説明

薄型ガラスの罫書き方法および装置

【課題】薄型板ガラスの機械的罫書き中に生じる無制御の亀裂に関する問題に対処する。
【解決手段】薄型板ガラスに割れ目を形成する装置が、罫書きヘッド21を含む罫書きアセンブリ20と、非柔軟なガラス係合面32を有するプラテン31を含むプラテンアセンブリ30と、ワイパー41を含む清掃アセンブリ40とを備える。(I)罫書きヘッドおよびプラテンを夫々薄型板ガラスの前方および後方主表面に接触させ(II)罫書きヘッドが前方主表面を横切るように移動して割れ目を形成しかつこのときプラテンは罫書きヘッドに対するアンビルとしての役割を果たし(III)罫書きヘッドおよびプラテンを前方および後方主表面から引き離し、このステップ(I)から(III)を繰り返す。このとき薄型板ガラスの厚さは500μm以下であり、かつステップ(III)後の(I)前に、ワイパーによりプラテンを清掃して、プラテン上に存在し得るガラス片を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薄型ガラス、すなわち厚さ500μm以下のガラスに対する、機械的罫書きに関する。以下で十分に論じるが、機械的罫書き中の薄型ガラスの挙動は厚いガラスとは異なり、すなわち薄型ガラスは厚いガラスの罫書き中に直面しないような問題を呈する。薄型ガラスに、何度も繰り返しかつ確実に罫書きすることの必要性は、薄型ガラスがモバイル(例えば、ハンドヘルド)電子機器に関連してより幅広く使用されるようになるにつれ、ますます重要になっている。
【背景技術】
【0002】
本明細書および請求項で使用する、単一および複数の「板ガラス」という表現は、ガラスリボンおよび個々の板ガラス(当技術では「ガラスペイン」または単に「ペイン」とも称する)を含むものである。この表現はさらに、(i)ガラス、または(ii)ガラスセラミック、からなる、リボンおよび個々の板ガラスを含む。
【0003】
ガラスの罫書きは板ガラスの製造における基本的なプロセスの1つである。罫書きは「割れ目(vent)」をガラス表面に形成するために使用されるが、この割れ目とは、ガラスの厚さを完全には貫通することなくその厚さの一部に延びたものである。割れ目が一旦形成されると、この割れ目はガラスの制御された分割のための分割ラインとして機能する。この制御された分割では、ガラスの割れ目の位置に曲げモーメントまたは他の機械的な力を加えることによってガラスが2つに分割される。
【0004】
機械的罫書きはガラス製造プロセスの様々な時点で使用される。例えば、動いているガラスリボンから個々の板ガラスを最初に分割する際に機械的罫書きが使用され、さらに個々の板ガラスを所望の寸法に整える際や、大型の板ガラスをより小さな分割片に分ける場合にも機械的罫書きは使用される。
【0005】
図1は、自動化された機械的罫書きシステムの基本的な構成要素を示したものである。この図において、100は板ガラス(例えば、動いているガラスリボン)、20は罫書きヘッド21を備えた罫書きアセンブリ、そして30はプラテン31を含むプラテンアセンブリである。罫書き中、罫書き用ヘッド(例えば、罫書き用ホイールまたは罫書き針)を、板ガラスの主表面(本書では「前面」と称する)を横切り既定の経路に沿って移動させ、所望の割れ目を形成する。このプロセス中にガラスを支持するため、プラテン(すなわち、従来技術の柔軟なプラテン)を板ガラスの反対側の表面(本書では「後面」と称する)に接触させる。このような柔軟なプラテン(「ノージング」としても知られている)の例については、同一出願人による特許文献1および特許文献2から入手することができる。
【0006】
これまで、例えば液晶ディスプレイの製造において基板として使用される厚さ700μmの板ガラスなど、500μmを超える厚さを有する板ガラスでは、機械的罫書きの際に柔軟なプラテンを使用して板ガラスの後面を支持することで成功していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0276646号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/250497A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本開示により後述するように、厚いガラスで使用していた柔軟なプラテンは、薄型ガラスすなわち厚さ500μm以下のガラスでは、うまく機能しないことが既に分かっている。特に、薄型板ガラスと柔軟なプラテン(すなわち、柔軟なガラス係合面を有するプラテン)の組合せは、不確実な罫書きに繋がることが分かった。1つのその態様により、本開示はこの問題に対処する。
【0009】
柔軟なプラテンに関するこの問題に加えて、機械的罫書きが所望の割れ目を生成するというよりもむしろ、例えばガラスリボンから個々の板ガラスを分割する際に薄型ガラスとともに繰り返し使用されるとき、このプロセスによって、罫書きヘッドが位置するガラスの部分に、無制御な形で亀裂が生じることも分かっている。さらに、プロセスが継続するにつれて亀裂の生じた板ガラスの割合が増加し、すなわちプロセスが「デススパイラル」に陥る。
【0010】
別の態様によれば、本開示は、薄型板ガラスの機械的罫書き中の、無制御の亀裂に関するこの問題に対処する。本開示は、この問題の原因を確認するとともに、さらにこの問題に対して、例えば既存の機械的罫書きプロセスと関連付けて容易に実施し得る効果的な解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様によれば、1以上の板ガラス(10)に割れ目(13)を形成する方法が開示され、この板ガラスの夫々は、前方主表面(11)と、後方主表面(12)と、そして厚さδとを有し、この方法は、
(I)罫書きヘッド(21)およびプラテン(31)を、夫々、前方主表面(11)および後方主表面(12)に接触させるステップ、
(II)罫書きヘッド(21)を既定の経路に沿って前方主表面(11)を横切るように移動させて、割れ目(13)を形成するステップであって、プラテン(31)が、割れ目(13)の形成中に罫書きヘッド(21)に対するアンビルとしての役割を果たすステップ、および、
(III)罫書きヘッド(21)およびプラテン(31)を、夫々、前方主表面(11)および後方主表面(12)から引き離すステップ、
を繰り返して含み、ここで、
(a)厚さδが500μm以下(例えば、350μm以下)であり、かつ、
(b)ステップ(I)から(III)までの各繰返しに対し、ステップ(III)後のかつステップ(I)前にプラテン(31)を清掃して、プラテン(31)上に残存していると罫書きヘッド(21)が厚さδを貫通することがあり得るようなガラス片を、除去することを特徴とする。
【0012】
第2の態様によれば、態様1の方法が提供され、ここで厚さδは350μm以下である。
【0013】
第3の態様によれば、態様1または態様2の方法が提供され、ここで1以上の板ガラスが、
(i)ガラスリボンを含み、さらにステップ(I)から(III)までの繰返しが、このリボンから個々の板ガラスを分割するものに関連して実行される、または、
(ii)個々の板ガラスを含み、さらにステップ(I)から(III)までの繰返しが、この個々の板ガラスにおいて複数の割れ目を形成するものに関連して実行される、または、
(iii)一組の個々の板ガラスを含み、さらにステップ(I)から(III)までの繰返しが、この組の個々の板ガラス夫々において1つの割れ目を形成するものに関連して実行される、
ことを特徴とする。
【0014】
第4の態様によれば、態様1から3のいずれか1つの方法が提供され、ここでプラテンは第1端部および第2端部を有し、かつプラテンの清掃は、第1端部から第2端部へと向かう清掃と、第2端部から第1端部へと向かう清掃とを繰り返すものである。
【0015】
第5の態様によれば、態様1から4のいずれか1つの方法が提供され、この清掃は、プラテンに回転ブラシで接触するステップを含む。
【0016】
第6の態様によれば、態様5の方法が提供され、この清掃は、ブラシによりプラテンから解放されたガラス片を、真空を適用して回収するステップを含む。
【0017】
第7の態様によれば、態様5の方法が提供され、ここではステップ(III)後にブラシがプラテンと係合する位置へと移動し、さらにステップ(I)の前にブラシは、プラテンとの係合を脱した、ステップ(I)から(III)までを妨げないような位置へと移動する。
【0018】
第8の態様によれば、態様1から7のいずれか1つの方法が提供され、ここでプラテンのうち少なくとも板ガラスの後方主表面と係合する部分は、スチールから作製され、かつ20以上のロックウェル硬度を有する。
【0019】
第9の態様によれば、前方主表面(11)および後方主表面(12)を有する板ガラス(10)に割れ目(13)を形成する装置が開示され、この装置は、
(I)罫書きヘッド(21)を含む罫書きアセンブリ(20)であって、罫書きヘッド(21)が停止状態と作動状態とを有し、この作動状態において、装置の使用中に、罫書きヘッド(21)が板ガラス(10)の前方主表面(11)と接触しかつこの罫書きヘッド(21)が前方主表面に既定の経路に沿って割れ目(13)を形成する、罫書きアセンブリ(20)、
(II)非柔軟なガラス係合面(32)を有するプラテン(31)を含むプラテンアセンブリ(30)であって、プラテン(31)が停止状態と作動状態とを有し、この作動状態において、装置の使用中に、プラテンの非柔軟なガラス係合面(32)が板ガラス(10)の後方主表面(12)と接触しかつ割れ目(13)形成中にこのガラス係合面(32)が罫書きヘッド(21)に対するアンビルとしての役割を果たす、プラテンアセンブリ(30)、
(III)ワイパー(41)を含む清掃アセンブリ(40)であって、ワイパー(41)が停止状態と作動状態とを有し、この作動状態において、装置の使用中に、ワイパー(41)がプラテン(31)の非柔軟なガラス係合面(32)と接触しかつガラス係合面上に存在し得るガラス片(14)を除去するようこのワイパー(41)がガラス係合面に沿って移動する、清掃アセンブリ(40)、および、
(IV)罫書きアセンブリ(20)、プラテンアセンブリ(30)、および清掃アセンブリ(40)に接続されたコントローラ(50)であって、装置の使用中に、
(A)罫書きヘッド(21)およびプラテン(31)を、その停止状態からその作動状態へと移動させて割れ目(13)を形成させ、かつ、
(B)一旦割れ目(13)が形成されると、
(i)罫書きヘッド(21)およびプラテン(31)を、その作動状態からその停止状態へと移動させ、さらに、
(ii)ワイパー(41)を、その停止状態からその作動状態へと移動させ、さらにその停止状態へと戻す、
コントローラ(50)、
を含むことを特徴とする。
【0020】
第10の態様によれば、態様9の装置が提供され、ここで、
(i)プラテンが第1端部および第2端部を有し、
(ii)ワイパーの停止状態が、プラテンの第1端部に関連する第1停止位置と、プラテンの第2端部に関連する第2停止位置とを含み、ワイパーは、この第1停止位置または第2停止位置のいずれかの位置にあるときにその停止状態にあるものであり、さらに、
(iii)装置の使用中にコントローラがワイパーをその停止状態から作動状態へと移動させ、さらにその停止状態へ戻すということが、ワイパーをその第1停止位置から作動状態、さらにその第2停止位置まで移動させること、またはワイパーをその第2停止位置から作動状態、さらにその第1停止位置まで移動させること、のいずれかを含むものであることを特徴とする。
【0021】
第11の態様によれば、態様10の装置が提供され、ここで装置の使用中にコントローラは、ワイパーをその第1停止位置から作動状態、さらにその第2停止位置まで移動させることと、ワイパーをその第2停止位置から作動状態、さらにその第1停止位置まで移動させることとを繰り返すものである。
【0022】
第12の態様によれば、態様9から11のいずれか1つの装置が提供され、ここで罫書きヘッドは、罫書きホイールまたは罫書き針を含む。
【0023】
第13の態様によれば、態様9から12のいずれか1つの装置が提供され、ここでプラテンの非柔軟なガラス係合面は、スチールから作製され、かつ20以上のロックウェル硬度を有する。
【0024】
第14の態様によれば、態様9から13のいずれか1つの装置が提供され、ここでワイパーはパッドである。
【0025】
第15の態様によれば、態様9から13のいずれか1つの装置が提供され、ここでワイパーは回転ブラシである。
【0026】
第16の態様によれば、態様15の装置が提供され、ここでプラテンの停止状態と作動状態との間の運動により平面が画成され、かつ回転ブラシが、この平面に平行な第1位置とこの平面に垂直な第2位置との間で可動な心棒を有し、回転ブラシは、心棒がその第1位置および第2位置にあるときに、夫々、その停止状態および作動状態にあることを特徴とする。
【0027】
第17の態様によれば、板ガラス(10)における割れ目(13)の形成に使用する装置が開示され、
(I)装置の使用中、板ガラス(10)の主表面(12)と接触し、かつ板ガラス(10)に割れ目(13)を形成する罫書きヘッド(21)に対するアンビルとしての役割を果たす、非柔軟な表面(32)を有するプラテン(31)、
(II)装置の使用中、プラテン(31)を、停止状態と作動状態との間でプラテンの運動平面内において移動させる、プラテン(31)用移送アセンブリ(36)、および、
(III)プラテン清掃アセンブリ(40)であって、
(a)停止状態と作動状態とを有し、その停止状態にあるときにプラテンの運動平面外にあり、かつその作動状態にあるときにプラテンの運動平面と交差する、ワイパー(41)、
(b)装置の使用中、ワイパー(41)をその停止状態および作動状態間で移動させる、移動アセンブリ(43)、および、
(c)装置の使用中、プラテン(31)の表面(32)上に存在し得るガラス片(14)を除去するようプラテン(31)に沿ってワイパー(41)を移動させる、移送アセンブリ(44)、
を含む、プラテン清掃アセンブリ(40)、
を含むことを特徴とする。
【0028】
第18の態様によれば、態様17の装置が提供され、ここでワイパーはパッドである。
【0029】
第19の態様によれば、態様17の装置が提供され、ここでワイパーは回転ブラシである。
【0030】
第20の態様によれば、態様17から19のいずれか1つの装置が提供され、ここで非柔軟な表面は、スチールから作製され、かつ20以上のロックウェル硬度を有する。
【0031】
本開示の種々の態様に関する上記概要において使用した参照数字は、単に読者の便宜のためのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈されることを意図したものではなく、またそう解釈されるべきではない。より一般的には、前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、単なる本発明の例示であり、本発明の本質および特徴を理解するための概要または構成を提供することを意図したものであることを理解されたい。
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は以下の詳細な説明の中に明記され、ある程度は、その説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、あるいは本書の説明で例示したように本発明を実施することにより認識されるであろう。添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。本書および図面において開示された本発明の種々の特徴は、任意の組合せで、また全て組み合わせて、使用することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】自動化されたガラス罫書きシステムの基本要素を示す概略図
【図2】プラテンのガラス係合面上にガラス片が存在していることによる、薄型板ガラスの無制御の亀裂を示している概略図
【図3】プラテン表面上のガラス片により生じた薄型板ガラスの隆起部分に、罫書きホイールが近づく様子を示している概略図
【図4】プラテン表面上のガラス片の存在が原因で、罫書きホイールが薄型板ガラスを貫通することを示す概略図
【図5】プラテン表面上のガラス片により生じた薄型板ガラスの隆起部分に、罫書き針が近づく様子を示している概略図
【図6】プラテン表面上のガラス片の存在が原因で、罫書き針が薄型板ガラスを貫通することを示す概略図
【図7】本開示の一実施の形態の薄型ガラス罫書きシステムにおける停止状態を示す概略図
【図8】プラテンアセンブリの、その停止状態から作動状態への変化を示す概略図
【図9】罫書きアセンブリの、その停止状態から作動状態への変化を示す概略図
【図10】罫書きアセンブリによる薄型板ガラスでの割れ目の形成を示す概略図
【図11】プラテンアセンブリおよび罫書きアセンブリの、その作動状態から停止状態への変化を示す概略図
【図12】プラテンアセンブリおよび罫書きアセンブリの、その作動状態から停止状態への変化を示す概略図
【図13】プラテン清掃アセンブリの、その停止状態(具体的には、その第1の停止位置)から作動状態への変化を示す概略図
【図14】プラテン清掃アセンブリによるプラテンのガラス係合面の清掃を示す概略図
【図15】プラテン清掃アセンブリの、その作動状態から停止状態(具体的には、その第2の停止位置)への変化を示す概略図
【図16】罫書きアセンブリ、プラテンアセンブリ、およびプラテン清掃アセンブリに、作動的に接続されたコントローラを示す概略図
【図17】プラテンのガラス係合面からガラス片が清掃された後の、無制御の亀裂を生じることのない、薄型板ガラスの罫書きの成功を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0034】
上記の図面は、正確な縮尺ではない。
【0035】
上述したように、本開示は、薄型板ガラスの不確実な機械的罫書きの問題、およびこのような罫書き中に生じる無制御の亀裂の問題に関する。
【0036】
不確実な罫書きは、厚い板ガラスと比較して薄型板ガラスが、特に板ガラス全体のサイズが大型になるにつれてより平坦ではなくなる(例えば、より波状となる)傾向にあるという事実から生じる。したがって、罫書き用ヘッドと薄型板ガラスの前面との係合が罫書きの長さに沿って変化し得、例えば、割れ目が深すぎる領域や、浅すぎる領域、あるいは罫書き用ヘッドがいかなる割れ目をも生成できずに飛ばされる領域さえ生じる可能性がある。本開示によれば、罫書きヘッドに薄型板ガラスのうねりを「アイロンをかけて伸ばす」ようにさせることが可能な非柔軟なプラテンを使用して、この問題に対処する。
【0037】
特に、厚い板ガラスの機械的罫書きは、種々の柔軟なポリマーから成るガラス係合面を有するプラテンを使用してその実行を成功させることができるが、同じタイプのポリマーを薄型ガラスとともに使用すると罫書きが不確実になることが分かった。確実性は、プラテンのガラス係合面の硬度を増加させることにより回復する。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリマーなどの高性能ポリマーをプラテンのガラス係合面に使用することができる。スチールはガラス片を落としやすいことから、スチール製のガラス係合面は特に効果的となり得る。スチールが使用される場合、ガラス係合面の硬度を、約400〜500μmの厚さを有するガラスに対してはロックウェル硬度C20(HRC20)以上、あるいは100μm以下の厚さを有するガラスに対してはロックウェル硬度C60(HRC60)以上とし得、そして100μmと400μmとの間の厚さに対してはその間の硬度値が使用される。所望であれば、ロックウェル硬度C60のスチールを全てのガラス厚さに対して使用してもよい。理解されるであろうが、PEEKおよびスチールは適切な材料のうちの2つの例であって、所望であれば他の非柔軟な材料をプラテンのガラス係合面として使用することができる。
【0038】
板ガラスの無制御の亀裂(破壊または粉砕)に関して、薄型板ガラスでの罫書きの失敗の主な原因は、プラテンのガラス係合面上に存在するガラス小片であることが既に見出されている。この小片の問題は、上述したタイプの非柔軟なガラス係合面を使用すると悪化するが、根本的には、小片が薄型板ガラスの機械的特性と組み合わさって存在しているということによって、従来の機械的罫書きプロセスを薄型板ガラスに適用したときに、その壊滅的な失敗に繋がるのである。
【0039】
図2〜6は、その問題と原因とを示したものである。特に、図2は、罫書きアセンブリ20が薄型板ガラス10の前方主表面11を横切って移動する機械的罫書き中に生じた、この板ガラス10の無制御の亀裂16を示している。このタイプの亀裂は「無制御の」と称され、これは、例えば割れ目を通る軸の周りに個々のガラスペインを回転させてリボンから分割するときに割れ目の位置で生じる制御された亀裂など、板ガラスを2つに分割する際に完成した割れ目の位置で生じる制御された亀裂(制御された破壊)と識別するために、このように称される。例えば、同一出願人による米国特許第6,616,025号明細書を参照されたい。
【0040】
無制御の亀裂の発端について、図3および4に示す。ここで図3は、プラテン31の例えば上述したタイプの非柔軟なガラス係合面などのガラス係合面32上に存在しているガラス片14に、罫書きホイール22が近づいている様子を示したものである。ガラス片を覆っているのは薄型板ガラス10である。図から分かるように、ガラスが薄く、すなわち少なくともいくらか曲がりやすいため、ガラス片が存在していることにより板ガラスに隆起部分(隆起した盛り上がり)15が生成され得る。図4はこの隆起部分の影響を示したものであり、すなわち、罫書きホイールが薄型板ガラスを通って突き破っている状態を示したものである。このように突き破ることで、この図および図2に示したような無制御の亀裂16が生じる。いくつかの事例では、無制御の亀裂のリスクは、例えばガラス片がガラス厚のおおよそ1/3以上になり得るなど、板ガラスの厚さとガラス片のサイズとの対比により生じ得、この場合には、たとえ盛り上がりが形成されなくてもガラス片付近で、罫書きヘッドが板ガラスを貫通することが大いにあり得るようになる。一方、厚い板ガラスは十分に堅く、特にプラテンのガラス係合面が柔軟である場合には、ガラス片の位置に小さな傾斜部のみが生成される。このような小さな傾斜部によって、突き破りが生じたり、またそれに関連して無制御の亀裂が生じたりすることは極めてまれである。
【0041】
図5および6は、罫書きホイールの代わりに罫書き針27(先端ダイヤモンドなど)を使用した場合の、対応する挙動を示したものである。この場合も、ガラス片が存在していることで、薄くすなわち柔軟な板ガラスに隆起した盛り上がりが生成され、そして罫書きホイールを使用したときと同様、罫書き針がこの盛り上がりに係合するとガラスの厚さ全体を通じて破壊し、すなわち無制御の亀裂16が生成される。罫書きホイールも罫書き針も、無制御の亀裂を生じさせるのに、ガラス片に真っ直ぐぶつかる必要はないことに留意されたい。むしろ、隆起した盛り上がりのうち、ガラス片から間隔の空いた離れた部分と接触することで、この失敗した状態は生じ得る。
【0042】
薄型板ガラスの罫書き中にガラス片により引き起こされるこの問題は、知らない間にそれ自体で増大させている。ガラス製造工場においては、いくらかのレベルのガラス片は常に存在しているが、そのレベルは一般に、厚い板ガラスの罫書きの成功を妨げない程度に低いものである。しかしながら、薄型板ガラスは、図2〜6に示したメカニズムにより非常に罫書きの失敗をし易いことが既に分かっている。無制御の亀裂に関して知らない間に進行している態様は、亀裂がより多くのガラス片を生成するということである。ガラス片は、例えば静電気の影響で、プラテンのガラス係合面を含めた表面に付着しやすい。すなわち、ガラス片のメカニズムの結果として薄型板ガラスの機械的罫書きが一旦失敗し始めると、より多くのガラス片が生成され、すなわち罫書き用ヘッドが薄型ガラスの隆起した盛り上がりと接触する可能性が増すため、この問題は単に悪化するであろう。各々の失敗がより多くの失敗を生じさせる可能性を増大させ、このプロセスはすなわち「デススパイラル」となる。
【0043】
この問題およびこうして確認されたその原因に対し、本開示は、プラテン清掃サイクルと罫書きプロセスとを結びつけることによってこの問題に対処する。無制御の亀裂の問題は本質的に知らない間に進行しているものであるため、特定の実施形態においては、プラテン清掃サイクルを罫書きプロセスに同調させて繰り返し実行する。例えばプラテンの清掃を実行するのは、各割れ目が形成された後であって、かつ罫書きヘッドが再び板ガラスの前面に係合して新たな割れ目を生成する前の時点としてもよい。理論的には、いくつかの罫書きサイクルについて飛ばすことは可能であるが、実際にはこのように飛ばすと、安定した製造プロセスに対して正当とし得ないリスクを示すことになるため、避けるべきである。
【0044】
この清掃の実行には、種々のタイプの機器を使用し得る。図7〜16の実施形態において、プラテン清掃システムは、既存のガラス罫書きシステムに組み込んだものなど、自動化された罫書きシステムとの一体化を容易にした構造を有する。図7はシステム全体の主な構成要素を示し、すなわち、罫書きヘッド21を備えた罫書きアセンブリ20、ガラス係合面32と第1端部33および第2端部34とを有するプラテン31を含むプラテンアセンブリ30、そしてワイパー41用の移動アセンブリ43および移送アセンブリ44を含む、プラテン清掃アセンブリ40を示している。
【0045】
説明を簡単にするため、罫書きアセンブリ、プラテンアセンブリ、およびプラテン清掃アセンブリの主な可動構成要素を図7〜16に示しているが、これらのアセンブリは、他の可動構成要素の他、罫書きサイクル中に静止したままの構成要素を含み得ることを理解されたい。同様に図7〜16で示した運動は、本開示の実施において使用し得る単なる代表的な種類の運動である。用語を簡略化するため、以下の論考では罫書きアセンブリ、プラテンアセンブリ、およびプラテン清掃アセンブリの運動を参照するが、これはアセンブリ全体が動く必要があることを意味するものではなく、これらのアセンブリの機能の達成に必要な部分のみが動く必要があることを意味するものであることを理解されたい。
【0046】
図7は、システムの完全な停止状態、すなわちプラテンアセンブリ30、罫書きアセンブリ20、そして清掃アセンブリ40が夫々その停止状態にある状態を示している。以下でより十分に論じるが、図7〜16の実施形態において清掃アセンブリ40の可動部分の停止状態は2つの停止位置を含み、1つはプラテン31の第1端部33に関連し(例えば図7に示した停止位置)、そしてもう一方はプラテンの第2端部34に関連する(例えば図15に示した停止位置)。
【0047】
図8および9は、プラテンアセンブリおよび罫書きアセンブリの、その停止状態から作動状態への移動を示したものである。すなわち、図8では矢印35で示すようにプラテンが薄型板ガラス10に向かって移動し、その結果プラテンのガラス係合面32、例えば非柔軟なガラス係合面が、板ガラスの後方主表面と接触した。この手法では、プラテンのガラス係合面は、割れ目が形成される間、罫書きアセンブリの罫書きヘッド21に対するアンビルとしての役割を果たし得る。
【0048】
図7の停止状態と図8の作動状態との間での矢印35方向へのプラテン32の運動は、本書において「プラテンの運動平面」と称される平面を画成する。図7および8において、この平面は、これらの図に示した座標系のx‐y平面に対応する。矢印35はプラテンが薄型板ガラスに向かって移動しているのを示しているが、例えばリボンではなく個々の板ガラスを罫書きするときなど、板ガラスをプラテンに向かって移動させることも可能である。ガラスの運動とプラテンの運動とを組み合わせることも、いくつかの事例では有用となり得る。どのような運動であっても、薄型板ガラスから見ると、プラテンはプラテンの運動平面内でこの板ガラスに向かって移動する。
【0049】
図9では、罫書きヘッドを薄型板ガラスの前方主表面と接触させるために、罫書きアセンブリを矢印23で示すように薄型板ガラスに向かって移動させた。これは、その前方主表面に、例えば直線などの既定の経路に沿って割れ目13を形成するための準備である。一般的には、罫書きヘッドに先立ってプラテンを薄型板ガラスと接触させるが、逆の順序で接触させたり、あるいは同時に接触させたりすることが、いくつかの事例では有用になり得る。
【0050】
罫書きアセンブリのさらなる運動が図10から13に示されている。すなわち、図10には割れ目13の形成が、そして図11〜13には罫書きアセンブリが停止状態に戻っている状態が示されている。いくつかの事例では、罫書きアセンブリは2つの停止位置を有し得、1つはプラテン31の第1端部33と関連した位置であり、そしてもう一方はその第2端部34と関連した位置である。この場合、罫書きアセンブリは薄型板ガラスの前方主表面11から離れ、ただし次の罫書きサイクルに備えて板ガラスの幅を横切って戻りはしないであろう。
【0051】
さらに、例えば移動しているガラスリボンなど、移動している板ガラスの罫書きに関連し、罫書きアセンブリおよびプラテンアセンブリを、割れ目の形成中にガラスリボンと同調させて移動させてもよい。すなわち、割れ目の形成中、移動している板ガラスに対してこれらのアセンブリを、板ガラスの運動方向において相対的に静止した状態となるようにしてもよい。さらにプラテン清掃アセンブリもまた、割れ目の完成時にその清掃機能を実行するために適所に位置するよう、割れ目形成中に罫書きアセンブリおよびプラテンアセンブリとともに移動させてもよい。割れ目が完成した後、リボンを横切る別の割れ目を形成するために適所に位置するよう、これらのアセンブリを上方に移動させてもよい。図を簡素化するため、図7〜15では薄型板ガラス10を静止しているものと想定している。板ガラスが移動しているリボンである場合には、割れ目13は一旦形成されると、これらのアセンブリが次の割れ目の形成に備えて上方に移動する間に、継続的に下方へと移動するであろう。
【0052】
図11および12に示すように、罫書きアセンブリ20がその停止状態に戻る間にプラテンアセンブリ30も同様に停止状態へと戻る。所望であれば、これらの運動は時間的に隔たりのあるものでもよく、例えば、罫書きアセンブリが最初にその停止状態に戻った後に続いてプラテンアセンブリが戻ってもよく、またはその逆でもよい。
【0053】
板ガラスに割れ目を形成する目的は、当然のことながら、制御された亀裂により板ガラスを2つに分割することである(上記参照)。この分割によりガラス片が生じ得、すなわちプラテン清掃アセンブリ40の操作は通常は分割が起こった後に行われる。清掃操作の第1ステップが図13に示されているが、ここでワイパー41は、図7〜12の停止位置からその作動位置へと移動した状態となっている。図に示されているように、ワイパー41は回転ブラシである。所望であれば、固定ブラシやパッドなど、他の形のワイパーを使用してもよい。ワイパーは、プラテンのガラス係合面32からガラス片を取り除くのに十分な機械的強度を有したものである必要がある。上で記したように、ガラス片は帯電する可能性があり、すなわちその接触する平面にしっかりと付着してしまう可能性がある。したがって、ワイパー41を、ガラス係合面に十分な力を加えることが可能な強い材料から構成されるものとしてもよく、例えばこのワイパーを、高強度ポリマー(ナイロンなど)またはスチールファイバーから成るものとしてもよい。
【0054】
回転ブラシを使用する場合、ブラシを回転させるための推進力として圧縮空気を使用してもよい。あるいは、ブラシを電気モータで駆動してもよい。所望であれば、ワイパーによってプラテンのガラス係合面から解放されたガラス片を回収するために、1以上の真空バー(図示なし)をプラテン31と関連付けてもよく、例えば真空バーを、プラテンの上方および/または下方に設け、かつ本質的にプラテンの全長に沿って延在するようにしてもよい。さらに、局所的な真空をワイパーに適用し、ガラス片がプラテンから取り除かれるときにそのガラス片を捕集するようにしてもよい。
【0055】
ワイパー41の図7〜12の停止位置から図13の作動状態への移動は、移動アセンブリ43により行われ、この移動アセンブリ43は、例えば圧縮空気または電気モータなどによって駆動することができる。図に示すように、ワイパー41の軸42(例えば、回転ブラシの心棒)は、プラテンの運動平面に実質的に平行な位置から、プラテンの運動平面に垂直となる位置まで移動する。この手法において、ワイパーは割れ目13の形成中にプラテンの動きを妨げることはないが、次の割れ目を形成する前に清掃プロセスを実行するために、ごく近傍に位置する。
【0056】
一旦作動状態に入ると、ワイパー41は移送アセンブリ44を使用して、プラテンのガラス係合面を横切って移動する(図14参照)。移送アセンブリは、例えば、長いロッドレスエアシリンダを含んでもよく、その長さは実質的にプラテンの長さである。ワイパーがブラシの形である場合には、ブラシを回転させるために、ロッドレスエアシリンダに回転エアシリンダを取り付けてもよい。所望であれば、他の直線運度および回転機器を使用してもよい。
【0057】
図15に示すように、プラテンのガラス係合面が清掃された後、移動アセンブリ43はワイパー41をワイパーの軸がプラテンの運動平面に実質的に平行となる位置へと戻す。所望であれば、プラテン清掃アセンブリを、図7に示したその最初の位置に戻してもよい。しかしながら、反対向きでのプラテンの清掃はガラス片の除去の観点から有益となり得るため、プラテン清掃アセンブリを図15に示した停止位置に残したままとし、その後次の罫書きサイクルの最後で、例えば次に板ガラスを2つに分割した後に、プラテン清掃アセンブリを反対向きにプラテンを横切るように移動させてもよい。
【0058】
罫書きアセンブリ20、プラテンアセンブリ30、およびプラテン清掃アセンブリ40の種々の運動を、これらのアセンブリと双方向通信リンク51、52、および53を介して作動的に接続されているコントローラ50を用いて連係させることができる(図16参照)。このコントローラは、プログラムされた汎用コンピュータでもよいし、あるいは、罫書きおよびプラテン清掃を実行するようプログラムされた専用のコンピュータ制御システムでもよい。さらに、システムの種々の移動部品間での「衝突」を避けるため、リミットスイッチを使用してもよい。
【0059】
図17に概略的に示したように、本書に開示されたシステムを使用すると、薄型ガラスであっても「デススパイラル」のリスクなしに罫書きを成功させることができる。生産量の増加に加え、このシステムにより生成される完成した板ガラスにおいて表面の粒子レベルが低減され、これはハンドヘルドおよび他のモバイル電子機器の製造業者らにとって重要なことである。
【0060】
本発明の範囲および精神から逸脱していない種々の変更形態が、これまでの開示から通常の当業者には明らかであろう。以下の請求項は、本書に明記した具体的な実施形態の他、変更形態、変形形態、およびこれらの実施形態と同等のものを含むと意図されている。
【符号の説明】
【0061】
10 薄型板ガラス
11 前方主表面
12 後方主表面
20 罫書きアセンブリ
21 罫書きヘッド
30 プラテンアセンブリ
31 プラテン
32 ガラス係合面
40 プラテン清掃アセンブリ
41 ワイパー
43 移動アセンブリ
44 移送アセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の板ガラスに割れ目を形成する方法であって、前記板ガラスの夫々が、前方主表面と、後方主表面と、そして厚さδとを有し、該方法が、
(I)罫書きヘッドおよびプラテンを、夫々、前記前方主表面および前記後方主表面に接触させるステップ、
(II)前記罫書きヘッドを既定の経路に沿って前記前方主表面を横切るように移動させて、前記割れ目を形成するステップであって、前記プラテンが、該割れ目の形成中に前記罫書きヘッドに対するアンビルとしての役割を果たすステップ、および、
(III)前記罫書きヘッドおよび前記プラテンを、夫々、前記前方主表面および前記後方主表面から引き離すステップ、
を繰り返して含み、ここで、
(a)前記厚さδが500μm以下であり、かつ、
(b)ステップ(I)から(III)までの各繰返しに対し、ステップ(III)後のかつステップ(I)前に前記プラテンを清掃して、前記プラテン上に残存していると前記罫書きヘッドが前記厚さδを貫通することがあり得るようなガラス片を、除去することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記厚さδが350μm以下であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記1以上の板ガラスが、
(i)ガラスリボンを含み、さらにステップ(I)から(III)までの繰返しが、該リボンから個々の板ガラスを分割するものに関連して実行される、または、
(ii)個々の板ガラスを含み、さらにステップ(I)から(III)までの繰返しが、該個々の板ガラスにおいて複数の割れ目を形成するものに関連して実行される、または、
(iii)一組の個々の板ガラスを含み、さらにステップ(I)から(III)までの繰返しが、該組の該個々の板ガラス夫々において1つの割れ目を形成するものに関連して実行される、
ことを特徴とする請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記プラテンが第1端部および第2端部を有し、かつ前記プラテンの前記清掃が、前記第1端部から前記第2端部へと向かう清掃と、前記第2端部から前記第1端部へと向かう清掃とを繰り返すものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記プラテンのうち少なくとも、前記板ガラスの前記後方主表面と係合する部分が、スチールから作製され、かつ20以上のロックウェル硬度を有することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前方主表面および後方主表面を有する板ガラスに割れ目を形成する装置であって、該装置が、
(I)罫書きヘッドを含む罫書きアセンブリであって、該罫書きヘッドが停止状態と作動状態とを有し、該作動状態において、前記装置の使用中に、前記罫書きヘッドが前記板ガラスの前方主表面と接触しかつ該罫書きヘッドが該前方主表面に既定の経路に沿って割れ目を形成する、罫書きアセンブリ、
(II)非柔軟なガラス係合面を有するプラテンを含むプラテンアセンブリであって、該プラテンが停止状態と作動状態とを有し、該作動状態において、前記装置の使用中に、前記プラテンの非柔軟なガラス係合面が前記板ガラスの前記後方主表面と接触しかつ前記割れ目形成中に該ガラス係合面が前記罫書きヘッドに対するアンビルとしての役割を果たす、プラテンアセンブリ、
(III)ワイパーを含む清掃アセンブリであって、該ワイパーが停止状態と作動状態とを有し、該作動状態において、前記装置の使用中に、前記ワイパーが前記プラテンの前記非柔軟なガラス係合面と接触しかつ該ガラス係合面上に存在し得るガラス片を除去するよう該ワイパーが該ガラス係合面に沿って移動する、清掃アセンブリ、および、
(IV)前記罫書きアセンブリ、前記プラテンアセンブリ、および前記清掃アセンブリに接続されたコントローラであって、前記装置の使用中に、
(A)前記罫書きヘッドおよび前記プラテンを、その停止状態からその作動状態へと移動させて前記割れ目を形成させ、かつ、
(B)一旦割れ目が形成されると、
(i)前記罫書きヘッドおよび前記プラテンを、その作動状態からその停止状態へと移動させ、さらに、
(ii)前記ワイパーを、その停止状態からその作動状態へと移動させ、さらにその停止状態へと戻す、
コントローラ、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
(i)前記プラテンが第1端部および第2端部を有し、
(ii)前記ワイパーの停止状態が、前記プラテンの前記第1端部に関連する第1停止位置と、前記プラテンの前記第2端部に関連する第2停止位置とを含み、前記ワイパーは、該第1停止位置または第2停止位置のいずれかの位置にあるときにその停止状態にあるものであり、さらに、
(iii)前記装置の使用中に前記コントローラが前記ワイパーをその停止状態から作動状態へと移動させ、さらにその停止状態へ戻すということが、ワイパーをその第1停止位置から作動状態、さらにその第2停止位置まで移動させること、またはワイパーをその第2停止位置から作動状態、さらにその第1停止位置まで移動させること、のいずれかを含むものであることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
板ガラスにおける割れ目の形成に使用する装置であって、
(I)前記装置の使用中、前記板ガラスの主表面と接触し、かつ前記板ガラスに割れ目を形成する罫書きヘッドに対するアンビルとしての役割を果たす、非柔軟な表面を有するプラテン、
(II)前記装置の使用中、前記プラテンを、停止状態と作動状態との間でプラテンの運動平面内において移動させる、プラテン用移送アセンブリ、および、
(III)プラテン清掃アセンブリであって、
(a)停止状態と作動状態とを有し、その停止状態にあるときに前記プラテンの運動平面外にあり、かつその作動状態にあるときに前記プラテンの運動平面と交差する、ワイパー、
(b)前記装置の使用中、前記ワイパーをその停止状態および作動状態間で移動させる、移動アセンブリ、および、
(c)前記装置の使用中、前記プラテンの前記表面上に存在し得るガラス片を除去するよう前記プラテンに沿って前記ワイパーを移動させる、移送アセンブリ、
を含む、プラテン清掃アセンブリ、
を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
前記非柔軟な表面が、スチールから作製され、かつ20以上のロックウェル硬度を有するものであることを特徴とする請求項6から8いずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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