説明

蓋受け用のパッキン

【課題】 蓋類の開閉性及び蓋類と蓋受け間の隙間の閉塞性に優れた蓋受け用のパッキンを提供する。
【解決手段】
蓋受け5とこれに嵌合する蓋7との間に介装するパッキン1であって、縦片部2に横片部3を連設した断面略L形とし、縦片部2の蓋受け5に接する外側面2b及び/又は蓋7に接する内側面2cに凹部4を上下に所定幅を有して長さ方向に連続又は断続的に設け、縦片部2が蓋受け5の段部6の立上り面6aと蓋7の外壁面7a間に、横片部3が上記段部6の略水平面6bと蓋7の端部下面7b間に挟圧されるようにする。又、縦片部2の内側面2cを上下方向に屈曲して凸状屈曲面又は湾曲面としたり、縦片部2の厚みをその下方で分厚く及び/又は横片部3の厚みをその先端側で分厚くしたり、縦片部2の上端部2a及び/又は横片部3の先端部3aに丸みを付す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は蓋受け用のパッキンに関し、更に詳しくはマンホール、汚水マス、各種弁室、栓室等の地表埋設用枠体或いはU形等溝類の上部開口部の蓋受けとこれに嵌合する蓋類との間に介装される蓋受け用のパッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の蓋受けとこれに嵌合する蓋類との間に介装されるパッキンは、例えば断面円形となされて蓋の外周壁面、若しくは地表埋設用枠体の上部開口部の蓋受けの蓋受用段部内周面に装着されたり、断面略L形の屈曲状となされて蓋受けの蓋受用段部内周面に装着され、該パッキンが蓋の閉塞時に蓋の外周壁面や周縁部下面と蓋受け段部との間で圧縮変形されることにより、蓋と蓋受け間に生じる隙間を閉塞して蓋のがたつきをなくしたり、上記隙間からの雨水等の流入やごみ、土砂等の侵入防止、或いは地表埋設用枠体内から外部への悪臭の発散防止等を図るようになされたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来のパッキンは、断面円形の場合には、蓋の開閉時にパッキンが蓋受け段部との接触摩擦でずれ動いたり、或いは蓋の開閉性を考慮するとパッキンの変形度合(パッキンが蓋と蓋受け段部により挟圧されて夫々に接する度合)を余り大きくできず、又、変形度合を大きく設定すると、蓋受けへの蓋の嵌合が行い難い(パッキンを押し潰す)うえに、蓋を固定閉塞する作用が劣る問題点があった。
又、断面略L形の屈曲状の場合には、上記蓋の開閉時の蓋受け段部との接触摩擦による移動を防止できるものの、パッキンの略全体が単に蓋と蓋受け段部に接するようになされてそのまま挟圧されることから、上記と同様に蓋の開閉、嵌合性や蓋と蓋受けの熱変形(特に、膨張)性の面からパッキンの弾性変形が不十分となる問題点があり、又、蓋の閉塞時に蓋の端縁下部がパッキンの角張った上端部に引っ掛かって蓋の嵌合作業がしにくいという問題点もあった。
即ち、上記何れの場合においても蓋上やその近辺の車両や人の通行等に起因する振動や衝撃等によって蓋が動いたり、蓋や蓋受けに熱変形など何らかの力が加わって隙間におけるパッキンの配置状態が不十分となりやすく、パッキンの効果が必ずしも十分発揮できていない問題点があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、蓋類の開閉性及び蓋類と蓋受け間の隙間の閉塞性に優れた蓋受け用のパッキンを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の蓋受け用のパッキンは、蓋受け5とこれに嵌合する蓋7との間に介装されるパッキン1であって、縦片部2に横片部3が連設された断面略L形となされ、縦片部2の蓋受け5に接する外側面2b及び/又は蓋7に接する内側面2cに凹部4が上下に所定幅を有して長さ方向に連続又は断続的に設けられ、縦片部2が蓋受け5の段部6の立上り面6aと蓋7の外壁面7a間に、横片部3が上記段部6の略水平面6bと蓋7の端部下面7b間に挟圧されるようになされたものである。
【0005】
又、本発明の蓋受け用のパッキンは、上記パッキンにおいて、縦片部2の内側面2cが上下方向に屈曲されて凸状屈曲面又は湾曲面をなす構成を採用することができる。
【0006】
又、本発明の蓋受け用のパッキンは、上記各パッキンにおいて、縦片部2の厚みがその下方で分厚く及び/又は横片部3の厚みがその先端側で分厚くなされた構成を採用することができる。
【0007】
又、本発明の蓋受け用のパッキンは、上記各パッキンにおいて、縦片部2の上端部2a及び/又は横片部3の先端部3aに丸みが付された構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の蓋受け用のパッキンは、縦片部の蓋受けに接する外側面に凹部が上下に所定幅を有して長さ方向に連続又は断続的に設けられているので、蓋受けに装着した際に上記凹部によって蓋受け(段部の立上り面)とパッキン(縦片部)間に所定の空隙が形成され、蓋の閉塞、嵌合時に縦片部が蓋受けの段部立上り面と蓋の外壁面間に挟圧されると、パッキン(縦片部)が上記空隙を圧縮してその外側面が段部立上り面に圧接されて十分弾性変形するとともに、横片部が蓋受けの段部略水平面と蓋の端部下面間に挟圧されることと相俟って、蓋と蓋受けの段部間の隙間を確実に閉塞できる。
又、縦片部の蓋に接する内側面に上記と同様に凹部が設けられていると、該凹部によって蓋の閉塞、嵌合時に蓋の外壁面とパッキン(縦片部)間に形成される所定の空隙が上記挟圧とともに圧縮されてその内側面が蓋の外壁面に圧接され、又、縦片部の内外両側面に上記凹部が設けられていると、蓋の閉塞、嵌合時に上記両作用が絡み合ってパッキン(縦片部)の内外両側面が蓋と蓋受けに圧接され、夫々十分弾性変形するとともに、上記と同様に横片部が蓋受けの段部略水平面と蓋の端部下面間に挟圧されることと相俟って、蓋と蓋受けの段部間の隙間を確実に閉塞できる。
従って、従来の如く蓋上やその近辺の車両や人の通行等に起因する振動や衝撃等でパッキンによる隙間の閉塞状態が不十分となるようなことがなく、パッキンの効果が有効に発揮できる。
更に、上記縦片部の凹部によって形成された空隙が蓋の閉塞、嵌合とともに圧縮されることから、蓋の開放時に上記空隙を広げる如くパッキンが速やかに弾性変形して開放作業に支障を来すようなことがなく、又、蓋や蓋受けが熱変形、特に膨張しても、上記凹部による空隙がパッキン自体の変形の逃げ場となり、その体積変化を吸収して蓋の蓋受け(パッキン)への食い込みを防止して好適な嵌合状態を保つ。
【0009】
又、本発明の蓋受け用のパッキンは、縦片部の内側面が上下方向に屈曲されて凸状屈曲面又は湾曲面をなすことから、蓋の閉塞、嵌合時に、縦片部の内側面全体が直ちに蓋の外壁面に圧接されず、蓋の外壁面と縦片部の内側面との間に空隙が形成されつつ上記挟圧とともに空隙が圧縮されてパッキンが十分弾性変形し、上記蓋と蓋受けの段部間での隙間の閉塞性を向上させることができる。
【0010】
又、本発明の蓋受け用のパッキンは、縦片部の厚みがその下方で分厚くなされていると、蓋の閉塞、嵌合が進むに従って漸次分厚くなる縦片部が適宜に反発弾性を発揮して圧縮変形し、上記隙間の閉塞がより確実に行なえ、又、横片部の厚みがその先端側で分厚くなされていると、蓋の閉塞、嵌合時に横片部が蓋受けの段部略水平面と蓋の端部下面間で圧縮変形して分厚い先端部が上記略水平面と下面との隙間から内腔側に膨出して隙間を確実に密閉し、例えば汚水マス等の内腔から外部への悪臭の発散防止等に優れた効果を発揮し、又、縦片部及び横片部ともその厚みが上記の如くなされていると、上記両作用により上記隙間を確実に閉塞できる。
【0011】
又、本発明の蓋受け用のパッキンは、縦片部の上端部に丸みが付されていると、蓋の閉塞時、即ち蓋の蓋受けへの嵌合時に蓋の端縁下部がパッキン(縦片部)の上端部に引っ掛からず、上記丸みに沿って蓋を速やかに嵌合できるとともに、蓋と蓋受け間で隙間を閉塞してその上面からの雨水の流入、ごみや土砂等の侵入防止が確実に図れ、又、横片部の先端部に丸みが付されていると、蓋の閉塞、嵌合時に横片部が蓋受けの段部略水平面と蓋の端部下面間で圧縮変形する際、その先端部が変形しやすくて、上記略水平面と下面との隙間から内腔側に突出して上記隙間を確実に閉塞でき、特に上記の如く先端側が分厚い場合にはこれと相俟って上記隙間を一層確実に密閉できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の蓋受け用のパッキンの一実施の形態を示し、(イ)は一部背面図、(ロ)は(イ)のA−A断面図。
【図2】 (イ)は図1のパッキンを装着した蓋受けを示す要部断面図、(ロ)は(イ)の蓋受けに蓋を嵌合した状態を示す要部断面図。
【図3】 本発明の蓋受け用のパッキンの他実施の形態に係るパッキンを装着した蓋受けを示す要部断面図。
【図4】 本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示し、(イ)は一部正面図、(ロ)は(イ)のB−B断面図、(ハ)は使用状態を示す要部断面図。
【図5】 (イ)〜(ハ)の左半部は夫々本発明のパッキンを装着した各種蓋受けの平面図、右半部は上記蓋受けに蓋を嵌合した平面図。
【図6】 本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態に係るパッキンを装着した蓋受けを示す要部断面図。
【図7】 (イ)及び(ロ)は夫々本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態に係るパッキンを装着した蓋受けを示す要部断面図。
【図8】 (イ)及び(ロ)は夫々本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態に係る使用状態を示す要部断面図。
【図9】 (イ)〜(ニ)は夫々本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示す断面図。
【図10】 (イ)は本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示す一部背面図、(ロ)は(イ)のC−C断面図、(ハ)は本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示す一部正面図、(ニ)は(ハ)のD−D断面図。
【図11】 (イ)〜(チ)は夫々本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示す断面図。
【図12】 (イ)〜(ハ)は夫々本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示す断面図。
【図13】 図11(ハ)に示すパッキンの使用状態を示す要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の蓋受け用のパッキンの一実施の形態を示し、本実施形態のパッキン1はゴム、合成樹脂等の弾性を有する材料から作製され、図1(イ)及び(ロ)に示す如く、縦片部2の下端部に横片部3が連設された断面略L形の長尺体となされている。
上記縦片部2は、図1(ロ)に示す如く、その上端部2aが断面略凸湾曲状をなして丸みが付され、略垂直状の外側面2bに相対する内側面2cが傾斜状となされてその厚みが上端から下端に向け漸次分厚くなされており、略垂直状の外側面2bはパッキン1を装着する後述の蓋受け5の蓋受用の段部6の略垂直状の立上り面6aに、又、傾斜状の内側面2cは蓋受け5に嵌合する蓋7の傾斜状の外壁面7aに夫々略適合すべくなされている。
又、縦片部2は上記外側面2bの上下端部を除く上下方向中途部に、凹部4が上下に所定幅を有してパッキン1の長さ方向に沿って連続的に設けられている。上記図1(イ)及び(ロ)の場合、凹部4は上下方向で縦片部2の高さに対してその略1/3の割合を占めて上下に広がる所定幅を有しているが、この所定幅は必ずしもこれに拘束されず、縦片部2の高さに対してある程度の割合を占めればよいとともに、縦片部2の上記厚みの変化に応じて下方に向け漸次深く凹陥され、後述の圧縮変形時に縦片部2が十分な弾性変形可能なように設けられている。
又、パッキン1の横片部3は縦片部2に比し厚みが薄い略均一厚みの板片状となされ、縦片部2に略水平方向に連設されている。
【0014】
上記パッキン1は、図2(イ)に示す如く、蓋受け5の蓋受用の段部6の略垂直状の立上り面6aに縦片部2の外側面2bが接するとともに、縦片部2の丸みを帯びた上端部2aが上記段部6の立上り面6aの上端部付近に位置され、横片部3が上記段部6の略水平面6b上に接して装着される。その際、縦片部2の外側面2bに設けられた凹部4によって段部6の立上り面6aと縦片部2との間に所定の空隙8(上下に広がる所定幅を有してパッキン1の長さ方向に連続する)が形成される。
又、蓋受け5は、図2(イ)の場合にはコンクリート製等の枠状ブロック体9の上部開口段部に沿って断面略L形の金属製等の受枠材5aが設けられることで形成され、該受枠材5aが上記段部6を構成し、上記長尺状のパッキン1は蓋受け5の段部6の延長方向に沿って段部6に装着される。
【0015】
上記パッキン1を装着した蓋受け5に金属製等の蓋7を嵌合すると、図2(ロ)に示す如く、パッキン1が蓋7と蓋受け5の段部6により挟圧されて圧縮変形する。その際、パッキン1の縦片部2が蓋7の傾斜状外壁面7aにより押圧されて上記空隙8を圧縮し、縦片部2の外側面2bが段部6の立上り面6aに圧接するべく十分弾性変形するとともに、横片部3が蓋受け5の段部6の略水平面6bと蓋7の端部下面7b間に挟圧され、蓋7と蓋受け5の段部6間の隙間がパッキン1によって確実に閉塞される。
特にこの場合、縦片部2の厚みがその下方で分厚くなされていることから、上記空隙8が存在することと相俟って蓋7の嵌合が進むに従って縦片部2が適宜に反発弾性効果を発揮しながら圧縮変形し、上記隙間の閉塞がより確実に行え好ましい。
又、上記蓋7の閉塞、嵌合に際して、パッキン1の縦片部2の上端部2aが丸みを帯びて蓋受け5の段部6の上端部付近に位置することから、蓋7の端縁下部がパッキン1(縦片部2)の上端部2aに引っ掛かるようなことがなく、蓋7が上記丸みに沿って速やかに嵌合されるとともに、蓋7の開放に際しては、上記空隙8を圧縮していたパッキン1が空隙8を広げるべく速やかに弾性反発する。
更に、蓋7や蓋受け5を含むブロック体9が熱変形、特に膨張した際には、上記凹部4による空隙8がパッキン1自体の変形の逃げ場となり、その体積変化を吸収して蓋7の蓋受け5(パッキン1)への食い込みを防止し、蓋7の嵌合状態を好適に維持することができる。
【0016】
図3は本発明の蓋受け用のパッキンの他実施の形態を示し、本実施形態のパッキン1は図1のものの変形例であって、縦片部2がその外側面2b及び内側面2cをやや傾斜状として夫々蓋受け5の段部6の傾斜状の立上り面6a、蓋7の傾斜状の外壁面7aに略適合すべくなされ、縦片部2の厚みが略均一となされ、縦片部2の外側面2bの凹部4の凹陥度合が略均一乃至やや下方に向け深くなされ、横片部3が縦片部2に比し極めて短くなされている点で図1のものと異なる他は上記と同様のものである。
本実施形態のパッキン1も図3に示す如く上記と同様に蓋受け5の段部6に装着され、蓋7の開閉や膨張に際して上記と同様に弾性変形し、その説明は上記のものを援用する。
又、上記図3における蓋受け5は、コンクリート製等の枠状ブロック体9の上部に金属製等の断面略鍔付きキャップ状の受枠材5aが嵌着されて形成され、該受枠材5aの内側が蓋受用の段部6となされている。
【0017】
図4は本発明の蓋受け用のパッキンの更に他実施の形態を示し、本実施形態のパッキン1は図4(イ)及び(ロ)に示す如く、上記図1における凹部4が縦片部2の外側面2bではなく内側面2cの上下方向中途部及び下部(横片部3の上面に隣接する)に設けられる他は図1と同様のものであって、同様部分の説明は上記のものを援用する。
本実施形態のパッキン1は、蓋受け5への装着時には上記の如き所定の空隙8が蓋受け5との間に形成されず、蓋受け5に蓋7を嵌合すると、図4(ハ)に示す如く、パッキン1が蓋7と蓋受け5の段部6により挟圧されて圧縮変形する際、上記凹部4が蓋7の外壁面7aとパッキン1(縦片部2)間で所定の空隙8を形成しつつ圧縮されて、その内側面2cが蓋7の外壁面7aに圧接されて十分弾性変形し、横片部3が蓋受け5の段部6の略水平面6bと蓋7の端部下面7b間に挟圧され、蓋7と蓋受け5の段部6間の隙間がパッキン1によって確実に閉塞される。
又、内側面2cの下部の凹部4は上記の如くパッキン1の弾性変形に寄与するとともに、蓋7の外壁面7aの下部で蓋7の端部下面7bとパッキン1の横片部3上面間に侵入したごみ、埃等の収納をも兼ねる。
【0018】
上記各実施形態において、蓋受け5の全体形状は、例えば地表埋設用枠体の上部を構成すべく平面視円形枠状や隅丸方形枠状(図5(イ)及び(ロ)の場合は夫々上記図3の断面略鍔付きキャップ状の受枠材5aを使用した例を示す)等、平面視適宜形状の枠状となされたり、或いは断面略U形状の側溝等溝類の相対向する上部開口縁部に沿う略平行な直線状(図5(ハ)の場合は溝類をなすブロック体9の相対向する上部開口段部に上記図2や図4の断面略L形の受枠材5aを使用した例を示す)となされる。
従って、上記長尺状のパッキン1は蓋受け5の形状に応じてその段部6の延長方向に沿って装着されればよく、例えば図5(イ)の場合には平面視円形状に、図5(ロ)の場合には平面視隅丸方形状に、図5(ハ)の場合には平面視略平行する直線状に夫々装着される。
尚、蓋受け5に関し、受枠材5aを図5(イ)及び(ロ)において図2や図4の断面略L形のものに変更したり、図5(ハ)において図3の断面略鍔付きキャップ状のものに変更しうることは勿論であり、受枠材5aも蓋受用の段部6を有する適宜断面形状となされてもよく、又、受枠材5aによって蓋受け5が形成されるのが好ましいが、受枠材5aを使用せずに例えば図6に示す如くブロック体9の上部が直接段部6をなして蓋受け5を形成するようになされてもよい。
又、蓋7も適宜材料から作製され、蓋受け5に嵌合しうる閉塞型、完全な密閉型や、例えば図8に示す如き格子状等の開口部を有するグレーチング蓋等の蓋類であればよく、特に限定されない。
【0019】
尚又、本発明の蓋受け用のパッキンは必ずしも上記実施形態のものに限定されることなく、本発明の意図する範囲内で種々の設計変更がなされてもよい。
即ち、縦片部2の形状は、その外側面2bがパッキン1を装着する蓋受け5の段部6の立上り面6aに、内側面2cが蓋受け5に嵌合する蓋7の外壁面7aに夫々略適合すべくなされておればよく、その厚みも下方で分厚くなされると、蓋7の閉塞、嵌合深さに相応して適宜優れた弾性作用が発揮でき好ましいが、均一、不均一を問わず弾性変形可能な適宜厚みを有しておればよく、直立状や傾斜状の他、必要に応じて屈曲や湾曲状(図11(ニ)、(チ)及び図12(イ)乃至(ハ)参照)等となされてもよい。
例えば図7(イ)及び(ロ)に示す如く、縦片部2の外側面2bが略垂直状で、内側面2cが上下方向に屈曲されて凸状屈曲面をなし、詳しくは傾斜面をなす内側面2cの上部と下部が異なる勾配の傾斜面をなして内側に凸状に形成されてもよい。
上記図7(イ)の場合は、内側面2cの下部がグレーチング蓋7の傾斜面(上部で屈曲する)をなす外壁面7a下部に略沿う傾斜面、上部がこれより緩傾斜面となされ、蓋7の閉塞、嵌合時に蓋7の外壁面7aと内側面2cの上部との間に空隙8bが形成されつつ、該空隙8bと凹部4による空隙8が圧縮されてパッキン1が十分弾性変形可能となされ、図7(ロ)の場合は、内側面2cの上部が蓋7の一様な傾斜面をなす外壁面7aに略沿う傾斜面、下部がこれより急傾斜面となり、蓋7の閉塞、嵌合時に蓋7の外壁面7aと内側面2cの下部との間に空隙8bが形成されつつ、該空隙8bと凹部4による空隙8が圧縮されてパッキン1が十分弾性変形可能となされている。
【0020】
尚、上記図7(イ)及び(ロ)に示すパッキン1は同一のもの(蓋受け5は若干異なる)で、嵌合する蓋7(詳しくは外壁面7aの形状)が異なるものに兼用可能となされているが、必ずしもこれに限定されない。例えば図11(ニ)、(チ)に示す如き縦片部2の全体が屈曲や湾曲状となされる場合を含め、内側面2cが図12(イ)に示す如き上部と下部の勾配の異なる2つの傾斜面、或いは図12(ロ)に示す如き上部と下部及びその中間部の勾配の異なる3つの傾斜面が夫々上下方向に屈曲状に連設されて下部側が上部側に比し急勾配をなす凸状屈曲面となされてもよく、要は、縦片部2の少なくとも内側面2cが複数の傾斜面により上下方向に屈曲されて適宜凸状屈曲面をなして、蓋7の閉塞、嵌合時に蓋7の外壁面7aと内側面2cとの間に空隙8bが形成されつつ該空隙8bが圧縮されてパッキン1が十分弾性変形可能となるようになされてもよい。
上記の如く内側面2cが複数の傾斜面により形成されていると、該傾斜面のいずれかに略適合する傾斜状の外壁面7aが異なる蓋7を適宜選択して使用できて、汎用性に富む利点がある。
又、図12(ハ)に示す如く、外側面2b及び内側面2cがともに湾曲面をなして縦片部2の全体が湾曲した傾斜状となされてもよい。この場合、外側面2b及び内側面2cがともに湾曲面をなすために、使用時にその湾曲面のいずれかの面(点)に蓋受け5の段部6の立上り面6aや蓋7の外壁面7aが接して変形することとなる。即ち、外側面2bが、上記段部6の種々の勾配をなす立上り面6a(図12(ハ)で一点鎖線で示す略垂直方向6a1から傾斜方向6a2に至るまでの各種勾配を有する立上り面)に略適合可能となされ、内側面2cが、上記蓋7の種々の勾配をなす外壁面7a(図12(ハ)で一点鎖線で示す急傾斜方向7a1から緩傾斜方向7a2に至るまでの各種勾配を有する外壁面)に略適合可能となされ、複数種類の蓋受け5と蓋7に使用できる利点を有する。
尚又、縦片部2は、外側面2bにこだわらず少なくとも内側面2cが上下方向に適宜凸状湾曲面をなしてもよく、上記凸状屈曲面の場合と同様に蓋7の閉塞、嵌合時にパッキン1が十分弾性変形可能となされてもよい。
【0021】
縦片部2の上端部2aも上記の如く全体的に丸みが付されているのが好ましいが、例えば図11(ロ)に示す如く内側面2c側にのみ丸みが付されてもよいし、或いは図11(ホ)に示す如く必ずしも丸みが付されなくともよいし、又、装着時に蓋受け5の段部6上端部付近に位置すべくなされるのが好ましい。
又、例えば図8(イ)に示す如く、縦片部2の内側面2cが上端部に凹部4が設けられた傾斜状となされ、該内側面2cの凹部4がグレーチングの蓋7の屈曲した外壁面7aに圧接されてこれに沿うように圧縮変形すべくなされてもよいし、図8(ロ)に示す如く縦片部2の上端部2aも蓋受け5の段部6上端部よりやや下方で蓋7の屈曲した外壁面7aに圧接されて圧縮変形するようになされてもよい。
又、縦片部2は上記実施形態の如く中実状となされる他、例えば図9(イ)に示す如く厚みが分厚い下部等に中空部2dが設けられて圧縮時の弾性変形を助長するようになされてもよい。
【0022】
縦片部2の凹部4は、外側面2b又は内側面2cの適宜位置に縦片部2の高さに対してある程度の割合を占めて上下に所定幅を有してパッキン1の長さ方向に沿って設けられているが、例えば図9(ロ)〜(ニ)に示す如く外側面2b及び内側面2cの両面に上記のように設けられてもよい。
この場合、上記両面での凹部4の形成位置は、図9(ロ)に示す如き相対する位置や、図9(ハ)及び(ニ)に示す如き上下にずれた位置等適宜となされればよいとともに、両面の凹部4の大きさや凹陥深さは弾性変形に有効な適宜寸法に設定されればよく、蓋7の閉塞、嵌合時には、外側面2bや内側面2cに凹部4が設けられた上記両作用が絡み合って縦片部2が蓋7と蓋受け5に挟圧される。
又、縦片部2の凹部4は、上記の如き長さ方向に連続的に設けられる他、例えば図10(イ)、(ロ)及び図10(ハ)、(ニ)に示す如く長さ方向に断続的に設けられてもよく、この場合には各凹部4は方形状に凹陥形成されているがこれに限らず他の適宜形状に凹陥形成されてもよいし、その各凹部4の大きさや凹部4間の間隔は縦片部2の上記圧縮変形に支障を来さない程度であればよい。
尚、外側面2b及び内側面2cの両面に凹部4が上記の如く断続的に設けられてもよく、又、上記凹部4が断続する場合には、凹部4により形成される上記所定の空隙8も上下に広がる所定幅を有してパッキン1の長さ方向に断続する。
又、長さ方向に連続又は断続的に設けられた凹部4は、例えば図11(イ)、(ホ)及び図12(ハ)に示す如く上下2段に分割されてもよいし、或いは図12(イ)に示す如く上下4段に分割される等、上下に適宜複数段に分割されてもよい。
【0023】
上記凹部4の凹陥形状、即ち断面形状に関しても特に限定するものではなく、上記実施形態や図9及び図10に示す如く外側面2b及び/又は内側面2cから段状に凹陥されてもよいし、図11(ロ)、(ハ)、(ヘ)、(ト)に示す如く外側面2b又は内側面2cから滑らかに凹陥されてもよく、その凹陥面も上記実施形態に示す如き平面状の他、図11(ロ)〜(ニ)及び(ヘ)〜(チ)に示す如く湾曲や屈曲面状等適宜形状となされればよい。尚、図11では縦片部2の外側面2b又は内側面2cに凹部4がある場合を例示しているが、外側面2b及び内側面2cの両面に凹部4が設けられる場合にも適用できる。
又、凹部4の凹陥度合も縦片部2の圧縮変形による効果が発揮可能な程度であればよく、縦片部2の厚みに応じて適宜深さに凹陥されればよい。
又、例えば図6及び図7(イ)、(ロ)に示す如く、縦片部2の外側面2bの下端隅角部に切欠部4aが設けられ、蓋受け5に装着時にその段部6との間に空隙8aが形成され、パッキン1の圧縮変形時に空隙8aが圧縮されてパッキン1の弾性変形を助長するようになされてもよく、更に、図6に示す如く外側面2bの下端部に凹部4が上記切欠部4aに連設され、パッキン1の圧縮変形時に凹部4によって形成される空隙8と上記空隙8aが連通されてもよい。この空隙8a及び空隙8と連通する空隙8aは、蓋受け5の立上り面6aの下部でパッキン1の横片部3下面と蓋受け5の略水平面6bの上面間に侵入したごみ、埃等の収納をも兼ねる。尚、図9(ハ)、図11(ロ)、(ニ)、(ヘ)及び図12(イ)、(ロ)に示すものも上記切欠部4aが設けられている。
【0024】
更に、横片部3は縦片部2に比し厚みが薄くなされているが、これに限らず適宜厚みの略水平板片状で弾性を有し、蓋受け5の段部6の略水平面6bの幅内に収まる程度の長さを有しておればよい。
特に図11(ロ)、(ハ)及び図12(ハ)に示す如く、横片部3の厚みがその先端側に向け漸次分厚くなされると、例えば図13(図11(ハ)に示すパッキン1の使用状態)に示す如く、蓋7の閉塞、嵌合時に横片部3が蓋受け5の段部6の略水平面6bと蓋7の端部下面7b間に挟圧され、横片部3が圧縮変形して分厚い先端部が上記略水平面6bと下面7bとの隙間から内腔側に膨出して隙間を確実に密閉し、例えば汚水マス等にあってはその内腔から外部への悪臭の発散防止等に優れた効果を発揮する。
又、横片部3の先端部3aには例えば図11(ハ)や図12(ハ)に示す如く凸湾曲状の丸みが付されていてもよく、この場合には、蓋7の閉塞、嵌合時に、横片部3が圧縮変形して先端部3aが上記段部6の略水平面6bと蓋7の下面7bとの隙間から内腔側に突出して隙間を閉塞しやすく、特に上記の如く横片部3が先端側で分厚いとこれと相俟って図13に示す如く先端部3aが上記隙間から内腔側に膨出して隙間を一層確実に密閉できる利点がある。
尚又、例えば図11(ト)に示す如く横片部3の下面又は上面に上記と略同様な凹部4が設けられ(横片部3の厚みがある程度分厚い方が好ましい)、縦片部2と同様に横片部3の弾性変形が助長すべくなされてもよいし、或いは又、縦片部2の内側面2c下端と横片部2の上面との連設部は角張っていてもよいし、例えば図11(ロ)や図12(ハ)に示す如く丸みが付された隅部4bに形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 パッキン
2 縦片部
2a 上端部
2b 外側面
2c 内側面
3 横片部
3a 先端部
4 凹部
5 蓋受け
6 段部
6a 立上り面
6b 略水平面
7 蓋
7a 外壁面
7b 下面
8,8a,8b 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋受け(5)とこれに嵌合する蓋(7)との間に介装されるパッキン(1)であって、縦片部(2)に横片部(3)が連設された断面略L形となされ、縦片部(2)の蓋受け(5)に接する外側面(2b)及び/又は蓋(7)に接する内側面(2c)に凹部(4)が上下に所定幅を有して長さ方向に連続又は断続的に設けられ、縦片部(2)が蓋受け(5)の段部(6)の立上り面(6a)と蓋(7)の外壁面(7a)間に、横片部(3)が上記段部(6)の略水平面(6b)と蓋(7)の端部下面(7b)間に挟圧されるようになされた蓋受け用のパッキン。
【請求項2】
縦片部(2)の内側面(2c)が上下方向に屈曲されて凸状屈曲面又は湾曲面をなす請求項1記載の蓋受け用のパッキン。
【請求項3】
縦片部(2)の厚みがその下方で分厚く及び/又は横片部(3)の厚みがその先端側で分厚くなされた請求項1又は2記載の蓋受け用のパッキン。
【請求項4】
縦片部(2)の上端部(2a)及び/又は横片部(3)の先端部(3a)に丸みが付された請求項1又は2又は3記載の蓋受け用のパッキン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−64051(P2011−64051A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238722(P2009−238722)
【出願日】平成21年9月19日(2009.9.19)
【出願人】(000202408)
【Fターム(参考)】