説明

蓋開閉装置、およびそれを備えた情報処理装置

【課題】蓋体によって封口される凹部の気密性を保ったまま、蓋体を閉める際に大きな荷重をかける必要がなく、閉じる際の操作性を向上させることができる。
【解決手段】シール材に当接するリブの高さを、支軸から当該支軸に対向する蓋体の縁にかけて漸近的に低くなるように形成した。これにより、蓋体に対して小さな荷重を加えるだけで蓋体を閉じることができ、蓋体の開閉操作性を向上させることができる。また、蓋体によって封口されるディスクドライブを備えた凹部の気密性も確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体を開閉自在に支持する蓋開閉装置に関する。本発明は、蓋開閉装置を備えた情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンなどのモバイル機器は、モバイル性能向上に伴い、防水・防滴性能を訴求する製品も増加している。モバイル機器の防水・防滴性能を向上するためには、モバイル機器の筐体間の隙間や蓋体と筐体との間の隙間などに水分が侵入しないようする工夫が必要である。隙間に水分が侵入しないようにする工夫としては、例えば、隙間に発泡ウレタンなどのクッション性を有するシール材を配置し、そのシール材を筐体または蓋体で挟んで圧縮する構成がある。特開2005−302976号公報は、防水構造を備える筐体を開示している。
【0003】
図6は、従来の情報処理装置の斜視図である。図6に示すように、情報処理装置は、第1の筐体101と第2の筐体102とを備えている。第1の筐体101は、キーボード105やポインティングデバイス106などを備えている。第2の筐体102は、液晶ディスプレイ102aを備えている。第1の筐体101と第2の筐体102とは、ヒンジ部103によって開閉自在に支持されている。第1の筐体101は、蓋体104を備えている。
【0004】
図7は、蓋体104が開いた状態を示す。図7に示すように、蓋体104は、ディスク状媒体を着脱可能なディスクドライブ111を備えた凹部116を開閉することができる。ディスクドライブ111は、ターンテーブル113、光ピックアップ114などを備えている。ディスクドライブ111は、凹部116内に配されている。凹部116は、リブ112を備えている。ターンテーブル113は、ディスク状媒体の中央に形成された円形の孔部と嵌合することで、ディスク状媒体を保持することができる。光ピックアップ114は、ターンテーブル113に装着されたディスク状媒体の記録面に対してレーザー光を出射して、記録面に情報を記録することができる。光ピックアップ114は、記録面を反射した光を受光素子で受光することで、ディスク状媒体に記録された情報を読み取ることができる。
【0005】
また、蓋体104の内面には、ゴムなどの弾性材で形成されたシール材141が配されている。リブ112は、蓋体104が図6に示す閉じた状態になった時にシール材141を圧縮変形させながらシール材141に埋没する。これにより、凹部116の気密性を向上させ、水分や埃などの異物がディスクドライブ111に付着するのを防いでいる。
【0006】
図8は、蓋体104が開いた状態におけるノートパソコンの要部断面図である。図9は、蓋体104が閉じた状態におけるノートパソコンの要部断面図である。図8に示すようにリブ112は、ディスクドライブ111の底面111aからの高さ寸法H11が、蓋体104に対向する領域において、蓋体104の内面104aの面方向にほぼ均一となるように形成されている。また、リブ112は、図9に示す閉塞状態において、シール材141の表面141aに対して平行となるように形成されているため、シール材141に対するリブ112の埋没量は、蓋体104の内面104aの面方向にほぼ均一となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2005−302976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら上記従来の構成では、蓋体104を閉じる際、シール材141を圧縮させるために蓋体104に対して大きな荷重をかける必要があり、閉じる際の操作性が良いとは言えなかった。
【0009】
本発明は、蓋体によって封口される凹部の気密性を保ったまま、蓋体を閉める際に大きな荷重をかける必要がなく、閉じる際の操作性を向上させることができる蓋開閉装置およびそれを備えた情報処理装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するため、本発明の本質は、筐体に備える凹部の周囲を形成する開口部を、支軸回りに蓋体が閉塞する際に、蓋体に配されるシール材に対する凹部内に立設されるリブの埋没量を、支軸側から当該支軸に対向する蓋体の縁にかけて少なくする構成を有する蓋開閉装置である。また、本発明の本質は、この蓋開閉装置を備える情報処理装置である。
【0011】
本発明の第1の蓋開閉装置は、凹部の周囲を構成する開口部を備えた筐体と、前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、前記凹部は、前記蓋体本体が前記開口部を閉じた際に前記シール材に埋没可能な位置に形成されたリブを備え、前記連結辺近傍に配された前記シール材と係合する前記リブは、前記凹部の深さ方向の高さが、前記支軸側辺から前記対向側辺に向かって漸近的に低くなるように形成されているものである。
【0012】
本発明の第2の蓋開閉装置は、凹部の周囲を構成する開口部を備えた筐体と、前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、前記連結辺近傍に配された前記シール材は、前記凹部の深さ方向の厚みが、前記支軸側辺から前記対向側辺にかけて漸近的に薄くなるように形成されているものである。
【0013】
本発明の第1の情報処理装置は、凹部の周囲を構成する開口部を備え、前記凹部内に配されたディスクドライブを備えた筐体と、前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺と対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、前記凹部は、前記蓋体本体が前記開口部を閉じた際に前記シール材に埋没可能な位置に形成されたリブを備え、前記連結辺近傍に配された前記シール材と係合する前記リブは、前記凹部の深さ方向の高さが、前記支軸側辺から前記対向側辺に向かって漸近的に低くなるように形成されているものである。
【0014】
本発明の第2の情報処理装置は、凹部の周囲を構成する開口部を備え、前記凹部内に配されたディスクドライブを備えた筐体と、前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、前記連結辺近傍に配された前記シール材は、前記凹部の深さ方向の厚みが、前記支軸側辺から前記対向側辺にかけて漸近的に薄くなるように形成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、蓋体によって封口される凹部の気密性を保ったまま、開閉時の荷重を軽減することができる。よって、閉じる際の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施の形態における情報処理装置の外観を示す斜視図
【図2】本実施の形態における情報処理装置の外観を示す斜視図
【図3】第1の筐体における蓋体近傍の平面図
【図4】図2におけるZ−Z部の断面図
【図5】図1におけるZ−Z部の断面図
【図6】従来の情報処理装置の斜視図
【図7】従来の情報処理装置の斜視図
【図8】図7におけるZ−Z部の断面図
【図9】図6におけるZ−Z部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態)
〔1.情報処理装置の構成〕
図1は、本実施の形態の情報処理装置の外観を示す斜視図である。図1は、情報処理装置の一例であるノートパソコンの第1の状態を示す。図2は、本実施の形態におけるノートパソコンにおいて蓋体が開いた状態を示す斜視図である。図3は、第1の筐体における蓋体近傍の平面図である。なお、本実施の形態では、情報処理装置の一例としてノートパソコンを挙げたが、携帯電話端末や携帯型ゲーム機などのように例えば情報媒体を着脱可能なドライブを内蔵した凹部を備え、その凹部を開閉可能な蓋体を備えた情報処理装置であればよい。
【0018】
図1に示すように、ノートパソコンは、第1の筐体1と第2の筐体2とを備えている。第1の筐体1は、各種電気素子が実装された回路基板、情報処理回路、およびハードディスクドライブなどを内蔵している。第2の筐体2は、液晶ディスプレイ2aを備えている。第1の筐体1と第2の筐体2とは、ヒンジ部3によって互いに回動自在に支持されている。第2の筐体2を、図1に示す位置(第1の状態)から矢印Aに示す方向へ回動させることで、液晶ディスプレイ2aとキーボード5とが近接対向した第2の状態へ移行させることができる。また、第2の状態において第2の筐体と対向する第1の筐体の面を「上側」と定義すると、第1の筐体1の上面1aにはキーボード5とポインティングデバイス6とを備えている。キーボード5は、各種文字の入力操作が可能である。ポインティングデバイス6は、液晶ディスプレイ2aに表示されるカーソルを所望の位置へ移動する操作が可能である。なお、キーボード5の入力操作に基づき生成された情報信号や、ハードディスクドライブから出力された情報信号などは、情報処理回路で所定の処理を施し、例えば液晶ディスクプレイ2aで表示する表示信号などに変換される。また、第1の筐体1の上面1aには、凹部16と、凹部16を構成する開口部17と、開口部17を開閉可能な蓋体4を備えている。
【0019】
蓋体4は、矢印Bに示す方向(図1)または矢印Cに示す方向(図2)へ回動可能に、第1の筐体1に支持されている。蓋体4は、図2に示すように第1の筐体1の凹部16内に配されたディスクドライブ11を、露出した状態または隠蔽した状態に移行することができる。「ディスクドライブ11を露出した状態」とは、少なくともディスクドライブ11に備わるターンテーブル13にディスク状媒体21を着脱可能な状態であり、蓋体4が凹部16または開口部17を開放した状態と等しい。「ディスクドライブ11を隠蔽した状態」とは、少なくともターンテーブル13にディスク状媒体21を着脱できない状態であり、蓋体4が凹部16または開口部17を閉塞した状態に等しい。
【0020】
図3に示すように、蓋体4は、支軸側辺4c、対向側辺4d、連結辺4e、連結辺4f、および蓋体本体4gを備えている。蓋体本体4gは、蓋体4が閉蓋状態になったときに、開口部17の全体または一部を覆うことができる。蓋体本体4gは、支軸側辺4c、対向側辺4d、連結辺4e、および連結辺4fで囲まれている。支軸側辺4cは、支軸42の近傍に配されている。対向側辺4dと支軸側辺4cとは、蓋体本体4gを介して対向している。連結辺4e及び4fは、支軸側辺4cと対向側辺4dとを連結している。連結辺4eと連結辺4fとは、蓋体本体4gを介して対向している。
【0021】
ディスクドライブ11は、ターンテーブル13,光ピックアップ14などを備えている。ディスクドライブ11は、凹部16内に配されている。凹部16は、リブ12を備えている。リブ12は、凹部16の底面11aに立設されている。ターンテーブル13は、ディスク状媒体21の中央に形成された円形の孔部22と嵌合することで、ディスク状媒体21を保持することができる。光ピックアップ14は、ターンテーブル13に装着されたディスク状媒体21の記録面に対してレーザー光を出射して、記録面に情報を記録することができる。光ピックアップ14は、ディスク状媒体21の記録面に対してレーザー光を出射し、記録面を反射した光を受光素子で受光することで、ディスク状媒体21に記録された情報を読み取ることができる。
【0022】
〔2.蓋開閉装置の構成〕
図2に示すように、蓋体4の内面4aには、シール材41が配されている。シール材41は、蓋体4の内面4aにおける外周縁およびその近傍に配されている。本実施の形態では、シール材41は、内面4aにおける、支軸側辺4c、対向側辺4d、連結辺4e、および連結辺4fに沿う位置に配置した。シール材41としては、例えばゴムなどの弾性材や、発泡ウレタン、発泡ポリエチレンまたはシリコーンフォーム等の圧縮変形・復元性の発泡樹脂等が適用される、本実施の形態ではJIS K6254規格に準拠した測定方法で25%圧縮加重が0.040MPaで、厚み1mmの発泡シリコーンフォームを用いた。シール材41は、図1に示すように蓋体4が開口部17を閉塞する状態になった時に、リブ12に当接または埋没する位置に配されている。リブ12は、蓋体4が開口部17を閉塞する状態になった時にシール材41に当接または埋没することにより、ディスクドライブ11の気密性を向上させ、水分や埃などの異物がディスクドライブ11内に侵入するのを防いでいる。さらに、リブ12をシール材41に埋没させることにより、リブ12の高さ寸法やシール材41の厚さ寸法に多少の製造バラツキがあったとしても、ディスクドライブ11の気密性を確実なものとすることができる。
【0023】
図4は、図2に示すノートパソコンのZ−Z部の要部断面図である。図5は、図1に示すノートパソコンのZ−Z部の要部断面図である。なお、図4及び図5は、図面を明瞭に表記するために、第1の筐体1に内蔵されている電気回路基板などの図示は省略した。
【0024】
図4及び図5に示すように、蓋体4は、支軸42を軸に矢印Bまたは矢印Cに示す方向へ回動自在に、第1の筐体1に支持されている。蓋体4は、第1の筐体1の開口部17を覆うことができる大きさを有する。蓋体4は、その内面4aにおける縁部に沿った位置にシール材41が配されている。
【0025】
リブ12は、図2に示すようにディスクドライブ11の外周を囲むように形成されている。リブ12は、蓋体4が開口部17を閉塞している位置にある時に、その頂辺12aが蓋体4の内面4aに対して非平行となるように形成されている。具体的には、図4に示すように、リブ12のうち連結辺4e及び4fの近傍に位置する部分は、凹部15(後述)側(すなわち対向側辺4d側)における底面11aからの高さ寸法H1が、支軸42側(すなわち支軸側辺4c側)における底面11aからの高さ寸法H2よりも、低くなるように形成されている。また、リブ12における側面1b側(すなわち対向側辺4d側)の端部から支軸42側の端部までの間の部分は、支軸42側から凹部15側に向かって漸近的に低くなるように形成されている。
【0026】
なお、本実施の形態において、「支軸42側」は、「支軸側辺4c側」であることを含み、「支軸側辺4c側」に換言することができる。また、「凹部15側」及び「側面1b側」は、「対向側辺4d側」であることを含み、「対向側辺4d側」に換言することができる。
【0027】
蓋体4の内面4aにおける対向側辺4dの近傍には、爪部43が形成されている。爪部43は、ディスクドライブ11の底面11aに形成された凹部15に係合することができる。爪部43を凹部15に係合させることにより、蓋体4は、開口部17を閉じた状態で位置が保持される。
【0028】
次に、蓋体4で開口部17を閉じ、ディスクドライブ11を隠蔽する際の動作について説明する。
【0029】
まず、図4に示すように蓋体4が開いた状態では、シール材41とリブ12とは離間している。この状態から、蓋体4の上面4bを押圧して、蓋体4を支軸42周りに矢印Cに示す方向へ回動させる。この時、リブ12における支軸42側の端部からシール材41に当接し、リブ12はシール材41に埋没される。その後、さらなる蓋体4の矢印Cに示す方向への回動動作に伴って、シール材41がリブ12に対して側面1b側に向かって徐々に埋没していき、シール材41を圧縮変形させていく。
【0030】
図5に示す位置まで蓋体4を回動させると、爪部43と凹部15とが係合する。この時、リブ12とシール材41とが全域に亘って当接し、リブ12はシール材41を圧縮変形して埋没している。これにより、ディスクドライブ11の気密性が確保され、水分や埃などの異物が外部から侵入するのを防ぐことができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、リブ12は、支軸42側が最も高くなる(寸法H2)ように形成されているため、蓋体4が開口部17を閉じた時のシール材41に対するリブ12の埋没量は、支軸42側が最も大きくなる。したがって、蓋体4の矢印Cに示す方向への回動当初では、蓋体4に対する回動抵抗が大きい。しかし、リブ12は、凹部15側に向かって徐々に高さが低くなるように形成されているため、シール材41に対するリブ12の埋没量は凹部15側に向かって徐々に小さくなる(寸法H1)。本実施の形態におけるディスクドライブ11では、シール材41に対するリブ12の埋没量は、それぞれ支軸42側の寸法H2=0.6mm以上0.7mm以下、凹部15側の寸法H1=0mm以上0.1mm以下の範囲が好ましい。本実施の形態では、支軸42側の寸法H2=0.7mm、凹部15側の寸法H1=0.1mmとした。
【0032】
〔3.本実施の形態の蓋開閉装置と従来の蓋開閉装置との比較〕
図8及び図9に示すように、シール材141に対するリブ112の埋没量を蓋体104の内面104aの面方向に一定とした構成において、蓋体104を閉じる際の操作性を確保するためには、シール材141に対するリブ112の埋没量を少なくすればよい。しかし、埋没量を少なくすると、ディスクドライブ111を備えた凹部116の気密性を確保できない場合がある。特に、ディスクドライブ111の底面111aからのリブ112の高さ寸法H11や、シール材141の厚さ寸法にバラツキが生じている場合、図9に示すように蓋体104の閉塞状態においてリブ112とシール材141との間に隙間が生じる可能性があり、ディスクドライブ111を備えた凹部116の気密性を確保することができない。このように、図8及び図9に示す蓋開閉装置では、ディスクドライブ111を備えた凹部116の気密性と蓋体104の閉塞時の操作性とを両立することが難しい。
【0033】
また、図8及び図9に示すようにシール材141に対するリブ112の埋没量を内面104aの面方向に一定にする蓋開閉装置は、図9に示すように蓋体104が開口部117を閉塞している状態において、蓋体104に対して矢印Bに示す方向に強い弾性復元力がかかる。したがって、爪部143と凹部115との係合部分や支軸142に強い負荷がかかり、最悪の場合は爪部143や支軸142が破損してしまうことがある。
【0034】
特に、蓋体104は、ディスクドライブ111に対してディスク状媒体を装着または離脱する時以外、図5に示すように開口部117を閉塞している状態にあることが大半であるため、爪部143や支軸142に長期間にわたり強い負荷がかかり続ける。したがって、爪部143や支軸142を破損または蓋体104が変形してしまう可能性が高くなる。
【0035】
これに対して、図4及び図5に示すように本実施の形態の蓋開閉装置では、支軸42側におけるシール材41に対するリブ12の埋没量を、凹部15側におけるシール材41に対するリブ12の埋没量よりも小さくした。さらに、図5に示すように蓋体4が開口部17を閉塞している状態において、蓋体4にかかる弾性復元力を小さくした。これにより、蓋体4が開口部17を閉塞している状態において、爪部43や支軸42にかかる負荷を低減することができる。したがって、爪部43や支軸42が破損または蓋体4が変形することを低減することができる。
【0036】
また、本実施の形態の蓋開閉装置は、図5に示すように、蓋体4が開口部17を閉塞している状態では、リブ12の頂辺12aがシール材41の表面41aに当接しているのみである。すなわち、リブ12は、シール材41に対して僅かに埋没しているだけである。したがって、蓋体4における回動抵抗は低くなっている。よって、爪部43と凹部15とを係合させる時点では、蓋体4を軽い力で押圧するだけでよい。
【0037】
〔4.実施の形態の効果、他〕
本実施の形態によれば、シール材41に当接するリブ12の高さを、側面1b側に向かって漸近的に低くなるように形成したことにより、蓋体4に対して小さな荷重を加えるだけで蓋体4を閉じることができ、蓋体4を閉じる際の操作性を向上させることができる。
【0038】
また、蓋体4が開口部17を閉じる状態になった時に、リブ12がシール材41に埋没しているため、蓋体4によって封口される凹部16の気密性を確保することができる。
【0039】
また、蓋体4が開口部17を閉じる状態になった時に、リブ12がシール材41に埋没することにより蓋体4にかかるシール材41の弾性復元力を小さくすることができるので、爪部43と凹部15との係合部分や支軸42にかかる負荷を小さくすることができる。よって、爪部43や支軸42が破損することを低減することができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、蓋体4の回動動作に伴ってシール材41に対するリブ12の埋没量を変化させるために、リブ12の高さを支軸42側が最も高く、側面1b側が最も低くなるように形成したが、リブ12の高さを一定とし、シール材41の厚さを変化させる構成としてもよい。この場合、シール材41は、支軸42から当該支軸42に対向する蓋体4の縁(対向側辺4d)にかけて漸近的に薄くなるように形成する。このような構成とすることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施の形態では、リブ12における凹部15側の端部から支軸42側の端部までの間の部分は、支軸42側から凹部15側に向かって漸近的に低くなるように形成したが、凹部15側から支軸42側に向かって漸近的に低くなるように形成してもよい。このような構成において、リブ12における凹部15側の高さ寸法を図4における寸法H12とし、支軸42側の高さ寸法を図4における寸法H11とすることで、蓋体4が開口部17を閉塞した状態において、シール材41の弾性復帰力により蓋体4にかかる開蓋方向の力(矢印B)は、本実施の形態の構成とほとんど変わらない。したがって、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、シール材41として厚み1mmの発泡シリコーンフォームを適用し、埋没量は支軸42側で0.7mm、凹部15近傍で0.1mmとしたが、これらは適用する対象物の大きさ、蓋体4や支軸42の機械的強度等に応じて適宜適正値に設定することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、ディスクドライブ11を覆う蓋体4の構成について説明したが、蓋体で覆うことができる凹状のものであればディスクドライブに限らない。例えば、各種入出力端子を凹部内に備えてそれを開閉する蓋構造、または電池を収納可能な凹状の電池収納部を開閉する蓋構造にも適用可能である。すなわち、本実施の形態におけるディスクドライブ11は、本発明の凹部の一例である。
【0044】
また、本実施の形態における凹部16は、本発明の凹部の一例である。本実施の形態における開口部17は、本発明の開口部の一例である。本実施の形態における第1の筐体1は、本発明の筐体の一例である。本実施の形態における蓋体4は、本発明の蓋体の一例である。本実施の形態におけるリブ12は、本発明のリブの一例である。本実施の形態における蓋体本体4gは、本発明の蓋体本体の一例である。本実施の形態における支軸側辺4cは、本発明の支軸側辺の一例である。本実施の形態における対向側辺4dは、本発明の対向側辺の一例である。本実施の形態における連結辺4e,4fは、本発明の連結辺の一例である。
【0045】
本実施の形態に関して、以下の付記を開示する。
【0046】
(付記1)
凹部の周囲を構成する開口部を備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記凹部は、前記蓋体本体が前記開口部を閉じた際に前記シール材に埋没可能な位置に形成されたリブを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材と係合する前記リブは、前記凹部の深さ方向の高さが、前記支軸側辺から前記対向側辺に向かって漸近的に低くなるように形成されている、蓋開閉装置。
【0047】
(付記2)
凹部の周囲を構成する開口部を備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材は、前記凹部の深さ方向の厚みが、前記支軸側辺から前記対向側辺にかけて漸近的に薄くなるように形成されている、蓋開閉装置。
【0048】
(付記3)
凹部の周囲を構成する開口部を備え、前記凹部内に配されたディスクドライブを備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺と対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記凹部は、前記蓋体本体が前記開口部を閉じた際に前記シール材に埋没可能な位置に形成されたリブを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材と係合する前記リブは、前記凹部の深さ方向の高さが、前記支軸側辺から前記対向側辺に向かって漸近的に低くなるように形成されている、情報処理装置。
【0049】
(付記4)
凹部の周囲を構成する開口部を備え、前記凹部内に配されたディスクドライブを備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材は、前記凹部の深さ方向の厚みが、前記支軸側辺から前記対向側辺にかけて漸近的に薄くなるように形成されている、情報処理装置。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の蓋開閉装置は、蓋体により開閉可能な凹部を備えた機器に有用である。本発明の蓋開閉装置は、ノートパソコンなどの情報処理装置に有用である。本発明の情報処理装置は、例えばノートパソコンに有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 第1の筐体
2 第2の筐体
4 蓋体
11 ディスクドライブ
12 リブ
41 シール材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部の周囲を構成する開口部を備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記凹部は、前記蓋体本体が前記開口部を閉じた際に前記シール材に埋没可能な位置に形成されたリブを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材と係合する前記リブは、前記凹部の深さ方向の高さが、前記支軸側辺から前記対向側辺に向かって漸近的に低くなるように形成されている、蓋開閉装置。
【請求項2】
凹部の周囲を構成する開口部を備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材は、前記凹部の深さ方向の厚みが、前記支軸側辺から前記対向側辺にかけて漸近的に薄くなるように形成されている、蓋開閉装置。
【請求項3】
凹部の周囲を構成する開口部を備え、前記凹部内に配されたディスクドライブを備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺と対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記凹部は、前記蓋体本体が前記開口部を閉じた際に前記シール材に埋没可能な位置に形成されたリブを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材と係合する前記リブは、前記凹部の深さ方向の高さが、前記支軸側辺から前記対向側辺に向かって漸近的に低くなるように形成されている、情報処理装置。
【請求項4】
凹部の周囲を構成する開口部を備え、前記凹部内に配されたディスクドライブを備えた筐体と、
前記開口部を開閉可能でかつ前記筐体に支持された支軸を有する蓋体と、
前記蓋体は、前記開口部の少なくとも一部を覆うことができる蓋体本体と、前記支軸近傍の支軸側辺と、前記蓋体本体を介して前記支軸側辺に対向する対向側辺と、前記支軸側辺及び前記対向側辺を連結する連結辺と、前記蓋体本体の周縁部及びその近傍に配されたシール材とを備え、
前記連結辺近傍に配された前記シール材は、前記凹部の深さ方向の厚みが、前記支軸側辺から前記対向側辺にかけて漸近的に薄くなるように形成されている、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−86526(P2010−86526A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198657(P2009−198657)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】