説明

薄い壁面の容器の製造方式、同容器の圧力補強方式

【課題】 本発明の目的は、薄い壁面の容器の製造方式であり、
【解決手段】約150g/mないし250g/mである材料の重量/壁面の面積の比率を利用した予備成形物の形状の変更を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄い壁面の容器の製造方式および満杯の同容器の圧力補強方式に関する。
【背景技術】
【0002】
農産物加工業、とりわけ飲み物の分野では、薄い壁面の大容積の容器という特別の問題が存在する。
【0003】
薄い壁面の容器は、例えばWO―03/033361号、EP−1468930号およびEP−1527999号の諸特許出願で知られている。
【0004】
この諸容器は、2リットル以下の小容積では、非常に魅力的であるが、この諸文書に従って製造する諸容器は、2リットルを超えると、原料の量が同容器の容積係数に繋がっているので、比較的重くなる。
【0005】
容器の表面積の増加は、同容器の容積に比例しない。しかしながら、2リットル以上の容積では、充填後に良好な機械的保持を保証しながら、充填後の容器の重量を減少させるのは完全に可能である。
【0006】
また、この容器は、後で説明するように、満足しづらい内容積の圧力補強を必要としている。
【0007】
なお、容易に理解できる経済的理由によるが、薄い壁面の容器の製造に必要な材料の量を減少させるのが目的であり、それは、製造費用だけでなく、リサイクル費用を減少させるためであり、容積が2リットルを超えると、とりわけ材料の重量が、容積、すなわち3乗の因子に関連しているために、著しく増加するので、従来の技術では、材料の量の減少は可能ではない。
【0008】
この容器は、単一用途に当てられていて、同容器の用途に不要な高度化を避けるのは関心に値しており、したがって、薄い壁面の容器に対する関心が高まっているだろうが、それには、材料の重量が著しく増加するのを避けながら、数センチリットルから、10ないし数10リットルまでの大容積を可能にする一連の容器の同一製造方式によってである。
【0009】
材料の量の減少問題のほかに、材料の量に比例して、別の問題、すなわち硬直性の低下問題を挙げることができる。
【0010】
本発明による材料の減量方式で製造するこの容器では、出来上がる容器の硬直性は十分ではない。
【0011】
この硬直性は、開封前に容器をよくつかむには不十分であり、とりわけ満杯のこの容器が積み重ねてあり、特にパレットに載せてあって、パレットが相互に重ねてある場合には、硬直性が弱ければ、積み重ねは困難であり、あるいは不可能になる。
【0012】
更に、薄い壁面のこのような容器の硬直性について、別の問題が発生するのは、この容器が屋内温度で充填されていて、この容器が低温環境に置かれると、脱力現象を生じて、容器が変形し、つかむときに形態が維持されがたい。
【0013】
薄い壁面の容器は、通常、低温状態で、ミネラルウオーター、油、果汁、牛乳のようなガス非含有の液体で満たされる。
【0014】
次に、硬直性の必要性に応えるべく、とりわけ、工業的に広く利用されている窒素の1滴と呼ばれている方式または同類の方式に依って、薄い壁面の容器に内部圧力を加えることが予定に入れられている。
【0015】
例として挙げたこの窒素の1滴方式は、充填すべき液体で満たした容器内に、液体窒素を1滴、栓をする直前に、容器の頭部の空間内に注入することからなり、この窒素の1滴は、ガスに変わる。容器の頭部の空間内の量の増加は、容器の内部の圧力の上昇、したがって、同容器の硬直化をもたらす。
【0016】
この圧力の向上は、それでも約10分の1バール程度で、比較的弱い。
【0017】
しかしながら、この窒素の1滴方式は、幾つかの問題を提起している。
【0018】
まず、注入する分量が困難なのは、最終的な圧力が注入した量、作業条件および栓をする時期に左右されるからである。
【0019】
次に、この窒素の1滴の注入手段は、流れ作業に組み込まれなければならず、このことにより、流れ作業に適応していなければならない。更に、充填が無菌的でなされるとき、この適用は、清掃、滅菌、維持管理の必要性という著しい制約がある。
【0020】
操作箇所が増えることは、故障の増加の源になって、流れ作業の停止の元になり得る。無菌充填チェーンの場合、この操作箇所の追加は、全体を無菌充填条件に合わせなければならないので、困難かつ長期にわたるので、さらに微妙である。
【0021】
更に、温度が著しくマイナスであるとき、液体窒素の1滴が室温の液体内に落下すると、通常、容器の縁に跳ね返りを生じることが観測されている。
【0022】
充填後の例えばミネラルウオーター、油、果汁、牛乳のような、中に入っている液体のこの跳ね返りは、困ったことに、充填後に劣化して、貯蔵中に、製品が市場に出される前、すなわち消費される前に変質が進行することがあり得る。
【0023】
薄い壁面の容器の製造に利用される材料は、透明性、重量の軽さおよび顕著な加工のし易さで知られているPETすなわちポリエチレンテレフタレート樹脂である。PETはまた、収容される液体を良く保存できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】WO―03/033361号
【特許文献2】EP−1468930号
【特許文献3】EP−1527999号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明は、薄い壁面の容器の製造方式、ならびに開封前に同容器の硬直性を改善するため、低温状態でガス非含有の液体で充満した同容器の圧力補強方式を提案しており、同方式は、前記に指摘した諸問題を排除するものである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明では、薄い壁面の容器の製造方式は、材料の重量/壁面の面積の比率が約150g/mないし250g/m、と言うよりも約150g/mないし200g/mで同薄い壁面の容器を製造することからなる。
【0027】
容器の首部の重量は、この比率から除外されている。容器の首部は、同容器の製造時に、全く変形を受けない材料に決められている。
【0028】
この場合、薄い壁面の容器は、予備成形物を基にして、既知の方法で、長手方向かつ放射状のブロー成形で製造したタイプのものである。
【0029】
この容器は、求められる必要な容積を有しており、PETで製造されている。
【0030】
それに対して、容器は、製造による応力が残っている。事実、特にPETの場合、とりわけ予備成形物がブロー成形された後、容器は、型の中で急速に冷却される。出来上がった形態および形状の変更に関わる応力は、この温度の低下によって固定したままになる。
【0031】
事実、ブロー成形の間中、応力は、長手方向と放射状の2の方向に作用して、このようにして出来た容器は、2方向PET型容器と呼ばれている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この形態の保存を確立するのは、ガラス化転位温度以下の温度によるこの固定である。
【実施例】
【0033】
ガス非含有の液体を入れるための前記方式で製造した薄い壁面の容器の本発明による圧力補強方式は、下記の一連の段階からなる。すなわち、
― 前記方式による容器の製造、
― 低温状態で、残存応力を有する薄い壁面の容器にガス非含有の液体を充填、
― 充填後、容器に栓をする、そして
― 容器の容積を減少させ、したがって、同容器の圧力を補強するために、同残存応力の弛緩温度点に達するように、液体の温度を上昇させないで、容器の壁面を加熱する。
【0034】
壁面の加熱というこの最終段階は、壁面の厚みだけを加熱することからなる。この加熱は、製造時の形状の変更後、急速な冷却で固定した応力の弛緩を開始させる。
【0035】
ブロー成形したPET製容器の場合、残存応力は、2の方向性を有する。したがって、容器は、その当初の形状、すなわち予備形状を回復する傾向を有する。
【0036】
容積の縮小へのこの傾向により、容器の内部は圧力補強され、液体が非圧縮性であるので、頭部の空間は、壁面による圧力と内部の圧力が均衡するまで圧縮される。
【0037】
このようにして生じた内部圧力は、1バール未満のままでいるが、初めて栓を開ける前に、充填して、封をした容器の硬直性を著しく向上させるには申し分なく十分である。このような加熱は、短時間、容器の周囲に熱風を噴射することで行える。ガラス化転位温度の名称でも知られている、材料中の応力の弛緩を生じる温度点に達することが適切である。
【0038】
熱エネルギーの追加は、ごく短時間であることが重要である。
【0039】
熱の悪い伝導体であるPETは、熱風でもたらされるカロリーを吸収し、その結果、応力の急速な弛緩をもたらすが、液体へのカロリーの伝導が避けられるか、少なくとも伝導されるカロリーの量が完全に無視できる程度である。
【0040】
事実、加熱の場合、内蔵されている液体の体積の温度が上昇すると、冷却した時、頭部の空間が減少して、びんの脱力が起こるに至ることが知られている。事実、内部の圧力が減少するのに、容器の容積が固定したままであり、応力の弛緩もまた、温度がガラス化転位温度点以下に低下することで同じく固定したままであるからである。
【0041】
本発明の方式による内部の圧力補強は、壁面が非常に薄いので、壁面の透過性により、液体の一部の損失に関連する、弱いが存在し得る圧力の減少を補完することも可能にする。
【0042】
容器の内部の圧力の補強はまた、充填温度と開封以前の貯蔵温度間の温度の低下に関連する脱力を補完することも可能にする。
【0043】
このように使用された本方式は、非常に限られた費用、非常に少ない故障の危険性、自動調整されていることで、完全に満足すべき再現可能性で工業生産に極めて適している。
【0044】
とりわけ熱による硬直性の処理が、流れ作業外、すなわち容器が封をされているときに導入されるので、この処理が充填を無菌的環境内で行なう作業から省かれることによって、その利得は著しい。
【0045】
このようにして製造した壁面の厚さが材料の重量/壁面の面積の比率が約150g/mないし250g/mで、とりわけ約150g/mないし200g/mであるので、著しく改善された硬直性によって大きな荷重に耐えられ、このような容器は、特にパレット輸送ができ、パレット自体も相互に重ねられる。
【0046】
衛生の観点からも、瓶詰め中の液体に付与されている品質の保存が保証されるのは、加熱作業が瓶詰めチェーン外で行われており、閉鎖されている容器に実施されるので、問題外であることも強調できる。
【0047】
無菌環境で作業するチェーンである場合、この外部的作業の利点は計り得ない。容器内への圧力補強を可能にする拠点が無菌環境で作業する区域から引き離されているので、万一の汚染源になることはあり得ない。
【0048】
好ましい実施態様の1の方式だけを示した加熱法は、熱風によるが、容器の内容の温度に明らかな影響を与えることなく、壁面を迅速に高めることのできる他のどのような加熱法、例えば、赤外線による加熱法もある。また、関係材料は、もっともよく利用されているのはPETであるが、変形による残存応力を帯びる可能性のある、容器を製造するのに適しているその他のどのような材料も、本発明の対象になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約150g/mないし250g/mである材料の重量/壁面の面積の比率を利用した予備成形物の形状を変えることを特徴とする、薄い壁面の容器の製造方式。
【請求項2】
約150g/mないし200g/mである材料の重量/壁面の面積の比率を使用した予備成形物の形状を変えることを特徴とする、請求項1による薄い壁面の容器の製造方式。
【請求項3】
予備成形物の形状の変更がブロー成形で実施されることを特徴とする、請求項1または請求項2による薄い壁面の容器の製造方式。
【請求項4】
2方向型容器を製造できるように、ブロー成形が、長手方向と放射状の2の方向に作用することを特徴とする、請求項3による薄い壁面の容器の製造方式。
【請求項5】
PET,すなわちポリエチレンテレフタレートを使用することを特徴とする、前記諸請求項の内のいずれか1の請求項による薄い壁面の容器の製造方式。
【請求項6】
下記の一連の段階、すなわち、
− 容器の製造、
― 残存応力を有する、薄い壁面の容器を低温で、ガス非含有の液体で満たす、
― 充填後、容器に栓をする。そして、
― 同容器の内部の圧力補強を起こすために、液体の温度を上げることなく、同残留応力の弛緩温度点に達するための容器の壁面の加熱、
を含むことを特徴とする、ガス非含有の液体を入れるための請求項1から請
求項5までの方式によって得られる薄い壁面の容器。

【公表番号】特表2011−501705(P2011−501705A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528460(P2010−528460)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051826
【国際公開番号】WO2009/053616
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510082994)テクソー エイチアール エスエイエス (2)
【Fターム(参考)】