説明

蓋体と容器本体とからなる密閉容器

【課題】簡単な構造によって、どのような場合であっても、側面部自体、あるいはこれらと天板面若しくは底壁面との境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しない密閉容器を提供すること。
【解決手段】蓋体10または容器本体20とのいずれか少なくとも一方の側面部12または22に、各嵌合条部11または21と交差する方向の縦リブ14または24を複数形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体と容器本体とからなる密閉容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
密閉容器は、蓋体と容器本体とをその各嵌合条部にて互いに嵌合させて、収納物を密閉状態に保持する容器であり、中の液汁が零れ出ないようにすることができたり、収納物の乾燥を防いだりできて、近年では、種々な惣菜やお菓子を収納して販売する際に重宝されているものである。しかも、このような密閉容器を構成している蓋体も容器本体も、合成樹脂シートを材料として所謂「シート成形」されており、非常に安価に提供されているものでもある。
【0003】
勿論、このような密閉容器内へは、例えばスーパーやコンビニエンスストア等の店舗のバックヤードで、惣菜などの収納物が収納されるのであり、その各嵌合条部による密閉嵌合も収納後に行われるものである。また、密閉された収納物を暖めたい場合には、この密閉嵌合状態を維持したまま、密閉容器を電子レンジに掛けることが行われる。
【0004】
このような密閉容器においては、以上の密閉嵌合の際や、電子レンジに掛けた際、密閉容器であるが故に大きく膨らんで、蓋体あるいは容器本体において変形が戻らず、場合によっては、部分的な「白化現象」が発生することがある。このような変形や白化現象は、上記店舗にあっては収納物の商品価値を低下させることにも繋がるため、できるだけ避けなければならない。
【0005】
このような密閉容器の変形や白化現象を防止するために、例えば特許文献1の「食品包装用容器」や特許文献2の「包装容器材」等において種々な努力が払われている。
【0006】
特許文献1の「食品包装用容器」は、「食品密封容器を外部から加温し、開口部5の密封材6を損傷又は破裂するおそれのない包装用容器を得ること」を目的としてなされたもので、図10に示すように、「弾性底板1の中央部分2に比較的曲率の大きい下向凹球面部分2’を形成し、該部分2’が加圧により下向凸球面2”に弾性変形し、該変形状態を自己保持するものである」といった構成を有するものである。
【0007】
この特許文献1の「食品包装用容器」によれば、「開口部5の密封材6を損傷又は破裂するおそれがない」ものとすることができると考えられるが、変形や白化現象発生の防止はできないのではないかと考えられる。何故なら、この特許文献1の「食品包装用容器」では、「部分2’が加圧により下向凸球面2”に弾性変形」するから、蓋体の側面部に応力が加わった場合の変形あるいは白化現象を防止することができないと考えられる。何故なら、側面部の面積が他の部分より相当小さいからである。
【0008】
一方、特許文献2の「包装容器材」は、収容部の内圧が上昇すると蓋体の一部が変形することにより、内圧を低下させる構造を有する包装容器材を提供する」ことを目的としてなされたもので、図11にも示すように、「器体および蓋体からなり、該器体または蓋体の、一方の周辺部に凸部を、もう一方の周辺部に該凸部と嵌合する凹部を形成して、前記凸部と前記凹部を嵌合させて嵌合部とすることにより閉蓋容器が形成される包装容器材であって、前記蓋体の上面部の一部または全面に、収容部内側に膨らんだ、断面が略円弧状の陥没形状部、あるいは収容部外側に膨らんだ、断面が略円弧状の隆起形状部を有する」という構成を有するものである。
【0009】
この特許文献2の技術では、「前記蓋体の上面部の一部または全面に、…断面が略円弧状の隆起形状部を有する」としているため、蓋体の側面部に応力が加わった場合の変形あるいは白化現象を防止することができないと考えられる。何故なら、側面部の面積が他の部分より相当小さいからである。
【特許文献1】実開平7−28877号公報、要約、代表図
【特許文献2】特開平11−349031号公報、要約、代表図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般に、流体の圧力は、全ての面に均等に、かつその加えられる面に垂直に掛かるものであるが、上記のような蓋体や容器本体では、その側面部と、天板面若しくは底壁面とが作る角度が直角に近いものとなっているから、側面部と、天板面若しくは底壁面とに加わる圧力の各合力は、直角に近いものとなる。そうなると、容器の側面部と、天板面若しくは底壁面との境界部分には、これを開こうとしたり逆に縮めようとしたりする応力が集中して加わることになる。
【0011】
以上の結果、容器の側面部と、天板面若しくは底壁面との境界部分には、言わば無理な応力が加わることになるから、この境界部分を中心に変形や白化現象が発生し易くなることになる。この現象は、この種の容器を電子レンジに掛けたときの内圧が高まったときだけでなく、蓋体を容器本体に嵌合する際の力によっても発生し得る。特に、店舗において惣菜やお菓子を詰めて販売するには、蓋体の容器本体に対する嵌合を、手作業で行う場合も機械的に行う場合も、早くかつ大量に行わなければならないから、上述した境界部分を中心に変形や白化現象が発生し易くなる。
【0012】
そこで、本発明者等は、この種の密閉容器について、その嵌合作業を手作業で早く行っても、あるいは無理な力が加わり易い機械的に行っても、さらには密閉後に電子レンジに掛けたとしても、上記境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しないようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0013】
すなわち、本発明の目的とするところは、簡単な構造によって、どのような場合であっても、側面部自体、あるいはこれらと天板面若しくは底壁面との境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しない密閉容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「蓋体10と容器本体20とを、開口部にて延在する各嵌合条部11または21にて互いに嵌合する密閉容器において、
蓋体10または容器本体20とのいずれか少なくとも一方の側面部12または22に、各嵌合条部11または21と交差する方向の縦リブ14または24を複数形成したことを特徴とする密閉容器」
である。
【0015】
すなわち、本発明に係る密閉容器は、図1、図2、図6及び図7に示すように、蓋体10の側面部12に、各嵌合条部11と交差する方向の縦リブ14を複数形成するか、図3の(b)に示した周段部25の形成位置にこの周段部25に代えた縦リブ24を、嵌合条部21と交差する方向に複数形成するか、これら縦リブ24及び24の両方を側面部12及び22に形成したものである。
【0016】
これらの縦リブ14または24は、側面部12または22に形成する必要があるが、その理由は、もし、嵌合条部11または21に形成したとすると、密閉容器の密閉性が損なわれるからであり、また蓋体10の天板13に形成した場合には、当該蓋体10を通した収納物の天板13からの視認が困難になるからである。さらに、容器本体20の底壁23にこの縦リブ24を形成したのでは、一般的に剛性が高くされる底壁23についてこれを形成しても余り意味がないからである。
【0017】
また、これらの縦リブ14または24は、その長さ方向が各嵌合条部11または21と交差する必要があるが、その理由は、これらの縦リブ14または24が応力を分散する方向が、他の部分に比較して剛性が高い各嵌合条部11または21と交差する方向に集中できると、これらの嵌合条部11または21以外の部分の変形が少なくて済むからである。
【0018】
これらの縦リブ14または24は、合成樹脂シートからなるこの種の成形品における断面半円弧状のものであってもよいが、図1の(a)に示すように、複数の面からなるものとするのが好ましい。複数の面からなるということは、その境に線状の谷または山が形成されることになり、これらの山あるいは谷に沿って、応力が分散するからである。
【0019】
換言すれば、これらの縦リブ14または24が存在すると、蓋体10を容器本体20に押し付けて、両嵌合条部11及び21にて密閉嵌合しようとしたときの力が、これらの縦リブ14または24に沿って分散されてしまって、側面部12または22を変形させる応力とはならず、従って側面部12または22を「白化」させることもないのである。このことは、当該密閉容器を電子レンジに掛けて、中の圧力が高くなった場合も同様に言えることである。なお、縦リブ14または24が断面半円弧状のものに形成された場合には、その長さ方向に応力が集中し、この応力は縦リブ14または24が消失していく部分で分散されることになる。
【0020】
特に、例えば図1の(a)にて示すように、縦リブ14が多数の小さな面によって形成されていれば、これらの面が形成する多数の線があらゆる方向に向かうから、この蓋体10の側面部12や天板13を通して加えられた応力は、あらゆる方向の分力となって分散され、側面部12自体は勿論、これと嵌合条部11や天板13との境界部分において、これらを変形させたり白化させたりする力にはなり得ないのである。
【0021】
従って、この請求項1に係る密閉容器は、押さえ付ける力が加わっても、内部の圧力が高まっても、側面部12あるいは22自体、あるいはこれらと天板面13若しくは底壁面23との境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しないものとなっているのである。
【0022】
次に、上記課題を解決するために、請求項4に係る発明の採った手段は、同様に、
「蓋体10と容器本体20とを、開口部にて延在する各嵌合条部11または21にて互いに嵌合する密閉容器において、
蓋体10または容器本体20とのいずれか少なくとも一方の側面部12または22に、各嵌合条部11または21と平行な周段部15または25を形成したことを特徴とする密閉容器」
である。
【0023】
すなわち、この請求項4の密閉容器では、蓋体10の側面部12に、上記請求項1で述べた縦リブ14に代えて、周段部15を嵌合条部11と平行に形成するか、容器本体20の側面部22に、上記請求項1または2で述べた縦リブ24に代えて、周段部25を嵌合条部21と平行に形成するか、あるいは周段部15及び25の両方を蓋体10及び容器本体20に形成したものである。
【0024】
これらの周段部15または25は、図3の(b)、図4、及び図8の(b)に示すように、まず、嵌合条部11または21と平行になる必要があるが、その理由は、これらの嵌合条部11または21は、天板13または底壁23とも平行になっているものであり、これらの嵌合条部11または21、あるいは天板13または底壁23を通して蓋体10または容器本体20に係る応力は、側面部12または22を介して各周段部15または25に平行に係ることになり、結果として、これらの周段部15または25が行う応力の分散を均等に行って、特に側面部12または22の変形あるいは白化を防止することになるからである。
【0025】
換言すれば、これらの周段部15または25は、蓋体10の嵌合条部11または天板13をとして加わる応力、あるいは容器本体20の嵌合条部21あるいは底壁23からの反力を、嵌合条部11または22と平行になっているが故に、均等に分散させるのである。
【0026】
従って、この請求項4に係る密閉容器も、押さえ付ける応力が加わっても、内部の圧力が高まっても、側面部12あるいは22自体、あるいはこれらと天板面13若しくは底壁面23との境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しないものとなっているのである。
【0027】
さて、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の密閉容器について、また、請求項5に係る発明の採った手段は、上記請求項4に記載の密閉容器について、
「側面部12または22を、蓋体10の天板13、または容器本体20の底壁23の位置より内方に陥没させたこと」
である。
【0028】
すなわち、これらの請求項2及び請求項5の密閉容器では、図1の(b)に示すように、蓋体10の側面部12または容器本体20の側面部22を、蓋体10の天板13、または容器本体20の底壁23の位置より内方に陥没させたものであり、これにより、側面部12または22の縦リブ14または24が形成されていない部分を大きくすることができ、かつ嵌合条部11または21から大きく引き離すことになる。
【0029】
これらの縦リブ14または24を形成した側面部12または22が大きくなり、かつ縦リブ14または24が嵌合条部11または21から離れれば、側面部12または22、天板13または底壁23、そして各嵌合条部11または21から加わる応力をこれらの縦リブ14または24に確実に到達させることができてその十分な吸収が行え、上記請求項1で述べた各縦リブ14または24における応力の分散、または上記請求項4で述べた各周段部15または25における応力の分散がより効率的になされるのである。
【0030】
ここで想定していることは、蓋体10を図1の(b)にて示した形状に形成すること(図9の(a)で例示した場合)は勿論、容器本体20自体を、図1の(b)にて示した形状に形成すること(図9の(b)で例示した場合)である。逆に言えば、容器本体20を図1の(b)にて示した蓋体10と同じ形状のものに形成するとともに、蓋体10を図3の(b)にて示した容器本体20と同じ形状のものに形成すること(図9の(b)で例示した場合)を想定しているのである。このように、蓋体10と容器本体20の形状を、図1及び図3に示したのとは逆の形状にすることによって、図9の(b)で例示したように、ケーキ等の壊れ易い商品の密閉容器とすることができる訳である。
【0031】
従って、これらの請求項2及び請求項5の密閉容器では、上記請求項1及び請求項4のそれと同様な機能を発揮する他、 側面部12または22の縦リブ14または24が形成されていない部分を大きくすることができて嵌合条部11または21から大きく引き離すことができ、各縦リブ14または24による応力の分散をより効率的に行えるものとなっているのである。
【0032】
また、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の密閉容器について、そして、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項4または請求項5に記載の密閉容器について、
「側面部12または22を内方側に凸となるように湾曲させたこと」
である。
【0033】
すなわち、これらの請求項3及び請求項6の密閉容器では、図1の(b)に示すように、蓋体10の側面部12または容器本体20の側面部22を内方側に凸となるように湾曲させたものであり、これにより、側面部12または22の断面長さを直線状態より大きくすることができ、かつ側面部12または22を嵌合条部11または21から大きく引き離すことになる。
【0034】
これらの側面部12または22が大きくなり、かつ嵌合条部11または21から離れれば、側面部12または22、天板13または底壁23、そして各嵌合条部11または21から加わる応力の分散がより効率的になされるのである。
【0035】
勿論、側面部12または22を内方側に凸となるように湾曲させたことによって、当該密閉容器を電子レンジに掛けたときの内圧増大に対して、十分耐えることができるものとすることができるのであり、これによって側面部12または22の白化や変形をより一層防止できるのである。
【0036】
従って、これらの請求項3及び請求項6の密閉容器では、上記請求項1〜2及び請求項4〜5のそれと同様な機能を発揮する他、応力の分散をより効率的に行えるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0037】
以上説明した通り、請求項1に係る発明においては、
「蓋体10と容器本体20とを、開口部にて延在する各嵌合条部11または21にて互いに嵌合する密閉容器において、
蓋体10または容器本体20とのいずれか少なくとも一方の側面部12または22に、各嵌合条部11または21と交差する方向の縦リブ14または24を複数形成したこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、どのような場合であっても、側面部自体、あるいはこれらと天板面若しくは底壁面との境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しない密閉容器を提供することができるのである。
【0038】
また、以上説明した通り、請求項4に係る発明においては、
「蓋体10と容器本体20とを、開口部にて延在する各嵌合条部11または21にて互いに嵌合する密閉容器において、
蓋体10または容器本体20とのいずれか少なくとも一方の側面部12または22に、各嵌合条部11または21と平行な周段部15または25を形成したこと」
にその構成上の特徴があり、これにより、
どのような場合であっても、側面部自体、あるいはこれらと天板面若しくは底壁面との境界部分を中心にした変形や白化現象が発生しない密閉容器を提供することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に、上記のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した最良の形態である密閉容器について説明すると、図1には、本発明に係る蓋体10の平面図が(a)に、またこの図1の(a)中の1−1線に沿って見た縦断面図が示してある。この蓋体10は、合成樹脂シートを材料としたシート成形によって形成したものであり、周縁部が嵌合条部11となっており、図1の(a)に示した中央の丸い部分が天板13となっているものである。そして、これらの嵌合条部11と天板13との間が側面部12となっているものである。
【0040】
また、この図1の(a)に示した蓋体10は、平面視形状が円形となっているものであるが、図6に示したように、平面視形状が概略四角形状のものとして実施してもよく、他の菱形形状や小判形状のものであってもよい。この蓋体10については、その嵌合条部11の外側の一部をつまみ部16とし、これに直近する側面部12に膨出部17を形成するように実施するとよい。このつまみ部16を使用すれば、膨出部17によって側面部12に変形を生じさせることなく、蓋体10の後述する容器本体20からの開放を行うことができるからである。
【0041】
そして、この図1に示した蓋体10には、その側面部12に、嵌合条部11と交差する方向の縦リブ14が複数形成してある。これらの縦リブ14は、特に図1の(a)に示したように、複数の面からなるものとして形成したもので、頂点が嵌合条部11に向かっている三角形の頂点から出ている線が「山」を構成し、他の線は「谷」を構成する状態で形成したものである。
【0042】
また、この縦リブ14は、嵌合条部11と天板13との間で陥没させた側面部12の言わば底部に形成してあり、これにより、これらの縦リブ14が嵌合条部11や天板13から大きく離れる状態にしてある。つまり、これらの縦リブ14は、側面部12の全面に形成したものではなく、底部となる部分及びこれに近い部分の全周に形成してある。このようにしたのは、天板13または嵌合条部11から加わる力を、これらの縦リブ14によって均等に分散させるためである。
【0043】
図2の(a)には、図1の(b)部の拡大図が示してあり、図2の(b)には、二つの蓋体10を積み重ねた状態が膨出部17を中心にして示してある。なお、図2の(a)に示した縦リブ14は、周段部15ともなり得ることを示している。つまり、この蓋体10においては、その側面部12に、嵌合条部11と平行な周段部15が形成されることもあるものである。
【0044】
図3には、図1に示した蓋体10が嵌合されるべき容器本体20の平面図が(a)に、またこの(a)中の3−3線に沿ってみた縦断面図が、図3の(b)に示してある。この容器本体20では、図3の(b)に示したように、側面部22の底壁23に近い部分に複数の周段部25が形成してあり、また、側面部22の上端には、図3の(a)に示したように、膨出部27が形成してあって、この膨出部27の直近に位置する嵌合条部21の外側につまみ部26が形成してある。
【0045】
なお、側面部22の上部にも、図3の(b)に示したように、周段部25が形成してあるが、この周段部25に代えて縦リブ24を形成して実施してもよいものである。周段部25を形成した状態は、図4の(a)にも拡大して示してあり、特に、底壁23に近い部分の側面部22に形成した周段部25については、図4の(b)にさらに拡大して示してある。
【0046】
図5には、図3に示した容器本体20を二枚積み重ねたときの部分縦断面図が示してあるが、図5の(a)は、つまみ部26と膨出部27とを中心にしてみた状態が、また、図5の(b)には膨出部27が形成されていない部分、つまり上側の周段部25を中心にしてみた状態が示してある。
【0047】
図6は、前述したように、平面視が四角形状の蓋体10を示すものであり、この四角形状の蓋体10が嵌合される容器本体20が図8に示してある。これらの図6〜図8に示した蓋体10及び容器本体20は、その構成部分が図1〜図5に示したものと同様であるので、共通する部分に共通する符号を付して、その詳細説明を省略することとする。
【0048】
以上説明した蓋体10及び容器本体20は、図9の(a)で示したような使い方の他に、両者を交換して、図9の(b)で示したようにして使用することもある。この図9の(b)で示したようにすることによって、ケーキ等の壊れ易い商品の密閉容器とすることができる訳である。
【0049】
そして、この密閉容器については、図1または図3に示したように、嵌合条部11または21の外側につまみ部16または26を一体化して、このつまみ部16または26の直近に位置する側面部12または22に膨出部17または27を形成してある。
【0050】
すなわち、この最良形態の密閉容器では、図1の(a)に示すように、蓋体10側の嵌合条部11の外側につまみ部16を一体化して、このつまみ部16の直近に位置する側面部11に膨出部17を形成するか、図示はしていないが、容器本体20側の嵌合条部21の外側につまみ部26を一体化して、このつまみ部26の直近に位置する側面部21に膨出部27を形成したものである。
【0051】
これらの膨出部17または27は、図2の(b)、図5の(a)及び(b)から理解できるように、蓋体10だけまたは容器本体20だけを多数積み重ねたときに、それぞれが嵌合し合うから、各蓋体10または容器本体20の回り止めが行える。例えば、多数の蓋体10を積み重ねて、上から順に一個宛機械的に取り出す場合に、下側の蓋体10が「回り止め」されるから、安定した取り出しが行えることになるのである。
【0052】
また、これらの膨出部17または27を、つまみ部16または26の直近に位置する側面部12または22に形成することは、つまみ部16または26を通して側面部12または22に加えられた力を、これらの膨出部17または27によって十分受け止めて分散させることを意味し、つまみ部16または26を使用したときの側面部12または22の変形あるいは白化を防止するのである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る平面視丸形の蓋体を示すもので、(a)はその平面図、(b)は(a)中の1−1線に沿ってみた縦断面図である。
【図2】同蓋体を示すもので、(a)は図1の(b)中に示した2−2線に沿ってみた部分拡大縦断面図、(b)は二枚の蓋体を積み重ねたときの部分縦断面図である。
【図3】図1に示した蓋体が嵌合される容器本体を示すもので、(a)はその平面図、(b)は(a)中の3−3線に沿ってみた縦断面図である。
【図4】同容器本体を示すもので、(a)は部分縦断面図、(b)は図3の(b)中に示した4−4線に沿ってみた部分拡大縦断面図である。
【図5】同容器本体を二枚積み重ねた状態を示すもので、(a)は膨出部を中心にしてみた部分縦断面図、(b)は周段部を中心にしてみた部分縦断面図である。
【図6】本発明に係る平面視四角形状の蓋体を示す平面図である。
【図7】同蓋体を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は(a)中の5−5線部の部分拡大図、(c)は二枚の蓋体を積み重ねたときの部分断面図である。
【図8】図6に示した蓋体が嵌合される容器本体を示すもので、(a)はその平面図、(b)はその縦断面図である。
【図9】本発明に係る密閉容器の使用方法を示すもので、(a)は蓋体と容器本体との通常使用状態を示す縦断面図、(b)は(a)に示した蓋体と容器本体とを逆にして使用する状態を示す縦断面図である。
【図10】従来の技術を示す縦断面図である。
【図11】従来の他の技術を(a)と(b)とに分けて示した縦断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 蓋体
11 嵌合条部
12 側面部
13 天板
14 縦リブ
15 周段部
16 つまみ部
17 膨出部
20 容器本体
21 嵌合条部
22 側面部
23 底壁
24 縦リブ
25 周段部
26 つまみ部
27 膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋体と容器本体とを、開口部にて延在する各嵌合条部にて互いに嵌合する密閉容器において、
前記蓋体または容器本体とのいずれか少なくとも一方の側面部に、前記各嵌合条部と交差する方向の縦リブを複数形成したことを特徴とする密閉容器。
【請求項2】
前記側面部を、前記蓋体の天板、または容器本体の底壁の位置より内方に陥没させたことを特徴とする請求項1に記載の密閉容器。
【請求項3】
前記側面部を内方側に凸となるように湾曲させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の密閉容器。
【請求項4】
蓋体と容器本体とを、開口部にて延在する各嵌合条部にて互いに嵌合する密閉容器において、
前記蓋体または容器本体とのいずれか少なくとも一方の側面部に、前記各嵌合条部と平行な周段部を形成したことを特徴とする密閉容器。
【請求項5】
前記側面部を、前記蓋体の天板、または容器本体の底壁の位置より内方に陥没させたことを特徴とする請求項4に記載の密閉容器。
【請求項6】
前記側面部を内方側に凸となるように湾曲させたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の密閉容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−143608(P2009−143608A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323084(P2007−323084)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(396000422)リスパック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】