説明

苛性アルカリ用途に有効な膜及び方法

新規なポリマーマトリックス、ポリマーマトリックスの製造方法、及びポリスルホンアミドマトリックスからなる膜を用いて苛性アルカリ供給流を精製する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、新規なポリマーマトリックス、ポリマーマトリックスの製造方法、並びにポリスルホンアミドマトリックスからなる膜を用いて苛性アルカリ供給流を精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半透膜は工業的加工技術並びに商業上及び消費者向けの用途で重要な役割を果たす。それらの用途の例として、特にバイオセンサ、輸送膜、薬剤送達システム、浄水システム、光吸収体及び溶存成分や浮遊成分を含有している水性及び有機液体用の選択分離システムが挙げられる。
【0003】
一般に、半透膜は分離装置において、溶液又は分散液の特定の成分だけが選択的に膜を透過するのを許す作用をなす。膜を透過した流体は、透過液と呼ばれ、溶媒のみか、溶媒と溶液中の1種以上の他の成分との混合物である。膜を透過しない成分は通常、保持液と呼ばれる。透過液及び/又は保持液が目的物となる。
【0004】
膜プロセスの例として、逆浸透(RO)、ナノ濾過(NF)、限外濾過(UF)及び精密濾過(MF)が挙げられる。精密濾過は孔径約0.1μm〜約10μmの膜を利用する分離法である。限外濾過は規定孔径約1nm〜約0.1μmの膜を利用する分離法である。限外濾過膜は多くの場合、「分子量カットオフ」、即ち溶媒からポリマーを分離する限外濾過膜の能力を規定する技術で特徴付けられる。分子量カットオフ法はASTM法E1343-90(1997)e1: "Standard Test Method for Molecular Weight Cutoff Evaluation of Flat Sheet Ultrafiltration Membranes"に記載されている。
【0005】
ナノ濾過は、1種以上の小さい成分(代表的にはMW1000未満又は塩)の所望の部分が溶媒とともに膜を透過し、1種以上の別の小さい成分(代表的にはMW1000未満又は塩)の所望の量が保留されるプロセスである。ナノ濾過プロセスの例には糖液の脱塩があり、塩の80%が水とともに膜を透過し、糖の95%が膜に保留される。この例では、糖と塩を分別することができる。ナノ濾過はプロセスであるので、ナノ濾過膜の定義はナノ濾過プロセスに通常使用される膜である。
【0006】
逆浸透は、溶媒が膜を透過する一方、溶液中の各成分の大部分が膜に保留されるプロセスである。ただし溶液に除去される成分の1種以上は小さい(代表的にはMW1000未満又は塩)。逆浸透プロセスの例には海水の浄水があり、多くの場合透過液に認められる海水中の種は1%未満である。逆浸透はプロセスであるので、逆浸透膜の定義は逆浸透プロセスに通常使用される膜である。
【0007】
なお、ナノ濾過膜と通常呼ばれている膜は逆浸透も可能であり、その逆の場合もある。例えば、いわゆる通常のナノ濾過膜Desal 5DKは、水から99%超えの硫酸マグネシウムを保留することができる。この場合、大部分の硫酸マグネシウムが保留され、透過液がこの塩を少量含有するので、このプロセスは逆浸透である。したがって、これは「ナノ濾過」膜を利用した逆浸透プロセスの例である。また、通常の逆浸透膜Desal 3SGは、ナトリウム、銅及び塩化物のような単純なイオンを保留する一方、水とともにフッ化水素酸を透過できる。この例では、膜は溶液中のHFと別の小さい成分とを分別し、これは「逆浸透」膜を利用したナノ濾過プロセスとなる。
【0008】
RO膜及びNF膜の性能は、代表的に2つのパラメータ、即ち透過液流束及び溶質阻止率によって特徴づけられる。流束パラメータは透過液の流れの速度/膜の単位面積/膜の単位圧力を示す。阻止率は、他の成分を透過する一方で、特定の成分を保留する膜の能力を示す。
【0009】
RO膜及びNF膜プロセスにより所望の分離を行うためには、圧力勾配又は濃度勾配が必要である。分離作用をなす場合、逆浸透膜を用いたプロセスは、膜の両側の塩の濃度差から生じる浸透圧を上回る。この浸透圧を上回り、透過液の適当な流束を得るためには、分離する供給溶液に圧力をかけなければならない。RO膜及びNF膜は代表的に適当な圧力で高流量又は高流束を示す。現在、このような膜流束は1×10−5〜50×10−5cm3/(cm2・sec・atm)程度である。
【0010】
ほとんどのRO膜及びNF膜は、バリア薄膜が多孔質の支持材料の上にコーティング又は層として形成された複合膜として構成されている。代表的には、このRO膜又はNF膜は、多孔質の支持体上で薄膜を界面重合することにより形成する。例えば、Scalaの米国特許第3744642号に、逆浸透膜を製造する界面膜法が開示されている。さらに、ポリアミド及びポリスルホンアミド膜を開示している米国特許には、米国特許第4277344号、同第4761234号、同第4765897号、同第4950404号、同第4983291号、同第5658460号、同第5627217号、同第5693227号、同第6783711号及び同第6837996号がある。
【0011】
現在、界面重合で製造された膜は、極薄で実質的に欠陥や欠点のないというゴールに実質的に達している。RO膜又はNF膜がこれらの2つのゴールに近づくほど、流束及び阻止率の値が向上する。しかし、最小膜厚と無欠陥という2つの特徴は全く矛盾のない目標というわけではない。ポリマーフィルム又は膜の厚みが減少するにつれて、フィルム構造にホール又はボイドが発生する可能性がかなり高くなる。当然、これらのホール又はボイドにより溶質阻止率が有意に低下する。
【0012】
このような薄い無欠陥膜を形成するプロセス条件を確立した場合、この条件を変更すると性能に悪影響を及ぼすことが多い。その結果、界面膜を改良する研究の多くは、最初に膜を形成するのに使用したプロセスを変更せずに膜を改質する方法に注目している。膜の性質を左右する手段としては後処理を利用するのが普通である。透過率、阻止率及び耐ファウリング性を向上させる後処理はこれまでに開示されている。
【0013】
阻止率の向上を意図した後処理にはアミン反応性分子との反応がある。米国特許第4960517号に、硫酸の透過を低減するアミン反応性種を用いることが教示されており、米国特許第5582725号に、膜を膨潤し、ついで再乾燥した後にハロゲン化アシルで後処理を行うことが教示されている。
【0014】
フィルムを形成する反応体とは無関係に選択でき、薄いフィルムを選択的に改質するのに使用できる新しい後処理法が現在必要とされている。後処理法が得られれば、最初に膜を形成するのに使用したのと同じ反応体及びプロセス条件を維持しながら、膜の阻止率又は耐ファウリング性が向上するように後処理処方を調整することが自由に行えるようになる。これらの後処理法には、迅速に改質できるように、アミン残基と非常に反応性が高いが、改質に使用した溶媒、例えばアルコールと反応性があまり高くない試薬を使用しなければならない。このような後処理では、後処理分子に存在する官能基を変えることにより、単一の製造プロセスで多様な生成物を製造することが可能になる。
【0015】
バイヤー法は、ボーキサイトから水酸化アルミニウムを回収するのに工業的に使用されている。米国特許第4786482号に、スルホン化ポリスルホン半透膜で被覆した多孔質ポリスルホン中空糸を使用して、苛性アルカリ液中の有機及び無機不純物レベルを低減することが報告されている。この特許は15年以上前に発行されたが、このような膜は強苛性アルカリの流れを精製するのに工業的に常用されていない。これは、流量、阻止率及び苛性アルカリ安定性を兼ね備えた工業的に利用できる膜が見つかっていないからである。したがって、苛性アルカリの流れ、例えばバイヤー法によるアルミナ回収で発生する苛性アルカリの流れから不純物を除去するのに使用できる材料及び方法も現在必要とされている。
【特許文献1】米国特許第3744642号明細書
【特許文献2】米国特許第4277344号明細書
【特許文献3】米国特許第4761234号明細書
【特許文献4】米国特許第4765897号明細書
【特許文献5】米国特許第4950404号明細書
【特許文献6】米国特許第4983291号明細書
【特許文献7】米国特許第5658460号明細書
【特許文献8】米国特許第5627217号明細書
【特許文献9】米国特許第5693227号明細書
【特許文献10】米国特許第6783711号明細書
【特許文献11】米国特許第6837996号明細書
【特許文献12】米国特許第4960517号明細書
【特許文献13】米国特許第5582725号明細書
【特許文献14】米国特許第4786482号明細書
【特許文献15】米国特許第4676959号明細書
【特許文献16】米国特許第4678477号明細書
【特許文献17】米国特許第6204231号明細書
【特許文献18】米国特許第6454958号明細書
【特許文献19】米国特許第6565747号明細書
【特許文献20】米国特許第6987150号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2003/0121857号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2004/0052706号明細書
【特許文献23】欧州特許出願公開第1044718号明細書
【特許文献24】国際公開第95/27681号パンフレット
【特許文献25】国際公開第01/89654号パンフレット
【特許文献26】国際公開第01/90223号パンフレット
【特許文献27】国際公開第01/91873号パンフレット
【特許文献28】国際公開第02/051753号パンフレット
【特許文献29】国際公開第2004/014805号パンフレット
【非特許文献1】ASTM method E1343-90(1997)e1: "Standard Test Method for Molecular Weight Cutoff Evaluation of Flat Sheet Ultrafiltration Membranes"
【非特許文献2】ARMSTRONG et al., "A New Membrane Process to Purify Bayer Liquors", Proceedings of the 6th International Alumina Quality Workshop, 6 pgs., 2002
【非特許文献3】AWADALLA et al., "Separation of Humic Acids from Bayer Process Liquor by Membrane Filtration", Separation Science and Technology, 29(8). pp. 1011-1028, 1994
【非特許文献4】AWADALLA et al., "Opportunities for Membrane Technologies in the Treatment of Mining and Mineral Process Streams and Effluents", Separation Science and Technology, 29(10). pp. 1231-1249, 1994
【非特許文献5】CLEGG et al., "Development of Liquor Purification at Alcan Gove", Proceedings of the 7th International Alumina Quality Workshop, 12 pgs., 2005
【非特許文献6】GILLESPIE, "Bayer Liquid Purification by Nano-Filtration Membranes", Proceedings of the 7th International Alumina Quality Workshop, 10 pgs.、2005
【非特許文献7】MARCIANO et al., "Nanofiltration of Bayer process solutions", Journal of Membrane Science, 281, pp. 260-267, 2006
【非特許文献8】TRUSHINSKI et al., "Polysulfonamide thin-film composite reverse osmosis membranes", Journal of Membrane Science, 143, pp. 181-188, 1998
【非特許文献9】SelRO MPT-34-ph Stable Membrane, Koch Membrane Systems Product Description, 2 pgs., 06/04 RO Spec. Sheet
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、フィルムを形成する反応体とは無関係に、薄いフィルムの特性を選択的に改質するのに使用できる後処理法を見出した。本方法では、不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスに存在するアミン官能基を変えることにより、単一の製造プロセスで多様な生成物を製造することが可能になる。
【0017】
一実施形態では、本発明は、1)反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスと、2)上記反応体残基とは異なる複数のアリール残基であってその末端がスルホンアミド結合を介して上記不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスに結合したアリール残基とを含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを提供する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、1)不溶性枝分れポリアミドマトリックスと、2)末端がスルホンアミド結合を介して前記不溶性枝分れポリアミドマトリックスに結合した複数のアリール残基とを含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを提供する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、1)不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスと、2)式Ar−SO2−の複数のアリール残基とを含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを提供する。式中のArは、1)少なくとも1つの環が芳香族である、炭素原子数6〜20の単環系、二環系又は多環系であるか、2)少なくとも1つのヘテロ原子(即ち、炭素以外の原子)含有環が芳香族である、炭素原子数1〜20の単環系、二環系又は多環系であり、1)の環系は、所望に応じてシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ、フェニル及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよく、2)の環系は、所望に応じてシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態による改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法は、反応体残基を有し、複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを、式Ar−SO2−X(式中のXは脱離基であり、Arはアリール基又はヘテロアリール基であり、反応体残基はAr−SO2−でない)の化合物で処理して、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを形成する工程を含む。
【0021】
本発明の他の実施形態による改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法は、複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れポリアミドマトリックスを式Ar−SO2−X(式中のXは脱離基であり、Arはアリール基又はヘテロアリール基である)の化合物で処理して、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを形成する工程を含む。
【0022】
本発明の他の実施形態による改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法は、複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを式Ar−SO2−Xの化合物で処理して、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを形成する工程を含む。式中のXは脱離基であり、Arは、1)少なくとも1つの環が芳香族である、炭素原子数6〜20の単環系、二環系又は多環系であるか、2)少なくとも1つのヘテロ原子(即ち、炭素以外の原子)含有環が芳香族である、炭素原子数1〜20の単環系、二環系又は多環系であり、1)の環系は、所望に応じてシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ、フェニル及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよく、2)の環系は、所望に応じてシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい。
【0023】
他の実施形態では、本発明は、本発明の方法により製造したマトリックスを提供する。
【0024】
予期せざることには、本発明者は、ポリスルホンアミド膜(第1級スルホンアミド膜を含む)が苛性アルカリ供給流れの成分を分別するのに特に有用であることも見出した。ポリスルホンアミド膜が、流量、阻止率及び苛性アルカリ安定性を兼ね備え、苛性アルカリ流れ、例えばバイヤー法アルミナ回収法からの苛性アルカリ流れを分別するための工業的に利用可能な選択肢となることを見出した。例えば、スルホンアミド膜を用いて、焼却炉に入る前の供給液中の有機不純物を濃縮して、焼却する材料の容量を低減したり、焼却する有機物の量を増加させたりすることができる。これらの知見は、第1級スルホンアミド含有膜にとって特に驚くべきことである。以前は、第1級スルホンアミドプロトンは苛性アルカリ環境で不安定であり、プロトンがなくなると膜の膨潤や性能低下につながる、と考えられていたからである。
【0025】
したがって、本発明は、ポリスルホンアミドマトリックスを含む膜(メンブラン)をpH約11以上の供給溶液と接触させて、この供給溶液を透過液と保持液に分別する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[定義]
本明細書で用いる「残基」は、反応体の反応終了後にマトリックスの一部として残存し、反応前に反応体中に存在する原子からなる反応体の部分である。反応中に別の原子が離脱することもあり、また開環などの別の変換が起こることもあり、この場合残基と反応体との構造が異なることになる。例えば、アリールスルホニルクロリドがマトリックスのアミン基と反応すると、スルホンアミド結合アリール残基を形成し、この場合の「残基」はアリール環、アリール環上の置換基及び二酸化硫黄部分からなり、一方、窒素は残基の一部ではない。窒素は前駆マトリックスの一部であって、反応体の一部ではないからである。この例で、アリールスルホニルクロリド反応体がp−トルエンスルホニルクロリドであると、残基はp−CH3−C64−SO2−となる。
【0027】
ここで用いる「不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス」は、モノマーが付加した位置(ポリマー鎖内の枝分れ点となる位置)を3以上有する残基を少なくともいくつか保有するポリマーである。枝分れ点につながれた残基は、短くてたった1つの追加残基のみからなることも、あるいは大きな分子量のもので、数百もしくは数千の追加残基を含有することもある。また残基は他の枝分れ点と連結し、架橋を形成することもある。枝分れ点は大部分が主ポリマーに沿って点在し、櫛状構造を形成するか、あるいは一連の枝が他の枝上に存在して樹枝状構造を形成することもある。
【0028】
ここで用いる「不溶性」マトリックスは、まずマトリックス自体内部の化学結合を切断することなしに、適当な溶剤と1相液体溶液を形成することができないマトリックスである。不溶性マトリックスは代表的には架橋、結晶化その他の現象からもたらされる。
【0029】
縮合ポリマーは代表的には、ポリマー主鎖内に繰り返し官能基、例えばエステル、アミド、スルホンアミド、ウレタン、スルフィド、スルホン、エーテル又は他のオレフィン基を含有する。縮合ポリマーは、多くの場合、ポリマーの形成中に原子を失う反応体から製造され、その結果、反応体の残基を含むポリマーとなる。例えば、縮合ポリマーを形成するには、ポリスルホニルハライド反応体をポリアミン反応体と反応させて、ポリスルホンアミド縮合ポリマーを形成することができ、このポリマー形成縮合反応中に反応体からHClが失われる。
【0030】
ここで用いる用語「マトリックス」は、巨大分子スケールで、分子の配列が、繰り返しパターンを示すか、所々繰り返し、所々不規則性となる一連のパターンを示すか、あるいはパターンを示さないような、ポリマー分子の規則的な、不規則な及び/又はランダムな配列を意味する。分子は架橋していてもいなくてもよい。SEM、X線又はFTNMRから得られるようなスケール上で、分子配列は、三次元の物理的配置、例えば分子の網状組織、メッシュ、アレイ、フレームワーク、枠組み、三次元ネット又は三次元絡み合いを示す。マトリックスは非自己支持性であってもよい。マトリックスは、平均厚さが約5nm〜約10000nm、特に約5〜約400nmの薄いフィルムの形態であるのが好ましい。通常、マトリックスは全体として超薄フィルム又はシートとして成形される。
【0031】
ここで用いる用語「膜」(メンブラン)は、供給流体の成分を、膜を通過する透過液と膜により阻止もしくは保持される保持液とに分離するのに使用できる、半透性材料を意味する。
【0032】
ここで用いる用語「複合膜」は、マトリックスを支持材料の少なくとも1面に積層もしくは塗工したものを意味する。
【0033】
ここで用いる用語「支持材料」は、その上にマトリックスを形成もしくは塗工できる基体を意味する。特に精密及び限外濾過タイプの半透膜、布、濾過材料などが含まれる。基体は多孔質でも、微孔質でも、無孔質でもよい。
【0034】
ここで用いる用語「末端結合」は、基がポリマーマトリックスにただ1つの点で共有結合しており、その連結がスルホンアミド基を介していることを意味する。
【0035】
ここで用いる用語「アリール残基」は、アリール基又はヘテロアリール基を含む、ここに定義するとおりの残基である。
【0036】
ここで用いる用語「アリール基」は、少なくとも1つの環が芳香族である、炭素原子数6〜20の単環、二環又は多環系を含む。アリール基は所望に応じて1以上の置換基で置換されていてもよく、かかる置換基は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ、フェニル及び−NRabから独立に選択される。式中のRa及びRbは同じでも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選ばれるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ又はチオモルホリノ環を形成する。ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシは所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオオキソ(=S)、又は−NRabで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子は所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−で置き換えることができ、式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシから選ばれる。少なくとも1つの環が芳香族である、炭素数6〜20の単環、二環又は多環系の例には、フェニル、ナフチル、インドール、アントロセニル、フェナントリル、ペリレン、ピレニル、テトラヒドロナフチルベンゾピレン及びアズレンがある。
【0037】
ここで用いる用語「ヘテロアリール基」は、少なくとも1つのヘテロ原子(即ち、非炭素原子)含有環が芳香族である、炭素原子数1〜20の単環、二環又は多環系を含む。ヘテロアリール基は所望に応じて1以上の置換基で置換されていてもよく、かかる置換基は、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRabから独立に選択される。式中のRa及びRbは同じでも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選ばれるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ又はチオモルホリノ環を形成する。ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシは所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオオキソ(=S)、又は−NRabで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子は所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−で置き換えることができ、式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシから選ばれる。少なくとも1つのヘテロ原子(即ち、非炭素原子)含有環が芳香族である、炭素数1〜20の単環、二環又は多環系の例には、ピリジル、チエニル、フリル、ピロール、チオフェン、ピリミジン、イミダゾール、インドール、イソインドール、プリン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、オキサゾール及びチアゾールがある。
【0038】
「第1級スルホンアミドポリマー」は、ポリマー主鎖中に1以上のスルホンアミド基(−SO2NH−)を有する固相ポリマーを意味する。代表的には、このようなポリマーは、少なくとも一部は、1種以上の第1級アミンを1種以上のスルホニルハライドと反応させることにより、製造する。
【0039】
所定量の溶液中の「滴定可能なアルカリのモル数」は、中性(pH7)溶液を生成するのに添加しなければならないモノプロトン酸(例えば塩化水素酸)のモル数を測定することにより求めることができる。
【0040】
「脱離基」Xは、反応試薬Ar−SO2−Xが第1級もしくは第2級アミンと反応してスルホンアミド結合を形成するのを可能にする基であれば、どのような基でもよい。適当な脱離基が、例えば米国特許第4778596号に記載されている。適当な脱離基の例には、ハロゲン(例えば、フロロ、クロロもしくはブロモ)、スルホネート、ピリジン塩及びジメチルアミノピリジン錯体がある。
【0041】
[後処理材料]
前述したように、フィルムを形成する反応体とは無関係に選択でき、薄いフィルムを選択的に改質するのに使用できる後処理法が必要とされている。このような後処理法では、不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスに存在するアミン官能基を変えることにより、単一の製造プロセスで多様な生成物を製造することが可能になる。
【0042】
本発明の後処理法は、1)反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスと、2)上記反応体残基とは異なる複数のアリール残基であってその末端がスルホンアミド結合を介して上記不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスに結合したアリール残基とを含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを製造することができる。なお、本発明によれば、多官能価アリールスルホニル試薬での後処理が一部架橋結合を形成することがあり、後処理からのアリールスルホニル残基の一部が上記定義のようには末端結合していないことがある。したがって、本発明の特定の実施形態では、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの10重量%未満が末端結合していない後処理残基である。本発明の別の特定の実施形態では、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの5重量%未満が末端結合していない後処理残基である。本発明の他の特定の実施形態では、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの1重量%未満が末端結合していない後処理残基である。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、本発明の改質マトリックス材料をビーズ、シート又はフィルムに組み込むことができる。
【0044】
[後処理法]
本発明は、反応体残基を有し、複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを、式Ar−SO2−X(式中のXは脱離基であり、Arはアリール基又はヘテロアリール基である)の化合物で処理する工程を含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法を提供する。本発明の方法によれば、出発マトリックス中の反応体残基はAr−SO2−とは異なる。したがって、本発明の方法を用いた後処理後、得られた改質マトリックスは出発マトリックス中の残基とは異なるアリールスルホニル基で封鎖される。したがって、本発明の方法は、マトリックスに独特な特性を与える特異な封鎖基を有する新規なマトリックス材料を製造できる。封鎖基の組成を変更することにより、マトリックスの特性を特定の用途に合わせることができる。
【0045】
特定の実施形態では、出発マトリックスを塩基で処理して、スルホンアミド形成反応を促進することができる。
【0046】
別の特定の実施形態では、スルホンアミド形成反応を低級アルコール(例えば、メタノール)中で行うことができる。
【0047】
[苛性アルカリ用途]
驚くべきことには、ポリスルホンアミド膜が、極端に高いpHの用途で分離を行う能力を高温でももつことを見出した。さらに、予期せざることには、スルホンアミド膜はこのような条件下で非常に長期間にわたって安定な性能を示す。したがって、スルホンアミド膜を用いて、苛性アルカリ供給液流れの分離を工業規模で行うことができる。
【0048】
[苛性アルカリ用途の膜]
本発明の一実施形態では、ポリスルホンアミド膜はここに定義する通りの本発明の膜である。本発明のポリスルホンアミド膜の他に、本発明の苛性アルカリ分離法に用いるのに適当なポリスルホンアミド膜は、米国特許出願公開第2003/121857号及び米国特許出願第11/204425号にも記載されている。苛性アルカリ環境で材料を分別するのに使用できる特定のポリスルホンアミド膜の1つは、Desal KH膜(GE Osmonics社から市販)である。KH膜は、高pH用途でナノフィルターとして働き、溶存不純物を保留する一方、水と水酸化物塩を透過する。これは苛性アルカリ流れから有益な材料を回収するのに有用であり、例えば、苛性アルカリを精製し、これを再利用及び/又は再販にまわす。
【0049】
一実施形態では、膜は平シート状の半透膜である(例えば、膜を巻いてスパイラル巻きモジュールとする場合)。
【0050】
一実施形態では、膜は多孔質中空糸の表面に存在する(例えば、米国特許第4786482号参照)。
【0051】
[苛性アルカリ用途]
一実施形態では、本発明の方法及び膜をナノ濾過用途に用いて、高pH溶液を処理することができる(例えば、アルカリを透過する)。
【0052】
別の実施形態では、本発明の方法及び膜を逆浸透用途に用いて、高pH溶液を処理することができる(例えば、アルカリを濃縮する)。
【0053】
一実施形態では、本発明の方法及び膜を使用して、採掘鉱石の抽出物を処理することができる。例えば、アルミナ製造のバイヤー法では、本発明の膜及び方法を使用して、バーナー供給液を濃縮したり、送入供給液からフミン酸塩を除去したり、石灰処理済み種結晶洗浄供給液から不純物(例えば、有機物)を除去したり、洗浄機オーバーフローから不純物(例えば、有機物)を除去したり、使用済み供給液から不純物(例えば、有機物)を除去したりすることができる。一実施形態では、本発明の方法及び膜を苛性アルカリのエッチング槽に使用し、そこで不純物の除去によりエッチング速度を上げたり、廃棄物の発生を抑制することができる。
【0054】
一実施形態では、本発明の方法及び膜を食品産業で広く利用されている定置洗浄(CIP)液に使用し、そこで精製により苛性アルカリの必要量を少なくしたり、廃棄物の発生量を低減することができる。
【0055】
一実施形態では、本発明の方法及び膜をパルプ・紙工業で、特にアルカリ性漂白溶液の精製に使用することができる。
【0056】
[苛性アルカリ用途のバッキング]
本発明の膜には任意適当なバッキング(裏当て)を用いることができる。代表的には、バッキングは、厚さ約4〜約6ミルの不織布を含み、従来の複合膜不織布バッキングと同等の空気透過率及び強度特性を有する。不織布は、代表的には本発明の強苛性アルカリ条件に対して本質的に安定である熱可塑性樹脂繊維でできている。一実施形態では、ポリスルホンアミド複合膜用のバッキング材料はポリフェニレンスルフィド(PPS)材料である。
【0057】
[苛性アルカリ分離]
本発明の方法及び膜を使用して、様々な溶液成分(例えば、不純物)を保持液又は透過液部分に分別することができる。例えば、不純物は無機材料(具体的には、金属イオン、金属塩など)又は有機材料(具体的には、小さい有機分子、フミン酸塩、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質(例えば、脂肪酸)又はオイル(例えば、石油物質))である。一実施形態では、不純物の分子量は約200amu以上である。別の実施形態では、不純物の分子量は約500amu以上である。他の実施形態では、不純物の分子量は約1000amu以上である。さらに他の実施形態では、不純物の分子量は約2000amu以上である。
【0058】
[苛性アルカリ用途の特定の実施形態]
一実施形態では、供給溶液がpH約12以上である。
【0059】
一実施形態では、供給溶液がpH約14以上である。
【0060】
一実施形態では、供給溶液が約15重量%以上の水酸化ナトリウムを含有する。
【0061】
一実施形態では、供給溶液が約20重量%以上の水酸化ナトリウムを含有する。
【0062】
一実施形態では、供給溶液が約25重量%以上の水酸化ナトリウムを含有する。
【0063】
一実施形態では、供給溶液が約2.5モル/L以上の滴定可能なアルカリを含有する。
【0064】
一実施形態では、供給溶液が約5.0モル/L以上の滴定可能なアルカリを含有する。
【0065】
一実施形態では、供給溶液が約6.25モル/L以上の滴定可能なアルカリを含有する。
【0066】
一実施形態では、供給溶液が温度約50℃以上である。
【0067】
一実施形態では、供給溶液が温度約75℃以上である。
【0068】
一実施形態では、供給溶液が温度約100℃以上である。
【0069】
一実施形態では、供給溶液が含有する少なくとも1種の不純物が透過液又は保持液中に濃縮される。
【0070】
一実施形態では、供給溶液が含有する少なくとも1種の不純物が保持液中に濃縮される。
【0071】
一実施形態では、不純物の阻止率が約35%以上である。
【0072】
一実施形態では、不純物の阻止率が約50%以上である。
【0073】
一実施形態では、不純物の阻止率が約75%以上である。
【0074】
一実施形態では、不純物の阻止率が約90%以上である。
【0075】
一実施形態では、不純物の阻止率が約98%以上である。
【0076】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも48時間後に不純物の35%以上を阻止する。
【0077】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも48時間後に不純物の50%以上を阻止する。
【0078】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも48時間後に不純物の75%以上を阻止する。
【0079】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも48時間後に不純物の90%以上を阻止する。
【0080】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも48時間後に不純物の98%以上を阻止する。
【0081】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも5日後に不純物の35%以上を阻止する。
【0082】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも5日後に不純物の50%以上を阻止する。
【0083】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも5日後に不純物の75%以上を阻止する。
【0084】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも5日後に不純物の90%以上を阻止する。
【0085】
一実施形態では、膜が供給溶液との接触の少なくとも5日後に不純物の98%以上を阻止する。
【実施例】
【0086】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0087】
実施例1
ポリアミド膜の代表的な後処理手順
ドライ平シート複合ポリアミド逆浸透膜(FT30、FilmTec社製)を2つの8インチ×11インチのプラスチックフレーム間に挟んだ。脱イオン化(DI)水を膜の表面に深さ1/4インチまで注ぎ、20分間浸漬(ソーキング)した。アリールスルホニルクロリド(図1参照)の1重量%溶液を0.2重量%のトリエチルアミン含有MeOH中で新たに調製した。単に数秒間水をこぼすことにより、水を膜の表面から除去した。アリールスルホニルクロリドを含有するMeOH溶液を膜の表面に深さ1/8インチまで注ぎ、2分間膜と接触状態に維持した。メタノール溶液を流し去り、次いで膜の表面と裏面を過剰量の水でリンスした。試験まで膜を湿潤状態に保った。
【0088】
実施例2
ポリスルホンアミド膜の代表的な後処理手順
手持ちフレーム付き基本ポリスルホンアミド膜を次のように作製した。市販のPESダイアリーUF膜を2つの8インチ×11インチのプラスチックフレーム間に挟み、膜の表面を過剰量の水でリンスして残留薬品を除去した。水をこぼした。2%のTEA、4%のカンファースルホン酸及び0.1重量%の4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンも含有する2重量%ピペラジン水溶液をフレームの表面側に、溶液の深さが1/8インチとなるように添加した。溶液を1分間接触状態に保持した。アミン水溶液を流し去り、数秒間水切りした。膜表面をエアーナイフ下に通すことにより、アミン溶液の余分な水滴を膜の表面から除去した。アミン付与膜を直ちに平らに置き、ついで90℃に予熱した、0.16重量%1,3,6−ナフタレントリスルホニルクロリドの20:80メシチレン:IsoparG溶液200mLを注意深くフレーム表面の隅に注いだ。溶液を2分間フレームとの接触状態に保持し、ついで排水し、このとき排出液体の温度は約45℃であった。有機相の排出後、フレームを対流オーブンに入れ、表面45°上向きにて100℃で8分間保持した。膜をオーブンから取り出し、室温まで放冷した後、実施例1と同様に膜をDI水で20分間浸潤した。水の除去後、1重量%NaOH水溶液を膜の表面上に1分間注ぎ、排出した。膜表面を約10mLの水で短時間リンスした。湿潤膜を表面上向きに置き、直ちに実施例1と同様に調製したMeOH溶液を注いだ。滞留時間及びリンスは実施例1と同じであった。試験まで膜を湿潤状態に保った。
【0089】
図1の表1は、MeOHに溶解した種々のアリールスルホニルクロリドについての、実施例1及び2で調製した膜と処理なしの対照膜の塩水試験値を示す。データはすべて、225psig、pH7〜7.5、DI水中2000ppmNaCl、75°F、膜面積35cm2を有するクロスフローセルにて1gpmのクロスフローで測定した。透過率データの単位はA値(10-5cm/atm・s)である。塩輸送率データ(通過率%)は供給溶液に対する透過液の伝導率として測定した。
【0090】
実施例3
市販の平シート複合ポリアミド逆浸透膜(FT30、FilmTec社製)を、MeOH溶液に3重量%のp−ニトロベンゼンスルホニルクロリドを用いた以外は、実施例1と同様に後処理した。次に膜を標準カン水NaCl水溶液及び高塩分3.5%NaCl擬似海水溶液にて試験した(表2)。順次0.20%、3.5%及び0.20%NaCl水溶液について試験した後、試験セルを70ppmのNaOClでpH8.5、77°Fにて30分間運転しながら、膜及びその処理なしの対照品を塩素化した。NaOClを除去し、処理済み膜及びその処理なしの対照品を再度0.20%及び3.5%NaClで順次試験した(表2)。圧力及び温度は表2に示され、透過率及び塩輸送率の単位は表1と同様である。
【0091】
【表1】

実施例4
市販の平シート複合ポリアミド逆浸透膜(FT30、FilmTec社製)を、メタノール溶液が4重量%のエチレングリコールジメチルエーテルも含有し、トリエチルアミンを0.1%しか含有しない以外は、実施例1と同様に後処理した。ジ及びトリスルホニルクロリドを含めて種々のアリールスルホニルクロリドを使用した。膜を標準カン水RO条件(DI水中NaCl2000ppm、pH7、225psig、75°F、1gpmクロスフロー)で試験した。データを表3に示す。
【0092】
【表2】

実施例5
表1に示したアリールモノスルホニルクロリドの代わりにm−ベンゼンジスルホニルクロリドを用いた以外は、実施例2と同様にポリスルホンアミド膜を製造し、後処理した。膜をNaCl及びNa2SO4の水溶液で試験した。データを表4に示す。また、この膜を、実施例2の通りに作製した未処理のポリスルホンアミド対照膜とともに、pH値の異なる2000ppmNaClで試験した。処理済み及び未処理試料についての阻止率(%)をpHに対してプロットしたグラフを以下に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

実施例6
市販のポリスルホンアミドKH膜(GE Water&ProcessTechnologies社製)を、実施例2のオーブン乾燥膜と同様に処理した。アリールスルホニルクロリドとしてはp−ニトロベンゼンスルホニルクロリド及びp−メトキシベンゼンスルホニルクロリドを使用した。空気圧600psig及び室温(RT)の撹拌セルにてバイヤー法の高苛性アルカリ液で膜を試験した。得られた透過液を紫外可視吸光率分析で調べ、吸光率ABSの低下をフミン酸分解有機化合物が除去された証拠と解釈した。透過液の吸光率/供給溶液の吸光度の比を波長に対してプロットしたグラフを以下に示す。
【0095】
【表5】

実施例7
市販のポリスルホンアミドKH膜(GE Water&ProcessTechnologies社製)を25重量%水酸化ナトリウム水溶液に4日間浸漬し、次いでクーポンを切り出し、磁気スターラ付きのデッドエンド型鉄鋼試験セルに入れた。セルに室温の25重量%水酸化ナトリウム水溶液を仕込んだ。セルを窒素で100psig〜650psigの圧力に加圧した。KH膜が透過液流れを生成する能力を圧力の関数としてプロットしたグラフを以下に示す。0psigでのY切片値は、NaOHの阻止なしを示す。
【0096】
【表6】

なお、LMHはL/(m2・hr)単位での流束の表記である。
【0097】
実施例8
市販のポリスルホンアミドKH膜(GEWater&ProcessTechnologies社製)を実施例7と同様の撹拌セルに入れた。セルに、100ppmの1,3,6−ナフタレントリスルホネートのナトリウム塩(NTSA、MW434)も含有する2重量%NaOH水溶液を仕込んだ。撹拌しながら、セルを窒素で200psigに1時間加圧した。供給溶液及び透過液の287nmでのUV吸光率を記録することにより、芳香族化合物の阻止率を測定した。NTSAの阻止率は73%であった。流束は、200psigで測定したところ、57LMHであった。(LMHはL/(m2・hr)単位での流束の表記である。)
実施例9
スルホンアミド膜を下記のように製造した。4ミルのポリフェニレンスルフィド裏材料からなる支持膜を用いて、界面重合により複合スルホンアミド膜を製造した。なお、支持膜はA値=40〜60、分子量カットオフ(MWCO)=約3,000ダルトンの膜特性を有する。この支持膜を次にトリエチレンテトラミン及びジメチルアミノピリジンの水溶液で被覆し、過剰分をエアーナイフで除去した。次にナフタレントリスルホニルクロリドのイソパラフィン溶液を注ぎ、オーブンに入れた。硫酸マグネシウム水溶液で試験したときのこの膜の阻止特性は、ポリエステル裏材料を用いる市販の幕KHの阻止特性と同様である。次にこの膜から28個のクーポンを切り出し、65℃の25重量%NaOH水溶液に浸漬した。4個1組のクーポンを7日、14日、21日、35日、58日、242日及び327日後にそれぞれ取りだした。各浸漬期間後、4個のクーポンを実施例7に記載した撹拌圧力セルに入れ、25重量%NaOH水溶液に1000ppmのフミン酸ナトリウム(AldrichChemical社から入手)を含有する新たに調製した溶液をセルに仕込んだ。セルを室温(20〜25℃)で600psigに加圧し、1時間透過させた後、撹拌付随試験した。流束及び阻止率を以下に示す。阻止率(%)は、UV波長を256nmとした以外は、実施例8に記載したUV分光計で測定した。以下のグラフに示す通り、7日間浸漬のクーポンは、600psigでの平均流束7.9(±2.6)LMH及び阻止率91%(±4%)であった。高温苛性アルカリへの327日間浸漬のクーポンは、600psigでの平均流束4.4(±2.0)LMH及び阻止率88%(±1%)であった。
【0098】
【表7】

なお、LMHはL/(m2・hr)単位での流束の表記である。
【0099】
実施例10
実施例9と同様に製造した膜を撹拌圧力セル(実施例7で用いたセルと同様)で試験した。クーポンを乾燥状態でセルに入れ、セルにバイヤーアルミナ製錬から得られた加工溶液300mLを仕込んだ。溶液は、主バイヤー回路からの使用済みバイヤー液サンプルであり、濾過して浮遊固形物を除去してから、膜試験セルに供給した。セルを窒素で25℃で700psigに加圧し、1時間透過させた後、データを収集した。流束は700psigで2.0LMHと測定された。透過液及び供給溶液を、吸光度が検出器の検出範囲になるように既知量の水で希釈してから、紫外可視分光計にて400nmで測定した。400nmでの阻止率は80%であった。また透過液及び供給溶液のサンプルを、希釈(紫外可視分光測定に用いた希釈と同様)してから、燃焼式全有機体炭素(TOC)分析機で分析した。TOCの阻止率は55%と測定された。
【0100】
実施例11
実施例9と同様に製造した膜を、スパイラル巻き膜素子を製造する工業的な標準法にてロール巻きして直径2インチの膜素子とした。この素子は標準ポリプロピレン供給液スペーサ及び透過液キャリヤ(シート材料)を有し、膜エンベロープパケットをエポキシ接着剤で互いに接着した。素子をガラス繊維で包み、ステンレス鋼製非入れ子型装置を円筒毎にエポキシで接着した。素子を鉄鋼ハウジングに入れ、1000ppmのフミン酸ナトリウム(AldrichChemical社から入手)を含有する1重量%NaOH水溶液を150psig及びクロスフロー流量3000mL/minで流した。連続流通時間7日間後に、流束を測定したところ150psig及び24℃で37LMHであった。透過液及び供給溶液のサンプルを、紫外可視分光法により350nmで分析した。阻止率は96%と測定された。
【0101】
実施例12
実施例9と同様に製造した膜を用いて実施例11と同様に製造した膜素子を実施例11と同じ装置で試験した。素子に実施例10で用いたのと同様のバイヤー法液を流した。試験は500psig及び25℃で1時間行った。流束は500psigで4.6LMHであった。紫外可視による阻止率を、実施例10に記載した方法と同様に測定したところ、400nmで79%であった。TOC阻止率を実施例10に記載した方法と同様に測定したところ、45%であった。
【0102】
刊行物、特許及び特許公報はすべて、本発明の先行技術として援用する。本発明を種々の特定のまた好適な実施形態及び方法について説明した。しかし、本発明の要旨の範囲内で、種々の変更や改変が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】種々のアリールスルホニルクロリドのMeOH溶液についての、実施例1及び2で製造した膜と未処理の対照膜の塩水試験値を示す一覧表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスと、2)上記反応体残基とは異なる複数のアリール残基であってその末端がスルホンアミド結合を介して上記不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスに結合したアリール残基とを含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項2】
反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスがポリアミドである、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項3】
反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスがポリスルホンアミドである、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項4】
1)不溶性枝分れポリアミドマトリックスと、2)末端がスルホンアミド結合を介して前記不溶性枝分れポリアミドマトリックスに結合した複数のアリール残基とを含む、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項5】
1)不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスと、2)式Ar−SO2−(式中のArは各々独立にアリール基又はヘテロアリール基である)の複数のアリール残基とを含む、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項6】
不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスがポリアミドである、請求項5記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項7】
不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスがポリスルホンアミドである、請求項5記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項8】
各アリール残基が、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよいアリール基であり、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル又はC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項9】
各アリール残基が、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよいアリール基であり、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル又はC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項10】
各アリール残基が、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項11】
各アリール残基が、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項12】
末端結合したアリール残基が、1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ又は−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素又はC1−C6アルキルである)で置換されている、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項13】
末端結合したアリール残基がベンゼンジスルホニルクロリド、ナフタレントリスルホニルクロリド又はベンゼントリスルホニルクロリド残基である、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項14】
反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスが、2以上のスルホニル基を有するスルホニルモノマー及び2以上のアミン基を有するアミンモノマー又はオリゴマーから誘導することができる、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項15】
請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを含む膜。
【請求項16】
反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスが界面重合により得られる、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項17】
請求項12記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを含む膜。
【請求項18】
複合膜である、請求項17記載の膜。
【請求項19】
RO膜又はNF膜である、請求項18記載の複合膜。
【請求項20】
各アリール残基が、1以上のニトロ、メトキシ、メチル、ブロモ、クロロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ又はカルボキシで置換されていてもよいフェニルスルホニル基である、請求項1記載の改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックス。
【請求項21】
反応体残基を有し、複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを、式Ar−SO2−X(式中のXは脱離基であり、Arはアリール基又はヘテロアリール基であり、反応体残基はAr−SO2−でない)の化合物で処理して、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを形成する工程を含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法。
【請求項22】
複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れポリアミドマトリックスを式Ar−SO2−X(式中のXは脱離基であり、Arはアリール基又はヘテロアリール基である)の化合物で処理して、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを形成する工程を含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法。
【請求項23】
複数の第1級又は第2級アミン基を有する不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを式Ar−SO2−Xの化合物で処理して、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスを形成する工程を含む、改質不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスの製造方法。
(式中のXは脱離基であり、Arは、1)少なくとも1つの環が芳香族である、炭素原子数6〜20の単環系、二環系又は多環系、又は2)少なくとも1つのヘテロ原子(即ち、炭素以外の原子)含有環が芳香族である、炭素原子数1〜20の単環系、二環系又は多環系であり、1)の環系は、所望に応じてシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ、フェニル及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよく、2)の環系は、所望に応じてシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよく、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい。)
【請求項24】
ポリスルホンアミドマトリックスを含む膜をpH約11以上の供給溶液と接触させて、この供給溶液を透過液と保持液に分別する工程を含む方法。
【請求項25】
前記膜が第1級ポリスルホンアミドポリマーを含有する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記供給溶液が5.0mol/L以上の滴定可能アルカリを含有する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記供給溶液が含有する1種以上の不純物が保持液中に濃縮される、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記膜が前記供給溶液との接触の少なくとも48時間後に不純物の50%以上を阻止する、請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記膜が前記供給溶液との接触の少なくとも5日後に不純物の50%以上を阻止する、請求項27記載の方法。
【請求項30】
前記膜が、6.25モル濃度の滴定可能アルカリを含有する溶液中に65℃で7日間浸漬した後、400psiで3LMH以上の流束を有し、かつ紫外可視分光法により400nmで測定して80%以上のフミン酸ナトリウム阻止率を示し、前記供給溶液がa)6.25モル濃度の滴定可能アルカリ及びb)1g/L以上の溶存フミン酸ナトリウムを含有する、請求項24記載の方法。
【請求項31】
前記膜が、6.25モル濃度の滴定可能アルカリを含有する溶液中に65℃で30日間浸漬した後、400psiで3LMH以上の流束を有し、かつ紫外可視分光法により400nmで測定して80%以上のフミン酸ナトリウム阻止率を示し、前記供給溶液がa)6.25モル濃度の滴定可能アルカリ及びb)1g/L以上の溶存フミン酸ナトリウムを含有する、請求項23記載の方法。
【請求項32】
前記供給溶液がバイヤー法液である、請求項24記載の方法。
【請求項33】
前記不純物がフミン物質である、請求項27記載の方法。
【請求項34】
前記供給溶液が苛性アルカリのエッチング槽又は紙製造に関連する、請求項24記載の方法。
【請求項35】
前記膜がスパイラル巻きモジュールの一部である、請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記膜が多孔質中空糸の表面に存在する、請求項24記載の方法。
【請求項37】
前記透過液がクローズドループのバイヤー法でリサイクルされる、請求項32記載の方法。
【請求項38】
前記膜がナノ濾過膜である、請求項24記載の方法。
【請求項39】
前記膜が逆浸透膜である、請求項24記載の方法。
【請求項40】
前記ポリスルホンアミドマトリックスが、1)反応体残基を含む不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスと、2)上記反応体残基とは異なる複数のアリール残基であってその末端がスルホンアミド結合を介して上記不溶性枝分れ縮合ポリマーマトリックスに結合したアリール残基とを含む、請求項24記載の方法。
【請求項41】
各アリール残基が、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよいアリール基であり、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい、請求項40記載の方法。
【請求項42】
各アリール残基が、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル、C1−C20アルカノイルオキシ及び−NRaRb(式中のRa及びRbは、同一でも異なってもよく、水素、C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシから選択されるか、Ra及びRbはそれらが結合する窒素原子とともにピロリジノ環、ピペリジノ環、モルホリノ環又はチオモルホリノ環を形成する)から独立に選択される1以上の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、ここで各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシが所望に応じて1以上のシアノ、ハロ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ、カルボキシ、スルホ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)又は−NRaRbで置換されていてもよく、また各C1−C20アルキル、C1−C20アルコキシ、C1−C20アルコキシカルボニル及びC1−C20アルカノイルオキシの1以上の炭素原子が所望に応じて−O−、−S−又は−NRc−(式中のRcは各々独立に水素、C1−C6アルキル、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル及びC1−C6アルカノイルオキシである)で置き換えられていてもよい、請求項40記載の方法。
【請求項43】
末端結合したアリール残基がベンゼンジスルホニルクロリド、ナフタレントリスルホニルクロリド又はベンゼントリスルホニルクロリド残基である、請求項40記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−504883(P2009−504883A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527035(P2008−527035)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/031680
【国際公開番号】WO2007/022100
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(304036662)ジーイー・オズモニクス・インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】