説明

蓋開閉装置

【課題】簡単且つ経済的な構成で、開閉する蓋部材の振動を可及的に阻止することを可能にする。
【解決手段】蓋開閉装置10は、ガイド溝部22aが設けられるベース部材24aと、前記ガイド溝部22a内に移動自在に配設されるガイド筒部48が設けられる蓋部材と、前記蓋部材が開位置に配置される際、前記ガイド筒部48に当接して移動する第1当接部材30aと、前記蓋部材が閉位置に配置される際、前記ガイド筒部48に当接して移動する第2当接部材30bと、前記開位置で移動する前記第1当接部材30aを、前記ガイド筒部48側に付勢する一方、前記閉位置で移動する前記第2当接部材30bを、前記ガイド筒部48側に付勢する単一のスプリング34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベース部材に設けられるガイド溝部の案内作用下に、蓋部材が開位置及び閉位置に配置される蓋開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の室内に設けられているセンターコンソールには、種々のオーディオ機器が搭載されている。このオーディオ機器は、車外から容易に視認されるため、前記オーディオ機器を覆って開閉可能な蓋部材を備えた蓋開閉装置が採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている蓋開閉装置は、自動車の室内のセンターコンソールの前部に配設された収納ボックスと、前記収納ボックスに隣接して配設されたオーディオ機器を備えている。収納ボックスとオーディオ機器間を移動可能な蓋体を配設し、前記蓋体は、側部に設けた平行リンクで移動するように構成し、前記収納ボックスと前記オーディオ機器のいずれか一方を、前記蓋体の側部に設けた平行リンクで移動する該蓋体で覆い隠すように構成している。
【0004】
このため、蓋体は、収納ボックスとオーディオ機器のいずれか一方を塞いで、覆い隠すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2780892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、蓋体は、収納ボックスを塞ぐ位置と、オーディオ機器を塞ぐ位置とに選択的に配置されている。その際、蓋開閉装置を構成する部品間に隙間が発生し易く、走行時の振動や衝撃等によって蓋体に振動が惹起し、騒音が発生するという問題がある。
【0007】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単且つ経済的な構成で、開閉する蓋部材の振動を可及的に阻止することが可能な蓋開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓋開閉装置は、ガイド溝部が設けられるベース部材と、前記ガイド溝部内に移動自在に配設されるガイド部が設けられ、前記ガイド溝部及び前記ガイド部の案内作用下に、開位置及び閉位置に配置される蓋部材と、前記蓋部材が前記開位置に配置される際、前記ガイド部に当接して移動する第1当接部材と、前記蓋部材が前記閉位置に配置される際、前記ガイド部に当接して移動する第2当接部材と、前記開位置で移動する前記第1当接部材を、前記ガイド部側に付勢する一方、前記閉位置で移動する前記第2当接部材を、前記ガイド部側に付勢する単一の付勢部材とを備えている。
【0009】
また、付勢部材は、スプリングを備え、前記スプリングの一端は、開位置で移動する第1当接部材に当接する一方、前記スプリングの他端は、閉位置で移動する第2当接部材に当接することが好ましい。
【0010】
さらに、ベース部材は、車両に装着されるとともに、蓋部材は、機器あるいは収納部を開閉自在であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、蓋部材が開位置に配置されると、第1当接部材は、ガイド部に当接して移動するとともに、付勢部材により前記ガイド部側に付勢されている。このため、蓋部材は、開位置において振動の発生が抑制され、騒音を良好に阻止することができる。
【0012】
一方、蓋部材が閉位置に配置されると、第2当接部材は、ガイド部に当接して移動するとともに、付勢部材により前記ガイド部側に付勢されている。従って、蓋部材は、閉位置において振動の発生が抑制され、騒音を良好に阻止することが可能になる。
【0013】
しかも、単一の付勢部材が、第1当接部材をガイド部側に付勢する機能と、第2当接部材を前記ガイド部側に付勢する機能とを有している。これにより、部品点数が削減され、簡単且つ経済的な構成で、開位置及び閉位置に配置される蓋部材の振動を可及的に阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る蓋開閉装置を組み込むセンターコンソールの概略斜視説明図である。
【図2】前記蓋開閉装置の一部省略斜視説明図である。
【図3】前記蓋開閉装置の一方の側面側の説明図である。
【図4】前記蓋開閉装置の前記一方の側面側の分解斜視説明図である。
【図5】前記蓋開閉装置の他方の側面側の説明図である。
【図6】蓋部材が開位置に配置された際の動作説明図である。
【図7】前記蓋部材が閉位置に配置された際の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る蓋開閉装置10は、センターコンソール12に組み込まれるとともに、前記センターコンソール12は、車両、例えば、自動車14の車室16内に配設される。
【0016】
センターコンソール12には、ラジオ、録音再生装置、CD/MDプレイヤー、DVDプレイヤー等のオーディオ機器18が搭載される。このセンターコンソール12には、オーディオ機器18を開閉するために、本実施形態に係る蓋開閉装置10が装着される。なお、蓋開閉装置10は、オーディオ機器18の他、種々の機器あるいは収納部を開閉するために用いることができる。
【0017】
蓋開閉装置10は、図2に示すように、センターコンソール12に取り付けられるフレーム20を備える。フレーム20の矢印A方向両側部内側には、それぞれガイド溝部22a、22bが設けられるベース部材24a、24bが固着される。
【0018】
図3及び図4に示すように、ベース部材24aには、ガイド溝部22aの形状に沿って延在するラック状歯車26aが、前記ガイド溝部22aの下方に配置される一方、ラック状歯車28が、該ガイド溝部22aの上部近傍に配置される。ガイド溝部22aの開位置である第1終端位置P1には、第1当接部材30aの一部(下端)が配置される一方、前記ガイド溝部22aの開位置である第2終端位置P2には、第2当接部材30bの一部(下端)が配置される。
【0019】
第1当接部材30aは、ベース部材24aに形成されたスライド溝32aに沿って矢印B方向にスライド自在であり、第2当接部材30bは、前記ベース部材24aに形成されたスライド溝32bに沿って矢印B方向にスライド自在である。ベース部材24aの上部側には、付勢部材、例えば、スプリング34が装着される。スプリング34の一端部34aは、第1当接部材30a側に延在するとともに、前記スプリング34の他端部34bは、第2当接部材30b側に延在する。
【0020】
図2及び図5に示すように、ベース部材24bには、ガイド溝部22bの形状に沿って延在するラック状歯車26bが、このガイド溝部22bの下方に配置される。ベース部材24bには、後述する蓋部材40を閉位置に付勢するためのリターンスプリング36と、前記蓋部材40を閉位置に保持するためのロック手段38とが設けられる。
【0021】
ベース部材24a、24bには、蓋部材(オーディオリット)40が開閉自在に装着される。図2に示すように、蓋部材40の矢印A方向両端部には、アーム部42a、42bが設けられる。アーム部42a、42bには、それぞれベース部材24a、24bに設けられたラック状歯車26a、26bに噛合する円弧状歯車44a、44bが形成される。
【0022】
図4に示すように、アーム部42aには、歯車46及びガイド筒部(ガイド部)48がワッシャ50及びボルト52を介して取り付けられる。歯車46は、ベース部材24aに設けられるラック状歯車28に噛合する一方、ガイド筒部48は、ガイド溝部22a内に移動自在に配設される。アーム部42aには、歯車46に噛合するとともに、前記歯車46をラック状歯車28に対して円滑に転動させるための歯車54が装着される。
【0023】
図6に示すように、蓋部材40が開位置に配置される際、ガイド筒部48は、第1終端位置P1に配置されて第1当接部材30aの一端に当接する。第1当接部材30aは矢印B1方向にスライドしてスプリング34の一端部34aに当接する。
【0024】
図7に示すように、蓋部材40が閉位置に配置される際、ガイド筒部48は、第2終点位置P2に配置されて第2当接部材30bの一端に当接する。第2当接部材30bは、矢印B1方向にスライドしてスプリング34の他端部34bに当接する。
【0025】
図2及び図5に示すように、アーム部42bには、円筒状のガイド部56が一体成形され、このガイド部56は、ベース部材24bのガイド溝部22bに挿入される。ガイド部56の先端には、ワッシャ付け止めねじ58が取り付けられ、前記ガイド部56がガイド溝部22bから離脱することを阻止する。ガイド部56には、リターンスプリング36の一端部が当接し、前記リターンスプリング36の他端がベース部材24bに係合することにより、蓋部材40は、前記リターンスプリング36により開放方向に常時付勢される。
【0026】
アーム部42bには、ロック操作バー60が設けられる。このロック操作バー60は、蓋部材40が閉位置に配置される際、ロック手段38に係合してこのロック手段38に固定される一方、前記蓋部材40が押圧されることにより、前記ロック手段38による前記ロック操作バー60のロックが解除される。
【0027】
このように構成される蓋開閉装置10の動作について、以下に説明する。
【0028】
蓋部材40は、ガイド部56に当接するリターンスプリング36の付勢作用下に、開位置側に常時付勢されている。この開位置では、図6に示すように、ガイド筒部48は、ガイド溝部22aの第1終点位置P1に配置され、その外周部に当接する第1当接部材30aを、矢印B1方向にスライドさせる。第1当接部材30aは、矢印B1方向に移動することにより、スプリング34の一端部34aが前記第1当接部材30a他端(上端)に当接し、前記第1当接部材30aは、前記ガイド筒部48側に付勢される。
【0029】
このため、アーム部42aは、ガイド筒部48、第1当接部材30a及びスプリング34の一端部34aが当接することにより、前記スプリング34の付勢作用下に、蓋部材40に振動(ガタ)が惹起することを阻止することができる。
【0030】
一方、蓋部材40を閉位置に移動させる際には、操作者によりこの蓋部材40が閉位置側に押圧される。従って、蓋部材40は、アーム部42a、42bに設けられている円弧状歯車44a、44bと、前記円弧状歯車44a、44bに噛合するラック状歯車26a、26bとを介して揺動し、前記蓋部材40は、リターンスプリング36の弾発力に抗して開位置から閉位置に揺動変位する。
【0031】
蓋部材40が、閉位置に揺動すると、アーム部42bに設けられているロック操作バー60がロック手段38に係合して固定され、前記蓋部材40は、閉位置に保持される。その際、アーム部42a、42bは、ガイド筒部48及びガイド部56がガイド溝部22a、22b内を移動することにより、蓋部材40を、前記ガイド溝部22a、22bの形状に沿って開位置から閉位置に揺動させることができる。
【0032】
さらに、アーム部42aでは、図4に示すように、歯車46がラック状歯車28に噛合しており、この歯車46に噛合する歯車54により、例えば、トルクが付与されることにより、蓋部材40の揺動動作が円滑に遂行される。
【0033】
蓋部材40が、閉位置に至ると、図7に示すように、ガイド筒部48は、ガイド溝部22aの第2終端P2に配置される。従って、ガイド筒部48は、第2当接部材30bの端部に当接し、この第2当接部材30bが矢印B1方向にスライドする。このため、第2当接部材30bの上端が、スプリング34の他端部34bに当接し、前記第2当接部材30bは、ガイド筒部48側に付勢される。
【0034】
蓋部材40は、閉位置において、ガイド筒部48、第2当接部材30b及びスプリング34の他端部34bにより、振動(ガタ)が惹起されることなく保持される。
【0035】
なお、蓋部材40が閉位置に配置される際には、第1当接部材30aは、ガイド溝部22a側に端部を臨ませて配置される。
【0036】
蓋部材40を閉位置から開位置に揺動させる際には、操作者がこの蓋部材40の下端部側を押圧する。これにより、ロック操作バー60がロック手段38を操作して、前記ロック操作バー60の固定が解除される。このため、蓋部材40は、ガイド部56に係合するリターンスプリング36の付勢作用下に、閉位置から開位置に揺動変位する。その際、円弧状歯車44a、44bは、ラック状歯車26a、26bに沿って転動することにより、上記とは逆方向に向かって前記蓋部材40が揺動する。
【0037】
この場合、本実施形態では、蓋開閉装置10は、ガイド溝部22aが設けられるベース部材24aと、前記ガイド溝部22a内に移動自在に配設されるガイド筒部48が設けられる蓋部材40と、前記蓋部材40が開位置に配置される際、前記ガイド筒部48に当接して移動する第1当接部材30aと、前記蓋部材40が閉位置に配置される際、前記ガイド筒部48が当接して移動する第2当接部材30bと、前記開位置で移動する前記第1当接部材30aを前記ガイド筒部48側に付勢する一方、前記閉位置で移動する前記第2当接部材30bを前記ガイド筒部48側に付勢する単一のスプリング34とを備えている。
【0038】
従って、図6に示すように、蓋部材40が開位置に配置されると、ガイド筒部48に当接して矢印B1方向に移動する第1当接部材30aは、スプリング34により前記ガイド筒部48側に付勢されている。このため、蓋部材40は、開位置において振動の発生が抑制され、騒音を良好に阻止することができるという効果が得られる。
【0039】
一方、図7に示すように、蓋部材40が閉位置に配置されると、ガイド筒部48に当接して矢印B1方向に移動する第2当接部材30bは、スプリング34により前記ガイド筒部48側に付勢されている。このため、蓋部材40は、閉位置において振動の発生が抑制され、騒音を良好に阻止することが可能になる。
【0040】
しかも、蓋開閉装置10は、単一のスプリング34を備え、このスプリング34の一端部34aにより第1当接部材30aをガイド筒部48に付勢するとともに、他端部34bにより第2当接部材30bを前記ガイド筒部48側に付勢している。これにより、蓋部材40の開位置と閉位置とで、個別の付勢部材を用いる構成に比べ、部品点数が削減され、簡単且つ経済的な構成で、開閉する蓋部材40の振動を可及的に阻止することができ、騒音の発生等を防止することが可能になるという利点がある。
【符号の説明】
【0041】
10…蓋開閉装置 12…センターコンソール
14…自動車 16…車室
18…オーディオ機器 20…フレーム
22a、22b…ガイド溝部 24a、24b…ベース部材
26a、26b、28…ラック状歯車 30a、30b…当接部材
34…スプリング 36…リターンスプリング
38…ロック手段 40…蓋部材
42a、42b…アーム部 48…ガイド筒部
56…ガイド部 60…ロック操作バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイド溝部が設けられるベース部材と、
前記ガイド溝部内に移動自在に配設されるガイド部が設けられ、前記ガイド溝部及び前記ガイド部の案内作用下に、開位置及び閉位置に配置される蓋部材と、
前記蓋部材が前記開位置に配置される際、前記ガイド部に当接して移動する第1当接部材と、
前記蓋部材が前記閉位置に配置される際、前記ガイド部に当接して移動する第2当接部材と、
前記開位置で移動する前記第1当接部材を、前記ガイド部側に付勢する一方、前記閉位置で移動する前記第2当接部材を、前記ガイド部側に付勢する単一の付勢部材と、
を備えることを特徴とする蓋開閉装置。
【請求項2】
請求項1記載の蓋開閉装置において、前記付勢部材は、スプリングを備え、
前記スプリングの一端は、前記開位置で移動する前記第1当接部材に当接する一方、前記スプリングの他端は、前記閉位置で移動する前記第2当接部材に当接することを特徴とする蓋開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の蓋開閉装置において、前記ベース部材は、車両に装着されるとともに、
前記蓋部材は、機器あるいは収納部を開閉自在であることを特徴とする蓋開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−79457(P2011−79457A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234375(P2009−234375)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】