説明

草刈機

【課題】刈草を均等に放出することができる草刈機を提供する。
【解決手段】機体に配置された草刈装置と草刈装置から排出された刈草を後方に向けて案内するダクト6とダクト6から排出された刈草を下方の地面に向けて案内するリヤディスチャージカバー54とを備え、リヤディスチャージカバー54の案内部分63,64は上側案内面63と下側案内面64とを有し、ダクト6から排出された刈草を左右方向に分散させる分散部材67を上側案内面63に備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪と後輪との間でかつ機体の下方に配置され、縦軸芯周りに回転駆動される刈刃を有する草刈装置と、前記草刈装置から左右後輪の間を通して斜め上方後方に延出され、前記刈刃の回転によって前記草刈装置から排出された刈草を後方に向けて案内するダクトと、前記ダクトの出口に接続され、前記ダクトの出口から排出された刈草を下方の地面に向けて案内するリヤディスチャージカバーと、を備えた草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
草刈装置の特性、ダクトの形状や姿勢等により、ダクトの出口から排出された刈草は、リヤディスチャージカバーの案内部分における特定の経路を通って地面に放出されることがあり、放出された刈草の左右方向の分布にばらつきが生じることがある。このとき、放出された刈草が地面に筋状に残って、地面の見栄えが悪くなるという不都合が生じることがある。
【0003】
上記不都合を解消すべく、例えば、特許文献1には、以下のようなものが開示されている。リヤディスチャージカバーの後面を、ダクトの出口に対向する案内部分とし、その案内部分は、ダクトの上縁部に接続されて斜め後方下方に延出される側面視で円弧状の上側案内面と、その上側案内面に接続されて該上側案内面よりも下方に向きながら斜め後方下方に延出される側面視で直線状の下側案内面と、を有する。ダクトの出口から排出された刈草を左右方向に分散させる分散部材を、下側案内面に備える。
【0004】
草刈装置からの刈草の多くはダクトの上面に沿って後方に流れるのであり、ダクトの出口から排出された刈草は、上側案内面の案内によってその排出方向を斜め後方下方に変えつつ下側案内面に搬送される。下側案内面に搬送された刈草は、下側案内面の案内によってその排出方向をさらに斜め後方下方に変えつつ下側案内面に備えた分散部材によって左右方向に分散されて、下方の地面に放出される。このように、下側案内面に備えた分散部材によって刈草が左右方向に分散されることによって、上記不都合を解消するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−272235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記構成では、ダクトの上面に沿って後方に流れてきた刈草は、上側案内面の案内によってその排出方向を斜め後方下方に変えることにより、刈草の排出速度が低下することになり、下側案内面に搬送された刈草は、下側案内面の案内によってその排出方向をさらに斜め後方下方に変えることにより、刈草の排出速度が更に低下することになる。
【0007】
このため、下側案内面に搬送された刈草が分散部材に接触しなかったり、分散部材に接触したとしても刈草の排出速度が遅いために、刈草が左右方向に十分に分散しないことがある。その結果、放出された刈草の左右方向の分布のばらつきが十分に解消されない点でいまだ改善の余地があった。
【0008】
本発明の目的は、刈草を均等に放出することができる草刈機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の草刈機は、前輪と後輪との間でかつ機体の下方に配置され、縦軸芯周りに回転駆動される刈刃を有する草刈装置と、前記草刈装置から左右後輪の間を通して斜め上方後方に延出され、前記刈刃の回転によって前記草刈装置から排出された刈草を後方に向けて案内するダクトと、前記ダクトの出口に接続され、前記ダクトの出口から排出された刈草を下方の地面に向けて案内するリヤディスチャージカバーと、を備えたものであって、
その第1特徴構成は、前記リヤディスチャージカバーは、前記ダクトの出口に対向する案内部分を備えると共に、その案内部分は、前記ダクトの上縁部に接続されて斜め後方下方に延出される上側案内面と、その上側案内面に接続されて該上側案内面よりも下方に向きながら斜め後方下方に延出される下側案内面と、を有し、前記ダクトの排出口から排出された刈草を左右方向に分散させる分散部材を、前記上側案内面に、又は前記上側案内面と前記下側案内面とに亘って備えてある点にある。
【0010】
本構成によれば、ダクトの出口から排出された刈草は、上側案内面の案内によってその排出方向を斜め後方下方に変えつつ上側案内面に備えられた分散部材、又は上側案内面と下側案内面とに亘って備えた分散部材によって左右方向に分散されて、下側案内面に搬送される。下側案内面に搬送された刈草は、下側案内面の案内によってその排出方向をさらに斜め後方下方に変えつつ下方の地面に放出される。
【0011】
ダクトの上面に沿って後方に流れてきた刈草は、上側案内面の案内によって刈草の排出速度が低下するものの、下側案内面の案内によって刈草の排出速度が更に低下する前に、刈草が分散部材に接触する。したがって、ダクトの上面に沿って後方に流れてきた刈草は、特許文献1よりも高速で分散部材に接触する。このようにして、刈草が分散部材に十分に接触することになり、刈草が左右方向に十分に分散される。よって、刈草を均等に放出することができ、地面の見栄えが向上する。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記分散部材を複数設けると共に、前記分散部材が、平面視で前記ダクトの左右方向の中心線を挟んで左右対称な位置に位置する点にある。
【0013】
本構成によれば、分散部材を複数設けることによって、刈草が分散部材に接触し易くなり、分散部材によって刈草が左右方向に十分に分散される。よって、刈草を均等に放出することができ、地面の見栄えが向上する。また、分散部材を平面視でダクトの左右方向の中心線を挟んで左右対称な位置に設けることによって、刈草を左右一方側に偏りが生じること無く放出することができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、前記分散部材が、側面視で前記ダクトの上面の後方への上側延長線と下面の後方への下側延長線との間に位置する点にある。
【0015】
本構成によれば、分散部材が、側面視でダクトの上面の後方への上側延長線と下面の後方への下側延長線との間に位置するので、ダクトの出口から排出された刈草が分散部材に接触し易くなり、分散部材によって刈草が左右方向に十分に分散される。よって、刈草を均等に放出することができ、地面の見栄えが向上する。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、前記分散部材が、位置調節可能である点にある。
【0017】
本構成によれば、分散部材が位置調節可能であるので、ダクトの出口から排出された刈草が案内部分に衝突する位置に分散部材を位置調節することにより、ダクトの出口から排出された刈草を確実に分散部材に接触させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】草刈機を示す側面図である。
【図2】草刈装置、ダクト、およびリヤディスチャージカバーを示す平面図である。
【図3】支持枠に対してリヤディスチャージカバーを取り付けた状態を示す縦断面図である。
【図4】支持枠に対してリヤディスチャージカバーを取り付けた状態を示す背面図である。
【図5】リヤディスチャージカバーにおける分散部材付近の縦断面図である。
【図6】支持枠およびリヤディスチャージカバーを示す分解斜視図である。
【図7】別実施形態におけるダクトおよびリヤディスチャージカバーを示す平面図である。
【図8】別実施形態における草刈機を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1,図2に示すように、乗用型草刈機は、運転座席3が装備された運転部、左右の前輪1および左右の後輪2を有する乗用型の自走車50(機体の一例)と、この自走車50の車体フレーム4にリンク機構10を介して連結された草刈装置20と、草刈装置20から排出された刈草を斜め上方後方に向けて案内するダクト53と、ダクト53の出口から排出された刈草を下方の地面Tに向けて案内するリヤディスチャージカバー54と、を備えている。この乗用型草刈機は、左右の前輪1と左右の後輪2とによって自走しながら、草刈装置20によって芝や草を刈り込み、刈草をダクト53を通してリヤディスチャージカバー54から地面Tに放出するように構成してある。
【0020】
(自走車)
図1,図2に示すように、前記自走車50は、車体フレーム4の前部に設けたエンジン5と、このエンジン5の下方に設けた動力伝達機構40と、車体フレーム4の後部に設けた静油圧式無段変速装置81および減速装置82と、を備えている。動力伝達機構40は、伝動ベルト42、入力軸41、動力取出軸43、回転軸46等を備えている。これにより、エンジン5の出力は、その前方から伝動ベルト42を介して入力軸41に入力され、入力軸41の動力は、油圧操作式の作業クラッチ(図示しない)を介して動力取出軸43に伝達され、動力取出軸43の動力は、回転軸46を介して後述する刈刃駆動機構22の入力軸22aに伝達される。
【0021】
また、エンジン5の出力は、その後方から伝動軸83を介して静油圧式無段変速装置81に入力されて変速され、変速された動力は減速装置82に入力されて減速され、減速された動力は、その左右に設けられた伝動ケース84を介して左右の後輪2の夫々に伝達される。
【0022】
(リンク機構)
図1,図2に示すように、前記リンク機構10は、車体フレーム4に上下揺動可能に支持された左右の前揺動リンク11と、車体フレーム4に上下揺動可能に支持された左右の後揺動リンク12と、左右の連動リンク13と、を備えている。
【0023】
図1,図2に示すように、前記左右の前揺動リンク11の先端部は、草刈装置20の前部に位置する前連結部材23に連結されている。左右の後揺動リンク12の先端部は、草刈装置20の後部に位置する後連結部材24に連結されている。右及び左の連動リンク13は、それぞれ右及び左の前揺動リンク11と後揺動リンク12とを連動させている。右及び左の前揺動リンク11の基端部同士を連結する回転支軸14が設けられている。車体フレーム4と左右の前揺動リンク11の一方の基端部とに亘ってリフトシリンダ15が設けられている。
【0024】
リフトシリンダ15によって一方の前揺動リンク11が揺動操作されると、回転支軸14によって左右の前揺動リンク11が一体に揺動し、左右の連動リンク13によって左右の後揺動リンク12も一体に揺動する。これにより、草刈装置20が車体フレーム4に対して上下に揺動操作される。草刈装置20が車体フレーム4に対して上に揺動操作されたときには、刈刃ハウジング21の前後側に支持された各接地ゲージ輪25が地面Tから上昇した上昇非作業状態となり、草刈装置20が車体フレーム4に対して下に揺動操作されたときには、各接地ゲージ輪25が地面Tに接地した下降作業状態となる。
【0025】
(草刈装置)
図1,図2に示すように、前記自走車50の車体フレーム4の前後輪1,2間でかつ自走車50の車体フレーム4の下方には、草刈装置20が配置されている。草刈装置20は、左右の刈刃26と、それら刈刃26を収納する刈刃ハウジング21と、それら刈刃26を駆動する刈刃駆動機構22と、を備えている。刈刃26は、長尺状に構成してあり、その両端の回転方向下手側から斜め上方に延びる折曲部26aを有している。刈刃ハウジング21は、平面視で左右の円部分21a同士が外接する形状に構成してある。左右の円部分21aには、それぞれ刈刃26が収納されている。
【0026】
図1,図2に示すように、前記刈刃駆動機構22は、ギヤハウジング51内に、複数のギヤ部(図示しない)を互いに噛合する状態で左右並列配置して構成してある。刈刃駆動機構22の入力軸22aが、複数のギヤ部のうち中央側に位置する1つのギヤ部に連動するとともに、複数のギヤ部のうち左右両側に位置する2つのギヤ部が、それぞれ左右の縦軸52を介して左右の刈刃26に連動するように構成してある。これにより、刈刃駆動機構22の入力軸22aの動力は、複数のギヤ部を介して左右の縦軸52に伝達され、刈刃26が縦軸52周りに回転して(図2の矢印参照)、芝や草が刈り込まれる。刈刃26の折曲部26aが起こす風によって、刈草がダクト53に排出される。
【0027】
(ダクト)
図1,図2に示すように、前記ダクト53は、刈草排出ダクト27と搬送ダクト6とを備えている。搬送ダクト6は、上面6b、下面6c、左側面6d、および右側面6eを備えて、四角筒状に構成してある。刈刃ハウジング21の上部でかつ左右の円部分21aの間の箇所には、刈草排出ダクト27が斜め上方後方に延出され、その刈草排出ダクト27の後端には、搬送ダクト6が接続されて、その搬送ダクト6が左右後輪2の間を斜め上方後方に沿って延出されている。これにより、刈草排出ダクト27に排出された刈草は、刈草排出ダクト27と搬送ダクト6の内周面に沿って斜め上方後方に案内されて、リヤディスチャージカバー54に排出される。尚、刈草排出ダクト27に排出された刈草の多くは、搬送ダクト6の上面6bに沿って流れることになる。
【0028】
(支持枠)
図1,図3,図4,図6に示すように、車体フレーム4の後端側には、前面開口枠29を介してリヤディスチャージカバー54を着脱可能に支持する支持枠28が連結固定されている。支持枠28の上部の横軸30の左右方向複数箇所には、連結軸31を支持するブラケット32と、連結軸31を支持するとともに該連結軸31を揺動させる油圧シリンダ34の一端を取り付けるブラケット33とが設けられている。尚、詳述しないが、ブラケット32には、集草装置(図示しない)が着脱可能に取り付けられるようになっており、ブラケット32に集草装置を取り付けた状態で油圧シリンダ34を作動させると、集草装置が横軸30回りに回動して昇降操作される。
【0029】
図1,図3,図4,図6に示すように、前記支持枠28は、下辺部の中央に矩形状の切欠35bを有する矩形状の平板部35と、車体フレーム4に固定されるとともに平板部35の前面に取り付けられた左右の前面開口枠29と、平板部35を保持する左右の縦フレーム36と、を備えている。前記平板部35には、その外周部から後側に突出する鍔部35aが形成されている。前記搬送ダクト6の後端には、左右横側に折り曲げ形成された左右の鍔部6aが形成されている。搬送ダクト6の鍔部6aと平板部35の切欠35bとがボルト連結されている。これにより、搬送ダクト6の後端には、矩形状の開口9(出口の一例)が形成されている。
【0030】
図3,図4,図6に示すように、前記平板部35における切欠35bの上側部分には、リヤディスチャージカバー54の上側に係合する上側係合部材55が取り付けられると共に、前記平板部35における切欠35bの左右横側部分の下側には、リヤディスチャージカバー54の下側に係合する左右の下側係合部材56が取り付けられている。上側係合部材55は、平板部35に固定された左右の固定部分55aと、それら固定部分55aの間に位置して平板部35から後方に突出する突出部分55bと、その突出部分55bの左右両端に貫通する状態で取り付けられかつ上方に突出する左右の突出ピン55cと、を備えている。左右の下側係合部材56は、それぞれ下端側が斜め上方に沿うフック部分56aを備えている。
【0031】
(リヤディスチャージカバー)
図1〜図6に示すように、前記リヤディスチャージカバー54は、搬送ダクト6の後端における左縁部に接続されて前後方向から左側に傾斜する方向に延出される四角形の平板状の左側面部61と、搬送ダクト6の後端における右縁部に接続されて前後方向から右側に傾斜する方向に延出される四角形の平板状の右側面部62と、搬送ダクト6の後端における上縁部に接続されて斜め後方下方に延出される台形の平板状の上側案内面63(上側案内面,案内部分の一例)と、その上側案内面63に接続されて該上側案内面63よりも下方に向きながら斜め後方下方に延出される台形の平板状の下側案内面64(下側案内面,案内部分の一例)と、を備えて、下方(地面Tに向かう方向)および前方(開口9に向かう方向)が開口するように構成してある。
【0032】
図3,図4,図6に示すように、前記上側案内面63の上面には、左右の係止穴63aが形成されている。上側案内面63の上面には、取っ手65が取り付けられている。左側面部61の前下部と右側面部62の前下部との間には、丸棒部材66が左右に架け渡されている。丸棒部材66は、その両端部66aがそれぞれ左側面部61および右側面部62から左右横外方側に突出している。
【0033】
リヤディスチャージカバー54を取り付ける際には、作業者は、取っ手65を持ってリヤディスチャージカバー54を降ろし、丸棒部材66の両端部66aをそれぞれ左右のフック部分56aに引っ掛けるとともに、左右の突出ピン55cをそれぞれ係止穴63aに挿入する。リヤディスチャージカバー54を取り外す際には、作業者は、取っ手65を持ってリヤディスチャージカバー54を持ち上げ、丸棒部材66の両端部66aをそれぞれフック部分56aから取り外すとともに、左右の突出ピン55cをそれぞれ係止穴63aから抜き出す。このようにして、支持枠28に対してリヤディスチャージカバー54を着脱する。
【0034】
(分散部材)
図1〜図6に示すように、搬送ダクト6の開口9から排出された刈草を左右方向に分散させる左右の分散部材67が、上側案内面63に取り付けられている。分散部材67は、上側案内面63からリヤディスチャージカバー54の内方側に膨出する三角錐状で機体左右方向での縦断面が下向きに尖った三角形状の膨出部68と、その膨出部68を上側案内面63に取り付ける左右の矩形板状の取付部69と、を備えている。膨出部68は、後側ほど徐々に幅広となる左右の三角板状の側面部分68aを有し、左右の側面部分68aは、それぞれ上側案内面63からリヤディスチャージカバー54の内方側に傾斜している。左右の側面部分68aの間には、接続部分68b(屈曲部分)が形成されている。左右の取付部69の前後端には、それぞれ丸穴69aが形成されている。上側案内面63にも、取付部69の丸穴69aに対応する丸穴63bが形成されている。ボルト70をそれら丸穴69a,63bに挿通させて、分散部材67を上側案内面63に取り付ける。
【0035】
図1,図2に示すように、前記左右の分散部材67が、平面視で搬送ダクト6の左右方向の中心線Xを挟んで左右対称でかつ上側案内面63の下縁部(下側の辺部)に接する位置に配置されている。ここで、左右方向の中心線Xとは、搬送ダクト6の左右方向の中央を通りかつ前後方向に沿う中心線Xのことである。
【0036】
左側の分散部材67における接続部分68bが、平面視で搬送ダクト6の左側面6dの後方への左側延長線L3と中心線Xとの間でかつ左側延長線L3に沿って位置している。右側の分散部材67における接続部分68bが、平面視で搬送ダクト6の右側面6eの後方への右側延長線L4と中心線Xとの間でかつ右側延長線L4に沿って位置している。左右の分散部材67が、側面視で搬送ダクト6の上面6bの後方への上側延長線L1と下面6cの後方への下側延長線L2との間で下方寄りに位置している。
【0037】
(分散部材によって刈草が左右方向に分散される構成)
搬送ダクト6の開口9から排出された刈草は、上側案内面63の案内によってその排出方向を斜め後方下方に変えつつ上側案内面63に備えた分散部材67によって左右方向に分散されて、下側案内面64に搬送される。下側案内面64に搬送された刈草は、下側案内面64の案内によってその排出方向をさらに斜め後方下方に変えつつ下方の地面Tに放出される。
【0038】
上述のように、刈草排出ダクト27に排出された刈草の多くは、搬送ダクト6の上面6bに沿って流れる。搬送ダクト6の上面6bに沿って流れてきた刈草は、上側案内面63の案内によって刈草の排出速度が低下するものの、下側案内面64の案内によって刈草の排出速度が更に低下する前に、刈草が分散部材67の膨出部68に接触する。膨出部68に接触した刈草は、膨出部68の接続部分68bによって左右に分流し、膨出部68の側面部分68aの案内によって左右方向に分散される。このようにして、刈草が膨出部68の接続部分68bおよび側面部分68aに十分に接触することになり、刈草が左右方向に十分に分散される。よって、刈草を均等に放出することができ、地面の見栄えが向上する。
【0039】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、上側案内面63に丸穴63bが形成されている構成を例示したが、このような構成に代えて、図7に示すように、上側案内面63に前後方向に沿う長穴63bが形成されていてもよい。例えば、ボルト70が上側案内面63の長穴63bの一端に接触している場合において、ボルト70を緩めて、ボルト70が上側案内面63の長穴63bの他端に接触するまで分散部材67を前後方向にスライド移動させたのち、ボルト70を締め付ける。このようにして、分散部材67を前後方向(上下方向)に移動可能に構成してもよい。尚、上側案内面63に左右方向あるいは斜め方向に沿う長穴が形成され、分散部材67を左右方向あるいは斜め方向に移動可能に構成してもよい。
【0040】
さらに、上側案内面63に前後の丸穴が形成されていてもよい。例えば、ボルト70を、取付部69の丸穴69aおよび上側案内面63の一方の丸穴に挿通させている場合において、ボルト70を、取付部69の丸穴69aおよび上側案内面63の一方の丸穴から抜き出して、分散部材67を上側案内面63から取り外す。分散部材67を上下方向に移動させ、ボルト70を、取付部69の丸穴69aおよび上側案内面63の他方の丸穴に挿通させて、分散部材67を上側案内面63に取り付ける。このようにして、分散部材67を前後方向(上下方向)に移動可能に構成してもよい。なお、上側案内面63に形成される丸穴の数は2つに限られるものではなく、適宜増減可能である。さらに、上側案内面63に左右方向あるいは斜め方向に並ぶ複数の丸穴が形成され、分散部材67を左右方向あるいは斜め方向に移動可能に構成してもよい。
【0041】
(2)上記実施形態では、膨出部68が三角錐状である構成を例示したが、これに限られるものでは無く、膨出部68が多角錐状であったり、断面形状が円弧状の曲面状であったり、先細り状であってもよい。
【0042】
(3)上記実施形態では、2つの分散部材67を左右方向の中心線Xを挟んで左右対称に配置する構成を例示したが、分散部材67の数はこれに限られるものではない。
【0043】
(4)上記実施形態では、分散部材67が、上側案内面63に取り付けられる構成を例示したが、図8に示すように、分散部材67が、上側案内面63および下側案内面64に亘って取り付けられてもよい。
【0044】
(5)上記実施形態では、上側案内面63が側面視で平板状であり、下側案内面64が側面視で平板状である構成を例示したが、これに限られるものでは無く、上側案内面63が側面視で曲面板状であり、下側案内面64が側面視で曲面板状であったり、上側案内面63が側面視で曲面板状であり、下側案内面64が側面視で平板状であったり、上側案内面63が側面視で平板状であり、下側案内面64が側面視で曲面板状であってもよい。さらに、上側案内面63が複数の案内面の部分から構成され、下側案内面64が複数の案内面の部分から構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、機体における前輪と後輪との間でかつ機体の下方に配置され、縦軸芯周りに回転駆動される刈刃を有する草刈装置を備える各種の草刈機に適応可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 前輪
2 後輪
6b 上面
6c 下面
9 開口
20 草刈装置
26 刈刃
6,27,53 ダクト
54 リヤディスチャージカバー
63,64 案内部分
63 上側案内面
64 下側案内面
67 分散部材
L1 上側延長線
L2 下側延長線
T 地面
X 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と後輪との間でかつ機体の下方に配置され、縦軸芯周りに回転駆動される刈刃を有する草刈装置と、
前記草刈装置から左右後輪の間を通して斜め上方後方に延出され、前記刈刃の回転によって前記草刈装置から排出された刈草を後方に向けて案内するダクトと、
前記ダクトの出口に接続され、前記ダクトの出口から排出された刈草を下方の地面に向けて案内するリヤディスチャージカバーと、を備えた草刈機であって、
前記リヤディスチャージカバーは、前記ダクトの出口に対向する案内部分を備えると共に、その案内部分は、前記ダクトの上縁部に接続されて斜め後方下方に延出される上側案内面と、その上側案内面に接続されて該上側案内面よりも下方に向きながら斜め後方下方に延出される下側案内面と、を有し、
前記ダクトの出口から排出された刈草を左右方向に分散させる分散部材を、前記上側案内面に、又は前記上側案内面と前記下側案内面とに亘って備えてある草刈機。
【請求項2】
前記分散部材を複数設けると共に、前記分散部材が、平面視で前記ダクトの左右方向の中心線を挟んで左右対称な位置に位置する請求項1に記載の草刈機。
【請求項3】
前記分散部材が、側面視で前記ダクトの上面の後方への上側延長線と下面の後方への下側延長線との間に位置する請求項1又は2に記載の草刈機。
【請求項4】
前記分散部材が、位置調節可能である請求項1〜3のいずれか1項に記載の草刈機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−139668(P2011−139668A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2118(P2010−2118)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】