説明

蓄電システムおよび、蓄電システムの制御方法

【課題】部品点数(電流制限抵抗の数)の増加を抑制する。
【解決手段】蓄電システムにおいて、充電器は、外部電源からの電力を蓄電装置に供給するとともに、蓄電装置の電力を外部機器に供給する。第1システムメインリレーおよび第2システムメインリレーは、蓄電装置の正極端子および負極端子と負荷との接続をそれぞれ許容する。第3システムメインリレーは、電流制限抵抗と直列に接続されるとともに、電流制限抵抗とともに第1システムメインリレーに並列に接続される。第1充電リレーおよび第2充電リレーは、蓄電装置の正極端子および負極端子と充電器との接続をそれぞれ許容するとともに、第1充電リレーは、第1システムメインリレー及び第3システムメインリレーと負荷を接続する接続ラインと充電器との接続を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源の電力を蓄電装置に供給したり、蓄電装置の電力を外部機器に供給したりする蓄電システムと、この蓄電システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の蓄電装置は、システムメインリレーを介して、モータ・ジェネレータに接続されているとともに、切替リレーを介して、充電器と接続されている。
【0003】
特許文献1では、蓄電装置に充電器(電力変換器)が接続され、充電コネクタを介して外部電源の電力を蓄電装置に供給し、蓄電装置を充電することができる。蓄電装置の電力がモータ・ジェネレータに供給されることにより、車両を走行させることができる。また、特許文献1では、蓄電装置に蓄えられた電力を外部に出力するACコンセントが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−225587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムにおいて、システムメインリレーをオンにして、蓄電装置およびモータ・ジェネレータを接続するとき、突入電流が流れるのを防止するために、抵抗(電流制限抵抗という)に電流を流す必要がある。また、切替リレーをオンにして、蓄電装置の電力を充電器に供給するとき、突入電流が流れるのを防止するために、電流制限抵抗に電流を流す必要がある。これにより、少なくとも2つの電流制限抵抗を設ける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明である蓄電システムは、充放電を行う蓄電装置と、蓄電装置からの電力を受けて動作する負荷と、充電器と、蓄電装置および負荷の接続を許容するシステムメインリレーと、蓄電装置および充電器の接続を許容する充電リレーと、を有する。充電器は、外部電源からの電力を蓄電装置に供給するとともに、蓄電装置の電力を外部機器に供給する。
【0007】
システムメインリレーは、蓄電装置の正極端子および負極端子と負荷との接続をそれぞれ許容する第1システムメインリレーおよび第2システムメインリレーと、電流制限抵抗と直列に接続されるとともに、電流制限抵抗とともに前記第1システムメインリレーに並列に接続される第3システムメインリレーと、を含む。さらに、充電リレーは、蓄電装置の正極端子および負極端子と充電器との接続をそれぞれ許容する第1充電リレーおよび第2充電リレーを含んで構成され、第1充電リレーは、第1システムメインリレー及び第3システムメインリレーと負荷を接続する接続ラインと充電器との接続を許容する。
【0008】
本願第1の発明によれば、システムメインリレーを用いて蓄電装置および負荷を接続する際に突入電流が流れるのを抑制するための電流制限抵抗によって、充電リレーを用いて蓄電装置および充電器を接続するときに突入電流が流れるのを抑制することができる。このように、1つの電流制限抵抗を共用して2つの突入電流それぞれを抑制する機能を持たせることにより、部品点数を低減でき、コストを低減することができる。
【0009】
第1充電リレーの一端を、第1システムメインリレーと負荷を接続する接続ラインと第1システムメインリレーに並列に接続される第3システムメインリレーとの接続ポイントよりも負荷側に接続し、他端を充電器に接続するとともに、第2充電リレーの一端を、蓄電装置および第2システムメインリレーの接続ラインに接続し、他端を充電器に接続することができる。このように、第1充電リレー及び第2充電リレーを配置することにより、蓄電装置と負荷との接続を許容する第2システムメインリレーを動作させなくても、充電リレーと第1システムメインリレー及び第3システムメインリレーを動作させることで、蓄電装置および充電器を接続することができる。システムメインリレーの一部(第2システムメインリレー)を動作させないことにより、システムメインリレーの動作に伴う劣化を抑制することができる。また、システムメインリレー(第2システムメインリレー)に電流が流れることによる電力損失を抑制することができる。
【0010】
充電器には、蓄電装置からの電力を受けてプリチャージされるコンデンサを含めることができる。これにより、電流制限抵抗を用いて、コンデンサに突入電流が流れるのを抑制することができる。
【0011】
充電器は、外部電源からの交流電力を直流電力に変換して、直流電力を蓄電装置に出力することができる。これにより、蓄電装置を充電することができる。また、充電器は、蓄電装置からの直流電力を交流電力に変換して、交流電力を外部機器に出力することができる。これにより、交流電力を用いて、外部機器を動作させることができる。すなわち、蓄電システムで用いられる蓄電装置を、外部機器の電源として用いることができる。
【0012】
コントローラは、充電リレーの動作を制御することができる。コントローラは、蓄電装置の電力を充電器に出力するとき、第1充電リレー、第2充電リレー及び第3システムメインリレーを遮断状態(いわゆる、オフ)から接続状態(いわゆる、オン)に切り替えて、電流制限抵抗に電流を流すことができる。コントローラは、電流制限抵抗に電流を流した後に、第1システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えるとともに、第3システムメインリレーを接続状態から遮断状態に切り替えることができる。これにより、蓄電装置および充電器の接続を完了させることができる。蓄電装置の電力供給によるコンデンサの充電が完了するまで、電流制限抵抗に電流を流すことができる。
【0013】
コントローラは、システムメインリレーの動作を制御することができる。コントローラは、蓄電装置の電力を負荷に出力するとき、第2システムメインリレーおよび第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、電流制限抵抗に電流を流すことができる。コントローラは、電流制限抵抗に電流を流した後に、第1システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えるとともに、第3システムメインリレーを接続状態から遮断状態に切り替えることができる。これにより、蓄電装置および負荷の接続を完了させることができる。
【0014】
負荷としては、蓄電装置からの電力を受けて、車両の走行に用いられる運動エネルギを生成するモータ・ジェネレータを用いることができる。複数の蓄電素子を直列に接続することにより、蓄電装置を構成することができる。蓄電装置には、並列に接続された複数の蓄電素子を含めることができる。
【0015】
本願第2の発明は、上述した蓄電システムの動作を制御する制御方法である。蓄電装置の電力を負荷に出力するとき、第2システムメインリレーおよび第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、電流制限抵抗に電流を流す。蓄電装置の電力を充電器に出力するとき、第1充電リレー、第2充電リレー及び第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、電流制限抵抗に電流を流す。
【0016】
本願第2の発明によれば、蓄電装置の電力を負荷に出力する際に突入電流が流れるのを抑制するための電流制限抵抗を用い、蓄電装置の電力を充電器に出力する際に突入電流が流れることを抑制することができる。これにより、電流制限抵抗の増加を抑制して、コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電池システムの構成を示す図である。
【図2】組電池を昇圧コンバータと接続するときの動作を示すフローチャートである。
【図3】組電池を充電器と接続するときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例1である電池システムについて説明する。図1は、本実施例の電池システムの構成を示す図である。本実施例の電池システムは、車両に搭載することができる。車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車は、車両を走行させるための動力源として、後述する組電池に加えて、エンジン又は燃料電池を備えている。電気自動車は、車両の動力源として、組電池だけを備えている。
【0020】
組電池(蓄電装置に相当する)10は、直列に接続された複数の単電池(蓄電素子に相当する)11を有する。単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタ(コンデンサ)を用いることができる。組電池10を構成する単電池11の数は、要求出力などに基づいて、適宜設定することができる。また、組電池10は、並列に接続された複数の単電池11を含んでいてもよい。
【0021】
電圧センサ21は、組電池10の端子間電圧を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。組電池10は、正極ラインPL1および負極ラインNL1を介して昇圧コンバータ22と接続されている。正極ラインPL1には、システムメインリレーSMR−B(第2システムメインリレーに相当する)が設けられている。負極ラインNL1には、システムメインリレーSMR−G(第1システムメインリレーに相当する)が設けられている。
【0022】
システムメインリレーSMR−P(第3システムメインリレーに相当する)および電流制限抵抗Rは、直列に接続されているとともに、システムメインリレーSMR−Gに対して並列に接続されている。電流制限抵抗Rは、負荷(例えば、コンデンサ)に突入電流が流れるのを阻止するために用いられる。システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、コントローラ40からの制御信号を受けて、オン(接続状態に相当する)およびオフ(遮断状態に相当する)の間で切り替わる。
【0023】
昇圧コンバータ22は、組電池10の出力電圧を昇圧して、昇圧後の電力をインバータ23に出力する。また、昇圧コンバータ22は、インバータ23の出力電圧を降圧して、降圧後の電力を組電池10に出力する。昇圧コンバータ22は、例えば、チョッパ回路で構成することができる。昇圧コンバータ22は、コントローラ40からの制御信号を受けて動作する。
【0024】
インバータ23は、昇圧コンバータ22から出力された直流電力を交流電力に変換して、交流電力をモータ・ジェネレータ(MG)24に出力する。モータ・ジェネレータ24としては、例えば、三相交流モータを用いることができる。また、インバータ23は、モータ・ジェネレータ24から出力された交流電力を直流電力に変換して、直流電力を昇圧コンバータ22に出力する。
【0025】
モータ・ジェネレータ24は、インバータ23からの交流電力を受けて、車両を走行させるための運動エネルギを生成する。モータ・ジェネレータ24は、車輪と接続されており、モータ・ジェネレータ24によって生成された運動エネルギは、車輪に伝達される。車両を減速させたり、停止させたりするとき、モータ・ジェネレータ24は、車両の制動時に発生する運動エネルギを電気エネルギ(交流電力)に変換する。モータ・ジェネレータ24によって生成された交流電力は、インバータ23に出力される。これにより、回生電力を組電池10に蓄えることができる。
【0026】
本実施例の電池システムでは、昇圧コンバータ22を用いているが、昇圧コンバータ22を省略することもできる。すなわち、組電池10をインバータ23と接続することができる。
【0027】
充電器30は、正極ラインPL2および負極ラインNL2を介して、組電池10と接続されている。充電器30は、外部電源から供給された交流電力を直流電力に変換して、直流電力を組電池10に出力する。これにより、外部電源の電力を用いて、組電池10を充電することができる。外部電源とは、車両の外部において、車両とは別に設けられた電源である。外部電源としては、例えば、商用電源を用いることができる。
【0028】
充電器30は、組電池10から供給された直流電力を交流電力に変換して、交流電力を外部機器に出力することができる。これにより、組電池10の電力を用いて、外部機器を動作させることができる。充電器30は、例えば、100[V]の交流電圧を外部機器に出力することができる。外部機器とは、車両の外部において、車両とは別に設けられた機器である。外部機器としては、例えば、家電製品がある。
【0029】
負極ラインNL2には、充電リレーCHR1(第1充電リレーに相当する)が設けられている。正極ラインPL2には、充電リレーCHR2(第2充電リレーに相当する)が設けられている。
【0030】
充電リレーCHR1は、システムメインリレーSMR−G及びシステムメインリレーSMR−Pと負荷を接続する負極ラインNL1bと充電器との接続を許容する。具体的には、充電リレーCHR1の一端は、組電池10の負極端子に対して負極ラインNL1aで接続されるシステムメインリレーSMR−Gと負荷を接続する負極ラインNL1bに、接続されている。
【0031】
図1の例のように、システムメインリレーSMR−Pは、負極ラインNL1において負極ラインNL1aの接続ポイントP1と、負極ラインNL1bの接続ポイントP2とを介してシステムメインリレーSMR−Gと並列に接続される。充電リレーCHR1の一端は、システムメインリレーSMR−Gと負荷を接続する負極ラインNL1bとシステムメインリレーSMR−Pとの接続ポイントP2よりも負荷側の負極ラインNL1bに接続される。充電リレーCHR1の他端は、充電器30と接続されている。
【0032】
充電リレーCHR2の一端は、組電池10の正極端子およびシステムメインリレーSMR−Bの接続ライン(正極ラインPL1)と接続されている。充電リレーCHR2の他端は、充電器30と接続されている。充電リレーCHR1,CHR2は、コントローラ40からの制御信号を受けて、オン(接続状態に相当する)およびオフ(遮断状態に相当する)の間で切り替わる。
【0033】
充電器30は、コンデンサCを有する。コンデンサCは、正極ラインPL2および負極ラインNL2の間における電圧変動を平滑化するために用いられる。電圧センサ31は、コンデンサCの電圧を検出し、検出結果をコントローラ40に出力する。
【0034】
次に、組電池10を昇圧コンバータ22と接続するときの処理について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。図2に示す処理は、コントローラ40によって実行される。図2に示す処理を開始するとき、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オフである。また、充電リレーCHR1,CHR2は、オフである。
【0035】
ステップS101において、コントローラ40は、車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切り替わったか否かを判別する。イグニッションスイッチのオンおよびオフに関する情報は、コントローラ40に入力される。イグニッションスイッチがオフからオンに切り替わると、ステップS102の処理に進む。イグニッションスイッチがオフであれば、本処理を終了する。
【0036】
ステップS102において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、電流制限抵抗Rに電流が流れ、負荷(例えば、不図示のコンデンサ)に突入電流が流れるのを阻止することができる。不図示のコンデンサは、正極ラインPL1および負極ラインNL1の間における電圧変動を平滑化するために用いることができる。
【0037】
ステップS103において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替える。ステップS104において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池10および昇圧コンバータ22の接続が完了する。
【0038】
ステップS105において、コントローラ40は、組電池10の充放電を制御する。コントローラ40は、組電池10の放電を許容することにより、組電池10の出力を用いて、車両を走行させることができる。コントローラ40は、組電池10の充電を許容することにより、回生電力を組電池10に蓄えることができる。
【0039】
組電池10の充放電制御は、組電池10の電圧(電圧センサ21の検出電圧)、組電池10に流れる充放電電流、組電池10の温度などに基づいて行われる。例えば、組電池10の電圧が、予め設定された上限電圧および下限電圧の範囲内で変化するように、コントローラ40は、組電池10の充放電を制御することができる。
【0040】
イグニッションスイッチがオンからオフに切り替わったときには、組電池10および昇圧コンバータ22の接続が遮断される。具体的には、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−B,SMR−Gをオンからオフに切り替える。
【0041】
次に、組電池10を充電器30と接続するときの処理について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。図3に示す処理は、コントローラ40によって実行される。図3に示す処理は、組電池10の電力を外部機器に出力するときの処理である。図3に示す処理を開始するとき、充電リレーCHR1,CHR2は、オフである。また、システムメインリレーSMR−B,SMR−G,SMR−Pは、オフである。
【0042】
ステップS201において、コントローラ40は、発電要求があるか否かを判別する。発電要求に関する情報は、コントローラ40に入力される。例えば、組電池10からの電力供給を開始させるためのスイッチ(図示せず)を設けることにより、発電要求を行うことができる。ユーザがスイッチを操作することにより、発電要求に関する情報(ここでは、スイッチのオン)が、コントローラ40に入力される。発電要求があれば、ステップS202の処理に進み、そうでなければ、本処理を終了する。
【0043】
ステップS202において、コントローラ40は、充電リレーCHR1,CHR2がオフであるか否かを判別する。コントローラ40は、電圧センサ31の出力に基づいて、充電リレーCHR1,CHR2がオフであるか否かを判別することができる。
【0044】
充電リレーCHR1,CHR2がオンであれば、組電池10からコンデンサCに電流がながれ、コンデンサCが充電される。このため、コントローラ40は、電圧センサ31の出力を監視することにより、充電リレーCHR1,CHR2がオフであるか否かを判別することができる。充電リレーCHR1,CHR2がオフであれば、ステップS203の処理に進み、そうでなければ、本処理を終了する。
【0045】
ステップS203において、コントローラ40は、組電池10および充電器30において、異常が発生していないか否かを判別する。例えば、コントローラ40は、電圧センサ21の出力に基づいて、組電池10の電圧をチェックする。コントローラ40は、組電池10の電圧に基づいて、組電池10が過充電状態又は過放電状態であると判別したときには、組電池10が異常であると判別する。
【0046】
コントローラ40は、電圧センサ31の出力に基づいて、コンデンサCの電圧をチェックする。コンデンサCの電圧が異常値を示すとき、コントローラ40は、充電器30が異常状態であると判別する。ステップS203で行われる処理は、上述した処理に限るものではない。すなわち、組電池10の電力を、充電器30を介して外部機器に供給するときに、正常に電力を供給できるか否かを判別すればよい。組電池10や充電器30に異常が発生しているときには、ステップS204の処理に進み、そうでなければ、ステップS205の処理に進む。
【0047】
ステップS204において、コントローラ40は、ユーザなどに対して異常が発生していることを通知する。この通知は、ユーザの視覚又は聴覚で認識できるものであればよい。例えば、スピーカを用いて、異常が発生していることを示す情報を出力することができる。また、異常が発生していることを示す情報を、ディスプレイに表示させることができる。
【0048】
ステップS205において、コントローラ40は、充電リレーCHR1,CHR2,システムメインリレーSMR−Pをオフからオンに切り替える。これにより、組電池10から充電器30のコンデンサCに電流が流れ、コンデンサCがプリチャージされる。コンデンサCに電流が流れるときには、電流制限抵抗Rに電流が流れるため、コンデンサCに突入電流が流れるのを阻止することができる。
【0049】
ステップS206において、コントローラ40は、電圧センサ21,31の出力に基づいて、コンデンサCのプリチャージが完了したか否かを判別する。具体的には、コンデンサCの電圧値が組電池10の電圧値に到達したとき、コントローラ40は、コンデンサCのプリチャージが完了したと判別する。コントローラ40は、電圧センサ31の出力に基づいて、コンデンサCの電圧を監視するとともに、電圧センサ21の出力に基づいて、組電池10の電圧を監視する。
【0050】
コンデンサCのプリチャージが完了していれば、ステップS207の処理に進む。コンデンサCのプリチャージが完了していなければ、ステップS205の処理に戻る。
【0051】
ステップS207において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Gをオフからオンに切り替える。ステップS208において、コントローラ40は、システムメインリレーSMR−Pをオンからオフに切り替える。これにより、組電池10および充電器30の接続が完了し、組電池10の電力を、充電器30を介して、外部機器に出力することができる。
【0052】
外部電源からの電力を組電池10に供給するとき、コントローラ40は、充電リレーCHR1,CHR2をオフからオンに切り替える。ここで、充電リレーCHR1,CHR2,システムメインリレーSMR−P、システムメインリレーSMR−Gのオン/オフの切り替えは、図3で説明した処理と同様に行うことができる。充電リレーCHR1,CHR2をオンにすることにより、組電池10および充電器30を接続することができ、外部電源からの電力を、充電器30を介して、組電池10に供給することができる。
【0053】
本実施例の電池システムにおいて、電流制限抵抗Rは、組電池10および昇圧コンバータ22を接続するときに、突入電流が流れるのを防止するために用いられる。しかも、電流制限抵抗Rは、組電池10および充電器30を接続するときに、突入電流が流れるのを防止するために用いられる。1つの電流制限抵抗Rに対して、2つの機能を持たせることにより、部品点数を低減でき、コストダウンを図ることができる。
【0054】
本実施例では、充電リレーCHR2の一端が、組電池10の正極端子およびシステムメインリレーSMR−Bの接続ライン(正極ラインPL1)に接続されているが、これに限るものではない。例えば、充電リレーCHR2の一端を、システムメインリレーSMR−Bおよび昇圧コンバータ22の接続ライン(正極ラインPL1)に接続することができる。この場合には、組電池10および充電器30を接続するときに、システムメインリレーSMR−Bをオンにしておく必要がある。
【0055】
上述したように、組電池10および充電器30を接続するときに、充電リレーCHR1,CHR2,システムメインリレーSMR−Pだけでなく、システムメインリレーSMR−Bを動作させることができる。一方、本実施例のように、充電リレーCHR1,CHR2を配置すれば、システムメインリレーSMR−Bを動作させる必要は無くなる。
【0056】
本実施例では、充電リレーCHR2が、組電池10およびシステムメインリレーSMR−Bの接続ライン(正極ラインPL1)に接続され、充電リレーCHR1が、システムメインリレーSMR−G及び負荷の接続ライン(負極ラインNL1b)に接続されている。このように構成することで、システムメインリレーSMR−Bを動作させずに、充電リレーCHR1,CHR2,システムメインリレーSMR−P,システムメインリレーSMR−Gを動作させることで、組電池10および充電器30を接続することができる。
【0057】
組電池10および充電器30を接続するときに、システムメインリレーのうちの一部のシステムメインリレーSMR−Bが動作しないことにより、システムメインリレーSMR−Bの劣化を抑制することができる。システムメインリレーは、オンおよびオフの切り替え動作の回数が増えるほど、劣化してしまう。システムメインリレーSMR−Bの切り替え動作を低減することにより、システムメインリレーSMR−Bの劣化を抑制することができる。
【0058】
また、組電池10および充電器30を接続するとき、システムメインリレーに電流を流すと、システムメインリレーの抵抗によって、電力損失が発生してしまう。本実施例のように、組電池10および充電器30を接続するときに、システムメインリレーSMR−Bが動作しないことにより、電力損失を抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 組電池(蓄電装置)
11 単電池(蓄電素子)
21,31 電圧センサ
22 昇圧コンバータ
23 インバータ
24 モータ・ジェネレータ
30 充電器
40 コントローラ
C コンデンサ
R 電流制限抵抗
PL1,NL1,PL2,NL2 接続ライン
SMR−B,SMR−G,SMR−P システムメインリレー
CHR1,CHR2 充電リレー
P1,P2 接続ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電を行う蓄電装置と、
前記蓄電装置からの電力を受けて動作する負荷と、
外部電源からの電力を前記蓄電装置に供給するとともに、前記蓄電装置の電力を外部機器に供給する充電器と、
前記蓄電装置および前記負荷の接続を許容するシステムメインリレーと、
前記蓄電装置および前記充電器の接続を許容する充電リレーと、を有し、
前記システムメインリレーは、前記蓄電装置の正極端子および負極端子と前記負荷との接続をそれぞれ許容する第1システムメインリレーおよび第2システムメインリレーと、電流制限抵抗と直列に接続されるとともに、前記電流制限抵抗とともに前記第1システムメインリレーに並列に接続される第3システムメインリレーと、を含み、
前記充電リレーは、前記蓄電装置の正極端子および負極端子と前記充電器との接続をそれぞれ許容する第1充電リレーおよび第2充電リレーを含み、
前記第1充電リレーは、前記第1システムメインリレー及び第3システムメインリレーと前記負荷を接続する接続ラインと前記充電器との接続を許容することを特徴とする蓄電システム。
【請求項2】
前記第1充電リレーの一端は、前記第1システムメインリレーと前記負荷を接続する接続ラインと前記第1システムメインリレーに並列に接続される前記第3システムメインリレーとの接続ポイントよりも前記負荷側に接続され、他端が前記充電器に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記第2充電リレーの一端は、前記蓄電装置および前記第2システムメインリレーの接続ラインに接続され、前記第1充電リレーの他端は、前記充電器に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記充電器は、前記蓄電装置からの電力を受けてプリチャージされるコンデンサを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記充電器は、前記外部電源からの交流電力を直流電力に変換して、直流電力を前記蓄電装置に出力するとともに、前記蓄電装置からの直流電力を交流電力に変換して、交流電力を前記外部機器に出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記充電リレーの動作を制御するコントローラを有しており、
前記コントローラは、前記蓄電装置の電力を前記充電器に出力するとき、前記第1充電リレー及び第2充電リレーを遮断状態から接続状態に切り替えるとともに、前記第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、前記電流制限抵抗に電流を流すことを特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記電流制限抵抗に電流を流した後に、前記第1システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えるとともに、前記第3システムメインリレーを接続状態から遮断状態に切り替えることを特徴とする請求項6に記載の蓄電システム。
【請求項8】
前記充電器は、コンデンサを含んでおり、
前記コントローラは、前記蓄電装置の電力供給による前記コンデンサの充電が完了するまで、前記電流制限抵抗に電流を流すことを特徴とする請求項6又は7に記載の蓄電システム。
【請求項9】
前記システムメインリレーの動作を制御するコントローラを有しており、
前記コントローラは、前記蓄電装置の電力を前記負荷に出力するとき、前記第2システムメインリレーおよび前記第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、前記電流制限抵抗に電流を流すことを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の蓄電システム。
【請求項10】
前記負荷は、前記蓄電装置からの電力を受けて、車両の走行に用いられる運動エネルギを生成するモータ・ジェネレータであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の蓄電システム。
【請求項11】
前記蓄電装置は、直列に接続された複数の蓄電素子を有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の蓄電システム。
【請求項12】
蓄電システムの動作を制御する制御方法であって、
前記蓄電システムは、
充放電を行う蓄電装置と、
前記蓄電装置からの電力を受けて動作する負荷と、
外部電源からの電力を前記蓄電装置に供給するとともに、前記蓄電装置の電力を外部機器に供給する充電器と、
前記蓄電装置および前記負荷の接続を許容するシステムメインリレーと、
前記蓄電装置および前記充電器の接続を許容する充電リレーと、を有し、
前記システムメインリレーは、前記蓄電装置の正極端子および負極端子と前記負荷との接続をそれぞれ許容する第1システムメインリレーおよび第2システムメインリレーと、電流制限抵抗と直列に接続されるとともに、前記電流制限抵抗とともに前記第1システムメインリレーに並列に接続される第3システムメインリレーと、を含み、
前記充電リレーは、前記蓄電装置の正極端子および負極端子と前記充電器との接続をそれぞれ許容する第1充電リレーおよび第2充電リレーを含むとともに、前記第1充電リレーは、前記第1システムメインリレー及び第3システムメインリレーと前記負荷を接続する接続ラインと前記充電器との接続を許容し、
前記蓄電装置の電力を前記負荷に出力するとき、前記第2システムメインリレーおよび前記第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、前記電流制限抵抗に電流を流し、
前記蓄電装置の電力を前記充電器に出力するとき、前記第1充電リレー及び第2充電リレーを遮断状態から接続状態に切り替えるとともに、前記第3システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えて、前記電流制限抵抗に電流を流す、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
前記蓄電装置の電力を前記充電器に出力するとき、前記電流制限抵抗に電流を流した後に、前記第1システムメインリレーを遮断状態から接続状態に切り替えるとともに、前記第3システムメインリレーを接続状態から遮断状態に切り替えることを特徴とする請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記充電器は、コンデンサを含んでおり、
前記蓄電装置の電力を前記充電器に出力するとき、前記蓄電装置の電力供給による前記コンデンサの充電が完了するまで、前記電流制限抵抗に電流を流すことを特徴とする請求項12又は13に記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−85336(P2013−85336A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222220(P2011−222220)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】