説明

蓄電池ユニット

【課題】蓄電池の温度を所定範囲内に保つことができる蓄電池ユニットを提供する。
【解決手段】複数の蓄電池Eを内蔵した蓄電池モジュール2と、蓄電池モジュール2に内蔵された蓄電池Eの充放電を行う充放電回路3と、蓄電池モジュール2および充放電回路3を収納する筐体6と、蓄電池モジュール2の温度を検出する温度検出部5と、温度検出部5の検出結果に基づいて、筐体6内の空気の流れを制御することで、充放電を行うことによって発熱する充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量を変化させる空気制御部4とを備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池が発電した電力の余剰分を蓄電池に充電し、需要電力が発電量を上回ったときに蓄電池から放電して電力を供給する電力システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6に示すように、太陽電池11で発電した直流電力をパワーコンディショナ12が50Hz/60Hzの交流電力に変換する。そして、パワーコンディショナ12および商用電源13から出力される交流電力は、分電盤14を介して負荷15に供給される。
【0004】
また、パワーコンディショナ12の出力は蓄電池ユニット1に接続されている。蓄電池ユニット1は、複数の蓄電池を内蔵した蓄電池モジュール2と、蓄電池モジュール2に内蔵された蓄電池の充放電を行う充放電回路3とで構成されている。そして、太陽電池11の発電量が需要電力量を上回っている場合、充放電回路3はパワーコンディショナ12から出力される交流電圧を所定の直流電圧に変換し、蓄電池モジュール2に出力することで蓄電池を充電する。また、太陽電池11の発電量が需要電力量を下回っている場合、蓄電池が放電した直流電圧を充放電回路3が交流電圧に変換し、分電盤14を介して負荷15に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−311676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蓄電池ユニット1を家庭用に用いる場合、屋外に設置されることがあり、季節により周囲温度が大きく変化する。それによって蓄電池の温度も変化して、以下の問題が発生していた。
【0007】
蓄電池がリチウムイオン電池で構成されている場合、低温(10℃以下)時に充電を行うと、金属リチウムが析出されて発火に至るおそれがある。また、蓄電池が低温時に放電を行う場合、蓄電池の内部抵抗が上昇することで電圧低下が大きくなり、放電できなくなるおそれがある。
【0008】
また、夏場等に蓄電池ユニット1の周囲温度が高くなると、蓄電池の温度も高くなるが、蓄電池は、温度が高くなるにつれて劣化が促進されるという特性を有している。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、蓄電池の温度を所定範囲内に保つことができる蓄電池ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の蓄電池ユニットは、1乃至複数の蓄電池を内蔵した蓄電池モジュールと、前記蓄電池モジュールに内蔵された前記蓄電池の充放電を行う充放電回路と、前記蓄電池モジュールおよび前記充放電回路を収納する筐体と、前記蓄電池モジュールの温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記筐体内の空気の流れを制御することで、前記充放電を行うことによって発熱する前記充放電回路から前記蓄電池モジュールに伝わる熱量を変化させる空気制御部とを備えることを特徴とする。
【0011】
この蓄電池ユニットにおいて、前記空気制御部は、前記筐体内に設けられ、前記筐体内において空気の流れを生成するファンと、当該ファンの回転速度を制御する回転速度制御部とを備え、前記ファンは、前記蓄電池モジュールと前記充放電回路とのうち前記充放電回路のみが、空気の吸い込み方向または吐き出し方向に存在する前記空気の流れを生成し、前記回転速度制御部は、前記蓄電池モジュールの温度が高くなるにつれて、前記ファンの回転速度を上昇させることが好ましい。
【0012】
この蓄電池ユニットにおいて、前記空気制御部は、前記筐体内に設けられ、前記筐体内において空気の流れを生成するファンと、当該ファンの回転を制御する回転制御部とを備え、前記ファンは、空気の吸い込み方向または吐き出し方向に前記蓄電池モジュールと前記充放電回路との両方が存在する前記空気の流れを生成し、前記回転制御部は、前記蓄電池モジュールの温度が第1の温度以上となった場合、前記蓄電池モジュールを通過した後に前記充放電回路を通過する前記空気の流れを生成するように前記ファンを回転させ、前記蓄電池モジュールの温度が前記第1の温度より低い第2の温度以下となった場合、前記充放電回路を通過した後に前記蓄電池モジュールを通過する前記空気の流れを生成するように前記ファンを回転させることが好ましい。
【0013】
この蓄電池ユニットにおいて、前記筐体は、前記筐体の内側と外側との間を連通させる通気孔が形成され、前記空気制御部は、前記蓄電池モジュールの温度が高くなるにつれて、前記通気孔の開口面積を増加させる開口制御部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明では、蓄電池の温度を所定の範囲内に保つことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1の蓄電池ユニットの概略図である。
【図2】同上の蓄電池の動作温度範囲を示す図である。
【図3】(a)(b)同上の概略配置図である。
【図4】(a)(b)実施形態2の蓄電池ユニットの概略配置図である。
【図5】(a)(b)実施形態3の蓄電池ユニットの概略配置図である。
【図6】電力システムのブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(実施形態1)
本実施形態の蓄電池ユニット1の概略図を図1に示す。本実施形態の蓄電池ユニット1は、上述の背景技術で述べた図6に示す電力システムに用いられる。そして、太陽電池11の発電量が需要電力量を上回っている場合、パワーコンディショナ12から出力される交流電力を用いて蓄電池Eを充電する。また、太陽電池11の発電量が需要電力量を下回っている場合、蓄電池Eが放電することで、分電盤14を介して負荷15に電力を供給する。また、蓄電池Eの放電量と太陽電池11の発電量との合計が、需要電力量を下回っている場合、商用電源13から分電盤14を介して負荷15に電力が供給される。
【0018】
本実施形態の蓄電池ユニット1は、蓄電池モジュール2と、充放電回路3と、空気制御部4と、温度検出部5とを備えており、各部が筐体6に収納されることで構成されている。
【0019】
蓄電池モジュール2は、直列接続された複数の蓄電池Eが並列接続されることで構成されている。
【0020】
充放電回路3は、昇降圧チョッパ回路31と電力変換回路32とフィルタ回路33とで構成されている。
【0021】
蓄電池Eの充電を行う場合、パワーコンディショナ12からフィルタ回路33を介して入力される交流電圧Vac1を、電力変換回路32が直流電圧Vdc2に変換する。そして、昇降圧チョッパ回路31が直流電圧Vdc2を降圧して直流電圧Vdc1を生成し、蓄電池モジュール2に出力することで蓄電池Eが充電される。
【0022】
また、蓄電池Eが放電を行う場合、蓄電池モジュール2から出力される直流電圧Vdc1を昇降圧チョッパ回路31が昇圧して直流電圧Vdc2を生成し電力変換回路32に出力する。そして、電力変換回路32が直流電圧Vdc2を交流電圧Vac1に変換しフィルタ回路33を介して分電盤14に出力することで負荷15に電力が供給される。
【0023】
以下に、充放電回路3の構成ついて説明する。
【0024】
昇降圧チョッパ回路31は、コンデンサC1,C2とインダクタL1とスイッチング素子Q1,Q2とダイオードD1,D2とで構成されている。
【0025】
コンデンサC1は、蓄電池モジュール2の出力端間に接続されており、両端間に直流電圧Vdc1が生成される。コンデンサC1と並列に、インダクタL1とダイオードD2とコンデンサC2との直列回路が接続され、ダイオードD2とコンデンサC2と並列にスイッチング素子Q1が接続されている。スイッチング素子Q1は絶縁ゲート型トランジスタで構成され、コレクタがダイオードD2のアノードに接続され、エミッタがコンデンサC2に接続されている。上記構成で、昇圧チョッパ回路を構成している。
【0026】
また、ダイオードD2と並列に絶縁ゲート型トランジスタで構成されたスイッチング素子Q2が接続されており、スイッチング素子Q2は、コレクタがダイオードD2のカソードに接続され、エミッタがダイオードD2のアノードに接続されている。また、スイッチング素子Q1と並列にダイオードD1が接続されており、ダイオードD1は、アノードがスイッチング素子Q1のコレクタに接続され、カソードがスイッチング素子Q1のエミッタに接続されている。そして、スイッチング素子Q2とダイオードD1とインダクタL1とコンデンサC1とで降圧チョッパ回路を構成している。
【0027】
また、スイッチング素子Q1,Q2のゲートは、図示しないスイッチング制御部に接続されており、スイッチング制御部がスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング制御を行っている。
【0028】
電力変換回路32は、絶縁ゲート型トランジスタで構成されたスイッチング素子Q3〜Q6と、各スイッチング素子Q3〜Q6のコレクタ−エミッタ間に接続されたダイオードD3〜D6とで構成されている。スイッチング素子Q3,Q4からなる直列回路と、スイッチング素子Q5,Q6とからなる直列回路とが並列接続され、コンデンサC2の両端間に接続されており、スイッチング素子Q3〜Q6でいわゆるフルブリッジ回路を構成している。また、各スイッチング素子Q3〜Q6のゲートはスイッチング制御部に接続されており、スイッチング制御部がスイッチング素子Q3〜Q6のスイッチング制御を行っている。
【0029】
フィルタ回路33は、インダクタL2,L3とコンデンサC3とで構成されている。スイッチング素子Q3,Q4の接続点がインダクタL2を介してコンデンサC3の一端に接続され、スイッチング素子Q5,Q6の接続点がインダクタL3を介してコンデンサC3の他端に接続されている。
【0030】
まず、蓄電池Eの充電を行う場合について説明する。フィルタ回路33を介して入力される交流電圧Vac1を、電力変換回路32が直流電圧Vdc2にAC/DC変換する。このとき、スイッチング制御部は、スイッチング素子Q3〜Q6をオフ状態に維持する。それによって、電力変換回路32はダイオードD3〜D6でダイオードブリッジ回路を構成し、交流電圧Vac1を全波整流してコンデンサC2の両端に直流電圧Vdc2を生成する。
【0031】
そして、スイッチング制御部は、スイッチング素子Q1をオフ状態に維持し、スイッチング素子Q2がオン・オフを交互に繰り返すように制御することで、昇降圧チョッパ回路31を降圧チョッパ回路として動作させる。それによって、昇降圧チョッパ回路31は、コンデンサC2の両端に生成された直流電圧Vdc2を降圧して、コンデンサC1の両端に直流電圧Vdc1を生成することで、蓄電池Eを充電する。
【0032】
次に、蓄電池Eが放電を行う場合について説明する。コンデンサC1の両端には、蓄電池モジュール2が出力する直流電圧Vdc1が印加されている。そして、スイッチング制御部は、スイッチング素子Q2をオフ状態に維持し、スイッチング素子Q1がオン・オフを交互に繰り返すように制御することで、昇降圧チョッパ回路31を昇圧チョッパ回路として動作させる。それによって、昇降圧チョッパ回路31は、コンデンサC1の両端に生成された直流電圧Vdc1を昇圧して、コンデンサC2の両端に直流電圧Vdc2を生成する。
【0033】
そして、電力変換回路32は、直流電圧Vdc2をDC/AC変換して交流電圧Vac1を生成する。このとき、スイッチング制御部は、スイッチング素子Q3,Q6とスイッチング素子Q4,Q5とを交互にオン・オフするように制御する。すなわち、スイッチング素子Q3,Q6をオンしているときはスイッチング素子Q4,Q5をオフし、スイッチング素子Q4,Q5をオンしているときはスイッチング素子Q3,Q6をオフする。それによって、電力変換回路32は、直流電圧Vdc2をDC/AC変換し、フィルタ回路33を介して交流電圧Vac1が出力される。
【0034】
また、スイッチング素子Q1〜Q6の各々と、ダイオードD1〜D6の各々とでスイッチ部S1〜S6を構成している。充放電回路3が蓄電池Eの充放電を行う際に、スイッチング素子Q1〜Q6およびダイオードD1〜D6に電流が流れて発熱する。したがって、本実施形態では、放熱フィン34に各スイッチ部S1〜S6が設けられることで、各スイッチ部S1〜S6の放熱を行っている。すなわち、この放熱フィン34によって、充放電回路3の周囲に熱気が発生する。
【0035】
また、本実施形態の蓄電池ユニット1は、蓄電池モジュール2(蓄電池E)の温度を検出する温度検出部5を備えている。温度検出部5は、サーミスタ等の温度検出素子で構成されている。蓄電池Eが低温時に充放電を行う場合、発火に至るおそれや放電できなくなるおそれがある。そこで、図2に示すように、蓄電池モジュール2の温度が所定の動作下限温度T1以下になると、蓄電池Eの充放電を停止する必要があるため、蓄電池Eが低温時には蓄電池Eを暖める必要があった。また、蓄電池Eが高温になるにつれて劣化が促進されるという特性を有しているため、蓄電池Eの温度が動作上限温度T2以下となるように、蓄電池Eが高温時には蓄電池Eを冷やす必要があった。なお、図2において、動作下限温度T1以下を充放電禁止領域、動作下限温度T1〜動作上限温度T2を充放電可能領域、動作上限温度T2以上を劣化促進領域と示す。
【0036】
そこで、本実施形態では、蓄電池モジュール2の温度を所定範囲(動作下限温度T1〜動作上限温度T2)内に保つ空気制御部4を備えている。
【0037】
本実施形態の空気制御部4は、空気を送風するファンF1と、回転速度制御部41と、スイッチング素子Q41とで構成されている。ファンF1とスイッチング素子Q41とは直列接続されている。そして、回転速度制御部41が温度検出部5の検出結果に基づいて、スイッチング素子Q41のスイッチングデューティ比を制御することで、ファンF1に流れる電流を制御し、ファンF1の回転速度を制御する。なお、ファンF1は、回転速度が上昇するにつれて、送風量(空気の流れる量)が増加する。
【0038】
次に、図3(a)(b)に示す本実施形態の蓄電池ユニット1の概略配置図を用いて、空気制御部4の動作について説明する。なお、図3(a)(b)には、蓄電池モジュール2,充放電回路3,回転速度制御部41,ファンF1,筐体6のみを示し、他の構成は省略している。また、図3(a)(b)における上下左右を、上下左右方向として以下説明する。
【0039】
図3(a)は、ファンF1が動作(オン)している場合における筐体6内の空気の状態を示しており、図中の矢印はファンF1が送風することによって生成される空気の流れK1を示している。図3(b)は、ファンF1が停止(オフ)している場合における筐体6内の空気の状態を示しており、ファンF1が停止しているため、空気の流れK1が発生していない。
【0040】
筐体6は矩形箱状に形成されており、筐体6内において蓄電池モジュール2と充放電回路3とが上下方向に並設されており、上方に蓄電池モジュール2が設けられ、下方に充放電回路3が設けられている。また、充放電回路3の左方には、ファンF1が設けられている。図3(a)に示すように、ファンF1が動作(オン)することによって、左方から右方に向かう空気の流れK1が生成される。
【0041】
ファンF1によって生成された空気の流れK1は、充放電回路3を通過して右方へ向かう。したがって、蓄電池Eの充放電を行うことで発生する充放電回路3の熱気が、空気の流れK1によって右方へ向かうこととなる。蓄電池モジュール2は充放電回路3の上方に設けられているので、充放電回路3を通過した空気の流れK1の延長線上に蓄電池モジュール2は存在しない。すなわち、蓄電池モジュール2と充放電回路3とのうち充放電回路3のみが、ファンF1による空気の吐き出し方向に存在する。そのため、ファンF1によって生成された空気の流れK1が充放電回路3の熱気を右方へ流すことで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が抑制される。
【0042】
また、ファンF1の送風量が多いほど、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が少なく、ファンF1の送風量が少ないほど、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が多くなる。すなわち、蓄電池モジュール2の温度に基づいて、ファンF1の送風量を制御することで、蓄電池モジュール2の温度を管理することができる。
【0043】
そこで、本実施形態の回転速度制御部41は、蓄電池モジュール2の温度が高くなるにつれて、ファンF1の回転速度を上昇させ、ファンF1の送風量を多くする。それによって、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が少なくなり、蓄電池モジュール2の温度を低減させることができる。したがって、蓄電池Eの温度が上昇して動作上限温度T2(図2参照)以上になることを防止することができるので、蓄電池Eの劣化が抑制される。
【0044】
対して、蓄電池モジュール2の温度が低くなるにつれて、回転制御部41はファンF1の回転速度を減少させ、ファンF1の送風量を少なくする。それによって、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が多くなり、蓄電池モジュール2の温度を上昇させることができる。したがって、蓄電池Eの温度が低下して動作下限温度T1(図2参照)以下になることを防止することができるので、冬季などの周囲温度が低い状態でも蓄電池Eの充電を行うことができる。また、蓄電池Eの温度低下による内部抵抗の上昇を抑制することができるので、蓄電池Eの放電を行うことができる。
【0045】
なお、蓄電池モジュール2の温度が所定温度以下になると、ファンF1の回転を停止するように構成してもよい。
【0046】
すなわち、筐体6内における空気の流れる量(ファンF1の送風量)を制御することで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が変化し、蓄電池モジュール2の温度を所定範囲(動作下限温度T1〜動作上限温度T2)内に保つことができる。
【0047】
なお、筐体6内における蓄電池モジュール2,充放電回路3,ファンF1の位置は、上記に限定するものではなく、蓄電池モジュール2の温度が所定範囲内となるように空気の流れK1を生成することができる位置にファンF1が設けられていればよい。
【0048】
(実施形態2)
本実施形態の空気制御部4は、ファンF2,F3と、このファンF2,F3の回転を制御する回転制御部42とで構成されている。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。
【0049】
図4(a)(b)に示す本実施形態の蓄電池ユニット1の概略配置図を用いて、空気制御部4の動作について説明する。なお、図4(a)(b)には、蓄電池モジュール2,充放電回路3,回転制御部42,ファンF2,F3,筐体6のみを示し、他の構成は省略している。また、図4(a)(b)における上下左右を、上下左右方向として以下説明する。
【0050】
図4(a)は、ファンF2が動作(オン)し、ファンF3が停止(オフ)している場合における筐体6内の空気の状態を示しており、図中の矢印はファンF2が送風することによって生成される空気の流れK2を示している。図4(b)は、ファンF2が停止(オフ)し、ファンF3が動作(オン)している場合における筐体6内の空気の状態を示しており、図中の矢印はファンF3が送風することによって生成される空気の流れK3を示している。
【0051】
本実施形態では、筐体6内において蓄電池モジュール2と充放電回路3とが上下方向に並設されており、上方に充放電回路3が設けられ、下方に蓄電池モジュール2が設けられている。また、蓄電池モジュール2の下方にファンF2が設けられ、充放電回路3の上方にファンF3が設けられている。すなわち、ファンF2,F3による空気の吐き出し方向に蓄電池モジュール2と充放電回路3との両方が存在する。
【0052】
本実施形態の空気制御部4は、ファンF2,F3と、このファンF2,F3の回転を制御する回転制御部42とで構成されている。回転制御部42は、温度検出部6の検出結果に基づいて、ファンF2,F3をオン・オフさせる。回転制御部42がファンF2をオンした場合、ファンF2が送風することによって、図4(a)に示すように、筐体6内において、下方から上方に向かう空気の流れK2が生成される。この空気の流れK2は、蓄電池モジュール2を通過した後に充放電回路3を通過する。また、回転制御部42がファンF3をオンした場合、ファンF3が送風することによって、図4(b)に示すように、筐体6内において、上方から下方に向かう空気の流れK3が生成される。この空気の流れK3は、充放電回路3を通過した後に蓄電池モジュール2を通過する。
【0053】
そして、空気制御部4は、蓄電池モジュール2の温度が第1の温度Ta以上となった場合、ファンF2をオンし、ファンF3をオフする。それによって、図4(a)に示すように、ファンF2から蓄電池モジュール2を通過した後に充放電回路3を通過する空気の流れK2が生成される。この空気の流れK2によって、蓄電池モジュール2の熱気が充放電回路3に向かい、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が抑制されるので、蓄電池モジュール2の温度を低減させることができる。したがって、蓄電池Eの温度が上昇して動作上限温度T2(図2参照)以上になることを防止することができるので、蓄電池Eの劣化が抑制される。
【0054】
また、空気制御部4は、蓄電池モジュール2の温度が第1の温度Taより低い第2の温度Tb(<Ta)以下となった場合、ファンF3をオンし、ファンF2をオフする。それによって、図4(b)に示すように、ファンF3から充放電回路3を通過した後に蓄電池モジュール2を通過する空気の流れK3が生成される。この空気の流れK3によって、充放電回路3の熱気が蓄電池モジュール2に向かい、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が増加するので、蓄電池モジュール2の温度を上昇させることができる。したがって、蓄電池Eの温度が低下して動作下限温度T1(図2参照)以下になることを防止することができるので、冬季などの周囲温度が低い状態でも蓄電池Eの充電を行うことができる。また、蓄電池Eの温度低下による内部抵抗の上昇を抑制することができるので、蓄電池Eの放電を行うことができる。
【0055】
このように、本実施形態では、筐体6内における空気の流れる向き(空気の流れK2,K3)を反転させることで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が変化し、蓄電池モジュール2の温度を所定範囲内に保つことができる。
【0056】
なお、本実施形態ではファンF2,F3のうち一方のファンが動作しているときは、他方のファンを停止しているが、これに限定するものではない。例えば、ファンF2,F3を同時に動作し、両方のファンF2,F3の送風方向が同一となるようにファンF2,F3を回転させてもよい。この場合、蓄電池モジュール2の温度に応じてファンF2,F3の送風方向を反転させることで、蓄電池モジュール2の温度を所定範囲内に保つことができる。
【0057】
(実施形態3)
図5(a)(b)に、本実施形態の蓄電池ユニット1の概略配置図を示す。なお、実施形態1と同様の構成には、同一符号を付して説明は省略する。また、図5(a)(b)における上下左右を、上下左右方向として以下説明する。
【0058】
本実施形態では、筐体6内において蓄電池モジュール2と充放電回路3とが上下方向に並設されており、上方に充放電回路3が設けられ、下方に蓄電池モジュール2が設けられている。また、筐体6には、筐体6の内側と外側との間を連通させる給気口A1および排気口A2(通気孔)が形成されている。給気口A1は、充放電回路3の左方に形成され、排気口A2は、充放電回路3の右方に形成されている。すなわち、給気口A1と排気口A2との間に充放電回路3が設けられている。
【0059】
そして、本実施形態の蓄電池ユニット1は、筐体6の外側から給気口A1を介して筐体6の内側に空気を流入させ、筐体6の内側から排気口A1を介して筐体6の外側へ空気を流出させるファンF4を筐体6内に備えている。このファンF4は、給気口A1と充放電回路3との間に設けられており、ファンF4がオンして送風することによって、給気口A1を介して空気を流入させ、充放電回路3を通過し排気口A2を介して流出する空気の流れを生成する。なお、このファンF4は、一定の回転速度で常時回転し、送風を行う。
【0060】
また、排気口A2には、モーターを駆動することによって開口部を開閉するシャッターやブラインド等の開閉手段(図示なし)が設けられている。本実施形態の空気制御部4は、モーターの駆動を制御することで、排気口A2の開口面積を制御する開口制御部43で構成されている。この開口制御部43は、温度検出部6の検出結果に基づいて、排気口A2の開口面積を制御する。
【0061】
図5(a)は、開口制御部43が排気口A2を全開にしている場合における筐体6内の空気の状態を示しており、図中の矢印はファンF4によって生成される空気の流れK4aを示している。図5(b)は、開口制御部43が排気口A2を全閉にしている場合における筐体6内の空気の状態を示しており、図中の矢印はファンF4によって生成される空気の流れK4bを示している。
【0062】
排気口A2が全開している場合、図5(a)に示すように、ファンF4によって、筐体6の外側から給気口A1を介して筐体6の内側に流入し、充放電回路3を通過した後に排気口A2を介して筐体6の外側に流出する空気の流れK4aが生成される。したがって、蓄電池Eの充放電動作によって発生する充放電回路3の熱気が、空気の流れK4aによって排気口A2を介して筐体6の外側に排出される。蓄電池モジュール2は充放電回路3の下方に設けられているので、空気の流れK4aによって充放電回路3の熱気を筐体6の外側へ排出することで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が抑制される。
【0063】
対して、排気口A2が全閉している場合、図5(b)に示すように、ファンF4によって筐体6の外側から給気口A1を介して筐体6の内側に流入し、充放電回路3を通過した後に筐体6の内側を還流する空気の流れK4bが生成される。したがって、蓄電池Eの充放電動作によって発生する充放電回路3の熱気が、筐体6の外側に排出されず、蓄電池モジュール2にも向かうので、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が多くなる。
【0064】
また、排気口A2の開口面積が大きくなるにつれて、ファンF4によって筐体6の外側へ流出される空気の量が増加する。それによって、筐体6の外側へ排出される、充放電回路3の熱気の量も多くなるので、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が低減する。
【0065】
そこで、本実施形態の開口制御部43は、温度検出部6の検出結果に基づいて、排気口A2の開口面積を制御する。開口制御部43は、蓄電池モジュール2の温度が高くなるにつれて、排気口A2の開口面積を増加させることで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が低減し、蓄電池モジュール2の温度を低減させることができる。したがって、蓄電池Eの温度が上昇して動作上限温度T2(図2参照)以上になることを防止することができるので、蓄電池Eの劣化が抑制される。
【0066】
また、蓄電池モジュール2の温度が低くなるにつれて、開口制御部43は、排気口A2の開口面積を減少させることで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が増加し、蓄電池モジュール2の温度を上昇させることができる。したがって、蓄電池Eの温度が低下して動作下限温度T1(図2参照)以下になることを防止することができるので、冬季などの周囲温度が低い状態でも蓄電池Eの充電を行うことができる。また、蓄電池Eの温度低下による内部抵抗の上昇を抑制することができるので、蓄電池Eの放電を行うことができる。
【0067】
このように、本実施形態では、排気口A2から排出される充放電回路3の熱気の量を制御することで、充放電回路3から蓄電池モジュール2に伝わる熱量が変化し、蓄電池モジュール2の温度を所定範囲内に保つことができる。
【0068】
なお、本実施形態では排気口A2の開口面積を制御しているが、給気口A1の開口面積を制御しても、同様の効果を得ることができる。また、給気口A1,排気口A2の両方の開口面積を制御してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 蓄電池ユニット
2 蓄電池モジュール
3 充放電回路
4 空気制御部
5 温度検出部
41 回転速度制御部
F1 ファン
E 蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1乃至複数の蓄電池を内蔵した蓄電池モジュールと、
前記蓄電池モジュールに内蔵された前記蓄電池の充放電を行う充放電回路と、
前記蓄電池モジュールおよび前記充放電回路を収納する筐体と、
前記蓄電池モジュールの温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部の検出結果に基づいて、前記筐体内の空気の流れを制御することで、前記充放電を行うことによって発熱する前記充放電回路から前記蓄電池モジュールに伝わる熱量を変化させる空気制御部とを備えることを特徴とする蓄電池ユニット。
【請求項2】
前記空気制御部は、前記筐体内に設けられ、前記筐体内において空気の流れを生成するファンと、当該ファンの回転速度を制御する回転速度制御部とを備え、
前記ファンは、前記蓄電池モジュールと前記充放電回路とのうち前記充放電回路のみが、空気の吸い込み方向または吐き出し方向に存在する前記空気の流れを生成し、
前記回転速度制御部は、前記蓄電池モジュールの温度が高くなるにつれて、前記ファンの回転速度を上昇させることを特徴とする請求項1記載の蓄電池ユニット。
【請求項3】
前記空気制御部は、前記筐体内に設けられ、前記筐体内において空気の流れを生成するファンと、当該ファンの回転を制御する回転制御部とを備え、
前記ファンは、空気の吸い込み方向または吐き出し方向に前記蓄電池モジュールと前記充放電回路との両方が存在する前記空気の流れを生成し、
前記回転制御部は、前記蓄電池モジュールの温度が第1の温度以上となった場合、前記蓄電池モジュールを通過した後に前記充放電回路を通過する前記空気の流れを生成するように前記ファンを回転させ、前記蓄電池モジュールの温度が前記第1の温度より低い第2の温度以下となった場合、前記充放電回路を通過した後に前記蓄電池モジュールを通過する前記空気の流れを生成するように前記ファンを回転させることを特徴とする請求項1記載の蓄電池ユニット。
【請求項4】
前記筐体は、前記筐体の内側と外側との間を連通させる通気孔が形成され、
前記空気制御部は、前記蓄電池モジュールの温度が高くなるにつれて、前記通気孔の開口面積を増加させる開口制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の蓄電池ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−212628(P2012−212628A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−78572(P2011−78572)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】