苗供給装置32の駆動のみを手動で入り切りする植付操作レバー88とを備えている。尚、前記植付操作レバー88により、昇降用油圧シリンダ14を作動させて手動で機体を昇降操作することもできる。そして、この植付操作レバー88の操作位置を検出するセンサ(検出手段)を設け、該植付操作レバー88により苗植付装置23並びに苗供給装置24が駆動状態に操作されているときだけ、前述の畝終端センサ86による機体の自動停止制御及び警報が作動する構成としている。これにより、植付作業時のみ機体の自動停止制御及び警報を作動させることができ、移動走行時や畝終端での機体旋回時に、畝終端センサ86が畝上面を検出しないことにより不必要に機体が停止するようなことを防止でき、操作性が向上する。尚、上述の植付操作レバー88による機体の自動停止制御及び警報の作動の入り切りに代えてあるいは併用して、座席79に作業者が着座したことを検出する着座センサを設け、座席79に作業者が着座しているときだけ、機体の自動停止制御及び警報が作動する構成としてもよい。また、畝終端センサ56による畝終端の検出で、警報が先に作動し、その所定時間後(数秒後)に機体が自動停止する構成とすることができる。尚、機体の自動停止は、エンジン3を停止させることにより行ってもよい。
【0059】
また、植付操作レバー88を操作して機体を上昇させて畦際で旋回する際に、畝終端センサ86を上動させて収納する構成とすると、畝終端センサ86が旋回時の邪魔にならず旋回が容易に行なえる。
【0060】
畝終端センサ86は、機体に基部を回動自在に枢支した回動アーム86aの下端に回転ローラ86bを回転自在に設けた構成になっている。そして、畝終端センサ86(回転ローラ86b)が必要以上に下方に回動しないように下方回動規制杆を回動アーム86aの下方位置に設けたあり、この下方回動規制杆と植付操作レバー88とを操作ワイヤにて連携して、機体を上昇させるべく植付操作レバー88を操作した時に操作ワイヤを介して下方回動規制杆を上動させて回動アーム86aの下方に接当させて、回動アーム86aを収納位置まで上方回動させる構成としている。このように、畝終端センサ86(回転ローラ86b)が必要以上に下方に回動しないように設けた下方回動規制杆を畝終端センサ86を収納位置に変更する部材に兼用することにより、機体構成が簡潔となり、安価に構成できる。
【0061】
座席79の左右側方には、苗載台89を配置している。該苗載台89は、載置する苗収容枠(苗箱、苗トレイ又は苗コンテナ等)の四角形状の底面に対して一部を欠如し、その欠如した部分の外縁が苗供給装置24の苗供給カップ25の周回移動軌跡の円弧状部分37に沿うような形状となっており、苗収容枠を載置していないときは苗供給カップ25への苗補給の邪魔にならないようにしている。また、苗載台89は、苗供給装置24の一部の苗供給カップ25の上方に重複するが、移動リンク機構により機体側方に移動できる構成としたので、座席79に座る作業者が苗補給作業を行いやすい位置に任意に移動でき、機体前端部からステップ80を介して乗降するときにはステップ80(サブステップ83)より左右方向外側へ移動させて、乗降の邪魔にならないようにでき、トラックへの積込時や倉庫への格納時等には左右方向外側へ移動させて、機体の左右幅を縮小することができる。尚、苗供給装置24の苗供給カップ25の上方に重複しない位置まで苗載台89を左右方向外側へ移動できる構成としてもよい。また、移動リンク機構は、各リンクのリンク長を異ならせた構成となっており、苗供給装置24への苗補給のために苗載台89を左右方向内側へ移動させたときは該苗載台89を斜め後内向きに向ける構成となっている。これにより、苗補給作業の容易化が図れる。
【0062】
尚、上述は2条植えの構成について説明したが、3条以上の構成に応用してもよい。このとき、周回タイミング変更機構による苗収容体の周回位置(位相)の変更量は、複数の落下供給位置のうちの苗収容体の周回経路における位置変更が最も小さい落下供給位置の位置変更量に合わせるとよい。
【0063】
また、上述は複数条に並木植えする構成について説明したが、例えば左右の苗植付け体の作動タイミングを異ならせた構成等の千鳥植えする構成に応用してもよい。尚、左右の苗植付け体の作動タイミングを異ならせた場合は、第一及び第二の苗収容体が移動機構による周回移動で各々の落下供給位置に異なるタイミングで同じ回数到達する構成となる。
【0064】
ここで、この発明の特徴的構成である左右前輪6及び左右後輪7のトレッド幅と左右転倒防止輪141の構成について詳細に説明する。
一般的な苗植機で、左右前輪及び左右後輪を畝Uの上面を走行させながら幅広の畝Uの中央部に苗を植え付ける。そして、この発明の苗植機1は、畝溝UMを左右前輪6及び左右後輪7が走行しながら畝溝UMに隣接する左右畝Uの左右両側部に1条ずつの苗を植え付けるものである。従って、一般的な苗植機とこの発明の苗植機で広幅の畝全体の植え付け作業が能率良く行えて、苗植付け作業の能率向上が図れる。
【0065】
この発明の苗植機1は、ミッションケース8の左右両側部にチェーン伝動ケース9を回動支点9aを中心に上下回動自在に取り付け、このチェーン伝動ケース9の先端部に車軸10を介してトレッドの狭い左右後輪7を軸架し駆動するようにしている。また、エンジン3の下方の左右中央位置から左右に延びるように左右前輪支持フレーム17を延出し、この左右前輪支持フレーム17に縦軸芯回りに回動自在に支架している左右前輪支持棒18に車軸19を介してトレッドの狭い左右前輪6を回転自在に取り付けている。
【0066】
また、ミッションケース8の下部に左右両側に延出するように左右筒体143を設け、左右筒体143から左右両側に延出している左右転倒防止輪支持フレーム144に縦軸回りに回動自在に左右転倒防止輪支持棒145aを支持し、左右転倒防止輪支持棒145aに車軸145を介してトレッドの広い左右転倒防止輪141を左右後輪7及び左右前輪6よりも高い位置で回転自在に取り付けている。
【0067】
しかして、トレッドの狭い左右前輪6及び左右後輪7を畝溝UMを走行させ、トレッドの広い左右転倒防止輪141を畝溝UMに隣接する左右の畝Uの左右両側部を走行させ、左右畝Uの左右両側部に左右苗植付け体5により1条ずつの苗を植え付けるものである。
【0068】
また、左右転倒防止輪141は左右前輪6及び左右後輪7よりも上方に位置していて、左右前輪6及び左右後輪7が畝溝を接地走行し、左右転倒防止輪141は畝上を接地走行する。
【0069】
また、左右転倒防止輪141は、スプリング142により下方に押圧されおり、畝Uの上面に接触しながら走行する構成である。また、左右チェーン伝動ケース9と左右転倒防止輪支持フレーム144とはリンク部材等からなる左右連動連結装置(図示省略)を介して連動連結して、ローリング制御により左右後輪7が昇降すると、左右転倒防止輪141も関連的に昇降し、常に畝Uの上面に接地しながら走行するように構成してもよい。また、左右転倒防止輪141を左右転倒防止輪支持フレーム144に上下調節自在に取り付け、畝溝UMの深さに合わせて調節できるようにしている。
【0070】
また、左右転倒防止輪支持フレーム144に左右転倒防止輪支持棒145aを縦軸回りに回動自在に支持しているので、左右転倒防止輪141は稲株等の障害物を避けながら左右に回動しながら走行できる。また、前輪支持フレーム17に縦軸芯回りに回動自在に支架している左右前輪支持棒18のアーム部と、左右転倒防止輪支持フレーム144に縦軸芯回りに回動自在に支架している左右転倒防止輪支持棒145aのアーム部を左右連動ロッド147に連携することにより、左右転倒防止輪141の左右前輪6への追従性を良くしている。
【0071】
また、機体中心線Pから左右前輪6、左右後輪7までの距離L1,L2よりも、機体中心線Pから左右転倒防止輪141までの距離L3,L4を長く設定しているので、苗植機1の左右転倒を良好に防止できる。
【0072】
また、機体中心線Pから左右苗植付け体5の上部に設けた左右苗ガイド51までの距離L5,L5よりも、機体中心線Pから左右前輪6、左右後輪7までの距離L1,L2を短く設定しているので、左右苗植付け体5により苗を円滑に植え付けることができる。
【0073】
また、機体中心線Pから左右苗植付け体5の上部に設けた左右苗ガイド51の距離L5よりも、機体中心線Pから左右前輪6、左右後輪7までの距離L1,L2を短く設定しているので、左右苗植付け体5により苗を円滑に植え付けることができる。
【0074】
また、機体中心線Pから左右前輪6、左右後輪7までの距離をL1,L2とし、機体中心線Pから左右苗植付け体5の上部に設けた左右苗ガイド51間の距離をL5とし、「(L1+L2)/2」より「L5」を長く設定しているので、隣接する畝Uの左右両側端部に左右苗植付け体5により苗を植え付けることができる。
【0075】
また、機体中心線Pから左右転倒防止輪141までの距離L3,L4を、機体中心線Pから左右苗植付け体5の上部に設けた左右苗ガイド51までの距離L5よりも長く設定しているので、苗植機1の左右転倒を良好に防止しながら左右苗植付け体5により畝Uの左右両側部に苗を植え付けることができる。
【0076】
また、左右転倒防止輪支持棒145aに左右転倒防止輪141の接地面を基準とする左右傾斜センサ146を設けて、左右水平に対する機体の左右傾斜を検出し、この検出結果に基づいて左右水平制御用ローリングシリンダ11のいずれかを伸縮作動し、機体を左右水平になるように制御している。また、この左右傾斜センサ146の検出結果により左右苗植付け体5の植付深さを制御するように構成してもよい。
【0077】
次に、図11について説明する。この実施例は、左右前輪6、左右後輪7が畝Uの左右畝溝UMを走行し、左右転倒防止輪141が左右両側の畝Uの左右両側部を走行するもので、3条植えの苗植機1である。左右前輪6及び左右後輪7が畝Uの両溝UMを走行する状態で、中央の苗植付け体5の苗ガイド51を機体中央配置し、左右苗ガイド51の苗ガイド51を左右前輪6及び左右後輪7の外側で且つ隣接している左右の畝Uの外側部に位置するようにしている。そして、機体中心線Pから左右前輪6、左右後輪7までの距離をL1,L2とし、中央苗植付け体5の中央ガイド51と左右苗植付け体5の左右苗ガイド51間の距離をL5とすると、「L1+L2=L5」になるように設定し、左右の条間隔が均等になるようにしている。しかして、苗植機1により折り返し走行ながら3個の苗植付け体5により畝溝UMと隣接する左右各畝Uとに3条の苗を植え付けをするものである。
【0078】
次に、図12により苗供給カップ25の底蓋25aの開閉構成について説明する。苗供給カップ25の底蓋を前後底蓋25e、25fに分割してその接合部を軸支し、前後左右底蓋25e、25fを移動方向である長円の長手方向に対して前後に位置した状態で開閉するようにしている。しかして、小さな苗が苗供給カップ25の底部に移動方向である前後方向に倒れた状態で供給されても、前後左右底蓋25e、25fが開放すると、苗供給カップ25の前後いずれから苗の根元部が下方になりながら落下し、適正に植え付けることができる。
【0079】
また、苗供給カップ25を図13に示すように構成してもよい。苗供給カップ25内にスポンジからなる筒体151を内装し、苗供給カップ25の上端部に内側に突出する円形の飛び出し防止円板152を設け、隣接する飛び出し防止円板152が互いに接近するように配設している。前記構成によると、苗供給カップ25に種いも153を衝撃を少なくしながら落下供給することができる。
【0080】
次に、図14に基づき苗供給カップ25の他の実施例について説明する。苗供給カップ25を連結体28の穴部に嵌合装着し、連結体28を無端チェーンのように連結して搬送するにあたり、隣接する苗供給カップ25の底部から搬送方向内側に鍔154を突出するように設け、隣接する鍔154に段差を持たせ周縁部が互いに上下に重なるように構成する。しかして、例えばラッキョのような小径の球根を供給する場合にも、下方に位置しているスプロケット35等の移動手段への落下を防止し円滑に供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の苗植機は、野菜苗に限らず、その他の苗や球根を植え付ける苗植機として利用できる。
また、乗用型の苗植機について詳述したが、歩行型の苗植機であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】苗植機の側面図である。
【図2】苗植機の平面図である。
【図3】支持体の作用を説明する平面図である。
【図4】巻掛スプロケットとその周辺を示す図である(a:平面図、b:斜視図)。
【図5】苗植付装置を示す斜視図である。
【図6】要部作用説明用背面図である。
【図7】苗植付け体の他の例を示す作用説明用側面図である。
【図8】スクレーパの作用を説明する斜視図である。
【図9】スクレーパの作用を説明する側面図である。
【図10】スクレーパの他の形状を示す斜視図である。
【図11】苗植機の平面図である。
【図12】苗収容体の斜視図、側面図である。
【図13】苗収容体の斜視図、側面図である。
【図14】苗収容体の平面図である。
【符号の説明】
【0083】
4 上下動機構
5 苗植付け体
6 前輪
7 後輪
24 苗供給装置
25 苗収容体
25b 第一の苗収容体
25c 第二の苗収容体
26 移動機構
27 苗落下供給機構
29a・36 周回タイミング変更機構
39・40 落下供給位置
69・70 植付位置変更機構
141 左右転倒防止輪
A 連係機構
U 畝
UM 畝溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下動機構4により上下動して圃場に苗を植え付ける苗植付け体5を左右に各々設け、該左右各々の苗植付け体5へ苗を供給する苗供給装置24は、苗を収容する複数の苗収容体25と、該複数の苗収容体25を所定の配列ピッチでループ状に配置し順次各々の苗植付け体5の上方を通過するように周回移動させる移動機構26と、該移動機構26により苗収容体25が苗植付け体5の上方位置となる落下供給位置39・40に移動すると苗収容体25が収容する苗を上下動機構4で上動した苗植付け体5へ落下供給させる苗落下供給機構27とを備え、一方の落下供給位置39で落下供給する苗を収容する第一の苗収容体25bと他方の落下供給位置40で落下供給する苗を収容する第二の苗収容体25cとを各別に設けて、前記第一及び第二の苗収容体25b・25cが移動機構26による周回移動で各々の落下供給位置39・40に到達する構成とした苗植機において、左右前輪6及び後輪7のトレッドを幅狭に構成し、左右転倒防止輪141のトレッドを幅広で且つ前記左右前輪6及び後輪7よりも高位に位置するように構成し、前記左右前輪6及び後輪7が畝溝UMを走行し、左右転倒防止輪141が畝溝UMに隣接する左右の畝U上面を走行しながら、前記左右苗植付け体5により畝溝UMに隣接する左右畝Uの左右両側部に苗をそれぞれ植え付けるように構成したことを特徴とする苗植機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−17092(P2010−17092A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178136(P2008−178136)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】