説明

蓄電装置の冷却装置

【課題】車両に搭載される電池の冷却効率を向上させる。
【解決手段】電池冷却システムは、電池冷却用ファンを駆動して車室内の空気を電池に送るとともに、必要に応じて電池冷却用エバポレータに冷媒を循環させて電池冷却用ファンからの送風を冷却する。ECUは、車両が走行可能状態である場合にユーザがエアコンON操作を行なうと、内気循環モードに固定して車室内空調システムを作動させて、車室内の空気の冷却および除湿を行なう。そして、ECUは、車室内の空気の温度および湿度が十分に低下した後に、電池冷却用エバポレータへの冷媒の供給を開始するとともに、電池冷却用ファンを駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される蓄電装置の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両などに搭載される走行用電池を冷却するシステムの1つに、特開2008−55990号公報(特許文献1)に開示された電池冷却システムがある。特開2008−55990号公報(特許文献1)に開示された電池冷却システムは、車両に搭載される走行用電池と、車室内の空気を走行用電池へ送風する送風機と、内部を流れる冷媒と走行用電池へ送る送風との熱交換によって走行用電池へ送る送風を冷却する熱交換器と、を備える。この電池冷却システムによれば、送風機からの騒音を抑制しつつ、電池の冷却効率を良好にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−55990号公報
【特許文献2】特開2004−291863号公報
【特許文献3】実開平5−17155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池の寿命は、電池の温度の影響を受ける。たとえば、リチウムイオン電池では、高温になると不純物の析出などを生じ、結果的に蓄電可能容量が減り、寿命を迎える。そのため、燃費増加を抑制しつつ電池の寿命を長期化させるためには、電池の冷却効率を向上させて電池の温度を効率よく低温に保つ必要がある。特に、酷暑地域では、車両を放置している間の電池温度が高く、通常地域と比べて電池の寿命が短くなる傾向にある。そのため、酷暑地域で車両を使用する場合には、電池の冷却効率の更なる向上が特に必要となる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、蓄電装置の冷却効率を向上させることができる冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る冷却装置は、車室内を除湿する空調装置を備えた車両に搭載される蓄電装置を冷却する。この冷却装置は、吸入側が車室内側に設けられ、排出側が蓄電装置側に設けられたダクトと、ダクトの吸入側の空気を蓄電装置へ送るファンと、内部を流れる冷媒とファンが蓄電装置へ送る空気との間の熱交換によって、ファンが蓄電装置へ送る空気を冷却する熱交換器と、熱交換器へ冷媒を供給するための供給装置と、車室内の湿度を検出する湿度センサと、供給装置を制御する制御装置とを含む。制御装置は、空調装置が作動したことに応じて湿度センサが検出した車室内の湿度が所定値よりも低下したか否かを判断し、車室内の湿度が所定値よりも低下した後に、熱交換器への冷媒の供給を開始するように供給装置を制御する。
【0007】
第2の発明に係る制御装置においては、ダクトは、吸入側が車室外に連通可能に構成される。冷却装置は、熱交換器よりも上流側のダクト内に設けられた除湿剤と、ダクトの吸入側と車室内とを連通する第1状態、ダクトの吸入側と車室外とを連通する第2状態のいずれかの状態に切り換えられる切換弁と、日射量を検出する日射センサとをさらに含む。制御装置は、日射センサが所定量よりも多い日射量を検出した場合に、切換弁を第2状態にしかつファンを駆動して、車室外の空気によって除湿剤を乾燥させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓄電装置の冷却効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電池冷却システムの構造を示す図である。
【図2】酷暑地域での電池寿命と通常地域での電池寿命とを示す図である。
【図3】ECUの処理の流れを示す図(その1)である。
【図4】ECUの処理の流れを示す図(その2)である。
【図5】電池冷却システムの変形例を示す図(その1)である。
【図6】電池冷却システムの変形例を示す図(その2)である。
【図7】電池冷却システムの変形例を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施の形態に係る電池冷却システム100の構造を示す図である。
電池冷却システム100は、車室内空調システム(エアコンディショナシステム)200と協調して電池10を冷却するシステムである。なお、電池10は、電池セルを複数直列に接続するよう組合せた組電池であり、ハイブリッド車両や電気自動車の走行用に使用される。電池10としては、たとえばリチウムイオンを極間で交換して、充電、放電を行なうリチウムイオン電池が用いられる。
【0011】
電池冷却システム100は、電池ケース110、吸気ダクト120、電池冷却用エバポレータ130、電池冷却用ファン140、排気ダクト160、電動コンプレッサ210、電磁弁240、ECU1000を主要な構成としている。これらの構成部品のうち、電動コンプレッサ210および電磁弁240は、車室内空調システム200の構成部品でもある。
【0012】
電池ケース110は、車両トランクやフロア下において、車体パネルの上方に電池10を固定するとともに、電池10を内部に収容して周囲から電池10を保護する。
【0013】
吸気ダクト120は、車室内あるいは車室外から電池ケース110へ空気を送るための配管である。吸気ダクト120の先端部(吸入口)は、車室内後部に連通され、車室内の空気(内気)あるいは車室外の空気(外気)を吸い込むように空気流路を形成する。吸気ダクト120の後端部(排出口)は電池ケース110の車両前方側に連通される。これにより、吸気ダクト120に吸い込まれた空気は電池ケース110へ送られる。
【0014】
切換弁121は、吸気ダクト120の先端部に設けられ、吸気ダクト120と車室内とを連通する状態(内気取込状態)と、吸気ダクト120と外気を取り入れるためのダクト122とを連通する(外気取込状態)のいずれかの状態に、ECU1000によって切り換えられる。すなわち、ECU1000によって制御される切換弁121によって、吸気ダクト120に吸い込まれる空気が内気と外気との間で切り換えられる。
【0015】
電池冷却用エバポレータ130は、吸気ダクト120の内部に設けられ、内部を流れる冷媒を蒸発させて周囲空気との熱交換を行なうことによって、周囲空気の冷却を行なうものである。
【0016】
本実施の形態においては、電池冷却用エバポレータ130で用いられる冷媒は、車室内空調システム200で用いられる冷媒と共用されている。すなわち、車室内空調システム200からの液化した冷媒が冷媒ライン203を通って電池冷却用エバポレータ130に送られ、電池冷却用エバポレータ130で蒸発した冷媒が冷媒ライン204を通って再び車室内空調システム200に戻される。電池冷却用エバポレータ130の冷媒流量は、車室内空調システム200側の電動コンプレッサ210の出力と電磁弁240の状態とをECU1000が制御することによって調整される。
【0017】
電池冷却用ファン140は、吸気ダクト120の途中で、かつ電池冷却用エバポレータ130よりも上流側に設けられ、内気あるいは外気を吸気ダクト120に吸い込んで電池ケース110へ送るものである。電池冷却用ファン140からの送風は、電池冷却用エバポレータ130との熱交換で冷却された後、電池ケース110へ送られる。
【0018】
乾燥剤150は、吸気ダクト120の途中で、かつ電池冷却用エバポレータ130よりも上流側(図1では電池冷却用ファン140と電池冷却用エバポレータ130との間)に設けられる。乾燥剤150は、周辺空気の水分を吸収して乾燥させる。一方、乾燥剤150は、周辺空気が乾燥している場合には、吸収した水分を周辺空気に放出する。なお、乾燥剤150としては、吸湿性を有するグラスウールや不織布などが用いられる。
【0019】
排気ダクト160は、電池ケース110の内部から外部への空気排出路を形成する。排気ダクト160の先端部は、吸気ダクト120が接続される電池ケース110の車両前方側とは反対側となる電池ケース110の車両後方側に接続される。排気ダクト160の後端部は車室外に連通される。
【0020】
電池冷却システム100は、車室内空調システム200から冷媒ライン203に送られた冷媒を、膨張弁(図示せず)によって低圧に膨張させ、低圧に膨張された冷媒を電池冷却用エバポレータ130で蒸発させることによって、電池冷却用ファン140が電池ケース110に送る空気の冷却を行なう。電池冷却用エバポレータ130で蒸発した低圧冷媒は、冷媒ライン204を通って再び車室内空調システム200側の電動コンプレッサ210に戻される。
【0021】
このような冷却サイクルによって、電池冷却用ファン140が電池ケース110に送る空気が冷却され、電池10が冷却される。すなわち、電池冷却システム100は、電池冷却用ファン140からの送風によって電池10を冷却するとともに、必要に応じて電池冷却用エバポレータ130に冷媒を循環させて電池冷却用ファン140からの送風を冷却する。これにより、より冷たい空気で電池10を冷却することができる。
【0022】
車室内空調システム200は、ユーザが車室内空調システム200を起動させる操作(エアコンON操作)をエアコンスイッチ(図示せず)に入力した場合に作動する。
【0023】
車室内空調システム200は、電動コンプレッサ210によって圧縮した高圧冷媒をコンデンサ220に送って放熱冷却させ冷媒を液化し、その後リキッドタンク230で水分やゴミを除去して液化した冷媒を空調用エバポレータ250へ向かう冷媒ライン201および電池冷却用エバポレータ130へ向かう冷媒ライン203に送る。
【0024】
冷媒ライン201に送られる冷媒流量(空調用エバポレータ250の冷媒流量)と冷媒ライン203に送られる冷媒流量(電池冷却用エバポレータ130の冷媒流量)との配分は、電磁弁240の状態をECU1000が制御することによって調整される。
【0025】
そして、車室内空調システム200は、冷媒ライン201に送られた冷媒を膨張弁(図示せず)によって低圧に膨張させ、低圧に膨張された冷媒を空調用エバポレータ250で蒸発させることによって、空調用ファン260が車室内に送る空気の冷却および除湿を行なう。空調用エバポレータ250で蒸発した低圧冷媒は、冷媒ライン202を通って再び電動コンプレッサ210に戻される。このような冷却サイクルによって、車室内の空気の冷却および除湿が行なわれる。
【0026】
なお、空調用ファン260が車室内に送る空気の内気と外気との間の切換は、ECU1000が制御する内外気切換ドア270によって行なわれる。
【0027】
日射センサ123は、ウィンドガラス(図1ではバックウィンドガラス)を通過して車両室内に入射する日射量(日射強度)を検出するセンサである。その他、車室内温度Tを検出する温度センサ(図示せず)、および車室内湿度Hを検出する湿度センサ(図示せず)などの温度管理に必要となる複数のセンサも設けられている。これらの各センサは、検出結果をECU1000に出力する。
【0028】
以上のような電池冷却システム100を備えた車両において、電池10の寿命は、電池10の温度の影響を受ける。たとえば、リチウムイオン電池では、高温になると不純物の析出などを生じ、結果的に蓄電可能容量が減り、寿命を迎える。そのため、電池10の冷却に費やされるエネルギの増加(最終的には燃費増加)を抑制しつつ電池10の寿命を長期化させるためには、電池10の冷却効率を向上させて電池10の温度を効率よく低温に保つ必要がある。
【0029】
特に、酷暑地域では、車両を放置している間の電池温度が高く、通常地域と比べて電池の寿命が短くなる傾向にある。すなわち、日中に車両を放置している間の車室内は車両走行中に比べて高温となり、これに伴なって電池10も高温になり易い。そのため、車両走行中の電池温度が電池寿命に与える影響よりも、車両放置中の電池温度が電池寿命に与える影響のほうが大きくなる。車両走行中の電池温度が電池寿命に与える影響と、車両放置中の電池温度が電池寿命に与える影響との割合は、概ね4:6程度である。
【0030】
そして、酷暑地域では、通常地域に比べて日射量が多く、車両放置中の電池温度が通常地域に比べて高温になる。そのため、図2に示すように、車両放置中の電池温度がもたらす電池寿命(放置寿命)は、酷暑地域のほうが通常地域に比べて短くなるため、全体として、酷暑地域では通常地域に比べて電池寿命が短くなってしまう傾向にある。この酷暑地域での電池寿命の短命化を防止するためには、車両走行中の電池温度をより低下させて、車両走行中の電池温度がもたらす電池寿命(走行寿命)をより長期化させる必要がある。
【0031】
そこで、本実施の形態に係るECU1000は、電池冷却用エバポレータ130で冷却される送風中の水分量を低下させることで、電池冷却用エバポレータ130での冷却によって送風中の水分(水蒸気)が凝縮する際に外部に放出する凝縮熱の総量を低減して、電池冷却用エバポレータ130による送風の冷却効率を向上させる。
【0032】
具体的には、ECU1000は、車室内空調システム200で車室内を十分に除湿した後に、電池冷却システム100の作動(電池冷却用ファン140の駆動および電池冷却用エバポレータ130への冷媒供給)を開始する。
【0033】
さらに、ECU1000は、乾燥剤150の吸湿量が多い場合に、電池冷却用ファン140から送られる内気あるいは外気によって乾燥剤150を強制的に乾燥させることで、乾燥剤150の吸湿効果を向上させる。
【0034】
図3は、車室内空調システム200で車室内を除湿した後に電池冷却システム100の作動を開始する際のECU1000の処理の流れを示す。
【0035】
S100にて、ECU1000は、車両が走行可能状態(READY−ON状態)であるか否かを判断する。その処理は、車室内空調システム200が起動可能状態であるか否かを判断するものである。この処理で肯定的な判断がなされると(S100にてYES)、処理はS102に移される。そうでないと(S100にてNO)、この処理は終了する。
【0036】
S102にて、ECU1000は、ユーザがエアコンON操作を行なったか否かを判断する。この処理で肯定的な判断がなされると(S102にてYES)、処理はS104に移される。そうでないと(S102にてNO)、この処理は終了する。
【0037】
S104にて、ECU1000は、車室内空調システム200の制御モードを内気循環モードに固定する。すなわち、ECU1000は、空調用ファン260が内気を車室内に送る状態となるように内外気切換ドア270を制御する。
【0038】
S106にて、ECU1000は、車室内の空気の冷却および除湿を行なうために、車室内空調システム200の作動を開始させる。すなわち、電動コンプレッサ210による冷媒の圧縮および循環を開始させるとともに、空調用ファン260の駆動を開始する。なお、この際、電池冷却システム100は作動されない。すなわち、ECU1000は、電池冷却用エバポレータ130への冷媒供給を遮断するように電磁弁240を制御するとともに、空調用エバポレータ250の冷媒流量のみに応じて電動コンプレッサ210の出力を制御する。
【0039】
S108にて、ECU1000は、車室内温度Tおよび車室内湿度Hを検出する。
S110にて、ECU1000は、車室内温度Tが所定温度T0よりも低下し、かつ車室内湿度Hが所定湿度H0よりも低下したか否かを判断する。この処理は、車室内空調システム200の作動によって、電池冷却システム100の冷却効率が所定の目標効率よりも高くなる程度にまで車室内温度Tおよび車室内湿度Hが十分に低下したか否かを判断するためのものである。すなわち、所定温度T0および所定湿度H0は、電池冷却システム100の目標効率に応じて予め設定される。この処理で肯定的な判断がなされると(S110にてYES)、処理はS112に移される。そうでないと(S110にてNO)、処理はS108に戻され、S108、S110の処理が繰り返される。
【0040】
S112にて、ECU1000は、電池冷却システム100を用いた電池10の冷却制御の実行を開始する。すなわち、ECU1000は、電磁弁240を制御して電池冷却用エバポレータ130への冷媒の供給を開始するとともに、冷媒流量の増加分(電池冷却用エバポレータ130に送られる冷媒流量)に応じて、電動コンプレッサ210の出力を増加させる。さらに、ECU1000は、電池冷却用ファン140を駆動させる。この際、ECU1000は、切換弁121を内気取込状態に制御する。
【0041】
図4は、日射量が多い場合に外気によって乾燥剤150を乾燥させる場合のECU1000の処理の流れを示す。
【0042】
S200にて、ECU1000は、車両の運転が開始されたか否かを判断する。なお、この処理で、上述したREADY−ON状態であるか否かを判断するようにしてもよい。この処理で肯定的な判断がなされると(S200にてYES)、処理はS202に移される。そうでないと(S200にてNO)、この処理は終了する。
【0043】
S202にて、ECU1000は、乾燥剤150の吸湿量を推定する。この推定は、たとえば、車室内湿度H、日射量、電池冷却用ファン140の駆動量や駆動時間など、乾燥剤150の吸湿量に相関関係がある複数の物理量の履歴に基づいて行なわれる。なお、可能であれば、乾燥剤150の吸湿量を直接検出するセンサを設け、このセンサの検出結果を本処理で取得するようにしてもよい。
【0044】
S204にて、ECU1000は、乾燥剤150の吸湿量がしきい値(予め定められた吸湿量)よりも多いか否かを判断する。この処理は、電池冷却用ファン140からの送風によって乾燥剤150を強制的に乾燥させる必要があるか否かを判断するものである。この処理で肯定的な判断がなされると(S204にてYES)、処理はS206に移される。そうでないと(S204にてNO)、この処理は終了される。
【0045】
S206にて、ECU1000は、日射量がしきい値(予め定められた日射量)よりも多いか否かを判断する。この処理は、日射の影響で内気よりも外気のほうが乾燥しているか否かを判断するものである。この処理で肯定的な判断がなされると(S206にてYES)、処理はS208に移される。そうでないと(S204にてNO)、処理はS210に移される。
【0046】
S208にて、ECU1000は、外気により乾燥剤150を乾燥させる。具体的には、ECU1000は、切換弁121を外気取込状態に制御するとともに、電池冷却用ファン140が停止されている場合には、電池冷却用ファン140を駆動させる。
【0047】
S210にて、ECU1000は、内気により乾燥剤150を乾燥させる。具体的には、ECU1000は、切換弁121を内気取込状態に制御するとともに、電池冷却用ファン140が停止されている場合には、電池冷却用ファン140を駆動させる。
【0048】
なお、S208、S210の処理を行なう時に既に電池冷却用ファン140が駆動している場合には、乾燥剤150の乾燥をより促進させるために、電池冷却用ファン140の出力(送風量)を増加させるようにしてもよい。
【0049】
以上のように、本実施の形態に係るECU1000は、READY−ON状態でユーザがエアコンON操作を行なった場合、内気循環モードに固定して車室内空調システム200を作動させて、車室内の空気の冷却および除湿を行なう。そして、車室内の空気の温度および湿度が十分に低下した後に、電池冷却用エバポレータ130への冷媒の供給を開始するとともに、電池冷却用ファン140を駆動させる。
【0050】
このように、予め十分に湿度を低下させた車室内の空気を電池冷却用エバポレータ130で冷却するため、電池冷却用エバポレータ130で冷却される空気中の水分の凝縮熱の総量が低減される。
【0051】
そのため、エアコンON操作直後に電池冷却用エバポレータ130への冷媒の供給を開始する場合(湿度が高いままの内気を電池冷却用エバポレータ130で冷却する場合)に比べて、電池冷却用エバポレータ130の冷媒流量が同じであっても、電池冷却用エバポレータ130を通過した後の空気の温度が低下する。すなわち、電池冷却システム100の冷却効率が向上する。さらに、この冷却効率の向上によって、電池冷却用エバポレータ130への冷媒流量の低減、すなわち電動コンプレッサの消費電力の削減も可能となる。
【0052】
さらに、本実施の形態に係るECU1000は、車両の運転開始後、乾燥剤150の吸湿量がしきい値よりも多い場合には、電池冷却用ファン140を駆動して乾燥剤150を強制的に乾燥させる。この際、日射量が所定量よりも多い場合に外気が乾燥していると判断して、ダクト122から取り込んだ外気により乾燥剤150を乾燥させる。これにより、電池冷却用ファン140の駆動量が同じであっても、乾燥剤150の乾燥がより促進される。これにより、乾燥剤150の吸湿効率が向上し、電池冷却用エバポレータ130で冷却される空気中の水分をより低減することができる。そのため、電池冷却システム100の冷却効率をより向上させることができる。
【0053】
なお、上述した電池冷却システム100においては、電池冷却用エバポレータ130を吸気ダクト120の内部に設けていたため、吸気ダクト120を流れる空気(電池冷却用ファン140の送風)の圧力損失が増加し、電池温度の冷却効率が低下することが懸念される。
【0054】
そこで、電池冷却用エバポレータ130に代えて、図5に示すように、吸気ダクト120の外周面に冷媒ライン205を螺旋状に巻き付けるようにしてもよい。
【0055】
このように、冷媒ライン205を吸気ダクト120の外周面に設けることにより、上述した圧力損失が低減でき、電池温度の冷却効率の低下を防止できる。また、冷媒ライン205を吸気ダクト120に螺旋状に巻き付けることにより、両者の接触面積が拡大して吸気ダクト120内の空気と冷媒ライン205内の冷媒との熱交換効率が向上する。
【0056】
また、上述した電池冷却システム100において、乾燥剤150の形状、大きさ、取付位置などを変更することも可能である。
【0057】
たとえば、図6に示すように、吸気ダクト120内を流れる空気の共鳴が図6の鎖線で示す範囲Aで起こることが実験等により把握された場合には、この範囲Aの位置や大きさに応じて乾燥剤150の形状、大きさ、取付位置を設定する。このようにすると、乾燥剤150によって、吸湿だけでなく吸音も行なうことができる。この際、乾燥剤150の素材を吸音特性と吸湿特性とを併せ持つ材質とすることが望ましい。
【0058】
また、図7に示すように、乾燥剤150が日射を直接的に浴びる位置(図7においては吸気ダクト120の先端部)に乾燥剤150を取り付けるようにしてもよい。このようにすれば、日射(太陽放射熱)で直接的に乾燥剤150を乾燥させることができる。また、外気により乾燥剤150を乾燥させるのではないため、図7に示すように、切換弁121およびダクト122の設置を省くことも可能である。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
10 電池、100 電池冷却システム、110 電池ケース、120 吸気ダクト、121 切換弁、122 ダクト、123 日射センサ、130 電池冷却用エバポレータ、140 電池冷却用ファン、150 乾燥剤、160 排気ダクト、200 車室内空調システム、201 冷媒ライン、202 冷媒ライン、203 冷媒ライン、204 冷媒ライン、205 冷媒ライン、210 電動コンプレッサ、220 コンデンサ、230 リキッドタンク、240 電磁弁、250 空調用エバポレータ、260 空調用ファン、270 内外気切換ドア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内を除湿する空調装置を備えた車両に搭載される蓄電装置の冷却装置であって、
吸入側が車室内側に設けられ、排出側が前記蓄電装置側に設けられたダクトと、
前記ダクトの吸入側の空気を前記蓄電装置へ送るファンと、
内部を流れる冷媒と前記ファンが前記蓄電装置へ送る空気との間の熱交換によって、前記ファンが前記蓄電装置へ送る空気を冷却する熱交換器と、
前記熱交換器へ冷媒を供給するための供給装置と、
車室内の湿度を検出する湿度センサと、
前記供給装置を制御する制御装置とを含み、
前記制御装置は、前記空調装置が作動したことに応じて前記湿度センサが検出した前記車室内の湿度が所定値よりも低下したか否かを判断し、前記車室内の湿度が前記所定値よりも低下した後に、前記熱交換器への冷媒の供給を開始するように前記供給装置を制御する、蓄電装置の冷却装置。
【請求項2】
前記ダクトは、吸入側が車室外に連通可能に構成され、
前記冷却装置は、
前記熱交換器よりも上流側の前記ダクト内に設けられた除湿剤と、
前記ダクトの吸入側と車室内とを連通する第1状態、前記ダクトの吸入側と車室外とを連通する第2状態のいずれかの状態に切り換えられる切換弁と、
日射量を検出する日射センサとをさらに含み、
前記制御装置は、前記日射センサが所定量よりも多い日射量を検出した場合に、前記切換弁を前記第2状態にしかつ前記ファンを駆動して、車室外の空気によって前記除湿剤を乾燥させる、請求項1に記載の蓄電装置の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−280288(P2010−280288A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134784(P2009−134784)
【出願日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】