説明

茶葉の異物選別装置

【課題】茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物も確実に選別して取り除くことができる茶葉の異物選別装置を提供する。
【解決手段】上部から下部に茶葉を流し得るシュート1a、1bと、撮像手段3と、光を照射して被撮像物からの反射光を得る第1発光手段15と、画像の背景側から光を照射する第2発光手段16と、撮像手段3で得られた画像における第1発光手段15からの反射光及び第2発光手段16からの背景光に基づき、被撮像物が異物であるか否かを判定する判定手段10と、異物であると判定されたものを吹き飛ばして選別し得るエアノズル15とを備え、シュート1a、1bで茶葉を流すことにより茶葉中に混入した異物を選別して取り除くための茶葉の異物選別装置において、撮像手段3の撮像範囲であって第2発光手段16と被撮像物との間にスリット19cを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のシュートで順次茶葉を流すことにより茶葉中に混入した異物を選別して取り除くための茶葉の異物選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、茶葉に対して青色の光を照射しつつ、その反射光にて得られる画像をラインスキャンカメラ等の撮像手段にて撮像し、茶葉中に混入した異物を選別し得るための茶葉の異物選別装置が提案されるに至っている(例えば、特許文献1参照)。かかる茶葉の異物選別装置は、ラインスキャンカメラ等の撮像手段と、茶葉に青色の光を照射し得る第1発光手段と、撮像手段で得られる画像の背景となる背景光を照射する第2発光手段とを有して構成されている。
【0003】
更に、被撮像物の反射光と背景光とのレベルの差違を判定し得る判定手段を具備し、撮像した被撮像物が異物であるか否かを判定していた。然るに、上記従来の茶葉の異物選別装置においては、茶葉に対して青色の光を照射すると、その青色光が茶葉中に含まれるクロロフィルと反応して赤色に蛍光することを利用し、当該赤色蛍光が撮像手段にて撮像された場合は茶葉であると判定する一方、当該赤色蛍光がない場合は異物であると判定することができるので、これを利用して茶葉と異物とを選別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−66434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の茶葉の異物選別装置においては、以下の如き問題があった。
例えば透明樹脂等から成る透明な異物が茶葉中に混入している場合、当該透明な異物を撮像手段で撮像すると、第2発光手段からの背景光が透過してしまい、異物であるか否かの判別が困難となってしまうという不具合があった。特に、集光作用(レンズ効果による集光)を有した透明な異物においては、背景からの光を集光してしまうことから、撮像手段で撮像した場合、被撮像物からの反射光と背景光とのレベルの差違が小さくなってしまい、異物であるとの判別が一層困難となってしまうという不具合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物も確実に選別して取り除くことができる茶葉の異物選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、所定角度傾斜して配設されるとともに、上部から下部に茶葉を流し得るシュートと、前記シュートの下部から落下する茶葉を撮像し画像を得る撮像手段と、該撮像手段側から光を照射して被撮像物からの反射光を得る第1発光手段と、前記撮像手段で撮像する画像の背景側から光を照射する第2発光手段と、前記撮像手段で得られた画像における前記第1発光手段からの反射光及び第2発光手段からの背景光に基づき、被撮像物が異物であるか否かを判定する判定手段と、該判定手段により異物であると判定されたものを吹き飛ばし或いは異物でないと判定されたものを吹き飛ばすことにより、前記シュートによる落下軌跡とは異なる軌跡で落下させて選別し得るエアノズルとを備え、前記シュートで茶葉を流すことにより茶葉中に混入した異物を選別して取り除くための茶葉の異物選別装置において、前記撮像手段の撮像範囲であって前記第2発光手段と被撮像物との間にスリットを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の茶葉の異物選別装置において、前記撮像手段は、ライン状に撮像範囲が構成されたラインスキャンカメラから成り、当該ライン状の撮像範囲に沿って前記スリットが形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の茶葉の異物選別装置において、前記スリットは、前記撮像手段に対して前記第2発光手段の光を遮蔽し得る一対の遮光部材を所定寸法離間させて形成されるとともに、当該遮光部材の離間寸法を変更してスリット幅を任意に調整し得るものとされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の茶葉の異物選別装置において、前記第1発光手段は青色の光を照射するとともに、当該第1発光手段からの青色の光が茶葉に照射されることにより当該茶葉から赤色蛍光を得るものとされ、且つ、前記判定手段は、前記撮像手段にて撮像される当該赤色蛍光の有無に基づいて被撮像物が異物であるか否かを判定するものとされたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の茶葉の異物選別装置において、前記第2発光手段からの背景光は、反射板で反射されて前記撮像手段にて撮像されるとともに、当該反射板の角度を変更して背景光レベルを任意に調整し得るものとされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、撮像手段の撮像範囲であって第2発光手段と被撮像物との間にスリットを設けたので、第2発光手段からの背景光が透明な異物に集光して撮像手段に至ってしまうのを抑制でき、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物も確実に判定及び選別して取り除くことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、撮像手段は、ライン状に撮像範囲が構成されたラインスキャンカメラから成り、当該ライン状の撮像範囲に沿ってスリットが形成されたので、撮像手段の撮像を妨げることなく確実な撮像及び異物の判定を行わせることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、スリットは、撮像手段に対して第2発光手段の光を遮蔽し得る一対の遮光部材を所定寸法離間させて形成されるとともに、当該遮光部材の離間寸法を変更してスリット幅を任意に調整し得るものとされたので、撮像手段の検出精度又は第1発光手段や第2発光手段の発光能力等に応じてスリットのスリット幅を任意に調整することができ、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物をより確実に選別して取り除くことができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、第1発光手段は青色の光を照射するとともに、当該第1発光手段からの青色の光が茶葉に照射されることにより当該茶葉から赤色蛍光を得るものとされ、且つ、判定手段は、撮像手段にて撮像される当該赤色蛍光の有無に基づいて被撮像物が異物であるか否かを判定するものとされたので、茶葉中に混入した異物の判別をより高精度に行わせることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、第2発光手段からの背景光は、反射板で反射されて撮像手段にて撮像されるとともに、当該反射板の角度を変更して背景光レベルを任意に調整し得るものとされたので、撮像手段の検出精度又は第1発光手段や第2発光手段の発光能力等に応じて背景光レベルを任意に調整することができ、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物をより確実に選別して取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る茶葉の異物選別装置を示す正面図
【図2】同茶葉の異物選別装置の内部構成を側面から見た状態を示す模式図
【図3】同茶葉の異物選別装置を示す上面図
【図4】同茶葉の異物選別装置に適用される垂直バケットを示す側面図
【図5】同茶葉の異物選別装置におけるラインスキャンカメラ(撮像手段)、判定手段及びエアノズルの接続関係を示すブロック図
【図6】同茶葉の異物選別装置における選別動作を示すための説明図
【図7】同茶葉の異物選別装置に適用される供給箱を示す正面図
【図8】同供給箱を示す側面図
【図9】同茶葉の異物選別装置における供給手段(投入フィーダ)と縦壁面との位置関係を示す模式図
【図10】同茶葉の異物選別装置における第1発光手段、第2発光手段及びスリット等の位置関係を示す拡大模式図
【図11】同茶葉の異物選別装置におけるスリットを構成する遮蔽部材を示す模式図
【図12】(a)本実施形態に係る茶葉の異物選別装置における撮像手段の撮像結果(レベル)を示すグラフ、(b)スリットを形成しない場合の撮像手段の撮像結果(レベル)を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る茶葉の異物選別装置は、複数のシュートで順次茶葉を流すことにより茶葉中に混入した異物を選別して取り除くためのものであり、図1及び図2に示すように、第1シュート1a及び第2シュート1bと、撮像手段としてのラインスキャンカメラ3と、エアノズル4と、判定手段10(図5参照)と、第1発光手段15と、第2発光手段16とから主に構成されている。尚、符号2は、ラインスキャンカメラ3やエアノズル4を収容する箱状の検知判定部を示している。また、本実施形態においては、茶葉の異物選別装置の近傍に、垂直バケット6、散茶フィーダ7、投入フィーダ8、選別すべき茶葉を所定量収容可能な供給箱9がそれぞれ設置されている。
【0019】
第1シュート1a及び第2シュート1bは、各々が所定角度傾斜して配設されるとともに、それぞれの上部から下部に茶葉を流し得るものであり、装置の幅方向(図1の左右方向)に対して2つ並列に設けられたものである。これら第1シュート1a及び第2シュート1bの下部には、図6に示すように、受け部材5a、5bがそれぞれ配設されており、当該第1シュート1a及び第2シュート1bを流れた(即ち、表面上を滑って流れた)茶葉がそれぞれ受け部材5a、5bに落下し得るようになっている。
【0020】
ラインスキャンカメラ3(撮像手段)は、第1シュート1a及び第2シュート1bから落下する茶葉を撮像してデジタル画像を得るものであり、当該第1シュート1a又は第2シュート1bの下部近傍における幅方向一列に撮像範囲が設定されている。即ち、ラインスキャンカメラ3によって得られる画像のうち、選別の対象とされるライン状(左右に延びる直線状)のセンシング範囲のことを撮像範囲としている。
【0021】
また、ラインスキャンカメラ3は、撮像した画像を画素データとして保持するものであるため、第1シュート1a及び第2シュート1bの下部近傍における幅方向一列のライン状の画素が上記撮像範囲を成すこととなる。尚、撮像範囲をいずれの高さで設定するかは、適宜決定されるものとし、エアノズル4、第1発光手段15及び第2発光手段16の配設位置や向き等によって異物判定するのに最も適当な高さに調整されるのが好ましい。
【0022】
第1発光手段15は、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)側から光を照射して被撮像物からの反射光を得るもの(例えば発光ダイオードから成り、本実施形態においては当該第1発光手段15が上下一対配設されている。)、第2発光手段16は、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)で撮像する画像の背景側から光を照射するもの(例えば蛍光灯)で構成されている。本実施形態においては、図6、10で示すように、第2発光手段16からの背景光は、反射板17で反射されてラインスキャンカメラ3にて撮像されるとともに、反射板17の角度を変更する角度変更手段18を具備しており、当該角度変更手段18にて当該反射板17の角度を変更することにより、背景光レベルを任意に調整し得るようになっている。尚、図10中、符号21は、ガラス板を示しており、反射光及び背景光が当該ガラス板21を介してラインスキャンカメラ3に至るようになっている。
【0023】
更に、ラインスキャンカメラ3は、図5で示すように、判定手段10と電気的に接続されている。かかる判定手段10は、例えばマイコンから成るもので、ラインスキャンカメラ3で得られた画像(即ち、撮像範囲の画素)の撮像レベル(反射光の強弱)に基づき、被撮像物が茶葉であるか或いは異物であるかを判定するものである。即ち、ラインスキャンカメラ3で得られた画像における第1発光手段15からの反射光及び第2発光手段16からの背景光に基づき、被撮像物が異物であるか否かを判定するよう構成されているのである。より具体的には、ラインスキャンカメラ3で撮像した画像の反射光の入力レベル(背景光と反射光との入力レベルの差違)を縦軸、撮像範囲における幅方向の位置を横軸にとってグラフ化すると、図12(a)に示すように、所定の波形が得られるが、かかる波形のうち入力レベルが所定のしきい値より低い部位は異物とされるのである。
【0024】
ここで、本実施形態においては、第1発光手段15は、青色の光(460nm程度の波長の光)を照射する青色発光ダイオード(LED)から成るものとされている。即ち、第1発光手段15からの青色の光が茶葉に照射されると、茶葉に含まれるクロロフィルが反応して赤色の蛍光(645〜660nm程度の波長の光:赤色蛍光)が発せられるので、ラインスキャンカメラ3にて撮像される当該赤色蛍光の有無に基づいて被撮像物が異物であるか否かが判定手段10にて判定できるのである。
【0025】
特に、本実施形態においては、第2発光手段16から赤色の光(赤色蛍光と略同一の波長の光)を照射させるものとされるとともに、ラインスキャンカメラ3と被撮像物との間には、赤色の光のみを透過させるフィルタ(不図示)が配設されている。而して、茶葉を撮像した場合は、背景レベルからの入力レベルの低下が全くない或いは極めて小さい状態とされる一方、金属等の異物(クロロフィル等の如く青色の光に反応して赤色蛍光を得ることができない異物)を撮像した場合、赤色蛍光が得られないため、背景レベルからの入力レベルの低下が著しく大きくなって所定のしきい値を超えることから、被撮像物が異物であると判定することができる。
【0026】
一方、判定手段10は、エアノズル4とも電気的に接続されており、判定手段10による異物判定に基づきエアノズル4が制御されるよう構成されている。これにより、判定手段10が異物であると判定した場合、エアノズル4を駆動させ、吹き飛ばして落下軌跡を異ならせることにより選別可能とされているのである。即ち、判定手段10にて異物でない(即ち、茶葉である)と判定した場合、エアノズル4は駆動されず、図6で示すように、第1シュート1a又は第2シュート1bからの茶葉の落下軌跡を維持する一方、異物であると判定した場合、エアノズル4が駆動して、その落下軌跡を異ならせる。
【0027】
エアノズル4は、既述のように、判定手段10により異物であると判定されたものを吹き飛ばし、第1シュート1a又は第2シュート1bによる落下軌跡とは異なる軌跡で落下させるものである。このエアノズル4は、第1シュート1a及び第2シュート1bの下部幅方向に複数並列に配設されており、判定手段10にて落下する茶葉内に異物が混入していると判定した場合、駆動して回収手段B1に向けて当該異物を吹き飛ばし得るようになっている。
【0028】
ここで、本実施形態においては、図6、10に示すように、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)の撮像範囲であって第2発光手段16と被撮像物との間にスリット19cが設けられている。かかるスリット19cは、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)に対して第2発光手段16の光を遮蔽し得る上下一対の遮光部材19a、19bを所定寸法離間させて形成された隙間から成るもので、図11に示すように、スリット19cを介して茶葉及び異物がラインスキャンカメラ3にて撮像されることとなる。
【0029】
特に、本実施形態においては、第2発光手段16、反射板17及び遮光部材19a、19bは、異物選別装置に固定された収容部材20内に固定されて収容されている。遮光部材19a、19bは、それぞれ長孔(不図示)が形成されており、その長孔にネジ(不図示)を挿通させて螺着にて固定されており、ネジの挿通位置を変更することにより、遮光部材19a、19bの取付位置を変更可能となっている。即ち、遮光部材19a、19bの取付位置を変えることにより、それら遮光部材19a、19bの離間寸法を変更することができ、スリット19cのスリット幅を任意に調整し得るよう構成されているのである。尚、符号20aは、収容部材20における窓部を示しており、当該窓部20aを介して第2発光手段16の光(背景光)がラインスキャンカメラ3に至るよう構成されている。
【0030】
上記実施形態によれば、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)の撮像範囲であって第2発光手段16と被撮像物との間にスリット19cを設けたので、第2発光手段16からの背景光が透明な異物に集光してラインスキャンカメラ3(撮像手段)に至ってしまうのを抑制でき、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物も確実に判定及び選別して取り除くことができる。
【0031】
即ち、本実施形態の如くスリット19cを形成することにより、図12(a)に示すように、透明色ナイロン糸(細いもの及び太いもの)(集光作用を有する透明な異物)が撮像された際の入力レベルの低下を顕著に行わせることができ、同図(b)の如きスリットを形成しない場合のグラフと比べて分かるように、集光作用を有する透明な異物に対しても確実に異物と判定することができる。
【0032】
また、撮像手段は、ライン状に撮像範囲が構成されたラインスキャンカメラ3から成り、当該ライン状の撮像範囲に沿ってスリット19cが形成されたので、ラインスキャンカメラ3の撮像を妨げることなく確実な撮像及び異物の判定を行わせることができる。ラインスキャンカメラ3に代えて、より広範囲な撮像範囲を有するカメラ(CCDカメラ等)とすることもできる。
【0033】
また、スリット19cは、ラインスキャンカメラ3に対して第2発光手段16の光を遮蔽し得る一対の遮光部材19a、19bを所定寸法離間させて形成されるとともに、当該遮光部材19a、19bの離間寸法を変更してスリット幅を任意に調整し得るものとされたので、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)の検出精度又は第1発光手段15や第2発光手段16の発光能力等に応じてスリット19cのスリット幅を任意に調整することができ、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物をより確実に選別して取り除くことができる。
【0034】
更に、本実施形態においては、第1発光手段15は青色の光を照射するとともに、当該第1発光手段15からの青色の光が茶葉に照射されることにより当該茶葉から赤色蛍光を得るものとされ、且つ、判定手段10は、ラインスキャンカメラ3にて撮像される当該赤色蛍光の有無に基づいて被撮像物が異物であるか否かを判定するものとされたので、茶葉中に混入した異物の判別をより高精度に行わせることができる。
【0035】
また更に、第2発光手段16からの背景光は、反射板17で反射されてラインスキャンカメラ3にて撮像されるとともに、当該反射板17の角度を変更して背景光レベルを任意に調整し得るものとされたので、ラインスキャンカメラ3(撮像手段)の検出精度又は第1発光手段15や第2発光手段16の発光能力等に応じて背景光レベルを任意に調整することができ、茶葉中に混入した集光作用を有した透明な異物をより確実に選別して取り除くことができる。
【0036】
本実施形態においては、異物選別装置の近傍において、垂直バケット6及び散茶フィーダ7から成る搬送手段と、投入フィーダ8から成る供給手段と、選別すべき茶葉を所定量収容可能な供給箱9とが配設されている。以下、適用されるこれら手段について詳細に説明する。
【0037】
投入フィーダ8は、第1シュート1a及び第2シュート1bのそれぞれに順次茶葉を供給すべく、落下条件を略均一に揃えつつ各シュート(第1シュート1a及び第2シュート1b)の上部に茶葉を落下させ得る振動フィーダから成り、図3に示すように、各シュートに対応した2つの茶葉の供給路8a、8bが形成されている。即ち、投入フィーダ8は、単一の振動フィーダから成るとともに、当該振動フィーダの搬送面(上面)を搬送方向に対して2つに区画して2つの供給路8a、8bが形成されているのである。
【0038】
また、投入フィーダ8(振動フィーダ)における搬送面の区画部分及び縁部の上部には、図9に示すように、ビニルシートなど所定の別体部材で構成される縦壁面14が形成されている。具体的には、同図に示すように、投入フィーダ8の外周側部に柱体12を立設させるとともに当該柱体12同士を連結する枠体13を懸架させ、かかる枠体13における投入フィーダ8の区画部分及び縁部の上部に対応する位置からビニルシートを垂らすことにより縦壁面14が形成されている。
【0039】
このような縦壁面14により、一の供給路(8a又は8b)を流れる茶葉が飛び跳ねて、隣接する他の供給路(8a又は8b)や投入フィーダ8外に至ってしまうのを確実に回避することができる。尚、縦壁面14を成すビニルシートは、帯電防止機能が付加されたものとするのが好ましく、或いは導電性の他の材質のもの(金属等)にて縦壁面を形成するようにしてもよい。
【0040】
垂直バケット6は、供給箱9にて搬送された茶葉及び案内部6cにて案内された茶葉を装置の上方へ搬送し得るものであり、搬送方向に対して第1搬送路6a及び第2搬送路6bの2つの搬送路が形成されている。即ち、供給箱9から搬送された茶葉は、第1搬送路6aにより上方へ搬送される一方、受け部材5aから案内部6cにて案内された茶葉は、第2搬送路6bにより上方へ搬送されるよう構成されている。
【0041】
尚、垂直バケット6は、図4に示すように、下方から上方へ循環移動し得る複数の収容部6fを有しており、当該収容部6fで収容された茶葉が順次上方へ搬送されるようになっている。また、垂直バケット6の上部には、図2に示すように、2つの吐出口6d、6eが形成されており、第1搬送路6aの収容部6fで搬送された茶葉は一方の吐出口6dから吐出されるとともに、第2搬送路6bの収容部6fで搬送された茶葉は他方の吐出口6eから吐出されるよう構成されている。
【0042】
散茶フィーダ7は、振動コンベアから成り、その搬送面が投入フィーダ8の供給路8a、8bに対応して区画されており、図3に示すように、吐出口6dから吐出された茶葉を投入フィーダ8の第1供給路8aまで搬送する第1搬送路7aと、吐出口6eから吐出された茶葉を投入フィーダ8の第2供給路8bまで搬送する第2搬送路7bとを有している。即ち、吐出口6d、6eから吐出された茶葉は、散茶フィーダ7により、それぞれ第1搬送路7a、第2搬送路7bにて搬送され、これら搬送路の先端7aa、7baから落下して、それぞれ投入フィーダ8の第1供給路8a、第2供給路8bに至るようになっている。
【0043】
散茶フィーダ7における搬送路の先端7aa、7baは、同図に示すように、投入フィーダ8の搬送方向に対して所定角度傾斜して形成されており、これにより、第1供給路8a及び第2供給路8bの幅方向に対して略均一に茶葉が落下するよう構成されている。然るに、第1供給路8aに落下した茶葉は、第1シュート1aの上部に落下し、当該第1シュート1a上を流れ、第2供給路8bに落下した茶葉は、第2シュート1bの上部に落下し、当該第2シュート1b上を流れることとなる。
【0044】
供給箱9は、選別すべき茶葉を所定量収容するとともに、収容した茶葉を順次垂直バケット6の第1搬送路6aに供給するためのものであり、図7及び図8に示すように、選別すべき茶葉を所定量収容可能な収容部9aと、該収容部9a内に配設されたスクリュー9bと、収容部9aを振動させるための板ばねS及び駆動機構11とから主に構成されている。収容部9aの一方の側面には、垂直バケット6の第1搬送路6aに通じた供給口9cが形成されている。
【0045】
スクリュー9bは、収容部9aの長手方向に延設され、その一端が供給口9cに位置しつつ回転可能とされたもので、当該スクリュー9bの回転動作により、収容部9a内の茶葉が順次供給口9cに搬送され、そこから垂直バケット6に供給されるよう構成されている。また、収容部9aは、駆動機構11及び板ばねSによりフレームFに対して振動し、その振動にて内部の茶葉が供給口9cまで搬送されるよう構成されている。
【0046】
しかして、通常はスクリュー9bを回転駆動させることにより、茶葉を順次垂直バケット6に供給するとともに、収容部9a内の茶葉が少なくなってスクリュー9bによる搬送が困難となった後、駆動機構11を駆動させ、その駆動力と板ばねSの作用により、当該収容部9aを振動させることにより、残存した茶葉を垂直バケット6に供給し得るようになっている。これにより、収容部9aに収容された茶葉を残さず垂直バケット6に供給することができる。
【0047】
次に、上記茶葉の異物選別装置及び周辺手段における作用について説明する。
供給箱9の収容部9aに茶葉を投入しておき、所定量収容した状態にてスクリュー9bを回転駆動させると、当該収容部9a内の茶葉が順次供給口9cに至り、そこから垂直バケット6の第1搬送路6aに供給されて上方へ搬送される。かかる搬送された茶葉は、吐出口6dから吐出され、散茶フィーダ7の第1搬送路7aに至ることとなる。
【0048】
この第1搬送路7aに至った茶葉は、散茶フィーダ7の振動作用により順次搬送され、先端7aaから落下して投入フィーダ8の第1供給路8aに至った後、当該投入フィーダ8の振動作用により順次搬送され、その先端から落下して第1フィーダ1aの上部に供給される。しかして、第1フィーダ1a上を茶葉が流れ、その下部から落下する過程で、ラインスキャンカメラ3による撮像、判定手段10による判定、及びエアノズル4による選別が行われ、エアノズル4にて異物を回収手段B1に吹き飛ばしつつ当該エアノズル4にて落下軌跡が変更されなかった茶葉のみが受け部材5aに至ることとなる。以上で、1回目の選別作業が終了する。
【0049】
そして、受け部材5aに至った茶葉は、案内部6cにより垂直バケット6の第2搬送路6bに案内され、再び上方へ搬送される。かかる搬送された茶葉は、吐出口6eから吐出され、散茶フィーダ7の第2搬送路7bに至ることとなる。この第2搬送路7bに至った茶葉は、散茶フィーダ7の振動作用により順次搬送され、先端7baから落下して投入フィーダ8の第2供給路8bに至った後、当該投入フィーダ8の振動作用により順次搬送され、その先端から落下して第2フィーダ1bの上部に供給される。
【0050】
しかして、第2フィーダ1b上を茶葉が流れ、その下部から落下する過程で、ラインスキャンカメラ3による撮像、判定手段10による判定、及びエアノズル4による選別が行われ、エアノズル4にて落下軌跡が変更されなかった茶葉のみが受け部材5bに至ることとなる。尚、受け部材5bに至った茶葉は、そのまま落下して回収手段B2内に収容されることとなる。以上で、2回目の選別作業が終了する。
【0051】
このように、2つのシュート(第1シュート1a及び第2シュート1b)で茶葉を循環させつつ順次流すことにより、茶葉中の異物を2回選別して取り除くことができるので、茶葉中に混入された異物の選別をより確実に行わせることができる。尚、本実施形態においては、シュートが2つ並設されているが、3つ以上並設して茶葉の選別を3回以上行わせるよう構成してもよい。
【0052】
上記茶葉の異物選別装置によれば、シュートが装置の幅方向に対して複数(2つ)並列に設けられるとともに、当該複数のシュート(第1シュート1a及び第2シュート1b)上に順次茶葉を供給すべく、落下条件を略均一に揃えつつ各シュートの上部に茶葉を落下させ得る投入フィーダ8を具備しているので、装置の高さ寸法を小さく抑えることができるとともに、選別精度を向上させることができる。即ち、同一の投入フィーダ8から並列に設けられた第1シュート1a及び第2シュート1bにそれぞれ茶葉を落下させるので、その落下条件が略均一に揃えられるのである。
【0053】
投入フィーダ8には、各シュート(第1シュート1a及び第2シュート1b)に対応した複数の茶葉の供給路(第1供給路8a及び第2供給路8b)が形成されているので、各シュートにおける落下条件をより確実に略均一に揃えることができる。また、供給手段としての投入フィーダ8は、単一の振動フィーダから成るとともに、当該振動フィーダの搬送面を複数に区画して複数の供給路(第1供給路8a及び第2供給路8b)が形成されるので、複数のシュートに茶葉を落下させる供給手段を1つで兼用させることができ、装置構成の簡素化、製造コスト及びランニングコストの低下、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【0054】
本実施形態においては、搬送手段としての垂直バケット6及び散茶フィーダ7もそれぞれ単一の振動フィーダから成り、その搬送面や搬送部位を複数(2つ)に区画して複数の搬送路が形成されているので、1つの搬送手段にて2つの搬送路を持たせて兼用させることができ、投入フィーダ8と同様、装置構成の簡素化、製造コスト及びランニングコストの低下、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【0055】
更に、投入フィーダ8における複数の茶葉の供給路(第1供給路8a及び第2供給路8b)それぞれに対応し、各供給路に茶葉を搬送するための複数の搬送路(垂直バケット6における第1搬送路6a、第2搬送路6b、及び散茶フィーダ7における第1搬送路7a、第2搬送路7b)が形成された搬送手段(垂直バケット6及び散茶フィーダ7)を具備したので、複数回の選別を行わせる際の投入フィーダ8への茶葉の搬送をより容易且つ確実に行わせることができる。
【0056】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第1発光手段から青色以外の色の光を照射し、その反射光と第2発光手段による背景光との差違を検知し、被撮像物が異物であるか否かを判定手段にて判定するものとしてもよい。即ち、本実施形態においては、青色の光を照射すると赤色蛍光する茶葉の特性を利用しているが、かかる特性を利用しないものであっても、第1発光手段からの反射光と第2発光手段による背景光とに基づき異物を判定するものであれば、如何なる形態のものであってもよい。
【0057】
尚、本実施形態においては、複数回(2回)異物の選別を行っているが、1回のみ或いは3回以上異物の選別を行わせるものとしてもよい。また、本実施形態においては、異物と判定されたものをエアノズルで吹き飛ばしているが、異物と判定されないもの(即ち、茶葉)をエアノズルで吹き飛ばし、シュートによる落下軌跡とは異なる軌跡で落下させることにより、茶葉と異物とを選別し得るものとしてもよい。
【0058】
更に、本実施形態においては、異物選別装置に適用される搬送手段は、投入フィーダ8及び散茶フィーダ7が振動フィーダから成るものであるが、これに代えて他の搬送手段(ベルトコンベア等)としてもよい。同様に、本実施形態に係る垂直バケット6に代えて、茶葉を上方へ搬送し得る汎用的な他の搬送手段としてもよい。また更に、本実施形態においては、供給手段が第1供給路8a及び第2供給路8bを有する単一の投入フィーダ8とされているが、それぞれ別個の供給手段(第1供給路を有する振動フィーダと第2供給路を有する振動フィーダなど)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
撮像手段の撮像範囲であって第2発光手段と被撮像物との間にスリットを設けた茶葉の異物選別装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 シュート
1a 第1シュート
1b 第2シュート
2 検知判定部
3 ラインスキャンカメラ(撮像手段)
4 エアノズル
5a、5b 受け部材
6 垂直バケット(搬送手段)
6a 第1搬送路
6b 第2搬送路
7 散茶フィーダ(搬送手段)
7a 第1搬送路
7b 第2搬送路
8 投入フィーダ(供給手段)
8a 第1供給路
8b 第2供給路
9 供給箱
10 判定手段
11 駆動機構
12 柱体
13 枠体
14 ビニルシート(縦壁面)
15 第1発光手段
16 第2発光手段
17 反射板
18 角度変更手段
19a 遮光部材
19b 遮光部材
19c スリット
20 収容部材
21 ガラス板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定角度傾斜して配設されるとともに、上部から下部に茶葉を流し得るシュートと、
前記シュートの下部から落下する茶葉を撮像し画像を得る撮像手段と、
該撮像手段側から光を照射して被撮像物からの反射光を得る第1発光手段と、
前記撮像手段で撮像する画像の背景側から光を照射する第2発光手段と、
前記撮像手段で得られた画像における前記第1発光手段からの反射光及び第2発光手段からの背景光に基づき、被撮像物が異物であるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段により異物であると判定されたものを吹き飛ばし或いは異物でないと判定されたものを吹き飛ばすことにより、前記シュートによる落下軌跡とは異なる軌跡で落下させて選別し得るエアノズルと、
を備え、前記シュートで茶葉を流すことにより茶葉中に混入した異物を選別して取り除くための茶葉の異物選別装置において、
前記撮像手段の撮像範囲であって前記第2発光手段と被撮像物との間にスリットを設けたことを特徴とする茶葉の異物選別装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、ライン状に撮像範囲が構成されたラインスキャンカメラから成り、当該ライン状の撮像範囲に沿って前記スリットが形成されたことを特徴とする請求項1記載の茶葉の異物選別装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記撮像手段に対して前記第2発光手段の光を遮蔽し得る一対の遮光部材を所定寸法離間させて形成されるとともに、当該遮光部材の離間寸法を変更してスリット幅を任意に調整し得るものとされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の茶葉の異物選別装置。
【請求項4】
前記第1発光手段は青色の光を照射するとともに、当該第1発光手段からの青色の光が茶葉に照射されることにより当該茶葉から赤色蛍光を得るものとされ、且つ、前記判定手段は、前記撮像手段にて撮像される当該赤色蛍光の有無に基づいて被撮像物が異物であるか否かを判定するものとされたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の茶葉の異物選別装置。
【請求項5】
前記第2発光手段からの背景光は、反射板で反射されて前記撮像手段にて撮像されるとともに、当該反射板の角度を変更して背景光レベルを任意に調整し得るものとされたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の茶葉の異物選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−98255(P2011−98255A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252833(P2009−252833)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000104375)カワサキ機工株式会社 (30)
【Fターム(参考)】