説明

蒸気調理器

【課題】蒸気によって被加熱物を短時間に加熱調理する。
【解決手段】加熱室2の側壁2aに、接続部22を取り付ける。この接続部22は、調理鍋6を加熱室2内に設置して蒸気供給パイプ56を接続部22に装着すると、過熱蒸気発生部15と調理鍋6とを連通させて、過熱蒸気を調理鍋6に導く。一方、調理鍋6を加熱室2から取り出して蒸気供給パイプ56を接続部22から離脱させると、過熱蒸気発生部15と調理鍋6との間を遮断して、過熱蒸気を蒸気チューブ25側に導く。こうして、調理鍋6内の被加熱物に対して過熱蒸気による焼き調理を行うことができる。その場合、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気は、加熱室2よりも容積が小さい調理鍋6内のみに供給され、調理鍋6に入る程度に小さい上記被加熱物を、少ない過熱蒸気量で短時間にスピード調理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蒸気により加熱調理を行う蒸気調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧しながら被加熱物を加熱調理する器具として、特開平3‐68313号公報(特許文献1)に開示されているように、耐圧鍋内に水と調理物とを入れ、マイクロウェーブで加熱する調理器具がある。
【0003】
上記特許文献1に開示された調理器具では、耐圧鍋と密閉蓋とでなる調理器具本体の上記耐圧鍋内の載置部の下方に水を入れると共に、上記載置部上に調理物を載置して上記密閉蓋を装着する。そして、この調理器具本体を電子レンジの調理部に収容して、電子レンジのスイッチを入れる。そうすると、上記耐圧鍋の外方より照射されるマイクロウェーブは、マイクロウェーブの透過性材質で形成された上記耐圧鍋内に殆ど吸収損失を受けることなく浸透して、上記耐圧鍋内の調理物を内部から加熱する。
【0004】
それと共に、上記耐圧鍋内に浸透したマイクロウェーブによって上記耐圧鍋内の水が沸騰蒸発され、上記沸騰蒸発した蒸気が上記耐圧鍋内に充満して上記調理器具本体内が加圧されると共に、内圧調節弁によって所定圧力に調節されて、上記調理物からの水分の蒸発が防がれる。こうして、上記調理物の表皮における皺の発生が防止され、外観的美観の喪失が無くなる。また、マイクロウェーブを用いることによって、調理時間の短縮が図られる。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の調理器具では、飽くまでも上記調理物を加熱するための熱源はマイクロウェーブであり、上記耐圧鍋内の水が沸騰蒸発した蒸気は、上記調理物からの水分の蒸発を防ぐためのものであり、上記調理物の加熱調理における補助的な機能しか持たない。したがって、上記耐圧鍋内の水が蒸発した蒸気では、蒸し調理や煮込み調理はできないという問題がある。
【0006】
さらに、調理時に補助的に使用される上記蒸気は、上記調理器具本体の上記耐圧鍋に入れた水を、マイクロウェーブによって間接的に加熱することによって発生される。そのため、上記沸騰蒸発した蒸気は、上記耐圧鍋内に充満するもののそれ以上に加熱されることが無く、過熱蒸気とはなり得ない。したがって、上記調理器具では、過熱蒸気によって上記調理物を焼くことにより、焼き調理時に焼き色を付けると共にしっとりとした仕上がり状態を得ることができないという問題がある。
【0007】
尚、上記特許文献1に開示された調理器具において、過熱蒸気を発生させるには、マイクロウェーブだけでは熱量が不足し、上記電子レンジの調理庫内に、上記調理器具本体内の蒸気を加熱するためのヒータを設置し、上記調理器具本体の外から上記調理器具本体を加熱する必要がある。但し、その場合には、上記ヒータは、上記調理器具本体内の水および蒸気を間接的に加熱することになり、過熱蒸気を得るための多量の水を確保し、大きな熱容量を得るためには、上記調理器具本体の容量を大きくする必要があるという問題がある。また、上記マイクロウェーブによって上記調理物を直接加熱する場合に比して、調理時間が長くなってしまうという問題もある。
【0008】
さらには、上記調理器具本体内に予め水が入っているため、調理中に調理の内容に応じて水の量や吸排動作を制御することは不可能であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3‐68313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の課題は、蒸気によって被加熱物を短時間に加熱調理できる蒸気調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の蒸気調理器は、
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室内に出し入れ可能に配置されると共に、上記加熱室の外部から蒸気が供給されて、蒸気による加熱調理を行うための調理容器と、
上記加熱室の外部に設置されると共に、蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
上記蒸気発生装置に連通され、且つ上記加熱室に取り付けられると共に、上記加熱室内に配置された上記調理容器の接続部材が着脱可能になっており、上記接続部材が装着されると上記蒸気発生装置と上記調理容器とを連通させる一方、上記接続部材が離脱すると上記蒸気発生装置と上記調理容器との間を遮断する接続部と
を備えたことを特徴としている。
【0012】
ここで、上記「蒸気」とは、飽和蒸気,不飽和蒸気,過飽和蒸気,飽和過熱蒸気,不飽和過熱蒸気および過飽和過熱蒸気を含む総ての蒸気を指す。
【0013】
上記構成によれば、被加熱物を収納した上記調理容器が上記加熱室内に配置されると共に、上記調理容器の接続部材が上記加熱室に取り付けられた上記接続部に装着されると、上記接続部によって上記蒸気発生装置と上記調理容器とが連通される。したがって、上記蒸気発生装置で発生された蒸気が、上記調理容器内に供給される。こうして、上記蒸気発生装置からの蒸気は、上記加熱室よりも容積が小さい上記調理容器内のみに供給される。そのため、上記調理容器に入る程度に小さい上記被加熱物を、上記調理容器よりも容積が大きい上記加熱室内で上記蒸気発生装置からの蒸気で加熱調理する場合に比して、少ない蒸気量で短時間にスピード加熱調理することができる。
【0014】
特に、上記蒸気が過熱蒸気である場合には、上記調理容器内において少ない過熱蒸気量で短時間に焼き調理を行うことができると共に、美味しそうな焼き色を付け、且つしっとりとした仕上がり状態を得ることができる。したがって、マイクロウェーブによる加熱調理時に、耐圧鍋内の水で発生した蒸気を補助的に用いて、調理物からの水分の蒸発を防ぐ上記特許文献1に開示された従来の調理器具の場合とは異なり、より好ましい仕上がり状態を得ることができる。
【0015】
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記蒸気発生装置の蒸気供給口に一端が接続された接続経路と、
上記接続経路に連通されて、上記蒸気発生装置からの蒸気を上記調理容器に供給するための第1経路と、
上記接続経路に連通されて、上記蒸気発生装置からの蒸気を上記加熱室に供給するための第2経路と
を備え、
上記接続部は、上記接続経路の他端と上記第1経路の一端と上記第2経路の一端とに共通に接続されると共に、上記調理容器の接続部材が装着された場合には、上記接続経路を上記第1経路に切り換え接続する一方、上記調理容器の接続部材が離脱した場合には、上記接続経路を上記第2経路に切り換え接続する経路切換部を有する。
【0016】
この実施の形態によれば、上記加熱室内に上記調理容器が配置されていない場合には、上記接続部の上記経路切換部によって、上記蒸気発生装置に接続された上記接続経路が上記蒸気発生装置からの蒸気を上記加熱室に供給するための上記第2経路に切り換え接続されている。したがって、上記調理容器に入らない程度に大きい上記被加熱物を蒸気によって加熱調理する場合には、上記被加熱物をそのまま上記加熱室に入れることにより、上記蒸気発生装置からの蒸気によって上記被加熱物を加熱調理できる。
【0017】
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記第2経路の他端には、蒸気噴出部が接続されており、
上記蒸気噴出部は、上記加熱室における上記接続部の取り付け位置よりも上側に取り付けられている。
【0018】
上記調理容器に対する上記接続部材の位置は、上記調理容器内の被加熱物に蒸気を効果的に当てることができるように下側に設定されている。したがって、上記加熱室に対する上記接続部の位置も、上記接続部材の位置に合わせて、上下方向中間位置以下に設定されている。この実施の形態によれば、上記第2経路の他端に接続された上記蒸気噴出部を、上記加熱室における上記接続部の取り付け位置より上側に取り付けている。したがって、上記加熱室における上段のトレイに載置された上記被加熱物を加熱調理する場合であっても、上記接続部よりも上側に取り付けられた上記蒸気噴出部から上記被加熱物に蒸気を直接吹き付けて、効率良く加熱調理を行うことができる。
【0019】
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記加熱室内に配置された上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に装着されたことを検知して検知信号を出力する調理容器検知部
を備えている。
【0020】
この実施の形態によれば、使用者によって、上記調理容器を使用する調理容器使用メニューが選択された場合に、上記調理容器検知部からの検知信号に基づいて、上記調理容器が上記加熱室内に配置されて、上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に確実に装着されているか否かを確認することができる。したがって、上記調理容器の上記加熱室内への配置忘れ等を防止することができる。
【0021】
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
使用者によって選択された選択メニューを含む表示情報を表示する表示部と、
上記調理容器検知部からの上記検知信号に基づいて、使用者によって調理容器使用メニューが選択されているにも拘わらず上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に装着されていない場合には、上記表示部に、上記調理容器が上記加熱室内に配置されていないことを表示させる表示制御部と
を備えている。
【0022】
この実施の形態によれば、使用者によって調理容器使用メニューが選択されているにも拘わらず、上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に装着されていない場合には、上記表示制御部によって、上記表示部に上記調理容器が上記加熱室内に配置されていないことを表示させるので、上記調理容器の上記加熱室内への配置忘れを使用者に告知して、上記調理容器の上記加熱室内への配置忘れ等をより確実に防止することが可能になる。
【0023】
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記調理容器は、本体部と蓋部とで構成されており、
上記本体部における互いに対向する2箇所に、上記調理容器を上記加熱室の両側壁間の略中央に配置した場合に、先端が上記加熱室の上記両側壁の近傍に位置する取っ手が設けられており、
上記加熱室における上記両側壁の夫々には、上下方向に併設され且つ水平方向に延在する2つの突出部で構成されると共に、上記調理容器における上記取っ手の先端部をスライド可能に挟持して、上記調理容器を上記接続部に向かって進退可能に案内する案内部が設けられている。
【0024】
この実施の形態によれば、上記調理容器を上記加熱室の上記接続部に向かって進退させる場合には、上記調理容器の上記本体部に設けられた上記取っ手の先端部が、上記加熱室における上記両側壁に設けられた上記案内部によってスライド可能に挟持されて、上記調理容器が案内される。したがって、使用者が、上記調理容器の上記接続部材を上記接続部に装着する際に、上記取っ手を介して上記調理容器が上記案内部に案内されてスムーズに且つ簡単に装着することができる。一方、加熱調理が終了した後に、上記調理容器を上記加熱室から取り出す際に、上記取っ手を介して上記調理容器が上記案内部に案内されてスムーズに取り出すことができる。こうして、高温の上記調理容器を安全に上記加熱室から取り出すことができる。
【0025】
さらに、上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に装着された後も、上記調理容器の取っ手が上記案内部によって把持されて、上記接続部材と上記接続部との接続が確実になる。
【0026】
また、1実施の形態の蒸気調理器では、
上記調理容器は、圧力弁を備えた圧力容器であり、
上記接続部は、上記蒸気発生装置との間および上記調理容器との間を密閉可能な構造になっており、
上記蒸気発生装置は、加圧蒸気を生成するようになっている。
【0027】
この実施の形態によれば、被加熱物を収納した調理容器を加熱室内に配置すると共に、上記調理容器の接続部材が上記接続部に装着されると、上記蒸気発生装置で生成された加圧蒸気が上記調理容器に供給される。したがって、上記調理容器において、上記被加熱物に対する加圧蒸気による加熱調理を行うことができる。その場合、上記被加熱物の水分が少なくなることによって常圧での加熱調理とは違った食感を得ることができると共に、食材が軟らかくなる等の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上より明らかなように、この発明の蒸気調理器は、被加熱物を収納した調理容器が加熱室内に配置されて、上記調理容器の接続部材が上記加熱室に取り付けられた接続部に装着されると、上記接続部によって蒸気発生装置と上記調理容器とが連通されるので、上記蒸気発生装置で発生された蒸気が、上記調理容器内に供給される。こうして、上記蒸気発生装置からの蒸気は、上記加熱室よりも容積が小さい上記調理容器内のみに供給される。したがって、上記調理容器に入る程度に小さい上記被加熱物を、上記調理容器よりも容積が大きい上記加熱室内で上記蒸気発生装置からの蒸気で加熱調理する場合に比して、少ない蒸気量で短時間にスピード加熱調理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の蒸気調理器における調理鍋が設置された場合の正面側から見た縦断面図である。
【図2】図1における調理鍋が設置されていない場合の縦断面図である。
【図3】図1におけるA‐A'矢視断面図である。
【図4】図1におけるB‐B'矢視断面図である。
【図5】調理鍋が設置された状態での接続部の構成を示す図である。
【図6】調理鍋が取り出された状態での接続部の構成を示す図である。
【図7】図1とは異なる蒸気調理器における正面側から見た縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0031】
・第1実施の形態
本実施の形態は、上記「蒸気」の一例としての過熱蒸気によって加熱調理を行う蒸気調理器に関する。
【0032】
図1および図2は、本実施の形態の蒸気調理器における概略構成を示す正面側から見た縦断面図であり、図3および図4は側面側から見た縦断面図である。但し、図1は、加熱室内に調理容器が設置された場合を示し、図2は、加熱室内に調理容器が設置されていない場合を示している。また、図3は、図1におけるA‐A'矢視断面図であり、図4は、図1におけるB‐B'矢視断面図である。
【0033】
図1から図4に示すように、本蒸気調理器は、本体ケーシング1と、本体ケーシング1内に設けられた加熱室2と、過熱蒸気を発生させる蒸気発生装置3と、加熱室2からの空気を取り込んで循環させるコンベクションファン4と、蒸気発生装置3やコンベクションファン4等の動作を制御する制御装置5とを含んでいる。
【0034】
上記加熱室2は、正面側に開口部を有し、側板,底板および天板がステンレス鋼板で構成されている。使用者は、その開口部を通して、加熱室2に被加熱物(図示せず)あるいは上記調理容器としての調理鍋6を入れたり、加熱室2から上記被加熱物あるいは調理鍋6を出したりする。また、加熱室2の周囲には断熱材(図示せず)を配置して、加熱室2内と外部とを断熱している。
【0035】
また、上記加熱室2内には、加熱室2の底板から所定の間隔をあけてステンレス製のトレイ7が置かれている。トレイ7は、加熱室2における左右の側板(側壁)に設けられた上受け棚8により支持されている。そして、トレイ7の上には、ステンレス鋼線で形成された格子状の調理網9が載置され、その調理網9の略中央に上記被加熱物が置かれる。こうして、上記被加熱物は、加熱室2の底板から間隔をあけた状態で加熱室2内に収容されている。尚、加熱室2内に調理鍋6が設置される場合には、図1に示すように、トレイ7および調理網9は取り除かれる。
【0036】
また、上記加熱室2の左右の側壁には、上受け棚8よりも下側に位置する下受け棚10が設けられている。下受け棚10も、上受け棚8と同様に、トレイ7を支持することが可能である。これによって、ユーザは、トレイ7の支持を上受け棚8から下受け棚10に変更して、加熱室2内における上記被加熱物の上下方向の位置を変更できるのである。
【0037】
上記蒸気発生装置3は、水タンク11およびポンプ12と共に加熱室2の横に設置されている。
【0038】
上記蒸気発生装置3は、アルミダイカスト等の金属ダイカストで構成されている。そして、上下方向の中間部に水平方向に延在する段部13を有し、段部13よりも下側が蒸気発生部14となっており、段部13よりも上側が過熱蒸気発生部15となっている。尚、加熱室2における蒸気発生装置3が設置された側の側壁2aに対して垂直方向に測った過熱蒸気発生部15の幅は、蒸気発生部14の上記幅よりも広くなっている。そして、蒸気発生部14には飽和蒸気発生用ヒータ16が設置されており、過熱蒸気発生部15には過熱蒸気発生用ヒータ17が設置されている。また、蒸気発生部14には給水口18が設けられ、過熱蒸気発生部15には蒸気供給口19が設けられている。
【0039】
上記ポンプ12は、水タンク11内の水を給水口18から蒸気発生部14に供給する。蒸気発生部14には水位センサ(図示せず)が設置されており、この水位センサの検出値に応じてポンプ12がオン・オフされて、飽和蒸気発生用ヒータ16が露出しない程度に蒸気発生部14内の水位が制御される。飽和蒸気発生用ヒータ16はシーズヒータを「U」字状に曲げたものである。尚、ポンプ12は、耐圧性に優れ、逆流困難なチューブポンプを用いることが望ましい。
【0040】
こうして、上記蒸気発生部14で発生した飽和蒸気は、上昇して蒸気発生部14の上側に設けられた過熱蒸気発生部15内に進入する。そして、過熱蒸気発生用ヒータ17によって加熱されて過熱蒸気となる。過熱蒸気発生用ヒータ17はシーズヒータをレーストラック状に1回巻き回したものである。
【0041】
上記水タンク11は、水位検知槽20に着脱可能に連結されている。また、水タンク11は、正面側から本体ケーシング1外に取り出せるようになっている。水位検知槽20には水位検知電極21が設置されて、水位検知槽20内の水位、つまり水タンク11内の水位が検知される。尚、水位検知槽20内の水位を検知する手段は、水位検知電極21に限定されるものではなく、水位をこの水位を表す電気信号に変換するものであればよい。
【0042】
上記加熱室2における側壁2aの外面には、蒸気発生装置3の過熱蒸気発生部15と調理鍋6とを接続して連通させる接続部22を設置している。この接続部22は、ドア23を開けて、図1に示すように、調理鍋6を加熱室2内に配置して接続部22に装着した場合には、加熱室2の横に設置されている蒸気発生装置3の過熱蒸気発生部15と調理鍋6とを連通させて、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気を調理鍋6に導く一方、調理鍋6を加熱室2から取り出した場合には、過熱蒸気発生部15と調理鍋6との間を遮断して、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気が調理鍋6に導かれないようにする。
【0043】
上記接続部22における加熱室2側と反対側には、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気を供給する供給口22aが設けられている。一方、加熱室2の側壁2aの外面には、接続部22から供給される過熱蒸気を加熱室2内に吹き出すための箱形の蒸気噴出部24が設置されている。そして、接続部22の供給口22aと蒸気噴出部24とを蒸気チューブ25で接続している。さらに、加熱室2の側壁2aにおける蒸気噴出部24の取付箇所には、加熱室2内と蒸気噴出部24内とを連通すると共に、蒸気噴出部24内の過熱蒸気を加熱室2内に向かって噴射するための噴射ノズル24aが4個設けられている。尚、噴射ノズル24aの個数は、4個に限定されるものではない。
【0044】
したがって、上記調理鍋6を加熱室2から取り出した場合は、図2に示すように、過熱蒸気発生部15から接続部22に供給された過熱蒸気が、蒸気チューブ25および蒸気噴出部24を介して、噴射ノズル24aから加熱室2内に向かって噴射されることになる。そのため、加熱室2内のトレイ7上に被加熱物26を置くことによって、被加熱物26を過熱蒸気によって焼く等の加熱調理が可能になる。
【0045】
また、上記加熱室2の後部が仕切板27で仕切られて、コンベクションファン室28が形成されている。仕切板27には、加熱室2側からコンベクションファン室28側への吸気を行う吸気用通風口29と、コンベクションファン室28側から加熱室2側への送風を行う送風用通風口30とが、設けられている。尚、吸気用通風口29および送風用通風口30は、多数のパンチ孔の集合で形成されている。
【0046】
上記コンベクションファン4は、矩形の仕切板27の略中央部に配置されている。そして、コンベクションファン室28内には、コンベクションファン4を取り囲むように、特許請求の範囲における上記ヒータとして機能するコンベクションヒータ31が設置されている。ここで、仕切板27に設けられた吸気用通風口29はコンベクションファン4の前方に配置されており、送風用通風口30はコンベクションヒータ31に沿って配置されている。上記コンベクションファン4が回転されると、加熱室2内の空気や蒸気が、吸気用通風口29からコンベクションファン室28内に吸い込まれ、コンベクションヒータ31を通って送風用通風口30から加熱室2内に吹き出される。こうして、加熱室2内の空気や蒸気が、撹拌されつつコンベクションファン室28を経由して循環されるのである。
【0047】
その際に、上記コンベクションヒータ31をオンすることによって、加熱室2内を循環する蒸気(過熱蒸気)を加熱することができる。ここで、上記過熱蒸気とは、120℃以上の過熱状態にまで加熱された蒸気を意味する。
【0048】
また、上記加熱室2の一方の側壁2aにおいては、上受け棚8と下受け棚10との間に排気口32が設けられている。そして、加熱室2内の余剰な蒸気は、排気口32から加熱室2外に流れ出る。排気口32には排気経路33の一端が接続されており、排気経路33の他端部は希釈空気経路34に接続されている。
【0049】
上記希釈空気経路34は、一端が希釈ダクト35内に挿入されると共に、他端がファンケーシング36に接続されている。このファンケーシング36内の排気希釈ファン37から希釈ダクト35に空気が送られる。希釈ダクト35の先端には吹出ダクト38が接続されており、排気経路33から本体ケーシング1外へ排出される蒸気は、吸気ダクト39の吸気口39aから取り込まれた外気と、希釈ダクト35内で混合されて希釈される。希釈ダクト35の底部には下方に延在する排水チューブ40の一端が接続されており、希釈ダクト35内で発生した結露水が排水チューブ40によって下方に排出される。
【0050】
また、上記加熱室2の側壁2aにおいては、下受け棚10の上部に給気口41が設けられている。そして、給気口41の近傍に給気ファン42が設置されており、給気ファン42によって取り込まれた空気が、給気口41から加熱室2内に供給されるようになっている。
【0051】
上記排水チューブ40から排出された結露水や、水タンク11を水位検知槽20に対して着脱する際に漏れた水等は、加熱室2の下部に設置された排水トレイ(図示せず)に集められ、本体ケーシング1下部におけるドア23の位置に設置された露受け43に、ドア23に付着した結露水と共に集められる。
【0052】
また、上記加熱室2の下部には、マグネトロン44が配置されている。そして、マグネトロン44で発生したマイクロ波は、導波管45によって加熱室2の下部中央に導かれ、アンテナモータ46によって駆動される回転アンテナ47によって回転されながら加熱室2内の上方に向かって放射されて、トレイ7上の被加熱物26を加熱するようになっている。
【0053】
また、上記加熱室2の下部には冷却ファン48が設置されており、冷却ファン48によって取り込まれた外気が、アンテナモータ46、制御装置5を含む電装部品、給気ファン42、排気希釈ファン37等に、供給されてこれらを冷却する。
【0054】
上記制御装置5は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、および、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等を含んで構成されている。そして、上記CPUは、上記ROMに格納された加熱調理プログラムに従って、上記RAMに格納された参照データおよび各機器から入力される入力データを参照して、使用者によって選択されたメニューの加熱調理処理と、各種データに対する二進加算,論理演算増減および比較等の演算処理等を実行する。尚、上記加熱調理処理の際には、制御装置5は、蒸気発生装置3,コンベクションファン4,コンベクションヒータ31,マグネトロン44,操作部および液晶表示部等を制御する。
【0055】
次に、本実施の形態における上記接続部22について詳細に説明する。図5および図6は、接続部22の構成を示す。但し、図5は、調理鍋6が加熱室2内に設置された状態を示し、図6は、調理鍋6が加熱室2内から取り出された状態を示す。
【0056】
上記接続部22は、接続部本体51および弁シリンダ61で概略構成されている。蒸気発生装置3における過熱蒸気発生部15の蒸気供給口19と接続部本体51の蒸気導入口52とは、接続経路53によって接続されている。そして、接続部本体51および弁シリンダ61には、加熱室2の側壁2aに対して垂直方向に弾性体54が縮装されており、弾性体54における加熱室2側の先端には例えば円錐形の弁座を有する弁体55が取り付けられている。
【0057】
そして、上記調理鍋6の側面に突出して設けられた上記接続部材としての蒸気供給パイプ56が接続部本体51に挿通されると、上記弁体55が押し込まれて第1蒸気供給口57に密着する。こうして、過熱蒸気発生部15と調理鍋6とが連通されて、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気が調理鍋6内にのみ供給される。このように、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気が、接続経路53を経由して調理鍋6内に供給される経路を第1経路と呼ぶ。
【0058】
一方、図6に示すように、上記調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部本体51から引き抜かれると、弾性体54によって弁体55が押し戻されて第2蒸気供給口58に密着する。こうして、過熱蒸気発生部15と加熱室2とが蒸気チューブ25および蒸気噴出部24を介して連通されて、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気が加熱室2内にのみ供給される。このように、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気が、接続経路53を経由して加熱室2内に供給される経路を第2経路と呼ぶ。
【0059】
すなわち、本実施の形態においては、上記弁体55および弾性体54と、弾性体54に挿通された弁軸62とによって、特許請求の範囲における上記経路切換部を構成するのである。但し、上記経路切換部は、これに限定されるものではなく、調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部22の接続部本体51に挿通されたことを検知して、接続経路53に接続された供給口を、第1蒸気供給口57に接続された第1吐出口と第2蒸気供給口58接続された第2吐出口とに切り換え接続する電動三方弁であってもよい。
【0060】
尚、上記第1蒸気供給口57および第2蒸気供給口58の縁にはパッキン59,60が設けられており、弁体55が第1蒸気供給口57および第2蒸気供給口58に密着した際に、弁体55と第1蒸気供給口57および第2蒸気供給口58との間を密閉するようになっている。
【0061】
また、上記接続部本体51における第1蒸気供給口57には、加熱室2の側壁2aに対して垂直方向に延在して接続部22を構成する円筒状の弁シリンダ61の一端が接続されている。さらに、弁シリンダ61の他端には供給口22aが設けられ、蒸気チューブ25の一端が接続されている。そして、この弁シリンダ61の内壁面には、弾性体54の上記先端とは反対側の基端が固定されている。弁シリンダ61内には一端に弁体55が取り付けられると共に、弾性体54に挿通された弁軸62が配設されている。この弁軸62の他端には上記調理容器検知部としての磁石63が設置されており、弁軸62および磁石63は、弁体55の進退に伴って、弁シリンダ61内を、弁体55の進退方向と同方向に進退するようになっている。さらに、弁シリンダ61の外壁面には、調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部本体51に挿通されて磁石63が最後端位置にあることを、接続部22の機密性を保ちつつ検知して、検知信号を制御装置5に出力する上記調理容器検知部としてのリードスイッチ64が設置されている。
【0062】
そして、上記リードスイッチ64が、磁石63が最後端位置にあることを検知して、つまり調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部22に挿通されたことを検知して検知信号を制御装置5に出力すると、制御装置5は、上記検知信号に基づいて、使用者によって選択された調理メニューの情報と蒸気供給パイプ56の接続部22への挿通の有無情報とを比較し、調理鍋6を使用する調理鍋使用メニューが選択されているにも拘わらず調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部22に挿通されていない場合には、上記液晶表示部等を制御して、調理鍋6が加熱室2内に配置されていないことを表示して使用者に告知する。あるいは、調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部22に挿通された場合に、上記調理鍋使用メニューが選択されたことを表示して使用者に告知してもよい。
【0063】
したがって、使用者による上記調理鍋6の加熱室2内への設置忘れを防止することができる。調理鍋6を必要とする過熱蒸気調理メニューを選択した場合に、調理鍋6を使用しない場合には、過熱蒸気が噴射ノズル24aから加熱室2内全体に噴射されるため、少ない過熱蒸気で短時間に被加熱物を加熱調理することができず、エネルギーと時間とが無駄になる。本実施の形態によれば、このようなことを未然に防ぐことが可能になる。
【0064】
尚、上述したように、本実施の形態においては、上記調理容器検知部を磁石63とリードスイッチ64とで構成している。その際には、磁石63およびリードスイッチ64の耐熱性を確保するために、上記第2経路を介して蒸気発生装置3から加熱室2内に供給される蒸気は、120℃より低い飽和蒸気である必要がある。これに対して、加熱室2内で過熱蒸気を必要とする場合には、コンベクションファン4を回転すると共に、コンベクションヒータ31をオンすることによって、過熱蒸気を生成すればよい。勿論、上記調理容器検知部を、リミットスイッチ等の耐熱性を有する部品で構成した場合には、上記第2経路を介して加熱室2内に供給される蒸気は、120℃以上の過熱蒸気であっても差し支えない。
【0065】
ところで、上記調理鍋6に対する蒸気供給パイプ56の位置は、調理鍋6内の被加熱物に過熱蒸気を効果的に当てることができるようになるべく下側に設定されている関係上、加熱室2の側壁2aに設置される接続部22の位置が、どうしても上受け棚8よりも僅かに低い位置になる。そして、上記接続部が、調理鍋6の蒸気供給パイプ56を着脱させる機能しか持たず、蒸気経路の切換機能を持たない場合には、調理鍋6の蒸気供給パイプ56を上記接続部から離脱させると、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気は、上記接続部から、つまり上受け棚8よりも僅かに低く、且つ下受け棚10よりも高い位置から、加熱室2内に噴き出されることになる。
【0066】
したがって、図2に示すように、上記過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気によって、上受け棚8あるいは下受け棚10で支持されているトレイ7に載置された被加熱物26を加熱調理する場合に、過熱蒸気を直接被加熱物26に噴射することができない。そこで、過熱蒸気を被加熱物26に当てるためにコンベクションファン4を駆動させて加熱室2内の蒸気を循環させる必要がある。したがって、その場合には、過熱蒸気を被加熱物26に直接吹き付ける場合よりも被加熱物26の加熱効率が低下してしまう。このことは、特に、過熱蒸気発生用ヒータ17をオフして、被加熱物26に対して、蒸気発生装置3からの飽和蒸気を供給して蒸し調理を行う場合に顕著である。
【0067】
そこで、本実施の形態においては、上述したように、蒸気発生装置3からの蒸気を加熱室2内にのみ供給する上記第2経路を、蒸気チューブ25によって構成し、上記第2経路の先端に設けられる蒸気噴出部24の設置位置を、図2に示すように、接続部22の設置位置よりも高い位置、より具体的には上受け棚8よりも僅かに上方の位置としている。こうすることによって、上受け棚8で支持されているトレイ7に載置された被加熱物26に対して、蒸気発生装置3からの蒸気を直接吹き付けて、効率良く蒸し調理を行うことができるのである。
【0068】
但し、上記蒸気噴出部24の設置位置は、上述した上受け棚8よりも僅かに上方の位置に限定されるものではない。すなわち、上受け棚8あるいは下受け棚10で支持されているトレイ7上に載置された被加熱物26に対して、蒸気発生装置3からの過熱蒸気あるいは飽和蒸気によって焼きあるいは蒸し等の加熱調理を行うのに好適な位置であれば、何れの位置であっても差し支えないのである。
【0069】
以上のごとく、本実施の形態においては、上記加熱室2における蒸気発生装置3側の側壁2aに、接続部22を取り付けている。この接続部22は、調理鍋6を加熱室2内に設置し、調理鍋6の蒸気供給パイプ56を接続部22の接続部本体51に装着すると、過熱蒸気発生部15と調理鍋6とを連通させて、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気を調理鍋6に導く。一方、調理鍋6を加熱室2から取り出し、調理鍋6の蒸気供給パイプ56を接続部22の接続部本体51から離脱させると、過熱蒸気発生部15と調理鍋6との間を遮断して、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気を蒸気チューブ25側に導くようになっている。
【0070】
したがって、本実施の形態によれば、上記被加熱物が入れられた調理鍋6の蒸気供給パイプ56を接続部22の接続部本体51に装着すれば、上記被加熱物に対する過熱蒸気による焼き調理を行うことができる。その場合、過熱蒸気発生部15からの過熱蒸気は、加熱室2よりも容積が小さい調理鍋6内のみに供給される。さらに、コンベクションヒータ31およびコンベクションファン4を駆動することによって、調理鍋6自体を外側から加熱することができる。そのため、調理鍋6に入る程度に小さい上記被加熱物を、調理鍋6よりも容積が大きい加熱室2内のトレイ7上に載置して、蒸気噴出部24から加熱室2内に供給される過熱蒸気で加熱調理する場合に比して、少ない過熱蒸気量で短時間にスピード調理することが可能になるのである。
【0071】
然も、上記被加熱物を過熱蒸気によって焼き調理を行うので、焼き調理時に焼き色を付けると共に、しっとりとした仕上がり状態を得ることができる。したがって、マイクロウェーブによる加熱調理時に、耐圧鍋内の水で発生した蒸気を補助的に用いて、調理物からの水分の蒸発を防ぐ上記特許文献1に開示された従来の調理器具の場合とは異なり、より好ましい仕上がり状態を得ることができる。
【0072】
また、上記調理鍋6の蒸気供給パイプ56を接続部22の接続部本体51から離脱させれば、加熱室2内の大きな被加熱物26に対して過熱蒸気による焼き調理を行うことができるのである。
【0073】
さらに、本実施の形態においては、上記調理鍋6を加熱室2から取り出す際に、調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部22から離脱すると、弁体55によって第2蒸気供給口58を密閉するようにしている。したがって、使用者が、調理終了時に調理鍋6を加熱室2から取り出す場合に、過熱蒸気発生部15からの蒸気が加熱室2内に噴き出すことを防止でき、調理鍋6を加熱室2に対して安全に出し入れすることができる。
【0074】
さらに、本実施の形態においては、上記蒸気発生装置3からの蒸気を加熱室2内にのみ供給する上記第2経路の先端に設けられる蒸気噴出部24の設置位置を、上受け棚8よりも下側にある接続部22の設置位置よりも高い位置に設定している。したがって、調理鍋6の蒸気供給パイプ56を接続部22の接続部本体51から離脱させて、加熱室2内の被加熱物26に対して過熱蒸気による焼き調理を行う場合に、上受け棚8で支持されているトレイ7に載置された被加熱物26に対して蒸気発生装置3からの過熱蒸気を直接吹き付けて、効率良く加熱調理を行うことができる。
【0075】
さらに、本実施の形態においては、上記接続部22における弁シリンダ61内を進退すると共に、一端に弁体55が取り付けられた弁軸62の他端には、磁石63が設置されている。一方、弁シリンダ61の外壁面には、リードスイッチ64が設置されている。そして、リードスイッチ64によって、調理鍋6の蒸気供給パイプ56が接続部22に挿通された際に最後端位置にある磁石63を検知して、検知信号を制御装置5に出力するようにしている。したがって、制御装置5によって上記液晶表示部等を制御して、調理鍋6を使用する調理鍋使用メニューが選択されたにも拘わらず、調理鍋6が加熱室2内に配置されていないことを表示して、使用者による調理鍋6の加熱室2内への配置忘れを防止することができる。
【0076】
以上においては、上記調理鍋6あるいは加熱室2において、過熱蒸気によって焼き調理を行う場合を例に説明を行った。しかしながら、飽和蒸気によって蒸し調理を行う場合には、過熱蒸気発生用ヒータ17をオフすればよい。
【0077】
但し、この発明の蒸気調理器の熱源は、上記「過熱蒸気」および上記「飽和蒸気」に限定されるものではなく、飽和蒸気,不飽和蒸気,過飽和蒸気,飽和過熱蒸気,不飽和過熱蒸気および過飽和過熱蒸気を含む総ての蒸気を用いることが可能である。
【0078】
尚、上記調理鍋6内に供給される過熱蒸気だけでは熱量が不足する場合には、コンベクションヒータ31をオンにしてコンベクションファン4を駆動することによって、不足する熱量を補助することが望ましい。
【0079】
また、本実施の形態においては、上記加熱室2の後部を仕切板27で仕切ったコンベクションファン室28にコンベクションファン4を設置し、コンベクションファン4を回転することによって加熱室2内の空気や蒸気を循環するようにしている。しかしながら、この発明はこれに限定するものではなく、加熱室2に蒸気吹出口と蒸気吸込口とを設け、上記蒸気吹出口と上記蒸気吸込口とを循環ファンを内蔵した循環ダクトで接続して循環経路を形成し、過熱蒸気発生部15と上記循環経路とを接続部22および蒸気チューブ25を介して連通してもよい。その場合には、上記第2経路は、過熱蒸気発生部15からの蒸気が接続経路53を経由して上記循環経路内に供給される経路となる。
【0080】
また、本実施の形態においては、上記接続部22は機密性の高い切換ジョイント構造を有している。そこで、蒸気発生部14,過熱蒸気発生部15,接続部22および接続経路を溶接等によって一体に構成する。さらに、ポンプ12を圧力に強く逆流が困難なチューブポンプとし、調理鍋6を耐圧用の圧力鍋とすることによって、ポンプ12から調理鍋6までを耐圧構造にする。そして、蒸気発生部14で発生した飽和蒸気を、蒸気発生部14内に充満させることによって加圧し、過熱蒸気発生部15で高圧の飽和蒸気を加熱することによって、高圧の過熱蒸気を生成して調理鍋6に供給することが可能になり、加圧過熱蒸気による加熱調理が可能になる。その場合には、調理鍋6の内部圧が一定圧を超えないようにするために、調理鍋6には圧力弁6aが取り付けられている。
【0081】
ここで、上記高圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合には、少ない水分で焼き調理が行われるため、常圧の過熱蒸気によって焼き調理を行った場合とは違った食感が得られるという特徴がある。さらに加えて、食材が軟らかくなり、食材内部の昇温速度が速くなるという特徴がある。
【0082】
また、高圧の飽和蒸気によって蒸し調理あるいは煮込み調理を行った場合には、加圧によって被加熱物の沸点が上がるので、短時間で調理が終了し、食材が軟らかくなるという特徴がある。
【0083】
・第2実施の形態
上記第1実施の形態において、上記調理鍋6を加熱室2内に設置する場合に、常に、加熱室2内における所定の位置に固定して設置することが、調理鍋6の蒸気供給パイプ56と接続部22との接続を確実にするためには望ましい。また、調理鍋6を加熱室2内から取り出す際の安全性を高める上でも望ましい。
【0084】
図7は、本実施の形態の蒸気調理器における概略構成を示す正面側から見た縦断面図である。但し、図7においては、上記蒸気調理器としては加熱室のみを記載し、他は省略して、模式的に描いている。
【0085】
図7において、71は加熱室であり、72は循環ユニットである。上記循環ユニット72は、循環ファン73を有して、加熱室71内の気体を加熱室71の上部に設置された循環ダクト74を介して循環させるようになっている。また、本実施の形態の蒸気調理器では、蒸気発生装置(図示せず)で発生した飽和蒸気を過熱蒸気発生装置(図示せず)で加熱して過熱蒸気が生成される。
【0086】
上記加熱室71内には、上記調理容器としての調理鍋75が設置される。そして、調理鍋75には上記接続部材としての蒸気供給パイプ76が設けられており、この蒸気供給パイプ76が加熱室71の後壁に設けられた接続部77に装着されることによって、上記生成された過熱蒸気が接続部77から調理鍋6内に供給されて、調理鍋75内の被加熱物が加熱調理される。一方、調理鍋75の蒸気供給パイプ76が接続部77から引き抜かれると、上記生成された過熱蒸気は、循環ユニット72および循環ダクト74を含む循環経路に供給される。その場合における接続部77による蒸気経路の切換機構は、上記第1実施の形態で述べた通りである。
【0087】
上記調理鍋75は、本体部78と蓋部79とで構成される。そして、本体部78の上端部における互いに対向する2箇所には、調理鍋75を加熱室71に対して出し入れする際に用いられる取っ手80,81が設けられている。この取っ手80,81は、調理鍋75を加熱室71の略中央に設置した場合に、その先端が加熱室71の両側壁71a,71bの近傍に至るように形成されている。
【0088】
一方、上記加熱室71における一側壁71aには、上下方向に併設されると共に、前後方向に延在する2つの突出部82a,82bが、絞り加工等によって形成されている。同様に、加熱室71における他側壁71bにも、上下方向に併設された2つの突出部83a,83bが形成されている。その際に、突出部82a,82bの間には、加熱室71の底に設けられたフラットセラミック84に調理鍋75が載置された場合に、調理鍋75の取っ手80の先端部が、密着して前後方向にスライド可能な程度の隙間が形成されている。同様に、突出部83a,83bの間にも、取っ手81の先端部が密着して前後方向にスライド可能な程度の隙間が形成されている。
【0089】
上記構成において、上記調理鍋75によって過熱蒸気による調理を行う場合には、操作者は、加熱室71のドアを開け、被加熱物を入れた調理鍋75の取っ手80,81を持って、調理鍋75を加熱室71のフラットセラミック84に載置する。さらに、取っ手80の先端部を、加熱室71の一側壁71aに設けられた2つの突出部82a,82bの間に手前から後方に向かって押し込む。それと同時に、取っ手81の先端部を、加熱室71の他側壁71bに設けられた2つの突出部83a,83bの間に手前から後方に向かって押し込む。
【0090】
こうして、上記調理鍋75の取っ手80,81の先端部が突出部82a,82bおよび突出部83a,83bによってスライド可能に挟持されて案内され、調理鍋75が加熱室71のフラットセラミック84上を後方に向かって押し込まれると蒸気供給パイプ76の先端が接続部77に至り、そのまま蒸気供給パイプ76が接続部77に装着される。すなわち、本実施の形態においては、突出部82a,82bおよび突出部83a,83bで、上記特許請求の範囲における上記案内部を構成するのである。
【0091】
したがって、使用者が、上記調理鍋75の蒸気供給パイプ76を加熱室71の接続部77に装着する際に、取っ手80,81が突出部82a,82bおよび突出部83a,83bに案内されてスムーズに且つ簡単に装着することができる。一方、加熱調理が終了した後に、調理鍋75を加熱室71から取り出す際にも、取っ手80,81が突出部82a,82bおよび突出部83a,83bに案内されてスムーズに取り出すことができる。こうして、高温高圧の調理鍋75を安全に加熱室71から取り出すことができる。さらに、上記調理鍋75の蒸気供給パイプ76が接続部77に装着された後も、調理鍋75の取っ手80,81が突出部82a,82bおよび突出部83a,83bによって把持されて、蒸気供給パイプ76と接続部77との接続が確実になる。
【0092】
以上においては、上記調理鍋75あるいは加熱室71において、過熱蒸気によって加熱調理を行う場合を例に説明を行った。しかしながら、過熱蒸気発生用ヒータ(図示せず)をオフして、飽和蒸気によって蒸し調理を行う場合も同様である。
【0093】
但し、この発明の蒸気調理器の熱源は、上記「過熱蒸気」および上記「飽和蒸気」に限定されるものではなく、飽和蒸気,不飽和蒸気,過飽和蒸気,飽和過熱蒸気,不飽和過熱蒸気および過飽和過熱蒸気を含む総ての蒸気を用いることが可能である。
【符号の説明】
【0094】
1…本体ケーシング、
2,71…加熱室、
3…蒸気発生装置、
4…コンベクションファン、
5…制御装置、
6,75…調理鍋、
6a…圧力弁
7…トレイ、
11…水タンク、
12…ポンプ、
14…蒸気発生部、
15…過熱蒸気発生部、
16…飽和蒸気発生用ヒータ、
17…過熱蒸気発生用ヒータ、
22,77…接続部、
23…ドア、
24…蒸気噴出部、
24a…噴射ノズル、
25…蒸気チューブ、
26…被加熱物、
28…コンベクションファン室、
29…吸気用通風口、
30…送風用通風口、
31…コンベクションヒータ、
51…接続部本体、
52…蒸気導入口、
53…接続経路、
54…弾性体、
55…弁体、
56,76…蒸気供給パイプ、
57…第1蒸気供給口、
58…第2蒸気供給口、
59,60…パッキン、
61…弁シリンダ、
62…弁軸、
63…磁石、
64…リードスイッチ
72…循環ユニット、
73…循環ファン、
74…循環ダクト、
78…調理鍋の本体部、
79…調理鍋の蓋部、
80,81…取っ手、
82a,82b,83a,83b…突出部、
84…フラットセラミック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理を行うための加熱室と、
上記加熱室内に出し入れ可能に配置されると共に、上記加熱室の外部から蒸気が供給されて、蒸気による加熱調理を行うための調理容器と、
上記加熱室の外部に設置されると共に、蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
上記蒸気発生装置に連通され、且つ上記加熱室に取り付けられると共に、上記加熱室内に配置された上記調理容器の接続部材が着脱可能になっており、上記接続部材が装着されると上記蒸気発生装置と上記調理容器とを連通させる一方、上記接続部材が離脱すると上記蒸気発生装置と上記調理容器との間を遮断する接続部と
を備えたことを特徴とする蒸気調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気調理器において、
上記蒸気発生装置の蒸気供給口に一端が接続された接続経路と、
上記接続経路に連通されて、上記蒸気発生装置からの蒸気を上記調理容器に供給するための第1経路と、
上記接続経路に連通されて、上記蒸気発生装置からの蒸気を上記加熱室に供給するための第2経路と
を備え、
上記接続部は、上記接続経路の他端と上記第1経路の一端と上記第2経路の一端とに共通に接続されると共に、上記調理容器の接続部材が装着された場合には、上記接続経路を上記第1経路に切り換え接続する一方、上記調理容器の接続部材が離脱した場合には、上記接続経路を上記第2経路に切り換え接続する経路切換部を有する
ことを特徴とする蒸気調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気調理器において、
上記第2経路の他端には、蒸気噴出部が接続されており、
上記蒸気噴出部は、上記加熱室における上記接続部の取り付け位置よりも上側に取り付けられている
ことを特徴とする蒸気調理器。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか一つに記載の蒸気調理器において、
上記加熱室内に配置された上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に装着されたことを検知して検知信号を出力する調理容器検知部
を備えたことを特徴とする蒸気調理器。
【請求項5】
請求項4に記載の蒸気調理器において、
使用者によって選択された選択メニューを含む表示情報を表示する表示部と、
上記調理容器検知部からの上記検知信号に基づいて、使用者によって調理容器使用メニューが選択されているにも拘わらず上記調理容器の上記接続部材が上記接続部に装着されていない場合には、上記表示部に、上記調理容器が上記加熱室内に配置されていないことを表示させる表示制御部と
を備えたことを特徴とする蒸気調理器。
【請求項6】
請求項1から請求項5までの何れか一つに記載の蒸気調理器において、
上記調理容器は、本体部と蓋部とで構成されており、
上記本体部における互いに対向する2箇所に、上記調理容器を上記加熱室の両側壁間の略中央に配置した場合に、先端が上記加熱室の上記両側壁の近傍に位置する取っ手が設けられており、
上記加熱室における上記両側壁の夫々には、上下方向に併設され且つ水平方向に延在する2つの突出部で構成されると共に、上記調理容器における上記取っ手の先端部をスライド可能に挟持して、上記調理容器を上記接続部に向かって進退可能に案内する案内部が設けられている
ことを特徴とする蒸気調理器。
【請求項7】
請求項1に記載の蒸気調理器において、
上記調理容器は、圧力弁を備えた圧力容器であり、
上記接続部は、上記蒸気発生装置との間および上記調理容器との間を密閉可能な構造になっており、
上記蒸気発生装置は、加圧蒸気を生成するようになっている
ことを特徴とする蒸気調理器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate