説明

蒸発装置および被覆材料を蒸発する方法

【解決手段】 本発明は、充填可能な坩堝に被覆材料が蒸発の目的で配置され、そして被覆装置の一部として真空室中に配置されている、被覆材料を蒸発させるための蒸発装置において、蒸発装置(1)が真空弁(9)を介して減圧可能な装填室(8)に連結されている蒸発室(2)を有し、該蒸発室(2)中には被覆材料(5)を充填可能な坩堝(6)を収容する蒸発器(3)を配備しそして該蒸発器が蒸気排出側で、即ち蒸着室に面する側で、第一の蒸気遮断弁(4)を介して蒸着室に連結されていることを特徴とする、蒸気蒸発装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆装置の一部として真空室中に配置されている、被覆材料を蒸発させるための蒸発装置であって、被覆材料が蒸発の目的で充填可能な坩堝に配置されている該装置に関する。
【0002】
更に本発明は、真空室中の基体を被覆する熱的な真空被覆法に役立つ、被覆材料の蒸発法に関する。
【背景技術】
【0003】
真空中で熱的に蒸発被覆するための色々な被覆装置および被覆法が公知である。例えば欧州特許出願公開第0,735,157号明細書にはマグネシウム(Mg)を蒸発させる方法が開示されている。この方法によればMg−源を狭い開口および該開口の外側に配置された反射板を備えた容器中に収容している。この容器は670℃〜770℃の温度に加熱され、Mg−源が溶融されそしてその際にMgが蒸発される。流出する際にクラスターおよびスプラッシュが反射板の所で500℃またはそれ以上で崩壊しそしてMg−蒸気が少なくとも500℃に加熱されたチャンネルを通って容器の放出口から、チャンネル出口に位置するシート状基体にまで案内される。
【0004】
静的方法による装置と連続的方法による装置との間には一般に相違がある。静的方法の場合には基体供給が不連続的に行われそして規則的な基体交換が後続の蒸着工程のために新しい被覆材料を規則的にストックすることを可能とするが、連続法の場合には基体が被覆装置に絶えず搬送される。この様な連続被覆装置は一般にセンチメートルからメーターの範囲のベルト幅を有するベルト状鋼鉄製基体を被覆するのに役立つ。この場合には、連続法を中断しないためにおよびかゝる装置を経済的に利用するために、少なくとも一つの基体単位、例えば一つのロールを中断なく蒸着するのに十分な量の被覆材料を被覆装置にストックすることが必要である。
【0005】
蒸発装置は一般に被覆装置に組み込まれておりそして単一室−原理(single-chamber principle)で運転される。この目的のためには蒸発装置は真空室中で蒸発室に直接的に連結されている。被覆材料のストックが蒸発装置で消費された場合には、真空室全体を通気されそして開放される。蒸発装置の充填後に真空室を閉じ、減圧しそして加熱しそして被覆材料を蒸発させる。真空室全体の開放は、特にプロセス条件を調整するために長い時間を要するために、停止時間の割合が比較的に多いことを意味する。
【0006】
同様に、かゝる方法手順では残留するガス状被覆材料が通気および冷却の際に真空室全体の壁に析出しそしてそれ故に掃除および維持のために多大な費用が掛かるという欠点もある。この必要とされる維持時間も停止時間の割合を増やしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故に、本発明の課題は、停止時間を減少させそして掃除および維持の間隔が長くされた蒸発装置および真空被覆のために被覆材料を蒸発させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によればこの課題は、蒸発装置が真空弁を介して減圧可能な装填室に連結されている蒸発室を有し、該蒸発室中には被覆材料を充填可能な坩堝を収容する蒸発器を配備しそして該蒸発器が蒸気排出側で、即ち蒸着室に面する側で、第一の蒸気遮断弁を介して蒸着室に連結されることによって解決される。
【0009】
蒸発室と減圧可能な装填室を連結できることによって、新たな被覆材料をストックするための蒸発室の換気が必要なく、その結果蒸発装置に対する環境からの汚染が確実に回避されそしてこの手段によって既に待機経費を低減することができる。本発明によれば、充填するために真空弁を開くことにより、蒸発室の減圧条件が減圧された装填室にまで至り、該装填室に場合によっては新しい被覆材料が真空弁を開くことによって供給される。
【0010】
蒸発装置と被覆装置との間の蒸気の搬送に関与していない領域における装填室を経ての蒸発室への充填は第一に真空気密弁の配置を可能とする。何故ならばこの領域においては空気およびプロセスガスは遮断されそして蒸気状被覆材料は遮断するべきでないからである。この重要な状況は、真空室内部の蒸発器の本発明に従う配置のためにおよび蒸気発生および蒸気析出の動的システムから生じる蒸気搬送方向のために、蒸気状被覆材料は殆ど完全に蒸発器に残留しそして減圧室中に侵入しないから保証される。この目的のためには、請求項1に従って蒸発器は蒸発室に組み入れ、被覆材料の入った坩堝を取り囲む蒸発室中において該蒸発室の一部容積を構成している。
【0011】
この長所は、蒸発器が装填する側に、即ち装填室に隣接する側に第二の蒸気遮断弁を設けている特に有利な実施態様によって強化される。この解決法の場合には、蒸発器が閉じられた状態で運転されそして蒸発室によって空間的に気密に分離されて、その結果蒸発した被覆材料が蒸発室に達することができないことが保証される。
【0012】
いずれの場合にも本発明の装置は蒸発室の外壁に被覆材料が沈着するのを著しく低減することを可能とする。新たにストックすることに関連しての蒸発装置をクールダウンすることが必然的に材料の沈着をもたらすが、これは主として蒸発器の壁で行われ、それは後続の蒸発器の加熱の際に再び蒸発され、その際にここでも第二の蒸気遮断弁で充填側を択一的に閉じることで更に良好な遮蔽が可能となる。
【0013】
これを達成するためには、第二の蒸気遮断弁を新しい被覆材料をストックするために蒸発器の冷却後に始めて開放し、凝縮物も蒸発器でのみ形成され、そして加熱前に再び閉じると、結果として蒸発された材料は包囲する蒸発室では発生しない。
【0014】
他の実現可能な長所は蒸発器がチューブ状に設計されることにある。この場合には、管状の蒸発器の長手方向の範囲が直径に比べて大きい。更に蒸発器の内径が蒸発器内に導入されていてもよい坩堝の外径に一致している。即ち蒸発器が坩堝をぴったりと取り囲んでいる。従って蒸発器をできるだけ小さくしそしてそれ故に効果的に加熱することができる。
【0015】
一つの実施態様においては、蒸発器の第二の蒸気遮断弁が遮蔽板として設計されている。この遮蔽板は、蒸発器に坩堝を導入できる開口の所で、蒸発器が坩堝を既に完全に収容した時に好ましくはその場所で閉鎖する。
【0016】
この解決法の意図は蒸発器が、確実に二つの空間的に分離された開口を有し、その際に一つの開口は蒸気排出側に配置されそして第二の開口はこれと反対側に、従って冷たい側に配置されている。第一の蒸気遮断弁は蒸気排出側の開口の所にそして第二の蒸気遮断弁は充填側の開口の所にあり、その機能は有利に充填するために遮蔽板によって発揮される。蒸発器中の坩堝の導入状態で坩堝は実質的に一方の端からもう一方の端までの範囲内にある。坩堝上の装填室に配置された遮蔽板は例えば中空円筒状物または中空プリズムとして設計されている蒸発器の底面に実質的に相当する。
【0017】
別の有利な実施態様においては、装填室は蒸発室の原料供給側に向って両方の室の長手軸に対し平行な方向にまたは横手軸に対して平行な方向で配置する。この様に坩堝の直線的移動が移動距離の最少化を達成することができる。
【0018】
蒸発器の周りに加熱装置を配置するのも有利である。それによって蒸発器の内部空間への均一な熱供給が提供される。加熱器は坩堝近傍あるいは被覆材料近傍にできるだけ近くに配置し、熱放射損失を最小限にする。更に加熱装置は例えば良好に調整するために好ましくは電気的に運転してもよい。
【0019】
本発明の他の有利な変法は、蒸発器を蒸発器−および/または坩堝運搬装置に取り付けそして更に蒸発器を坩堝と一緒に蒸発器運搬装置によってまたは坩堝自体を坩堝運搬装置によって装填室の配置方向において両方向に可動性でありそして蒸発室および装填室中で取り得る休止状態に対応して位置を変動し得るものである。この様に坩堝および蒸発器が大きさ次第でおよび空間条件次第で坩堝または坩堝を有する蒸発器が蒸発器室と装填室との間を正確に移動しそしてその間に位置する。蒸発室から蒸発器全体を除くことが、坩堝運搬装置の存在に無関係に、例えばメンテナンスの目的でまたは蒸発器の完全交換のために有益である。
【0020】
別の一つの実施態様は、坩堝を坩堝運搬装置によって装填室の配置方向に対して横方向で両方向に可動できそして蒸発器あるいは装填室で取る休止状態に関して位置を変動することができ、それによって例えば1つ以上の坩堝の位置の修正または変更をそれぞれの室で行うことができることに特徴がある。
【0021】
別の長所は、坩堝または坩堝運搬装置の所に遮蔽板を配置しそして蒸発器の原料供給側の開口を遮蔽板によって封鎖可能とし、この様にして同時に坩堝の位置を用いて蒸発器を原料供給側で気密に封鎖する一つの実施態様から明らかである。
【0022】
追加的な実施態様は、蒸発器および/または装填室の坩堝を移動可能に位置調整するために蒸発器運搬装置あるいは坩堝運搬装置がスライドローラーおよび/またはスライドレールを装備するかまたは坩堝運搬装置の位置調整のために蒸発器および/または装填室がスライドローラーおよび/またはスライドレールを装備するように構成されている。それぞれの運搬装置の直線的移動は、このスライドローラーおよび/またはスライドレールによって、装填室から蒸発器に亙る、坩堝の運搬領域内で実施される。この様に設計された 各運搬装置は坩堝の非常にスムースで正確な運搬を保証する。
【0023】
この追加的な実施態様の補足的設計は、坩堝運搬装置に接して位置調整装置を配置するものである。この位置調整装置は、装填室と蒸発器との間に配置された弁を真空気密に遮蔽する機能が損なわれない様に設計する。この為には位置調整装置に減圧用潤滑剤を差して、潤滑剤のガス発生を減圧運転中に防止する。更に調整装置は蒸発温度に合わせて熱負荷能を有している。
【0024】
蒸発室は冷却装置を装備していることも同様に有利である。蒸発室は外側に冷却装置を配備している。冷却装置は蒸発室の周囲に配置されている。冷却するために冷却装置は冷却水または他の冷却液が貫流している。従って真空室中に存在する熱を速やかに導き出すことができ、そして冷却工程は新たな被覆材料を供給する目的のために強化されそして限定的に制御する。
【0025】
別の有利な実施態様は、真空気密にエアロック可能な開口および/または少なくとも1つの排気装置を備えた装填室を設計することである。固体または液体の被覆材料を坩堝に充填するためにこの様にして、減圧された充填室に上述の弁によって空気を配量導入させ、開口を密封するエアロックの両側で圧力平衡状態とする。平衡状態とした後に速やかな充填を、真空気密に密閉可能な開口を通して、時間の掛かる充填室の取り外しおよび取り付け作業を行うことなく行うことができる。
【0026】
少なくとも1つの別の蒸発器を蒸発装置中に別の有益な設計で設けそして場合によっては別の装填室をこの蒸発器に対して設ける場合には、冒頭に記載した様にこの蒸発装置はストックするために排気する必要がなくそして第二の蒸気遮断弁で随意に密封された蒸発器の内部空間だけが蒸発装置に連結されるので、本発明の蒸発装置は単独で連続被覆法で蒸着するのに適している。どの程度まで各蒸発器が唯一の装填室によって装填されるかは、実質的に利用できるスペースおよび坩堝または蒸発器のために使用される搬送システムに大きく依存している。
【0027】
更に同時に複数の蒸発器を運転する場合、高い蒸発速度が可能とされそしてそれ故に沢山の基板の蒸着がまたは高い運搬速度で可能とされる。
【0028】
本発明の課題の方法面からの解決法は請求項20の特徴的構成要件に従う方法によって達成される。
【0029】
この解決法は、それぞれの蒸着材料に必要とされる蒸発速度を達成しそして同時に蒸発室内部での凝結物形成を同時に避けることにあり、これは被覆材料を別々の蒸発器で加熱しそして装置の開放を必要とする新しい被覆材料での本来の蒸着を、蒸発室から真空気密に分離することのできる別の分かれた容積において実施することである。
【0030】
この様に蒸着は、被覆材料が蒸発されそして蒸気状の被覆材料のために被覆装置から真空気密に分離できない蒸発装置の一部を大気条件に曝すことなく可能である。
【0031】
凝結物の形成を物理的に制限することおよびこの凝結物を再蒸発することができるという蒸発器の配置に基づく上述の利益の他に、蒸発と空間的に分離された蒸着が本来の蒸着工程を短縮しそして蒸発装置中における間隔が最少であるために一様な方法条件の再現および維持にプラスに作用する。方法の別の一つの実施態様に従って、分離された空間としての蒸発器中で全面から被覆材料を加熱することによって被覆材料の全面での均一な加熱を保証することも特に有利である。
【0032】
請求項22の特徴的構成要件に従う方法の特に有利な実施態様では、これらの長所が特に利用され、とくに第二の蒸気遮断弁によって不可避の凝結物の形成を空間的に蒸発器の所に制限する。
【0033】
本発明の課題の方法的解決法の変法は、蒸発器で進行する蒸発工程およびそれに関連しての装填室での原料供給を、幾つかの別の蒸発器で同様に進行する幾つかの蒸発工程およびそれに関連しての他の幾つかの装填室での原料供給に分けるものである。この実施態様では、中断または変動が幾つかの他の蒸発器によって相殺されるので、新しい被覆材料での連続的蒸着および被覆装置への蒸気の特に一様な導入が保証される。
【0034】
この場合、分けられた蒸発工程を順番におよび/または同時におよび/または時間的に重ね合わせて進行させるのが有利であることがわかっている。
【0035】
別の実施態様においては、蒸発室は坩堝に被覆材料を充填するために冷却するのが有利である。装填室に環境条件を広げるために必要な蒸発室の冷却はこの実施態様においては加熱装置のスイッチを切った後に蒸発室の、例えば循環液で冷却することによって積極的に冷却された内壁と熱交換することによって実施する。従って冷却は非常に促進され、冷却法および/または冷却剤によって意図的に制御できる。
【0036】
特別な実施態様は、坩堝に被覆材料を供給するためにガスを蒸発室および/または蒸発器に導入しおよび/または装填室を開くために該室中にガスを配量導入することによって有利に実現される。装填室を開くために該室にガスを配量注入する場合には、装填室と周囲との圧力平衡も早められそして制御可能にその状態とされる。これのための配量供給は注入の際に膨張されそして膨張の結果として冷えるガスの温度に依存して行う。注入ガスとしては例えば空気が可能である。
【0037】
更に、別の方法設計でもたらされる様に、真空および温度、弁の開閉および坩堝運搬装置(7)およびその都度のガスの導入の制御を制御装置によって行なう場合が有利である。従って、それぞれの被覆材料について必要とされる蒸発速度で運転するための外的な条件を意図的に調整する。制御装置においてはセンサーで捕捉される測定値が集められる。制御装置によって自動的にまたはマニアル的にその都度の条件を予め選択しそして実現する。
【0038】
本発明を以下に実施例によって更に詳細に説明する。2つの図は以下の通りである:
図1は蒸発状態での本発明の蒸発装置1の水平切断面図でありそして
図2は充填状態での本発明の蒸発装置1の水平切断面図である。
【0039】
対象に関して:
図1および図2は、蒸発室(2)、蒸発室(2)中に配置された蒸発器(3)蒸気出口側に配置された第一の蒸気遮断弁(4)、被覆材料(5)を充填できる坩堝(6)および坩堝搬送装置(7)並びに装填室(8)および装填室(8)と蒸発室(2)との間を連絡する真空弁(9)を備えた本発明の蒸発装置(1)を示している。
【0040】
それぞれ細長い立方形に形成された装填室(8)および蒸発室(2)は減圧でき、その際に装填室(8)は図示していない真空気密に閉鎖できる開口を坩堝(6)を蒸発室(2)に送り込むために上側に有している(図2)。更に蒸発室(2)は冷却液としての水が貫流する冷却装置(10)によって外側で覆われている。
【0041】
蒸発器(3)は両末端にフランジを装備するチューブ状の細長い導管として形成されている。それ故に蒸発器(3)は2つの向かい合っている開口を有し、その際に第一の蒸気遮断弁(4)は蒸気析出室に面する蒸気排出側の開口の所で利用されそして第二の反対側の開口は坩堝(6)に導入するために使用される。適する加熱装置(11)は蒸発器要素(3)の周りで利用される。被覆材料(5)、例えば固体マグネシウムが充填された坩堝(6)は坩堝運搬装置(7)の上で静止する。このものは蒸気排出側で、坩堝(6)を静止させる突起部を持つ。スライディングベースとして設計された位置決め装置(12)は装填室側に配置されている。装填室末端の蒸発器(3)の開口に一致する直径である遮蔽板(13)は坩堝支持体と位置決め装置(12)との間で利用される。蒸発器(3)の底には中心レール(14)が長手方向に沿って配置されており、そのレール上を坩堝運搬装置(7)の突起部がその下側に配置されたベアリングローラーによって支持されている。
【0042】
突起部の移動が継続されるかゝる中心レール(14)は装填室(8)でも利用される。この場合、装填室(8)と蒸発室(2)との間に配置された真空弁(9)の機能はレールの延長によって影響されない。位置決め装置(12)は、装填室(8)に配置された2本のレール(15)の上に複数のローラーが取り付けられている。移動は装填室を長手方向に走るスピンドル(16)でスピンドル駆動によって行われる。
【0043】
図1に示す通り、蒸発器(3)の装填室側の開口は蒸発器(3)中に導入された坩堝(6)の状態で遮断用板(13)によって閉じられている。この遮蔽は、蒸発された被覆材料(5)を、蒸発器要素(3)から蒸発室(2)にもまたは装填室(8)にも実質的に入り込むことができない程に気密である。
【0044】
方法に関して:
図1は蒸発状態の本発明の蒸発装置(1)を図示している。これを達成するために、坩堝移動装置(7)の上に静止する坩堝(6)を、充填用開口を閉じ、蒸発室(2)と同じ10−3mbarまたはそれ以上の圧力に装填室(8)を減圧しそして真空弁(9)を開放した後に、図2に示した装填位置から蒸発器(3)に導入する。この方法では、蒸発器(3)の装填室側の開口を坩堝移動装置(7)の遮断用板(13)によって気密に封鎖する。
【0045】
図1に示した蒸発位置において、蒸発器(3)の周囲に配置した加熱装置(11)を活動させ、被覆材料(5)、例えば固体マグネシウムを約600℃に加熱する。その際に固体マグネシウムは気体状マグネシウムに蒸発する。第一の蒸気遮断弁(4)を開きそしてガス状被覆材料(5)を出しそして蒸着のために運び去られる。蒸発器(3)においては約10−10mbarのプロセス圧に調整する。この目的のために蒸発器(3)を方法条件のもとで、被覆材料(5)が充填された坩堝(6)において所望の蒸発速度が達成されそして同時に蒸発器(3)の内部で凝集物が生じるのを避ける様に加熱する。減圧および温度の制御および第一の蒸気遮断用弁(4)の開閉をコンピュータの助けによる制御装置によって行う。
【0046】
供給のために蒸発器(3)を、第一の蒸気遮断弁(4)を閉じた後に蒸発器(3)の開口が蒸発室(2)に取り囲むために、気体状被覆材料(5)が蒸発器(3)の外側の周囲に入ることなしに、最初の蒸発速度が達成される様に冷却する。冷却は最初に加熱装置(11)の使用を止めそして蒸発室(2)を冷却装置(10)の循環する水冷却によって最初に行う。熱平衡は殆ど熱放射によって行い、蒸発室(2)中の材料によって搬送されそして冷却水によって消散される。
【0047】
次に坩堝(6)を坩堝搬送装置(7)によって蒸着位置にもたらし(図2)そして真空弁(9)を閉じる。蒸着置用開口を開くために、空気を装填室に僅かな量で配量導入して圧力平衡用としそして圧力平衡が達成された時に蒸着置用開口が開かれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】は蒸発状態での本発明の蒸発装置1の水平切断面図である。
【図2】は充填状態での本発明の蒸発装置1の水平切断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 蒸発装置
2 蒸発室
3 蒸発器
4 第一の蒸気遮断弁
5 被覆材料
6 坩堝
7 坩堝運搬装置
8 装填室
9 真空弁
10 冷却装置
11 加熱装置
12 位置調整器
13 遮蔽板(第二の遮断弁)
14 中心レール
15 レール
16 スピンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填可能な坩堝に被覆材料が蒸発の目的で配置されており、そして真空室中に被覆装置の一部として配置されている、被覆材料を蒸発させるための蒸発装置において、蒸発装置(1)が真空弁(9)を介して減圧可能な装填室(8)に連結されている蒸発室(2)を有し、該蒸発室(2)中には被覆材料(5)を充填可能な坩堝(6)を収容する蒸発器(3)を配備しそして該蒸発器が蒸気排出側で、即ち蒸着室に面する側で、第一の蒸気遮断弁(4)を介して蒸着室に連結されていることを特徴とする、上記蒸発装置。
【請求項2】
蒸発器(3)が原料供給側に、要するに装填室(8)に面する側に、第二の蒸気遮断弁(13)を装備している、請求項1に記載の蒸発器。
【請求項3】
蒸発器(3)の第二の蒸気遮断弁(13)を遮蔽板として設計されている、請求項2に記載の蒸発装置。
【請求項4】
装填室(8)が蒸発室(2)の原料供給側に接して両方の室の長手軸に対し平行な方向に配置されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項5】
装填室(8)が蒸発室(2)の原料供給側に接して両方の室の横手軸に対し平行な方向に配置されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項6】
加熱装置(11)が蒸発器(3)の周囲に配置されている、請求項1〜5のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項7】
蒸発器(3)が蒸発器運搬装置および/または坩堝運搬装置(7)に取り付けられている、請求項1〜6のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項8】
蒸発器(3)が坩堝(6)と一緒に蒸発器運搬装置(7)によって装填室(8)の配置方向において両方向に可動できそして蒸発室(2)および装填室(8)中で取る休止状態の位置を変更し得る、請求項7に記載の蒸発装置。
【請求項9】
坩堝(6)が坩堝運搬装置(7)によって装填室(8)の配置方向において両方向に可動できそして蒸発器(3)および装填室(8)中で取る休止状態の位置を変更し得る、請求項7または8に記載の蒸発装置。
【請求項10】
坩堝(6)を坩堝運搬装置(7)によって装填室(8)の配置方向に対して横方向で両方向に可動できそして蒸発器(3)あるいは装填室(8)で取る休止状態の位置を変更し得る、請求項7〜9のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項11】
坩堝(6)または坩堝運搬装置(7)の所に遮蔽板(13)が配置されておりそして蒸発器(3)の原料供給側開口が遮蔽板(13)によって遮断できる、請求項7〜10のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項12】
坩堝運搬装置(7)および/または蒸発器運搬装置(7)が、装填室(8)において坩堝(5)および/または蒸発器(3)の可動位置調整するためにスライドローラーおよび/またはスライドレール(14)を装備する請求項7〜11のいずれか一つに記載の蒸発装置(1)。
【請求項13】
坩堝運搬装置(7)の位置調整のために、蒸発器(3)および/または装填室(8)がスライドローラーおよび/またはスライドレール(14)を装備する、請求項7〜12のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項14】
坩堝運搬装置(7)の所に位置決め装置(12)が配置されている、請求項7〜13のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項15】
蒸発室(2)が冷却装置(10)を装備する、請求項1〜14のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項16】
坩堝(6)に原料供給するための装填室(8)が真空気密に密封できる開口を有する、請求項1〜15のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項17】
装填室(8)が少なくとも1つの排気装置を装備している、請求項1〜16のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項18】
蒸発装置(1)中に少なくとも1つの他の蒸発器(3)を配備している、請求項1〜17のいずれか一つに記載の蒸発装置。
【請求項19】
別の蒸発器(3)に別の装填室(8)が取り付けられている、請求項18に記載の蒸発装置。
【請求項20】
蒸発装置の減圧された蒸発室で坩堝(6)にある被覆材料を加熱し、蒸発させそして蒸発工程の終了後に、新しい被覆材料を供給するために蒸発室を冷却することによって、蒸発装置中の被覆材料を蒸発させる方法において、被覆材料(5)を蒸発室(2)中に配置された、蒸発室(2)の減圧された一部容積を包含する蒸発器(3)を加熱することによって間接的に加熱すること、蒸発器(3)の蒸発工程の終了後に再び冷却し、蒸発室(2)への新しい被覆材料(5)の供給を減圧された装填室(8)によって行い、装填室を真空真空弁(9)の開閉によって蒸発室(2)と連結しそして再び真空気密状態で分離することおよび坩堝への原料供給を分離されそして排気された装填室(8)において行なうことを特徴とする、上記方法。
【請求項21】
蒸発室(2)内部の特別な空間、即ち蒸発器(3)において、可動可能な坩堝(6)中に存在する被覆材料(5)を全方面から加熱しそして蒸発させる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
蒸発工程を、存在する被覆材料(5)を加熱しそしてその際に生じる被覆材料(5)蒸気を蒸発器(3)から蒸発し尽くすまで第一の蒸気遮断弁(4)を通して排出すること、その後に蒸気気密な第一の蒸気遮断弁(4)によってこの蒸気の排出を中止すること、その後で蒸発器(3)の加熱を中断しそして蒸発室(2)を冷却すること、次いで減圧された装填室(8)の内部空間を蒸発室(2)に連結用真空弁(9)を介して該弁を開放することによって空間的に連結しそして真空状態を相殺し、真空弁(9)に対峙して存在する、蒸発器(3)の第二の蒸気遮断弁(13)の開放後に坩堝(6)を装填室(8)に収容しそして装填室(8)を真空気密に密封できる真空弁(9)を閉じそして装填室(8)に通気した後に被覆材料(5)を供給すること、装填室(8)の内部空間を減圧した後に装填室(8)の内部空間を真空弁(9)の再度の開放によって蒸発器(3)に連結しそして被覆材料(5)の入った坩堝(6)を蒸発器(3)において位置調整しそして蒸発器(3)の第二の遮断弁(13)を閉じた後に新しい被覆材料(5)の加熱を蒸発器(3)中で行うように実施する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
坩堝(6)を蒸発器(3)と一緒に装填室(8)に運搬する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項24】
坩堝(6)または蒸発器(3)を、運搬装置を用いて蒸発室(2)と装填室(8)との間で位置決めする、請求項20〜23のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
蒸発器(3)で進行する蒸発工程およびそれに関連しての装填室(8)での原料供給を、幾つかの別の蒸発器(3)で同様に進行する幾つかの蒸発工程およびそれに関連しての他の幾つかの装填室(8)での原料供給に分ける、請求項20〜24のいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
分けられた蒸発工程を順番におよび/または同時におよび/または時間的に重ね合わせて実施する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
坩堝(6)に被覆材料(5)を供給するために、蒸発室(2)を冷却する、請求項20〜26のいずれか一つに記載の方法。
【請求項28】
坩堝(6)に被覆材料(5)を供給するために、ガスを蒸発室(2)および/または蒸発器(3)に導入する、請求項20〜27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項29】
装填室(8)を開くために、その中にガスを配量導入する、請求項20〜28のいずれか一つに記載の方法。
【請求項30】
真空、温度、弁の開閉および坩堝運搬装置(7)およびその都度のガスの導入の制御を制御装置によって行なう、請求項20〜29のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−534844(P2007−534844A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509870(P2007−509870)
【出願日】平成17年4月16日(2005.4.16)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000703
【国際公開番号】WO2005/106066
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(595160477)フオン・アルデンネ・アンラーゲンテヒニク・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (16)
【Fターム(参考)】