蓋装置及び収納装置
【課題】2色成形で形成したシャッター状の蓋装置の変形を抑制する。
【解決手段】コンソールボックス10は、ボックス本体11のガイドレール21に沿って移動可能な蓋装置12を備える。蓋装置12は、2色成形により、硬質樹脂製の芯体部31の表面側に軟質樹脂製の表面部32を一体的に形成する。表面部32は、芯体35,36の長手方向に沿って表面側に密着する被覆部52を備える。段付芯体36の被覆部52には、長手方向に区画するように溝部58を形成する。表面部32が収縮する際の力を抑制し、蓋装置12の変形を抑制できる。
【解決手段】コンソールボックス10は、ボックス本体11のガイドレール21に沿って移動可能な蓋装置12を備える。蓋装置12は、2色成形により、硬質樹脂製の芯体部31の表面側に軟質樹脂製の表面部32を一体的に形成する。表面部32は、芯体35,36の長手方向に沿って表面側に密着する被覆部52を備える。段付芯体36の被覆部52には、長手方向に区画するように溝部58を形成する。表面部32が収縮する際の力を抑制し、蓋装置12の変形を抑制できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のコンソールボックスに用いる蓋装置、及び蓋装置を備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車の車室内において、蓋装置を備えたコンソールボックスなどの収納装置が用いられている。
【0003】
このようなコンソールボックスの蓋装置について、屈曲可能な板状の蓋体をガイドレールに沿って移動させるいわゆるシャッター式の蓋装置が知られている。このような蓋装置として、例えば、並べて配置された多数の片状の硬質樹脂部の表面側を軟質樹脂部で覆い、この軟質樹脂部で硬質樹脂部同士を連結するとともに、この軟質樹脂部で硬質樹脂部同士の間に屈曲可能な薄肉部を形成した構成が知られている。そして、この蓋装置は、いわゆる2色成形により形成され、予め形成(1次形成)された硬質樹脂部が配置された金型に、軟質樹脂部の材料を導入し、硬質樹脂部に一体的に接合された板状の軟質樹脂部が形成(2次形成)されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この構成では、軟質樹脂部は、蓋装置の幅方向に連続して形成され、すなわち、硬質樹脂部の表面側の長手方向の全長にわたって一様に連続して形成されている。そこで、軟質樹脂部の材料が硬化する際の収縮時のいわゆる2次収縮時に、硬質樹脂部の剛性に抗して蓋装置の全体が幅方向の両端部が上方に向かって反るように湾曲するおそれがある。ここで、例えば硬質樹脂部の裏面側に大形のリブを形成して硬質樹脂部の剛性を高める構成が考えられるが、この構成では、樹脂の材料が多く必要になり、質量や製造コストが増加するとともに、裏面側のリブがコンソールボックスなどの収納部分に向かって突出し、収納可能な空間が小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−90186号公報 (第4−5頁、図1−図4、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、2色成形により硬質樹脂製の芯材の表面側に軟質樹脂製の表皮部を一体的に設けた構成では、表皮部が硬化する際の収縮により、蓋装置が湾曲するおそれがある問題を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、所望の形状にできる蓋装置及び蓋装置を備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の蓋装置は、ガイドレールに沿って所定方向に移動可能な蓋装置であって、前記所定方向と交差する方向を長手方向とする複数の芯体を備えた芯体部と、前記芯体より軟質の樹脂にて形成され、前記芯体の一面側に密着してこれら芯体の一面側を覆う被覆部と、これら芯体同士を屈曲可能に連結するヒンジ部とを備えた表面部とを具備し、少なくとも一の前記被覆部には、この被覆部を前記芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられたものである。
【0009】
請求項2記載の蓋装置は、請求項1記載の蓋装置において、芯体は、表面部より硬質の樹脂にて形成され、表面部は、予め形成された芯体が配置された金型内に樹脂原料を導入して形成されたものである。
【0010】
請求項3記載の収納装置は、開口部を設けた収納部と、前記開口部の両側部に沿って配置された一対のガイドレールと、これらガイドレールに長手方向に沿った両側部が案内され前記開口部を開閉可能に移動する請求項1または2記載の蓋装置とを具備したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の蓋装置によれば、複数の芯体を軟質の表面部で覆って連結することにより、法線方向に屈曲可能な面状の蓋装置が構成される。所定方向及び法線方向に交差する芯体の長手方向については、芯体により屈曲せずに形状が保持される。軟質の樹脂にて形成された表面部は、形成時に収縮する傾向があり、この収縮する力が芯体の一面側に密着してこれら芯体の一面側を覆う被覆部から芯体に加わるが、少なくとも一の被覆部には、この被覆部を芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられたため、表面部から芯体に加わる力が抑制され、芯体の長手方向に蓋装置が湾曲する変形を抑制し、蓋装置を容易に所望の形状にできる。
【0012】
請求項2記載の蓋装置によれば、請求項1記載の効果に加え、芯体は、表面部より硬質の樹脂にて形成され、表面部は、予め形成された芯体が配置された金型内に樹脂原料を導入して形成されたものであり、表面部が硬化する際に収縮する力が芯体を湾曲させる状態となりやすいが、被覆部に芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられた請求項1記載の構成を備えたため、芯体の長手方向に蓋装置が湾曲する変形を抑制し、蓋装置を容易に所望の形状にできる。
【0013】
請求項3記載の収納装置によれば、請求項1または2記載の効果に加え、請求項1または2記載の蓋装置を備えたため、所望の形状の蓋装置を備えた収納装置を容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の蓋装置及び収納装置の一実施の形態を示す一部の説明図である。
【図2】同上蓋装置及び収納装置の斜視図である。
【図3】同上蓋装置の説明図である。
【図4】同上蓋装置の図3のI−I断面図である。
【図5】同上蓋装置の芯体の一部の斜視図である。
【図6】本発明の蓋装置の他の実施の形態を示す説明図である。
【図7】同上蓋装置の図6のII−II断面図である。
【図8】本発明の蓋装置のさらに他の実施の形態を示す一部の説明図である。
【図9】同上蓋装置の一部の断面図である。
【図10】同上蓋装置の芯体の斜視図である。
【図11】本発明の蓋装置のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の蓋装置及び収納装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1及び図2において、10は収納装置としての収納ボックスであるコンソールボックスで、このコンソールボックス10は、車両である自動車の運転席と助手席との間に配置され、車体のフロアに固定されるボックス本体11と、このボックス本体11に移動可能に取り付けられたシャッター状の蓋装置12とを備えている。なお、以下、前後方向、上下方向、及び両側方向などの方向については、コンソールボックス10を取り付けた車両の直進方向を基準として説明し、矢印A方向を所定方向に沿った前後方向、矢印U方向を法線方向に沿った上方向、矢印W方向を所定方向に交差する方向ここでは直交する方向に沿った両側方向である幅方向として説明する。
【0017】
そして、ボックス本体11は、例えば合成樹脂にて形成した部材を組み合わせるなどして、上面を四角状の開口部14とした収納部15と、この開口部14の部分を除いて収納部15の外周を覆う外装部16とを備えるとともに、開口部14の両側部に位置して、両側一対のガイドレール21が備えられている。これらガイドレール21は、両側方向に対向して所定の間隔で配置され、それぞれ中央側すなわち開口部14側に向かって開口するガイド溝部22を設けた断面略コの字状レール状をなしている。そして、これらのガイドレール21すなわちガイド溝部22は、図2に2点鎖線で示すように、収納部15の上側の開口部14に沿った水平部24と、収納部15の後方に沿って下方に向かう垂直な下降部25と、これら水平部24と下降部25とを湾曲して滑らかに連接する湾曲部26とが設けられている。また、外装部16は、側面部分から上方に延設され、開口部14の上側を囲む枠状部28が形成されている。
【0018】
また、蓋装置12は、ガイドレール21に沿ってスライドして開口部14を開閉可能に設けられ、扉用シャッターあるいは物入れ扉とも呼び得るもので、図1ないし図4に示すように、平面上に載置した状態で、移動方向である前後方向Aを長手方向とし、前後方向Aについては柔軟かつ弾性的に変形するとともに、幅方向Wには剛性を有して変形しない略板状の構造をなしている。そして、この蓋装置12は、いわゆる軟質樹脂とこの軟質樹脂よりも硬質の硬質樹脂とを用いた2色成形により一体的に形成されたいわゆる2色成形品となっている。すなわち、この蓋装置12は、硬質樹脂にて形成された複数の芯体を備える芯体部31と、この芯体部31の上面側である表面側を覆って各芯体部31に一体的に密着した表面部32とを備え、いわば横長の小片が連接された構成となっている。なお、芯体部31及び表面部32は一体的に密着して形成されるもので、通常は分離可能なものではないが、図1及び図3等については理解を容易にするためこれら芯体部31及び表面部32を分離した状態で示している。
【0019】
ここで、例えば、軟質樹脂は、例えば、エチレン系エラストマー(TPE)であり、硬質樹脂はポリカーボネートとABS樹脂とのポリマーアロイである。
【0020】
そして、芯体部31は、図1、図3ないし図5に示すように、インナー材などとも呼び得るもので、芯体としての複数ここでは多数の一般芯体35と、芯体としての複数ここでは4個の段付芯体36と、1個の端部芯体37とを備えている。そして、多数の一般芯体35が、前後方向Aに沿って互いに一定の間隔を介して配置され、この一般芯体35の一側に段付芯体36が前後方向Aに沿って互いに一定の間隔を介して配置され、一般芯体35の他側に端部芯体37が配置されている。
【0021】
そして、一般芯体35は、全体として細長い棒状で、細長い棒状の芯体本体41と、この芯体本体41の軸方向である長手方向の両端部から突設された芯体軸部42と、芯体本体41の上部から上側に突設された芯体リブ部43とを備えている。そして、芯体本体41は、上面より下面の寸法が小さい断面略台形状で、上面のほぼ全面から上側に向かい芯体リブ部43が突設されている。また、芯体本体41の長手方向の両端部には、下側部よりも上側部が突設された側端突設部44が形成され、この側端突設部44の下端部に沿うようにして、円柱状の芯体軸部42が突設されている。
【0022】
また、段付芯体36は、一般芯体35に対し、芯体リブ部43の部分を除いて同じ形状に形成され、細長い棒状の芯体本体41と、この芯体本体41の軸方向である長手方向の両端部から突設された芯体軸部42と、芯体本体41の上部から上側に突設された芯体リブ部43と、側端突設部44とを備えている。そして、この段付芯体36の芯体リブ部43は、芯体本体41の幅方向の一部に形成されている。さらに、この段付芯体36の芯体リブ部43には、複数カ所、本実施の形態では2カ所に溝状の段部46が凹設して形成され、この段部46により芯体リブ部43が長手方向に区画されている。すなわち、段付芯体36の芯体リブ部43は、長手方向に一様な形状ではなく、中間の一カ所あるは複数カ所に長手方向と交差する段部46が形成されている。
【0023】
また、端部芯体37は、平板状の芯体基部47を備え、この芯体基部47から上側に膨出するように操作部となる把持基部48が突設して形成され、さらに、芯体基部47の両側方向(幅方向W)の端部からは、単数あるいは複数、ここではそれぞれ2カ所から、一般芯体35の芯体軸部42と同じ形状の円柱状の基部芯体軸部49が突設して形成されている。
【0024】
そして、これら芯体部31を構成する一般芯体35、段付芯体36、及び端部芯体37は、金型のキャビティ内に硬質樹脂の樹脂材料を射出することにより、互いに離間した所定の位置に配置された状態で、同時に形成されている。
【0025】
一方、表面部32は、芯体部31を形成した金型の一部を移動させるなどして形状を変化させたキャビティ内に軟質樹脂の樹脂材料を射出することにより、芯体部31に一体的に密着して形成されている。そして、この表面部32は、アウター材とも呼び得るもので、全体としては1枚のシート状をなし、一般芯体35の上側すなわち表面側を覆って密着する一般被覆部51と、段付芯体36の上側すなわち表面側を覆って密着する被覆部52と、端部芯体37の上側すなわち表面側を覆って密着する端部被覆部53と、これら一般被覆部51、被覆部52、及び端部被覆部53の両側方向(幅方向W)の端部から延設され、芯体軸部42及び基部芯体軸部49の外周を覆って密着する軸部被覆部55と、これら一般被覆部51、被覆部52、及び端部被覆部53同士を柔軟に屈曲可能に連結するヒンジ部56とが一体に連続して形成されている。一方、芯体部31の下面である裏面側は、芯体軸部42及び基部芯体軸部49の部分及びこの芯体軸部42及び基部芯体軸部49に近接した一部を除き、表面部32には覆われずに芯体部31が露出した状態となっている。また、表面側については、表面部32は所定の厚さ寸法で芯体部31を覆い、すなわち芯体部31の形状に沿った形状に形成され、端部被覆部53は端部芯体37の芯体基部47及び把持基部48を覆い、一般被覆部51は両側方向(幅方向W)に一様な細長平板状に形成されている。さらに、被覆部52は、段部46の形状に沿って溝部58が形成され、適宜の間隔で区画され両側方向(幅方向W)に一様でない細長板状に形成されている。この溝部58は、表皮段部とも言い得るもので、段部46の位置で段部46の形状に沿って段部46の上側を覆うように形成されている。
【0026】
また、ヒンジ部56は、全ての一般芯体35、段付芯体36、及び端部芯体37同士の間に設けることもできるが、この構成に限られない。本実施の形態では、段付芯体36については、1個の段付芯体36同士の間ごとにヒンジ部56を設けているものの、一般芯体35については2個毎にヒンジ部56を設け、すなわち、隣接する2個1組の一般芯体35は、ヒンジ部56より厚さ寸法が大きく容易に屈曲しない連結部59で連結されている。
【0027】
また、表面部32は、外部に露出する部分であり、適宜の意匠が施されている。
【0028】
また、把持基部48を端部被覆部53で覆った部分が、把持部である操作部60となっている。
【0029】
さらに、表面部32を金型で形成する際は、蓋装置12の長手方向の一端部である段付芯体36を設けた側に、樹脂を導入するゲートが設けられている。
【0030】
そして、このように構成された蓋装置12は、両側のガイドレール21のガイド溝部22に、それぞれ両側の芯体軸部42及び基部芯体軸部49を摺動可能に挿入して、ボックス本体11に移動可能に組み合わされ、コンソールボックス10が構成されている。そして、この蓋装置12の操作部60を前後に移動させることにより、蓋装置12がガイドレール21のガイド溝部22に沿って移動し、蓋装置12により収納部15の開口部14を開閉可能になっている。
【0031】
ここで、蓋装置12がガイド溝部22の湾曲部26を通過する位置では、ガイド溝部22により芯体軸部42が押動され、板状の軟質樹脂の単層構造をなす各ヒンジ部56が柔軟に弾性的に変形するとともに、連結部59も若干弾性的に変形し、適度な摺動抵抗を発生させて良好な操作感を生じさせている。
【0032】
また、操作部60を前端側まで移動させた蓋装置12の全閉の状態においても、段付芯体36の部分すなわち溝部58を設けた部分は、ボックス本体11の枠状部28に覆われて外部に露出しないように設定されている。
【0033】
また、操作部60を後端側まで移動させた蓋装置12の全開の状態においても、芯体基部47はガイド溝部22の水平部24に位置し、湾曲部26に達しないように設定されている。
【0034】
このように、本実施の形態では、シャッター式の蓋装置12を前後にスライド移動させることにより、芯体軸部42及び基部芯体軸部49をガイドレール21のガイド溝部22に沿って移動させ、操作性良く収納部15の開口部14を開閉できる。
【0035】
また、蓋装置12は、硬質樹脂製の芯体部31の表面に軟質樹脂製の表面部32を被覆した構成により、所定方向すなわちガイドレール21に沿って柔軟に変更しながら移動し、かつ幅方向には変形しにくい剛性を有して平面状を維持して外観を向上できる。また、この構成は、2色成形により容易に実現でき、製造コストを低減できる。
【0036】
ここで、予め棒状に形成された芯体35,36を備えた芯体部31の表面側に表面部32を2色成形すると、この表面部32が成形時に収縮する際(成形収縮)の力により、芯体部31の剛性に抗して蓋装置12が反るように変形しやすくなる。すなわち、蓋装置12は、例えばガイドレール21の水平部24に案内される部分について、幅方向Wの両側の端部が相対的に上方に移動し、幅方向Wの中央部が相対的に下方に移動するように変形し、外観が悪化するとともに、蓋装置12の上面にカードなどの薄板状のものが載置された場合に、このカードなどが蓋装置12とボックス本体11の枠状部28との隙間(例えば、図2に矢印Bで示す位置)に入り込みやすくなる。さらに、この表面部32が収縮する力は、樹脂を導入するゲート側で大きくなる。
【0037】
ここで、本実施の形態では、蓋装置12は、蓋装置12の幅方向すなわち段付芯体36の長手方向を区画するように、表面部32の被覆部52に溝部58を設け、軟質樹脂製の表面部32の被覆部52の形状が収縮方向にて一直線上にならないように設定したため、表面部32の被覆部52の収縮により両側方向に沿って芯体部31の表面側を引っ張る負荷が被覆部52の厚さ方向に分散などして抑制され、樹脂収縮の負荷が芯体を変形させる状態で集中して加わることを抑制し、蓋装置12が反るような変形を抑制して外観を良好にできるとともに、周辺部品との隙間の発生を抑制し、いわば合わせ立て付けを向上できる。さらに、本実施の形態では、溝部58は、変形が大きくなりやすいゲート側である蓋装置12の後端側に設けたため、変形の発生を効果的に抑制できるとともに、蓋装置12の後端側を覆うように配置された枠状部28との間に隙間が発生することを効果的に抑制できる。
【0038】
また、表面部32の溝部58は、芯体部31の段付芯体36に形成した溝状の段部46に沿って形成したため、2色成形により容易に形成でき製造コストを低減できる。
【0039】
また、芯体部31の剛性を向上するために芯体部31の各部の厚さ寸法を大きくし、あるいはリブを形成する構成に加え、樹脂の使用量を抑制して製造コスト及び質量を低減できるとともに、収納部15の容量が小さくなることを抑制できる。
【0040】
なお、上記の実施の形態では、溝部58は、蓋装置12の端部の4個の段付芯体36に対応する位置のそれぞれ2カ所に設けたが、この構成に限られない。例えば、図6及び図7に示すように、4個の段付芯体36に対応する位置のそれぞれ4カ所に設けることができる。また、溝部58は、4カ所に限られず、各段付芯体36などの芯体の1カ所、3カ所、あるいは5カ所以上に対応する位置に適宜の間隔を介して設けることもできる。
【0041】
また、段付芯体36は、4個に限られず、3カ所以下、あるいは5カ所以上に設けることもでき、あるいは、一般芯体35を全て段付芯体36とし、蓋装置12のほぼ全体に溝部58を設けることもできる。
【0042】
また、上記の実施の形態では、表面部32の溝部58は、芯体部31に凹設した段部46に沿って表面側から裏面側すなわち上側から下側に突出するように形成したが、この構成に限られず、表面部32に溝部58が形成されれば、芯体部31は適宜の形状を採ることができる。
【0043】
例えば、図8ないし図10に示すように、芯体部31には段部46を形成せず、すなわち段付芯体36を用いずに端部芯体37の他は全て一般芯体35とし、端部側に位置する一般芯体35の表面側の適宜の位置に、厚さ寸法を小さくした溝部58を形成することもできる。
【0044】
さらに、例えば、図4に示す構成と凹凸を上下に逆転し、図11に示すように、芯体部31の段部46は、上側に突設するように形成し、この段部46に沿って下側から上側に向かって凹設するように溝部58を段部として形成することもできる。
【0045】
また、上記の各実施の形態では、複数の溝部58は、前後方向に位置を揃えて形成したが、この構成に限られず、蓋装置12の幅方向に互いに位置をずらして形成することもできる。
【0046】
また、上記の実施の形態では、芯体部31を形成する1次形成の後、この芯体部31を金型から取り外さずに装着したまま表面部32を形成する2次形成を行ったが、この構成に限られず、形成した芯体部31を金型から取り外し、他の金型に装着した状態で、表面部32を形成することもできる。
【0047】
また、上記の実施の形態では、芯体部31を構成する一般芯体35及び段付芯体36は、それぞれ1個の芯体本体41の両端から芯体軸部42を突設した独立した横長の小片状の構成としたが、この構成に限られず、例えば、変形可能な膜状の連接部を設けて複数の芯体本体41同士を連接することもできる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、自動車の運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックス10の蓋装置12について説明したが、この構成に限られず、収納部あるいは収納部以外の部分を開閉可能に覆う蓋装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、自動車の運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックスに適用できる。
【符号の説明】
【0050】
10 収納装置としてのコンソールボックス
12 蓋装置
14 開口部
15 収納部
21 ガイドレール
31 芯体部
32 表面部
35 芯体としての一般芯体
36 芯体としての段付芯体
52 被覆部
56 ヒンジ部
58 溝部
A 所定方向に沿った前後方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のコンソールボックスに用いる蓋装置、及び蓋装置を備えた収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車の車室内において、蓋装置を備えたコンソールボックスなどの収納装置が用いられている。
【0003】
このようなコンソールボックスの蓋装置について、屈曲可能な板状の蓋体をガイドレールに沿って移動させるいわゆるシャッター式の蓋装置が知られている。このような蓋装置として、例えば、並べて配置された多数の片状の硬質樹脂部の表面側を軟質樹脂部で覆い、この軟質樹脂部で硬質樹脂部同士を連結するとともに、この軟質樹脂部で硬質樹脂部同士の間に屈曲可能な薄肉部を形成した構成が知られている。そして、この蓋装置は、いわゆる2色成形により形成され、予め形成(1次形成)された硬質樹脂部が配置された金型に、軟質樹脂部の材料を導入し、硬質樹脂部に一体的に接合された板状の軟質樹脂部が形成(2次形成)されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、この構成では、軟質樹脂部は、蓋装置の幅方向に連続して形成され、すなわち、硬質樹脂部の表面側の長手方向の全長にわたって一様に連続して形成されている。そこで、軟質樹脂部の材料が硬化する際の収縮時のいわゆる2次収縮時に、硬質樹脂部の剛性に抗して蓋装置の全体が幅方向の両端部が上方に向かって反るように湾曲するおそれがある。ここで、例えば硬質樹脂部の裏面側に大形のリブを形成して硬質樹脂部の剛性を高める構成が考えられるが、この構成では、樹脂の材料が多く必要になり、質量や製造コストが増加するとともに、裏面側のリブがコンソールボックスなどの収納部分に向かって突出し、収納可能な空間が小さくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−90186号公報 (第4−5頁、図1−図4、図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、2色成形により硬質樹脂製の芯材の表面側に軟質樹脂製の表皮部を一体的に設けた構成では、表皮部が硬化する際の収縮により、蓋装置が湾曲するおそれがある問題を有している。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、所望の形状にできる蓋装置及び蓋装置を備えた収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の蓋装置は、ガイドレールに沿って所定方向に移動可能な蓋装置であって、前記所定方向と交差する方向を長手方向とする複数の芯体を備えた芯体部と、前記芯体より軟質の樹脂にて形成され、前記芯体の一面側に密着してこれら芯体の一面側を覆う被覆部と、これら芯体同士を屈曲可能に連結するヒンジ部とを備えた表面部とを具備し、少なくとも一の前記被覆部には、この被覆部を前記芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられたものである。
【0009】
請求項2記載の蓋装置は、請求項1記載の蓋装置において、芯体は、表面部より硬質の樹脂にて形成され、表面部は、予め形成された芯体が配置された金型内に樹脂原料を導入して形成されたものである。
【0010】
請求項3記載の収納装置は、開口部を設けた収納部と、前記開口部の両側部に沿って配置された一対のガイドレールと、これらガイドレールに長手方向に沿った両側部が案内され前記開口部を開閉可能に移動する請求項1または2記載の蓋装置とを具備したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の蓋装置によれば、複数の芯体を軟質の表面部で覆って連結することにより、法線方向に屈曲可能な面状の蓋装置が構成される。所定方向及び法線方向に交差する芯体の長手方向については、芯体により屈曲せずに形状が保持される。軟質の樹脂にて形成された表面部は、形成時に収縮する傾向があり、この収縮する力が芯体の一面側に密着してこれら芯体の一面側を覆う被覆部から芯体に加わるが、少なくとも一の被覆部には、この被覆部を芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられたため、表面部から芯体に加わる力が抑制され、芯体の長手方向に蓋装置が湾曲する変形を抑制し、蓋装置を容易に所望の形状にできる。
【0012】
請求項2記載の蓋装置によれば、請求項1記載の効果に加え、芯体は、表面部より硬質の樹脂にて形成され、表面部は、予め形成された芯体が配置された金型内に樹脂原料を導入して形成されたものであり、表面部が硬化する際に収縮する力が芯体を湾曲させる状態となりやすいが、被覆部に芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられた請求項1記載の構成を備えたため、芯体の長手方向に蓋装置が湾曲する変形を抑制し、蓋装置を容易に所望の形状にできる。
【0013】
請求項3記載の収納装置によれば、請求項1または2記載の効果に加え、請求項1または2記載の蓋装置を備えたため、所望の形状の蓋装置を備えた収納装置を容易に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の蓋装置及び収納装置の一実施の形態を示す一部の説明図である。
【図2】同上蓋装置及び収納装置の斜視図である。
【図3】同上蓋装置の説明図である。
【図4】同上蓋装置の図3のI−I断面図である。
【図5】同上蓋装置の芯体の一部の斜視図である。
【図6】本発明の蓋装置の他の実施の形態を示す説明図である。
【図7】同上蓋装置の図6のII−II断面図である。
【図8】本発明の蓋装置のさらに他の実施の形態を示す一部の説明図である。
【図9】同上蓋装置の一部の断面図である。
【図10】同上蓋装置の芯体の斜視図である。
【図11】本発明の蓋装置のさらに他の実施の形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の蓋装置及び収納装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1及び図2において、10は収納装置としての収納ボックスであるコンソールボックスで、このコンソールボックス10は、車両である自動車の運転席と助手席との間に配置され、車体のフロアに固定されるボックス本体11と、このボックス本体11に移動可能に取り付けられたシャッター状の蓋装置12とを備えている。なお、以下、前後方向、上下方向、及び両側方向などの方向については、コンソールボックス10を取り付けた車両の直進方向を基準として説明し、矢印A方向を所定方向に沿った前後方向、矢印U方向を法線方向に沿った上方向、矢印W方向を所定方向に交差する方向ここでは直交する方向に沿った両側方向である幅方向として説明する。
【0017】
そして、ボックス本体11は、例えば合成樹脂にて形成した部材を組み合わせるなどして、上面を四角状の開口部14とした収納部15と、この開口部14の部分を除いて収納部15の外周を覆う外装部16とを備えるとともに、開口部14の両側部に位置して、両側一対のガイドレール21が備えられている。これらガイドレール21は、両側方向に対向して所定の間隔で配置され、それぞれ中央側すなわち開口部14側に向かって開口するガイド溝部22を設けた断面略コの字状レール状をなしている。そして、これらのガイドレール21すなわちガイド溝部22は、図2に2点鎖線で示すように、収納部15の上側の開口部14に沿った水平部24と、収納部15の後方に沿って下方に向かう垂直な下降部25と、これら水平部24と下降部25とを湾曲して滑らかに連接する湾曲部26とが設けられている。また、外装部16は、側面部分から上方に延設され、開口部14の上側を囲む枠状部28が形成されている。
【0018】
また、蓋装置12は、ガイドレール21に沿ってスライドして開口部14を開閉可能に設けられ、扉用シャッターあるいは物入れ扉とも呼び得るもので、図1ないし図4に示すように、平面上に載置した状態で、移動方向である前後方向Aを長手方向とし、前後方向Aについては柔軟かつ弾性的に変形するとともに、幅方向Wには剛性を有して変形しない略板状の構造をなしている。そして、この蓋装置12は、いわゆる軟質樹脂とこの軟質樹脂よりも硬質の硬質樹脂とを用いた2色成形により一体的に形成されたいわゆる2色成形品となっている。すなわち、この蓋装置12は、硬質樹脂にて形成された複数の芯体を備える芯体部31と、この芯体部31の上面側である表面側を覆って各芯体部31に一体的に密着した表面部32とを備え、いわば横長の小片が連接された構成となっている。なお、芯体部31及び表面部32は一体的に密着して形成されるもので、通常は分離可能なものではないが、図1及び図3等については理解を容易にするためこれら芯体部31及び表面部32を分離した状態で示している。
【0019】
ここで、例えば、軟質樹脂は、例えば、エチレン系エラストマー(TPE)であり、硬質樹脂はポリカーボネートとABS樹脂とのポリマーアロイである。
【0020】
そして、芯体部31は、図1、図3ないし図5に示すように、インナー材などとも呼び得るもので、芯体としての複数ここでは多数の一般芯体35と、芯体としての複数ここでは4個の段付芯体36と、1個の端部芯体37とを備えている。そして、多数の一般芯体35が、前後方向Aに沿って互いに一定の間隔を介して配置され、この一般芯体35の一側に段付芯体36が前後方向Aに沿って互いに一定の間隔を介して配置され、一般芯体35の他側に端部芯体37が配置されている。
【0021】
そして、一般芯体35は、全体として細長い棒状で、細長い棒状の芯体本体41と、この芯体本体41の軸方向である長手方向の両端部から突設された芯体軸部42と、芯体本体41の上部から上側に突設された芯体リブ部43とを備えている。そして、芯体本体41は、上面より下面の寸法が小さい断面略台形状で、上面のほぼ全面から上側に向かい芯体リブ部43が突設されている。また、芯体本体41の長手方向の両端部には、下側部よりも上側部が突設された側端突設部44が形成され、この側端突設部44の下端部に沿うようにして、円柱状の芯体軸部42が突設されている。
【0022】
また、段付芯体36は、一般芯体35に対し、芯体リブ部43の部分を除いて同じ形状に形成され、細長い棒状の芯体本体41と、この芯体本体41の軸方向である長手方向の両端部から突設された芯体軸部42と、芯体本体41の上部から上側に突設された芯体リブ部43と、側端突設部44とを備えている。そして、この段付芯体36の芯体リブ部43は、芯体本体41の幅方向の一部に形成されている。さらに、この段付芯体36の芯体リブ部43には、複数カ所、本実施の形態では2カ所に溝状の段部46が凹設して形成され、この段部46により芯体リブ部43が長手方向に区画されている。すなわち、段付芯体36の芯体リブ部43は、長手方向に一様な形状ではなく、中間の一カ所あるは複数カ所に長手方向と交差する段部46が形成されている。
【0023】
また、端部芯体37は、平板状の芯体基部47を備え、この芯体基部47から上側に膨出するように操作部となる把持基部48が突設して形成され、さらに、芯体基部47の両側方向(幅方向W)の端部からは、単数あるいは複数、ここではそれぞれ2カ所から、一般芯体35の芯体軸部42と同じ形状の円柱状の基部芯体軸部49が突設して形成されている。
【0024】
そして、これら芯体部31を構成する一般芯体35、段付芯体36、及び端部芯体37は、金型のキャビティ内に硬質樹脂の樹脂材料を射出することにより、互いに離間した所定の位置に配置された状態で、同時に形成されている。
【0025】
一方、表面部32は、芯体部31を形成した金型の一部を移動させるなどして形状を変化させたキャビティ内に軟質樹脂の樹脂材料を射出することにより、芯体部31に一体的に密着して形成されている。そして、この表面部32は、アウター材とも呼び得るもので、全体としては1枚のシート状をなし、一般芯体35の上側すなわち表面側を覆って密着する一般被覆部51と、段付芯体36の上側すなわち表面側を覆って密着する被覆部52と、端部芯体37の上側すなわち表面側を覆って密着する端部被覆部53と、これら一般被覆部51、被覆部52、及び端部被覆部53の両側方向(幅方向W)の端部から延設され、芯体軸部42及び基部芯体軸部49の外周を覆って密着する軸部被覆部55と、これら一般被覆部51、被覆部52、及び端部被覆部53同士を柔軟に屈曲可能に連結するヒンジ部56とが一体に連続して形成されている。一方、芯体部31の下面である裏面側は、芯体軸部42及び基部芯体軸部49の部分及びこの芯体軸部42及び基部芯体軸部49に近接した一部を除き、表面部32には覆われずに芯体部31が露出した状態となっている。また、表面側については、表面部32は所定の厚さ寸法で芯体部31を覆い、すなわち芯体部31の形状に沿った形状に形成され、端部被覆部53は端部芯体37の芯体基部47及び把持基部48を覆い、一般被覆部51は両側方向(幅方向W)に一様な細長平板状に形成されている。さらに、被覆部52は、段部46の形状に沿って溝部58が形成され、適宜の間隔で区画され両側方向(幅方向W)に一様でない細長板状に形成されている。この溝部58は、表皮段部とも言い得るもので、段部46の位置で段部46の形状に沿って段部46の上側を覆うように形成されている。
【0026】
また、ヒンジ部56は、全ての一般芯体35、段付芯体36、及び端部芯体37同士の間に設けることもできるが、この構成に限られない。本実施の形態では、段付芯体36については、1個の段付芯体36同士の間ごとにヒンジ部56を設けているものの、一般芯体35については2個毎にヒンジ部56を設け、すなわち、隣接する2個1組の一般芯体35は、ヒンジ部56より厚さ寸法が大きく容易に屈曲しない連結部59で連結されている。
【0027】
また、表面部32は、外部に露出する部分であり、適宜の意匠が施されている。
【0028】
また、把持基部48を端部被覆部53で覆った部分が、把持部である操作部60となっている。
【0029】
さらに、表面部32を金型で形成する際は、蓋装置12の長手方向の一端部である段付芯体36を設けた側に、樹脂を導入するゲートが設けられている。
【0030】
そして、このように構成された蓋装置12は、両側のガイドレール21のガイド溝部22に、それぞれ両側の芯体軸部42及び基部芯体軸部49を摺動可能に挿入して、ボックス本体11に移動可能に組み合わされ、コンソールボックス10が構成されている。そして、この蓋装置12の操作部60を前後に移動させることにより、蓋装置12がガイドレール21のガイド溝部22に沿って移動し、蓋装置12により収納部15の開口部14を開閉可能になっている。
【0031】
ここで、蓋装置12がガイド溝部22の湾曲部26を通過する位置では、ガイド溝部22により芯体軸部42が押動され、板状の軟質樹脂の単層構造をなす各ヒンジ部56が柔軟に弾性的に変形するとともに、連結部59も若干弾性的に変形し、適度な摺動抵抗を発生させて良好な操作感を生じさせている。
【0032】
また、操作部60を前端側まで移動させた蓋装置12の全閉の状態においても、段付芯体36の部分すなわち溝部58を設けた部分は、ボックス本体11の枠状部28に覆われて外部に露出しないように設定されている。
【0033】
また、操作部60を後端側まで移動させた蓋装置12の全開の状態においても、芯体基部47はガイド溝部22の水平部24に位置し、湾曲部26に達しないように設定されている。
【0034】
このように、本実施の形態では、シャッター式の蓋装置12を前後にスライド移動させることにより、芯体軸部42及び基部芯体軸部49をガイドレール21のガイド溝部22に沿って移動させ、操作性良く収納部15の開口部14を開閉できる。
【0035】
また、蓋装置12は、硬質樹脂製の芯体部31の表面に軟質樹脂製の表面部32を被覆した構成により、所定方向すなわちガイドレール21に沿って柔軟に変更しながら移動し、かつ幅方向には変形しにくい剛性を有して平面状を維持して外観を向上できる。また、この構成は、2色成形により容易に実現でき、製造コストを低減できる。
【0036】
ここで、予め棒状に形成された芯体35,36を備えた芯体部31の表面側に表面部32を2色成形すると、この表面部32が成形時に収縮する際(成形収縮)の力により、芯体部31の剛性に抗して蓋装置12が反るように変形しやすくなる。すなわち、蓋装置12は、例えばガイドレール21の水平部24に案内される部分について、幅方向Wの両側の端部が相対的に上方に移動し、幅方向Wの中央部が相対的に下方に移動するように変形し、外観が悪化するとともに、蓋装置12の上面にカードなどの薄板状のものが載置された場合に、このカードなどが蓋装置12とボックス本体11の枠状部28との隙間(例えば、図2に矢印Bで示す位置)に入り込みやすくなる。さらに、この表面部32が収縮する力は、樹脂を導入するゲート側で大きくなる。
【0037】
ここで、本実施の形態では、蓋装置12は、蓋装置12の幅方向すなわち段付芯体36の長手方向を区画するように、表面部32の被覆部52に溝部58を設け、軟質樹脂製の表面部32の被覆部52の形状が収縮方向にて一直線上にならないように設定したため、表面部32の被覆部52の収縮により両側方向に沿って芯体部31の表面側を引っ張る負荷が被覆部52の厚さ方向に分散などして抑制され、樹脂収縮の負荷が芯体を変形させる状態で集中して加わることを抑制し、蓋装置12が反るような変形を抑制して外観を良好にできるとともに、周辺部品との隙間の発生を抑制し、いわば合わせ立て付けを向上できる。さらに、本実施の形態では、溝部58は、変形が大きくなりやすいゲート側である蓋装置12の後端側に設けたため、変形の発生を効果的に抑制できるとともに、蓋装置12の後端側を覆うように配置された枠状部28との間に隙間が発生することを効果的に抑制できる。
【0038】
また、表面部32の溝部58は、芯体部31の段付芯体36に形成した溝状の段部46に沿って形成したため、2色成形により容易に形成でき製造コストを低減できる。
【0039】
また、芯体部31の剛性を向上するために芯体部31の各部の厚さ寸法を大きくし、あるいはリブを形成する構成に加え、樹脂の使用量を抑制して製造コスト及び質量を低減できるとともに、収納部15の容量が小さくなることを抑制できる。
【0040】
なお、上記の実施の形態では、溝部58は、蓋装置12の端部の4個の段付芯体36に対応する位置のそれぞれ2カ所に設けたが、この構成に限られない。例えば、図6及び図7に示すように、4個の段付芯体36に対応する位置のそれぞれ4カ所に設けることができる。また、溝部58は、4カ所に限られず、各段付芯体36などの芯体の1カ所、3カ所、あるいは5カ所以上に対応する位置に適宜の間隔を介して設けることもできる。
【0041】
また、段付芯体36は、4個に限られず、3カ所以下、あるいは5カ所以上に設けることもでき、あるいは、一般芯体35を全て段付芯体36とし、蓋装置12のほぼ全体に溝部58を設けることもできる。
【0042】
また、上記の実施の形態では、表面部32の溝部58は、芯体部31に凹設した段部46に沿って表面側から裏面側すなわち上側から下側に突出するように形成したが、この構成に限られず、表面部32に溝部58が形成されれば、芯体部31は適宜の形状を採ることができる。
【0043】
例えば、図8ないし図10に示すように、芯体部31には段部46を形成せず、すなわち段付芯体36を用いずに端部芯体37の他は全て一般芯体35とし、端部側に位置する一般芯体35の表面側の適宜の位置に、厚さ寸法を小さくした溝部58を形成することもできる。
【0044】
さらに、例えば、図4に示す構成と凹凸を上下に逆転し、図11に示すように、芯体部31の段部46は、上側に突設するように形成し、この段部46に沿って下側から上側に向かって凹設するように溝部58を段部として形成することもできる。
【0045】
また、上記の各実施の形態では、複数の溝部58は、前後方向に位置を揃えて形成したが、この構成に限られず、蓋装置12の幅方向に互いに位置をずらして形成することもできる。
【0046】
また、上記の実施の形態では、芯体部31を形成する1次形成の後、この芯体部31を金型から取り外さずに装着したまま表面部32を形成する2次形成を行ったが、この構成に限られず、形成した芯体部31を金型から取り外し、他の金型に装着した状態で、表面部32を形成することもできる。
【0047】
また、上記の実施の形態では、芯体部31を構成する一般芯体35及び段付芯体36は、それぞれ1個の芯体本体41の両端から芯体軸部42を突設した独立した横長の小片状の構成としたが、この構成に限られず、例えば、変形可能な膜状の連接部を設けて複数の芯体本体41同士を連接することもできる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、自動車の運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックス10の蓋装置12について説明したが、この構成に限られず、収納部あるいは収納部以外の部分を開閉可能に覆う蓋装置に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、自動車の運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックスに適用できる。
【符号の説明】
【0050】
10 収納装置としてのコンソールボックス
12 蓋装置
14 開口部
15 収納部
21 ガイドレール
31 芯体部
32 表面部
35 芯体としての一般芯体
36 芯体としての段付芯体
52 被覆部
56 ヒンジ部
58 溝部
A 所定方向に沿った前後方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに沿って所定方向に移動可能な蓋装置であって、
前記所定方向と交差する方向を長手方向とする複数の芯体を備えた芯体部と、
前記芯体より軟質の樹脂にて形成され、前記芯体の一面側に密着してこれら芯体の一面側を覆う被覆部と、これら芯体同士を屈曲可能に連結するヒンジ部とを備えた表面部とを具備し、
少なくとも一の前記被覆部には、この被覆部を前記芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられた
ことを特徴とする蓋装置。
【請求項2】
芯体は、表面部より硬質の樹脂にて形成され、表面部は、予め形成された芯体が配置された金型内に樹脂原料を導入して形成された
ことを特徴とする請求項1記載の蓋装置。
【請求項3】
開口部を設けた収納部と、
前記開口部の両側部に沿って配置された一対のガイドレールと、
これらガイドレールに長手方向に沿った両側部が案内され前記開口部を開閉可能に移動する請求項1または2記載の蓋装置と
を具備したことを特徴とする収納装置。
【請求項1】
ガイドレールに沿って所定方向に移動可能な蓋装置であって、
前記所定方向と交差する方向を長手方向とする複数の芯体を備えた芯体部と、
前記芯体より軟質の樹脂にて形成され、前記芯体の一面側に密着してこれら芯体の一面側を覆う被覆部と、これら芯体同士を屈曲可能に連結するヒンジ部とを備えた表面部とを具備し、
少なくとも一の前記被覆部には、この被覆部を前記芯体の長手方向と交差する方向に区画する溝部が設けられた
ことを特徴とする蓋装置。
【請求項2】
芯体は、表面部より硬質の樹脂にて形成され、表面部は、予め形成された芯体が配置された金型内に樹脂原料を導入して形成された
ことを特徴とする請求項1記載の蓋装置。
【請求項3】
開口部を設けた収納部と、
前記開口部の両側部に沿って配置された一対のガイドレールと、
これらガイドレールに長手方向に沿った両側部が案内され前記開口部を開閉可能に移動する請求項1または2記載の蓋装置と
を具備したことを特徴とする収納装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−71777(P2012−71777A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219574(P2010−219574)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
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