説明

蒸気弁

【課題】外部ケーシングと内部ケーシングとを強固に固定することができるとともに組立時および解体時の作業性を向上させることができる蒸気弁を提供する。
【解決手段】本発明による蒸気弁1は、内面に係合凹部3を有する外部ケーシング2と、外部ケーシング2に収容される内部ケーシング4と、外部ケーシング2の係合凹部3に係合して、内部ケーシング4を係止する係止体5とを備えている。内部ケーシング4に弁座20が設けられ、弁座20に主弁21が当接し、主弁21に、弁棒22を介して、主弁21を駆動する駆動部23が連結されている。係止体5と内部ケーシング4との間に、内部ケーシング4を外部ケーシング2の内面に押圧する押圧機構30が介在されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービンプラントにおいて使用される外部ケーシングと内部ケーシングとを有する蒸気弁に係り、とりわけ、外部ケーシングと内部ケーシングとを強固に固定することができるとともに組立時および解体時の作業性を向上させることができる蒸気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、火力・原子力発電所の蒸気タービンプラントにおいて、プラント内の各機器への蒸気の流れを制御するために蒸気弁が使用されている。
【0003】
図11に、蒸気弁が用いられる一般的な蒸気タービンプラント100を示す。このような蒸気タービンプラント100は、ボイラー101の過熱器101aにおいて発生した蒸気が主蒸気管102の蒸気弁(主蒸気止め弁103および蒸気加減弁104)を通って高圧タービン105に供給されて膨張仕事を行う。膨張仕事を終えて排出された高圧排気蒸気は、高圧排気蒸気管106の逆止弁107を通ってボイラー101の再熱器101bに導かれ、再度過熱、すなわち再熱されて再熱蒸気となる。この再熱蒸気は、再熱蒸気管108の蒸気弁(再熱蒸気止め弁109およびインターセプト弁110)を通って中圧タービン111および低圧タービン112に供給されて順次膨張仕事を行う。低圧タービン112にて膨張仕事を終えて排出された低圧排気蒸気は復水器113に導かれ、凝縮されて復水となる。この復水は、給水ポンプ114により昇圧されてボイラー101に供給される。
【0004】
この間、高圧タービン105、中圧タービン111、および低圧タービン112が回転駆動され、これらの各タービン105、111、112に接続された図示しない発電機が発電している。
【0005】
主蒸気管102と高圧排気蒸気管106との間に、主蒸気を、高圧タービン105をバイパスさせて高圧排気蒸気管106からボイラー101の再熱器101bに供給させるための高圧バイパス管115が連結されている。この高圧バイパス管115の一端は、主蒸気管102のうち主蒸気止め弁103の上流側に連結され、他端は、高圧排気蒸気管106のうち逆止弁107の下流側に連結されており、高圧バイパス管115の途中には高圧タービンバイパス弁116が設けられている。
【0006】
再熱蒸気管108と復水器113との間に、再熱蒸気を、中圧タービン111および低圧タービン112をバイパスさせて復水器113に供給させるための低圧バイパス管117が連結されている。この低圧バイパス管117の一端は、再熱蒸気管108のうち再熱蒸気止め弁109の上流側に連結され、他端は、復水器113に連結されており、低圧バイパス管117の途中には低圧タービンバイパス弁118が設けられている。このように高圧バイパス管115および低圧バイパス管117を設けることによって、各タービン105、111、112を停止させる場合においても、高圧バイパス管115および低圧バイパス管117に主蒸気および再熱蒸気をそれぞれ通流させて、蒸気をバイパスさせて循環させ、ボイラー101を単独で運転することができるように構成されている。
【0007】
近年、蒸気タービンプラント100における発電効率を向上させるために、各タービン105、111、112に供給される蒸気の温度および圧力は上昇する傾向にある。この場合、蒸気弁を通流する蒸気の温度および圧力が高くなるため、蒸気弁のケーシングに負荷される荷重が大きくなるとともにケーシングの許容荷重が低下し、ケーシングの機械的強度が問題になることがある。
【0008】
このような問題に対処するために、2重ケーシング型の蒸気弁が開発されている(例えば、特許文献1および2参照)。一例として図12に示す2重ケーシング型蒸気弁120は、外部ケーシング121と、この外部ケーシング121に収容された内部ケーシング122とを有している。このうち内部ケーシング122は、コッター123により係止されて外部ケーシング121内に固定されている。また、内部ケーシング122内には、高温高圧の蒸気が通流する蒸気室124が形成され、外部ケーシング121と内部ケーシング122との間に空隙部125が形成され、この空隙部125内には、蒸気室124を通流する蒸気よりも低温低圧の蒸気が充填されている。このようにして、外部ケーシング121が高温高圧の蒸気に曝されることを抑制して、内部ケーシング122を形成する材料には高温耐熱鋼を用いるが、外部ケーシングを形成する材料には低温耐熱鋼を用いることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62−237009号公報
【特許文献2】特開2005−48639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、内部ケーシング122内の蒸気室124を通流する蒸気は、弁の開閉に伴い流体振動を生じる。また、上述のように、外部ケーシング121と内部ケーシング122の材料が異なる場合には、蒸気室124を通流する高温の蒸気により内部ケーシング122が外部ケーシング121よりも膨張することが考えられる。これらの場合においても、外部ケーシング121と内部ケーシング122との固定強度は耐える得るものであることが要求される。
【0011】
そこで、外部ケーシング121と内部ケーシング122とを強固に固定するためには、コッター123の下面と内部ケーシング122の上面との間に隙間を形成させることなくコッター123を取り付ける必要がある。しかしながら、この場合、コッター123を取り付ける作業および取り外す作業は困難になり、蒸気弁120の組立時および解体時の作業性が低下する。
【0012】
一方、コッター123の下面と内部ケーシング122の上面との間にある程度の隙間を設けることにより、コッター123の取り付けおよび取り外しの作業性を向上させることが可能になるが、この場合、外部ケーシング121と内部ケーシング122との固定強度は低下する。
【0013】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、外部ケーシングと内部ケーシングとを強固に固定することができるとともに組立時および解体時の作業性を向上させることができる蒸気弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、内面に係合凹部を有する外部ケーシングと、前記外部ケーシングに収容される内部ケーシングと、前記外部ケーシングの前記係合凹部に係合して、前記内部ケーシングを係止する係止体と、前記内部ケーシングに設けられた弁座と、前記弁座に当接自在な主弁と、前記主弁に弁棒を介して連結され、主弁を駆動する駆動部と、を備え、前記係止体と前記内部ケーシングとの間に、当該内部ケーシングを前記外部ケーシングの内面に押圧する押圧機構が介在されていることを特徴とする蒸気弁である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、外部ケーシングと内部ケーシングとを強固に固定することができるとともに、組立時および解体時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態における蒸気弁の全体構成を示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における蒸気弁の押圧機構の詳細を示す図。
【図3】本発明の第2の実施の形態における蒸気弁の全体構成を示す図。
【図4】本発明の第2の実施の形態における蒸気弁において、螺旋ストッパーの上面を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態における蒸気弁において、螺旋シムの上面を示す図。
【図6】図3のA−A線断面図。
【図7】本発明の第3の実施の形態における蒸気弁の全体構成を示す図。
【図8】図5のP部拡大図。
【図9】本発明の第4の実施の形態における蒸気弁の全体構成を示す図。
【図10】図9のQ部拡大図。
【図11】蒸気タービンプラントの一例を示す図。
【図12】従来の蒸気弁の全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1および図2は、本発明の第1の実施の形態における蒸気弁を示す図である。
【0018】
図1および図2に示すように、蒸気弁1は、内面の円柱状部分2aに形成された溝部(係合凹部)3を有する外部ケーシング2と、外部ケーシング2に収容される内部ケーシング4と、内部ケーシング4の上方に設けられ、外部ケーシング2の溝部3に係合して、内部ケーシング4を係止するコッター(係止体)5とを備えている。このうちコッター5は、外部ケーシング2の溝部3に、周方向に亘って3箇所取り付けられている(図6参照)。
【0019】
外部ケーシング2の内面には、段部7が形成され、内部ケーシング4の外面には、この段部7に係合する顎部6が形成されている。このように、内部ケーシング4は、その顎部6が外部ケーシング2の段部7に係合して、外部ケーシング2内に収容されるように構成されている。また、内部ケーシング4は、図1および図2に示すように、後述する螺旋シム34の当接平面36が当接する環状の被当接平面(上面)8と、被当接平面8の中心側においてこの被当接平面8よりも上方に隆起する隆起部9とを有している。
【0020】
図1に示すように、内部ケーシング4内には、高温(例えば、700℃)および高圧の蒸気が通流する蒸気室10が形成され、外部ケーシング2と内部ケーシング4との間には、空隙部11が形成されている。この空隙部11には、例えば、内部ケーシング4の蒸気室10を通流する蒸気よりも低温および低圧の蒸気が、プラントから抽気されて充填されるように構成されている。このことにより、外部ケーシング2が高温高圧の蒸気に曝されることを抑制することができる。この場合、内部ケーシング4を形成する材料には高温耐熱鋼を用いるが、外部ケーシング2を形成する材料には低温耐熱鋼を用いることが可能になる。
【0021】
すなわち、外部ケーシング2を形成する低温耐熱鋼としては、例えば耐熱温度が約570度のCr−Mo−V鋼に代表されるフェライト系合金などの低クロム合金耐熱鋼を用いることができる。一方、内部ケーシング4を形成する高温耐熱鋼としては、例えば700度以上で実用的な強度を有するオーステナイト系合金鋼またはNi基合金鋼を用いることが好適である。
【0022】
外部ケーシング2の蒸気入口側には、蒸気の入口となる蒸気入口管12が設けられている。内部ケーシング4の蒸気入口側には、外部ケーシング2の蒸気入口管12を通って流入する蒸気を案内する蒸気入口接続管13が設けられている。この蒸気入口接続管13は外部ケーシング2まで延びており、この蒸気入口接続管13と外部ケーシング2との間には蒸気入口接続管シールリング14が設けられている。このようにして、蒸気入口管12を通って流入する高温高圧の蒸気が空隙部11に漏れることを防止している。
【0023】
外部ケーシング2の蒸気出口側には、内部ケーシング4内の蒸気室10を通った蒸気の出口となる蒸気出口管15が設けられている。また、内部ケーシング4の蒸気出口側には、外部ケーシング2の蒸気出口管15に流出する蒸気を案内する蒸気出口接続管16が設けられている。この蒸気出口接続管16は、外部ケーシング2まで延びており、この蒸気出口接続管16と外部ケーシング2との間に蒸気出口接続管シールリング17が設けられている。このようにして、蒸気出口管15に流出する高温高圧の蒸気が空隙部11に漏れることを防止している。
【0024】
内部ケーシング4の内部、すなわち蒸気出口接続管16の上部に、弁座20が設けられている。蒸気室10内に、この弁座20に当接自在な主弁21が設けられ、この主弁21に、弁棒22を介して駆動部23が連結されており、この駆動部23を駆動することによって主弁21が上昇または下降するようになっている。
【0025】
上部ケーシングの上面には、空隙部11の上部を区画する上蓋24が上蓋取付ボルト25によって取り付けられている。この上蓋24には、内部を弁棒22が摺動自在なガイドブッシュ26が貫通している。このガイドブッシュ26は、内部ケーシング4を貫通して蒸気室10に延びており、このガイドブッシュ26と内部ケーシング4との間にガイドブッシュシールリング27が設けられている。このようにして、蒸気室10を通流する高温高圧の蒸気が空隙部11に漏れることを防止している。
【0026】
内部ケーシング4を係止するコッター5と内部ケーシング4との間に、内部ケーシング4を外部ケーシング2の内面に押圧する押圧機構30が介在されている。
【0027】
すなわち、この押圧機構30は、図1および図2に示すように、コッター5に係止される係止平面(上面)32と内部ケーシング4側(下方側)に形成された押圧面33とを含み、周方向に回動自在な環状の螺旋ストッパー(回動側押圧部材)31を有している。この螺旋ストッパー31と内部ケーシング4との間に、螺旋ストッパー31の押圧面33に押圧される受圧面35と、内部ケーシング4の被当接平面8に当接する当接平面(下面)36とを含む環状の螺旋シム(固定側押圧部材)34が介在されている。
【0028】
螺旋ストッパー31の押圧面33は、係止平面32に対して周方向に傾斜し、螺旋ストッパー31の下面は螺旋状に形成されている。すなわち、図2に示すように、螺旋ストッパー31は、1箇所において切断されて、肉厚の厚い厚肉端部31aと肉厚の薄い薄肉端部31bとを有しており、厚肉端部31aから薄肉端部31bに向かって肉厚が徐々に薄くなるように上方から見て右回りの方向に傾斜している。
【0029】
螺旋シム34の受圧面35は、押圧面33に対応するように周方向に傾斜し、螺旋シム34の上面は螺旋状に形成されている。すなわち、螺旋シム34は、螺旋ストッパー31と同様に、1箇所において切断されて、肉厚の厚い厚肉端部34aと肉厚の薄い薄肉端部34bとを有し、厚肉端部34aから薄肉端部34bに向かって肉厚が徐々に薄くなるように上方から見て左回りの方向に傾斜している。
【0030】
螺旋ストッパー31および螺旋シム34は、螺旋シム34の受圧面35に螺旋ストッパー31の押圧面33を当接させて、螺旋ストッパー31の厚肉端部31aを、螺旋シム34の厚肉端部34aに周方向に当接させた場合、螺旋ストッパー31と螺旋シム34の合計厚さが、外部ケーシング2内面の溝部3と内部ケーシング4の被当接平面8との間の距離よりも小さくなるように構成されている。
【0031】
このような螺旋ストッパー31を、その肉厚が薄くなる方向(図2の上方から見て右回りの方向)に回動させることにより、楔効果により、螺旋ストッパー31が螺旋シム34を介して内部ケーシング4を押圧するように押圧機構30が構成されている。
【0032】
ここで、螺旋ストッパー31の外径および内径は、螺旋シム34の外径および内径とそれぞれ略同一となっており、螺旋ストッパー31および螺旋シム34の外径は、外部ケーシング2の内面の円柱状部分2aの内径と略同一となっている(図6参照)。
【0033】
なお、図示しないが、螺旋ストッパー31に、治具等を取り付けるための取付穴を設けても良い。この場合、この取付穴に治具等を取り付けることにより、螺旋ストッパー31を容易に回動することができる。
【0034】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0035】
図1および図2に示す蒸気弁1を組み立てる場合、まず、外部ケーシング2に、主弁21、弁棒22、ガイドブッシュ26等が取り付けられた内部ケーシング4が収容される。この収容された内部ケーシング4の被当接平面8に、螺旋シム34の当接平面36を当接させて、押圧機構30の螺旋シム34が内部ケーシング4上に載置される。
【0036】
次に、この螺旋シム34の受圧面35に螺旋ストッパー31の押圧面33を当接させて、螺旋シム34上に螺旋ストッパー31が載置される。この場合、螺旋ストッパー31の厚肉端部31aを、螺旋シム34の厚肉端部34aに周方向に当接させるように螺旋ストッパー31を載置させる。このことにより、螺旋ストッパー31の係止平面32を外部ケーシング2内面の溝部3よりも低い位置にすることができる。
【0037】
次に、外部ケーシング2内面の溝部3にコッター5が取り付けられる。この場合、螺旋ストッパー31の係止平面32が溝部3よりも低い位置にあるため、溝部3にコッター5を容易に取り付けることができる。
【0038】
次に、螺旋ストッパー31を、その肉厚が薄くなる方向(図2の上方から見て右回りの方向、以下、押圧方向と記す)に回動させる。この場合、楔効果によって、螺旋シム34は回動することがなく、螺旋ストッパー31が螺旋シム34を介して内部ケーシング4を押圧する。このことにより、内部ケーシング4外面の顎部6が外部ケーシング2内面の段部7に押圧される。
【0039】
次に、上蓋取付ボルト25を用いて、外部ケーシング2の上面に上蓋24が取り付けられ、弁棒22が駆動部23に連結される。その後、外部ケーシング2と内部ケーシング4との間に形成された空隙部11に、蒸気室10を通流する高温高圧の蒸気よりも低温低圧の蒸気が充填され、図1に示す蒸気弁1が組み立てられる。
【0040】
このようにして組み立てられた蒸気弁1を開いて蒸気を通流させる場合、駆動部23を駆動して弁棒22を上昇させる。このことにより、主弁21が弁座20から離れて上昇し、蒸気弁1が開く。
【0041】
この場合、外部ケーシング2の蒸気入口管12から高温高圧の蒸気が流入し、この流入した蒸気は蒸気入口接続管13を通って内部ケーシング4内の蒸気室10に流入する。蒸気室10に流入した蒸気は、弁座20と主弁21との間を通り、蒸気出口接続管16を通って蒸気出口管15から流出する。このようにして蒸気弁1に高温高圧の蒸気が通流する。なお、蒸気弁1の開度を制御することにより、通流する蒸気の流量を調整することもできる。
【0042】
蒸気弁1に高温高圧の蒸気が通流している間、外部ケーシング2と内部ケーシング4との間の空隙部11には、低温低圧の蒸気が充填されている。このことにより、外部ケーシング2内面が高温高圧の蒸気に曝されることを抑制している。
【0043】
蒸気弁1を閉じて、蒸気の流れを遮断する場合には、駆動部23を駆動して弁棒22を下降させる。このことにより、主弁21が弁座20に当接して、蒸気弁1が閉じられる。
【0044】
また、このような蒸気弁1を解体する場合には、まず、空隙部11から低温低圧の蒸気が放出される。次に、弁棒22が駆動部23から取り外され、外部ケーシング2の上面から上蓋24が取り外される。
【0045】
次に、螺旋ストッパー31を、その肉厚が厚くなる方向(図2における左回りの方向、以下解放方向と記す)に回動させる。この場合、螺旋ストッパー31の厚肉端部31aを螺旋シム34の厚肉端部34aに当接するまで螺旋ストッパー31を回動させる。このことにより、コッター5と螺旋ストッパー31との間に隙間を形成することができる。
【0046】
次に、外部ケーシング2の内面の溝部3からコッター5が取り外される。この場合、コッター5と螺旋ストッパー31との間に隙間が形成されているため、コッター5を容易に取り外すことができる。
【0047】
次に、螺旋ストッパー31および螺旋シム34が順次取り外され、その後、内部ケーシング4が主弁21、弁棒22、ガイドブッシュ26等とともに外部ケーシング2から取り外され、蒸気弁1が解体される。
【0048】
このように本実施の形態によれば、螺旋ストッパー31を、押圧方向に回動させることにより、楔効果によって内部ケーシング4を外部ケーシング2の内面に押圧することができる。このことにより、外部ケーシング2と内部ケーシング4とを強固に固定することができる。このため、内部ケーシング4内の蒸気室10を通流する蒸気が、主弁21の上昇または下降により流体振動を生じた場合、および蒸気室10を通流する高温の蒸気により内部ケーシング4が外部ケーシング2よりも膨張した場合においても、十分に耐える固定強度を有することができる。
【0049】
また本実施の形態によれば、上述したように、内部ケーシング4を固定する際には、螺旋ストッパー31を押圧方向に回動させることにより内部ケーシング4を外部ケーシング2に押圧する力を容易に増大させることができる。一方、内部ケーシング4を取り外す際には、螺旋ストッパー31を解放方向に回動させることによりコッター5と螺旋ストッパー31との間に隙間を形成させて、コッター5を容易に取り外すことができる。このため、内部ケーシング4の固定および取り外しを容易に行うことができ、蒸気弁1の組立時および解体時の作業性を向上させることができる。
【0050】
第2の実施の形態
次に、図3乃至図6により、本発明の第2の実施の形態における蒸気弁について説明する。
【0051】
図3乃至図6に示す第2の実施の形態の蒸気弁において、螺旋ストッパーにストッパー側位置決め穴が設けられ、螺旋シムにシム側位置決め穴が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図3乃至図6において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
図3乃至図6に示すように、螺旋ストッパー31に、軸方向に貫通する3つのストッパー側位置決め穴(回動側位置決め穴)40a、40b、40cが押圧方向に順次設けられ、これら3つのストッパー側位置決め穴40a、40b、40cが、螺旋ストッパー31に3組設けられている。また、螺旋シム34に、ストッパー側位置決め穴40a、40b、40cと略同一円周上に位置し、軸方向に貫通する3つのシム側位置決め穴(固定側位置決め穴)41a、41b、41cが押圧方向に順次設けられ、これら3つのシム側位置決め穴41a、41b、41cが螺旋シム34に3組設けられている。これらストッパー側位置決め穴40a、40b、40cとシム側位置決め穴41a、41b、41cとは略同一の穴径を有し、シム側位置決め穴41a、41b、41cは、ストッパー側位置決め穴40a、40b、40cにそれぞれ対応するようになっている。
【0053】
図4に示すように、ストッパー側位置決め穴40aの中心と螺旋ストッパー31の中心点31cとを結ぶ線分と、このストッパー側位置決め穴40aに隣接する他のストッパー側位置決め穴40bの中心と中心点31cとを結ぶ線分は、所定の角度αをなしている。同様に、ストッパー側位置決め穴40bの中心と中心点31cとを結ぶ線分と、このストッパー側位置決め穴40bに隣接する他のストッパー側位置決め穴40cの中心と中心点31cとを結ぶ線分も、角度αをなしている。すなわち、角度αは螺旋ストッパー31の中心点31cに対する、互いに隣接するストッパー側位置決め穴の中心間の周方向角度である。
【0054】
図5に示すように、ストッパー側位置決め穴40aに対応するシム側位置決め穴41aの中心と螺旋シム34の中心点34cとを結ぶ線分と、ストッパー側位置決め穴40bに対応するシム側位置決め穴41bの中心と中心点34cとを結ぶ線分は、所定の角度βをなしている。また、シム側位置決め穴41bの中心と中心点34cとを結ぶ線分と、ストッパー側位置決め穴40cに対応するシム側位置決め穴41cの中心と中心点34cとを結ぶ線分は、所定の角度γをなしている。すなわち、角度βは、螺旋シム34の中心点34cに対する、ストッパー側位置決め穴40aに対応するシム側位置決め穴41aの中心とストッパー側位置決め穴40bに対応するシム側位置決め穴41bの中心との周方向角度であり、角度γは、螺旋シム34の中心点34cに対する、ストッパー側位置決め穴40bに対応するシム側位置決め穴41bの中心とストッパー側位置決め穴40cに対応するシム側位置決め穴41cの中心との周方向角度である。
【0055】
ここで、角度αは、角度βおよび角度γとそれぞれ異なっているとともに、角度βは角度γと異なっており、本実施の形態においては、図4および図5に示すように、角度α、β、およびγは、α<β<γという関係になっている。
【0056】
このような螺旋シム34上で螺旋ストッパー31を押圧方向に回動させる場合、まず、ストッパー側位置決め穴40a、40b、40cおよびシム側位置決め穴41a、41b、41cに嵌合自在な外径を有するとともに、先端がテーパ状に形成されたテーパーピン(図示せず)を準備する。
【0057】
次に、ストッパー側位置決め穴40a、40b、40cにテーパーピンを挿入する。ここで、図6に示すようにストッパー側位置決め穴40a、40b、40cとシム側位置決め穴41a、41b、41cが配置されている場合には、穴間のずれ量が最も小さいストッパー側位置決め穴40aにテーパーピンを挿入する。このテーパーピンは先端がテーパ状に形成されているため、ストッパー側位置決め穴40aを通ってシム側位置決め穴41aまで挿入される。このことにより、ストッパー側位置決め穴40aとシム側位置決め穴41aとのずれ量に相当する角度だけ螺旋ストッパー31が螺旋シム34に対して押圧方向に回動する。
【0058】
次に、螺旋ストッパー31の回動前に穴間のずれ量が二番目に小さかったストッパー側位置決め穴40bにテーパーピンを挿入する。このことにより、螺旋ストッパー31が螺旋シム34に対して押圧方向に更に回動する。
【0059】
その後、ストッパー側位置決め穴40cにテーパーピンを挿入することにより、螺旋ストッパー31が螺旋シム34に対して押圧方向に更に回動する。このようにして、螺旋ストッパー31を押圧方向に回動することができる。
【0060】
一方、螺旋シム34上で螺旋ストッパー31を解放方向に回動させる場合には、ストッパー側位置決め穴40c、40b、40aおよびシム側位置決め穴41c、41b、41aに順次テーパーピンを挿入することにより、螺旋ストッパー31を解放方向に回動させることができる。
【0061】
このように本実施の形態によれば、テーパーピンをストッパー側位置決め穴40a、40b、40cおよびシム側位置決め穴41a、41b、41cに順次挿入することにより、螺旋ストッパー31を押圧方向に容易に回動させることができる。一方、テーパーピンをストッパー側位置決め穴40c、40b、40aおよびシム側位置決め穴41c、41b、41aに順次挿入することにより、螺旋ストッパー31を解放方向に容易に回動させることができる。このため、楔効果によって内部ケーシング4を外部ケーシング2の内面に確実に押圧することができるとともに、内部ケーシング4の固定および取り外しを容易に行うことができ、蒸気弁1の組立時および解体時の作業性を向上させることができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、螺旋ストッパー31に、3つのストッパー側位置決め穴40a、40b、40cが一つの組として3組設けられるとともに、これらに対応して3つのシム側位置決め穴41a、41b、41cが設けられ、各ストッパー側位置決め穴40a、40b、40cが同一の角度ピッチ(角度α)で形成されている例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、一のストッパー側位置決め穴の中心と螺旋ストッパー31の中心点31cとを結ぶ線分と、このストッパー側位置決め穴に隣接する他のストッパー側位置決め穴の中心と中心点31cとを結ぶ線分とのなす角度が、この一のストッパー側位置決め穴に対応する一のシム側位置決め穴の中心と螺旋シム34の中心点34cとを結ぶ線分と、この他のストッパー側位置決め穴に対応する他のシム側位置決め穴の中心と中心点34cとを結ぶ線分とのなす角度が異なっていれば良く、任意の数のストッパー側位置決め穴およびシム側位置決め穴を設けてもよい。この場合、各ストッパー側位置決め穴は、異なる角度ピッチで形成しても良い。
【0063】
第3の実施の形態
次に、図7および図8により、本発明の第3の実施の形態における蒸気弁について説明する。
【0064】
図7および図8に示す第3の実施の形態の蒸気弁において、螺旋ストッパーの押圧面に複数のストッパー側突出部が周方向に亘って設けられるとともに、螺旋シムの受圧面に、ストッパー側突出部に係合して、螺旋ストッパーの一方向への回動のみを許容する複数のシム側突出部が設けられている点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図7および図8において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0065】
図7および図8に示すように、螺旋ストッパー31の押圧面33に、螺旋シム34側に突出する複数のストッパー側突出部(回動側突出部)50が周方向に亘って設けられている。各ストッパー側突出部50は、解放方向側に形成され、押圧面33に直交する直交面51と、この直交面51よりも押圧方向側に形成され、直交面51に対して傾斜する傾斜面52とを有している。このうち傾斜面52は、基端側が先端側よりも押圧方向側に位置するように傾斜している。
【0066】
螺旋シム34の受圧面35に、螺旋ストッパー31の各ストッパー側突出部50に係合して、螺旋ストッパー31が、解放方向に回動することを係止する複数のシム側突出部(固定側突出部)53が設けられている。各シム側突出部53は、押圧方向側に形成され、受圧面35に直交する直交面54と、この直交面54よりも解放方向側に形成され、直交面54に対して傾斜する傾斜面55とを有している。このうち傾斜面55は、ストッパー側突出部50の傾斜面52に対応するとともに、先端側が基端側よりも押圧方向側に位置するように傾斜している。
【0067】
ストッパー側突出部50の傾斜面52は、対応するシム側突出部53の傾斜面55に当接するとともに、ストッパー側突出部50の直交面51は、シム側突出部53の直交面54に当接している。
【0068】
このように本実施の形態によれば、螺旋シム34上で螺旋ストッパー31を、押圧方向に回動させる場合、ストッパー側突出部50の傾斜面52がシム側突出部53の傾斜面55に摺動しながら、ストッパー側突出部50はシム側突出部53を乗り上げて、乗り越えることができる。しかしながら、ストッパー側突出部50とシム側突出部53とが係合している間、ストッパー側突出部50の直交面51は、シム側突出部53の直交面54に当接しているため、螺旋ストッパー31の解放方向への回動が係止されている。このことにより、螺旋ストッパー31が解放方向に回動することを防止して、螺旋ストッパー31の押圧方向への回動のみを許容することができる。このため、螺旋シム34を介して内部ケーシング4を押圧する力が低減することを防止して、外部ケーシング2と内部ケーシング4とをより一層強固に固定することができる。
【0069】
第4の実施の形態
次に、図9および図10により、本発明の第4の実施の形態における蒸気弁について説明する。
【0070】
図9および図10に示す第4の実施の形態の蒸気弁において、押圧機構が上側傾斜ストッパーと下側傾斜ストッパーとを有し、上側傾斜ストッパーと下側傾斜ストッパーとの間に楔状部材が介在されている点が主に異なり、他の構成は、図1および図2に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図9および図10において、図1および図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0071】
図9および図10に示すように、押圧機構30は、コッター5に係止される係止平面(上面)61と内部ケーシング4側(下方側)に形成された押圧面62とを含む環状の上側傾斜ストッパー(第1押圧部材)60を有している。上側傾斜ストッパー60と内部ケーシング4との間に、上側傾斜ストッパー60側(上方側)に形成された受圧面64と内部ケーシング4の被当接平面8に当接する当接平面65とを含む環状の下側傾斜ストッパー(第2押圧部材)63が介在されている。
【0072】
上側傾斜ストッパー60の押圧面62は、肉厚が内周側に向かって薄くなるように係止平面61に対して傾斜している。同様に、上側傾斜ストッパー63の受圧面64も、肉厚が内周側に向かって薄くなるように当接平面65に対して傾斜している。
【0073】
上側傾斜ストッパー60と下側傾斜ストッパー63との間に、上側傾斜ストッパー60の押圧面62に対応する上側楔面67と、下側傾斜ストッパー63の受圧面64に対応する下側楔面68とを含む楔状部材66が介在されている。この楔状部材66の上側楔面67および下側楔面68は、肉厚が外周側に向かって薄くなるように傾斜している。なお、上側傾斜ストッパー60と下側傾斜ストッパー63との間には3つの楔状部材66が介在されており、各楔状部材66は、コッター5に対応する位置(図6参照)に配置されている。
【0074】
このような各楔状部材66を、外周側に押し込むことにより、楔効果により、下側傾斜ストッパー63を介して内部ケーシング4を押圧するように押圧機構30が構成されている。
【0075】
ここで、上側傾斜ストッパー60の外径および内径は、下側傾斜ストッパー63の外径および内径とそれぞれ略同一となっており、上側傾斜ストッパー60および下側傾斜ストッパー63の外径は、外部ケーシング2の内面の円柱状部分2aの内径と略同一となっている。
【0076】
各楔状部材66の内周側端部69と内部ケーシング4の隆起部9との間に、環状のスペーサ70が介在されている。このことにより、外周側に押し込まれた楔状部材66を確実に保持して、楔状部材66により内部ケーシング4を確実に押圧することができる。
【0077】
図9および図10に示す本実施の形態において蒸気弁1を組み立てる場合、まず、外部ケーシング2に、主弁21、弁棒22、ガイドブッシュ26等が取り付けられた内部ケーシング4が収容される。この収容された内部ケーシング4の被当接平面8に、下側傾斜ストッパー63の当接平面65を当接させて、押圧機構30の下側傾斜ストッパー63が載置される。
【0078】
次に、この下側傾斜ストッパー63の受圧面64に楔状部材66の下側楔面68を当接させて、下側傾斜ストッパー63上に3つの楔状部材66が載置される。この場合、楔状部材66は、この後取り付けられるコッター5の取付位置に対応する位置に載置するとともに、その内周側端部69が内部ケーシング4の隆起部9に当接するように内周側に配置させることが好ましい。このことにより、後に載置される上側傾斜ストッパー60の係止平面61を外部ケーシング2内面の溝部3よりも低い位置にすることができる。
【0079】
次に、楔状部材66の上側楔面67に上側傾斜ストッパー60の押圧面62を当接させて、楔状部材66上に上側傾斜ストッパー60が載置される。
【0080】
次に、外部ケーシング2内面の溝部3にコッター5が取り付けられる。この場合、楔状部材66が内周側に位置しているため、上側傾斜ストッパー60の係止平面61が溝部3よりも低い位置にあり、溝部3にコッター5を容易に取り付けることができる。
【0081】
次に、楔状部材66を、外周側に押し込み、楔状部材66の内周側端部69と内部ケーシング4の隆起部9との間にスペーサ70が挿入される。この場合、楔状部材66が、楔効果により、下側傾斜ストッパー63を介して内部ケーシング4を押圧する。このことにより、内部ケーシング4外面の顎部6が外部ケーシング2内面の段部7に押圧される。
【0082】
その後、上蓋取付ボルト25を用いて、外部ケーシング2の上面に上蓋24が取り付けられ、弁棒22が駆動部23に連結される。その後、外部ケーシング2と内部ケーシング4との間に形成された空隙部11に、蒸気室10を通流する高温高圧の蒸気よりも低温低圧の蒸気が充填され、図9および図10に示す蒸気弁1が組み立てられる。
【0083】
一方、このような蒸気弁1を解体する場合、まず、空隙部11から低温低圧の蒸気が放出される。次に、弁棒22が駆動部23から取り外され、外部ケーシング2の上面から上蓋24が取り外される。
【0084】
次に、スペーサ70が取り外され、楔状部材66の内周側端部69が内部ケーシングの隆起部9に当接するように楔状部材66が内周側に引き出される。このことにより、コッター5と上側傾斜ストッパー60との間に隙間を形成することができる。
【0085】
次に、外部ケーシング2の内面の溝部3からコッター5が取り外される。この場合、コッター5と上側傾斜ストッパー60との間に隙間が形成されているため、コッター5を容易に取り外すことができる。
【0086】
次に、上側傾斜ストッパー60、楔状部材66、および下側傾斜ストッパー63が順次取り外され、その後、内部ケーシング4が主弁21、弁棒22、ガイドブッシュ26等とともに外部ケーシング2から取り外され、蒸気弁1が解体される。
【0087】
このように本実施の形態によれば、楔状部材66を外周側に押し込むことにより、楔効果によって内部ケーシング4を外部ケーシング2の内面に押圧することができる。このことにより、外部ケーシング2と内部ケーシング4とを強固に固定することができる。
【0088】
また本実施の形態によれば、内部ケーシング4を固定する際には、楔状部材66を外周側に押し込み、スペーサ70を取り付けることにより内部ケーシング4を外部ケーシング2に押圧する力を容易に増大させることができる。一方、内部ケーシング4を取り外す際には、スペーサ70を取り外して楔状部材66を内周側に引き出すことにより、コッター5と上側傾斜ストッパー60との間に隙間を形成させて、コッター5を容易に取り外すことができる。このため、内部ケーシング4の固定および取り外しを容易に行うことができ、蒸気弁1の組立時および解体時の作業性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 蒸気弁
2 外部ケーシング
2a 円柱状部分
3 溝部
4 内部ケーシング
5 コッター
6 顎部
7 段部
8 被当接平面
9 隆起部
10 蒸気室
11 空隙部
12 蒸気入口管
13 蒸気入口接続管
14 蒸気入口接続管シールリング
15 蒸気出口管
16 蒸気出口接続管
17 蒸気出口接続管シールリング
20 弁座
21 主弁
22 弁棒
23 駆動部
24 上蓋
25 上蓋取付ボルト
26 ガイドブッシュ
27 ガイドブッシュシールリング
30 押圧機構
31 螺旋ストッパー
31a 厚肉端部
31b 薄肉端部
32 係止平面
33 押圧面
34 螺旋シム
34a 厚肉端部
34b 薄肉端部
35 受圧面
36 当接平面
40a、40b、40c ストッパー側位置決め穴
41a、41b、41c シム側位置決め穴
50 ストッパー側突出部
51 直交面
52 傾斜面
53 シム側突出部
54 直交面
55 傾斜面
60 上側傾斜ストッパー
61 係止平面
62 押圧面
63 下側傾斜ストッパー
64 受圧面
65 当接平面
66 楔状部材
67 上側楔面
68 下側楔面
69 内周側端部
70 スペーサ
100 蒸気タービンプラント
101 ボイラー
101a過熱器
101b再熱器
102 主蒸気管
103 主蒸気止め弁
104 蒸気加減弁
105 高圧タービン
106 高圧排気蒸気管
107 逆止弁
108 再熱蒸気管
109 再熱蒸気止め弁
110 インターセプト弁
111 中圧タービン
112 低圧タービン
113 復水器
114 給水ポンプ
115 高圧バイパス管
116 高圧タービンバイパス弁
117 低圧バイパス管
118 低圧タービンバイパス弁
120 蒸気弁
121 外部ケーシング
122 内部ケーシング
123 コッター
124 蒸気室
125 空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に係合凹部を有する外部ケーシングと、
前記外部ケーシングに収容される内部ケーシングと、
前記外部ケーシングの前記係合凹部に係合して、前記内部ケーシングを係止する係止体と、
前記内部ケーシングに設けられた弁座と、
前記弁座に当接自在な主弁と、
前記主弁に弁棒を介して連結され、主弁を駆動する駆動部と、を備え、
前記係止体と前記内部ケーシングとの間に、当該内部ケーシングを前記外部ケーシングの内面に押圧する押圧機構が介在されていることを特徴とする蒸気弁。
【請求項2】
前記押圧機構は、前記係止体に係止される係止平面と前記内部ケーシング側に形成された押圧面とを含むとともに、周方向に回動自在な環状の回動側押圧部材と、前記回動側押圧部材と前記内部ケーシングとの間に介在され、前記回動側押圧部材の前記押圧面に押圧される受圧面を含む環状の固定側押圧部材とを有し、
前記回動側押圧部材の前記押圧面は、前記係止平面に対して周方向に傾斜するとともに、前記固定側押圧部材の前記受圧面は、当該押圧面に対応するように周方向に傾斜し、
前記回動側押圧部材を周方向に回動させることにより、前記固定側押圧部材を介して前記内部ケーシングを押圧することを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁。
【請求項3】
前記回動側押圧部材に、軸方向に貫通する複数の回動側位置決め穴が設けられ、
前記固定側押圧部材に、前記回動側位置決め穴と略同一円周上に位置し、軸方向に貫通する複数の固定側位置決め穴が設けられ、
前記複数の回動側位置決め穴のうちのいずれか一の回動側位置決め穴の中心と当該一の回動側位置決め穴に隣接する他の回動側位置決め穴の中心との前記回動側押圧部材の中心点に対する周方向角度が、当該一の回動側位置決め穴に対応する一の固定側位置決め穴の中心と当該他の回動側位置決め穴に対応する他の固定側位置決め穴の中心との前記固定側押圧部材の中心点に対する周方向角度が、互いに異なっていることを特徴とする請求項2に記載の蒸気弁。
【請求項4】
前記回動側押圧部材の前記押圧面に、前記固定側押圧部材側に突出する複数の回動側突出部が周方向に亘って設けられ、
前記固定側押圧部材の前記受圧面に、前記回動側押圧部材の前記各回動側突出部に係合し、前記回動側押圧部材の一方向への回動のみを許容する複数の固定側突出部が設けられていることを特徴とする請求項2または3に記載の蒸気弁。
【請求項5】
前記押圧機構は、前記係止体に係止される係止平面と前記内部ケーシング側に形成された押圧面とを含む環状の第1押圧部材と、前記第1押圧部材と前記内部ケーシングとの間に介在され、前記第1押圧部材側に形成された受圧面と前記内部ケーシングに当接する当接平面とを含む環状の第2押圧部材とを有し、
前記第1押圧部材の前記押圧面は、肉厚が内周側に向かって薄くなるように前記係止平面に対して傾斜し、
前記第2押圧部材の前記受圧面は、肉厚が内周側に向かって薄くなるように前記当接平面に対して傾斜し、
前記第1押圧部材と前記第2押圧部材との間に、当該第1押圧部材の前記押圧面に対応する第1楔面と、当該第2押圧部材の前記受圧面に対応する第2楔面とを含む楔状部材が介在され、
前記楔状部材を、外周側に押し込むことにより、前記第2押圧部材を介して前記内部ケーシングを押圧することを特徴とする請求項1に記載の蒸気弁。
【請求項6】
前記内部ケーシングは、前記第2押圧部材の前記当接平面に当接する環状の被当接平面と、前記被当接平面の中心側において当該被当接平面よりも前記楔状部材側に隆起する隆起部とを有し、
前記楔状部材の内周側端部と前記内部ケーシングの前記隆起部との間に、スペーサが介在されていることを特徴とする請求項5に記載の蒸気弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−12640(P2011−12640A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159176(P2009−159176)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】