説明

茶葉熱風殺青装置

【課題】本発明は、茶葉がこげることがなく、殺青を均一に行なうことができる新規な殺青装置を低価格で提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の茶葉熱風殺青装置の第1手段は、一端から茶葉を投入し、他端から茶葉を取出す処理胴と、該処理胴を回転する駆動手段と、前記処理胴の内側に備えた桟と、前記処理胴の一端より熱風を吹き込む熱風供給手段と、前記処理胴の他端中央に備えた当板とより構成し、前記処理胴内で茶葉を殺青する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉の酸化酵素を不活性化するために、茶葉を殺青する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の茶葉の殺青装置は、緑茶の場合は蒸気による蒸機や、釜炒り茶の場合は茶葉の入った釜を炎であぶった釜炒り機などがあった。後者の場合、特許文献1のような殺青装置が開発されており、これは茶葉が通過する殺青胴を回転させながら、外側を底面よりガスバーナー等で加熱するものである。特に、特許文献1ではその中に過熱蒸気を供給することを特徴としている。
【0003】
特許文献2では殺青機と粉取冷却機が記載されている。このように、従来は、殺青機と冷却機は別々の装置であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−65089号公報
【特許文献2】特開2004−313027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の殺青装置は、殺青胴の外側を底面より加熱し、殺青胴が回転することで殺青胴全体があたためられ、殺青胴の中に投入した茶葉を加熱しながら殺青する構造になっていた。茶葉を殺青するための熱は、殺青胴そのものに接触することで伝わるものであったため、ある程度の熱容量を有している必要があり、殺青胴の板厚は3〜6ミリ程度と比較的厚いものを使用していた。茶葉は、殺青胴の桟に拡散されながら、熱せられた殺青胴と接触して熱伝導が行なわれ、殺青される。このとき、殺青胴内の桟によって茶葉を略均一に拡散しても、小さい葉や切れ葉などの一部は過剰に熱伝導が行なわれ、必要以上に乾燥し、最悪は焦げてしまい、製品にできないものになってしまった。そのような茶葉が製品に混入すると品質を著しく落としてしまうため、次工程以降で分離し、回収することになり、この作業は非常に手間がかかり、またその分離、回収する装置のために余計な設備投資がかかってしまっていた。
【0006】
また、従来は、殺青機と冷却機は別々の装置であったため、殺青機と冷却機の間に搬送装置が必要となり、設置面積や費用などが導入時の負担となっていた。
【0007】
本発明は、茶葉がこげることがなく、殺青を均一に行なうことができる新規な殺青装置を低価格で提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の茶葉熱風殺青装置の第1手段は、一端から茶葉を投入し、他端から茶葉を取出す処理胴と、該処理胴を回転する駆動手段と、前記処理胴の内側に備えた桟と、前記処理胴の一端より熱風を吹き込む熱風供給手段と、前記処理胴の他端中央に備えた当板とより構成し、前記処理胴内で茶葉を殺青する。本発明の第2手段は、前記第1手段において、前記処理胴の両端側の内側には、螺旋形状の桟を設ける。本発明の第3手段は、前記第1または2手段において、前記熱風は約300〜500度とする。
【0009】
本発明の第4手段は、前記第1、2または3手段において、内側に桟を備え、一端から茶葉を投入し、他端から茶葉を取出す通気性処理胴の一端を、前記処理胴の他端に接続して一体となるように設け、前記処理胴内で殺青した茶葉を前記通気性処理胴内で茶葉を冷却する。本発明の第5手段は、前記第4手段において、前記通気性処理胴の一端側の内側には、螺旋形状の桟を設ける。本発明の第6手段は、前記第4または5手段において、前記通気性処理胴の外側には、放熱フィンを設ける。
【発明の効果】
【0010】
本発明の茶葉熱風殺青装置により、茶葉がこげることがなくなる。また、従来の装置と大きさが同じ場合は、処理能力が高くなり、熱効率も良くなる。また、後半に冷却部を設けたことで、従来は殺青機と冷却機の2台必要だったが、この装置一台ですみ、スペース的にもコスト的にも抑えることができた。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は茶葉熱風殺青装置の正面の外観図である(実施例1)。
【図2】図2は茶葉熱風殺青装置の投入側の外観図である(実施例1)。
【図3】図3は茶葉熱風殺青装置の取出側の外観図である(実施例1)。
【図4】図4は茶葉熱風殺青装置の処理胴の外観図である(実施例1)。
【図5】図5は茶葉熱風殺青装置の処理胴の断面図である(実施例1)。
【図6】図6は茶葉熱風殺青装置の正面の外観図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
茶葉を冷却する通気性処理胴を一体として備えた実施例1(図1〜5)と、茶葉を冷却する通気性処理胴を備えない実施例2(図6)を説明する。
【実施例1】
【0013】
処理胴1は、茶葉を一端から投入する投入口3を備えており、この投入口3には、投入装置(本実施例ではスクリューコンベヤ21)によって茶葉を連続的、定量的に投入する。処理胴1は駆動手段5によって回転する。この処理胴1の一端には熱風供給手段として熱風吹込管32が挿入されており、この熱風吹込管32の先端の熱風吹出口33より熱風を吹き込む。この熱風吹込管32へ供給する熱風は、熱風発生器31によって発生している。熱風吹込管32の途中に温度計34を設け、熱風の温度を監視、調整している。熱風吹込管32は、処理胴1の内側と外側で着脱自在且つ摺動自在となっており、処理胴1の外側の熱風吹込管32は固定、処理胴1の内側の熱風吹込管32は留具36により処理胴1に固定され、処理胴1と一緒に回転する。熱風発生器31は、約300〜500度の熱風、好ましくは450度前後の熱風を、15〜40立方メートル/分程度の風量で供給することができるものであり、温度、風量のいずれも調整可能になっていて、茶葉の性状や殺青度合い等に応じて変更する。
【0014】
処理胴1の内側の熱風吹込管32の周りには、螺旋形状の桟7があり、この桟7によって投入した茶葉を移動させる。この桟7の高さは熱風吹込管32に当たらない高さで、できるだけ高くすることにより、熱風吹出口33より吹き込まれた熱風が投入口3より出ないようになっている。処理胴1の他端中央には当板11があり、処理胴1内の他端側にも螺旋形状の桟8を設け、この桟8によって投入した茶葉を移動させる。当板11は留具37によって、処理胴1に固定されている。この桟8の高さは当板11に当たらない高さで、できる限り高くして、螺旋形状の桟8と当板11の間から熱風が逃げないようになっている。この部分の処理胴1のカバー13は、熱気が逃げないようにほぼ密閉式となっている。
【0015】
処理胴1の他端に、処理胴1と一体となるように、通気性処理胴2を設ける。この通気性処理胴2も回転するが、処理胴1と一体となっているため、処理胴1の回転によって回転する。通気性処理胴2への茶葉の投入は、当板11のまわりから処理胴1の桟8によって茶葉が取り出されることにより自動的に行なわれる。この部分には、処理胴1の内側の螺旋形状の桟8と一体になって、通気性処理胴2の内側に螺旋形状の桟9が取り付けられており、通気性処理胴2へ投入された茶葉を移動させている。通気性処理胴2は本実施例ではパンチングメタル10製であるが、茶葉が落ちることなく通気ができれば、金網や、耐熱性のある樹脂製ネット等、他の部材でもよい。また、パンチングメタル10製にしたことで、小さい葉や切れ葉は開孔から落ちて、分離、回収することができる。通気性処理胴2の外側には、放熱フィン12を円周方向に複数本設けてあり、熱気を外部へ排出するものである。この部分の通気性処理胴2のカバー14は通気性になっており、熱気を排出しやすくしている。
【0016】
処理胴1と通気性処理胴2を通じて、処理胴1と通気性処理胴2の内面には長手方向にほぼ直線形状な桟6が複数本取り付けられており、茶葉が処理胴1内や通気性処理胴2内を拡散し、移動するようになっている。螺旋形状の桟7、8、9が取り付けられている部分にも合わせて、取付ける。(この桟6がないと、茶葉は処理胴1または通気性処理胴2の底部に滞留することとなる)
【0017】
本実施例の装置の場合、処理胴1と通気性処理胴2は直径約1000ミリ、全長約5000ミリと比較的大型である。材料は1.5ミリ程度のSUS製で、処理胴1を直接加熱しないので、熱容量の小さい薄板を使用するができる。処理胴1の回転数は最高30rpm程度で、無段階に調整可能とし、茶葉の殺青度合(在胴時間)をコントロール可能となっている。処理胴1および通気性処理胴2の傾斜によっても、在胴時間の調整をすることができる。
【0018】
通気性処理胴2の他端の取出口4の外側には茶葉の取出と排気を兼ねたシュート15があり、茶葉は下方に落ち、排気は上部に抜ける構造になっている。シュート15の上部に排気管16を立てれば十分に排気可能だが、強制排気装置を設置しても良い。また、処理胴1と通気性処理胴2の境目付近にも排気管17を設け、殺青を終えた熱風をいち早く抜く構造にしてある。
【0019】
以上のような装置に茶葉を投入するため、まず、茶葉20をコンベヤ41によりスクリューコンベヤ21へ投入する。スクリューコンベヤ21のスクリュー22で定量的にされ、茶葉20は処理胴1の投入口3から処理胴1内へ入り、螺旋形状の桟7により強制的に移動し、熱風吹出口33より吹出した約300〜500度の熱風、好ましくは450度前後の熱風に当たって、殺青が行なわれる。この時、直線形状の桟6により茶葉20を万遍無く拡散して、均一に熱風に当てることができ、他端方向へ移動させることができる。茶葉の殺青度合いは、処理胴1の回転数や、傾斜角度、熱風温度、熱風量などで調整をする。他端側の螺旋形状の桟8により茶葉20は強制的に処理胴1から取り出され、通気性処理胴2内の螺旋形状の桟9により通気性処理胴2へ強制的に移動される。通気性処理胴2の内部でも、直線形状の桟6により茶葉を万遍無く拡散して茶葉20の熱気を発散し、冷却する。この通気性処理胴2の開孔からは、茶葉の粉や切れ葉などが落下し、分離回収することができる。落下した茶葉の粉や切れ葉は、回収口19を開けて、回収することができる。通気性処理胴2で冷却された茶葉は、通気性処理胴2の取出口4より落下し、シュート15の下部からコンベヤ42上へのり、次の製茶機械(図示しない)へ搬送される。排気は、排気管16、17から良好に排気される。
【実施例2】
【0020】
次は、処理胴1のみの場合の実施例である。本実施例は、実施例1の通気性処理胴を備えていないものであり、殺青のみを行なう。しかし、冷却も必要なため、本装置より取り出された茶葉を他の冷却機へ投入し、冷却を行なうとよい。
【符号の説明】
【0021】
1 処理胴
2 通気性処理胴
3 投入口
4 取出口
5 駆動手段
6 桟
7 (螺旋形状の)桟
8 (螺旋形状の)桟
9 (螺旋形状の)桟
10 パンチングメタル
11 当板
12 放熱フィン
13 カバー
14 カバー
15 シュート
16 排気管
17 排気管
18 機枠
19 回収口
20 茶葉
21 スクリューコンベヤ
22 スクリュー
23 モータ
31 熱風発生器
32 熱風吹込管
33 熱風吹出口
34 温度計
36 (熱風吹込管の)留具
37 (当板の)留具
41 コンベヤ
42 コンベヤ
43 作業者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端から茶葉を投入し、他端から茶葉を取出す処理胴と、該処理胴を回転する駆動手段と、前記処理胴の内側に備えた桟と、前記処理胴の一端より熱風を吹き込む熱風供給手段と、前記処理胴の他端中央に備えた当板とより構成し、前記処理胴内で茶葉を殺青することを特徴とする茶葉熱風殺青装置。
【請求項2】
前記処理胴の両端側の内側には、螺旋形状の桟を設けることを特徴とする請求項1記載の茶葉熱風殺青装置。
【請求項3】
前記熱風は約300〜500度とすることを特徴とする請求項1または2記載の茶葉熱風殺青装置。
【請求項4】
内側に桟を備え、一端から茶葉を投入し、他端から茶葉を取出す通気性処理胴の一端を、前記処理胴の他端に接続して一体となるように設け、前記処理胴内で殺青した茶葉を前記通気性処理胴内で茶葉を冷却することを特徴とする請求項1、2または3記載の茶葉熱風殺青装置。
【請求項5】
前記通気性処理胴の一端側の内側には、螺旋形状の桟を設けることを特徴とする請求項4記載の茶葉熱風殺青装置。
【請求項6】
前記通気性処理胴の外側には、放熱フィンを設けることを特徴とする請求項4または5記載の茶葉熱風殺青装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−34405(P2013−34405A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171231(P2011−171231)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】