説明

蓄冷タンク装置およびそれを用いた冷凍サイクル装置

【課題】蓄冷、放冷にかかわる所望の伝熱性能を確保しつつ、小型かつ安価にできる蓄冷タンク装置およびそれを用いた冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷媒が循環する冷凍サイクル内の低圧側で、蒸発器150に対して直列に配設されて使用される蓄冷タンク装置であって、蓄冷熱交換器160の少なくともチューブ161を内包する蓄冷材タンク170内に、冷媒によって蓄冷される、あるいは蒸発器150で蒸発した気相冷媒を蓄冷された蓄冷熱により冷却させる蓄冷材を充填し、蓄冷熱交換器160の一対のタンク164、165のうち、一方のタンク165の下端部が他方のタンク164の下端部よりも下側になるように配置されて、一方のタンク165は、蓄冷熱により凝縮された液相冷媒を所定量溜め得るタンク容量を有するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄冷タンク装置およびそれを用いた冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルが停止した後にも蒸発器において冷凍能力を発揮することが求められる装置として、例えば特許文献1に示される車両用空調装置がある。即ち、この空調装置には、蓄冷材を有し、冷凍サイクル中の蒸発器に対して直列配置される蓄冷熱交換器と、この蓄冷熱交換器および液冷媒循環用ポンプ手段を一体に内蔵するタンク部材とが備えられている。また、タンク部材の下部には液冷媒を溜める液冷媒タンク部が一体的に形成されている。尚、上記蓄冷熱交換器は、シェルと呼ばれる容器を貫通するように複数の冷媒チューブを配設して、シェル内に蓄冷材を封入したものや、円筒状、ボール状、カプセル状等の蓄冷材容器内に蓄冷材が封入されたものを複数束ねて、各蓄冷材容器の隙間を冷媒用通路としたもの等が使用されている。
【0003】
そして、車両エンジンの稼働時は、冷凍サイクル中の圧縮機が作動されて、膨張弁によって減圧された後の低圧冷媒により蓄冷熱交換器の蓄冷材が冷却されて蓄冷される。一方、車両エンジンが停止して圧縮機が停止されると、液冷媒タンク部に溜められた液冷媒が液冷媒循環用ポンプ手段により蒸発器に導入されて、蒸発器で蒸発される。更に、蒸発された気相冷媒は、蓄冷熱交換器に導入されて、蓄冷材の冷熱(放冷)によって冷却凝縮され、液冷媒タンク部に溜められ、このサイクルが繰返されることで、車両エンジン停止時の空調が継続されるようになっている。
【特許文献1】特開2004−51077号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記蓄冷熱交換器においては、蓄冷材を封入するシェルや蓄冷材容器がタンク部材内で冷媒に晒されて、冷媒の圧力を受ける構造と成っている。よって、シェルや蓄冷材容器においては、上記冷媒圧力に耐え得る耐圧設計が必要となり、強度確保のための板厚の増加を招き小型化の妨げとなっている。また、高強度材を選択することによる材料費のアップを招いている。
【0005】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、蓄冷、放冷にかかわる所望の伝熱性能を確保しつつ、小型かつ安価にできる蓄冷タンク装置およびそれを用いた冷凍サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0007】
請求項1に記載の発明では、冷媒が循環する冷凍サイクル内の低圧側で、蒸発器(150)に対して直列に配設されて使用される蓄冷タンク装置であって、複数配列されるチューブ(161)の長手方向両端部に接続されて連通する一対のタンク(164、165)を有し、内部を冷媒が流通する蓄冷熱交換器(160)と、蓄冷熱交換器(160)の少なくともチューブ(161)を内包する蓄冷材タンク(170)とを有し、蓄冷材タンク(170)内に、冷媒によって蓄冷される、あるいは蒸発器(150)で蒸発した気相冷媒を蓄冷された蓄冷熱により冷却させる蓄冷材を充填し、一対のタンク(164、165)のうち、一方のタンク(165)の下端部が他方のタンク(164)の下端部よりも下側になるように配置されて、一方のタンク(165)は、蓄冷熱により凝縮された液相冷媒を所定量溜め得るタンク容量を有することを特徴としている。
【0008】
これにより、蓄冷熱交換器(160)内を蓄冷材の融点より低い温度の冷媒が流通することで、蓄冷材に蓄冷でき、また、蓄冷熱交換器(160)内を蓄冷材の融点より高い温度の気相冷媒が流通すると、蓄冷材からの放冷によって冷媒が冷却、凝縮され、液相冷媒として一方のタンク(165)に溜めることができる。チューブ(161)の本数、長さ等の設定、および蓄冷材の封入量によって、蓄冷タンク装置(160A)としての蓄冷、放冷にかかわる所望の伝熱性能を確保できる。
【0009】
そして、冷媒の圧力は蓄冷熱交換器(160)の内部にかかり、蓄冷材を封入する蓄冷材タンク(170)には、この冷媒の圧力がかからずに大気圧のみがかかるようにすることができるので、蓄冷材タンク(170)に耐圧性を持たせる必要が無くなる。よって、蓄冷材タンク(170)の薄肉化、あるいは低強度材の使用を可能として、小型化、低コスト化が可能となる。尚、蓄冷材タンク(170)には、耐圧性を持たせる必要がないことから、球状や円筒状等に対して、例えば平面部の広い扁平な直方体状に形成することもでき、相手側スペース内での搭載性を向上させることができる。
【0010】
上記蓄冷タンク装置(160A)においては、蓄冷と放冷とを繰返す中で、放冷から蓄冷に切替える際に、一方のタンク(165)に溜められた液相冷媒を一端、蓄冷熱交換器(160)の外部に流出させ、再び蓄冷熱交換器(160)の他方のタンク(164)から流入させることで、蓄冷が開始されることになる。よって、液相冷媒を外部に循環させる分だけ蓄冷に要する時間が長くかかることになる。
【0011】
そこで、請求項2に記載の発明では、他方のタンク(164)内の空間を第1空間(164c)と第2空間(164d)とに仕切る仕切り部材(164a)が設けられ、第1空間(164c)に連通して、冷媒を前記第1空間(164c)に流入させる流入部(166a)と、第2空間(164d)に連通して、冷媒を第2空間(164d)から流出させる流出部(166b)とが形成されたことを特徴としている。
【0012】
これにより、放冷から蓄冷に切替える際に、一方のタンク(165)内に溜められた液相冷媒を他方のタンク(164)の第2空間(164d)に連通するチューブ(161)に流通させることができるので、このチューブ(161)で速やかに蓄冷を開始することができ、蓄冷に要する時間を短縮して、蓄冷能力を向上させることができる。
【0013】
また、他方のタンク(164)に流入部(166a)と流出部(166b)とを設けることができるので、冷媒配管(101)の取回し性を向上できる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、仕切り部材(164a)には、所定の開口面積を有して、第1空間(164c)と第2空間(164d)とを連通させる開口部(164b)が形成されたことを特徴としている。
【0015】
これにより、流入部(166a)から流入する冷媒の一部を開口部(164b)を通して流出部(166b)から直接流出させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、複数のチューブ(161)のうち、第2空間(164d)に連通する第2空間チューブ(161b)は、冷凍サイクルで蒸発器(150)に接続される配管(101)相当の流路断面積を有する1つの管(162)として形成されたことを特徴としている。
【0017】
これにより、一方のタンク(165)から第2空間(164d)に至る冷媒の流通抵抗を低減することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、1つの管(162)は、一方のタンク(165)内で、下端部近傍に連通するように形成されたことを特徴としている。
【0019】
これにより、蓄冷熱交換器(160)内を冷媒が流通する際に、一方のタンク(165)内に流入する気相、液相冷媒のうち、液相冷媒を優先的に1つの管(162)から第2空間(164d)を経て流出部(166b)から流出させて、一方のタンク(165)内に液相冷媒が溜まらないようにすることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明において、1つの管(162)が、一方のタンク(165)内で、下端部近傍で連通するように形成するためには、請求項6に記載の発明のように、一方のタンク(165)内に1つの管(162)側とその反対側とを仕切る隔壁(165b)を設けて、この隔壁(165b)の下側を開口させることでその対応が可能となる。
【0021】
請求項7に記載の発明では、蓄冷材タンク(170)は、蓄冷熱交換器(160)のほぼ全体を内包し、他方のタンク(164)側で開口する半容器体であり、他方のタンク(164)の外周面と蓄冷材タンク(170)の開口側内周面との間にシール部材(180)が介在されたことを特徴としている。
【0022】
これにより、簡便な構成で、蓄冷材タンク(170)から蓄冷材が洩れるのを防止でき、定期的な蓄冷材の補充を不要とすることができる。
【0023】
また、請求項8に記載の発明のように、蓄冷材タンク(170)は、蓄冷熱交換器(160)の全体を内包し、流入部(166a)、および流出部(166b)に対応する位置で開口部(174a、174b)が形成された容器体として、流入部(166a)、および流出部(166b)の外周面と開口部(174a、174b)の内周面との間にシール部材(180)が介在されるようにしても良い。
【0024】
これにより、上記請求項7に記載の発明に対して、周長の短い領域でのシールが可能となり、安定したシールを容易に確保することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明では、複数のチューブ(161)には、熱的に接合されるフィン(163)が設けられたことを特徴としている。
【0026】
これにより、蓄冷材側の伝熱面積を拡大できるので、冷媒と蓄冷材との熱交換性能を向上させることができる。
【0027】
請求項10に記載の発明では、一方のタンク(165)から外部に連通する外部連通路(167a)と、外部から一方のタンク(165)内で、複数のチューブ(161)のうち、第2空間(164d)に連通する第2空間チューブ(161b)、あるいは1つの管(162)に接続される接続流路(167b)と、一方のタンク(165)内から、第2空間チューブ(161b)、あるいは1つの管(162)内への一方向のみに冷媒の流れを許容する第1逆止弁(168)とが設けられたことを特徴としている。
【0028】
これにより、冷凍サイクル内の圧縮機(110)によって冷媒が循環されて蓄冷熱交換器(160)内を冷媒が流通する際には、一方のタンク(165)において、第1逆止弁(168)を通り、第2空間チューブ(161b)、あるいは1つの管(162)に流入する冷媒流れを形成することができる。一方、冷凍サイクル内の冷媒が循環されない時には、外部連通路(167a)から接続流路(167b)に冷媒を流すポンプ手段(190)を設けることで、蓄冷熱交換器(160)内の冷媒流れを形成できる。
【0029】
請求項11に記載の発明では、一方のタンク(165)は、他方のタンク(164)と略同一仕様で形成された小タンク(165c)と、小タンク(165c)の下側に配設されて、小タンク(165c)に連通される液タンク(165h)とから成ることを特徴としている。
【0030】
これにより、通常使用されるチューブ(161)と一対の小タンク(165c)とを用いて形成される標準的な熱交換器をベースにして、液タンク(165h)を追加するのみで蓄冷熱交換器(160)を形成することができる。
【0031】
請求項12に記載の発明では、液タンク(165h)は、円筒状に形成されたことを特徴としている。
【0032】
これにより、例えば直方体のような複数の平面から成るタンクに比べて液タンク(165h)の耐圧性を向上させることができるので、液相冷媒を所定量溜めるために、その容量を大きく設定する必要がある場合でも、補強構造等を不要とした対応が可能となる。
【0033】
請求項13に記載の発明では、流入部(166a)と流出部(166b)とは、共に近接するように配置されて、一体的に形成されたことを特徴としている。
【0034】
これにより、部品点数を低減して、コストダウンすることができる。
【0035】
請求項14に記載の発明は、圧縮機(110)、凝縮器(120)、減圧器(140)、蒸発器(150)を構成要素として含み、これら構成要素が配管(101)によって順次環状に接続されて成る冷凍サイクル装置に関するものであり、請求項1〜請求項9、請求項11〜請求項13に記載の蓄冷タンク装置(160A)が、蒸発器(150)と圧縮機(110)との間に配設されて、冷媒が蓄冷熱交換器(160)内を流通するようにしたことを特徴としている。
【0036】
これにより、圧縮機(110)の作動により冷媒が冷凍サイクル内を循環する際には、蒸発器(150)で冷媒が吸熱することによって空調空気が冷却されると共に、蒸発器(150)から流出される低温の冷媒によって蓄冷タンク装置(160A)の蓄冷材が蓄冷される。そして、圧縮機(110)が停止された際には、蒸発器(150)で空調空気から吸熱して蒸発された冷媒は、蓄冷タンク装置(160A)の蓄冷材からの放冷によって凝縮液化されて冷媒体積を縮小させ、一方のタンク(165)内に液相冷媒として溜められていく。よって、蒸発器(150)側の圧力を低圧に維持するので、蓄冷材の蓄冷熱が保持されている間は凝縮器(120)と蒸発器(150)との間の残圧により、冷媒は継続して蒸発器(150)に流入可能となり、蒸発器(150)による空調空気の冷却を継続可能とすることができる。
【0037】
請求項15に記載の発明では、蓄冷タンク装置(160A)および圧縮機(110)の間の冷媒と、凝縮器(120)および減圧器(140)の間の冷媒との間で熱交換する内部熱交換器(200)が設けられたことを特徴としている。
【0038】
これにより、内部熱交換器(200)によって蓄冷タンク装置(160A)と圧縮機(110)との間の冷媒(低圧側冷媒)に過熱度を持たせることができるので、蒸発器(150)から流出される冷媒に過熱度を持たす必要が無くなる。よって、蒸発器(150)における冷媒圧力を下げること無く、つまり、冷凍サイクル装置(100)としての冷凍機効率(COP)を低下させること無く、蓄冷タンク装置(160A)に流入する冷媒温度を低下させて、蓄冷材に対する確実な蓄冷が可能となる。そして、蓄冷タンク装置(160A)から流出する低圧側冷媒は、内部熱交換器(200)によって過熱され確実に気相冷媒となるので、圧縮機(110)に対する液圧縮を防止できる。
【0039】
また、凝縮器(120)から流出する高圧側冷媒は、内部熱交換器(200)によって過冷却され、液相冷媒量を増加させて蒸発器(150)側に供給できる。蒸発器(150)では液相冷媒量の増加に伴い冷媒流通抵抗が減少し、空調空気の冷却能力が向上する。更に、蒸発器(150)において過熱度を小さく設定できることから、冷媒温度を低下させて、空調空気との温度差を拡大して空調空気の冷却性能を向上させることができる。
【0040】
請求項16に記載の発明では、減圧器(140)は、蒸発器(150)から流出される冷媒の温度に応じて絞り開度が調整される温度式膨張弁(140)であり、温度式膨張弁(140)に並列に介在される固定絞り部(211)を有することを特徴としている。
【0041】
これにより、圧縮機(110)の停止時に温度式膨張弁(140)の絞り開度が冷媒温度に応じて小さく調整されても、凝縮器(120)からの冷媒を固定絞り部(211)を通して蒸発器(150)に流入させることができるので、圧縮機(110)停止時における冷凍能力を確保することができる。
【0042】
請求項17に記載の発明では、圧縮機(110)、凝縮器(120)、減圧器(140)、蒸発器(150)を構成要素として含み、これら構成要素が配管(101)によって順次環状に接続されて成る冷凍サイクル装置において、請求項10に記載の蓄冷タンク装置(160B)が、減圧器(140)と蒸発器(150)との間に配設されると共に、減圧器(140)と流入部(166a)とが接続され、流出部(166b)と蒸発器(150)とが接続され、外部連通路(167a)から接続流路(167b)に冷媒を圧送するポンプ手段(190)と、蒸発器(150)の冷媒流出側から蓄冷タンク装置(160B)の冷媒流入側へ接続される冷媒流路(102)と、冷媒流路(102)に配設されて、蒸発器(150)から蓄冷タンク装置(160B)への一方向のみに冷媒流れを許容する第2逆止弁(103)とが設けられたことを特徴としている。
【0043】
これにより、圧縮機(110)の作動により冷媒が冷凍サイクル内を循環する際には、減圧器(140)で減圧された低温の冷媒が、蓄冷タンク装置(160B)において、内部の第1逆止弁(168)を開弁させて流通して、その間に蓄冷タンク装置(160B)の蓄冷材は低温の冷媒によって蓄冷される。蓄冷タンク装置(160B)から流出する冷媒は、蒸発器(150)で空調空気から吸熱して、空調空気を冷却する。
【0044】
一方、圧縮機(110)が停止された際には、ポンプ手段(190)を作動させることで、冷媒は、蓄冷タンク装置(160B)の接続流路(167b)から第2空間チューブ(161b)、あるいは1つの管(162)、流出部(166b)、蒸発器(150)、冷媒流路(102)、第2逆止弁(103)、蓄冷タンク装置(160B)の流入部(166a)、複数のチューブ(161)、外部連通路(167a)、ポンプ手段(190)の順に循環する。よって、蒸発器(150)で空調空気から吸熱して蒸発された冷媒は、蓄冷タンク装置(160B)の蓄冷材からの放冷によって凝縮液化されて、一方のタンク(165)内に液相冷媒として溜められていく。そして、その液相冷媒が再び蒸発器(150)に送られてそのサイクルを繰返すので、蒸発器(150)による空調空気の冷却を継続可能とすることができる。
【0045】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(第1実施形態)
第1実施形態の冷凍サイクル装置100は、例えば信号待ち等のように走行状態からアイドリングでの停車状態に移行した際にエンジンが停止されるいわゆるアイドルストップ車両に適用されたものであり、以下、図1〜図3を用いてその基本構成について説明する。尚、図1は冷凍サイクル装置100の全体構成を示す模式図、図2は蓄冷タンク装置160Aを示す分解斜視図、図3は蓄冷熱交換器160の戻りパイプ162および下部タンク165を示す断面図である。
【0047】
冷凍サイクル装置100は、低温側の熱を高温側に移動させて冷熱および温熱を空調に利用するもので、図1に示すように、通常の圧縮機110、凝縮器120、受液タンク130、温度式膨張弁140、蒸発器150が配管101によって順次環状に接続されるサイクルに、蓄冷タンク装置160Aが付加されて形成されるようにしている。
【0048】
圧縮機110は、車両のエンジン(図示せず)を駆動源として作動され、冷凍サイクル装置100内の冷媒(例えばHFC134a)を高温高圧に圧縮して吐出する流体機械である。凝縮器120は、圧縮機110の冷媒吐出側に設けられ、高温高圧に圧縮された冷媒を冷却して、凝縮液化する熱交換器である。受液タンク130は、凝縮器120で凝縮された冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して液相冷媒を流出させるレシーバである。
【0049】
温度式膨張弁(本発明における減圧器に対応し、以下膨張弁)140は、受液タンク130で分離された液相冷媒を等エンタルピ的に減圧膨脹させるもので、弁部141と、蒸発器150の冷媒流出側(蒸発器150と蓄冷タンク装置160Aとの間)に設けられた感温部142とを有している。膨張弁140は、感温部142で検出される冷媒温度に応じて弁部141の絞り開度が制御されて、蒸発器150から流出される冷媒の過熱度を所定値(例えば5〜10℃)とするようになっている。
【0050】
蒸発器150は、膨張弁140にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮する熱交換器であり、空調ケース151内に配設されて、この空調ケース151内に供給される空調空気を冷却(空調空気から吸熱)する。尚、空調ケース151内には、この他に図示しない空調空気送風用の送風機、空調空気加熱用の熱交換器、冷却空気および加熱空気の混合割合を調整するエアミックスドア機構等が設けられて、室内ユニット150Aを形成しており、この室内ユニット150Aは車室内のインストルメントパネル内に配設されている。
【0051】
そして、蒸発器150と圧縮機110との間には(蒸発器150に対して直列となるように)、蓄冷タンク装置160Aが配設されている。蓄冷タンク装置160Aは、図2、図3に示すように、蓄冷材タンク170内に蓄冷材が充填されると共に蓄冷熱交換器160が配設され、両者160、170間にシール部材としてのパッキン180が介在されて形成されている。
【0052】
蓄冷熱交換器160は、蒸発器150から流出される冷媒を内部に流通させると共に、この冷媒と蓄冷材タンク170内の蓄冷材との間で熱交換を行う熱交換器である。具体的には、蓄冷熱交換器160は、マルチフロータイプの熱交換器としており、1列に積層(配列)される複数の冷媒チューブ161の長手方向両端部に一対のタンク164、165が接続されて形成されている。冷媒チューブ161は、その長手方向が略上下方向を向くように使用される。また、一対のタンク164、165は、その長手方向が略水平方向を向くように使用され、一対のタンク164、165は、上部タンク164、下部タンク165として、両者164、165が上下の位置関係となるようにしている。
【0053】
尚、蓄冷熱交換器160を形成する各部材(以下、詳述)は、アルミニウムあるいはアルミニウム合金から成り、互いに当接する部位に設けられたろう材によって、一体的にろう付けされている。
【0054】
冷媒チューブ161は、押出し加工によって成形されたもので、長手方向に直交する断面が扁平状を成して、扁平状の長辺側同士を繋ぐ複数の隔壁によって内部流路が複数に区画されている。冷媒チューブ161は、図2中の左右方向に複数並べられて(積層されて)、各冷媒チューブ161の間には、冷媒チューブ161よりも薄肉の帯板材からローラ加工によって波状に形成されると共に、平面部に複数のルーバが形成されたコルゲートタイプのフィン163が介在されている(ろう付けによって熱的に接合されている)。冷媒チューブ161と、フィン163とによって熱交換部が形成されている。
【0055】
上部タンク(本発明における他方のタンクに対応)164と、下部タンク(本発明における一方のタンクに対応)165は共に、平板材の折り曲げ、あるいは平板材同士の接合により形成された細長直方体の容器体である。両タンク164、165には、冷媒チューブ161の位置に対応するように、チューブ孔が形成されており、各冷媒チューブ161の長手方向両端部がそれぞれのチューブ孔に挿入、接合されて、両タンク164、165は各冷媒チューブ161と連通している。
【0056】
冷媒チューブ161の積層方向の一方の外方(図2中では右側)には、戻りパイプ(本発明における1つの管に対応)162が設けられて、上部タンク164と下部タンク165とに連通している。戻りパイプ162は、円筒状の太い管部材として設定されており、その流路断面積は、冷凍サイクル装置100の配管101のうち、蒸発器150から圧縮機110に接続される配管(後述する流入配管101a、流出配管101b)に相当するものとしている。
【0057】
そして、戻りパイプ162の下端部は、図3に示すように、下部タンク165の下面近傍まで延びて、戻りパイプ162は下部タンク165内の下端部近傍で連通するようにしている。尚、戻りパイプ162は、流路断面積が略同等であって、下部タンク165の下面近傍まで延びる複数の冷媒チューブ(本発明における第2空間チューブに対応)161に置き換えても良い。
【0058】
上部タンク164内において、複数の冷媒チューブ161と戻りパイプ162との間となる位置には、仕切り部材としてのセパレータ164aが設けられている。このセパレータ164によって、上部タンク164内は、冷媒チューブ161側となる第1空間164cと、戻りパイプ162側となる第2空間164dとに区画されている。そして、セパレータ164aの中央部には、所定の開口面積を有する円形状の開口穴(本発明における開口部に対応)164bが形成されており、第1空間164c内に流入する冷媒(気相冷媒)のうち、所定量の冷媒が直接第2空間164c内に流入可能となっている。
【0059】
上部タンク164の長手方向の一方側の端部には、第1空間164c内に連通する入口ジョイント(本発明における流入部に対応)166aが接続されている。また、上部タンク164の長手方向の他方側の端部には、第2空間164d内に連通する出口ジョイント(本発明における流出部に対応)166bが接続されている。
【0060】
下部タンク165は、冷媒を集合させると共に冷媒を溜める機能を持たせるために、上部タンク164に対して、その上下方向の寸法が大きく取られて、内部容量が大きくなるように設定されている。この内部容量は、後述するように蓄冷熱交換器160に流入した過熱ガス冷媒が蓄冷された蓄冷材によって冷却される際に凝縮されて液冷媒となるが、この液冷媒を所定量溜め得るだけの容量としている。
【0061】
この下部タンク165の容量は、圧縮機110の停止中に、所定時間にわたって、冷房を提供できるように設定される。例えば、圧縮機110の停止中に、短い時間にわたって、比較的弱い冷房を提供できるように設定される。例えば、アイドルストップ車両においては、アイドルストップ期間中に乗員の快適性の悪化を抑制することができるか、あるいは乗員に冷房の継続を感じさせることができる程度の比較的弱い冷房を持続できる容量、あるいはそれ以上の容量とすることができる。よって、この容量は、蓄冷タンク装置が適用された冷凍サイクル装置の用途などに応じて設定される。この下部タンク165の容量は、蓄冷材の蓄冷能力に応じて、その蓄冷材によって液化されうる液冷媒量を溜めることができるように設定される場合がある。この下部タンク165の容量は、圧縮機110の作動中に冷媒が流れるために必要とされる容量を越えて設定される場合がある。
【0062】
下部タンク165は、上記の容量設定により、長手側となる側壁の面積が大きくなり、冷媒内圧による変形を受け易くなるために、下部タンク165内には、水平方向に配設されて、対向する長手側壁同士を連結する補強板165aが設けられている。尚、補強板165aには、上下方向に貫通する穴を複数設けるようにしても良い。あるいは、補強板165aは、上記セパレータ164aのように、開口部を有して、下部タンク165内の長手方向に複数並ぶように配列されたもの等としても良い。
【0063】
一方、蓄冷材タンク170は、車両への取付け部となる取付けブラケット171が一体形成された扁平の半容器体であり、例えば薄肉の樹脂材からインジェクション成形によって形成されている。容器体としては、ほぼ、上記蓄冷熱交換器160の全体を内包する大きさを有している。蓄冷材タンク170内には、その開口側から蓄冷材(例えば、パラフィン、氷)が所定量充填されて、更に、蓄冷熱交換器160が配設されている。
【0064】
上部タンク164の側壁面(外周面)と、蓄冷材タンク170の開口側内壁面(内周面)との間にシール部材としてのリング状のパッキン180が介在されて、蓄冷材が蓄冷材タンク170から漏れないようにしている。よって、蓄冷材タンク170内において、蓄冷材が蓄冷熱交換器160の冷媒チューブ161、フィン163と接触し、蓄冷材と冷媒チューブ161、フィン163との間で、主に熱伝導による熱の出入を可能とする蓄冷タンク装置160Aが形成される。
【0065】
そして、蒸発器150の冷媒流出側から延びる流入配管101aが蓄冷タンク装置160Aの入口ジョイント166aに接続され、また、圧縮機110の吸入側に接続される流出配管101bが蓄冷タンク装置160Aの出口ジョイント166bに接続されている。
【0066】
次に、上記構成に基づく冷凍サイクル装置100の作動およびその作用効果について説明する。
【0067】
1.蓄冷モード
車両走行時に、エンジンにより圧縮機110が駆動され、冷凍サイクル装置100が作動する。圧縮機110で圧縮吐出された冷媒は、凝縮器120で凝縮液化され、受液タンク130を経て膨張弁140で減圧され、蒸発器150で空調空気から吸熱して蒸発し、空調空気を冷却する(冷房する)。
【0068】
そして、蒸発器150から流出される冷媒は、流入配管101aを通り、蓄冷タンク装置160Aに流入する。具体的には、冷媒は蓄冷熱交換器160の入口ジョイント166aから上部タンク164の第1空間164cを経て、冷媒チューブ161を通流する。そして、蓄冷材融点より低い温度の冷媒によって蓄冷材を液相から固相に変化させて、その凝固潜熱を蓄える。即ち、冷媒は、蓄冷材タンク170内の蓄冷材を冷却し、蓄冷する。
【0069】
蒸発器150、蓄冷熱交換器160(冷媒チューブ161)でそれぞれ空調空気、蓄冷材から吸熱した冷媒は、過熱ガス冷媒となって下部タンク165内に至り、戻りパイプ162の下端部から上部タンク164の第2空間164d、出口ジョイント166b、流出配管101bを経て圧縮機110に戻る。尚、冷凍サイクル装置100としては、車室内熱負荷に加えてこの蓄冷材の冷却熱負荷がトータルの冷房負荷となり、蓄冷材への蓄冷が完了すると、蓄冷タンク装置160Aでの冷媒と蓄冷材との間の熱移動は停止される。
【0070】
2.放冷モード
車両が停車してエンジンが停止されると、圧縮機110も停止される。この時、冷凍サイクル装置100内では高圧側となる凝縮器120、受液タンク130から、低圧側となる蒸発器150、蓄冷タンク装置160Aに、その残圧により膨張弁140を通じて冷媒が流入する。
【0071】
蒸発器150に流入した冷媒は空調空気との熱交換により空調空気を冷却して、蓄冷材の融点よりも高い温度の過熱ガス冷媒となる。過熱ガス冷媒は、流入配管101aから蓄冷タンク装置160Aに流入して、蓄冷材に融解潜熱を与えて放冷する。換言すれば、過熱ガス冷媒は、蓄冷材の蓄冷熱により冷却されて凝縮液化し、重力により下部タンク165内に液冷媒として溜められる。
【0072】
つまり、蒸発器150からの過熱ガス冷媒は、蓄冷熱交換器160の冷媒チューブ161で凝縮されて体積を縮小させて、下部タンク165内に液冷媒として溜められて圧力を低圧に維持するので、圧縮機110が停止されても蓄冷材の蓄冷熱が保持されている間は凝縮器120と蒸発器150との間の残圧により、冷媒は継続して蒸発器150に流入可能となり、蒸発器150による空調空気の冷却を継続可能とすることができる。尚、上記蓄冷タンク装置160Aとしての蓄冷、放冷にかかわる伝熱性能は、チューブ161の本数、長さ等の設定、および蓄冷材の封入量によって確保される。
【0073】
ここで、本実施形態では冷媒が流通する蓄冷熱交換器160の外部に蓄冷材タンク170を設けて、この蓄冷材タンク170内に蓄冷材を充填するようにしているので、冷媒の圧力は蓄冷熱交換器160の内部にかかり、蓄冷材を封入する蓄冷材タンク170には、この冷媒の圧力がかからずに大気圧のみがかかるようにすることができ、蓄冷材タンク170に耐圧性を持たせる必要が無くなる。よって、蓄冷材タンク170の薄肉化、あるいは低強度材の使用を可能として、小型化、低コスト化が可能となる。尚、蓄冷材タンク170には、耐圧性を持たせる必要がないことから、球状や円筒状等に対して、本実施例のように平面部の広い扁平な直方体状に形成することもでき、車両エンジンルーム内での搭載性を向上させることができる。
【0074】
また、蓄冷熱交換器160の一対のタンク164、165を上部タンク164、下部タンク165として形成しているので、蓄冷材によって凝縮された液冷媒が重力によって下部タンク165内に流れ落ちて、蓄冷熱交換器160の冷媒チューブ161内に停滞することが無くなり、蓄冷熱交換器160における冷媒と蓄冷材タンク170内の蓄冷材との熱交換を効率良く行うことができる。即ち、凝縮した液冷媒が蓄冷熱交換器160の冷媒チューブ161の内壁面に厚い膜となって残らないので、蓄冷材との伝熱面が充分確保され、効率的な熱交換が可能となる訳である。
【0075】
また、上部タンク164内を第1空間164cと第2空間164dとに区画して、第1空間164c、第2空間164dにそれぞれ入口ジョイント166a、出口ジョイント166bを設けるようにしているので、上部タンク164側に各配管101a、101bを集合させて、各配管101a、101bの取回し性を向上することができる。
【0076】
また、上部タンク164内に配設したセパレータ164aに開口穴164bを設けるようにしているので、入口ジョイント166aから流入する冷媒の一部を開口穴164bを通して出口ジョイント166bから直接流出させることができる。即ち、上記放冷モードの後に、車両が走行状態に移行するとエンジンが始動され、圧縮機110も作動される。そして、圧縮機110は、蓄冷タンク装置160Aから冷媒を吸引する。この時、圧縮機110は、放冷モード時に蓄冷材によって下部タンク165内に凝縮された液冷媒を主に吸引することになり、液圧縮となる。しかし、蒸発器150で蒸発された過熱ガス冷媒の一部を入口ジョイント166aから開口穴164bを通して出口ジョイント166bに流して圧縮機110に吸引させることができるので、圧縮機110での液圧縮の度合いを低減できる。
【0077】
また、下部タンク165と上部タンク164の第2空間164dとの間を冷媒チューブ161に代えて、戻りパイプ162によって連通させるようにしているので、下部タンク165から第2空間164dに至る冷媒の流通抵抗を低減することができる。
【0078】
また、戻りパイプ162は、下部タンク165内の下端部近傍で連通するようにしているので、蓄冷熱交換器160内を冷媒が流通する際に、下部タンク165内に流入する過熱ガス冷媒、液冷媒のうち、液冷媒を優先的に戻りパイプ162から第2空間164dを経て出口ジョイント166bから流出させて、下部タンク165内に液冷媒が溜まらないようにすることができる。即ち、蓄冷モードにおいて圧縮機110により冷媒が冷凍サイクル内を循環している時に、下部タンク165内に液冷媒を溜めないようにして、放冷モードに備えることができる。そして、放冷モードにおいて圧縮機110が停止した時には、蒸発器150から流出される過熱ガス冷媒を蓄冷材で凝縮させて、下部タンク165に溜めることができる。
【0079】
また、蓄冷材タンク170を半容器体として、蓄冷材と共に蓄冷熱交換器160を内部配設した後に、パッキン180で両者160、170間をシールするようにしているので、簡便な構成で、蓄冷材タンク170から蓄冷材が洩れるのを防止できる。つまり、定期的な蓄冷材の補充を不要とすることができる。
【0080】
また、複数の冷媒チューブ161間にフィン163を介在させてろう付けしているので、蓄冷材側の伝熱面積を拡大でき、冷媒と蓄冷材との熱交換性能を向上させることができる。
【0081】
尚、凝縮器120においては、冷媒の過冷却域まで冷却する方式(いわゆるサブクールコンデンサ)にあっては、凝縮器120内にモジュレータタンクとして一体的に構成される場合もあり、この場合には受液タンク130は省略しても良い。
【0082】
また、本実施形態の方式では高圧側冷媒量が多いほど放冷時間が長く確保できる特性があることから、圧縮機110停止可能時間を所定時間以上長く維持すべき場合には、必要に応じてこの受液タンク130を追加したり、受液タンク130の容量あるいは高圧配管径を拡大する等しても良い。
【0083】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図4に示す。第2実施形態は上記第1実施形態に対して、冷凍サイクル装置100Aに内部熱交換器200を追加したものである。
【0084】
内部熱交換器200は、凝縮器120と膨張弁140との間(具体的には受液タンク130と膨張弁140との間)の高圧側冷媒と、蓄冷タンク装置160Aと圧縮機110との間の低圧側冷媒との間で熱交換するものである。内部熱交換器200は、例えば、上記高圧側冷媒が流通する高圧側配管の所定領域(所定長さ)の中に、上記低圧側冷媒が流通する低圧側配管を配設した二重管構造のものとして形成される。つまり、高圧側配管と低圧側配管との間に高圧側冷媒が流れ、低圧側配管内を流れる低圧側冷媒と熱交換する訳である。高圧側冷媒は低圧側冷媒によって過冷却され、低圧側冷媒は高圧側冷媒によって過熱されるようにしている。
【0085】
また、ここでは、上記のように内部熱交換器200によって圧縮機110に流入する前の冷媒が過熱されることから、蒸発器150から流出される冷媒には、できるだけ過熱度を持たせない(過熱度を小さくする)ようにしている。具体的には、過熱度が0〜3℃となるように、膨張弁140の設定(感温部142における冷媒温度に対して絞り開度がより大きくなるように設定等)を行っている。
【0086】
以上のように構成される第2実施形態においては、蓄冷タンク装置160Aによって、上記第1実施形態と同様の蓄冷モードおよび放冷モードを行い、圧縮機110停止時の冷凍機能の継続を可能とする。
【0087】
また、内部熱交換器200によって低圧側冷媒に過熱度を持たせることができることから、膨張弁140の設定により蒸発器150から流出される冷媒に過熱度を持たせないようにしているので、蒸発器150における冷媒圧力を下げること無く、つまり、冷凍サイクル装置100Aとしての冷凍機効率(COP)を低下させること無く、蓄冷タンク装置160Aに流入する冷媒温度を低下させて、蓄冷材に対する確実な蓄冷が可能となる。
【0088】
また、内部熱交換器200を追加することで、凝縮器120から蒸発器150へ流入する冷媒の過冷却度を高めることができ、凝縮器120から流出する液相冷媒量を増加させて蒸発器150側に供給できるようになるので、蒸発器150では液相冷媒量の増加に伴い冷媒流通抵抗が減少し、空調空気の冷却性能を向上させることができる。更に、蒸発器150における過熱度を小さく設定できることから、冷媒温度を低下させて、空調空気との温度差を拡大して空調空気の冷却性能を向上させることができる。そして、蓄冷タンク装置160Aから流出する冷媒は、内部熱交換器200によって過熱され確実に気相冷媒となるので、圧縮機110に対する液圧縮を防止できる。
【0089】
尚、蒸発器150における過熱度は、上記説明では例えば0〜3℃としたが、内部熱交換器200で所定の過熱度が取れる(気相冷媒とする)ようにすれば、蒸発器150においては過熱度を完全に持たせない、つまり過熱度を0℃以下として、冷媒が気液二相状態となるようにしても良い。
【0090】
また、内部熱交換器200は、二重管構造のものに限らず、内部に並列となる2つの流路が設けられて、一方の流路に高圧側冷媒が流れ、他方の流路に低圧側流体が流れ、両者間での熱の授受がされるものとしても良い。
【0091】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図5に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、冷凍サイクル装置100Bにおいて、膨張弁140に対して並列配置される固定絞り部191を設けたものである。
【0092】
具体的には、膨張弁140の弁部141をバイパスするバイパス流路210を設けて、このバイパス流路210に、所定開度に固定された固定絞り部211を設けている。
【0093】
蓄冷モード時(圧縮機110が作動されている時)は、膨張弁140は感温部142の冷媒温度(冷媒過熱度)に応じて弁部141を所定開度に開くが、放冷モード時では圧縮機110の停止によって低圧側圧力が上昇する一方、感温部142が冷えているために弁部141は次第に閉じてゆく場合がある。
【0094】
このように、放冷モード時の冷房能力はこの時の膨張弁140の開度によって制限されることになるが、本第3実施形態では、固定絞り部211を設けるようにしているので、凝縮器120から流出される冷媒を、可変される膨張弁140の絞り開度に関わらず、固定絞り部211を通して蒸発器150に流入させることができるので、圧縮機110停止時における冷房能力を確保することができる。
【0095】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図6、図7に示す。第4実施形態は、上記第1実施形態に対して、冷凍サイクル装置100Cにおいて、蓄冷タンク装置160Bの冷媒流れ構造を変更すると共に、ポンプ手段としての液冷媒循環ポンプ(以下、ポンプ)190を設けて、放冷モード時に冷媒を蒸発器150と蓄冷タンク装置160Bとの間で循環させて、蒸発器150による空調空気の冷却を継続可能としたものである。
【0096】
蓄冷タンク装置160Bにおいて、図7に示すように、蓄冷材タンク170の底面に開口部172、173を設けている。そして、開口部172を貫通して、下部タンク165内から蓄冷材タンク170の外部に連通する外部連通路167aを設けている。外部連通路167aと開口部172との間は、蓄冷材が外部に漏れないように、図示しないシール部材によってシールされている。
【0097】
また、開口部173を貫通して、蓄冷材タンク170の外部から下部タンク165内の戻りパイプ162に接続される接続流路167bを設けている。接続流路167bと開口部173との間は、蓄冷材が外部に漏れないように、上記と同様に図示しないシール部材によってシールされている。
【0098】
そして、下部タンク165内において、戻りパイプ162の側壁に逆止弁(本発明における第1逆止弁に対応)168を設けている。逆止弁168は、下部タンク165内から戻りパイプ162内への一方向のみに冷媒が流れることを許容する弁である。
【0099】
蓄冷タンク装置160Bは、図6に示すように、膨張弁140と蒸発器150との間に配設されている。即ち、入口ジョイント166aが膨張弁140の冷媒流出側と接続され、また、出口ジョイント166bが蒸発器150の冷媒流入側と接続されている。更に、ポンプ190が外部連通路167aと接続流路167bとの間に配設され、冷媒が外部連通路167a側から接続流路167b側に圧送されるようにしている。
【0100】
また、蒸発器150の冷媒流出側から蓄冷タンク装置160Bの冷媒流入側(膨張機140と入口ジョイント166aとの間)に接続される冷媒流路102が形成されており、この冷媒流路102には、蒸発器150側から蓄冷タンク装置160B側への一方向のみに冷媒が流れることを許容する逆止弁(本発明における第2逆止弁に対応)103が設けられている。
【0101】
本実施形態の冷凍サイクル装置100Cでは、蓄冷モード時において、圧縮機110の作動により冷媒が冷凍サイクル内を循環する際に、減圧器140で減圧された低温の冷媒が、蓄冷タンク装置160B内で逆止弁168を開弁させて流通して、その間に蓄冷タンク装置160Bの蓄冷材は低温の冷媒によって蓄冷される。蓄冷タンク装置160Bから流出する冷媒は、蒸発器150で空調空気から吸熱して、空調空気を冷却する。
【0102】
一方、放冷モードにおいて、圧縮機110が停止された際には、ポンプ190が作動されて、冷媒は、蓄冷タンク装置160Bの接続流路167bから戻りパイプ162、出口ジョイント166b、蒸発器150、冷媒流路102、逆止弁103、蓄冷タンク装置160Bの入口ジョイント166a、上部タンク164、チューブ161、下部タンク165、外部連通路167a、ポンプ190の順に循環する。よって、蒸発器150で空調空気から吸熱して蒸発された冷媒は、蓄冷タンク装置160B内に流入して、蓄冷材からの放冷によって凝縮液化されて、下部タンク165内に液冷媒として溜められていく。そして、その液冷媒が再び蒸発器150に送られてそのサイクルを繰返すので、蒸発器150による空調空気の冷却を継続可能とすることができる。
【0103】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図8、図9に示す。第5実施形態は上記第1実施形態に対して蓄冷熱交換器160の細部構造を変更したものである。
【0104】
蓄冷熱交換器160の熱交換部を形成するフィン163は、上記第1実施形態のコルゲートタイプのものに代えて、図8に示すように、プレートタイプのフィン163aとしても良い。フィン163aは、薄肉の帯板材の長手方向に冷媒チューブ161の位置に合わせて、チューブ用バーリング穴、あるいは切り込みが複数設けられたものである。尚、フィン163aの表面には、熱交換効率を向上させるために、微細な凹凸やルーバ等を形成しても良い。
【0105】
フィン163aが複数枚積層された後に、各チューブ用バーリング穴、あるいは切り込みに冷媒チューブ161が挿通され、チューブ161が拡管されることで、フィン163aはチューブ161の外表面に圧着される。更に、フィン163aは、チューブ161の外表面にろう付けされている。プレートタイプのフィン163aは、ローラ成形に代えて、プレス加工での成形が可能であり、安価な製造が可能となる。
【0106】
また、戻りパイプ162は、図9に示すように、その下端側を下部タンク165の上面に接合している。そして、下部タンク165の内部を戻りパイプ162側とその反対側とに仕切る隔壁としてのセパレータ165bを設けていおり、セパレータ165bの下側が開口するようにしている。即ち、セパレータ165bは、下部タンク165の上面から下面側に向けて延びるようにして、セパレータ165bの下端部と下部タンク165の下面との間に隙間が形成されるようにしている。
【0107】
よって、戻りパイプ162は、セパレータ165bを介して下部タンク165の下端部近傍に連通し、上記第1実施形態と同様の機能を発揮させることができる。
【0108】
尚、第5実施形態の変形例として、戻りパイプ162については、図10に示すように、長手方向の端部側が閉塞されて、端部側の円周面に流入穴162aを設けて、下部タンク165の長手方向端部から下部タンク165内に連通するようにしても良い。
【0109】
また、蓄冷タンク装置160Aのパッキン180は、蓄冷熱交換器160と蓄冷材タンク170とは独立した構造としたが、蓄冷材タンク170の材料を例えば弾性を有するゴム状の材料として、蓄冷材タンク170と一体で形成するようにしても良い。
【0110】
また、蓄冷タンク装置160Aに対する各配管101a、101bの取回しに制約がなければ、戻りパイプ162、セパレータ164aを廃止して、出口ジョイント166bを下部タンク165に設けるようにしても良い。
【0111】
また、セパレータ164aの開口穴164bは、放冷モードから蓄冷モードに移行する際の圧縮機110への液圧縮の影響度合いに応じて、廃止するようにしても良い。
【0112】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態を図11〜図15に示す。第6実施形態は、上記第1実施形態に対して蓄冷熱交換器160、蓄冷材タンク170、パッキン180の構造をそれぞれ変更して、蓄冷タンク装置160Cとしたものである。
【0113】
図11〜図13に示すように、蓄冷熱交換器160の熱交換部は、2列に積層(配列)される複数のチューブ161から形成されている。ここでは、便宜上、図11中の紙面奥側の1列目のチューブ群を第1空間チューブ161a、図11中の紙面手前側の2列目のチューブ群を第2空間チューブ161bとしている。尚、フィン163は、チューブ161の2列分の奥行きに相当する寸法に設定されて、各チューブ161間に介在(接合)されている。
【0114】
上部タンク164は、2本の円筒状部材が並列配置されて、両者が長手方向の側壁で互いに接合されるようにして形成されており、チューブ161の長手方向端部の一方が接合されている。更に詳述すると、上部タンク164には、2本の円筒状部材によって第1空間164cと第2空間164dとが形成されており、第1空間164cには第1空間チューブ161aが連通し、第2空間164dには第2空間チューブ161bが連通している。そして、2本の円筒状部材が互いに接合される部位(本発明における仕切り部材に対応)の略中央には、上記第1実施形態と同様の開口穴164bが設けられている。
【0115】
上部タンク164の長手方向の両端部には、扁平状のカップタンク164e、164fが接続されている。上部タンク164の第1空間164cは、連通孔164gによって、カップタンク164e内と連通している。また、上部タンク164の第2空間164dは、連通孔164hによって、カップタンク164f内と連通している。
【0116】
下部タンク165は、小タンク165c、液タンク165h、カップタンク165d、165eから形成されている。小タンク165cは、上記上部タンク164と略同一仕様を成すタンクであり、2本の円筒状部材によって内部には第1空間165c1と第2空間165c2とが形成されている。小タンク165cにはチューブ161の長手方向端部の他方が接合されている。即ち、第1空間165c1には第1空間チューブ161aが連通し、第2空間165c2には第2空間チューブ161bが連通している。
【0117】
液タンク165hは、小タンク165cの各円筒状部材よりも内径の大きく設定された大径円筒状部材から成るタンクであり、小タンク165cの下側に配設されている。小タンク165cと液タンク165hとを合わせた内容積は、上記第1実施形態と同様に、蓄冷熱交換器160に流入した過熱ガス冷媒が蓄冷された蓄冷材によって冷却される際に凝縮される液冷媒を所定量溜め得るだけの容量としている。
【0118】
そして、小タンク165c、液タンク165hの長手方向の両端部には、扁平状のカップタンク165d、165eが接続されている。小タンク165cの第1空間165c1は、連通孔165fによって、カップタンク165d内と連通している。また、小タンク165cの第2空間165c2は、連通孔165gによって、カップタンク165e内と連通している。更に、液タンク165h内の空間は、連通孔165i、165jによって、カップタンク165d、165e内と連通している。
【0119】
入口ジョイント166aは、円筒状に形成されたブロック部材としており、上部タンク164のカップタンク164e側に配設されて、このカップタンク164e内と連通するように接続されている。また、出口ジョイント166bは、入口ジョイント166aと同様に円筒状に形成されたブロック部材としており、上部タンク164のカップタンク164f側に配設されて、このカップタンク164f内と連通するように接続されている。
【0120】
蓄冷材タンク170は、上タンク174と下タンク175とから形成されている。それぞれのタンク174、175は、上記第1実施形態と同様に、例えば薄肉の樹脂材からインジェクション成形によって形成されている。
【0121】
上タンク174は、下タンク175側に開口して蓋状を成すタンクとしており、蓄冷熱交換器160の両ジョイント166a、166bと上部タンク164とを内包する大きさを有している。上タンク174の略中央には、車両への取付け部となる取付けブラケット171が一体形成されると共に、両ジョイント166a、166bに対応する位置で開口して、その周囲にフランジ部が形成された円形の開口部174a、174bが設けられている。
【0122】
下タンク175は、底の深い扁平の半容器体であり、ほぼ蓄冷熱交換器160の下部タンク165および熱交換部を内包する大きさを有している。上タンク174と下タンク175は、例えば樹脂溶着等の接合手段によって互いに接合されて、蓄冷材タンク170を形成する。
【0123】
そして、蓄冷材タンク170内に、蓄冷熱交換器160が配設され、所定量の蓄冷材が充填されると共に、両ジョイント166a、166bの外周部と上タンク174の開口部174a、174b(フランジ部)の内周部との間にOリングタイプのパッキン180(2つ)が介在されて、蓄冷タンク装置160Cが形成されている。
【0124】
次に、上記蓄冷タンク装置160Cを用いた冷凍サイクル装置100の作動について図14、図15を加えて説明する。尚、冷凍サイクル内における蓄冷タンク装置160Cの配設位置は、上記第1実施形態と同様に蒸発器150と圧縮機110との間としている。
【0125】
1.蓄冷モード
車両走行時に、エンジンによる圧縮機110の駆動に伴って、圧縮機110で圧縮吐出され、蒸発器150から流出される冷媒は、蓄冷タンク装置160Cに流入する。蓄冷タンク装置160C内においては、図14に示すように、冷媒は蓄冷熱交換器160の入口ジョイント166aからカップタンク164e→連通孔164g→上部タンク164の第1空間164cを経て、第1空間チューブ161aを通流する。そして、小タンク165cの第1空間165c1→連通孔165f→カップタンク165d→連通孔165i→液タンク165h→連通孔165j→カップタンク165e→連通孔165g→小タンク165cの第2空間165c2を経て、第2空間チューブ161bを流通する。更に、上部タンク164の第2空間164d→連通孔164h→カップタンク164fを経て出口ジョイント166bから流出して圧縮機110に戻る。
【0126】
上記冷媒の流れにおいて、蓄冷材融点より低い温度の冷媒が第1空間チューブ161a、第2空間チューブ161bを流通する際に、蓄冷材タンク170内の蓄冷材を液相から固相に変化させて、その凝固潜熱を蓄える。即ち、冷媒は、蓄冷材タンク170内の蓄冷材を冷却し、蓄冷する。
【0127】
尚、上記冷媒の流れにおいて、冷媒の一部は上部タンク164の開口穴164bから熱交換部(チューブ161)をバイパスして出口ジョイント166bに流出する。ここで、上記蓄冷モード時には、圧縮機110の作動により強制的に比較的大流量(50〜200kg/h)となる冷媒流れによって、流速は速くなり、開口穴164bでの流通抵抗が大きくなり、熱交換部に対するバイパス流量は小さく保たれ、冷媒の大半は熱交換部を流れるため、蓄冷能力の低下は事実上ほとんどない。
【0128】
2.放冷モード
車両停車時のエンジン停止に伴い、圧縮機110が停止されると、冷凍サイクル内の残圧によって低圧側となる蒸発器150、蓄冷タンク装置160Cに膨張弁140を通じて冷媒が流入する。
【0129】
蒸発器150から流出される過熱ガス冷媒は、蓄冷タンク装置160Cに流入する。蓄冷タンク装置160C内においては、図15に示すように、冷媒は蓄冷熱交換器160の入口ジョイント166aからカップタンク164e→連通孔164g→上部タンク164の第1空間164cを経て、第1空間チューブ161aを通流する。また、冷媒は上部タンク164の第1空間164cから開口穴164b→上部タンク164の第2空間164dを経て、第2空間チューブ161bにも流通する。
【0130】
尚、放冷モード時においては、圧縮機110が停止されていることから、蓄冷モード時に対して冷媒流量は少なくなり、第2空間チューブ161bを流れる冷媒流量は蓄冷モード時の約1/4以下と小さく、開口穴164bもほとんど流通抵抗とならずに冷媒を流すことができる。
【0131】
上記冷媒の流れにおいて、蓄冷材の融点よりも高い温度の過熱ガス冷媒が第1空間チューブ161a、および第2空間チューブ161bを流通する際に、蓄冷材に融解潜熱を与えて放冷する。即ち、過熱ガス冷媒は、蓄冷材の蓄冷熱により冷却されて凝縮液化し、液冷媒として重力により下降して、小タンク165cの第1空間165c1→連通孔165f→カップタンク165d→連通孔165i→液タンク165hに、また小タンク165cの第2空間165c2→連通孔165g→カップタンク165e→連通孔165j→液タンク165hに至る。
【0132】
つまり、蒸発器150からの過熱ガス冷媒は、蓄冷熱交換器160のすべての冷媒チューブ161(第1、第2空間チューブ161a、161b)で凝縮されて体積を縮小させて、下部タンク165内に液冷媒として溜められて圧力を低圧に維持するので、圧縮機110が停止されても蓄冷材の蓄冷熱が保持されている間は凝縮器120と蒸発器150との間の残圧により、冷媒は継続して蒸発器150に流入可能となり、蒸発器150による空調空気の冷却を継続可能とすることができる。
【0133】
3.放冷モードから蓄冷モードへの切替え
本実施形態では、上記放冷モードから再び蓄冷モードに切替えられる際に、圧縮機110の再起動に伴い、下部タンク165(液タンク165h、小タンク165cの第1、第2空間165c1、165c2)に溜められた液冷媒がまず、第2空間チューブ161bを上方に向けて流通して、上部タンク164の第2空間164d→連通孔164h→カップタンク164f→出口ジョイント166bを経て、圧縮機110に吸引される。本モードでは、圧縮機110起動時の第2空間チューブ161bを流通する冷媒によって、この時点から蓄冷材タンク170内の蓄冷材に対する蓄冷が開始される。
【0134】
上記第1実施形態では、放冷モードから蓄冷モードに切替えられた場合に、下部タンク165に溜められた液冷媒は、基本的な熱交換機能を果たさない戻りパイプ162を流通することから、ほとんど蓄冷材に対する蓄冷が成されずに、圧縮機110に戻され、凝縮器120→受液タンク130→膨張弁140→蒸発器150を経て、蓄冷熱交換器160に戻り、この時点で初めて蓄冷が開始されるため、最初に冷媒を循環させる分だけ蓄冷に要する時間が長くかかる。
【0135】
しかしながら、本実施形態では、上記のように蓄冷モードに切替えられた時に、放冷モードで溜められた液冷媒を熱交換部としての第2空間チューブ161bに流通させることができるので、このチューブ161bで速やかに蓄冷を開始することができ、蓄冷に要する時間を短縮して、蓄冷能力を向上させることができる。
【0136】
また、放冷モードにおいては、蓄冷モードに対して冷媒流量が小さく抑えられることから、開口穴164bによる流通抵抗の影響を小さくして、この開口穴164bによって、実質的に冷媒を第1空間チューブ161aと第2空間チューブ161bの両者に流すことができるので、放冷能力を高めることができる。
【0137】
また、蓄冷熱交換器160をチューブ161と、略同一仕様の上部タンク164および小タンク165cとで基本形を形成して、小タンク165cの下側に専用の液タンク165hを追加する形で下部タンク165を構成するようにしているので、通常使用されるチューブ161と一対のタンク(164、165c)とを用いて形成される標準的な熱交換器をベースにして、液タンク165hを追加するのみで蓄冷熱交換器160を形成することができる。
【0138】
また、追加する液タンク165hは、円筒状部材から形成されるようにしているので、例えば第1実施形態での直方体のような複数の平面から成るタンクに比べて液タンク165hの耐圧性を向上させることができ、液冷媒を所定量溜めるために、その容量を大きく設定する必要がある場合でも、補強構造等を不要とした対応が可能となる。
【0139】
また、蓄冷材タンク170を蓄冷熱交換器160の全体を内包する容器体として、入口ジョイント166a、および出口ジョイント166bに対応する位置で開口部174a、174bを形成すると共に、各ジョイント166a、166bの外周面と開口部174a、174bの内周面との間にOリングタイプのパッキン180を介在させるようにしているので、上記第1実施形態に対して、周長の短い領域でのシールが可能となり、安定したシールを容易に確保することができる。即ち、各部材の寸法公差、実際の寸法バラツキ等の影響を小さくして、全周に渡るパッキン180の確実な圧縮代を確保でき、安定したシールが可能となる。
【0140】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態を図16〜図18に示す。第7実施形態は、上記第6実施形態に対して上部タンク164内の第1空間164c、第2空間164d、および小タンク165c内の第1空間165c1、第2空間165c2の形成方法を変更したものである。尚、図16〜図18中において、第6実施形態と同一の部分に関しては同一の符号を使用すると共に、重複する説明を省略し、相違点のみ説明する。
【0141】
本実施形態の蓄冷熱交換器160においては、上部タンク164の長手方向の略中央にセパレータ164aを設けることで、図16中の左側を第1空間164c、右側を第2空間164dとしている。セパレータ164aには、開口穴164bを設けている。また、下側となる小タンク165cの長手方向の略中央にもセパレータ165kを設けることで、図16中の左側を第1空間165c1、右側を第2空間165c2としている。尚、2本の円筒状部材が並列配置されて成る各タンク164、165cの長手方向端部はすべて開口されて、連通孔164g、164h、165f、165gが設けられている。
【0142】
よって、複数配列されるチューブ161は、上記の第1空間164c、165c1、および第2空間164d、165c2に対応して、図16中の左側のチューブ群が第1空間チューブ161aとなり、右側のチューブ群が第2空間チューブ161bとなっている。
【0143】
本実施形態の蓄冷熱交換器160においては、図17に示すように、蓄冷モード時では、冷媒は、左側となる第1空間チューブ161aを下降して、液タンク165hを流通し、更に右側となる第2空間チューブ161bを上昇して流れ、蓄冷材タンク170内の蓄冷材に対して蓄冷する。
【0144】
また、図18に示すように、放冷モード時では、冷媒は、左側となる第1空間チューブ161aを下降し、また、開口穴164bを通り右側となる第2空間チューブ161bを下降し、蓄冷材タンク170内の蓄冷材の蓄冷熱によって冷却されて、凝縮液化して液タンク165hに溜められる。
【0145】
そして、放冷モードから蓄冷モードに切替えられた時は、液タンク165h内の液冷媒は、右側となる第2空間チューブ161bを流通して圧縮機110に吸引されて、蓄冷材タンク170内の蓄冷材に対して蓄冷を開始する。
【0146】
以上のように本実施形態では各モード共に、第1空間チューブ161a、第2空間チューブ161b、液タンク165h(下部タンク165)との間における冷媒の流れを上記第6実施形態と同一とすることができ、第6実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0147】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態を図19に示す。第8実施形態は、上記第6実施形態に対して入口ジョイント166aと出口ジョイント166bとを一体的に形成したものである。
【0148】
ここでは、上部タンク164の長手方向端部における連通孔164g、164hを廃止すると共に、カップタンク164e、164fを廃止している。そして、入口ジョイント(166a)と出口ジョイント(166b)とを、1つのブロック部材から成るジョイント166に形成されるようにしている。即ち、ジョイント166は、直方体を成すブロック部材としており、このジョイント166には、互いに近接するようにして貫通される2つの通路(入口ジョイント、出口ジョイントに相当)が形成されるようにしている。そして、ジョイント166を上部タンク164の長手方向の略中央に配置して、2つの通路の一方が上部タンク164の第1空間164c内に連通され、他方が第2空間164d内に連通されるようにしている。
【0149】
これにより、カップタンク164e、164fを廃止すると共に、入口ジョイント166aおよび出口ジョイント166bを1つのジョイント166で形成でき、部品点数を低減して、コストダウンすることができる。
【0150】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態を図20に示す。第9実施形態は、上記第7実施形態に対して入口ジョイント166aと出口ジョイント166bとを一体的に形成したものである。
【0151】
ここでは、上部タンク164の長手方向端部における連通孔164g、164hを廃止すると共に、カップタンク164e、164fを廃止している。また、上部タンク164の長手方向の略中央にセパレータ164aを設けることで、図20中の左側を第1空間164c、右側を第2空間164dとしている。
【0152】
そして、上記第8実施形態と同様に、入口ジョイント(166a)と出口ジョイント(166b)とを、1つのブロック部材から成るジョイント166に形成されるようにしている。即ち、ブロック部材としてのジョイント166には、互いに近接するようにして貫通される逆Y字状の2つの通路(入口ジョイント、出口ジョイントに相当)が形成されるようにしている。そして、ジョイント166を上部タンク164の長手方向の略中央に配置して、2つの通路の一方が上部タンク164の第1空間164c内に連通され、他方が第2空間164d内に連通されるようにしている。
【0153】
これにより、上記第8実施形態と同様に、カップタンク164e、164fを廃止すると共に、入口ジョイント166aおよび出口ジョイント166bを1つのジョイント166で形成でき、部品点数を低減して、コストダウンすることができる。
【0154】
(その他の実施形態)
上記各実施形態においては、蓄冷熱交換器160は、冷媒チューブ161、および両タンク164、165から成るマルチフロータイプの熱交換器としたが、プレス加工によって成形されるチューブプレートを最中合わせにしたものを複数積層して形成される積層式の熱交換器としても良い。
【0155】
また、蓄冷熱交換器160を使用する姿勢として、冷媒チューブ161がほぼ上下方向を向くように設定したが、これに限らず、下部タンク165の下端部が上部タンク164の下端部よりも下側になるように配置されれば、ある程度の傾斜(例えば、図2中の紙面に対して、左右の傾斜、前後の傾斜等)を持つようにしても良い。
【0156】
また、蓄冷材タンク170は樹脂材から形成されるように説明したが、これに限らず、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金のような薄肉の金属材から形成されるようにしても良い。
【0157】
また、本発明は、例えば、冷凍サイクルが停止した後にも蒸発器150において冷凍能力を発揮することが求められる冷凍サイクル装置100に適用することができる。例えば、冷凍サイクル装置100が搭載される車両は、アイドルストップ車両に限らず、エンジンと走行用モータとを有するハイブリッド車両としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】第1実施形態における冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】第1実施形態における蓄冷タンク装置を示す分解斜視図である。
【図3】第1実施形態における蓄冷熱交換器の戻りパイプおよび下部タンクを示す断面図である。
【図4】第2実施形態における冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図5】第3実施形態における冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図6】第4実施形態における冷凍サイクル装置の全体構成を示す模式図である。
【図7】第4実施形態における蓄冷タンク装置を示す断面図である。
【図8】第5実施形態におけるフィンを示す正面図である。
【図9】第5実施形態における蓄冷熱交換器の戻りパイプおよび下部タンクを示す断面図である。
【図10】第5実施形態の変形例における蓄冷熱交換器の戻りパイプおよび下部タンクを示す断面図である。
【図11】第6実施形態における蓄冷タンク装置を示す分解斜視図である。
【図12】図11における出口ジョイント近傍を示す断面図である。
【図13】図11における下部タンクの一方の端部側を示す断面図である。
【図14】第6実施形態における蓄冷モード時の蓄冷熱交換器内の冷媒流れを示す模式図である。
【図15】第6実施形態における放冷モード時の蓄冷熱交換器内の冷媒流れを示す模式図である。
【図16】第7実施形態における蓄冷熱交換器を示す斜視図である。
【図17】第7実施形態における蓄冷モード時の蓄冷熱交換器内の冷媒流れを示す模式図である。
【図18】第7実施形態における放冷モード時の蓄冷熱交換器内の冷媒流れを示す模式図である。
【図19】第8実施形態における蓄冷熱交換器を示す斜視図である。
【図20】第9実施形態における蓄冷熱交換器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0159】
100 冷凍サイクル装置
101 配管
102 冷媒流路
103 逆止弁(第2逆止弁)
110 圧縮機
120 凝縮器
140 温度式膨張弁(減圧器)
142 感温部
150 蒸発器
160A 蓄冷タンク装置
160 蓄冷熱交換器
161 冷媒チューブ(チューブ)
161b 第2空間チューブ
162 戻りパイプ(1つの管)
163 フィン
164 上部タンク(タンク、他方のタンク)
164a セパレータ(仕切り部材)
164b 開口穴(開口部)
164c 第1空間
164d 第2空間
165 下部タンク(タンク、一方のタンク)
165b セパレータ(隔壁)
165c 小タンク
165h 液タンク
166a 入口ジョイント(流入部)
166b 出口ジョイント(流出部)
167a 外部連通路
167b 接続流路
168 逆止弁(第1逆止弁)
170 蓄冷材タンク
174a 開口部
174b 開口部
180 パッキン(シール部材)
190 液冷媒循環ポンプ(ポンプ手段)
200 内部熱交換器
211 固定絞り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が循環する冷凍サイクル内の低圧側で、蒸発器(150)に対して直列に配設されて使用される蓄冷タンク装置であって、
複数配列されるチューブ(161)の長手方向両端部に接続されて連通する一対のタンク(164、165)を有し、内部を前記冷媒が流通する蓄冷熱交換器(160)と、
前記蓄冷熱交換器(160)の少なくとも前記チューブ(161)を内包する蓄冷材タンク(170)とを有し、
前記蓄冷材タンク(170)内に、前記冷媒によって蓄冷される、あるいは前記蒸発器(150)で蒸発した気相冷媒を前記蓄冷された蓄冷熱により冷却させる蓄冷材を充填し、
前記一対のタンク(164、165)のうち、一方のタンク(165)の下端部が他方のタンク(164)の下端部よりも下側になるように配置されて、前記一方のタンク(165)は、前記蓄冷熱により凝縮された液相冷媒を所定量溜め得るタンク容量を有することを特徴とする蓄冷タンク装置。
【請求項2】
前記他方のタンク(164)内の空間を第1空間(164c)と第2空間(164d)とに仕切る仕切り部材(164a)が設けられ、
前記第1空間(164c)に連通して、前記冷媒を前記第1空間(164c)に流入させる流入部(166a)と、
前記第2空間(164d)に連通して、前記冷媒を前記第2空間(164d)から流出させる流出部(166b)とが形成されたことを特徴とする請求項1に記載の蓄冷タンク装置。
【請求項3】
前記仕切り部材(164a)には、所定の開口面積を有して、前記第1空間(164c)と前記第2空間(164d)とを連通させる開口部(164b)が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の蓄冷タンク装置。
【請求項4】
複数の前記チューブ(161)のうち、前記第2空間(164d)に連通する第2空間チューブ(161b)は、前記冷凍サイクルで前記蒸発器(150)に接続される配管(101)相当の流路断面積を有する1つの管(162)として形成されたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の蓄冷タンク装置。
【請求項5】
前記1つの管(162)は、前記一方のタンク(165)内で、前記下端部近傍に連通するように形成されたことを特徴とする請求項4に記載の蓄冷タンク装置。
【請求項6】
前記一方のタンク(165)内には、前記1つの管(162)側とその反対側とを仕切る隔壁(165b)が設けられ、
前記隔壁(165b)の下側が開口して、前記1つの管(162)は、前記一方のタンク(165)内で、前記下端部近傍に連通するように形成されたことを特徴とする請求項5に記載の蓄冷タンク装置。
【請求項7】
前記蓄冷材タンク(170)は、前記蓄冷熱交換器(160)のほぼ全体を内包し、前記他方のタンク(164)側で開口する半容器体であり、
前記他方のタンク(164)の外周面と前記蓄冷材タンク(170)の開口側内周面との間にシール部材(180)が介在されたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1つに記載の蓄冷タンク装置。
【請求項8】
前記蓄冷材タンク(170)は、前記蓄冷熱交換器(160)の全体を内包し、前記流入部(166a)、および前記流出部(166b)に対応する位置で開口部(174a、174b)が形成された容器体であり、
前記流入部(166a)、および前記流出部(166b)の外周面と前記開口部(174a、174b)の内周面との間にシール部材(180)が介在されたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか1つに記載の蓄冷タンク装置。
【請求項9】
複数の前記チューブ(161)には、熱的に接合されるフィン(163)が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の蓄冷タンク装置。
【請求項10】
前記一方のタンク(165)から外部に連通する外部連通路(167a)と、
外部から前記一方のタンク(165)内で、複数の前記チューブ(161)のうち、前記第2空間(164d)に連通する第2空間チューブ(161b)、あるいは前記1つの管(162)に接続される接続流路(167b)と、
前記一方のタンク(165)内から、前記第2空間チューブ(161b)、あるいは前記1つの管(162)内への一方向のみに前記冷媒の流れを許容する第1逆止弁(168)とが設けられたことを特徴とする請求項2〜請求項9のいずれか1つに記載の蓄冷タンク装置。
【請求項11】
前記一方のタンク(165)は、前記他方のタンク(164)と略同一仕様で形成された小タンク(165c)と、
前記小タンク(165c)の下側に配設されて、前記小タンク(165c)に連通される液タンク(165h)とから成ることを特徴とする請求項2、請求項3、請求項7〜請求項10のいずれか1つに記載の蓄冷タンク装置。
【請求項12】
前記液タンク(165h)は、円筒状に形成されたことを特徴とする請求項11に記載の蓄冷タンク装置。
【請求項13】
前記流入部(166a)と前記流出部(166b)とは、共に近接するように配置されて、一体的に形成されたことを特徴とする請求項2〜請求項12のいずれか1つに記載の蓄冷タンク装置。
【請求項14】
圧縮機(110)、凝縮器(120)、減圧器(140)、蒸発器(150)を構成要素として含み、これら構成要素が配管(101)によって順次環状に接続されて成る冷凍サイクル装置において、
請求項1〜請求項9、請求項11〜請求項13に記載の蓄冷タンク装置(160A)が、前記蒸発器(150)と前記圧縮機(110)との間に配設されて、前記冷媒が前記蓄冷熱交換器(160)内を流通するようにしたことを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項15】
前記蓄冷タンク装置(160A)および前記圧縮機(110)の間の冷媒と、
前記凝縮器(120)および前記減圧器(140)の間の冷媒との間で熱交換する内部熱交換器(200)が設けられたことを特徴とする請求項14に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項16】
前記減圧器(140)は、前記蒸発器(150)から流出される冷媒の温度に応じて絞り開度が調整される温度式膨張弁(140)であり、
前記温度式膨張弁(140)に並列に介在される固定絞り部(211)を有することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項17】
圧縮機(110)、凝縮器(120)、減圧器(140)、蒸発器(150)を構成要素として含み、これら構成要素が配管(101)によって順次環状に接続されて成る冷凍サイクル装置において、
請求項10に記載の蓄冷タンク装置(160B)が、前記減圧器(140)と前記蒸発器(150)との間に配設されると共に、前記減圧器(140)と前記流入部(166a)とが接続され、前記流出部(166b)と前記蒸発器(150)とが接続され、
前記外部連通路(167a)から前記接続流路(167b)に前記冷媒を圧送するポンプ手段(190)と、
前記蒸発器(150)の冷媒流出側から前記蓄冷タンク装置(160B)の冷媒流入側へ接続される冷媒流路(102)と、
前記冷媒流路(102)に配設されて、前記蒸発器(150)から前記蓄冷タンク装置(160B)への一方向のみに前記冷媒流れを許容する第2逆止弁(103)とが設けられたことを特徴とする冷凍サイクル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−113904(P2007−113904A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96852(P2006−96852)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】