説明

薄く延伸したマイクロポーラスフィルム/不織布積層体、及び限られた用途又は使い捨て製品用途への適用

【課題】薄く延伸したフィルムと使い捨ておむつ構成要素のような用途のためのフィルム/不織布積層体を提供する。
【解決手段】パーソナルケア製品の構成要素としての用途及び他の使用のための向上した靭性及び裂けずに歪みに耐える機能を有するフィルムと不織布の通気性積層体。フィルムは、キャリア/集積用樹脂手法を用いて形成され、充填キャリア樹脂は、集積用樹脂よりも少なくとも0.003g/cc高い密度を有するエチレンポリマー又はコポリマーであり、集積用樹脂もエチレンコポリマーであるが、約0.915g/ccよりも小さい範囲の密度及び約6よりも小さい溶融指数を有する。これらの樹脂相は、乾燥配合され、フィルムに形成され、延伸されて不織布支持層に接合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許
本出願は、同日に出願した関連主題に関する2つの出願の一方である。他方の出願は、発明者がAnn Louise McCormack及びSusan Elaine Shawverで、「マイクロポーラス通気性弾性フィルム、その製造方法、及び限られた用途又は使い捨て製品への適用」という名称であり(代理人整理番号18842、速達郵便番号EV008269822US)、この出願は、引用により本明細書に組み込まれる。
本発明は、薄く延伸したフィルムと、該フィルムを使い捨ておむつ構成要素のような用途のためのフィルム/不織布積層体に使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム/不織布積層体は、様々な用途に使用されており、特に、水着のようなパーソナルケア製品、及びおむつ、トレーニングパンツ、失禁用衣類、婦人衛生用品、創傷被覆材、及び包帯などのような広範な吸収用物品のための外側カバーとして使用されている。フィルム/不織布積層体はまた、外科用ドレープ及びガウン、及び無菌室、医療、及び他の関連用途のための他の衣服のような製品に関連して医療分野にも用途を有する。特にパーソナルケアの分野においては、特に液体に対する良好な障壁特性、並びに布様の手触り及び感触のような良好な美的及び触感特性を有する廉価な積層体の開発に重点が置かれてきた。この目的のためには、より薄いフィルムを用いることが益々有利になっている。より薄いフィルムはより廉価であり、かつそれらの低減された標準寸法のために、多くの場合に、より柔軟でより目立たなくなる。より薄いフィルムはまた、快適性を加えるためにより通気性にすることができる。
【0003】
30グラム毎平方メートル(gsm)未満の坪量を有することもあるより薄いフィルムはまた、かなり弱くなる傾向がある。これは、そのような薄い厚みを得るためにフィルムが機械方向(「MD」又は製造又は加工におけるフィルム移動の方向)に強く延伸されることが多いので、機械横断方向(「CD」又は製造又は加工におけるフィルム移動の方向に直交する方向)において特に当て嵌まる。機械方向の強い配向は、フィルムを構成するポリマー分子を配向させる傾向がある。このような配向は、機械方向のフィルムの強度を大きく増大する可能性があるが、それはまた、例えば衣類着用及び使用時の状態に対して重要な機械横断方向の同じフィルムの伸張性を低下させる傾向がある。フィルム層に繊維性不織ウェブのような支持層を積層することにより、付加的特性を有する積層体を作成することができる。不織布層は、複合材全体に高められた強度を追加することができる。更に、それは、パーソナルケア吸収性物品を含む多くの用途に重要な布様感触のような特性を付与することができる。残念なことに、これまでのところは、フィルム/不織布積層体は、特に伸張性の領域において最適な恩典を常に提供しているとは言えない。その結果、そのような積層体のフィルム部分は裂け易く、それによって製品全体の最適とは言えない性能をもたらしている。これは、フィルム/不織布積層体のフィルムが、例えばパーソナルケア吸収性物品に対する外側カバーのように障壁材料として利用された時に特に当て嵌まる。従って、特に、フィルム層が単一方向に強く配向されてフィルムの全体的厚み又は坪量が大きく低減される事例に対しては、改良されたフィルム/不織布積層体に対する必要性が存在する。
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,676,242号
【特許文献2】米国特許第3,849,241号
【特許文献3】米国特許第4,340,563号
【特許文献4】米国特許第3,802,817号
【特許文献5】米国特許第3,692,618号
【特許文献6】米国特許第3,338,992号
【特許文献7】米国特許第3,341,394号
【特許文献8】米国特許第3,276,944号
【特許文献9】米国特許第3,542,538号
【特許文献10】米国特許第3,502,763号
【特許文献11】米国特許第3,542,615号
【特許文献12】カナダ特許第803,714号
【特許文献13】米国特許第5,336,552号
【特許文献14】米国特許第4,041,203号
【特許文献15】米国特許第6,114,024号
【特許文献16】米国特許第4,153,664号
【特許文献17】米国特許第3,855,046号
【特許文献18】米国特許出願公告US2002−0117770
【非特許文献1】米国材料試験協会「D882−97」
【非特許文献2】B.A.Wendt、E.L.Boon、及びC.D.Fluharty著「超微細有機繊維の製造」、NRLレポート4364
【非特許文献3】K.D.Lawrence、R.T.Rukas、及びJ.A.Young著「超微細熱可塑性繊維の形成のための改良された装置」、NRLレポート5265
【非特許文献4】「保護フィルム及び水蒸気センサを用いる不織布及びプラスチックフィルムを通る水蒸気透過率の標準試験法」、第IST−70.4−99号、INDA
【発明の開示】
【0005】
本発明は、方法及び通気性フィルム/不織布積層体、並びに使い捨ておむつのようなパーソナルケア製品における用途を提供する。積層体のフィルム成分は、集積相としてエチレンコポリマー樹脂を、キャリア樹脂相としてエチレンポリマー又はコポリマーを用いる集積/キャリア濃縮物形成手法を使用する。特に、集積用エチレンコポリマーは、約0.915未満の密度及び約6未満の溶融指数を有する。キャリア樹脂は、充填剤を含み、エチレンポリマー又はコポリマー樹脂を用いるが、集積用樹脂よりも少なくとも約0.003g/cc大きい密度を有するものを用いる。集積相及びキャリア相は、フィルム内で約30%から約70%の範囲の最終充填剤濃度をもたらす量で使用される。フィルムは、通気性を得るために延伸され、スパンボンド、スパンボンド積層体、又はカーデッドウェブのような不織布に積層される。特定的な実施形態は、充填剤としての炭酸カルシウムの使用及び接着積層段階の使用を含む。他の実施形態は、約0.913g/cc未満又は約0.900から約0.912g/ccの範囲内の特定の集積用樹脂密度範囲を含む。不織布は、例えば、スパンボンド又はボンデッドカーデッドウェブとすることができる。本発明はまた、フィルム坪量が約13gsmから約25gsmの範囲の実施形態、及びエチレンコポリマー樹脂の一方又は両方が鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である実施形態に関する。本発明はまた、5000から10,000g/m/24時間又はそれよりも高い通気性を有する高通気性の実施形態に関する。更に、本発明は、
a.0.915g/cc未満の密度及び約6未満の溶融指数を有する集積用エチレンコポリマー樹脂を選択する段階と、
b.該集積用樹脂よりも少なくとも約0.003g/cc大きい密度を有するキャリアエチレンポリマー又はコポリマー樹脂に充填剤を分散する段階と、
c.配合物中の約30重量%から70重量%の充填剤濃度をもたらす量で集積用樹脂及び充填キャリア樹脂を乾燥配合する段階と、
d.配合物を押し出してフィルムを形成する段階と、
e.フィルムを延伸する段階と、
f.フィルムを不織布層に接合する段階と、
を含む通気性フィルム/不織布積層体を製造する方法を含む。本発明はまた、おむつ裏当てのようなパーソナルケア製品の構成要素としての用途を含む通気性フィルム/不織布積層体のための用途に関する。
本発明は、添付図面と共に本発明の実施形態についての以下の説明を参照することにより更に良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、従来技術のフィルム/不織布積層体の上述の問題点を克服することを意図している。この目的は、フィルム組成が横方向歪みに耐える高められた機能又は破損のない伸張性を提供するフィルム/不織布積層体によって解決される。
本発明の更に別の利点、特徴、態様、及び詳細は、特許請求の範囲、説明、及び添付図面から明白である。
本発明は、フィルム層が繊維性不織ウェブのような支持層に取り付けられる前又はその後に少なくとも機械方向に配向されたマイクロポーラスフィルム組成物及び不織布積層体に関する。
より詳細には、本発明は、非常に低い標準寸法又は坪量のフィルム及び歪み条件下の積層体における改良されたフィルム一体性を有するフィルム/不織布積層体に関する。
【0007】
特にパーソナルケア吸収性製品のような使い捨て製品の分野における最近の多くの製品は、構成要素としてフィルム及び繊維性不織ウェブを利用する。コストの観点から、多くの場合に材料をできるだけ低い標準寸法にすることが望ましい。フィルムに対してそれを行う1つの方法は、例えば、機械方向にフィルムを延伸し、つまり配向させてフィルムの坪量又は厚みを低下させることである。フィルムを配向する際に、フィルムは、機械方向(延伸の方向)に一般的に強度を獲得することになるが、それと同時に機械横断方向(延伸の方向に垂直な方向)での強度を失うことになる。その結果、繊維性不織ウェブのような支持層が通常はフィルム層に積層され、強度が付加されると共に布様の特性がもたらされる。
【0008】
フィルム層、支持層、及び積層体の全ては、機械方向及び機械横断方向を有する。積層よりも前に、フィルム層は、フィルム層が約30gsm又はそれよりも小さい坪量を有するように、少なくとも機械方向に配向される。フィルム層が機械方向に配向されたという事実は、配向されたフィルムの機械方向と機械横断方向の強度を比較することによって判断することができる。配向されたフィルムは、下記のストリップ引張試験によって測定された強度が、測定した方向にほぼ垂直な方向の強度の通常少なくとも約2倍の一方向強度を有することになる。この場合は機械方向であるより高い強度を有する方向が延伸の方向であり、より低い強度を有する方向が機械横断方向であることになる。フィルム層、繊維性不織布支持層、及び積層体の全ては、機械方向及び機械横断方向をもつか又は形成し、多くの場合にフィルム層及び不織布層の機械方向は、積層の前に機械方向に互いに整列させられる。
【0009】
別途示さない限り、値は、1インチ(2.54cm)ストリップ引張によって測定された積層体フィルム破断歪みと破断値での伸長によって測定された伸張性の前又は後に機械方向配向の後のフィルム層に対して機械横断方向に測定されたものである。
通気性充填フィルムを製造するためにフィルムを調製する2つの方法は、濃縮物集積手法及び完全化合化手法である。濃縮物集積法においては、1つの樹脂が、炭酸カルシウム又は他の充填剤との間で濃縮物を生成するためのキャリア樹脂として使用される。通常は高溶融指数/低粘性樹脂であるキャリア樹脂は、高充填率の充填剤を分散させるために使用される。集積用樹脂は、フィルムの引張特性を支配し、そのことはキャリア樹脂の分子量と比較した集積用樹脂のより大きい分子量のためと見られている。濃縮物は、通常は低溶融指数/高粘性樹脂である別の樹脂に集積され(組み合わされ)、炭酸カルシウムが望ましい割合まで薄められる。このようにした2つの異なる樹脂の使用は、加工上及び効率上の利点を提供するが、伸張特性をもたらすことを意図したフィルム調製物における望ましい成分比の維持に困難性を呈することがある。
【0010】
本発明は、フィルム破断歪みを含むより良好なフィルム特性(裂ける傾向が低下する)をもたらす集積手法のための改良されたフィルム調製物、及びこのようなフィルムのための特に通気性積層体の薄い構成要素としての用途に関する。
上述の用途及び他の用途のための一部の従来型フィルムは、フィルムを約25%から約50%だけ機械横断方向に伸張させるために、3インチ当たり約550から約800グラムの力又はそれよりも大きい力を通常要する。他の従来型フィルムは、伸張性に対する要求が低いものであるが、事実上全ての場合に、フィルムは、着用者の身体に適合するように設計されたおむつの裏面シート、トレーニングパンツ外側カバー、その他の吸収用衣類のような用途に利用される時の、特により薄い厚みでの破断のない使用条件の下で受ける力に確実に耐えることが望ましい。より良好な性能及び効率は、伸張下での改良されたフィルム一体性によって達成することができる。
【0011】
支持層は、様々な繊維性不織ウェブを含む各種の材料で製造することができる。そのようなウェブの一例としては、以下に限定するものではないが、スパンボンド不織ウェブ、ボンデッドカーデッドウェブ、及び、スパンボンド/メルトブローン及びスパンボンド/メルトブローン/スパンボンドウェブのような積層体が挙げられる。スパンボンド/メルトブローンウェブの場合、積層体のメルトブローン部分をフィルムに取り付けることが一般的により望ましい。更に、ある一定の用途においては、フィルム/不織布積層体に他の層を付加することが望ましい場合があり、例えば、第2の不織布又は他の支持層が、他方の不織布層の表面とは反対側のフィルムの表面に付加される。ここでもまた、第2の支持層は、例えば不織材料の単層か又はスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド積層体のような積層体とすることができる。
【0012】
本発明のフィルム/不織布積層体は、おむつ、トレーニングパンツ、失禁用衣類、生理用ナプキン、創傷被覆材、及び包帯などのようなパーソナルケア吸収用物品での使用を含む様々な用途を有する。通常このような物品は、液体透過性上面シート及び裏面シートを有し、上面シートと裏面シートの間には吸収性コアが配置されている。フィルム/不織布積層体のフィルム層が液体透過性になるように製造されている時は、積層体は、上面シートとして使用することができる。積層体が実質的に液体不透過性の場合には、それは、裏面シートとして使用することができる。他の用途には、以下に限定はしないが、外科用ドレープ及びガウン、並びに一般的に衣料品のような製品の全て又は一部分として本発明によるフィルム/不織布積層体を使用することが含まれると考えられる。これらの用途の多くにおいては、積層体は、通気性とすることが望ましい場合があり、その場合、積層体は、「Mocon」試験手順によって測定された少なくとも300グラム毎平方メートル毎24時間の水蒸気透過率を有するべきである。望ましくは、水蒸気透過率は、遙かに高く、例えば、1000から5000グラム毎平方メートル毎24時間の範囲又は5000から10,000グラム毎平方メートル毎24時間の範囲又は更に高い。
【0013】
本発明は、改良されたフィルム調製物の結果として高められた機械横断方向(CD)伸張性及び一体性を有するフィルム/不織布積層体に関する。本発明において用いられるフィルムは、約30グラム毎平方メートル(gsm)又はそれよりも小さく、適切には約25gsm又はそれよりも小さく、望ましくは約13gsmから約25gsmの坪量を有するフィルムをもたらすのにほぼ十分な量だけ少なくとも機械方向(MD)に配向されている。そのような配向は、フィルムがその最初の長さ又は未延伸の長さの少なくとも2倍に延伸されることを多くの場合に必要とすることになる。フィルムが配向された状態で、次に、フィルムは、加熱カレンダーロールを用いるか又は超音波接合技術によるなどの加熱及び加圧を使用して繊維性不織ウェブに積層される。代替的に、この2層は、接着剤を用いて互いに積層することができる。更に別の代替手法として、一部の特定の用途に対しては、フィルムは、積層の前の延伸の代わりに、又はそれに加えて、積層体を延伸することによって延伸することができる。
【0014】
本発明によるフィルム/不織布積層体の設計に対して重要なことは、フィルム調製物内の集積用樹脂として非常に低密度で低弾性率の樹脂を選択することである。より詳細には、集積用樹脂は、0.915g/cc未満、好ましくは0.913g/cc未満、望ましくは0.900から0.912g/ccの密度を有するLLDPEである。この樹脂はまた、6g/10分未満、望ましくは4g/10分未満、より望ましくは2.5g/10分未満の溶融指数を有する。下限値は重要ではないが、実際問題として集積用樹脂の溶融指数は、通常は約1.5g/10分よりも大きいものとする。フィルム調製物はまた、良好に分散したCaCO3のような充填剤を含有するキャリア樹脂も含み、この樹脂は、例えば、集積用樹脂の密度よりも少なくとも0.003g/cc、望ましくは少なくとも0.007g/cc大きい密度を有するエチレンポリマー又はコポリマーから選択することができる。一例としては、「Dowlex 2517」(25MI、0.917g/cc)、「Dow LLDPE DNDA−1082」(155MI、0.933g/cc)、「Dow LLDPE DNDB−1077」(100MI、0.929g/cc)、「Dow LLDPE 1081」(125MI、0.931g/cc)、及び「Dow LLDPE DNDA−7147」(50MI、0.926g/cc)のようなダウ・ケミカル・カンパニーから市販されているポリエチレン及びエチレンコポリマーが挙げられる。いくつかの場合には、「Dow HDPE DMDA−8980」(80MI、0.952g/cc)のようなより高密度のポリマーが有用な場合がある。密度差の上限値が重要であるとは考えられないが、樹脂の選択は、約0.060g/ccを超える差を通常はもたらさないことになる。一部の用途に対して、キャリア樹脂の溶融指数は、約10g/10分よりも大きいことが望ましく、他の用途では、約20g/10分を超えることが望ましい。調製物は、充填剤をキャリア樹脂と混合して例えば濃縮物ペレットを形成し、次に、このキャリア樹脂ペレットを、例えば乾燥配合によって望ましい最終充填剤濃度及びその結果のフィルム通気性が形成されるように選択された量の集積用樹脂のペレットと混ぜ合わせることによって得られる。上述の範囲の通気性に対しては、濃縮充填剤樹脂は、望ましくは約65重量%から約85重量%の範囲、より望ましくは約70重量%から約80重量%の範囲で充填剤を有することになる。本発明によれば、キャリア樹脂と集積用LLDPEは、例えば、デービス・スタンダードのような複数の納入元から入手可能である従来型線状ポリエチレン障壁単軸ミキサーによって提供されるような限定的混合で加工され、その結果として形成されるフィルムは、充填剤を多く含むキャリア樹脂相及び充填剤をほとんど又は全く含有しない集積用樹脂相の少なくとも2相を含む。キャリア樹脂の充填剤濃度は、一般的に、全フィルム重量に基づいて約30重量%から約70重量%の範囲、多くの場合に約40重量%から約65重量%の範囲に最終フィルム樹脂濃度がもたらされるように選択される。当業者に公知のように、通常の量の添加物を安定化又は加工目的のためにキャリア樹脂及び集積用樹脂の一方又は両方内に含めることができる。
従来は、MD配向フィルムを用いるフィルム/不織布積層体は、積層体のフィルム部分が引き裂かれるか又は破断しているために破損することがあった。本発明は、改良されたフィルム/不織布積層体がもたらされるように、各構成要素の特性と、フィルム坪量、フィルムのMD配向、及びフィルムに関するある一定の最小歪み要件を含む他の必要な設計パラメータとを考慮に入れている。
【0015】
図1を参照すると、本発明によるフィルム/不織布積層体10は、フィルム層12と、例えば、フィルム、スクリム、織布、及び以上の組合せを含む、図示の不織布以外のいくつかの材料で製造することができる支持層14とを含む。説明のために、図示の層は、一定の比率ではなく誇張されている。フィルム層12内には、集積用樹脂相15及びキャリア樹脂相13が存在し、キャリア樹脂相自体は、フィルム12が延伸又は配向された結果として空隙19で取り囲まれた充填剤粒子17を含有する。繊維性不織ウェブは、経済性、美的特性、及び強度の観点から特に良好に機能することが見出されている。支持層14のポリマー選択は、適正な接着及び強度特性が達成できる限りは重要ではない。適切なポリマーは、以下に限定はしないが、ポリオレフィン及び他の熱可塑性ポリマーを含むであろう。適切な繊維性不織ウェブ形成法は、例えば、スパンボンド法、メルトブロー法、交絡加工、及びカーディング加工を含むと考えられる。
【0016】
図2を参照すると、使い捨ておむつの形態のパーソナルケア物品200が示されており、これは、ライナ201と、吸収層203と、フィルム構成要素207及び不織布層209を含む本発明のフィルム/不織布積層体である裏当て205とを明らかにするために部分的に切り取って示している。従来型のこのような物品は、接着テープ又は機械的ファスナのような88として示される閉止手段を含む。当業者に明らかなように、この基本的パーソナルケア物品に対する可能な変形は、特定の用途及び望ましい機能特性によって多数存在する。本発明のフィルム/不織布積層体は、それらの変形においても同様に広く有用である。
【0017】
上述のように、本発明による有用な不織布の生成は十分に確立されており、当業者に対して詳細を説明する必要はないが、いくつかの一般的な工程を要約する。メルトブローン繊維は、溶融した熱可塑性材料を複数の微細な通常は円形のダイ毛管から溶融糸又はフィラメントとして高速の通常は加熱した例えば空気である気体流の中に押出し、溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くしてその直径を縮小させることによって形成される。その後、メルトブローン繊維は、高速気体流によって運ばれ、集積面上に堆積されて不規則に分散したメルトブローン繊維が形成される。メルトブロー工程は公知であり、様々な特許及び文献に説明されており、それらには、B.A.Wendt、E.L.Boon、及びC.D.Fluharty著「超微細有機繊維の製造」、NRLレポート4364、K.D.Lawrence、R.T.Rukas、及びJ.A.Young著「超微細熱可塑性繊維の形成のための改良された装置」、NRLレポート5265、1972年7月11日にPrenticeに付与された米国特許第3,676,242号、及び1974年11月19日にButin他に付与された米国特許第3,849,241号が含まれる。以上の参考文献は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0018】
スパンボンド繊維は、溶融した熱可塑性材料を複数の通常は円形の紡糸口金の毛管からフィラメントとして押出し、次に、押し出されたフィラメントの直径は、例えば、非抽出式又は抽出式流体吸引又は他の公知のスパンボンド機構によって急速に縮小される。これらのフィラメントは、ほぼ連続的であり、移動ワイア又はベルトのような形成表面上にウェブとして集積される。ウェブは、通常は加熱状態の下でパターンロール及びアンビルロールによって形成されたニップを通過させるなどの従来的手段により接合される。スパンボンド不織ウェブの製造は、Appel他に付与された米国特許第4,340,563号、Matsuki他に付与された米国特許第3,802,817号、Dorschner他に付与された米国特許第3,692,618号、Kinnyに付与された米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号、Levyに付与された米国特許第3,276,944号、Petersonに付与された米国特許第3,542,538号、Hartmanに付与された米国特許第3,502,763号、Dobo他に付与された米国特許第3,542,615号、及びHarmonに付与されたカナダ特許第803,714号のような特許に示されている。以上の参考文献の全ては、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0019】
ボンデッドカーデッドウェブもまた使用することができ、これは、一般的にベールで入手されるステープル長繊維から製造される。ベールは、繊維を分離するピッカー内に置かれる。次に、繊維は、ステープル長繊維を更に細分して機械方向に配向した繊維性不織ウェブを形成するために機械方向に整列させるコンバイン又はカーディング・ユニットを通過して送られる。ウェブが形成された状態で、ウェブは、次に、いくつかの接合方法のうちの1つ又はそれよりも多い方法によって接合される。1つの接合方法は、粉末接着剤がウェブ全体に分配され、次に、通常はウェブと接着剤を高温空気で加熱することによって接着剤が活性化される粉末接合である。別の接合方法は、加熱カレンダーロール又は超音波接合機器が通常はウェブを通しての局所的接合パターンで繊維を一緒に接合させるために使用され、必要に応じてその表面全体的にわたって接合されるパターン接合である。二成分ステープル長繊維を使用する場合、多くの用途において通気接合機器が特に有利である。
【0020】
例えば二成分繊維のような多組成及び多成分繊維から製造された繊維性不織ウェブもまた支持層14を形成するために使用することができる。例えば、二成分スパンボンド不織布を製造する方法を説明したStrack他に付与された米国特許第5,336,552号を参照されたい。Strack他の特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
例えば、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、Block他に付与された米国特許第4,041,203号に教示されるように、スパンボンド/メルトブローン積層体及びスパンボンド/メルトブローン/スパンボンド積層体のような支持層14として使用するための積層体を形成することも可能である。
【0021】
再び図1を参照すると、炭酸カルシウム豊富キャリア樹脂相13と集積用樹脂相15とを含むフィルム層12は、1つの層又は単層のフィルム又は共押出し工程を用いて形成されるような多層フィルムとすることができる。キャリア相13内には、空隙19によって取り囲まれた炭酸カルシウム粒子17の大部分の量が存在する。多層フィルムを形成する時に、本発明のフィルム組成物は、全フィルム厚みの少なくとも約75%、望ましくは少なくとも約90%を通常は形成することになり、3層又はそれよりも多い層が形成される時には、コア構成要素になることになる。付加的な層の組成は、本発明の組成物の層の特性に適合してこの特性を大きく変えないように選択されることになる。
フィルムの形成は、フィルム形成技術の当業者には公知であり、本明細書で詳細が説明されることを要しない。このようなフィルムを厳格な仕様で製造することができる納入業者は多数存在する。例えば、Forteに付与された米国特許第6,114,024号には、フィルム形成が詳細に説明されており、この特許は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている。
【0022】
一般的に30gsm未満に層12の坪量を低下させて通気性をもたらすためには、米国ロードアイランド州プロビデンス所在のマーシャル・アンド・ウィリアムズ・カンパニーから市販されるもののような機械方向配向装置(MDO)ユニットと同種の装置内で層を延伸又は配向させることによって層を薄くすることが必要である。MDOユニットは、装置を通過するフィルムの移動の方向である機械方向にフィルムを漸次的に延伸して薄くする複数の延伸ローラを有する。例えば、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、Sabeeに付与された米国特許第4,153,664号に説明するように、相互係合溝付きロールのような他の延伸手段もまた使用することができる。
【0023】
フィルムが形成され、例えば、約13gsmから約25gsmの範囲の坪量及び望ましい通気性を有するまで薄くされた状態で、フィルムは、次に支持層14に積層される。適切な積層手段としては、以下に限定はしないが、接着剤、超音波接合、及び加熱カレンダーロールの使用によるなどのサーモメカニカル接合が挙げられる。このようなカレンダーロールは、パターンロール及び平滑アンビルロールを用いる熱的ポイント接合を多くの場合に含むことになるが、両方のロールが平滑であってもよく、ロールの両方が加熱されてもよく、又は両方が加熱されなくてもよい。本明細書で用いられる「熱的ポイント接合」という用語は、接合される繊維の布又はウェブを加熱カレンダーロールとアンビルロールの間に通す段階に関わる用語である。カレンダーロールは、通常は、必ずというわけではないが、布全体がその表面全体にわたって接合されないような何らかの方法でパターン付けされ、アンビルロールは、通常は平坦である。その結果、カレンダーロールの様々なパターンが機能性と美的理由のために開発されてきた。パターンの一例は、ポイントを有し、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれているHansen及びPenningsに付与された米国特許第3,855,046号に教示されるような約200接合/平方インチで約30%の接合面積を有する「Hansen Pennings」又は「H&P」パターンである。H&Pパターンは、方形のポイント又はピン接合区域を有し、各ピンは、0.038インチ(0.965mm)の側面寸法、0.070インチ(1.778mm)のピン間の間隔、及び0.023インチ(0.584mm)の接合深さを有する。結果として生じるパターンは、約29.5%の接合面積を有する。別の典型的なポイント接合パターンは、拡張「Hansen Pennings」又は「EHP」接合パターンであり、このパターンは、0.037インチ(0.94mm)の側面寸法、0.097インチ(2.464mm)のピン間隔、及び0.039インチ(0.991mm)の深さを有する方形ピンを用いて15%の接合面積を形成する。「714」と呼ばれる別の典型的なパターンは、方形ピンの接合区域を有し、各ピンは、0.023インチの側面寸法、0.062インチ(1.575mm)のピン間の間隔、及び0.033インチ(0.838mm)の接合深さを有する。結果として生じるパターンは、約15%の接合面積を有する。更に別の一般的なパターンは、約16.9%の接合面積を有する「C−Star」パターンである。「C−Star」パターンは、流星によって遮られた横断方向のバー又は「コージュロイ」意匠を有する。他の一般的なパターンとしては、約16%の接合面積を有し、繰返して僅かにずれたダイヤモンドを有するダイヤモンドパターン、及び約19%の接合面積を有し、名前が示唆するように例えば窓網のように見えるワイア織りパターンが挙げられる。一般的に、接合面積パーセントは、布積層体ウェブの面積の約10%から約30%まで変化する。当業技術で公知のように、スポット接合は、単層又は多層を互いに保持してフィラメント及び/又は繊維を各層内に接合することにより各個別層に一体性を付与するものである。本明細書で用いられる「接合」という用語及び派生語は、特定の関連で他の意味が要求されない限り、1つ又は複数の中間層を通じて取り付けることを含む。
【0024】
図4には、本発明のフィルムをフィルム/不織布積層体内に組み込むフィルム/不織布の全体的工程が示されている。図示のように、スパンボンド不織布710は、ポリマーホッパー714から押出し機712に給送し、フィラメント形成機718からウェブ形成機720の上に連続フィラメント716を形成することによって形成され、ウェブ形成機は、例えば、1つ又は全てを駆動することができる支持ロールの周囲に回転する小孔ワイヤ又はベルトとすることができる。得られるウェブ710は、一方又は両方を熱接合温度に加熱することができるパターンロール724及びアンビルロール726によって形成されたカレンダーニップ722で熱的ポイント接合される。接着剤アプリケータ734は、カレンダーニップ722の後のスパンボンドウェブ710に接着剤被膜を連続又はパターン状に付加する。フィルム728は、上述の本発明により配合されたキャリア樹脂及び集積用樹脂を収容するポリマーホッパー732から押出し機730に給送し、冷却ロール732上に成形することによって形成される。フィルム728は、MDO731によって延伸され、フィルムとスパンボンドは、望ましい接着接合温度に維持されたロール738及び740間のニップ736で接合される。積層体は、次に、必要に応じて切断区域741で切断されて巻取り機746に導かれ、又は任意的に更に別の加工に誘導される。
【0025】
本発明の実施に使用することができる適切な接着剤の例としては、米国テキサス州ヒューストン所在のハンツマン・ポリマーズから入手可能である「Rextac 2730及び2723」、並びに米国ウイスコンシン州ウォーワトサ所在のボスティック・フィンドリー・インコーポレーテッドから入手可能である接着剤が挙げられる。一実施形態では、フィルムと支持層は、接着剤の坪量が1.0から3.0gsmであるように接着剤を用いて積層される。使用される接着剤の種類及び坪量は、最終積層体に求められる特性に基づいて判断されることになる。別の実施形態では、不織布との積層よりも前にフィルム層に接着剤を直接に付加することができる。
【0026】
本発明者によって特定されたように、これまでのフィルム/不織布積層体で発生した問題は、積層体が延伸した時又はおむつの外側カバーとして使用された時に積層体のフィルム部分が裂けていたことである。それを受けてフィルムの靭性及び伸張特性が研究された。この研究に基づき、特に機械横断方向のフィルム靭性は、本発明による集積用樹脂及びフィルム調製物の使用によって著しく増大する可能性があることが明らかにされた。更に、積層体全体が良好に機能するために、本発明による積層体は、破損することなくある一定の最小荷重、すなわち、下記の2.54cm(1インチ)カットのストリップ引張試験を用いて少なくとも300グラムに耐えることができる。
【0027】
以上の観点で、フィルムが様々なレベル及び種類の集積用樹脂を有する積層体が調製された。これらの様々なフィルム(機械方向に配向された)、不織布、及び積層体に対して、TEAによる靱性及び伸張性のデータが得られた。集積用樹脂が上述の密度及びMI範囲にある場合には、フィルムは、改良された靱性及び伸張性を有していた。延伸された時のサンプル積層体の目視観察においては、フィルムが早期に破損しないことが観察された。早期とは、通常の使用条件の下で遭遇するかも知れない条件下でフィルムが機械横断方向の歪みで引き裂かれ及び/又は穴が形成されることを意味する。
【0028】
以下の試験手順は、以下に示す実施例の分析を助けるために用いられたものである。伸長及び歪みのための試験手順には、破断時及びピーク荷重時の伸長、並びに破断時の荷重及びピーク荷重が含まれた。他の試験は、フィルム厚み又は有効標準寸法を含む。フィルム、不織布、及び積層体に対して、全ての値が機械横断方向で測定された。更に、積層体が製造された時に、フィルム層と不織布層は、各層の機械方向配向が互いに平行になるように積層の前に整列させられた。
【0029】
ストリップ引張力
%値での荷重は、所定の百分率(示すように70又は100パーセントのような)の特定方向(CDなど)の定められた伸長までサンプルを最初に伸長し、次に選択された%値での荷重を測定することによって判断される。
本明細書に反映された試験結果に関しては、特に言及のない限り、定められた伸長は25%であった。荷重値を判断するための実際の試験方法を以下に説明する。
材料は、「Instron」ロードセルを使用する米国マサチューセッツ州カントン所在のインストロン・コーポレーションから入手可能である又はノースカロライナ州カリー所在のシンテック・コーポレーションから入手可能であるもののような一定速度の伸張試験装置を用いて試験された。サンプルの寸法は、25.4mm×152.4mmであり、グリップの間に固定され、サンプルが切断するまで508mm/分の一定速度で延伸された。グリップ間隔は51mmであった。サンプルは、サンプルの機械横断方向が垂直方向であるようにして装着された。試験は、「TESTWORKS 4.07b」ソフトウエアを用いる「Renew MTS」マングース・ボックス(コントローラ)を有するシンテック・コーポレーションの一定速度の伸張試験装置2/Sによって行われた(米国ノースカロライナ州カリー所在のシンテック・コーポレーション)。試験は、約73.5°F及び相対湿度50パーセントの周囲条件で実施された。25%伸張でのグラムの荷重/力が記録された。図3には、この試験で得られた典型的な曲線が描かれており、伸張の関数としての荷重と、破断時の荷重と、曲線の下の面積であるTEAとの間の関係を示している。この試験は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている米国材料試験協会「D882−97」に関して内容が適合するものである。
【0030】
WVTR
「Mocon」試験は、本明細書において引用により組み込まれている「保護フィルム及び水蒸気センサを用いる不織布及びプラスチックフィルムを通る水蒸気透過率の標準試験法」という名称の第IST−70.4−99号として「INDA(不織布工業協会)」によって標準化されている。この「INDA」手順は、水蒸気に対するフィルムの浸透性であるWVTR、及び均質な材料に対しては水蒸気透過係数の判断をもたらすものである。
【0031】
「INDA」試験法は公知であり、本明細書では詳細には説明しない。しかし、試験手順を以下に要約する。乾燥チャンバは、永久保護フィルム及び試験されるサンプル材料によって既知の温度及び湿度の湿潤チャンバから分離される。保護フィルムの目的は、明確な空隙を形成し、空隙が特性付けられる間に空隙内の空気を静穏化又は鎮静化することである。乾燥チャンバ、保護フィルム、及び湿潤チャンバは、試験フィルムが密封される拡散セルを構成する。サンプルホルダは、米国ミネソタ州ミネアポリス所在のモーコン/モダーン・コントロールズ・インコーポレーテッドによって製造された「Permatran−W Model 100K」として公知である。最初の試験は、保護フィルムと、100%相対湿度を発生する蒸発器アセンブリ間の空隙のWVTRを求めるものである。水蒸気は、空隙及び保護フィルムを通過して拡散し、次に、水蒸気濃度に比例する乾燥ガス流と混合する。電気信号は、処理のためにコンピュータに送られる。コンピュータは、空隙及び保護フィルムの透過率を計算し、その値を更に別の使用のために格納する。
【0032】
保護フィルム及び空隙の透過率は、コンピュータ内に「CalC」として格納される。次に、サンプル材料が試験セル内に密封される。再び水蒸気が保護フィルム及び試験材料に空隙を通過して拡散し、次に、試験材料上を通過する乾燥空気と混合する。次に、この情報は、水分が試験材料を透過する値である透過率を次式に従って計算するために使用される。
TR(−1)(試験材料)=TR(−1)(試験材料、保護フィルム、空隙)−TR(−1)(保護フィルム、空隙)
WVTR=Fp(sat)(T)RH/Ap(sat)(T)(1−RH)
ここで、
F=cc/分での水蒸気流量、
P(sat)(T)=温度Tでの飽和空気内の水の密度、
RH=セル内の指定位置での相対湿度、
A=セルの断面積、及び
p(sat)(T)=温度Tでの水蒸気の飽和水蒸気圧
である。
【0033】
溶融指数
溶融指数は、どの程度容易に樹脂が流動するかの尺度であり、米国材料試験協会基準D1238の条件190°/2.16(条件E)を用いて判断することができる。本明細書に示す向上した結果を得るために、フィルム内の2つの成分は、異なる溶融指数値を有する。より詳細には、0.915g/ccよりも全体的に低い密度を有する集積用樹脂は、6g/10分よりも小さい溶融指数を有する。一般的に、高溶融指数を有するポリマーは低粘性である。本発明によるキャリア樹脂と集積用樹脂の溶融指数と密度パラメータの組合せは、切断による破損の傾向の小さい改良された2相フィルムをもたらすものである。
一連の実施例が本発明の特質を明らかにして違いを示すために実施された。
【実施例1】
【0034】
実施例1においては、フィルム/不織布積層体が製造された。フィルム層は、キャリア樹脂に分散された炭酸カルシウムを含有している。例えば、8−10ミクロンのトップカット及び約1%のステアリン酸コーティングを有する「2SST」と指定された「Omya」から入手可能な炭酸カルシウムが使用された。炭酸カルシウム(75%)及び「Dowlex 2517」LLDPE(溶融指数25及び密度0.917)であるキャリア樹脂(25%)の複合物は、次に、単軸従来型押出し機内で0.902の密度及び3.0の溶融指数を有する「Affinity PL−1850」LLDPEの集積用樹脂と配合され、52重量%の最終の炭酸カルシウム濃度がもたらされた。「Dawlex(登録商標)」及び「Affinity」ポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル・USAから入手可能である。
【0035】
この調製物は、未延伸坪量40gsmで80°Fに設定された冷却ロール上に成形することによりフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向装置(MDO)を用いて、16gsmの延伸坪量になるまでその最初の長さの3.6倍に延伸された。本明細書で用いられるように、フィルムを3.6倍延伸するというのは、例えば1メートルの最初の長さを有したフィルムが3.6倍に延伸された時に、3.6メートルの最終長さを有すると考えられることを意味する。フィルムは、155°Fの温度に加熱され、フィルムを延伸するために498フィート毎分のライン速度でMDOを通された。次に、フィルムは、180°Fの温度で焼き鈍しされた。
【0036】
繊維性不織ウェブは、エクソン/モービル・コーポレーションで生産された「Exxon 3155」ポリプロピレンを用いて作られた0.4osyスパンボンドウェブであった。使用されたスパンボンド工程は、本明細書においてその全内容が引用により組み込まれている、Haynes他による米国特許出願公告US2002−0117770に説明したものとほぼ同様であり、ワイア織り接合パターンが用いられた。
【0037】
2つの層の積層は、スロットダイ塗工機による接着積層を用いて達成された。米国テキサス州オデッサ所在のハンツマン・ポリマーズ・コーポレーションによって製造された「Rextac 2730 APAO」ベースの接着剤が350°Fの温度まで溶融され、1.5gsmの付加レベルでスパンボンドシートに付加された。スパンボンドとフィルムは、完全接触を確実にするのに十分な圧力を与える低圧接合ニップを約435fpmの速度で非加熱ロールを用いて通過させることによって互に接合された。得られた積層体は、31gsmの接合坪量を有していた。
【0038】
積層体は、次に、剪断切断器を使用して13インチの幅に切断された。積層体は、直ちにs−ラップに通され、切断器及び接着積層ユニットから引出物が分離された。積層体は、s−ラップと焼き鈍しユニットの第1のロールの間で機械方向に6%引っ張られ、25%ネックダウンの9.75インチにCD幅を減少させた。次に、積層体は、2つのフィルムの上で200°Fで焼き鈍しされ、フィルム側をロールに接触させて材料内のネック部を固めた。最後に、材料は、38gsmの最終坪量を得るために最小の引張力で巻取り機に運ばれた。
【実施例2】
【0039】
実施例2においては、別のフィルム/不織布積層体が作成された。フィルム層は、「Affinity PL−1850」の代わりに「Affinity PF1140」LLDPE(53%)/「Dowlex 2244」LLDPE(47%)乾燥配合集積用樹脂が使用されたことを除いては、実施例1において使用されたものと同じであった。「PF1140」の密度は0.897であり、溶融指数は1.6である。「Dow 2244」の密度は0.916であり、溶融指数は3.3である。繊維性不織ウェブは、実施例1において使用されたものと同じであった。
2つの層の積層は、実施例1におけるものと同じ方式かつ同じ条件の下で行われた。
積層体の加工もまた、実施例1におけるものと同じ方式かつ同じ条件の下で行われた。
【実施例3】
【0040】
実施例3においては、別のフィルム/不織布積層体が作成された。フィルム層は、「Affinity PL−1850」の代わりにダウ・ケミカル・カンパニーによって製造された「Attane 4404G」LLDPE集積用樹脂が使用されたことを除いては、実施例1において使用されたものと同じであった。「Attane 4404G」の密度は0.904であり、溶融指数は4.0である。繊維性不織ウェブは、実施例1において使用されたものと同じであった。
2つの層の積層は、実施例1におけるものと同じ方式かつ同じ条件の下で行われた。
積層体の加工もまた、実施例1におけるものと同じ方式かつ同じ条件の下で行われた。
【0041】
比較例1
この比較例においては、フィルム/不織布積層体が作成された。フィルム層は、実施例1のようにキャリア樹脂内に分散された炭酸カルシウムを含有したものである。炭酸カルシウム(75%)及び「Dow 2517」LLDPEであるキャリア樹脂(25%)の複合物は、次に、単軸従来型押出機内で0.917の密度及び2.3の溶融指数を有する「Dowlex 2047」LLDPEの集積用樹脂と配合され、49重量%の最終炭酸カルシウム濃度がもたらされた。「Dawlex(登録商標)」ポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル・USAから入手可能である。
この調製物は、未延伸坪量54.7gsmで90°Fに設定された冷却ロール上に成形することによりフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向装置(MDO)を用いて20gsmの延伸坪量になるまでその最初の長さの3.46倍に延伸された。フィルムは、190°Fの温度に加熱され、フィルムを延伸するために495フィート毎分のライン速度でMDOに通された。
【0042】
比較例2
この比較例においては、フィルム/不織布積層体が作成された。フィルム層は、実施例1のようにキャリア樹脂内に分散された炭酸カルシウムを含有したものである。炭酸カルシウム(75%)及び「Dow 2517」LLDPEであるキャリア樹脂(25%)の複合物は、次に、単軸従来型押出機内で0.917の密度及び2.3の溶融指数を有する「Dowlex 2047」LLDPEの集積用樹脂と配合され、58重量%の最終炭酸カルシウム濃度がもたらされた。「Dawlex(登録商標)」ポリマーは、米国ミシガン州ミッドランド所在のダウ・ケミカル・USAから入手可能である。
この調製物は、未延伸坪量45gsmで89°Fに設定された冷却ロール上に成形することによりフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向装置(MDO)を用いて17.5gsmの延伸坪量になるまでその最初の長さの3.45倍に延伸された。フィルムは、190°Fの温度に加熱され、フィルムを延伸するために581フィート毎分のライン速度でMDOに通された。
【0043】
比較例3
この比較例においては、主要なおむつ製品に使用されている典型的な市販フィルムが評価された。それは、プライアント・コーポレーションによって供給されて「Affinity」及び「Dowlex」配合集積用を含有すると考えられているマイクロポーラスの炭酸カルシウム充填フィルムである。
上述の実施例及び比較実施例からのサンプルは、破断歪み及び破断強度に関して試験され、その結果は、以下の表1に示されている。
【0044】
(表1)

【0045】
本発明により得られたより低い25%伸張時の荷重の値は、例えば、着用者の定位置に装着するためにおむつが開かれて延伸される時に伸張が容易であることを示している。より高い破断歪み及びTEAの値は、着用時及び使用時に印加される延伸力に耐えるためのフィルム/積層体の機能を示している。
7日の期間にわたり1日に5個のおむつを与えられた30人の幼児(男子50%、女子50%)に関わる研究において、表2に要約された結果は、実施例1からのフィルムを利用した外側カバーを有するおむつの場合に尿漏れ、外側カバー湿り、BM漏れ、及びレッドマーキングの領域における改良を示している。外側カバー湿り及び%尿漏れの数値は、消費者満足度の重要項目として特に目立っている。
【0046】
(表2)

【0047】
すなわち、本発明により、使い捨ておむつのようなパーソナルケア製品の構成要素を含む多くの用途に適応した改良された歪み特性を有するフィルムとこのようなフィルムの積層体が提供された。本発明は、特定的な実施形態によって説明したが、本発明は、そのような実施形態に限定されず、広く言えば、特許請求の範囲が権利を有することができる全ての均等物を含む特許請求の範囲の全範囲を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるフィルム/不織布積層体の側面断面図である。
【図2】裏面シートとして本発明による積層体を組み込んだ使い捨ておむつとして示す代表的パーソナルケア物品の上面図である。
【図3】荷重、伸長、及び吸収全エネルギ(TEA)エネルギに関する結果の間の関係を示す図である。
【図4】本発明を用いてマイクロポーラスフィルム/不織布積層体を製造する工程の概略図である。
【符号の説明】
【0049】
10 フィルム/不織布積層体
12 フィルム層
13 キャリア樹脂相
14 支持層
15 集積用樹脂相

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約300g/m/24時間のMVTRを有する通気性積層体であって、
約0.915よりも小さい密度と6又はそれよりも小さい溶融指数とを有するエチレンコポリマーを含む集積用樹脂相と、該集積用樹脂よりも少なくとも約0.003g/cc大きい密度を有し、該集積用樹脂とは異なるエチレンポリマー又はコポリマーを含む充填キャリア樹脂相とを備える配向フィルムに接合された不織布支持層、
を含むことを特徴とする積層体。
【請求項2】
前記フィルムの集積用樹脂の密度は、約0.913g/ccよりも小さく、好ましくは、約0.900g/ccから約0.912g/ccの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の通気性積層体。
【請求項3】
前記キャリア樹脂のエチレンポリマー又はコポリマーは、前記集積用樹脂よりも少なくとも約0.007g/cc大きい密度を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の通気性積層体。
【請求項4】
前記キャリア樹脂のエチレンポリマー又はコポリマーは、少なくとも約10グラム/10分、好ましくは、少なくとも約20グラム/10分の溶融指数を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項5】
約13gsmから約25gsmの範囲のフィルム坪量を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項6】
前記フィルムは、約30重量%から約70重量%の範囲の全フィルム組成物に基づく炭酸カルシウム充填剤濃度を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項7】
両方のフィルムのエチレンコポリマーは、LLDPEから成る群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項8】
前記不織布は、スパンボンド不織布を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項9】
前記不織布は、ボンデッドカーデッドウェブを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項10】
前記不織布は、1つよりも多い層を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項11】
前記フィルムは、1つよりも多い層を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項12】
前記フィルムは、300%よりも大きい機械横断方向の破断歪みを有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項13】
約5000g/m/24時間から約10,000g/m/24時間のMVTRを有することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項14】
前記フィルムのより高密度のエチレンコポリマーは、0.915g/ccよりも大きい密度を有することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項15】
前記集積用樹脂相及び前記キャリア樹脂相は、全フィルム厚の少なくとも約90%を構成する層を含むことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の通気性積層体。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の通気性フィルム積層体を含むことを特徴とするパーソナルケア製品。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の通気性フィルム積層体を裏当て構成要素として含むことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項18】
フィルムと不織布との通気性積層体を形成する方法であって、
a.0.915g/ccよりも小さい密度と約6よりも小さい溶融指数とを有する集積用エチレンコポリマー樹脂を選択する段階と、
b.前記集積用樹脂よりも少なくとも約0.003g/cc高い密度を有するキャリアエチレンポリマー又はコポリマー樹脂に充填剤を分散する段階と、
c.配合物中に約30重量%から70重量%の充填剤濃度をもたらす量で前記集積用樹脂及び前記充填キャリア樹脂を乾燥配合する段階と、
d.前記配合物を押し出してフィルムを形成する段階と、
e.前記フィルムを延伸する段階と、
f.前記フィルムを不織布層に接合する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記フィルムを延伸する段階は、該フィルムと不織布層とが接合された後に行われることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記接合する段階は、接着接合段階を含むことを特徴とする請求項18又は請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503326(P2007−503326A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523825(P2006−523825)
【出願日】平成16年4月2日(2004.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/010203
【国際公開番号】WO2005/025865
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】