説明

蓄冷機能付きエバポレータ

【課題】放冷時の吐気温のばらつきを抑制しうる蓄冷機能付きエバポレータを提供する。
【解決手段】蓄冷機能付きエバポレータは、冷媒が流れる複数の冷媒流通管13と、内部空間16aを有しかつ蓄冷材が封入された複数の蓄冷材容器16とを備えており、蓄冷材容器16内の蓄冷材は、冷媒流通管13内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになっている。各蓄冷材容器16が、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の全体が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている。各蓄冷材容器16に、蓄冷材容器16の左右両側壁を部分的に内方に変形させることにより形成し、かつ蓄冷材容器16の内容積を減少させる内容積減少部23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンに用いられる蓄冷機能付きエバポレータに関する。
【0002】
この明細書および特許請求の範囲において、図1の上下を上下というものとする。
【背景技術】
【0003】
近年、環境保護や自動車の燃費向上などを目的として、信号待ちなどの停車時にエンジンを自動的に停止させる自動車が提案されている。
【0004】
しかしながら、通常のカーエアコンにおいては、エンジンを停止させると、エンジンを駆動源とする圧縮機が停止するので、エバポレータに冷媒が供給されなくなり、冷房能力が急激に低下するという問題がある。
【0005】
そこで、このような問題を解決するために、エバポレータに蓄冷機能を付与し、エンジンが停止して圧縮機が停止した際に、エバポレータに蓄えられた冷熱を放冷して車室内を冷却することが考えられている。
【0006】
この種の蓄冷機能付きエバポレータとして、上下方向に間隔をおいて配置された1対のタンクと、両タンク間に、幅方向を通風方向に向けるとともにタンクの長さ方向に間隔をおいて配置され、かつ両端部がそれぞれ両タンクに通じさせられた複数の扁平状冷媒流通管と、上下方向にのびるとともに冷媒流通管に熱的に接触させられた複数の蓄冷材容器とを備えており、各蓄冷材容器が、1つの密閉された空間を有するとともに、当該空間内に潜熱蓄冷材が封入されており、蓄冷材容器内の蓄冷材が、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになされている蓄冷機能付きエバポレータが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
特許文献1記載の蓄冷機能付きエバポレータによれば、圧縮機が作動している通常の冷房時には、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱が、蓄冷材容器内の蓄冷材に伝わって蓄冷材に蓄えられ、圧縮機が停止した際には、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が、蓄冷材容器が熱的に接触させられた冷媒流通管を通って通風間隙に配置されたフィンに伝えられ、フィンから当該通風間隙を流れる空気に放冷されるようになっている。
【0008】
ところで、この種の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器内に封入される蓄冷材としては、融点が5〜10℃に調整されたパラフィン系の潜熱蓄熱材を用いるのが一般的である。たとえば特許文献1に記載された蓄冷機能付きエバポレータにおいても、蓄冷材容器内に封入される蓄冷材としては、融点が6℃であるテトラデカンが用いられている。
【0009】
また、蓄冷材容器の強度は、通常の使用環境温度範囲、たとえば−40〜90℃の範囲内においては、液相状態の蓄冷材が密度変化するとともに、蓄冷材容器内に残存している空気が熱膨張することにより内圧が上昇したとしても、破損しないような強度に設計されている。しかしながら、周囲の温度が通常の使用環境温度範囲よりも高温になると、液相状態の蓄冷材の密度変化および蓄冷材容器内に残存している空気の熱膨張が顕著になり、蓄冷材容器における1つの密閉された空間の内容積に対する封入された蓄冷材の体積の比率である蓄冷材充填率によっては、蓄冷材容器が内圧により破損するおそれがある。
【0010】
したがって、安全性を考慮して、蓄冷材充填率を低くする必要があるが、この場合、蓄冷材容器の上側部分に蓄冷材の存在しない部分が生じることになる。したがって、蓄冷材容器の上側部分では冷熱を蓄えることができず、圧縮機が停止した際に、通風間隙における蓄冷材容器の上側部分に相当する部分を流れる空気の温度が速く上昇し、蓄冷機能付きエバポレータを通過する空気の温度である吐気温が大きくばらつくという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4043776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明の目的は、上記問題を解決し、放冷時の吐気温のばらつきを抑制しうる蓄冷機能付きエバポレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0014】
1)上下方向にのびるとともに互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の冷媒流通管と、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部とを備えており、蓄冷材封入部が、上下方向にのびるとともに冷媒流通管に熱的に接触し、かつ蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部を有し、蓄冷材貯留部内の蓄冷材が、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになされている蓄冷機能付きエバポレータにおいて、
蓄冷材封入部の蓄冷材貯留部に、蓄冷材貯留部の壁を部分的に内方に変形させることにより形成され、かつ蓄冷材貯留部の内容積を減少させる内容積減少部が設けられている蓄冷機能付きエバポレータ。
【0015】
2)蓄冷材封入部の蓄冷材貯留部の内容積減少部が、使用環境温度を超えた高温にさらされた際に、内圧の上昇により膨らむようになされている上記1)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0016】
3)蓄冷材が封入された複数の蓄冷材容器を備えており、各蓄冷材容器が、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の全体が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている上記1)または2)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0017】
4)蓄冷材が封入された複数の蓄冷材容器を備えており、少なくとも一部の複数の蓄冷材容器の内部空間どうしが連通部を介して通じさせられ、連通部および連通部により通じさせられた複数の蓄冷材容器が、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の各蓄冷材容器が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている上記1)または2)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0018】
5)冷媒流通管が幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、蓄冷材容器が少なくとも1つの冷媒流通管の少なくともいずれか片面側に配置されて冷媒流通管に接触させられている上記3)または4)記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0019】
6)蓄冷材容器の少なくとも一部が、その全高にわたって冷媒流通管に接合されている上記3)〜5)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0020】
7)内容積減少部が、蓄冷材容器の下部に設けられている上記3)〜6)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0021】
8)内容積減少部が、蓄冷材容器の風上側に設けられている上記3)〜7)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0022】
9)隣り合う冷媒流通管どうしの間に通風間隙が形成され、全通風間隙のうち一部の複数の通風間隙に、蓄冷材容器が配置されるとともに両側の冷媒流通管の片面に接触させられ、残りの通風間隙にフィンが配置されている上記3)〜8)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【0023】
10)冷媒流通管の片面側のみに蓄冷材容器が配置されて冷媒流通管に接触させられ、冷媒流通管および蓄冷材容器からなる組み合わせ体が、冷媒流通管の幅方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置され、隣り合う組み合わせ体どうしの間が通風間隙とされ、通風間隙にフィンが配置されている上記3)〜8)のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【発明の効果】
【0024】
上記1)〜10)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、蓄冷材封入部の蓄冷材貯留部に、蓄冷材貯留部の壁を部分的に内方に変形させることにより形成され、かつ蓄冷材貯留部の内容積を減少させる内容積減少部が設けられているので、蓄冷材封入部の内容積が、内容積減少部が設けられていない場合に比べて小さくなる。その結果、蓄冷材封入部内への蓄冷材の封入量を、内容積減少部が設けられていないと仮定した場合の適切な蓄冷材充填率(たとえば70〜90%)を得るための量としたとしても、蓄冷材は蓄冷材封入部の上端近傍まで存在することになる。したがって、蓄冷材封入部の上端近傍においても冷熱を蓄えることができ、圧縮機が停止した際に、通風間隙における蓄冷材封入部の上端近傍に相当する部分を流れる空気の温度上昇を抑制し、蓄冷機能付きエバポレータを通過する空気の温度ある吐気温のばらつきを抑制することができる。
【0025】
また、上記1)〜10)の蓄冷機能付きエバポレータにおいても、蓄冷材封入部の強度は、通常の使用環境温度範囲、たとえば−40〜90℃の範囲内においては、液相状態の蓄冷材が密度変化するとともに、蓄冷材封入部内に残存している空気が熱膨張することにより内圧が上昇したとしても、破損しないような強度に設計されている。そして、通常の使用環境温度範囲よりも高温、たとえば100℃にさらされた場合には、液相状態の蓄冷材の密度変化および蓄冷材封入部内に残存している空気の熱膨張が顕著になって蓄冷材封入部の内圧が異常に上昇するが、この場合、蓄冷材封入部の内容積減少部が膨らむように変形し、蓄冷材封入部の内圧上昇による破損が防止される。しかも、内容積減少部の強度は他の部分よりも低下しているので、さらに高温にさらされた場合には、内容積減少部において蓄冷材封入部が破損して蓄冷材が洩れることになるが、蓄冷材の洩れる箇所が決まっているので、洩れた蓄冷材に対策を比較的簡単に講じることができる。
【0026】
上記6)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、蓄冷材容器の少なくとも一部が、その全高にわたって冷媒流通管に接合されているので、蓄冷時には、冷媒流通管内を流れる冷媒から、蓄冷材容器内の蓄冷材に効率良く冷熱が伝わって蓄冷効率の低下を抑制することができる。また、圧縮機が停止した放冷時には、上記9)および10)のような構成を有していると、蓄冷材容器内の蓄冷材に蓄えられた冷熱が通風間隙を流れる空気に効率良く伝わって、放冷効率の低下を抑制することができる。
【0027】
上記7)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、放冷時に、吐気温を、上下方向に関して一層均一化することができる。すなわち、蓄冷時には凝縮水が発生し、当該凝縮水は冷やされて冷熱を蓄えた状態で下方に流れるが、放冷時には冷やされた凝縮水に蓄えられた冷熱が通風間隙を流れる空気に伝えられる。したがって、蓄冷材容器内に貯められた蓄冷材の量が上下方向に均一である場合、蓄冷材および凝縮水から通風間隙の下側を流れる空気に伝えられる冷熱の量は、蓄冷材から通風間隙の上側を流れる空気に伝えられる冷熱の量よりも多くなり、通風間隙を流れる空気の温度が下側と上側とでは不均一になる。しかしながら、内容積減少部が、蓄冷材容器の下部に設けられていると、蓄冷材容器内の下側部分に貯められる蓄冷材の量が、上側部分に貯められる蓄冷材の量よりも少なくなり、蓄冷材に蓄えられる冷熱量が、上側部分が下側部分に比べて多くなる。その結果、蓄冷材および凝縮水から通風間隙の下側を流れる空気に伝えられる冷熱の量と、蓄冷材から通風間隙の上側を流れる空気に伝えられる冷熱の量とが均一化され、通風間隙を流れる空気の温度も下側と上側とで均一になる。
【0028】
上記8)の蓄冷機能付きエバポレータによれば、内容積減少部が、蓄冷材容器の風上側に設けられているので、蓄冷材容器に当たる空気の温度が比較的高くなっている風上側部分に存在する蓄冷材の量を減らすことができる。したがって、蓄冷材容器内の蓄冷材に冷熱を蓄える蓄冷効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図1の蓄冷機能付きエバポレータの蓄冷材容器を示す分解斜視図である。
【図4】この発明の蓄冷機能付きエバポレータの他の実施形態を示す図2相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0031】
以下の説明において、通風方向下流側(図1および図2に矢印Xで示す方向)を前、これと反対側を後というものとする。また、前方から後方を見た際の左右、すなわち図1の左右を左右というものとする。
【0032】
さらに、以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
【0033】
図1はこの発明による蓄冷機能付きエバポレータの全体構成を示し、図2および図3はその要部の構成を示す。
【0034】
図1において、蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、上下方向に間隔をおいて配置された左右方向にのびるアルミニウム製第1ヘッダタンク(2)およびアルミニウム製第2ヘッダタンク(3)と、両ヘッダタンク(2)(3)間に設けられた熱交換コア部(4)とを備えている。
【0035】
第1ヘッダタンク(2)は、前側(通風方向下流側)に位置する冷媒入口ヘッダ部(5)と、後側(通風方向上流側)に位置しかつ冷媒入口ヘッダ部(5)に一体化された冷媒出口ヘッダ部(6)とを備えている。冷媒入口ヘッダ部(5)の右端部に冷媒入口(7)が設けられ、冷媒出口ヘッダ部(6)の右端部に冷媒出口(8)が設けられている。第2ヘッダタンク(3)は、前側に位置する第1中間ヘッダ部(9)と、後側に位置しかつ第1中間ヘッダ部(9)に一体化された第2中間ヘッダ部(11)とを備えている。第2ヘッダタンク(3)の第1中間ヘッダ部(9)内と第2中間ヘッダ部(11)内とは、両中間ヘッダ部(9)(11)の右端部に跨って接合され、かつ内部が通路となった連通部材(12)を介して通じさせられている。
【0036】
図1および図2に示すように、熱交換コア部(4)には、上下方向にのびるとともに幅方向が通風方向(前後方向)を向いた複数のアルミニウム押出形材製扁平状冷媒流通管(13)が、左右方向に間隔をおいて並列状に配置されている。すなわち、前後方向に間隔をおいて配置された複数、ここでは2つの冷媒流通管(13)からなる複数の組(14)が左右方向に間隔をおいて配置されており、前後の冷媒流通管(13)よりなる組(14)の隣り合うものどうしの間に通風間隙(15)が形成されている。前側の冷媒流通管(13)の上端部は冷媒入口ヘッダ部(5)に接続されるとともに、同下端部は第1中間ヘッダ部(9)に接続されている。また、後側の冷媒流通管(13)の上端部は冷媒出口ヘッダ部(6)に接続されるとともに、同下端部は第2中間ヘッダ部(11)に接続されている。
【0037】
熱交換コア部(4)における全通風間隙(15)のうち一部の複数の通風間隙(15)でかつ隣接していない通風間隙(15)において、密閉状の内部空間(16a)内に蓄冷材(図示略)が封入されたアルミニウム製蓄冷材容器(16)が、前後両冷媒流通管(13)に跨るように配置されており、その結果蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、互いに独立した密閉状の内部空間(16a)を有する複数の蓄冷材容器(16)を備えていることになる。そして、各蓄冷材容器(16)が、1つの密閉された内部空間(16a)を有しかつ当該内部空間(16a)内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の全体が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている。また、残りの通風間隙(15)に、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるコルゲート状のアウターフィン(17)が、前後両冷媒流通管(13)に跨るように配置されて通風間隙(15)を形成する左右両側の組(14)を構成する前後両冷媒流通管(13)にろう付されている。すなわち、蓄冷材容器(16)が配置された通風間隙(15)の両側の通風間隙(15)にそれぞれアウターフィン(17)が配置されている。また、左右両端の冷媒流通管(13)の組(14)の外側にも両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートからなるアウターフィン(17)が配置されて前後両冷媒流通管(13)にろう付され、さらに左右両端のアウターフィン(17)の外側にアルミニウム製サイドプレート(18)が配置されてアウターフィン(17)にろう付されている。
【0038】
蓄冷材容器(16)は幅方向を前後方向に向けた扁平状であり、前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後2つの冷媒流通管(13)にろう付された容器本体部(19)と、容器本体部(19)の前側縁部(風下側縁部)に連なるとともに前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも前方(通風方向外側)に張り出すように設けられた外方張り出し部(21)とを備えている。蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)の左右方向の寸法は全体に等しくなっている。蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)は、上下方向の寸法が容器本体部(19)の上下方向の寸法と等しく、かつ左右方向の寸法が容器本体部(19)の左右方向の寸法よりも大きくなっており、容器本体部(19)に対して左右方向外方に膨出している。外方張り出し部(21)の左右方向の寸法は、冷媒流通管(13)の左右方向の寸法である管高さの2倍に、蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)の左右方向の寸法を加えた高さと等しくなっている。
【0039】
蓄冷材容器(16)内には、容器本体部(19)の後端部から外方張り出し部(21)の前端部に至るアルミニウム製インナーフィン(22)が、上下方向のほぼ全体にわたって配置されている。インナーフィン(22)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。インナーフィン(22)のフィン高さは全体に等しく、蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)の左右両側壁内面にろう付されている。
【0040】
蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)の下側で、かつ前後両冷媒流通管(13)間の隙間の中間部よりも風上側の部分に、蓄冷材容器(16)の左右両側壁(16b)を内方に変形させることにより形成され、かつ蓄冷材容器(16)の内容積を減少させる内容積減少部(23)が設けられている。内容積減少部(23)の左右方向の寸法は、容器本体部(19)の左右方向の寸法よりも小さくなっており、蓄冷材容器(16)の内容積は、内容積減少部(23)が設けられていないと仮定した場合に比べて小さくなっている。蓄冷材容器(16)における内容積減少部(23)によって減少させられる内容積量は、内容積減少部(23)が設けられていないと仮定した場合、すなわち容器本体部(19)の左右方向の厚みが全体に等しいと仮定した場合の蓄冷材充填率(蓄冷材容器(16)の密閉された内部空間(16a)の内容積に対する封入された蓄冷材の体積の比率)が70〜90%、好ましくは70〜80%であっても、蓄冷材が蓄冷材容器(16)の上端近傍まで存在するように決められる。
【0041】
また、内容積減少部(23)が設けられている箇所においては、インナーフィン(22)は座屈するように変形しており、蓄冷材容器(16)における内容積減少部(23)が設けられた部分の強度が低下している。但し、蓄冷材容器(16)の強度は、通常の使用環境温度範囲、たとえば−40〜90℃の範囲内においては、液相状態の蓄冷材が密度変化するとともに、蓄冷材容器(16)内に残存している空気が熱膨張することにより内圧が上昇したとしても、破損しないような強度に設計されている。
【0042】
蓄冷材容器(16)は、容器本体部(19)における内容積減少部(23)よりも前方の部分で、かつ前側の冷媒流通管(13)に接している部分が、全高にわたって冷媒流通管(13)にろう付されている。
【0043】
蓄冷材容器(16)内へ充填される蓄冷材としては、凝固点が5〜10℃程度に調整されたパラフィン系潜熱蓄冷材が用いられる。具体的には、ペンタデカン、テトラデカンなどが用いられる。蓄冷材は、蓄冷材容器(16)の上端近傍まで存在するように蓄冷材容器(16)内に封入されている。
【0044】
図3に示すように、蓄冷材容器(16)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ周縁部どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状アルミニウム板(24)(25)よりなる。蓄冷材容器(16)を構成する右側のアルミニウム板(24)における容器本体部(19)を形成する部分、すなわち前側部分を除いた大部分には、右方に膨出した第1膨出部(26)が設けられ、同じく外方張り出し部(21)を形成する部分、すなわち前側部分には、第1膨出部(26)の前側に連なるとともに右方に膨出し、かつ第1膨出部(26)よりも膨出高さの高い第2膨出部(27)が、上下方向の全長にわたって設けられている。蓄冷材容器(16)を構成する左側のアルミニウム板(25)は、右側アルミニウム板(24)を左右逆向きにしたものであり、同一部分には同一符号を付す。両アルミニウム板(24)(25)の第1膨出部(26)の膨出頂壁(26a)は、それぞれ内方に凹まされており、これにより膨出頂壁(26a)に凹陥部(28)が設けられている。
【0045】
そして、2枚のアルミニウム板(24)(25)を、インナーフィン(22)を間に挟んで第1および第2膨出部(26)(27)の開口どうしが対向するように組み合わせ、この状態でろう付することによって蓄冷材容器(16)が形成されている。ここで、両アルミニウム板(24)(25)の第1膨出部(26)により容器本体部(19)が形成され、第2膨出部(27)により外方張り出し部(21)が形成されており、両アルミニウム板(24)(25)の凹陥部(28)により内容積減少部(23)が形成されている。なお、内容積減少部(23)は、両アルミニウム板(24)(25)をろう付した後に、両アルミニウム板(24)(25)の第1膨出部(26)の膨出頂壁(26a)をそれぞれ内方に凹ませて凹陥部(28)を設けることにより形成してもよい。
【0046】
アウターフィン(17)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。アウターフィン(17)は、前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後の冷媒流通管(13)にろう付されたフィン本体部(31)と、フィン本体部(31)の前側縁に連なるとともに後側冷媒流通管(13)の前側縁よりも前方に張り出すように設けられた外方張り出し部(32)とを備えている。そして、蓄冷材容器(16)が配置された通風間隙(15)の両隣の通風間隙(15)に配置されたアウターフィン(17)の外方張り出し部(32)が、蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)の左右両側面にろう付されている。また、隣接するアウターフィン(17)の外方張り出し部(32)間にはアルミニウム製スペーサ(33)が配置されており、外方張り出し部(32)にろう付されている。
【0047】
上述した蓄冷機能付きエバポレータ(1)は、車両のエンジンを駆動源とする圧縮機、圧縮機から吐出された冷媒を冷却するコンデンサ(冷媒冷却器)、コンデンサを通過した冷媒を減圧する膨張弁(減圧器)とともに冷凍サイクルを構成し、カーエアコンとして、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両、たとえば自動車に搭載される。そして、圧縮機が作動している場合には、圧縮機で圧縮されてコンデンサおよび膨張弁を通過した低圧の気液混相の2相冷媒が、冷媒入口(7)を通って蓄冷機能付きエバポレータ(1)の冷媒入口ヘッダ部(5)内に入り、前側の全冷媒流通管(13)を通って第1中間ヘッダ部(9)内に流入する。第1中間ヘッダ部(9)内に入った冷媒は、連通部材(12)を通って第2中間ヘッダ部(11)内に入った後、後側の全冷媒流通管(13)を通って出口ヘッダ部(6)内に流入し、冷媒出口(8)から流出する。そして、冷媒が冷媒流通管(13)内を流れる間に、通風間隙(15)を通過する空気と熱交換をし、冷媒は気相となって流出する。
【0048】
このとき、冷媒流通管(13)内を流れる冷媒の有する冷熱によって蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)内の蓄冷材が冷却され、さらに容器本体部(19)内の冷却された蓄冷材の有する冷熱がインナーフィン(22)を介して蓄冷材容器(16)の外方張り出し部(21)内の蓄冷材に伝えられるとともに、通風間隙(15)を通って冷媒により冷やされた空気の有する冷熱が外方張り出し部(21)内の蓄冷材に伝えられ、その結果蓄冷材容器(16)内全体の蓄冷材に冷熱が蓄えられる。
【0049】
圧縮機が停止した場合には、蓄冷材容器(16)の容器本体部(19)および外方張り出し部(21)内の蓄冷材の有する冷熱が、インナーフィン(22)を介して容器本体部(19)および外方張り出し部(21)の左右両側壁に伝えられる。容器本体部(19)の左右両側壁に伝えられた冷熱は、冷媒流通管(13)を通過し、当該冷媒流通管(13)にろう付されているアウターフィン(17)のフィン本体部(31)を介して蓄冷材容器(16)が配置されている通風間隙(15)の両隣の通風間隙(15)を通過する空気に伝えられる。外方張り出し部(21)の左右両側壁に伝えられた冷熱は、外方張り出し部(21)の左右両側面にろう付されたアウターフィン(17)の外方張り出し部(32)を介して通風間隙(15)を通過する空気に伝えられる。したがって、エバポレータ(1)を通過した風の温度が上昇したとしても、当該風は冷却されるので、冷房能力の急激な低下が防止される。
【0050】
そして、蓄冷材容器(16)における蓄冷材が存在している部分に、蓄冷材容器(16)の左右両側壁(16b)を部分的に内方に変形させることにより形成され、かつ蓄冷材容器(16)の内容積を減少させる内容積減少部(23)が設けられているので、蓄冷材容器(16)内への蓄冷材の封入量を、内容積減少部(23)が設けられていないと仮定した場合の適切な蓄冷材充填率(たとえば70〜90%)を得るための量としたとしても、蓄冷材は蓄冷材容器(16)の上端近傍まで存在することになる。したがって、蓄冷材容器(16)の上端近傍においても冷熱を蓄えることができ、圧縮機が停止した際に、通風間隙における蓄冷材容器(16)の上端近傍に相当する部分を流れる空気の温度上昇を抑制し、蓄冷機能付きエバポレータを通過する空気の温度ある吐気温のばらつきを抑制することができる。
【0051】
また、周囲の温度が通常の使用環境温度範囲よりも高温、たとえば100℃になると、液相状態の蓄冷材の密度変化および蓄冷材容器(16)内に残存している空気の熱膨張が顕著になって、蓄冷材容器(16)の内圧が異常に上昇するが、この場合、蓄冷材容器(16)の内容積減少部(23)が膨らむように変形し、蓄冷材容器(16)の内圧上昇による破損が防止される。しかも、内容積減少部(23)の強度は他の部分よりも低下しているので、周囲の温度がさらに高温になった場合には、内容積減少部(23)において蓄冷材容器(16)が破損して蓄冷材が洩れることになるが、蓄冷材の洩れる箇所が決まっているので、洩れた蓄冷材に対策を比較的簡単に講じることができる。
【0052】
図4はこの発明による蓄冷機能付きエバポレータの他の実施形態を示す。
【0053】
図4において、熱交換コア部(4)における前後2つの冷媒流通管(13)からなる各組(14)の片面、ここでは左側面側に、各組(14)の2つの冷媒流通管(13)に跨るように、密閉状の内部空間(40a)内に蓄冷材(図示略)が封入されたアルミニウム製蓄冷材容器(40)が配置されており、その結果蓄冷機能付きエバポレータは、互いに独立した密閉状の内部空間(40a)を有する複数の蓄冷材容器(40)を備えていることになる。そして、各蓄冷材容器(40)が、1つの密閉された内部空間(40a)を有しかつ当該内部空間(40a)内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の全体が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている。
【0054】
蓄冷材容器(40)は幅方向を前後方向に向けた扁平状であり、前側冷媒流通管(13)の前側縁よりも後方に位置し、かつ各組(14)の前後の冷媒流通管(13)にろう付された容器本体部(42)と、容器本体部(42)の前側縁に連なるとともに前側冷媒流通管(13)よりも前方に張り出すように設けられ、かつ左右方向の寸法が容器本体部(42)の左右方向の寸法よりも高くなった外方張り出し部(43)とよりなる。容器本体部(42)の左右方向の寸法は全体に等しくなっている。外方張り出し部(43)の左右方向の寸法は、冷媒流通管(13)の左右方向の寸法である管高さに、蓄冷材容器(40)の容器本体部(42)の厚み方向の寸法を加えた高さと等しくなっている。外方張り出し部(43)は、容器本体部(42)対して右方のみに膨出しており、容器本体部(42)および外方張り出し部(43)の左側面は面一である。
【0055】
蓄冷材容器(40)内には、容器本体部(42)の後端部から外方張り出し部(43)の前端部に至るアルミニウム製インナーフィン(44)が、上下方向のほぼ全体にわたって配置されている。インナーフィン(44)は、前後方向にのびる波頂部、前後方向にのびる波底部、および波頂部と波底部とを連結する連結部よりなるコルゲート状である。インナーフィン(44)のフィン高さは全体に等しく、蓄冷材容器(40)の容器本体部(42)および外方張り出し部(43)の左側壁内面と、容器本体部(42)の右側壁内面とにろう付されている。
【0056】
蓄冷材容器(40)の容器本体部(42)の下側部分で、かつ前後両冷媒流通管(13)間の隙間の中間部よりも風上側の部分に、蓄冷材容器(40)の一方の壁、ここでは左側壁を内方に変形させることにより形成され、かつ蓄冷材容器(40)の内容積を減少させる内容積減少部(45)が設けられている。内容積減少部(45)の左右方向の寸法は、容器本体部(42)の左右方向の寸法よりも小さくなっており、蓄冷材容器(40)の内容積は、内容積減少部(45)が設けられていないと仮定した場合に比べて小さくなっている。蓄冷材容器(40)における内容積減少部(45)によって減少させられる内容積量は、内容積減少部(45)が設けられていないと仮定した場合、すなわち容器本体部(42)の左右方向の厚みが全体に等しいと仮定した場合の蓄冷材充填率(蓄冷材容器(40)の密閉された内部空間(40a)の内容積に対する封入された蓄冷材の体積の比率)が70〜90%、好ましくは70〜80%であっても、蓄冷材が蓄冷材容器(40)の上端近傍まで存在するように決められる。
【0057】
また、内容積減少部(45)が設けられている箇所においては、インナーフィン(44)は座屈するように変形しており、蓄冷材容器(40)における内容積減少部(45)が設けられた部分の強度が低下している。但し、蓄冷材容器(40)の強度は、通常の使用環境温度範囲、たとえば−40〜90℃の範囲内においては、液相状態の蓄冷材が密度変化するとともに、蓄冷材容器(40)内に残存している空気が熱膨張することにより内圧が上昇したとしても、破損しないような強度に設計されている。
【0058】
蓄冷材容器(40)は、容器本体部(42)における内容積減少部(45)よりも前方の部分で、かつ前側の冷媒流通管(13)に接している部分が、全高にわたって冷媒流通管(13)にろう付されている。
【0059】
蓄冷材容器(40)内へ充填される蓄冷材としては、凝固点が5〜10℃程度に調整されたパラフィン系潜熱蓄冷材が用いられる。具体的には、ペンタデカン、テトラデカンなどが用いられる。蓄冷材は、蓄冷材容器(40)の上端近傍まで存在するように蓄冷材容器(40)内に封入されている。
【0060】
蓄冷材容器(40)は、両面にろう材層を有するアルミニウムブレージングシートにプレス加工が施されることにより形成され、かつ周縁部どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状アルミニウム板周縁部どうしが互いにろう付された2枚の略縦長方形状アルミニウム板(46)(47)よりなる。蓄冷材容器(40)を構成する右側のアルミニウム板(46)における容器本体部(42)を形成する部分は平坦であり、同じく外方張り出し部(43)を形成する部分、すなわち前側部分には、右方に膨出した膨出部(48)が、上下方向の全長にわたって設けられている。
【0061】
蓄冷材容器(40)を構成する左側のアルミニウム板(47)における容器本体部(42)を形成する部分、すなわち前側部分を除いた大部分には、左方に膨出した第1膨出部(49)が設けられ、同じく外方張り出し部(43)を形成する部分、すなわち前側部分には、第1膨出部(49)の前側に連なるとともに右方に膨出し、かつ第1膨出部(49)と膨出高さの等しい第2膨出部(51)が、上下方向の全長にわたって設けられている。左側アルミニウム板(47)の第1膨出部(49)の膨出頂壁(49a)は、内方に凹まされており、これにより膨出頂壁(49a)に凹陥部(52)が設けられている。
【0062】
そして、2枚のアルミニウム板(46)(47)を、インナーフィン(44)を間に挟んで左側アルミニウム板(47)の開口を右側アルミニウム板(46)の平坦な部分で塞ぐとともに、両アルミニウム板(46)(47)の膨出部(48)(51)の開口どうしが対向するように組み合わせ、この状態でろう付することによって蓄冷材容器(40)が形成されている。ここで、右側アルミニウム板(46)の平坦部と左側アルミニウム板(47)の第1膨出部(49)により容器本体部(42)が形成され、右側アルミニウム板(46)の膨出部(48)と左側アルミニウム板(47)の第2膨出部(51)により外方張り出し部(43)が形成されており、左側アルミニウム板(47)の凹陥部(52)により内容積減少部(45)が形成されている。なお、内容積減少部(45)は、両アルミニウム板(46)(47)をろう付した後に、左側アルミニウム板(47)の第1膨出部(49)の膨出頂壁(49a)を内方に凹ませて凹陥部(28)を設けることにより形成してもよい。
【0063】
熱交換コア部(4)において、前後方向に並んだ2つの冷媒流通管(13)からなる各組(14)および各組(14)の2つの冷媒流通管(13)に跨って配置された蓄冷材容器(40)によって、複数の組み合わせ体(41)が構成されている。当該組み合わせ体(41)は左右方向に間隔をおいて配置されており、隣り合う組み合わせ体(41)どうしの間が通風間隙(15)となるとともに、当該通風間隙(15)にアルミニウム製アウターフィン(17)が配置されて冷媒流通管(13)および蓄冷材容器(40)にろう付されている。各組(14)の冷媒流通管(13)および蓄冷材容器(40)からなる組み合わせ体(41)の右側に位置するアウターフィン(17)のフィン本体部(31)は各組(14)の前後の冷媒流通管(13)にろう付され、同じく外方張り出し部(32)は蓄冷材容器(40)の外方張り出し部(43)にろう付されている。また、各組(14)の冷媒流通管(13)および蓄冷材容器(40)からなる組み合わせ体(41)の左側に位置するアウターフィン(17)のフィン本体部(31)は蓄冷材容器(40)の容器本体部(42)にろう付され、同じく外方張り出し部(32)は蓄冷材容器(40)の外方張り出し部(43)にろう付されている。
【0064】
上記2つの実施形態においては、各蓄冷材容器(16)(40)が、1つの密閉された内部空間(16a)(40a)を有する蓄冷材封入部となっているが、これに限定されるものではない。すなわち、全蓄冷材容器(16)(40)のうち、少なくとも一部の複数の蓄冷材容器(16)(40)の内部空間(16a)(40a)どうしが、適当な連通部を介して通じさせられ、連通部および連通部により通じさせられた複数の蓄冷材容器(16)(40)が、1つの密閉された空間を有する蓄冷材封入部となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
この発明による蓄冷機能付きエバポレータは、停車時に圧縮機の駆動源であるエンジンを一時的に停止させる車両のカーエアコンを構成する冷凍サイクルに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0066】
(1):蓄冷機能付きエバポレータ
(13):冷媒流通管
(15):通風間隙
(16)(40):蓄冷材容器(蓄冷材封入部)
(16a)(40a):内部空間
(23)(45):内容積減少部
(17):アウターフィン
(41):組み合わせ体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向にのびるとともに互いに間隔をおいて並列状に配置された複数の冷媒流通管と、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部とを備えており、蓄冷材封入部が、上下方向にのびるとともに冷媒流通管に熱的に接触し、かつ蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部を有し、蓄冷材貯留部内の蓄冷材が、冷媒流通管内を流れる冷媒の有する冷熱により冷却されるようになされている蓄冷機能付きエバポレータにおいて、
蓄冷材封入部の蓄冷材貯留部に、蓄冷材貯留部の壁を部分的に内方に変形させることにより形成され、かつ蓄冷材貯留部の内容積を減少させる内容積減少部が設けられている蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項2】
蓄冷材封入部の蓄冷材貯留部の内容積減少部が、使用環境温度を超えた高温にさらされた際に、内圧の上昇により膨らむようになされている請求項1記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項3】
蓄冷材が封入された複数の蓄冷材容器を備えており、各蓄冷材容器が、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の全体が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている請求項1または2記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項4】
蓄冷材が封入された複数の蓄冷材容器を備えており、少なくとも一部の複数の蓄冷材容器の内部空間どうしが連通部を介して通じさせられ、連通部および連通部により通じさせられた複数の蓄冷材容器が、1つの密閉された空間を有しかつ当該空間内に蓄冷材が封入された蓄冷材封入部となるとともに、当該蓄冷材封入部の各蓄冷材容器が蓄冷材を貯める蓄冷材貯留部となっている請求項1または2記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項5】
冷媒流通管が幅方向を通風方向に向けた扁平状であり、蓄冷材容器が少なくとも1つの冷媒流通管の少なくともいずれか片面側に配置されて冷媒流通管に接触させられている請求項3または4記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項6】
蓄冷材容器の少なくとも一部が、その全高にわたって冷媒流通管に接合されている請求項3〜5のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項7】
内容積減少部が、蓄冷材容器の下部に設けられている請求項3〜6のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項8】
内容積減少部が、蓄冷材容器の風上側に設けられている請求項3〜7のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項9】
隣り合う冷媒流通管どうしの間に通風間隙が形成され、全通風間隙のうち一部の複数の通風間隙に、蓄冷材容器が配置されるとともに両側の冷媒流通管の片面に接触させられ、残りの通風間隙にフィンが配置されている請求項3〜8のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。
【請求項10】
冷媒流通管の片面側のみに蓄冷材容器が配置されて冷媒流通管に接触させられ、冷媒流通管および蓄冷材容器からなる組み合わせ体が、冷媒流通管の幅方向と直角をなす方向に間隔をおいて配置され、隣り合う組み合わせ体どうしの間が通風間隙とされ、通風間隙にフィンが配置されている請求項3〜8のうちのいずれかに記載の蓄冷機能付きエバポレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−137199(P2012−137199A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287770(P2010−287770)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】