説明

荷受台昇降装置

【課題】 荷受台を用いた作業中においても灯火器を容易に視認することができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】 基部荷受台51と、この基部荷受台51に折り畳み可能に接続された先部荷受台52とを備えており、車体の後方下部に格納される荷受台昇降装置L。前記先部荷受台52が、車体の幅方向について前記基部荷受台51よりも幅狭である。前記基部荷受台51における前記先部荷受台52の車幅方向外側部分には、荷受台最上昇位置にて、前記車体に搭載される荷箱1の床面よりも上方に突出する規制部60が設けられている。灯火器13が、前記基部荷受台51における先部荷受台52の車幅方向外側に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷受台昇降装置に関する。さらに詳しくは、貨物自動車の後部に装着され、荷物の積載や荷下ろしに用いられる荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車における荷物の積み降ろしを省力化するために、当該貨物自動車の荷台の後端の下部に床下格納式の荷受台昇降装置を取り付けることが行われており、取付車両のサイズに応じて2枚折れタイプの荷受台や3枚折れタイプの荷受台が適宜採用されている。
【0003】
この荷受台は、車体側の基部荷受台と、この基部荷受台に対して折畳自在に接続される先部荷受台とで構成されており、その幅(車体幅方向の寸法)は、車両に搭載される荷箱の幅と略同一にしたものが多いが、荷受台昇降中に作業員がカートを確実に保持できるように、荷受台の幅を荷箱の幅よりも狭くしたものもある。
【0004】
後者のように荷受台の幅を荷箱の幅よりも狭くすると、荷箱から荷受台へカートを移動させる際に当該カートが荷受台の幅方向外側部分において落下する惧れがあることから、かかるカートの落下を防止するために、基部荷受台の幅を荷箱両端まで延長するとともに、この延長部分を上方に突出させた規制部を設けることが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
一方、貨物自動車を含む車両では、後方を走行する車両に注意を促すために、車両後端に尾灯、制動灯、方向指示器、後退灯などの灯火器を取り付ける必要があるが、その幅方向の位置は、法律の規制により、荷箱両端より突出しない位置に制限される。
【0006】
【特許文献1】特開2003−226187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の荷受台昇降装置では、規制部を設けるために基部荷受台を荷箱の一端から他端に亘って配設していることから、荷受台を最上昇位置で停止させて作業を行っていると、前記基部荷受台の両端部分に邪魔されて灯火器が見辛い場合がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、荷受台を用いた作業中においても灯火器を容易に視認することができる荷受台昇降装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の荷受台昇降装置は、基部荷受台と、この基部荷受台に折り畳み可能に接続された先部荷受台とを備えており、車体の後方下部に格納される荷受台昇降装置であって、
前記先部荷受台が、車体の幅方向について前記基部荷受台よりも幅狭であり、
前記基部荷受台における前記先部荷受台の車幅方向外側部分には、荷受台最上昇位置にて、前記車体に搭載される荷箱の床面よりも上方に突出する規制部が設けられており、且つ
灯火器が、前記基部荷受台における先部荷受台の車幅方向外側に配設されていることを特徴としている。
【0010】
本発明の荷受台昇降装置では、灯火器が、基部荷受台における先部荷受台の車幅方向外側に配設されているので、走行中はもちろんのこと、荷受台を用いた作業中においても、通行人等が前記灯火器を容易に視認することができる。そして、前記灯火器は、荷受台の展開・折畳時には止まったままの部材である基部荷受台に設置されていることから、当該荷受台の展開・折畳動作により灯火器用配線が断線することがない。
【0011】
前記灯火器の少なくとも一部が、荷受台最上昇位置にて、前記荷箱の床面よりも上方に突出するように前記基部荷受台に配設されているのが好ましい。この構成によれば、灯火器に、カートの落下を防止する規制部としての機能を兼用させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の荷受台昇降装置によれば、荷受台を用いた作業中においても灯火器を容易に視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の荷受台昇降装置の実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る荷受台昇降装置であって、車両後方下部に格納された状態を示す側面説明図であり、図2は同じく荷受台が起立した状態を示す側面説明図であり、図3は同じく荷受台が完全に展開されて地面に沿った状態を示す側面説明図である。
【0014】
図1〜3において、1は車両のシャーシフレーム2上に搭載された荷箱であり、この荷箱1の後端下方に格納式の荷受台昇降装置Lが取り付けられている。前記荷箱1の下面には、当該荷箱1を補強するためのサブフレーム40が配設されており、このサブフレーム40が前記シャーシフレーム2上に重なるようにして配設されている。
荷受台昇降装置Lは、シャーシフレーム2に配設された取付部材3と、この取付部材3にリンク機構4を介して接続された荷受台5とを備えている。なお、30は、荷受台昇降装置Lの操作スイッチや制御回路などが収納されたスイッチボックスであり、車体の左側にのみ設けられている。このスイッチボックス30は、後述する第2支持板32に固定されており、車両幅方向外側に最も突出している。
【0015】
取付部材3は、第1支持板31及び第2支持板32からなっている。後述するガイドレール6に隣接して配置された第1支持板31は、パッドなどの摺動部材(図示せず)を介して当該ガイドレール6と係合しており、ガイドレール6に沿ってスライド可能である。車体の左右(両側面)にそれぞれ設けられる第1支持板31は、車体の幅方向に水平配置された矩形筒状の連結パイプ33の外周部に溶接されている。また、第2支持板32は、連結パイプ33に外挿され、第1支持板31より車体幅方向外側の所定位置で連結パイプ33の外周に溶接されている。従って、左右一対の第1支持板31及び第2支持板32並びに連結パイプ33は、構造的に一体の取付部材3を構成している。
【0016】
前記シャーシフレーム2の後端部には、外向きコの字状のガイドレール6が車両前後方向に配設されており、前述したように、前記取付部材3は、このガイドレール6に沿って車両前後方向にスライド自在に設けられている。より詳細には、後輪(図示せず)よりも後方の、シャーシフレーム2の両側面の各々には、荷受台昇降装置Lを車体に固定するためのアングル状の固定部材8が垂直に取り付けられており、この固定部材8に対して、I型鋼からなるガイドレール6が水平に固定されている。前記取付部材3を油圧シリンダ(スライドシリンダ)41の伸縮動作によりガイドレール6に沿ってスライドさせることで、前記荷受台5を荷箱1の床面下方において前後にスライド可能に構成している。
【0017】
前記リンク機構4は、上アーム9と、この上アーム9とともに平行リンクを構成する下アーム10とで主に構成されており、両アーム9、10の基端部は前記取付部材3側に回動自在に枢支されるとともに、上アーム9と取付部材3とに連結された昇降手段としての油圧シリンダ(リフトシリンダ)11により上下に回動自在に構成されている。
前記ガイドレール6、取付部材3、リンク機構4及びリフトシリンダ11の各部材は、シャーシフレーム2の両側に左右一対設けられており、左右の取付部材3は同調してガイドレール6をスライドするように前記連結パイプ33により連結されている。
【0018】
前記荷受台5は、基部荷受台51と先部荷受台52とで構成されており、この先部荷受台52は、さらに前記基部荷受台51側の中間部荷受台52aと、展開時に最も先端側に位置する最先部荷受台52bとを備えている。中間部荷受台52aは、前記基部荷受台51に対してヒンジを介して当該基部荷受台51の上方に折り畳み自在に設けられるとともに、最先部荷受台52bは、前記中間部荷受台52aに対してヒンジを介して折り畳み自在(格納状態では中間部荷受台52aの下方)に設けられている。すなわち、本実施の形態における荷受台5は、3つ折りタイプの荷受台であり、図1に示される格納状態では全体が3つ折りにされた状態になっている。
【0019】
そして、荷受台5における基部荷受台51に、前記上アーム9及び下アーム10の各先端部が枢支されている。より詳細には、基部荷受台51の上部に上アーム9の先端部が枢支されるとともに、当該基部荷受台51の下部に下アーム10の先端部が枢支されている。
【0020】
このように構成された荷受台昇降装置Lでは、スライドシリンダ41の伸縮動作により、荷受台5を折り畳んだ状態で取付部材3をガイドレール6の前端部にスライドさせて格納する格納状態(図1参照)と、図示は省略しているが、前記取付部材3をガイドレール6の後端部にスライドさせた状態とを実現させることができる。かかるスライドシリンダ41は、その伸縮ロッドが固定側である荷箱1に連結されており、一方、シリンダ本体の基端部がスライド側である荷受台5側に連結されている。そして、スライドシリンダ41は、図1に示される格納位置では縮退状態になっており、伸長作動させることにより荷受台5側をガイドレール6後端部にスライドさせた状態にする。
【0021】
そして、取付部材3をガイドレール6の後端部にスライドさせた状態において、リフトシリンダ11を収縮させることで上アーム9及び下アーム10が時計廻りの方向に回動して、図2に示される起立状態になる。操作者は、この状態から、手動で荷受台5をさらに起こして回動させ、地面に倒伏させる。さらに、ロック機構(図示せず)を解除しながら最先部荷受台52bの先端部に手をかけて、これを展開することにより所定の大きさの荷受面が構成され、荷物を載せ得る状態となる。なお、図3において、20、21はゴムなどの弾性材料からなる当て板であり、地面と荷受台5との間にあってクッションとなるとともに、荷受台5を安定させる役割を果たす。また、22は、中間部荷受台52a及び最先部荷受台52bを補強するための補強部材である。
【0022】
荷受台5に荷物を載せ終わったら、リフトシリンダ11を伸長させ、荷受台5を水平に保ったまま荷箱1の床面と一致する高さまで上昇せる。
【0023】
本実施の形態の荷受台昇降装置Lでは、前記先部荷受台52を、車体の幅方向について前記基部荷受台51よりも幅狭とするとともに、当該基部荷受台51における前記先部荷受台52の車幅方向外側部分に、荷受台最上昇位置にて、前記荷箱1の床面よりも上方に突出する規制部60が設けられている。そして、この規制部60を構成する基部荷受台51の両端部分に、尾灯及び制動灯13a、方向指示器13b、後退灯13cからなる灯火器13が配設されている。より詳細には、展開状態における基部荷受台51の後端面51aと、灯火器13の表示面とが面一になるように当該灯火器13が基部荷受台51の両端部分に埋設されている。
【0024】
このように、灯火器13を、基部荷受台51における先部荷受台52の車幅方向外側に配設することで、走行中はもちろんのこと、荷受台を用いた作業中においても、通行人等が前記灯火器13を容易に視認することができる。そして、前記灯火器13は、荷受台5の展開・折畳時には止まったままの部材である基部荷受台51に設置されていることから、当該荷受台5の展開・折畳動作により灯火器用配線が断線することがない。なお、図4及び後述する図5において、61は、最先部荷受台52bの先部に起伏可能に設けられたストッパであり、荷受台5の昇降中は荷受面より突出させて荷受台上の荷物が当該荷受台5から落下するのを防止するようにしている。
【0025】
図5は、本発明の荷受台昇降装置の他の実施の形態における灯火器及び荷受台の斜視説明図であり、この実施の形態では、先部荷受台52の幅方向外側に位置する基部荷受台51の上面に灯火器13が配設されている。この灯火器13は、荷受台最上昇位置にて、荷箱1の床面よりも上方に突出するように前記基部荷受台51に配設されていることから、図4に示されるような規制部60としての機能も兼ね備えている。なお、灯火器13は、本実施の形態のように全体を荷箱1の床面よりも上方に突出させる以外に、例えば、基部荷受台51の両端付近に上面が前記床面よりも低い段差部(図示せず)を形成し、この段差部に灯火器13を配設するなどして、その一部を前記床面より突出させることもできる。また、灯火器13の幅と、規制部が必要となる部分(先部荷受台52の側縁から荷箱の端までの部分)の幅が略同一であるが、灯火器13の幅を前記規制部が必要となる部分の幅よりも狭くすることもできる。その際、灯火器13と同じ高さの突出部を当該灯火器13に隣接するように基部荷受台51に設けることにより、必要な幅を有する規制部を構成することができる。この場合、灯火器13は規制部の一部を構成することになる。
【0026】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の態様を採用することができる。例えば、荷受台は3つ折りタイプのものに限らず、2つ折りタイプのものであってもよい。また、灯火器の形状や構造についても、特に限定されるものではなく、車両において採用されているものを用いることができる。
【0027】
さらに、荷受台を格納及び展開するためのリンク機構、スライド手段、及び昇降手段などの駆動及び補助機構についても、公知の構成を適宜組み合わせて用いることができ、本発明において、特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の荷受台昇降装置の一実施の形態であって、車両後方下部に格納された状態を示す側面説明図である。
【図2】図1に示される荷受台昇降装置において、荷受台が起立した状態を示す側面説明図である。
【図3】図1に示される荷受台昇降装置において、荷受台が完全に展開されて地面に沿った状態を示す側面説明図である。
【図4】図1に示される荷受台昇降装置における灯火器及び荷受台の斜視説明図である。
【図5】本発明の荷受台昇降装置の他の実施の形態における灯火器及び荷受台の斜視説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 荷箱
2 シャーシフレーム
3 取付部材
4 リンク機構
5 荷受台
6 ガイドレール
9 上アーム
10 下アーム
11 リフトシリンダ
13 灯火器
41 スライドシリンダ
51 基部荷受台
52 先部荷受台
52a 中間部荷受台
52b 最先部荷受台
L 荷受台昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部荷受台と、この基部荷受台に折り畳み可能に接続された先部荷受台とを備えており、車体の後方下部に格納される荷受台昇降装置であって、
前記先部荷受台が、車体の幅方向について前記基部荷受台よりも幅狭であり、
前記基部荷受台における前記先部荷受台の車幅方向外側部分には、荷受台最上昇位置にて、前記車体に搭載される荷箱の床面よりも上方に突出する規制部が設けられており、且つ
灯火器が、前記基部荷受台における先部荷受台の車幅方向外側に配設されていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記灯火器の少なくとも一部が、荷受台最上昇位置にて、前記荷箱の床面よりも上方に突出するように前記基部荷受台に配設されている請求項1に記載の荷受台昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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