説明

蓋装置及び収納装置

【課題】ボックス本体に対するねじりコイルばねの取り付け性が良好で、かつ、ねじりコイルばねがボックス本体から外れにくい収納装置を提供する。
【解決手段】ボックス本体14に蓋体12を回動可能に軸支する。蓋体12とボックス本体14との間にねじりコイルばね16を取りつける。ねじりコイルばね16は、コイル状のねじりコイルばね本体121の両端から互いに異なる接線方向に沿ってそれぞれ突出した腕部122,123の先端側に蓋体側係止部124とコイル状に形成したボックス側係止部125を備える。ボックス本体14は、ボックス側係止部125に挿入する係止軸66と、ボックス側係止部125を軸方向へと弾性的に圧縮した状態で係止軸66に保持する規制部67とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体と被取付部材との間に取り付けられたねじりコイルばねを有する蓋装置及びこれを備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車などの車室内に配置された蓋装置としての収納装置すなわち収納ボックスは、例えば合成樹脂などにより形成された被取付部材である箱状のボックス本体に、このボックス本体の開口部を開閉可能な蓋体が回動可能に軸支されている。また、この蓋体とボックス本体の両側部との間には、ねじりコイルばねが取り付けられている。このねじりコイルばねは、蓋体を、閉位置では閉方向に付勢し、開位置では開方向に付勢して、これらの中間の位置で付勢方向が切り替わるように動作するので、蓋体を開いた状態を維持する収納ボックスに好適となっている。
【0003】
ねじりコイルばねは、突出した一方の腕部の先端側にループ状の係止部が形成されてボックス本体の係止軸に係止され、他方の腕部の先端側が蓋体に係止されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−139747号公報 (第5−8頁、第2図及び第4図)
【特許文献2】実公平5−44463号公報 (第2頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の各構成の場合、係止部を係止軸に引っ掛けるだけでは、衝撃などが加わった際に係止部が係止軸から外れるおそれがあるため、係止部を係止軸に対して圧入することが好ましい。しかしながら、このように係止部を係止軸に圧入する場合には、ねじりコイルばねの組み付けが容易でないだけでなく、蓋体の回動性が低下するおそれがある。一方で、係止部を係止軸に対して緩くすると、蓋体の回動時に異音が発生したり、ねじりコイルばねが蓋体の開閉動作時に遊動(振動)したりするおそれがあるとともに、ねじりコイルばねの組み付け時や蓋体の開閉時に、ねじりコイルばねの反転(リバース)が発生し、この反転に伴い蓋体がデッドロックするおそれがある。
【0006】
また、ねじりコイルばねの係止部を係止軸に対して、ワッシャなどを介してタッピングねじにより係止する構成も考えられるものの、このような構成では、構成部品が多く、コスト高となるだけでなく、ねじりコイルばね取り付け作業が煩雑になる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被取付部材に対するねじりコイルばねの取り付け性が良好で、かつ、ねじりコイルばねが被取付部材から外れにくい蓋装置及びこれを備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の蓋装置は、被取付部材と、この被取付部材に回動可能に軸支された蓋体と、この蓋体と前記被取付部材との間に取り付けられ前記蓋体を回動位置に応じて付勢するねじりコイルばねとを具備し、前記ねじりコイルばねは、コイル状のねじりコイルばね本体と、このねじりコイルばね本体の両端からこのねじりコイルばね本体の互いに異なる接線方向に沿ってそれぞれ突出した対をなす腕部と、一方の前記腕部の先端側に位置し前記蓋体に係止される蓋体側係止部と、他方の前記腕部の先端側に位置しコイル状に形成され前記被取付部材に係止される被取付部材側係止部とを備え、前記被取付部材は、前記被取付部材側係止部に挿入される係止軸と、この係止軸に形成され前記被取付部材側係止部を軸方向へと弾性的に圧縮した状態で前記係止軸に保持する規制部とを備えているものである。
【0009】
請求項2記載の蓋装置は、請求項1記載の蓋装置において、被取付部材側係止部は、他方の腕部に対して反対側の端部を折り返すことにより形成された折返部を有し、係止軸は、前記折返部が当接することにより他方の前記腕部が一方の腕部に対して開く方向への前記被取付部材側係止部の回動を規制する回動規制部を有しているものである。
【0010】
請求項3記載の収納装置は、請求項1または2記載の蓋装置を備え、被取付部材は、蓋体の回動により開閉可能で収納物を出し入れ可能な開口部の側部を区画する側板部を有し、規制部は、前記側板部に配置されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の蓋装置によれば、被取付部材の係止軸をねじりコイルばねのコイル状の被取付部材側係止部に挿入させるだけでねじりコイルばねを被取付部材に取り付けできるので、被取付部材に対するねじりコイルばねの取り付け性が良好であるとともに、この挿入状態で、規制部が被取付部材側係止部を軸方向へと弾性的に圧縮した状態で係止軸に保持するため、ねじりコイルばねが被取付部材から外れにくくなる。
【0012】
請求項2記載の蓋装置によれば、請求項1記載の蓋装置の効果に加えて、被取付部材側係止部の他方の腕部に対して反対側の端部に形成した折返部が当接することで他方の腕部が一方の腕部に対して開く方向への被取付部材側係止部の回動を規制する回動規制部を係止軸に有するため、一方の腕部と他方の腕部とが過剰に開いてねじりコイルばねが反転することを効果的に防止できる。
【0013】
請求項3記載の収納装置によれば、請求項1または2記載の蓋装置を備えることにより、被取付部材に対するねじりコイルばねの取り付け性が良好で、かつ、ねじりコイルばねが被取付部材から外れにくい収納装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態の収納装置の一部を拡大して示す斜視図である。
【図2】同上収納装置のねじりコイルばねの被取付部材側係止部近傍を拡大して示す斜視図である。
【図3】同上収納装置の被取付部材の一部を拡大して示す斜視図である。
【図4】同上ねじりコイルばねの変形に伴う被取付部材側係止部と回動規制部との当接を模式的に示す平面図である。
【図5】同上収納装置の蓋体が閉じた状態を一側から示す斜視図である。
【図6】同上収納装置の蓋体が開いた状態を一側から示す斜視図である。
【図7】同上収納装置の蓋体が閉じた状態を他側から示す斜視図である。
【図8】(a)は図5の一部を拡大して示す斜視図、(b)は図6の一部を拡大して示す斜視図、(c)は図7の一部を拡大して示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の収納装置のねじりコイルばねの被取付部材側係止部近傍を拡大して示す斜視図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の収納装置のねじりコイルばねの被取付部材側係止部近傍を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図8を参照して説明する。
【0016】
図5ないし図7において、10は蓋装置としての収納装置で、この収納装置10は、例えば自動車の運転席の正面側のインストルメントパネルに設けられた車両用収納ボックスを構成している。そして、この収納装置10は、回動体としての蓋体12と、この蓋体12が回動可能に軸支され自動車の車体側に取り付けられる被取付部材としての収納装置本体であるボックス本体14と、これら蓋体12とボックス本体14との間に配置された一方及び他方のねじりコイルばね16,16とを備えている。なお、以下、前後方向、両側方向及び上下方向などの方向は、収納装置10を車体に取り付けた状態を基準として説明する。なお、各図においては、車体の右側に運転席が位置するいわゆる右ハンドルの自動車に備えられる収納装置10を示している。
【0017】
そして、蓋体12は、リッドとも呼ばれるもので、全体としては湾曲した板状をなす蓋体本体21を備え、この蓋体本体21は、それぞれ合成樹脂にて形成されたリッドアウタとも呼ばれる表板部23とリッドインナとも呼ばれる裏板部24とを接合して構成されている。そして、この蓋体12の内面部すなわち背面側である裏板部24の上部両側には、一方及び他方のヒンジ部27,28が合成樹脂にて前方に突出して一体に形成されており、これらヒンジ部27,28の基端側がボックス本体14側に一方及び他方の軸体29,30で連結されることにより、蓋体12がボックス本体14に対して上下方向に回動可能に軸支されている。また、蓋体12の蓋体本体21の内側、すなわち表板部23と裏板部24との間には、蓋体12をボックス本体14に対して固定可能な図示しないラッチ機構が配置されている。
【0018】
一方のヒンジ部27は、一方のねじりコイルばね16の一端側が係止されて接続される一方の接続部34を先端部に有している。また、この一方のヒンジ部27には、補強用のリブ35が合成樹脂により一体に形成されている。
【0019】
また、他方のヒンジ部28は、他方のねじりコイルばね16の一端側が係止されて接続される他方の接続部37を先端部に有している。さらに、この他方のヒンジ部28には、他方の軸体30と他方の接続部37との間に、ダンパ部38が取り付けられている。このダンパ部38は、蓋体12の回動に負荷を与えるもので、ボックス本体14側に図示しないギヤが回動可能に軸支されて構成されている。そして、この他方のヒンジ部28には補強用のリブ39が合成樹脂により一体に形成されている。
【0020】
また、ラッチ機構は、表板部23の下端側から乗員側に露出する操作体と、裏板部24からの下部から前方に突出し、操作体の操作に応じてボックス本体14側に係脱されるラッチ体とを備えている。
【0021】
一方、ボックス本体14は、ケーシングなどとも呼ばれるもので、合成樹脂にて一体に形成され、あるいは合成樹脂にて形成された複数の部材を接合して箱状に形成され、内部に収容部41が形成されるとともに、この収容部41に連通し、手前側すなわち乗員に向かう後面に両側方向を長手方向として収容部41に対して収納物を出し入れ可能な矩形状の開口部43が形成されている。そして、ボックス本体14は、開口部43の下部を区画する略平板状の底部45と、この底部45の前側から立ち上げられた前板部46と、底部45の両側から立ち上げられ開口部43の側部を区画する一方及び他方の側板部47,48と、これら前板部46と側板部47,48との上端部に連続し開口部43の上部を区画する略平板状の天板部49とを備えているとともに、開口部43を囲み、フランジ部50が形成されている。
【0022】
そして、前板部46には、両側近傍に、車体側と連結される連結部53,53がそれぞれ前方に向けて突出して一体に形成されている。また、前板部46の左右幅方向の一側寄りの位置には、開口を有する照明取付部54が形成されている。
【0023】
また、一方の側板部47の上部には、図1、図5及び図6に示すように、外側面47aから側方へと水平状に突出する平板状の突出板部56と、この突出板部56の先端から上方へと略垂直状に突出する平板状の一方の支持板部57と、この一方の支持板部57の先端である上部ないし前部から側方へと突出する板状の一方の被覆部58とがそれぞれ一体形成されており、外側面47aと突出板部56及び一方の支持板部57とに亘って、一方のねじりコイルばね16をガイドする一方のガイド部としての一方のガイドリブ59,59が円弧状に一体形成されている。さらに、一方の側板部47の上部の後側、すなわち開口部43側には、一方のヒンジ部27を一方の軸体29によって軸支する図示しない一方の軸支部が突出して形成されている。そして、一方の側板部47の一方の支持板部57の下方には、一方のねじりコイルばね16の他端側が係止される一方の係止部61が外側面47aから側方に突出して一体に形成されている。
【0024】
一方の被覆部58は、一方のねじりコイルばね16の上方を覆ってこの一方のねじリコイルばね16を保護するものである。さらに、この一方の被覆部58は、後端部がフランジ部50に連続している。
【0025】
また、一方のガイドリブ59,59は、蓋体12の回動に伴う一方のねじりコイルばね16の動作をガイドするものであり、一方の係止部61を中心とし上側に突出する円弧状に形成されて上下に同心状に配置されている。さらに、これら一方のガイドリブ59,59には、図示しないが、一方のねじりコイルばね16との間に、シート状の不織布などの一方のばね緩衝部材が取り付けられている。この一方のばね緩衝部材は、蓋体12の回動に伴い一方のねじりコイルばね16が摺接することで一方のねじりコイルばね16と一方のガイドリブ59,59との接触を防止し、これら一方のガイドリブ59,59の摩耗を防止するものである。
【0026】
また、一方の軸支部には、図1などに示すように、補強用の複数の一方の軸支部補強リブ63が一方の軸体29(図5)と同心状の円弧状及び放射状に形成されている。
【0027】
そして、一方の係止部61は、一方の係止軸66と、この一方の係止軸66の先端に連続する一方の規制部67とを一体に備えている。
【0028】
一方の係止軸66は、図1、図3、図4、図8(a)及び図8(b)などに示すように、一方の側板部47の外側面47aから側方へと突出する側板部側規制部としての台部71と、この台部71の後部から側方へとリブ状に突出する一方の軸本体部としての一方の係止軸縦リブ部72と、台部71の後方の位置で外側面47aから側方へとリブ状に突出する一方の被係合部としての一方の係止軸横リブ部73と、台部71と一方の規制部67との間にリブ状に連続する一方の回動規制部74とを一体に有している。
【0029】
台部71は、一方の支持板部57の外側面と略面一な一方の規制面である台部規制面71aを有している。
【0030】
一方の係止軸縦リブ部72は、上下方向に沿って形成されている。
【0031】
一方の係止軸横リブ部73は、一方の係止軸縦リブ部72に対して略直交する方向である前後方向に沿って水平状に形成されており、台部71及び一方の係止軸縦リブ部72の後部に連続している。
【0032】
一方の回動規制部74は、反転防止リブとも呼び得るもので、一方の係止軸横リブ部73の前方の位置に前後方向に沿って水平状に形成されている。また、この一方の回動規制部74は、一方の係止軸縦リブ部72、及び、台部71の台部規制面71aと一方の規制部67との間に連続している。そして、この一方の回動規制部74の前部と一方の係止軸横リブ部73の後部との距離は、一方の係止軸縦リブ部72の上下寸法よりも大きく設定されている。
【0033】
また、一方の規制部67は、台部71の台部規制面71aと略平行な他方の規制面である規制部規制面67aを有する板状に形成されており、一方の係止軸縦リブ部72から前方へと突出している。さらに、この一方の規制部67は、前端側が台部71の前端部と略等しい位置となっており、かつ、この前端側が、円弧状の端部67bとなっている。
【0034】
また、他方の側板部48の上部には、図7に示すように、外側面48aと略面一に上方へと略垂直状に突出する平板状の他方の支持板部77と、この他方の支持板部77の先端である上部ないし前部から側方へと突出する板状の他方の被覆部78とがそれぞれ一体形成されており、外側面48aと他方の支持板部77とに亘って、他方のねじりコイルばね16をガイドする他方のガイド部としての他方のガイドリブ79,79が円弧状に一体形成されている。さらに、他方の側板部48の上部の後側、すなわち開口部43側には、他方のヒンジ部28を他方の軸体30によって軸支する図示しない他方の軸支部が突出して形成されている。そして、他方の側板部48の他方の支持板部77の下方には、他方のねじりコイルばね16の他端側が係止される他方の係止部81が外側面48aから側方に突出して一体に形成されている。
【0035】
他方の被覆部78は、他方のねじりコイルばね16の上方を覆ってこの他方のねじリコイルばね16を保護するものである。さらに、この他方の被覆部78は、後端部がフランジ部50に連続している。
【0036】
また、他方のガイドリブ79,79は、蓋体12の回動に伴う他方のねじりコイルばね16の動作をガイドするものであり、他方の係止部81を中心とし上側に突出する円弧状に形成されて上下に同心状に配置されている。さらに、これら他方のガイドリブ79,79には、図示しないが、他方のねじりコイルばね16との間に、シート状の不織布などの他方のばね緩衝部材が取り付けられている。この他方のばね緩衝部材は、蓋体12の回動に伴い他方のねじりコイルばね16が摺接することで他方のねじりコイルばね16と他方のガイドリブ79,79との接触を防止し、これら他方のガイドリブ79,79の摩耗を防止するものである。
【0037】
また、他方の軸支部には、蓋体12のダンパ部38のギヤと歯合する歯合ギヤが形成されている。さらに、この他方の軸支部には、補強用の複数の他方の軸支部補強リブ83が他方の軸体30と同心状の円弧状及び放射状に形成されている。
【0038】
そして、他方の係止部81は、図8(c)に示すように、他方の係止軸86と、この他方の係止軸86の先端に連続する他方の規制部87とを一体に備えている。
【0039】
他方の係止軸86は、他方の側板部48の一方の規制面である外側面48aから側方へとリブ状に突出する他方の軸本体部としての他方の係止軸縦リブ部(図示せず)と、この他方の係止軸縦リブ部の後部の位置で外側面48aから側方へとリブ状に突出する他方の被係合部としての他方の係止軸横リブ部(図示せず)と、他方の側板部48と他方の規制部87との間にリブ状に連続する他方の回動規制部94とを一体に有している。
【0040】
他方の係止軸縦リブ部は、上下方向に沿って形成されている。
【0041】
他方の係止軸横リブ部は、他方の係止軸縦リブ部に対して略直交する方向である前後方向に沿って水平状に形成されており、他方の係止軸縦リブ部の後部に連続している。
【0042】
他方の回動規制部94は、反転防止リブとも呼び得るもので、他方の係止軸横リブ部の前方の位置に前後方向に沿って水平状に形成されている。また、この他方の回動規制部94は、他方の係止軸縦リブ部、及び、他方の側板部48の外側面48aと他方の規制部87との間に連続している。そして、この他方の回動規制部94の前部と他方の係止軸横リブ部の後部との距離は、他方の係止軸縦リブ部の上下寸法よりも大きく設定されている。
【0043】
また、他方の規制部87は、他方の側板部48の外側面48aと略平行な他方の規制面である規制部規制面87aを有する板状に形成されており、一方の係止軸縦リブ部72から前方へと突出している。さらに、この一方の規制部67は、前端側が台部71の前端部と略等しい位置となっており、かつ、この前端側が、円弧状の端部87bとなっている。
【0044】
また、図5ないし図7に示すように、天板部49には、フランジ部50との間に亘って、補強用の補強リブ96が複数形成されている。
【0045】
フランジ部50は、開口部43の下側に位置する下部フランジ部101と、開口部43の両側に位置する一方及び他方の側部フランジ部102,103と開口部43の上側に位置する上部フランジ部104とを備えている。
【0046】
下部フランジ部101は、ボックス本体14の底部45と連続して左右幅方向に長手状に形成されている。また、この下部フランジ部101の背面側である前側には、補強用の下部フランジ部リブ106が形成されている。さらに、この下部フランジ部101には、ラッチ機構のラッチ体を受けるための図示しないラッチ受部が形成されているとともに、ボックス本体14を車体に取り付けるための図示しないクリップが取り付けられている。
【0047】
また、一方の側部フランジ部102は、ボックス本体14の一方の側板部47に連続して上下方向に沿って形成されており、上端部が一方の側板部47の一方の軸支部の下部に位置している。したがって、この一方の側部フランジ部102と上部フランジ部104との間には、蓋体12の一方のヒンジ部27が挿入される一方の挿入開口108が形成されている。さらに、この一方の側部フランジ部102には、一方の挿入開口108の下側の縁部の位置に、蓋体12を開いたときに一方のヒンジ部27の前側が当接する一方の開ストッパ部109が形成されている。そして、この一方の側部フランジ部102には、一方の開ストッパ部109の下方に、ボックス本体14を車体に取り付けるためのクリップ110が複数取り付けられている。
【0048】
さらに、他方の側部フランジ部103は、ボックス本体14の他方の側板部48に連続して上下方向に沿って形成されており、上端部が他方の側板部48の他方の軸支部の下部に位置している。したがって、この他方の側部フランジ部103と上部フランジ部104との間には、蓋体12の他方のヒンジ部28が挿入される他方の挿入開口112が形成されている。さらに、この他方の側部フランジ部103には、他方の挿入開口112の下側の縁部の位置に、蓋体12を開いたときに他方のヒンジ部28の前側が当接する他方の開ストッパ部113が形成されている。そして、この他方の側部フランジ部103には、他方の開ストッパ部113の下方に、ボックス本体14を車体に取り付けるためのクリップ115が複数取り付けられている。
【0049】
また、上部フランジ部104は、ボックス本体14の天板部49と連続して左右幅方向に長手状に形成されている。また、この上部フランジ部104の背面側である前側には、補強用の上部フランジ部リブ117が形成されている。さらに、この上部フランジ部104には、ボックス本体14を車体に取り付けるためのクリップ118が複数取り付けられている。
【0050】
そして、各ねじりコイルばね16は、蓋体12をその回動位置に応じて付勢するもので、図2、図4ないし図8に示すように、例えばステンレスなどの金属部材により形成されており、コイル状のねじりコイルばね本体121と、このねじりコイルばね本体121の両端からこのねじりコイルばね本体121の互いに異なる接線方向に沿ってそれぞれ突出した一方及び他方の腕部122,123と、一方の腕部122の先端側に位置する蓋体側係止部124と、他方の腕部123の先端側に位置するコイル状の被取付部材側係止部としての被規制部であるボックス側係止部125とを一体に備えている。
【0051】
ねじりコイルばね本体121は、蓋体12の回動の軸となる軸体の軸方向、すなわち左右幅方向に沿って軸方向を有している。
【0052】
また、一方の腕部122は、ねじりコイルばね本体121の一端である側方から長手状に突出している。
【0053】
さらに、他方の腕部123は、ねじりコイルばね本体121の他端であるボックス本体14側から長手状に突出している。
【0054】
そして、これら腕部122,123は、ねじりコイルばね本体121の周方向に所定の角度に離間されており、この角度を維持するように付勢力を作用させることが可能となっている。すなわち、これら腕部122,123は、互いの角度が自然状態から開く方向、あるいは閉じる方向へと回動しようとする際に、閉じる方向、あるいは開く方向へと反力をそれぞれ作用させる。
【0055】
また、蓋体側係止部124は、一方の腕部122の先端部を屈曲させて形成されており、一方のねじりコイルばね16の蓋体側係止部124は、蓋体12の一方のヒンジ部27の一方の接続部34に係止され、他方のねじりコイルばね16の蓋体側係止部124は、蓋体12の他方のヒンジ部27の他方の接続部37に係止されている。
【0056】
そして、ボックス側係止部125は、ねじりコイルばね16の固定点とも呼び得るもので、他方の腕部123の先端部をコイル状に複数周に亘って湾曲状に巻回させて形成されている。また、このボックス側係止部125は、他方の腕部123に対して一方の腕部122に近い側で、かつ、本実施の形態では、ねじりコイルばね本体121と同方向に湾曲している。すなわち、このボックス側係止部125は、ねじりコイルばね本体121と略平行な軸方向を有しており、本実施の形態では、他方の腕部123に対して、ねじりコイルばね本体121と同側に突出している。さらに、このボックス側係止部125の他方の腕部123に対して反対側の端部、すなわち先端部には、このボックス側係止部125の湾曲に沿って折り返された折返部127が一体形成されている。この折返部127は、先端側がわずかにボックス側係止部125の内周側に突出している。そして、一方のねじりコイルばね16のボックス側係止部125は、一方の係止軸66に係止されて台部71の台部規制面71aと一方の規制部67の規制部規制面67aとの間に軸方向に圧縮された状態で挟持され、他方のねじりコイルばね16のボックス側係止部125は、他方の係止軸86に係止されて他方の側板部48の外側面48aと他方の規制部87の規制部規制面87aとの間に軸方向に圧縮された状態で挟持されている。
【0057】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0058】
収納装置10の組み立ての際には、ボックス本体14の挿入開口108,112に対して、ダンパ部38を取り付けた蓋体12のヒンジ部27,28を上側から挿入して位置合わせした上で、これらボックス本体14と蓋体12とを軸体29,30により回動可能に軸支した後、各ねじりコイルばね16を組み付ける。
【0059】
これらねじりコイルばね16の組み付けの際には、まず、ボックス側係止部125をその反力分だけ押し付けながら係止軸66,86に端部67b,87b側から引っ掛けた後、蓋体側係止部124を接続部34,37に係止する。
【0060】
この状態で、一方のねじりコイルばね16のボックス側係止部125には、一方の係止軸66が挿入された状態となり、このボックス側係止部125は、一方の係止軸66の台部71の台部規制面71aと一方の規制部67の規制部規制面67aとの間に圧縮状態で保持される。また、他方のねじりコイルばね16のボックス側係止部125には、他方の係止軸86が挿入された状態となり、このボックス側係止部125は、他方の側板部48の外側面48aと他方の規制部87の規制部規制面87aとの間に圧縮状態で保持される。したがって、各ねじりコイルばね本体121が、ボックス側係止部125の圧縮に対する反力により、ボックス本体14側である各側板部47,48側、すなわち各緩衝部材(各ガイドリブ59,59,79,79)側へと弾性的に押し付けられた状態に保持される。
【0061】
そして、ボックス本体14に回動可能に軸支された蓋体12は、図5及び図7に示す閉じた状態、すなわち、蓋体12がボックス本体14の開口部43を覆った閉位置では、ラッチ機構のラッチ体がボックス本体14のラッチ受部に係合されて、蓋体12を閉じた状態に保持する。この状態で、各ねじりコイルばね16は、図8(a)及び図8(c)に示すように、ねじりコイルばね本体121がガイドリブ59,59,79,79の最も前側に位置し、蓋体側係止部124がねじりコイルばね本体121の中心軸位置よりも相対的に上方に位置することで、一方の腕部122がねじりコイルばね本体121から上方へと傾斜し、かつ、腕部122,123間の角度が、自然状態よりも狭く保持されている。このため、蓋体12は、各ねじりコイルばね16により、閉状態に維持する方向へと付勢力が与えられている。
【0062】
一方、乗員がラッチ機構の操作体を操作してラッチ体を動作させ、蓋体12を上方へと回動させると、この蓋体12の開き始めでは、各ヒンジ部27,28の各接続部34,37が下方へと徐々に移動することにより、各ねじりコイルばね16の各腕部122の先端側が下方へと徐々に下げられて腕部122,123間の角度が閉じるため、各ねじりコイルばね16が腕部122,123を開く方向に反力を与える。したがって、各ねじりコイルばね16の蓋体側係止部124がねじりコイルばね本体121の中心軸位置よりも上方に位置している間、すなわち、一方の腕部122からの反力の方向が各ヒンジ部27,28を上方へと押し上げる方向となっている間、蓋体12は各ねじりコイルばね16により閉方向へと付勢される。
【0063】
この状態から、さらに蓋体12が開き、各ねじりコイルばね16の一方の腕部122がねじりコイルばね本体121の中心軸位置よりも下方へと移動すると、各ねじりコイルばね16がボックス側係止部125を中心として後方へと回動を始める。このとき、各ねじりコイルばね16のねじりコイルばね本体121は、各緩衝部材と摺接しつつ、各ガイドリブ59,59,79,79に沿って後方上側へとガイドされる。そして、開口部43を半分程度開いた状態になると、各ねじりコイルばね16は、ねじりコイルばね本体121の中心軸位置が一方の腕部122よりも相対的に上方となることにより、一方の腕部122から蓋体12への反力の方向が後方へと切り替わり、蓋体12が開方向へと付勢される。
【0064】
そして、蓋体12が回動限位置まで回動した最大開時には、蓋体12のヒンジ部27,28の前側が開ストッパ部109,113に当接し、蓋体12が回動限位置に保持される。この状態で、一方のねじりコイルばね16は、図8(b)に示すように、ねじりコイルばね本体121がガイドリブ59,59の最も後側に位置し、蓋体側係止部124及びボックス側係止部125がそれぞれねじりコイルばね本体121の中心軸位置よりも相対的に下方に位置し、腕部122,123間の角度が略自然状態となっている。このため、蓋体12は、各ねじりコイルばね16により、閉状態に維持する方向へと付勢力が与えられている。なお、他方のねじりコイルばね16については、一方のねじりコイルばね16と同様であるので、図示を省略する。
【0065】
したがって、蓋体12は、全閉(最小開)位置と半分程度開いた位置との間の領域では各ねじりコイルばね16により閉方向に付勢され、半分程度開いた位置と回動限位置(全開(最大開)位置)との間の領域では各ねじりコイルばね16により開方向に付勢される。すなわち、各ねじりコイルばね16は、蓋体12をその回動位置に応じて付勢する。さらに、各ボックス側係止部125は、回動動作域の全域で弾性的に圧縮される。
【0066】
また、蓋体12の回動限位置、あるいはねじりコイルばね16の組み付け時において、図4の想像線A1に示すように一方のねじりコイルばね16のねじりコイルばね本体121に対して下方向へと外力が加わった際には、腕部122,123の角度が開くようにこれら腕部122,123が弾性的に変形しようとするため、ボックス側係止部125が、他方の腕部123をねじりコイルばね本体121側へと送り出す方向、換言すれば、ボックス側係止部125の巻回方向と反対方向、すなわち図4では矢印A2に示すように反時計回り方向に周方向に回動する。このとき、折返部127が一方の回動規制部74に下側から当接することで、ボックス側係止部125の周方向への回動が規制され、他方の腕部123が開く方向への一方のねじりコイルばね16の変形が規制される。したがって、図8(b)の想像線A3に示すような一方のねじりコイルばね16の反転(リバース)が防止される。
【0067】
なお、他方のねじりコイルばね16については、図示しないが、一方のねじりコイルばね16と同様に(左右対称に)動作する。すなわち、他方のねじりコイルばね16のねじりコイルばね本体121に対して下方向へと外力が加わった際には、腕部122,123の角度が開くようにこれら腕部122,123が弾性的に変形しようとするため、ボックス側係止部125が、他方の腕部123をねじりコイルばね本体121側へと送り出す方向、換言すればボックス側係止部125の巻回方向と反対方向に回動する。このとき、折返部127が他方の回動規制部94に下側から当接することで、ボックス側係止部125の周方向への回動が規制され、他方の腕部123が開く方向への他方のねじりコイルばね16の変形が規制される。したがって、他方のねじりコイルばね16の反転(リバース)が防止される。
【0068】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、ボックス本体14の係止軸66,86を各ねじりコイルばね16のコイル状のボックス側係止部125に挿入させるだけで各ねじりコイルばね16をボックス本体14に取り付けできるので、ボックス本体14に対する各ねじりコイルばね16の取り付け性が良好であるとともに、この挿入状態で、規制部67,87がボックス本体14を軸方向へと弾性的に圧縮した状態で係止軸66,86に保持するため、各ねじりコイルばね16がボックス本体14から外れにくくなる。
【0069】
すなわち、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125は、係止軸66,86に組み付けられた状態で、外部からの衝撃を吸収する反力を常時備えているので、外部から衝撃が加わった際などでも係止軸66,86(ボックス本体14)から外れにくく、少なくとも使用環境下ではボックス本体14側から外れない構成とすることができるだけでなく、係止軸66,86に対して緩むことがなく、蓋体12の回動時の異音の発生及び各ねじりコイルばね16の遊動(振動)なども防止できる。
【0070】
そして、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125を係止軸66,86に引っ掛けるだけで各ねじりコイルばね16をボックス本体14側に取り付けできるので、別部材を用いて各ねじりコイルばねをボックス本体側に取り付ける構成と比較して、部品点数が増加することがない。
【0071】
また、規制部67,87の端部67b,87bを円弧状とすることにより、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125を係止軸66,86に対して引っ掛ける際に、ボックス側係止部125の内周側に規制部67,87が引っ掛かりにくくなり、各ねじりコイルばね16をボックス本体14側に、より取り付けやすくなる。
【0072】
さらに、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125の先端部に形成した折返部127が係止軸66,86の回動規制部74,94に当接することで他方の腕部123が一方の腕部122に対して開く方向へのボックス側係止部125の回動を規制するため、一方の腕部122と他方の腕部123とが過剰に開いて各ねじりコイルばね16が反転することを効果的に防止できる。したがって、これらねじりコイルばね16の反転に起因する蓋体12のデッドロックを防止できるとともに、各ねじりコイルばね16を、反転させた状態で誤って組み付けることをも未然に防止できる。
【0073】
また、折返部127を形成したことにより、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125を係止軸66,86に引っ掛ける際に、ボックス側係止部125の端部で作業者の指を傷付けにくくなる。
【0074】
そして、このような構成とすることにより、ボックス本体14に対するねじりコイルばね16の取り付け性が良好で、かつ、ねじりコイルばね16がボックス本体14から外れにくい収納装置10を得ることができる。
【0075】
なお、上記第1の実施の形態において、図9に示す第2の実施の形態のように、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125を、他方の腕部123に対してねじりコイルばね本体121と反対側に突出するように巻回してもよい。
【0076】
また、上記第1の実施の形態において、各ねじりコイルばね16のボックス側係止部125の折返部127の折り返し角度は、任意に設定でき、例えば、図10に示す第3の実施の形態のように、ボックス側係止部125の巻回方向に対して反転させない角度に折り曲げてもよい。
【0077】
さらに、上記各実施の形態では、車両の車室に備えられる収納装置10について説明したが、車両用に限られず、種々の場所に取り付けられる収納装置に適用することもできる。そして、収納装置に限られず、すなわち、蓋体は、被取付部材の開口部を開閉するものに限られず、操作部などの部分を覆う蓋体を備えた蓋装置として適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、車両の車室に備えられる車両用収納ボックスに適用できる。
【符号の説明】
【0079】
10 蓋装置としての収納装置
12 蓋体
14 被取付部材としてのボックス本体
16 ねじりコイルばね
43 開口部
47,48 側板部
66,86 係止軸
67,87 規制部
74,94 回動規制部
121 ねじりコイルばね本体
122,123 腕部
124 蓋体側係止部
125 被取付部材側係止部としてのボックス側係止部
127 折返部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材と、
この被取付部材に回動可能に軸支された蓋体と、
この蓋体と前記被取付部材との間に取り付けられ前記蓋体を回動位置に応じて付勢するねじりコイルばねとを具備し、
前記ねじりコイルばねは、
コイル状のねじりコイルばね本体と、
このねじりコイルばね本体の両端からこのねじりコイルばね本体の互いに異なる接線方向に沿ってそれぞれ突出した対をなす腕部と、
一方の前記腕部の先端側に位置し前記蓋体に係止される蓋体側係止部と、
他方の前記腕部の先端側に位置しコイル状に形成され前記被取付部材に係止される被取付部材側係止部とを備え、
前記被取付部材は、
前記被取付部材側係止部に挿入される係止軸と、
この係止軸に形成され前記被取付部材側係止部を軸方向へと弾性的に圧縮した状態で前記係止軸に保持する規制部とを備えている
ことを特徴とした蓋装置。
【請求項2】
被取付部材側係止部は、他方の腕部に対して反対側の端部を折り返すことにより形成された折返部を有し、
係止軸は、前記折返部が当接することにより他方の前記腕部が一方の腕部に対して開く方向への前記被取付部材側係止部の回動を規制する回動規制部を有している
ことを特徴とした請求項1記載の蓋装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の蓋装置を備え、
被取付部材は、蓋体の回動により開閉可能で収納物を出し入れ可能な開口部の側部を区画する側板部を有し、
規制部は、前記側板部に配置されている
ことを特徴とした収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−51374(P2011−51374A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199452(P2009−199452)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】