蓋付側溝
【課題】消音側溝において、側溝及び蓋の型枠を容易且つ安価に製造でき、蓋ずれが生じないようにする。
【解決手段】側壁上部の蓋受面に凹穴又は突起を設けた側溝と、該凹穴又は突起に対応して底面四隅部に突起又は凹穴を設けた蓋からなる蓋付側溝であって、前記凹穴が底細りテーパ状、前記突起が先細りテーパ状をなし、凹穴の水平面に対するテーパ角度αが突起の水平面に対するテーパ角度βよりも大きく形成され、蓋を側溝に装着したときに、突起の外周面と凹穴の上端部が接触して突起と凹穴が係合し、蓋の底面が側溝の蓋受面に接触することなく蓋が側溝に支持されるようにすることで、前記課題を解決する。
【解決手段】側壁上部の蓋受面に凹穴又は突起を設けた側溝と、該凹穴又は突起に対応して底面四隅部に突起又は凹穴を設けた蓋からなる蓋付側溝であって、前記凹穴が底細りテーパ状、前記突起が先細りテーパ状をなし、凹穴の水平面に対するテーパ角度αが突起の水平面に対するテーパ角度βよりも大きく形成され、蓋を側溝に装着したときに、突起の外周面と凹穴の上端部が接触して突起と凹穴が係合し、蓋の底面が側溝の蓋受面に接触することなく蓋が側溝に支持されるようにすることで、前記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に沿って、又は道路を横断して敷設される蓋付側溝であって、特に、蓋の上を人が歩いたときや自動車が通過したときに蓋鳴りが低減され又は防止される、いわゆる消音側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる消音側溝は、種々のタイプのものが提案されているが、その一例として特許文献1に記載されているものがある。
これは、図21に示すように、側溝1の蓋受け部に凸の曲面部分が形成され、これに対応して蓋2の接面部が傾斜した平面となっており、側溝1の蓋受け部と蓋2の接面部がほぼ線状に接触する。
蓋2に自重、通行人、自動車などの下方向の力が作用すると、蓋2の接面部が側溝1の蓋受け部の間に食い込むような、いわゆるクサビ効果が生じ、蓋2の接面部と側溝1の蓋受け部が馴染んでガタツキが防止され、消音効果を生じる。
他のタイプの多くの消音側溝も、このようなクサビ効果を利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−87435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の消音側溝は、側溝の蓋受け部が曲面を有する特殊な形状となるので、型枠コストが高くなるという問題がある。
また、蓋の接面部と側溝の蓋受け部がほぼ線状の接触となり、接触面積が少ないので蓋ずれに対する摩擦抵抗が小さくなり、蓋の上を自動車が通過したときに側溝長手方向の蓋ずれが生じやすく、蓋と蓋の間に大きな隙間ができてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、側溝及び蓋の型枠を容易且つ安価に製造でき、蓋ずれの生じない消音側溝を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔請求項1〕
本発明は、側壁上部の蓋受面に凹穴又は突起を設けた側溝と、該凹穴又は突起に対応して底面四隅部に突起又は凹穴を設けた蓋からなる蓋付側溝であって、
前記凹穴が底細りテーパ状、前記突起が先細りテーパ状をなし、
前記凹穴の水平面に対するテーパ角度αが前記突起の水平面に対するテーパ角度βよりも大きく形成され、
蓋を側溝に装着したときに、前記突起の外周面と前記凹穴の上端部が接触して前記突起と前記凹穴が係合し、蓋の底面が側溝の蓋受面に接触することなく、蓋が側溝に支持されることを特徴とする蓋付側溝である。
【0007】
本発明において、凹穴及び突起の平面形状は、円形、四辺形、多角形など任意であるが、円形が最も好ましい。
凹穴の底細りテーパ状とは、底に近づくにしたがって径が小さくなるように内周面が傾斜している形状である。突起の先細りテーパ状とは、先端に近づくにしたがって径が小さくなるように外周面が傾斜している形状である。
図8に示すように、蓋2を側溝に装着したときに、突起Pの外周面と凹穴Qの上端部が接触して突起Pと凹穴Qが係合し、蓋の底面21が側溝の蓋受面12に接触することなく、蓋2が側溝1に支持される。
【0008】
図8の突起Pと凹穴Qの係合により、蓋2に自重、通行人、自動車などの下方向の力が作用すると、蓋2の突起Pが側溝1の凹穴Qの中に食い込むような、いわゆるクサビ効果が生じ、突起Pの外周面と凹穴Qの上端部が馴染んでガタツキが防止され、消音効果を生じる。
また、突起Pと凹穴Qの係合により、蓋が水平方向にずれるのが防止される。蓋ずれは、自動車が蓋の上を通過しながらブレーキをかけたり急加速したとき蓋に水平方向の力が作用することで起きやすいが、本発明の場合、蓋の上を自動車が通過すると自動車の重量で突起と凹穴が強く係合し、クサビ効果が高まって水平方向の力に抵抗するので、蓋ずれが生じることがない。
【0009】
図8は、側溝の蓋受面に凹穴が形成され、蓋底面に突起が形成されている場合を示しているが、逆に側溝の蓋受面に突起が形成され、蓋底面に凹穴が形成されていてもよい。
【0010】
本発明において、蓋の底面の四隅部に突起又は凹穴が形成されるが、この場合の四隅部は厳密な意味の「隅部」ではなく、蓋を4点で支持できる位置であればよい。また、突起又は凹穴は四隅部の他に、その中間部にあってもよい。
【0011】
側溝や蓋に凹穴及び突起を設ける型枠の構造はきわめて単純で、容易に製造することができる。また、従来使用していた現存の型枠に簡単な加工を加えて作ることもできるので、型枠を安価に得ることができる。
【0012】
〔請求項2〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の少なくとも一つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向及び/又は幅方向にずれて形成されている請求項1の蓋付側溝である。
【0013】
本発明において、長手方向とは側溝の長手方向を意味し、幅方向とは側溝の幅方向を意味する。
凹穴の位置とは、凹穴の入口面における中心位置、突起の位置とは突起の先端面における中心位置である。凹穴の入口面における中心と底面における中心、及び突起の先端面における中心と基端面における中心は一致していることが望ましいが、多少ずれていてもかまわない。
【0014】
例えば、蓋の四隅部の突起又は凹穴のうちの一つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して相対的にずれていて、他の三つが一致していると、突起Pと凹穴Qの係合は、位置が一致している三つは、図8のように、突起Pの外周面の全周と凹穴Qの上端部の全周が接触し、位置がずれている一つは、図9のように、突起Pの外周面の一部と凹穴Qの上端部の一部が接触する。
図9は、図8の場合に比べて突起Pと凹穴Qの接触面積が少なく、したがってクサビ効果がきわめて大きいので、消音効果が非常に大きくなる。
蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれは、一ヶ所であっても消音効果の大きな増加が認められるが、二ヶ所又は三ヶ所とすることがさらに望ましい。
なお、図8,9において、符号Cは凹穴Qの位置(中心)、符号cは突起Pの位置(中心)である。図9の符号Δは、突起Pと凹穴Qの(Cとcの)ずれ量である。
ずれ量Δは、凹穴Qの入口径D1(直径)と突起Pの先端径d2(直径)の差の10〜30%程度が適当である。
【0015】
〔請求項3〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の長手方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の長手方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0016】
これは、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれを二ヶ所にする具体例である。
このときの側溝と蓋における凹穴Qと突起Pの相対的な位置関係を図17に示す。同図において、
S1+Δ=S2+Δ=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置が長手方向にΔだけずれている。
【0017】
〔請求項4〕
また本発明は、蓋の前記突起又は凹穴の幅方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の幅方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0018】
これも、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれを二ヶ所にする具体例である。
このときの側溝と蓋における凹穴Qと突起Pの相対的な位置関係を図18に示す。同図において、
S1=S2=s1=s2
W1+Δ=W2+Δ=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
【0019】
〔請求項5〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が平行四辺形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0020】
これも、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれを二ヶ所にする具体例である。
このときの側溝と蓋における凹穴Qと突起Pの相対的な位置関係を図19,20に示す。
図19において、
S1=S2=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は長手方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ長手方向にずれている。
【0021】
図20において、
S1=S2=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は幅方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
【0022】
〔請求項6〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が平行四辺形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0023】
これは、請求項5における側溝の凹穴又は突起の位置と、蓋における突起又は凹穴の位置を逆にしたものであり、実質的な位置関係は請求項5と同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の蓋付側溝は、側溝及び蓋の型枠を容易に且つ安価に製造でき、蓋ずれが生じることもなく、消音効果にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例における側溝(可変勾配型)の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】実施例における蓋の底面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】実施例における蓋を装着した側溝の要部断面図である。
【図6】突起Pの断面説明図である。
【図7】凹穴Qの断面説明図である。
【図8】相対位置が一致している場合の突起Pと凹穴Qの係合状態の断面説明図である。
【図9】相対位置がΔずれている場合の突起Pと凹穴Qの係合状態の断面説明図である。
【図10】凹穴形状が変形している場合の側溝の略平面図である。
【図11】変形した凹穴の説明図である。
【図12】実施例における側溝(U字型)の平面図である。
【図13】図12のF−F線断面図である。
【図14】図12の側溝に蓋を装着した状態の平面図である。
【図15】凹穴を形成するコマの説明図である。
【図16】凹穴を形成するコマの断面図である。
【図17】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図18】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図19】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図20】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図21】従来の消音側溝の例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1,2は、実施例の蓋付側溝における側溝に関する。
このコンクリート製の側溝1は、いわゆる可変勾配型で、対向する2枚の側壁11,11の上部を連結部13,13で連結一体化したもので、長手方向両端が凸と凹の円弧状に形成されて、自由な角度で連結できるものである。中央部に蓋を装着する開口が形成され、その開口に側壁11,11の上部にあって上向きの蓋受面12,12が露出している。
一方の蓋受面12には凹穴Q1,Q2が形成され、他方の蓋受面12には凹穴Q3,Q4が形成されている。
S1は、Q1,Q2の長手方向間隔、S2は、Q3,Q4の長手方向間隔、W1はQ1,Q3の幅方向間隔、W2はQ2,Q4の幅方向間隔で、通常はS1=S2、W1=W2で、Q1〜Q4は長方形又は正方形の頂点に位置するようになっているが、必ずしもこのようにする必要はない。
【0027】
図2,3は、図1,2の側溝1に装着する蓋2に関する。
蓋2はコンクリート製で平板状をなし、長手方向の一端に手掛部22が形成され、底面21の四隅部に突起P1,P2,P3,P4が形成されている。突起P1は凹穴Q1に、突起P2は凹穴Q2に、突起P3は凹穴Q3に、突起P4は凹穴Q4に対応しており、図5のように蓋2を側溝1に装着すると、それぞれの突起は対応する凹穴に係合する。
s1は、P1,P2の長手方向間隔、s2は、P3,P4の長手方向間隔、w1は、P1,P3の幅方向間隔、w2は、P2,P4の幅方向間隔である。側溝の凹穴と蓋の突起の位置関係において、S1=s1、S2=s2、W1=w1、W2=w2の関係が全て成り立ち、凹穴と突起が長方形又は正方形の頂点に位置するときは、全ての凹穴と突起の位置が一致し、図8に示すように凹穴と突起が係合する。これらの関係が一つでもくずれると、蓋の四隅部の突起の少なくとも一つが、側溝の対応する凹穴の位置に対して、長手方向及び/又は幅方向にずれることになる。凹穴と突起の位置がずれると、その係合は図9に示すようになる。
【0028】
図6は、図3,4の蓋2の突起P(P1〜P4)の断面図である。突起Pは截頭円錐形のテーパ状をなし、先端面の径d2=12mm、基端面の径d1=24mm、突起の高さh=6mmで、水平面に対するテーパ角度β=45°である。
突起Pの位置cは、その先端面の中心位置であり、この場合先端面と基端面の中心位置は一致している。
【0029】
図7は、図1,2の側溝の凹穴Q(Q1〜Q4)の断面図である。凹穴Qは截頭円錐形のテーパ状をなし、入口面の径D1=20mm、底面の径D2=6.1mm、深さH=12mmで、水平面に対するテーパ角度α≒60°である。
凹穴Qの位置Cは、その入口面の中心位置であり、この場合入口面と底面の中心位置は一致している。
【0030】
突起Pと凹穴Qの位置(C,c)が一致している場合、突起Pと凹穴Qは図8に示すように係合する。
α>βであるので、突起Pの外周面が凹穴Qの上端部に接触し、蓋2の底面21が側溝1の蓋受面12に接触することなく、蓋2が側溝1に支持される。
D1,D2,H,d1,d2,hの寸法は、α>βとなり、図8に示すように、蓋2の底面21が側溝1の蓋受面12に接触しないように適宜定めればよい。なお、突起Pと凹穴Qが図8のように係合するためには、当然にD1>d2であり、d1>D1である。また、α−βは10°〜20°程度が適当である。
【0031】
突起Pと凹穴Qの位置(C,c)がずれている場合、突起Pと凹穴Qは図9に示すように係合する。
ずれ量Δは、凹穴Qの入口径D1と突起Pの先端径d2の差の10〜30%程度が適当である。本実施例の場合、例えば、ずれ量Δ=1mmとすると、D1=20mm、d2=12mmであるので、D1とd2の差の12.5%になる。
この場合、突起Pの外周面の一部と凹穴Qの上端部の一部が接触し、図8の場合に比べて突起Pと凹穴Qの接触面積が少なく、したがってクサビ効果がきわめて大きいので、消音効果が非常に大きくなる。
【0032】
図1,2に示す側溝1は、1個の開口に1個の蓋を装着するものであるので、側溝から蓋を取り外す場合、手掛部22に手を掛けて蓋を斜めに引き上げると、蓋を取り外しやすい。そこで、本発明において、蓋が斜めになりやすいように、凹穴の一部を変形することができる。
図10,11は、凹穴Qの一部(破線部)を長穴状の変形部16に変形した例である。基本部15及び破線部は、前記図7の凹穴Qと全く同じ形状である。このような場合、凹穴の位置は、あくまでも基本部15の入口面の中心Cである。
図1の凹穴Q1〜Q4を、この変形した凹穴とすることで、蓋の取り外しが容易になる。
【0033】
図12,13は、他の実施例の蓋付側溝の側溝1に関し、図14は側溝1に蓋2を装着した状態である。
図12,13の側溝1は、断面がU字状のいわゆるU字溝で、図14に示されるように、1個の側溝ブロックに3個の蓋が装着されるものである。側溝1は対向する側壁11,11の底部を底板部14で連結一体化した形状を有し、両側壁11,11の上部内側に上向きの蓋受面12が形成されている。一方の蓋受面12に凹穴Q1,Q2の対が3組、他方の蓋受面12に凹穴Q3,Q4の対が3組形成されている。すなわち、4個の凹穴Q1〜Q4の組が3組あり、それぞれの組が1個の蓋に対応している。それぞれの組において凹穴の位置関係は図1のQ1〜Q4の位置関係と同じであり、蓋の突起の位置関係も図3の蓋と同様である。
このように、本発明は、1個の側溝ブロックに対して複数の蓋を装着する場合にも適用できる。
【0034】
本発明は、側溝の蓋受面や蓋の底面に凹穴又は突起を形成するだけなので、型枠を容易に製造できる。
図15,16は、凹穴Qを形成するためのコマ3の例である。
図15のコマ3は、凹穴Qと同じ截頭円錐形の鉄塊で、雄ねじ部31を有し、型枠の鉄板のタップ孔に雄ねじ部31を螺着し、又は鉄板裏側からナットで固定して取り付けることで、当該部分のコンクリートに凹穴Qを容易に形成できる。
図16のコマ3は、凹穴Qと同じ截頭円錐形の鉄塊で、雌ねじ部32を有し、型枠の鉄板から突出させたボルトに雌ねじ部32を螺着することで型枠面に固定し、当該部分のコンクリートに凹穴を容易に形成できる。
突起Pを形成する場合は、当該部分の型枠鉄板に突起Pと同じ形状の穴加工を行えばよい。
したがって、現在使用中の通常の側溝や蓋の型枠に、上記の簡単な加工を行うことで、本発明の側溝及び蓋の型枠を容易に得ることもできる。
【0035】
図17〜20は、蓋の突起Pと側溝の凹穴Qの位置をずらす具体例を模式的に示している。これらの図においては、ずれ量Δを誇張して表している。
図17において、
S1+Δ=S2+Δ=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置が長手方向にΔだけずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ3とP3の中心位置が一致し、Q2とP2、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0036】
図18において、
S1=S2=s1=s2
W1+Δ=W2+Δ=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ2とP2の中心位置が一致し、Q3とP3、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0037】
なお、図示はしないが、図17と図18を組み合わせて、
S1+Δ=S2+Δ=s1=s2
W1+Δ=W2+Δ=w1=w2
とすると、Q1とP1だけ中心位置が一致し、Q2とP2、Q3とP3、及びQ4とP4の中心位置がずれる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、一ヶ所において一致し、三ヶ所においてずれることになる。
【0038】
図19において、
S1=S2=s1=s1
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は長手方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ長手方向にずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ2とP2の中心位置が一致し、Q3とP3、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0039】
図20において、
S1=S2=s1=s1
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は幅方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ3とP3の中心位置が一致し、Q2とP2、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0040】
図19,20は、側溝の凹穴Qが長方形又は正方形の頂点に位置し、蓋の突起Pが平行四辺形の頂点に位置する場合について説明したが、逆に、側溝の凹穴Qが平行四辺形の頂点に位置し、蓋の突起Pが長方形又は正方形の頂点に位置する場合も同様である。
【0041】
上記実施例は、全て側溝に凹穴、蓋に突起が形成される場合を例示したが、逆に、側溝に突起、蓋に凹穴が形成されていてもよい。その場合の凹穴及び突起の形状、大きさ及び位置関係は、上記実施例の場合と全く同じでよい。
【0042】
本発明における側溝は、実施例の可変勾配型、U字型に限らず、暗渠型など全てのタイプの側溝に適用できる。
また、蓋はコンクリート製に限らず、鋳鉄製や鋼鉄製のグレーチングにも適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 側溝
11 側壁
12 蓋受面
13 連結部
14 底板部
15 基本部
16 変形部
2 蓋
21 底面
22 手掛部
3 コマ
31 雄ねじ部
32 雌ねじ部
P,P1,P2,P3,P4 突起
Q,Q1,Q2,Q3,Q4 凹穴
S1 Q1,Q2の長手方向間隔
S2 Q3,Q4の長手方向間隔
W1 Q1,Q3の幅方向間隔
W2 Q2,Q4の幅方向間隔
s1 P1,P2の長手方向間隔
s2 P3,P4の長手方向間隔
w1 P1,P3の幅方向間隔
w2 P2,P4の幅方向間隔
Δ 突起と凹穴のずれ量
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に沿って、又は道路を横断して敷設される蓋付側溝であって、特に、蓋の上を人が歩いたときや自動車が通過したときに蓋鳴りが低減され又は防止される、いわゆる消音側溝に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる消音側溝は、種々のタイプのものが提案されているが、その一例として特許文献1に記載されているものがある。
これは、図21に示すように、側溝1の蓋受け部に凸の曲面部分が形成され、これに対応して蓋2の接面部が傾斜した平面となっており、側溝1の蓋受け部と蓋2の接面部がほぼ線状に接触する。
蓋2に自重、通行人、自動車などの下方向の力が作用すると、蓋2の接面部が側溝1の蓋受け部の間に食い込むような、いわゆるクサビ効果が生じ、蓋2の接面部と側溝1の蓋受け部が馴染んでガタツキが防止され、消音効果を生じる。
他のタイプの多くの消音側溝も、このようなクサビ効果を利用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−87435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の消音側溝は、側溝の蓋受け部が曲面を有する特殊な形状となるので、型枠コストが高くなるという問題がある。
また、蓋の接面部と側溝の蓋受け部がほぼ線状の接触となり、接触面積が少ないので蓋ずれに対する摩擦抵抗が小さくなり、蓋の上を自動車が通過したときに側溝長手方向の蓋ずれが生じやすく、蓋と蓋の間に大きな隙間ができてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、側溝及び蓋の型枠を容易且つ安価に製造でき、蓋ずれの生じない消音側溝を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔請求項1〕
本発明は、側壁上部の蓋受面に凹穴又は突起を設けた側溝と、該凹穴又は突起に対応して底面四隅部に突起又は凹穴を設けた蓋からなる蓋付側溝であって、
前記凹穴が底細りテーパ状、前記突起が先細りテーパ状をなし、
前記凹穴の水平面に対するテーパ角度αが前記突起の水平面に対するテーパ角度βよりも大きく形成され、
蓋を側溝に装着したときに、前記突起の外周面と前記凹穴の上端部が接触して前記突起と前記凹穴が係合し、蓋の底面が側溝の蓋受面に接触することなく、蓋が側溝に支持されることを特徴とする蓋付側溝である。
【0007】
本発明において、凹穴及び突起の平面形状は、円形、四辺形、多角形など任意であるが、円形が最も好ましい。
凹穴の底細りテーパ状とは、底に近づくにしたがって径が小さくなるように内周面が傾斜している形状である。突起の先細りテーパ状とは、先端に近づくにしたがって径が小さくなるように外周面が傾斜している形状である。
図8に示すように、蓋2を側溝に装着したときに、突起Pの外周面と凹穴Qの上端部が接触して突起Pと凹穴Qが係合し、蓋の底面21が側溝の蓋受面12に接触することなく、蓋2が側溝1に支持される。
【0008】
図8の突起Pと凹穴Qの係合により、蓋2に自重、通行人、自動車などの下方向の力が作用すると、蓋2の突起Pが側溝1の凹穴Qの中に食い込むような、いわゆるクサビ効果が生じ、突起Pの外周面と凹穴Qの上端部が馴染んでガタツキが防止され、消音効果を生じる。
また、突起Pと凹穴Qの係合により、蓋が水平方向にずれるのが防止される。蓋ずれは、自動車が蓋の上を通過しながらブレーキをかけたり急加速したとき蓋に水平方向の力が作用することで起きやすいが、本発明の場合、蓋の上を自動車が通過すると自動車の重量で突起と凹穴が強く係合し、クサビ効果が高まって水平方向の力に抵抗するので、蓋ずれが生じることがない。
【0009】
図8は、側溝の蓋受面に凹穴が形成され、蓋底面に突起が形成されている場合を示しているが、逆に側溝の蓋受面に突起が形成され、蓋底面に凹穴が形成されていてもよい。
【0010】
本発明において、蓋の底面の四隅部に突起又は凹穴が形成されるが、この場合の四隅部は厳密な意味の「隅部」ではなく、蓋を4点で支持できる位置であればよい。また、突起又は凹穴は四隅部の他に、その中間部にあってもよい。
【0011】
側溝や蓋に凹穴及び突起を設ける型枠の構造はきわめて単純で、容易に製造することができる。また、従来使用していた現存の型枠に簡単な加工を加えて作ることもできるので、型枠を安価に得ることができる。
【0012】
〔請求項2〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の少なくとも一つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向及び/又は幅方向にずれて形成されている請求項1の蓋付側溝である。
【0013】
本発明において、長手方向とは側溝の長手方向を意味し、幅方向とは側溝の幅方向を意味する。
凹穴の位置とは、凹穴の入口面における中心位置、突起の位置とは突起の先端面における中心位置である。凹穴の入口面における中心と底面における中心、及び突起の先端面における中心と基端面における中心は一致していることが望ましいが、多少ずれていてもかまわない。
【0014】
例えば、蓋の四隅部の突起又は凹穴のうちの一つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して相対的にずれていて、他の三つが一致していると、突起Pと凹穴Qの係合は、位置が一致している三つは、図8のように、突起Pの外周面の全周と凹穴Qの上端部の全周が接触し、位置がずれている一つは、図9のように、突起Pの外周面の一部と凹穴Qの上端部の一部が接触する。
図9は、図8の場合に比べて突起Pと凹穴Qの接触面積が少なく、したがってクサビ効果がきわめて大きいので、消音効果が非常に大きくなる。
蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれは、一ヶ所であっても消音効果の大きな増加が認められるが、二ヶ所又は三ヶ所とすることがさらに望ましい。
なお、図8,9において、符号Cは凹穴Qの位置(中心)、符号cは突起Pの位置(中心)である。図9の符号Δは、突起Pと凹穴Qの(Cとcの)ずれ量である。
ずれ量Δは、凹穴Qの入口径D1(直径)と突起Pの先端径d2(直径)の差の10〜30%程度が適当である。
【0015】
〔請求項3〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の長手方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の長手方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0016】
これは、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれを二ヶ所にする具体例である。
このときの側溝と蓋における凹穴Qと突起Pの相対的な位置関係を図17に示す。同図において、
S1+Δ=S2+Δ=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置が長手方向にΔだけずれている。
【0017】
〔請求項4〕
また本発明は、蓋の前記突起又は凹穴の幅方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の幅方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0018】
これも、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれを二ヶ所にする具体例である。
このときの側溝と蓋における凹穴Qと突起Pの相対的な位置関係を図18に示す。同図において、
S1=S2=s1=s2
W1+Δ=W2+Δ=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
【0019】
〔請求項5〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が平行四辺形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0020】
これも、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置のずれを二ヶ所にする具体例である。
このときの側溝と蓋における凹穴Qと突起Pの相対的な位置関係を図19,20に示す。
図19において、
S1=S2=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は長手方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ長手方向にずれている。
【0021】
図20において、
S1=S2=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は幅方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
【0022】
〔請求項6〕
また本発明は、蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が平行四辺形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝である。
【0023】
これは、請求項5における側溝の凹穴又は突起の位置と、蓋における突起又は凹穴の位置を逆にしたものであり、実質的な位置関係は請求項5と同様である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の蓋付側溝は、側溝及び蓋の型枠を容易に且つ安価に製造でき、蓋ずれが生じることもなく、消音効果にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例における側溝(可変勾配型)の平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】実施例における蓋の底面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】実施例における蓋を装着した側溝の要部断面図である。
【図6】突起Pの断面説明図である。
【図7】凹穴Qの断面説明図である。
【図8】相対位置が一致している場合の突起Pと凹穴Qの係合状態の断面説明図である。
【図9】相対位置がΔずれている場合の突起Pと凹穴Qの係合状態の断面説明図である。
【図10】凹穴形状が変形している場合の側溝の略平面図である。
【図11】変形した凹穴の説明図である。
【図12】実施例における側溝(U字型)の平面図である。
【図13】図12のF−F線断面図である。
【図14】図12の側溝に蓋を装着した状態の平面図である。
【図15】凹穴を形成するコマの説明図である。
【図16】凹穴を形成するコマの断面図である。
【図17】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図18】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図19】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図20】側溝の凹穴Qと蓋の突起Pの位置関係の例を示す説明図である。
【図21】従来の消音側溝の例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1,2は、実施例の蓋付側溝における側溝に関する。
このコンクリート製の側溝1は、いわゆる可変勾配型で、対向する2枚の側壁11,11の上部を連結部13,13で連結一体化したもので、長手方向両端が凸と凹の円弧状に形成されて、自由な角度で連結できるものである。中央部に蓋を装着する開口が形成され、その開口に側壁11,11の上部にあって上向きの蓋受面12,12が露出している。
一方の蓋受面12には凹穴Q1,Q2が形成され、他方の蓋受面12には凹穴Q3,Q4が形成されている。
S1は、Q1,Q2の長手方向間隔、S2は、Q3,Q4の長手方向間隔、W1はQ1,Q3の幅方向間隔、W2はQ2,Q4の幅方向間隔で、通常はS1=S2、W1=W2で、Q1〜Q4は長方形又は正方形の頂点に位置するようになっているが、必ずしもこのようにする必要はない。
【0027】
図2,3は、図1,2の側溝1に装着する蓋2に関する。
蓋2はコンクリート製で平板状をなし、長手方向の一端に手掛部22が形成され、底面21の四隅部に突起P1,P2,P3,P4が形成されている。突起P1は凹穴Q1に、突起P2は凹穴Q2に、突起P3は凹穴Q3に、突起P4は凹穴Q4に対応しており、図5のように蓋2を側溝1に装着すると、それぞれの突起は対応する凹穴に係合する。
s1は、P1,P2の長手方向間隔、s2は、P3,P4の長手方向間隔、w1は、P1,P3の幅方向間隔、w2は、P2,P4の幅方向間隔である。側溝の凹穴と蓋の突起の位置関係において、S1=s1、S2=s2、W1=w1、W2=w2の関係が全て成り立ち、凹穴と突起が長方形又は正方形の頂点に位置するときは、全ての凹穴と突起の位置が一致し、図8に示すように凹穴と突起が係合する。これらの関係が一つでもくずれると、蓋の四隅部の突起の少なくとも一つが、側溝の対応する凹穴の位置に対して、長手方向及び/又は幅方向にずれることになる。凹穴と突起の位置がずれると、その係合は図9に示すようになる。
【0028】
図6は、図3,4の蓋2の突起P(P1〜P4)の断面図である。突起Pは截頭円錐形のテーパ状をなし、先端面の径d2=12mm、基端面の径d1=24mm、突起の高さh=6mmで、水平面に対するテーパ角度β=45°である。
突起Pの位置cは、その先端面の中心位置であり、この場合先端面と基端面の中心位置は一致している。
【0029】
図7は、図1,2の側溝の凹穴Q(Q1〜Q4)の断面図である。凹穴Qは截頭円錐形のテーパ状をなし、入口面の径D1=20mm、底面の径D2=6.1mm、深さH=12mmで、水平面に対するテーパ角度α≒60°である。
凹穴Qの位置Cは、その入口面の中心位置であり、この場合入口面と底面の中心位置は一致している。
【0030】
突起Pと凹穴Qの位置(C,c)が一致している場合、突起Pと凹穴Qは図8に示すように係合する。
α>βであるので、突起Pの外周面が凹穴Qの上端部に接触し、蓋2の底面21が側溝1の蓋受面12に接触することなく、蓋2が側溝1に支持される。
D1,D2,H,d1,d2,hの寸法は、α>βとなり、図8に示すように、蓋2の底面21が側溝1の蓋受面12に接触しないように適宜定めればよい。なお、突起Pと凹穴Qが図8のように係合するためには、当然にD1>d2であり、d1>D1である。また、α−βは10°〜20°程度が適当である。
【0031】
突起Pと凹穴Qの位置(C,c)がずれている場合、突起Pと凹穴Qは図9に示すように係合する。
ずれ量Δは、凹穴Qの入口径D1と突起Pの先端径d2の差の10〜30%程度が適当である。本実施例の場合、例えば、ずれ量Δ=1mmとすると、D1=20mm、d2=12mmであるので、D1とd2の差の12.5%になる。
この場合、突起Pの外周面の一部と凹穴Qの上端部の一部が接触し、図8の場合に比べて突起Pと凹穴Qの接触面積が少なく、したがってクサビ効果がきわめて大きいので、消音効果が非常に大きくなる。
【0032】
図1,2に示す側溝1は、1個の開口に1個の蓋を装着するものであるので、側溝から蓋を取り外す場合、手掛部22に手を掛けて蓋を斜めに引き上げると、蓋を取り外しやすい。そこで、本発明において、蓋が斜めになりやすいように、凹穴の一部を変形することができる。
図10,11は、凹穴Qの一部(破線部)を長穴状の変形部16に変形した例である。基本部15及び破線部は、前記図7の凹穴Qと全く同じ形状である。このような場合、凹穴の位置は、あくまでも基本部15の入口面の中心Cである。
図1の凹穴Q1〜Q4を、この変形した凹穴とすることで、蓋の取り外しが容易になる。
【0033】
図12,13は、他の実施例の蓋付側溝の側溝1に関し、図14は側溝1に蓋2を装着した状態である。
図12,13の側溝1は、断面がU字状のいわゆるU字溝で、図14に示されるように、1個の側溝ブロックに3個の蓋が装着されるものである。側溝1は対向する側壁11,11の底部を底板部14で連結一体化した形状を有し、両側壁11,11の上部内側に上向きの蓋受面12が形成されている。一方の蓋受面12に凹穴Q1,Q2の対が3組、他方の蓋受面12に凹穴Q3,Q4の対が3組形成されている。すなわち、4個の凹穴Q1〜Q4の組が3組あり、それぞれの組が1個の蓋に対応している。それぞれの組において凹穴の位置関係は図1のQ1〜Q4の位置関係と同じであり、蓋の突起の位置関係も図3の蓋と同様である。
このように、本発明は、1個の側溝ブロックに対して複数の蓋を装着する場合にも適用できる。
【0034】
本発明は、側溝の蓋受面や蓋の底面に凹穴又は突起を形成するだけなので、型枠を容易に製造できる。
図15,16は、凹穴Qを形成するためのコマ3の例である。
図15のコマ3は、凹穴Qと同じ截頭円錐形の鉄塊で、雄ねじ部31を有し、型枠の鉄板のタップ孔に雄ねじ部31を螺着し、又は鉄板裏側からナットで固定して取り付けることで、当該部分のコンクリートに凹穴Qを容易に形成できる。
図16のコマ3は、凹穴Qと同じ截頭円錐形の鉄塊で、雌ねじ部32を有し、型枠の鉄板から突出させたボルトに雌ねじ部32を螺着することで型枠面に固定し、当該部分のコンクリートに凹穴を容易に形成できる。
突起Pを形成する場合は、当該部分の型枠鉄板に突起Pと同じ形状の穴加工を行えばよい。
したがって、現在使用中の通常の側溝や蓋の型枠に、上記の簡単な加工を行うことで、本発明の側溝及び蓋の型枠を容易に得ることもできる。
【0035】
図17〜20は、蓋の突起Pと側溝の凹穴Qの位置をずらす具体例を模式的に示している。これらの図においては、ずれ量Δを誇張して表している。
図17において、
S1+Δ=S2+Δ=s1=s2
W1=W2=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置が長手方向にΔだけずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ3とP3の中心位置が一致し、Q2とP2、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0036】
図18において、
S1=S2=s1=s2
W1+Δ=W2+Δ=w1=w2
であるので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ2とP2の中心位置が一致し、Q3とP3、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0037】
なお、図示はしないが、図17と図18を組み合わせて、
S1+Δ=S2+Δ=s1=s2
W1+Δ=W2+Δ=w1=w2
とすると、Q1とP1だけ中心位置が一致し、Q2とP2、Q3とP3、及びQ4とP4の中心位置がずれる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、一ヶ所において一致し、三ヶ所においてずれることになる。
【0038】
図19において、
S1=S2=s1=s1
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は長手方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q2とP2の相対位置が同じで、Q3とP3、Q4とP4の相対位置がΔだけ長手方向にずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ2とP2の中心位置が一致し、Q3とP3、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0039】
図20において、
S1=S2=s1=s1
W1=W2=w1=w2
であるが、側溝の凹穴Q1〜Q4は長方形の頂点に位置し、蓋の突起P1〜P4は幅方向にゆがんだ平行四辺形の頂点に位置するので、Q1とP1、Q3とP3の相対位置が同じで、Q2とP2、Q4とP4の相対位置がΔだけ幅方向にずれている。
したがって、Q1とP1、及びQ3とP3の中心位置が一致し、Q2とP2、及びQ4とP4の中心位置がずれるか、又はその反対となる。これにより、蓋四隅の突起Pと凹穴Qの相対位置は、二ヶ所において一致し、二ヶ所においてずれることになる。
【0040】
図19,20は、側溝の凹穴Qが長方形又は正方形の頂点に位置し、蓋の突起Pが平行四辺形の頂点に位置する場合について説明したが、逆に、側溝の凹穴Qが平行四辺形の頂点に位置し、蓋の突起Pが長方形又は正方形の頂点に位置する場合も同様である。
【0041】
上記実施例は、全て側溝に凹穴、蓋に突起が形成される場合を例示したが、逆に、側溝に突起、蓋に凹穴が形成されていてもよい。その場合の凹穴及び突起の形状、大きさ及び位置関係は、上記実施例の場合と全く同じでよい。
【0042】
本発明における側溝は、実施例の可変勾配型、U字型に限らず、暗渠型など全てのタイプの側溝に適用できる。
また、蓋はコンクリート製に限らず、鋳鉄製や鋼鉄製のグレーチングにも適用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 側溝
11 側壁
12 蓋受面
13 連結部
14 底板部
15 基本部
16 変形部
2 蓋
21 底面
22 手掛部
3 コマ
31 雄ねじ部
32 雌ねじ部
P,P1,P2,P3,P4 突起
Q,Q1,Q2,Q3,Q4 凹穴
S1 Q1,Q2の長手方向間隔
S2 Q3,Q4の長手方向間隔
W1 Q1,Q3の幅方向間隔
W2 Q2,Q4の幅方向間隔
s1 P1,P2の長手方向間隔
s2 P3,P4の長手方向間隔
w1 P1,P3の幅方向間隔
w2 P2,P4の幅方向間隔
Δ 突起と凹穴のずれ量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁上部の蓋受面に凹穴又は突起を設けた側溝と、該凹穴又は突起に対応して底面四隅部に突起又は凹穴を設けた蓋からなる蓋付側溝であって、
前記凹穴が底細りテーパ状、前記突起が先細りテーパ状をなし、
前記凹穴の水平面に対するテーパ角度αが前記突起の水平面に対するテーパ角度βよりも大きく形成され、
蓋を側溝に装着したときに、前記突起の外周面と前記凹穴の上端部が接触して前記突起と前記凹穴が係合し、蓋の底面が側溝の蓋受面に接触することなく、蓋が側溝に支持されることを特徴とする蓋付側溝。
【請求項2】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の少なくとも一つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向及び/又は幅方向にずれて形成されている請求項1の蓋付側溝。
【請求項3】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の長手方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の長手方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項4】
蓋の前記突起又は凹穴の幅方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の幅方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項5】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が平行四辺形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項6】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が平行四辺形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項1】
側壁上部の蓋受面に凹穴又は突起を設けた側溝と、該凹穴又は突起に対応して底面四隅部に突起又は凹穴を設けた蓋からなる蓋付側溝であって、
前記凹穴が底細りテーパ状、前記突起が先細りテーパ状をなし、
前記凹穴の水平面に対するテーパ角度αが前記突起の水平面に対するテーパ角度βよりも大きく形成され、
蓋を側溝に装着したときに、前記突起の外周面と前記凹穴の上端部が接触して前記突起と前記凹穴が係合し、蓋の底面が側溝の蓋受面に接触することなく、蓋が側溝に支持されることを特徴とする蓋付側溝。
【請求項2】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の少なくとも一つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向及び/又は幅方向にずれて形成されている請求項1の蓋付側溝。
【請求項3】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴の長手方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の長手方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項4】
蓋の前記突起又は凹穴の幅方向の間隔が、側溝の対応する前記凹穴又は突起の幅方向の間隔と異なることにより、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項5】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が平行四辺形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【請求項6】
蓋の四隅部の前記突起又は凹穴が長方形又は正方形の頂点となる位置に形成され、側溝の対応する凹穴又は突起が平行四辺形の頂点となる位置に形成されていることで、蓋の突起又は凹穴のうちの二つが、側溝の対応する凹穴又は突起の位置に対して、長手方向又は幅方向にずれて形成されている請求項2の蓋付側溝。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−117132(P2011−117132A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273154(P2009−273154)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(398059563)株式会社トウブ (12)
【出願人】(508230536)小山工業株式会社 (3)
【出願人】(508173842)株式会社DI製作所 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(398059563)株式会社トウブ (12)
【出願人】(508230536)小山工業株式会社 (3)
【出願人】(508173842)株式会社DI製作所 (7)
【Fターム(参考)】
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