荷降し装置及び荷降し方法
【課題】大きな占有スペースを要することなく、荷台からの荷降し作業を効率的に行うことを可能にする荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法を提供する。
【解決手段】荷台から荷物3(18)を引き出して降ろすための荷降し装置Aであって、荷台から荷物3を引き出すとともにこの荷物3が上載される盤状のステージ部1と、ステージ部1に一端が回動可能に繋げられ、ステージ部1を支持する脚部2と、ステージ部1上に設けられ、荷台からステージ部1上に荷物3を引き出すための引出機構4とを備えている。
【解決手段】荷台から荷物3(18)を引き出して降ろすための荷降し装置Aであって、荷台から荷物3を引き出すとともにこの荷物3が上載される盤状のステージ部1と、ステージ部1に一端が回動可能に繋げられ、ステージ部1を支持する脚部2と、ステージ部1上に設けられ、荷台からステージ部1上に荷物3を引き出すための引出機構4とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台から荷物を降ろすための荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、海外調達の外装カーテンウォール資材(荷物)は、複数の外装カーテンウォールをラックに収納した状態で40ftコンテナなどに積み込まれ、トレーラー(コンテナ車両)で現場に搬入される。そして、このように搬入した外装カーテンウォール資材をコンテナ(荷台)から降ろす荷降し作業時には、コンテナの扉を開いてラックにワイヤーロープなどを取り付け、外装カーテンウォール資材をラックごとコンテナから引き出すようにしている。
【0003】
また、従来では、コンテナの荷台レベルに高さを合わせた置き構台を予め現場内に設置(構築)しておき、搬入とともにコンテナ(コンテナ車両)を置き構台に横付けし、置き構台上に配置した大型フォークリフトでワイヤーロープを引っ張ってコンテナから外装カーテンウォール資材を置き構台上に引き出し、置き構台上に引き出したラックを地上に配置した大型フォークリフトで所定位置に搬送するようにしている。あるいは、地上に配置した2台のフォークリフトを使用し、一方のフォークリフトでワイヤーロープを引っ張ってコンテナの開口部側(扉側)まで外装カーテンウォール資材を引き出し、他方のフォークリフトでコンテナの開口部側まで引き出した外装カーテンウォール資材をラックごと持ち上げるとともにコンテナの外に搬出するようにしている。
【0004】
一方、特許文献1には、運搬台車をトラックなどの荷台や高所棚に移載するための移載用昇降台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−179051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、置き構台を用いて荷降しを行う場合には、この置き構台を設置するための大きな占有スペースが必要になり、また、置き構台上に配置するフォークリフトと置き構台上から外装カーテンウォール資材を搬送するフォークリフトの2台のフォークリフトが必要になる。このため、多くの機材、労務、作業スペースを要するという問題がある。
【0007】
また、置き構台を用いることなく、一方のフォークリフトで外装カーテンウォール資材(ラック)をコンテナの開口部側まで引き出し、他方のフォークリフトでコンテナから搬出する場合においても、2台のフォークリフトを用いるため、やはり多くの機材、労務、作業スペースを要する。さらに、この場合には、特に、荷台と高さが異なる地上に配置した一方のフォークリフトでワイヤーロープを引っ張って外装カーテンウォール資材をコンテナの開口部側まで引き出すことになるため、安定した状態で外装カーテンウォール資材を引き出すことが難しく、効率的に荷降し作業が行えないという問題もある。
【0008】
なお、特許文献1に開示された移載用昇降台車は、運搬台車をトラックなどの荷台や高所棚に移載するためのものであるため、コンテナから外装カーテンウォール資材を荷降しするような場合には適用できない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、大きな占有スペースを要することなく、荷台からの荷降し作業を効率的に行うことを可能にする荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の荷降し装置は、荷台から荷物を引き出して降ろすための荷降し装置であって、前記荷台から前記荷物を引き出すとともに該荷物が上載される盤状のステージ部と、前記ステージ部に一端が回動可能に繋げられ、前記ステージ部を支持する脚部と、前記ステージ部上に設けられ、前記荷台から前記ステージ部上に前記荷物を引き出すための引出機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明においては、脚部を回動してこの脚部をステージ部に直交するように配置する(脚部をステージ部支持姿勢にする)ことにより、ステージ部を脚部で支持させることが可能になる。このように脚部でステージ部を支持させるとともにステージ部を荷台に横付して荷降し装置を所定位置に配置することによって、引出機構で荷台から荷物をステージ部上に引き出すことが可能になる。また、このとき、ステージ部が荷台の高さに合うように脚部の長さを調整することにより、確実且つ効率的に荷台から荷物をステージ部上に引き出すことが可能になる。そして、このように荷台からステージ部上に荷物を引き出すことによって、引き出した荷物をフォークリフトなどの搬送装置で搬送することが可能になり、効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0013】
また、脚部がステージ部に回動可能に繋げられているため、荷降し作業を終えた後に、脚部をステージ部側に回動して折りたたむことで(脚部を初期姿勢に戻すことで)、荷降し装置をコンパクトにすることができる。これにより、保管などに要するスペースを省スペース化することができ、また、移動などの際の取扱い性をよくすることができる。
【0014】
また、本発明の荷降し装置においては、前記ステージ部が、前記脚部を回動して折りたたむとともに該脚部を内部に格納するように形成されていることが望ましい。
【0015】
この発明においては、脚部をステージ部側に回動して折りたたんだ状態で(初期姿勢で)、この脚部がステージ部の内部に格納されるため、荷降し装置をさらにコンパクトにすることが可能になり、より確実に省スペース化、取扱い性の向上を図ることが可能になる。
【0016】
さらに、本発明の荷降し装置においては、前記引出機構が前記ステージ部に着脱可能に設置されていることがより望ましい。
【0017】
この発明においては、引出機構とステージ部及び脚部とを分離することが可能になるため、荷降し装置のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の荷降し装置においては、前記脚部が他端側に伸縮自在な高さ調整機構を備えていることがさらに望ましい。
【0019】
この発明においては、ジャッキベースなどの高さ調整機構を脚部の他端側に備えることで、容易に脚部の長さ、ひいてはステージ部の高さ位置を調整することが可能になる。これにより、荷台の高さが異なる場合であっても容易にステージ部の高さ位置を荷台に合わせることができる。
【0020】
さらに、本発明の荷降し装置においては、前記脚部が他端側に車輪を備えていることが望ましい。
【0021】
この発明においては、脚部の他端側に車輪が設けられていることにより、脚部を回動して、初期姿勢からステージ部支持姿勢(脚部をステージ部に直交するように配置した状態)にする脚部の引き出し操作時や、ステージ部支持姿勢から初期姿勢にする脚部の折りたたみ操作時に、この車輪を接地させることで、円滑且つ容易に脚部を回動して引き出し操作や折りたたみ操作を行うことが可能になる。これにより、荷降し装置の取扱い性を向上させることが可能になる。
【0022】
また、本発明の荷降し装置においては、前記ステージ部あるいは前記脚部の一端側に、前記脚部を回動して折りたたんだ状態で接地される車輪を備えていることがより望ましい。
【0023】
この発明においては、ステージ部あるいは脚部の一端側に車輪が設けられていることにより、脚部を回動して折りたたんだ状態(初期姿勢)でこの車輪を接地させて、容易に初期姿勢の荷降し装置を移動させることが可能になる。これにより、荷降し装置の所定位置への配置、所定位置からの退避を容易に行うことができ、より効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0024】
さらに、本発明の荷降し装置においては、前記ステージ部が複数に分割して形成されるとともに、隣り合う分割ステージ部を回動可能に繋げて形成されていてもよい。
【0025】
この発明においては、複数の分割ステージ部が重なり合うように回動することで、さらに荷降し装置をコンパクトにすることが可能になる。
【0026】
本発明の荷降し方法は、上記のいずれかの荷降し装置を用い、荷台から荷物を引き出して降ろす方法であって、前記脚部で前記ステージ部を支持させるとともに前記ステージ部が前記荷台に横付けされるように前記荷降し装置を設置し、前記引出機構で前記荷台から前記荷物を前記ステージ部上に引き出し、前記ステージ部上に引き出した前記荷物を搬送装置で前記ステージ部上から搬送することを特徴とする。
【0027】
この発明においては、上記の荷降し装置の作用効果を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法においては、脚部をステージ部支持姿勢にすることにより、ステージ部を脚部で支持させることができ、このように脚部でステージ部を支持させるとともにステージ部が荷台に横付けされるように荷降し装置を配置することによって、引出機構で荷台から荷物をステージ部上に引き出すことが可能になる。そして、このように荷台からステージ部上に荷物を引き出すことによって、引き出した荷物をフォークリフトなどの搬送装置で搬送することが可能になり、効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0029】
また、脚部を初期姿勢に戻すことで荷降し装置をコンパクトにすることができる。これにより、保管などに要するスペースを省スペース化することができ、また、移動などの際の取扱い性をよくすることができる。
【0030】
そして、このような荷降し装置(及び荷降し方法)を、例えばコンテナからの外装カーテンウォール資材の荷降し作業に用いた場合には、1台のフォークリフトで荷降し作業を行うことが可能になり、従来のように置き構台を設置したり、2台のフォークリフトを使用する必要がなく、すなわち、多くの機材、労務、作業スペースを要することなく、確実に効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る荷降し装置を示す図である。
【図2】図1のX1−X1線矢視図である。
【図3】図1のX2−X2線矢視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の脚部を示す拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る荷降し装置において、ステージ部に格納した状態(初期姿勢)の脚部を示す拡大図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る荷降し装置において、ステージ部から引き出した脚部(ステージ部支持姿勢の脚部)を固定ピンで固定した状態を示す拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る荷降し装置において、脚部をステージ部に格納した状態(初期姿勢の状態)を示す図である。
【図8】図7のX1−X1線矢視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る荷降し装置をコンテナ車両に横付けして荷降し作業を行っている状態を示す図である。
【図10】図9のX1−X1線矢視図である。
【図11】初期姿勢に戻した荷降し装置の上に車両が通行している状態を示す図である。
【図12】初期姿勢に戻した荷降し装置の上にフォークリフトを停車させた状態を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第1変形例)を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第1変形例)を示す図である。
【図15】図14のX1−X1線矢視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第2変形例)を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第2変形例)を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第3変形例)を示す図である。
【図19】図18のX1−X1線矢視図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第3変形例)を示す図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第3変形例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1から図12を参照し、本発明の一実施形態に係る荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法について説明する。本実施形態は、コンテナから外装カーテンウォール資材(荷物)を降ろす際に用いる荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法に関するものである。
【0033】
本実施形態の荷降し装置Aは、図1から図3に示すように、矩形盤状のステージ部1と、ステージ部1の長手方向T1前方側と後方側の両側側にそれぞれ配設されて、ステージ部1を支持する脚部2と、ステージ部1上に設けられてコンテナから外装カーテンウォール資材3をステージ部1上に引き出すための引出機構4とを備えて構成されている。
【0034】
本実施形態において、ステージ部1は、例えばH形鋼などの複数の縦材5と横材6を枠状に組み付け、その上に鋼板などの平板7を一体に取り付けて形成されている。また、脚部2は、一端をステージ部1の短手方向T2に延びる回動軸回りに回動可能にステージ部1に繋げて設けられた棒状の脚部本体8と、脚部本体8の他端に設けられたジャッキベース(高さ調整機構)9及びキャスター(車輪)10と、一端を脚部本体8に、他端をステージ部1にそれぞれ、ステージ部1の短手方向T2に延びる回動軸回りに回動可能に繋げて配設された連結固定部材11とを備えて構成されている。
【0035】
また、脚部2の連結固定部材11は、図1、図4から図6に示すように、脚部本体8に繋がる一端とステージ部1に繋がる他端の間で折り曲げ可能に形成されている。すなわち、連結固定部材11は、一端側の一方の固定部材片11aと他端側の他方の固定部材片11bとで構成され、両固定部材片11a、11bの端部同士を回動可能に繋げて構成されている。さらに、一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bの各端部側にはピン挿通孔11cが形成されており、一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bが一直線状に配されて連通した互いのピン挿通孔11cに固定ピン12を挿通することにより、連結固定部材11が一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bを一直線状に配した状態で固定される。
【0036】
また、ステージ部1の前方側と後方側にそれぞれ設けられた一対の脚部2は、図3に示すように、脚部本体8同士が連結部材13を介して繋げられており、一方の脚部2(一方の脚部本体8)を回動させると、連結部材13を介して他方の脚部2(他方の脚部本体8)も回動するように構成されている。
【0037】
そして、このように構成した脚部2は、図4、図5、図7及び図8に示すように、脚部本体8をステージ部1側に回動させると(ステージ部1に平行するまで回動させると)、連結固定部材11が折れ曲がり、これとともにステージ部1の縦材5と横材6で囲まれたステージ部1の内部(格納空間)に格納される。このため、本実施形態の荷降し装置Aにおいては、脚部2を回動可能にステージ部1に繋げることに加えて、脚部2を回動してステージ部1の内部に脚部2を格納することによって(初期姿勢にすることによって)、確実に荷降し装置Aがコンパクトになる。
【0038】
一方、ステージ部1の内部からステージ部1の下方に脚部2を引き出し、連結固定部材11の一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bのピン挿通孔11cが連通するまで回動させると、図1、図3、図4に示すように、脚部本体8がステージ部1に直交した状態(ステージ部支持姿勢)となり、連通したピン挿通孔11cに固定ピン12を挿通することによって脚部2がこのステージ部支持姿勢で固定保持される。そして、このようにステージ部支持姿勢で保持した脚部2のジャッキベース9あるいはキャスター10を接地させることにより、脚部2によってステージ部1が上方に配されて安定した状態で支持される。また、このとき、図4に示すように、ジャッキベース9を回転してこのジャッキベース9を伸縮させることにより、ステージ部1の高さの調整が行える。
【0039】
さらに、本実施形態の荷降し装置Aにおいては、図4の破線で示すように、脚部2の他端側にキャスター10が設けられているため、脚部2を回動して、初期姿勢からステージ部支持姿勢にする脚部2の引き出し操作時や、ステージ部支持姿勢から初期姿勢にする脚部2の折りたたみ操作時に、このキャスター10が接地することで、円滑且つ容易に脚部2を回動して引き出し操作や折りたたみ操作が行える。
【0040】
一方、引出機構4は、ウィンチやチルホールなどであり、図1及び図2に示すように、ステージ部1上の後方側且つ短手方向T2略中央に着脱可能に取り付けて設けられている。
【0041】
ついで、上記構成からなる荷降し装置Aを用い、コンテナから外装カーテンウォール資材(荷物)3を引き出して荷降しする方法について説明するとともに、本実施形態の荷降し装置A及び荷降し方法の作用及び効果について説明する。
【0042】
本実施形態の荷降し装置Aを用いて外装カーテンウォール資材3の荷降し作業を行う際には、図4、図9及び図10に示すように、脚部2がステージ部1の内部に格納した初期姿勢の荷降し装置Aを、外装カーテンウォール資材3を積み込んだコンテナ15(コンテナ車両16)の後方開口部に前方側を近接させて横付けする。そして、この初期姿勢の荷降し装置Aをフォークリフトで持ち上げ、脚部2を回動してステージ部1の内部からステージ部1の下方に引き出すとともに、連結固定部材11の一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bのピン挿通孔11cに固定ピン12を挿通して固定し、脚部2をステージ部支持姿勢にする。このとき、脚部2の回動とともにキャスター10が接地することで、円滑且つ容易に脚部2の引き出し操作が行える。
【0043】
そして、このように荷降し装置Aを所定位置に配置し、脚部2をステージ部支持姿勢にした段階で、ジャッキベース9を伸長させ、ステージ部1の上面が荷台(コンテナ15の底面)と略同一水平面上に配されるようにステージ部1の高さを合わせる。
【0044】
ついで、引出機構4のワイヤーロープ(索体)17を繰り出して、その先端をコンテナ15内の複数の外装カーテンウォール資材3を保持したラック18に接続する。そして、引出機構4を駆動してワイヤーロープ17を巻き戻し、ラック18ごと外装カーテンウォール資材3を荷降し装置Aのステージ部1上に引き出す。
【0045】
ついで、フォークリフト20によってステージ部1上に引き出したラック18を持ち上げるとともに所定位置に搬送する。また、コンテナ15内の他のラック18にワイヤーロープ17の先端を接続し、順次ラック18をステージ部1上に引き出してフォークリフト20で搬送してゆく。
【0046】
そして、コンテナ15内から外装カーテンウォール資材3を搬出する荷降し作業が完了した段階で、荷降し装置Aを移動し、フォークリフト20で持ち上げるとともにステージ部支持姿勢から脚部2を回動してステージ部1の内部に格納し、初期姿勢に戻す。このように、脚部2を回動してステージ部支持姿勢から初期姿勢にする際には、キャスター10が接地することで、円滑且つ容易に脚部2の折りたたみ操作が行える。また、これとともに引出機構4をステージ部1から取り外す。このように初期姿勢となりコンパクトになった荷降し装置Aは、所定の保管場所に保管される。
【0047】
一方、本実施形態の荷降し装置Aにおいては、初期姿勢の状態で脚部2がステージ部1の内部に格納されるため、略矩形盤状を呈するようになる。そして、このような初期姿勢の荷降し装置Aは、図7及び図8に示すように、前方側、後方側、両側部側にステージ部1の上面と地面とを滑らかに繋ぐスロープ部材21を設置することにより、図11に示すように、大型車両などの車両が荷降し装置Aの上を通行することも可能になり、また、図12に示すように、荷降し作業を終えたフォークリフト20を荷降し装置Aの上で停車させ、フォークリフト20の待機場所としても利用することが可能になる。
【0048】
したがって、本実施形態の荷降し装置A及びこれを用いた荷降し方法によれば、脚部2を回動してこの脚部2をステージ部1に直交するように配置する(脚部2をステージ部支持姿勢にする)ことにより、ステージ部1を脚部2で支持させることが可能になる。このように脚部2でステージ部1を支持させるとともにステージ部1をコンテナ15(荷台)に横付けして荷降し装置Aを所定位置に配置することによって、引出機構4でコンテナ15から外装カーテンウォール資材3(ラック18、荷物)をステージ部1上に引き出すことが可能になる。また、このとき、ステージ部1がコンテナの高さに合うように脚部2の長さを調整することにより、確実且つ効率的にコンテナ15から外装カーテンウォール資材3をステージ部1上に引き出すことが可能になる。そして、このようにコンテナ15からステージ部1上に外装カーテンウォール資材3を引き出すことによって、引き出した外装カーテンウォール資材3をフォークリフト20で搬送することが可能になり、効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0049】
また、脚部2がステージ部1に回動可能に繋げられているため、荷降し作業を終えた後に、脚部2をステージ部1側に回動して折りたたむことで(脚部2を初期姿勢に戻すことで)、荷降し装置Aをコンパクトにすることができる。これにより、保管などに要するスペースを省スペース化することができ、また、移動などの際の取扱い性をよくすることができる。
【0050】
そして、このような荷降し装置A(及び荷降し方法)を、コンテナ15からの外装カーテンウォール資材3の荷降し作業に用いることによって、1台のフォークリフト20で荷降し作業を行うことが可能になり、従来のように置き構台を設置したり、2台のフォークリフトを使用する必要がなく、すなわち、多くの機材、労務、作業スペースを要することなく、確実に効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0051】
また、本実施形態の荷降し装置A及び荷降し方法においては、初期姿勢で、脚部2がステージ部1の内部に格納されるため、荷降し装置Aをよりコンパクトにすることが可能になり、確実に省スペース化、取扱い性の向上を図ることが可能になる。
【0052】
さらに、引出機構4がステージ部1に着脱可能に設置されていることにより、引出機構4とステージ部1及び脚部2とを分離することが可能になる。そして、荷降し作業を終えた段階で、引出機構4をステージ部1から取り外すことにより、荷降し装置Aをさらに確実にコンパクトにすることができるとともに、その取扱い性のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0053】
また、ジャッキベース9(高さ調整機構)を脚部2の他端側に備えることで、容易に脚部2の長さ、ひいてはステージ部1の高さ位置を調整することが可能になる。これにより、コンテナ15(荷台)の高さが異なる場合であっても容易にステージ部1の高さ位置をコンテナ15の高さに合わせることができる。
【0054】
さらに、脚部2の他端側にキャスター10(車輪)が設けられていることにより、脚部2を回動して、初期姿勢からステージ部支持姿勢にする脚部2の引き出し操作時や、ステージ部支持姿勢から初期姿勢にする脚部2の折りたたみ操作時に、このキャスター10を接地させることで、円滑且つ容易に脚部2を回動して引き出し操作や折りたたみ操作を行うことが可能になる。これにより、荷降し装置Aの取扱い性を向上させることが可能になる。
【0055】
以上、本発明に係る荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、コンテナ15から外装カーテンウォール資材3を荷降しするものとして説明を行ったが、本発明に係る荷降し装置及び荷降し方法は、必ずしもコンテナ15からの荷降し作業に限定しなくてもよく、すなわち他の荷台に積み込まれた荷物を降ろすために適用してもよく、例えば棚(荷台)に収納された荷物を引き出して降ろす荷降し作業に適用してもよい。
【0056】
また、例えば、図13から図15に示すように、ステージ部1に車輪25を取り付け、荷降し装置Aを初期姿勢にした状態でこの車輪25が接地されるように構成してもよい。この場合には、初期姿勢にした荷降し装置Aを車輪25によって容易に移動することが可能になる。これにより、荷降し装置Aを初期姿勢の状態でコンテナ15に近接する所定位置への配置、荷降し作業が完了した後の荷降し装置Aを所定位置から保管場所などへの退避を容易に行うことができ、より効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0057】
また、このような荷降し装置Aの移動を容易にするための車輪25は、図16及び図17に示すように、脚部2の一端側に設けられていてもよく、この場合においても、脚部2を回動して初期姿勢にするとともにこの車輪25が接地され、ステージ部1に車輪を設けた場合と同様、車輪25によって荷降し装置Aを容易に移動することが可能になる。
【0058】
さらに、例えば、図18から図21に示すように、ステージ部1を複数に分割して形成し、隣り合う分割ステージ部1a同士を回動可能に繋げて構成してもよい。この場合には、脚部2をステージ部1の内部に格納するとともに、各分割ステージ部1aが上下に重なり合うように回動させることで、本実施形態よりも荷降し装置Aをさらにコンパクトに収めることが可能になる。これにより、荷降し装置Aを保管するためのスペースを省スペース化することができるとともに、その取扱い性をさらに向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0059】
1 ステージ部
1a 分割ステージ部
2 脚部
3 外装カーテンウォール資材(荷物)
4 引出機構
8 脚部本体
9 ジャッキベース(高さ調整機構)
10 キャスター(車輪)
11 連結固定部材
11a 一方の固定部材
11b 他方の固定部材
11c ピン挿通孔
12 固定ピン
15 コンテナ(荷台)
16 コンテナ車両
17 ワイヤーロープ
18 ラック
20 フォークリフト
21 スロープ部材
25 車輪
A 荷降し装置
T1 長手方向
T2 短手方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷台から荷物を降ろすための荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、海外調達の外装カーテンウォール資材(荷物)は、複数の外装カーテンウォールをラックに収納した状態で40ftコンテナなどに積み込まれ、トレーラー(コンテナ車両)で現場に搬入される。そして、このように搬入した外装カーテンウォール資材をコンテナ(荷台)から降ろす荷降し作業時には、コンテナの扉を開いてラックにワイヤーロープなどを取り付け、外装カーテンウォール資材をラックごとコンテナから引き出すようにしている。
【0003】
また、従来では、コンテナの荷台レベルに高さを合わせた置き構台を予め現場内に設置(構築)しておき、搬入とともにコンテナ(コンテナ車両)を置き構台に横付けし、置き構台上に配置した大型フォークリフトでワイヤーロープを引っ張ってコンテナから外装カーテンウォール資材を置き構台上に引き出し、置き構台上に引き出したラックを地上に配置した大型フォークリフトで所定位置に搬送するようにしている。あるいは、地上に配置した2台のフォークリフトを使用し、一方のフォークリフトでワイヤーロープを引っ張ってコンテナの開口部側(扉側)まで外装カーテンウォール資材を引き出し、他方のフォークリフトでコンテナの開口部側まで引き出した外装カーテンウォール資材をラックごと持ち上げるとともにコンテナの外に搬出するようにしている。
【0004】
一方、特許文献1には、運搬台車をトラックなどの荷台や高所棚に移載するための移載用昇降台車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−179051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、置き構台を用いて荷降しを行う場合には、この置き構台を設置するための大きな占有スペースが必要になり、また、置き構台上に配置するフォークリフトと置き構台上から外装カーテンウォール資材を搬送するフォークリフトの2台のフォークリフトが必要になる。このため、多くの機材、労務、作業スペースを要するという問題がある。
【0007】
また、置き構台を用いることなく、一方のフォークリフトで外装カーテンウォール資材(ラック)をコンテナの開口部側まで引き出し、他方のフォークリフトでコンテナから搬出する場合においても、2台のフォークリフトを用いるため、やはり多くの機材、労務、作業スペースを要する。さらに、この場合には、特に、荷台と高さが異なる地上に配置した一方のフォークリフトでワイヤーロープを引っ張って外装カーテンウォール資材をコンテナの開口部側まで引き出すことになるため、安定した状態で外装カーテンウォール資材を引き出すことが難しく、効率的に荷降し作業が行えないという問題もある。
【0008】
なお、特許文献1に開示された移載用昇降台車は、運搬台車をトラックなどの荷台や高所棚に移載するためのものであるため、コンテナから外装カーテンウォール資材を荷降しするような場合には適用できない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、大きな占有スペースを要することなく、荷台からの荷降し作業を効率的に行うことを可能にする荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の荷降し装置は、荷台から荷物を引き出して降ろすための荷降し装置であって、前記荷台から前記荷物を引き出すとともに該荷物が上載される盤状のステージ部と、前記ステージ部に一端が回動可能に繋げられ、前記ステージ部を支持する脚部と、前記ステージ部上に設けられ、前記荷台から前記ステージ部上に前記荷物を引き出すための引出機構とを備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明においては、脚部を回動してこの脚部をステージ部に直交するように配置する(脚部をステージ部支持姿勢にする)ことにより、ステージ部を脚部で支持させることが可能になる。このように脚部でステージ部を支持させるとともにステージ部を荷台に横付して荷降し装置を所定位置に配置することによって、引出機構で荷台から荷物をステージ部上に引き出すことが可能になる。また、このとき、ステージ部が荷台の高さに合うように脚部の長さを調整することにより、確実且つ効率的に荷台から荷物をステージ部上に引き出すことが可能になる。そして、このように荷台からステージ部上に荷物を引き出すことによって、引き出した荷物をフォークリフトなどの搬送装置で搬送することが可能になり、効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0013】
また、脚部がステージ部に回動可能に繋げられているため、荷降し作業を終えた後に、脚部をステージ部側に回動して折りたたむことで(脚部を初期姿勢に戻すことで)、荷降し装置をコンパクトにすることができる。これにより、保管などに要するスペースを省スペース化することができ、また、移動などの際の取扱い性をよくすることができる。
【0014】
また、本発明の荷降し装置においては、前記ステージ部が、前記脚部を回動して折りたたむとともに該脚部を内部に格納するように形成されていることが望ましい。
【0015】
この発明においては、脚部をステージ部側に回動して折りたたんだ状態で(初期姿勢で)、この脚部がステージ部の内部に格納されるため、荷降し装置をさらにコンパクトにすることが可能になり、より確実に省スペース化、取扱い性の向上を図ることが可能になる。
【0016】
さらに、本発明の荷降し装置においては、前記引出機構が前記ステージ部に着脱可能に設置されていることがより望ましい。
【0017】
この発明においては、引出機構とステージ部及び脚部とを分離することが可能になるため、荷降し装置のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の荷降し装置においては、前記脚部が他端側に伸縮自在な高さ調整機構を備えていることがさらに望ましい。
【0019】
この発明においては、ジャッキベースなどの高さ調整機構を脚部の他端側に備えることで、容易に脚部の長さ、ひいてはステージ部の高さ位置を調整することが可能になる。これにより、荷台の高さが異なる場合であっても容易にステージ部の高さ位置を荷台に合わせることができる。
【0020】
さらに、本発明の荷降し装置においては、前記脚部が他端側に車輪を備えていることが望ましい。
【0021】
この発明においては、脚部の他端側に車輪が設けられていることにより、脚部を回動して、初期姿勢からステージ部支持姿勢(脚部をステージ部に直交するように配置した状態)にする脚部の引き出し操作時や、ステージ部支持姿勢から初期姿勢にする脚部の折りたたみ操作時に、この車輪を接地させることで、円滑且つ容易に脚部を回動して引き出し操作や折りたたみ操作を行うことが可能になる。これにより、荷降し装置の取扱い性を向上させることが可能になる。
【0022】
また、本発明の荷降し装置においては、前記ステージ部あるいは前記脚部の一端側に、前記脚部を回動して折りたたんだ状態で接地される車輪を備えていることがより望ましい。
【0023】
この発明においては、ステージ部あるいは脚部の一端側に車輪が設けられていることにより、脚部を回動して折りたたんだ状態(初期姿勢)でこの車輪を接地させて、容易に初期姿勢の荷降し装置を移動させることが可能になる。これにより、荷降し装置の所定位置への配置、所定位置からの退避を容易に行うことができ、より効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0024】
さらに、本発明の荷降し装置においては、前記ステージ部が複数に分割して形成されるとともに、隣り合う分割ステージ部を回動可能に繋げて形成されていてもよい。
【0025】
この発明においては、複数の分割ステージ部が重なり合うように回動することで、さらに荷降し装置をコンパクトにすることが可能になる。
【0026】
本発明の荷降し方法は、上記のいずれかの荷降し装置を用い、荷台から荷物を引き出して降ろす方法であって、前記脚部で前記ステージ部を支持させるとともに前記ステージ部が前記荷台に横付けされるように前記荷降し装置を設置し、前記引出機構で前記荷台から前記荷物を前記ステージ部上に引き出し、前記ステージ部上に引き出した前記荷物を搬送装置で前記ステージ部上から搬送することを特徴とする。
【0027】
この発明においては、上記の荷降し装置の作用効果を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法においては、脚部をステージ部支持姿勢にすることにより、ステージ部を脚部で支持させることができ、このように脚部でステージ部を支持させるとともにステージ部が荷台に横付けされるように荷降し装置を配置することによって、引出機構で荷台から荷物をステージ部上に引き出すことが可能になる。そして、このように荷台からステージ部上に荷物を引き出すことによって、引き出した荷物をフォークリフトなどの搬送装置で搬送することが可能になり、効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0029】
また、脚部を初期姿勢に戻すことで荷降し装置をコンパクトにすることができる。これにより、保管などに要するスペースを省スペース化することができ、また、移動などの際の取扱い性をよくすることができる。
【0030】
そして、このような荷降し装置(及び荷降し方法)を、例えばコンテナからの外装カーテンウォール資材の荷降し作業に用いた場合には、1台のフォークリフトで荷降し作業を行うことが可能になり、従来のように置き構台を設置したり、2台のフォークリフトを使用する必要がなく、すなわち、多くの機材、労務、作業スペースを要することなく、確実に効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る荷降し装置を示す図である。
【図2】図1のX1−X1線矢視図である。
【図3】図1のX2−X2線矢視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の脚部を示す拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る荷降し装置において、ステージ部に格納した状態(初期姿勢)の脚部を示す拡大図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る荷降し装置において、ステージ部から引き出した脚部(ステージ部支持姿勢の脚部)を固定ピンで固定した状態を示す拡大図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る荷降し装置において、脚部をステージ部に格納した状態(初期姿勢の状態)を示す図である。
【図8】図7のX1−X1線矢視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る荷降し装置をコンテナ車両に横付けして荷降し作業を行っている状態を示す図である。
【図10】図9のX1−X1線矢視図である。
【図11】初期姿勢に戻した荷降し装置の上に車両が通行している状態を示す図である。
【図12】初期姿勢に戻した荷降し装置の上にフォークリフトを停車させた状態を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第1変形例)を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第1変形例)を示す図である。
【図15】図14のX1−X1線矢視図である。
【図16】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第2変形例)を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第2変形例)を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第3変形例)を示す図である。
【図19】図18のX1−X1線矢視図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第3変形例)を示す図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る荷降し装置の変形例(第3変形例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図1から図12を参照し、本発明の一実施形態に係る荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法について説明する。本実施形態は、コンテナから外装カーテンウォール資材(荷物)を降ろす際に用いる荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法に関するものである。
【0033】
本実施形態の荷降し装置Aは、図1から図3に示すように、矩形盤状のステージ部1と、ステージ部1の長手方向T1前方側と後方側の両側側にそれぞれ配設されて、ステージ部1を支持する脚部2と、ステージ部1上に設けられてコンテナから外装カーテンウォール資材3をステージ部1上に引き出すための引出機構4とを備えて構成されている。
【0034】
本実施形態において、ステージ部1は、例えばH形鋼などの複数の縦材5と横材6を枠状に組み付け、その上に鋼板などの平板7を一体に取り付けて形成されている。また、脚部2は、一端をステージ部1の短手方向T2に延びる回動軸回りに回動可能にステージ部1に繋げて設けられた棒状の脚部本体8と、脚部本体8の他端に設けられたジャッキベース(高さ調整機構)9及びキャスター(車輪)10と、一端を脚部本体8に、他端をステージ部1にそれぞれ、ステージ部1の短手方向T2に延びる回動軸回りに回動可能に繋げて配設された連結固定部材11とを備えて構成されている。
【0035】
また、脚部2の連結固定部材11は、図1、図4から図6に示すように、脚部本体8に繋がる一端とステージ部1に繋がる他端の間で折り曲げ可能に形成されている。すなわち、連結固定部材11は、一端側の一方の固定部材片11aと他端側の他方の固定部材片11bとで構成され、両固定部材片11a、11bの端部同士を回動可能に繋げて構成されている。さらに、一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bの各端部側にはピン挿通孔11cが形成されており、一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bが一直線状に配されて連通した互いのピン挿通孔11cに固定ピン12を挿通することにより、連結固定部材11が一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bを一直線状に配した状態で固定される。
【0036】
また、ステージ部1の前方側と後方側にそれぞれ設けられた一対の脚部2は、図3に示すように、脚部本体8同士が連結部材13を介して繋げられており、一方の脚部2(一方の脚部本体8)を回動させると、連結部材13を介して他方の脚部2(他方の脚部本体8)も回動するように構成されている。
【0037】
そして、このように構成した脚部2は、図4、図5、図7及び図8に示すように、脚部本体8をステージ部1側に回動させると(ステージ部1に平行するまで回動させると)、連結固定部材11が折れ曲がり、これとともにステージ部1の縦材5と横材6で囲まれたステージ部1の内部(格納空間)に格納される。このため、本実施形態の荷降し装置Aにおいては、脚部2を回動可能にステージ部1に繋げることに加えて、脚部2を回動してステージ部1の内部に脚部2を格納することによって(初期姿勢にすることによって)、確実に荷降し装置Aがコンパクトになる。
【0038】
一方、ステージ部1の内部からステージ部1の下方に脚部2を引き出し、連結固定部材11の一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bのピン挿通孔11cが連通するまで回動させると、図1、図3、図4に示すように、脚部本体8がステージ部1に直交した状態(ステージ部支持姿勢)となり、連通したピン挿通孔11cに固定ピン12を挿通することによって脚部2がこのステージ部支持姿勢で固定保持される。そして、このようにステージ部支持姿勢で保持した脚部2のジャッキベース9あるいはキャスター10を接地させることにより、脚部2によってステージ部1が上方に配されて安定した状態で支持される。また、このとき、図4に示すように、ジャッキベース9を回転してこのジャッキベース9を伸縮させることにより、ステージ部1の高さの調整が行える。
【0039】
さらに、本実施形態の荷降し装置Aにおいては、図4の破線で示すように、脚部2の他端側にキャスター10が設けられているため、脚部2を回動して、初期姿勢からステージ部支持姿勢にする脚部2の引き出し操作時や、ステージ部支持姿勢から初期姿勢にする脚部2の折りたたみ操作時に、このキャスター10が接地することで、円滑且つ容易に脚部2を回動して引き出し操作や折りたたみ操作が行える。
【0040】
一方、引出機構4は、ウィンチやチルホールなどであり、図1及び図2に示すように、ステージ部1上の後方側且つ短手方向T2略中央に着脱可能に取り付けて設けられている。
【0041】
ついで、上記構成からなる荷降し装置Aを用い、コンテナから外装カーテンウォール資材(荷物)3を引き出して荷降しする方法について説明するとともに、本実施形態の荷降し装置A及び荷降し方法の作用及び効果について説明する。
【0042】
本実施形態の荷降し装置Aを用いて外装カーテンウォール資材3の荷降し作業を行う際には、図4、図9及び図10に示すように、脚部2がステージ部1の内部に格納した初期姿勢の荷降し装置Aを、外装カーテンウォール資材3を積み込んだコンテナ15(コンテナ車両16)の後方開口部に前方側を近接させて横付けする。そして、この初期姿勢の荷降し装置Aをフォークリフトで持ち上げ、脚部2を回動してステージ部1の内部からステージ部1の下方に引き出すとともに、連結固定部材11の一方の固定部材片11aと他方の固定部材片11bのピン挿通孔11cに固定ピン12を挿通して固定し、脚部2をステージ部支持姿勢にする。このとき、脚部2の回動とともにキャスター10が接地することで、円滑且つ容易に脚部2の引き出し操作が行える。
【0043】
そして、このように荷降し装置Aを所定位置に配置し、脚部2をステージ部支持姿勢にした段階で、ジャッキベース9を伸長させ、ステージ部1の上面が荷台(コンテナ15の底面)と略同一水平面上に配されるようにステージ部1の高さを合わせる。
【0044】
ついで、引出機構4のワイヤーロープ(索体)17を繰り出して、その先端をコンテナ15内の複数の外装カーテンウォール資材3を保持したラック18に接続する。そして、引出機構4を駆動してワイヤーロープ17を巻き戻し、ラック18ごと外装カーテンウォール資材3を荷降し装置Aのステージ部1上に引き出す。
【0045】
ついで、フォークリフト20によってステージ部1上に引き出したラック18を持ち上げるとともに所定位置に搬送する。また、コンテナ15内の他のラック18にワイヤーロープ17の先端を接続し、順次ラック18をステージ部1上に引き出してフォークリフト20で搬送してゆく。
【0046】
そして、コンテナ15内から外装カーテンウォール資材3を搬出する荷降し作業が完了した段階で、荷降し装置Aを移動し、フォークリフト20で持ち上げるとともにステージ部支持姿勢から脚部2を回動してステージ部1の内部に格納し、初期姿勢に戻す。このように、脚部2を回動してステージ部支持姿勢から初期姿勢にする際には、キャスター10が接地することで、円滑且つ容易に脚部2の折りたたみ操作が行える。また、これとともに引出機構4をステージ部1から取り外す。このように初期姿勢となりコンパクトになった荷降し装置Aは、所定の保管場所に保管される。
【0047】
一方、本実施形態の荷降し装置Aにおいては、初期姿勢の状態で脚部2がステージ部1の内部に格納されるため、略矩形盤状を呈するようになる。そして、このような初期姿勢の荷降し装置Aは、図7及び図8に示すように、前方側、後方側、両側部側にステージ部1の上面と地面とを滑らかに繋ぐスロープ部材21を設置することにより、図11に示すように、大型車両などの車両が荷降し装置Aの上を通行することも可能になり、また、図12に示すように、荷降し作業を終えたフォークリフト20を荷降し装置Aの上で停車させ、フォークリフト20の待機場所としても利用することが可能になる。
【0048】
したがって、本実施形態の荷降し装置A及びこれを用いた荷降し方法によれば、脚部2を回動してこの脚部2をステージ部1に直交するように配置する(脚部2をステージ部支持姿勢にする)ことにより、ステージ部1を脚部2で支持させることが可能になる。このように脚部2でステージ部1を支持させるとともにステージ部1をコンテナ15(荷台)に横付けして荷降し装置Aを所定位置に配置することによって、引出機構4でコンテナ15から外装カーテンウォール資材3(ラック18、荷物)をステージ部1上に引き出すことが可能になる。また、このとき、ステージ部1がコンテナの高さに合うように脚部2の長さを調整することにより、確実且つ効率的にコンテナ15から外装カーテンウォール資材3をステージ部1上に引き出すことが可能になる。そして、このようにコンテナ15からステージ部1上に外装カーテンウォール資材3を引き出すことによって、引き出した外装カーテンウォール資材3をフォークリフト20で搬送することが可能になり、効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0049】
また、脚部2がステージ部1に回動可能に繋げられているため、荷降し作業を終えた後に、脚部2をステージ部1側に回動して折りたたむことで(脚部2を初期姿勢に戻すことで)、荷降し装置Aをコンパクトにすることができる。これにより、保管などに要するスペースを省スペース化することができ、また、移動などの際の取扱い性をよくすることができる。
【0050】
そして、このような荷降し装置A(及び荷降し方法)を、コンテナ15からの外装カーテンウォール資材3の荷降し作業に用いることによって、1台のフォークリフト20で荷降し作業を行うことが可能になり、従来のように置き構台を設置したり、2台のフォークリフトを使用する必要がなく、すなわち、多くの機材、労務、作業スペースを要することなく、確実に効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0051】
また、本実施形態の荷降し装置A及び荷降し方法においては、初期姿勢で、脚部2がステージ部1の内部に格納されるため、荷降し装置Aをよりコンパクトにすることが可能になり、確実に省スペース化、取扱い性の向上を図ることが可能になる。
【0052】
さらに、引出機構4がステージ部1に着脱可能に設置されていることにより、引出機構4とステージ部1及び脚部2とを分離することが可能になる。そして、荷降し作業を終えた段階で、引出機構4をステージ部1から取り外すことにより、荷降し装置Aをさらに確実にコンパクトにすることができるとともに、その取扱い性のさらなる向上を図ることが可能になる。
【0053】
また、ジャッキベース9(高さ調整機構)を脚部2の他端側に備えることで、容易に脚部2の長さ、ひいてはステージ部1の高さ位置を調整することが可能になる。これにより、コンテナ15(荷台)の高さが異なる場合であっても容易にステージ部1の高さ位置をコンテナ15の高さに合わせることができる。
【0054】
さらに、脚部2の他端側にキャスター10(車輪)が設けられていることにより、脚部2を回動して、初期姿勢からステージ部支持姿勢にする脚部2の引き出し操作時や、ステージ部支持姿勢から初期姿勢にする脚部2の折りたたみ操作時に、このキャスター10を接地させることで、円滑且つ容易に脚部2を回動して引き出し操作や折りたたみ操作を行うことが可能になる。これにより、荷降し装置Aの取扱い性を向上させることが可能になる。
【0055】
以上、本発明に係る荷降し装置及びこれを用いた荷降し方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、コンテナ15から外装カーテンウォール資材3を荷降しするものとして説明を行ったが、本発明に係る荷降し装置及び荷降し方法は、必ずしもコンテナ15からの荷降し作業に限定しなくてもよく、すなわち他の荷台に積み込まれた荷物を降ろすために適用してもよく、例えば棚(荷台)に収納された荷物を引き出して降ろす荷降し作業に適用してもよい。
【0056】
また、例えば、図13から図15に示すように、ステージ部1に車輪25を取り付け、荷降し装置Aを初期姿勢にした状態でこの車輪25が接地されるように構成してもよい。この場合には、初期姿勢にした荷降し装置Aを車輪25によって容易に移動することが可能になる。これにより、荷降し装置Aを初期姿勢の状態でコンテナ15に近接する所定位置への配置、荷降し作業が完了した後の荷降し装置Aを所定位置から保管場所などへの退避を容易に行うことができ、より効率的に荷降し作業を行うことが可能になる。
【0057】
また、このような荷降し装置Aの移動を容易にするための車輪25は、図16及び図17に示すように、脚部2の一端側に設けられていてもよく、この場合においても、脚部2を回動して初期姿勢にするとともにこの車輪25が接地され、ステージ部1に車輪を設けた場合と同様、車輪25によって荷降し装置Aを容易に移動することが可能になる。
【0058】
さらに、例えば、図18から図21に示すように、ステージ部1を複数に分割して形成し、隣り合う分割ステージ部1a同士を回動可能に繋げて構成してもよい。この場合には、脚部2をステージ部1の内部に格納するとともに、各分割ステージ部1aが上下に重なり合うように回動させることで、本実施形態よりも荷降し装置Aをさらにコンパクトに収めることが可能になる。これにより、荷降し装置Aを保管するためのスペースを省スペース化することができるとともに、その取扱い性をさらに向上させることが可能になる。
【符号の説明】
【0059】
1 ステージ部
1a 分割ステージ部
2 脚部
3 外装カーテンウォール資材(荷物)
4 引出機構
8 脚部本体
9 ジャッキベース(高さ調整機構)
10 キャスター(車輪)
11 連結固定部材
11a 一方の固定部材
11b 他方の固定部材
11c ピン挿通孔
12 固定ピン
15 コンテナ(荷台)
16 コンテナ車両
17 ワイヤーロープ
18 ラック
20 フォークリフト
21 スロープ部材
25 車輪
A 荷降し装置
T1 長手方向
T2 短手方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台から荷物を引き出して降ろすための荷降し装置であって、
前記荷台から前記荷物を引き出すとともに該荷物が上載される盤状のステージ部と、前記ステージ部に一端が回動可能に繋げられ、前記ステージ部を支持する脚部と、前記ステージ部上に設けられ、前記荷台から前記ステージ部上に前記荷物を引き出すための引出機構とを備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷降し装置において、
前記ステージ部が、前記脚部を回動して折りたたむとともに該脚部を内部に格納するように形成されていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の荷降し装置において、
前記引出機構が前記ステージ部に着脱可能に設置されていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記脚部が他端側に伸縮自在な高さ調整機構を備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記脚部が他端側に車輪を備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記ステージ部あるいは前記脚部の一端側に、前記脚部を回動して折りたたんだ状態で接地される車輪を備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記ステージ部が複数に分割して形成されるとともに、隣り合う分割ステージ部を回動可能に繋げて形成されていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の荷降し装置を用い、荷台から荷物を引き出して降ろす方法であって、
前記脚部で前記ステージ部を支持させるとともに前記ステージ部が前記荷台に横付けされるように前記荷降し装置を設置し、
前記引出機構で前記荷台から前記荷物を前記ステージ部上に引き出し、
前記ステージ部上に引き出した前記荷物を搬送装置で前記ステージ部上から搬送することを特徴とする荷降し方法。
【請求項1】
荷台から荷物を引き出して降ろすための荷降し装置であって、
前記荷台から前記荷物を引き出すとともに該荷物が上載される盤状のステージ部と、前記ステージ部に一端が回動可能に繋げられ、前記ステージ部を支持する脚部と、前記ステージ部上に設けられ、前記荷台から前記ステージ部上に前記荷物を引き出すための引出機構とを備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷降し装置において、
前記ステージ部が、前記脚部を回動して折りたたむとともに該脚部を内部に格納するように形成されていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の荷降し装置において、
前記引出機構が前記ステージ部に着脱可能に設置されていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記脚部が他端側に伸縮自在な高さ調整機構を備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記脚部が他端側に車輪を備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記ステージ部あるいは前記脚部の一端側に、前記脚部を回動して折りたたんだ状態で接地される車輪を備えていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の荷降し装置において、
前記ステージ部が複数に分割して形成されるとともに、隣り合う分割ステージ部を回動可能に繋げて形成されていることを特徴とする荷降し装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の荷降し装置を用い、荷台から荷物を引き出して降ろす方法であって、
前記脚部で前記ステージ部を支持させるとともに前記ステージ部が前記荷台に横付けされるように前記荷降し装置を設置し、
前記引出機構で前記荷台から前記荷物を前記ステージ部上に引き出し、
前記ステージ部上に引き出した前記荷物を搬送装置で前記ステージ部上から搬送することを特徴とする荷降し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−265061(P2010−265061A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116475(P2009−116475)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】
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