説明

蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ又はアクリルメタリック手摺りパイプ

【課題】生産性に優れ、外観が美麗で構造的安定性と品質が良く、蓄光樹脂の蓄光能力(輝度)を最大限度に発揮させる蓄光樹脂線入りの木目模様手摺りパイプおよびアクリルメタリック手摺りパイプを提供する。
【解決手段】3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に明るい色の第1樹脂5が接着被覆され、前記第1樹脂5の表面に第2樹脂として木目模様樹脂3が被覆されていると共に同木目模様樹脂3の一部を遮った部位の前記第1樹脂5の上に蓄光樹脂2が線状に押し出し成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、夜間に光る蓄光樹脂線入りの木目模様手摺りパイプ又はアクリルメタリック手摺りパイプの技術分野に属し、更に言えば、3軸押し出し成形法により蓄光樹脂を線状に押し出し成形して成る蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ又はアクリルメタリック手摺りパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば図4に示すような「立ち上がりバーA」は、要介護者や高齢者が畳の上に布団を敷いて寝ている時、あるいはベッドを使用している場合でも、起きあがり、立ち上がる際の支え(介護用品)として便利に使用されている。この立ち上がりバーAには、屋内および部屋内の調度を考慮して木目模様手摺りパイプが好適に使用され、更にその手掛かり用渡しパイプBには蓄光線C入りパイプが好適に使用されている。かくすると、消灯により部屋内が暗くなっても、しばらくの間(消灯後約8時間ぐらい)は蓄光線Cが光って、立ち上がりバーAの存在、および手掛かり用渡しパイプBの位置や向きを容易に視認できるので、利用者は立ち上がりバーAを便利に安全に使用することができる。
【0003】
一方、屋外のたとえば庭先から玄関までの間の歩道に沿ってメタリック調手摺りパイプを使用した手摺りを設置することが行われている。しかし、せっかく前記のように手摺りを設置していても、夕方暗くなって帰宅した際には、庭先から玄関までが暗いので、歩行者は手探り状態で、できるだけ歩道の真ん中を歩いているのが現状であり、歩道に沿って手摺りを設置していてもさして便利に使用されていない。このメタリック調手摺りに蓄光樹脂線入りパイプを使用すると、夜目に蓄光線が光って手摺りの存在および位置、向きが容易にわかって手摺りの使用に便利となり、夜間の出入り歩行の安全性確保にすこぶる有益となる。
【0004】
そこで従来の先行技術としては、下記の特許文献1に開示されたような蓄光体テープをパイプの外周面へ貼り付け又は巻き付けた部材を用いて図4の立ち上がりバーAを組み立てたり、あるいは庭先から玄関までの間の歩道に沿ってメタリック調手摺りを組み立て設置することが行われている。
あるいは特許文献2に開示されたように、合成樹脂被覆層の一部に長手方向の全長にわたる溝を彫って形成し、その溝内に、夜光顔料を混入した合成樹脂による帯状成形板を嵌め込んだ手摺り材を使用することも行われている。
その他、特許文献3に開示されたように、中空アルミニュームパイプの外周に蛍光顔料又は蓄光顔料を含ませた硬質発泡樹脂層を被覆した複合材を手摺りに使用したり、又は特許文献4に開示されたように中空心材の外周に先ず下地樹脂層を被覆し、その外周に蓄光材を配合した透明な表面樹脂層を全周被覆した部材を手摺りに使用することも知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平8−99384号公報
【特許文献2】実開昭61−83730号公報
【特許文献3】実用新案登録第3013744号公報
【特許文献4】特開2006−28875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示された蓄光体テープをパイプの外周面へ貼り付け又は巻き付けた部材は、手軽に実施でき、安価であるが、所詮は蓄光体テープが剥がれ落ちる問題を回避できない。
上記特許文献2のように、表層の樹脂層を削って形成した溝内へ、夜光顔料を混入した合成樹脂による帯状成形板を嵌め込んだ手摺り材は、溝の形成と、帯状板の用意および嵌め込みという手間のかかる工程を必要とするので、生産性が悪く、コスト高になるという問題点を否めない。帯状板が脱落する懸念も払拭できない。
次に、上記特許文献3、4に開示されたように、パイプ等の外周に蛍光顔料又は蓄光顔料(蓄光材)を含ませた硬質発泡樹脂層を被覆した複合材は、生産の一貫性があり、生産性に優れる。しかし、高価な蛍光顔料又は蓄光顔料(蓄光材)を大量に使用するので、生産性が良い割りに、製造コストが高いという問題点がある。
【0007】
そこで、表層樹脂の一部に蓄光樹脂を線状に押し出し成形する方法によれば、蓄光材の使用量を節減でき、製造コストを低減化することが可能であるし、上記特許文献2の技術に見たような問題点も払拭できるように考えられる。しかし、この方法の技術的な問題点は、次のように説明できる。
図1C、Dに示すように、木目模様樹脂被覆パイプ1に蓄光樹脂を線状に2軸押し出し成形する場合、蓄光樹脂2の下に、表層を形成する木目模様樹脂3が薄く残った木目模様樹脂層3aが存在すると、蓄光樹脂2の表面に、下の木目模様樹脂層3aの黒っぽい色が汚れのように浮き出し、模様のない所では茶褐色になり、見た目の美観を損なうものとなる。そこで蓄光樹脂2の下に木目模様樹脂層3aが来ないように、鋼管4へ直に被覆する構成にすると、表面に木目模様は出現しない代わりに、鋼管4の地色が黒く見えることになり、その黒色が濃くなったり薄くなったりして美観、品質が安定しない。
【0008】
次に、図2C、Dのように、アクリルメタリック手摺りパイプ11に蓄光樹脂12を線状に2軸押し出し成形する場合でも、蓄光樹脂12の下に、表層を形成するアクリルメタリック樹脂13が薄く残ったアクリルタリック樹脂層13aが存在すると、本来アクリルメタリック樹脂13は色が黒いため、蓄光樹脂12が下向きに発した光を吸収されてしまい表面側へ出て来ないから、発光量(輝度)が低いものとなる。かといって蓄光樹脂12が鋼管4へ直接被覆される構造にすると、木目模様樹脂パイプと同様に鋼管の地色により美観、品質が安定しない上に、高価な蓄光樹脂12を多く使用することになって不経済である。また、アクリル樹脂は硬く粘りがない樹脂なので、アクリル樹脂を厚く被覆した長いパイプを必要な長さに切断すると、切断機の衝撃で切断面に割れやクラックが発生して端面に欠けを生ずる問題も発生し、品質と精度が安定しない。
【0009】
以上要するに、蓄光樹脂2又は12の下地は、光が反射する明るい白色であることが好ましい。
高価な蓄光樹脂2又は12の使用量はできるだけ少なく成形するのが経済的である。
木目模様樹脂3は、木粉が20%〜30%混入されたABS樹脂ベースに、色むらが出る顔料を混ぜ合わせて木目模様を表現する樹脂であり、本来、光が透過しないので、下地の樹脂層に耐候性要求がないから、ABS樹脂を使用して良い。また、基本的に屋内で使用する部材であり、屋外での使用を意図していない。
一方、アクリル樹脂は透明樹脂であり、光の透過による影響を考慮すると、下地の樹脂層は劣化するので、耐候性の良い樹脂を使用することが望まれる。また、アクリル樹脂は硬く脆いので、これを被覆したパイプは、切断した端面に割れや欠けが発生しない構成に工夫する必要がある。
【0010】
よって本発明の目的は、生産性に優れ、外観が美麗で構造的安定性と品質が良く、蓄光樹脂の蓄光能力(輝度)を最大限度に発揮させる蓄光樹脂線入りの木目模様手摺りパイプおよびアクリルメタリック手摺りパイプを提供することである。
また、アクリルメタリック手摺りパイプについては、切断した端面に割れや欠けが発生する問題点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1は、
3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に明るい色の第1樹脂5が接着被覆され、前記第1樹脂5の表面に第2樹脂として木目模様樹脂3が被覆されていると共に同木目模様樹脂3の一部を遮った部位の前記第1樹脂5の上に蓄光樹脂2が線状に押し出し成形されていることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1において、
明るい色の第1樹脂5はABS系樹脂であり、第3樹脂としての蓄光樹脂2はスチレン系樹脂であるABS樹脂等又はアクリル系樹脂であるPMMA(ポリメチルメタクリーレート)樹脂等の透明ベースに蓄光顔料が添加された樹脂であることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明に係る蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11は、 3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に耐候性が良く明るい色の第1樹脂15が接着被覆されており、前記第1樹脂15の表面に第2樹脂としてアクリルメタリック樹脂13が被覆されていると共に同アクリルメタリック樹脂13の一部を遮った部位の前記第1樹脂15の上に第3樹脂として蓄光樹脂12が線状に押し出し成形されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載した蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11において、
耐候性が良く明るい色の第1樹脂15はAAS樹脂又はAES樹脂であり、第3樹脂としての蓄光樹脂12は耐候性の良いアクリル系樹脂であるPMMA(ポリメチルメタクリーレート)樹脂等の透明ベースに蓄光顔料が添加された樹脂であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、2の発明に係る蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1は、3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に先ず明るい色の第1樹脂5が接着被覆され、その外周表面に第2樹脂として木目模様樹脂3が被覆され、同木目模様樹脂3の一部を遮った部位の前記第1樹脂5の上に第3樹脂として直接蓄光樹脂2が線状に押し出し成形されているので、一貫性に優れた無限長の押し出し成形による連続生産が行われることになり、極めて生産性に優れている。
しかも鋼管4の表面を第1樹脂5として明るい白色のABS樹脂で被覆し、その上に蓄光樹脂2が線状に押し出し成形されているので、蓄光の下向き光は反射されて表面に出るため、蓄光力(輝度)は鋼管4に直接あるいは木目模様樹脂の上に被覆する場合に比して約1.3倍の強さを発揮し、蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1としての有効性、有用性を高められる。
更に、蓄光樹脂2は、従前鋼管4に塗布されてきた接着剤では鋼管4との接着力がさして強くなく、よって蓄光樹脂2を直接鋼管4へ接着するためには接着剤の種類を変更する必要さえあるが、本発明は、木目模様樹脂3と相溶性が良いABS樹脂を第1樹脂5として被覆し、その上に蓄光樹脂2を被覆して蓄光樹脂2を木目模様樹脂3と接着するので、従前の接着剤をそのまま使用可能であり、接着安定性が良い上に、鋼管4の表面に明るい白色の第1樹脂5が接着被覆された層厚の分だけ、高価(約20000円/Kg)な蓄光樹脂2の使用量を節約でき、製造原価の低廉化を行える。ちなみに、第1樹脂5がABS樹脂である場合、その価格は約400円〜600円/Kgで、蓄光樹脂2の約1/33〜1/50である。
【0014】
次に、請求項3、4の発明に係る蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ12は、やはり3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に耐候性が良く明るい色の第1樹脂15が接着被覆され、その外周表面にアクリルメタリック樹脂13が被覆され、同アクリルメタリック樹脂13の一部を遮った部位に、前記第1樹脂15の上に第3樹脂として直接蓄光樹脂12が線状に押し出し成形されているので、やはり一貫性に優れた無限長の連続生産を行え、生産性に優れている。
しかも鋼管4の表面を、たとえばAAS樹脂又はAES樹脂など耐候性が良く明るい白色の第1樹脂15で被覆し、その上に第3樹脂として蓄光樹脂12が線状に押し出し成形されているので、蓄光樹脂12の下向き光は良好に反射されて表面に出ることになり、蓄光力(輝度)は鋼管4へ直接あるいはアクリルメタリック樹脂13の上に被覆する場合に比して約1.3倍の強さを発揮し、蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11の有効性および有用性が高められる。
その上、アクリルメタリック樹脂13と相溶性が良いAAS樹脂又はAES樹脂などを第1樹脂15として鋼管4に被覆して、その上に蓄光樹脂12を被覆するので従前の接着剤をそのまま使用することが可能で、しかも接着安定性が良い。更に柔軟性と粘りがあるAAS樹脂又はAES樹脂などを第1樹脂15としてその上にアクリルメタリック樹脂13を被覆するので、切断機による切断時の衝撃を吸収し、切断端面の割れや欠けを防止することができる。しかも鋼管4の表面に耐候性が良く明るい色の第1樹脂15が接着被覆された層厚の分だけ、高価(約15000円/Kg)な蓄光樹脂12の使用量を節約できるから、製造原価の低廉化を行える。ちなみに、第1樹脂がAAS樹脂又はAES樹脂である場合の価格は約500円〜700円/Kgで、蓄光樹脂の約1/21〜1/30である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1は、3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に明るい色の第1樹脂5を接着被覆し、前記第1樹脂5の表面に第2樹脂として木目模様樹脂3を被覆すると共に同木目模様樹脂3の一部を遮った部位の前記第1樹脂5の上に第3樹脂として蓄光樹脂2を線状に押し出し成形している。
蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11は、やはり3軸押し出し成形法により、鋼管4の表面に耐候性が良く明るい色の第1樹脂15を接着被覆し、前記第1樹脂15の表面に第2樹脂としてアクリルメタリック樹脂13を被覆すると共に同アクリルメタリック樹脂13の一部を遮った部位の前記第1樹脂15の上に第3樹脂として蓄光樹脂12を線状に押し出し成形している。
【実施例1】
【0016】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
請求項1に記載した発明に係る蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1は、図1A、Bに実施例を示したように、外径がφ30mm度の鋼管4の表面に、明るい色の第1樹脂5が薄く均一な層状に接着被覆され、この第1樹脂5の表面に、第2樹脂としての木目模様樹脂3がやはり均一な層状に被覆されていると共に、同木目模様樹脂3の一部を遮った部位の前記第1樹脂5の上に、蓄光樹脂2が2カ所線状に押し出し成形されて、全体として外径がφ32mm程度の樹脂接着被覆管として構成されている。
図示した実施例の場合、蓄光樹脂2は、円周方向に約90度隔てた2カ所の位置に押し出し成形されているが、この限りではない。1カ所のみでも良いし、或いは使用上の必要によって2カ所以上複数箇所を、全周にわたり成形することもよい。
なお、上記明るい色の第1樹脂5としては、具体的には既往の安価で使い勝手の良い接着剤を使用でき鋼管4との接着性が良いABS樹脂が好適である。木目模様樹脂3としては、木紛を20%〜30%混入させたABS樹脂ベースに、色むらが出る顔料を混ぜて木目模様が出るように配合した樹脂が使用される。第3樹脂としての蓄光樹脂2は、スチレン系樹脂であるABS樹脂等又はアクリル系樹脂であるPMMA(ポリメチルメタクリーレート)樹脂等の透明ベースに蓄光顔料が添加された樹脂が好適に使用される。
【0017】
上記構成の蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1を、3軸押し出し成形法により製造する場合の押し出し成形装置の一例を図3に示した。
表面に予め接着剤を塗布されて図3中を右方向へ進行する鋼管4はダイス20の中を貫通して進み、先ずは加熱筒21から押し出された第1樹脂5としてのABS樹脂が鋼管4の表面へ接着被覆される。続いて紙面上前記ダイス20の背後側に位置する加熱筒から押し出された木目模様樹脂3がダイス22を通じて前記第1樹脂5の外周面に被覆される。
前記のダイス22は、その円周の一部に開口を突起状に遮断した部分を有し、このようにして遮られた部位へ、加熱筒23から押し出された蓄光樹脂2を分配ダイス24を通じて線状に押し出し成形することにより、蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ1が一貫した工程で無限長に連続生産される。
上記の通り、本発明において、第2樹脂の一部を「遮った」部位とは、第2樹脂をそのダイス22において押し出すことを遮り、第1樹脂が露出する溝状を形成し、その溝状に次の第3樹脂のダイスを通じて押し出し成形することを可能ならしめる構成を指す。
【実施例2】
【0018】
次に、請求項3に記載した発明に係る蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11は、図2A、Bに実施例を示したように、鋼管4の表面に、耐候性が良く明るい色の第1樹脂15が均一な層状に接着被覆され、この第1樹脂15の表面に、第2樹脂としてのアクリルメタリック樹脂13がやはり均一な層状に被覆されていると共に、同アクリルメタリック樹脂13の一部を遮った部位の前記第1樹脂15の上に、第3樹脂として蓄光樹脂12が2カ所線状に押し出し成形されて、全体として外径がφ32mm度の樹脂接着被覆鋼管として構成されている。
図示例の場合も、蓄光樹脂12は、円周方向に約90度隔てた2カ所の位置に押し出し成形されているが、この限りではない。1カ所のみでも良いし、あるいは使用上の必要によって2カ所以上複数箇所を、全周にわたり成形することもよい。
なお、上記アクリルメタリック樹脂13とは、メタリック調のアクリル樹脂を指すが、これは透明樹脂で光を透過させる影響、および蓄光樹脂12から入る光の入射の影響を考えると、内層の第1樹脂15については屋外での使用を意図すれば耐候性が望まれる。アクリル樹脂とスチレン系樹脂とは相溶性が良いので、第1樹脂15には耐候性が良く明るい色の樹脂が望まれ、具体的にはスチレン系のAAS樹脂又はAES樹脂が好適である。第3樹脂としての蓄光樹脂12としては、耐候性の良いアクリル系樹脂の透明ベースに蓄光顔料が添加された樹脂が好適に使用される。
【0019】
上記構成の蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11を、3軸押し出し成形法により製造する場合には、やはり、図3に例示した押し出し成形装置を使用することができる。
すなわち、表面に予め接着剤を塗布されて図3中を右方向へ進行する鋼管4は、ダイス20の中を貫通して進み、先ずは加熱筒21から押し出された第1樹脂15であるAAS樹脂又はAES樹脂が鋼管4の表面へ接着被覆される。続いて紙面上前記ダイス20の背後側に位置する加熱筒から押し出されたアクリルメタリック樹脂13がダイス22を通じて前記第1樹脂15の外周面に被覆される。
前記のダイス22は、その円周の一部に開口を突起状に遮断した部分を有し、このようにして遮られた部位へ、加熱筒23から押し出された蓄光樹脂12を分配ダイス24を通じて線状に押し出し成形することにより、蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ11が一貫した3軸成形法により無限長に連続生産される。
なお、本発明で使用する上記蓄光樹脂2および12は、およそ8時間ぐらいは暗闇で視認できる程度の光を発し、使用目的に供せられる。
【0020】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、勿論、本発明は上記実施例の構成に限定されるものではない。本発明の要旨、及び技術思想を逸脱しない範囲で、当業者が必要に応じて行う設計変更や応用、変形として種々な態様で実施され得ることを、念のため申し添える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】A、Bは本発明の実施例1を示した横断面図と要部の拡大図、同C、Dは従来技術による場合の横断面図と要部の拡大図を示す。
【図2】A、Bは本発明の実施例1を示した横断面図と要部の拡大図、同C、Dは従来技術による場合の横断面図と要部の拡大図を示す。
【図3】本発明の手摺りパイプを製造する3軸押し出し成形装置の概念図である。
【図4】蓄光樹脂線入りパイプの適用例としての立ち上がりバーを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
4 鋼管
5 第1樹脂
3 第2樹脂(木目模様樹脂)
2 第3樹脂(蓄光樹脂)
1 蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ
15 第1樹脂
13 第2樹脂(アクリルメタリック樹脂)
12 第3樹脂(蓄光樹脂)
11 蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸押し出し成形法により、鋼管表面に明るい色の第1樹脂が接着被覆され、前記第1樹脂の表面に第2樹脂として木目模様樹脂が被覆されていると共に同木目模様樹脂の一部を遮った部位の前記第1樹脂の上に第3樹脂として蓄光樹脂が線状に押し出し成形されていることを特徴とする、蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ。
【請求項2】
明るい色の第1樹脂はABS樹脂であり、第3樹脂としての蓄光樹脂はスチレン系樹脂又はアクリル系樹脂の透明ベースに蓄光顔料が添加された樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載した蓄光樹脂線入り木目模様手摺りパイプ。
【請求項3】
3軸押し出し成形法により、鋼管表面に耐候性が良く明るい色の第1樹脂が接着被覆され、前記第1樹脂の表面に第2樹脂としてアクリルメタリック樹脂が被覆されていると共に同アクリルメタリック樹脂の一部を遮った部位の前記第1樹脂の上に第3樹脂として蓄光樹脂が線状に押し出し成形されていることを特徴とする、蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ。
【請求項4】
耐候性が良く明るい色の第1樹脂はAAS樹脂又はAES樹脂であり、第3樹脂としての蓄光樹脂は耐候性の良いアクリル系樹脂の透明ベースに蓄光顔料が添加された樹脂であることを特徴とする、請求項3に記載した蓄光樹脂線入りアクリルメタリック手摺りパイプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−138393(P2008−138393A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323630(P2006−323630)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】