説明

薄壁容器の内部に加圧する方法及びそれによって形成される加圧容器

【課題】本発明の目的は、炭酸ガス非含有液体を収容するための薄壁容器の加圧方法において、下記の一連の段階、すなわち、残留応力を生成して、薄壁容器を製造し、該炭酸ガス非含有液体でこの容器を冷間充填し、充填後、容器の栓を閉じ、及び、液体の温度を上昇させずに、容器の壁を加熱して、該応力の弛緩温度点に到達させ、該容器の内部への加圧を生じさせることからなることを特徴とする方法である。本発明は、また、このようにして得られた容器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄壁容器に大きな機械抵抗を付与するための薄壁容器の内部への加圧方法に関するものである。
【0002】
本発明は、また、そのようにして得られた機械抵抗の大きい加圧容器に関するものである。
【背景技術】
【0003】
これらの薄壁容器は、例えば、特許文献1、2及び3によって公知である。
【0004】
これらの容器は、2l未満の小容量では極めて魅力的であるが、それ以上では、材料の量が容量に関係するので、これらの特許に記載された方法によって製造した製品はかなり重くなる。
【0005】
容量が小さい場合、薄壁容器の製造方法に関わらず、その容器の剛性は不十分である。
【0006】
この剛性は不十分であり、開封前に良好な保持力を可能することができず、とりわけ、この微弱な剛性によって、特にパレット化され、パレットが互いに積み重ねられるときに、これらの充填された容器を積み重ねることができない。
【0007】
また、そのような薄壁容器は、室温で包装されるので、別の問題を示し、これらの容器が低温雰囲気に置かれるとき、つぶれ現象が起こり、容器の変形が生じる。
【0008】
このため、薄壁容器をミネラルウォーター、油、果汁、ミルクなどの炭酸ガス非含有液体で冷間充填するとき、必然的に無菌手段によって作動する設備を使用することになる。
【0009】
次に、剛性の必要性に応えるために、特に工業的に広く使用されているいわゆる窒素滴下法を利用して、これらの薄壁容器に内部圧力を加えることが考えられた。
【0010】
この方法は、包装すべき液体で充填された容器内に、栓を閉じた直後にその容器の頭部の空間に液体窒素滴を導入することからなる。
【0011】
栓を閉じた直後に、この液体窒素滴は気体に変化する。頭部空間内での容積が大きくなり、それによって、容器内部の圧力が増大し、したがって、その容器の剛性化が起きる。
【0012】
しかしながら、この圧力上昇は約10バールと、かなり低いままである。
【0013】
しかし、この窒素滴下方法には、多数の問題点がある。
【0014】
まず、導入される容積の分量測定は困難であり、また、最終圧力は導入された量、作業条件及び閉栓の遅れによって変化する。
【0015】
また、この窒素滴の分配手段はラインに組み込まれる必要があり、したがって、無菌環境で作動するのに適していなければならないが、これは、清掃、殺菌及び保守が必要であり、大きな制約となる。設置器具を補足すると、故障の原因を付加することになり、ラインの停止を伴うことがあり、装置全体を再度無菌包装条件下に置く必要があるので、介入は困難であり、時間がかかる。
【0016】
さらに、液体窒素は、大きな負温度で周囲温度の液体中に落下し、その結果、滴の落下によって、容器の縁部に規則的に液体のはねを生じさせる。
【0017】
ミネラルウォーター、果汁、油などの収容される液体のはねは、包装後、貯蔵中に劣化することがあり、製品が市販される前、及び、したがって、製品が消費される前にカビが発生することになる。これは、満足できない点である。
【0018】
薄壁容器の製造に使用される材料は、多くの場合、PET(ポリエチレンテレフタレート)であり、その透明性、重量の小ささ、形状可能性の大きさが知られている。PETは、また、収容した液体を良好に保存することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】国際特許出願第03/033361号
【特許文献2】欧州特許出願1468930号
【特許文献3】欧州特許出願第1527999号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、冷間充填され、炭酸ガス非含有液体を収容する薄壁容器に内部圧力を加えて、開封前の該容器の剛性を向上させる方法であって、上記に記載した問題点を解消する方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によると、薄壁容器はプリフォームからのブロー成形による公知の方法で製造される型のものである。
【0022】
この容器は、必要な、求められる容量を提供する。
【0023】
ところが、製造残留応力が残存する。実際、PETの場合には、特にプリフォームをブロー成形して、容器を鋳型内で急速に冷却する。得られた形状と変形に関係する応力は、この温度の低下によって凝固される。
【0024】
実際には、ブロー成形中に応力が縦方向と半径方向の二つの方向に作用し、そこから、このようにして製造される容器に与えられた二軸延伸PET容器の名称が由来する。
【0025】
容器の形状保存を保証するのは、このガラス遷移温度より低い温度でのこの凝固である。
【0026】
この場合、非限定的な実施態様によると、得られた薄壁容器の壁の材料/表面積の比重は、約150〜250g/m、特に好ましくは、150〜200g/mである。
【0027】
本発明による炭酸ガス非含有液体を収容するための薄壁容器に加圧する方法は、下記の一連の段階、
‐残留応力を生成して、薄壁容器を製造し、
‐該炭酸ガス非含有液体でこの容器を冷間充填し、
‐充填後、容器の栓を閉じ、及び、
‐液体の温度を上昇させずに、容器の壁を加熱して、該応力の弛緩温度点に到達させ、該容器の内部への加圧を生じさせる、
ことからなる。
【0028】
このいわゆる壁の加熱の最終段階は、壁のその厚みの内部だけを加熱することを目的とする。この熱の供与によって、製造変形後急速に冷却することによって凝固した応力の弛緩が起きる。
【0029】
ブロー成形されたPET容器の場合、残留応力は、二軸性である。したがって、容器はその初期形状、すなわち、プリフォームの形状に戻る傾向がある。
【0030】
この容積減少の傾向によって、容器の内部は加圧され、液体は圧縮できないので、頭部の空間は壁によってかかる圧力と内部圧力との均衡まで圧縮される。
【0031】
このようにして生成した内部圧力は、約10バールのままであるが、この圧力は充填し、栓をした容器の、その最初の開栓の前の剛性をかなり向上させるのには全く十分である。
【0032】
そのような加熱は、短期間の容器の周縁部への熱風の放射によって実施される。材料内の応力弛緩を引き起こす温度点、ガラス遷移点という名称でも公知の温度点に到達すればよい。
【0033】
熱量エネルギーの供給は、極めて短期間で、大きくなければならない。
【0034】
このようにして、不良な熱導体であるPETは、熱風によって提供された熱量を吸収し、これによって、急速な応力弛緩が起こり、液体への熱伝導が防止されるか、もしくは、少なくとも伝導された熱量を完全に無視することができる。
【0035】
実際、収容された液体塊の加熱及び温度上昇の場合、それによって、冷却すると、頭部の空間の容積の減少が起こり、それがボトルのつぶれとして表れる。実際に、応力弛緩はまたガラス遷移点より温度が低下すると停止するので、内部圧力は減少するが、一方、容器の容量は凝固する。
【0036】
本発明の方法によって内部圧力を加えることによって、また、壁が極めて薄いので、これらの壁に透過性があることから、液体の一部分の損失に関係する、微小ではあるが存在する可能性のある圧力の減少を補正することができる。
【0037】
容器の内部の加圧によって、また、包装温度と開封前の貯蔵温度との間の温度の低下に関係するつぶれを補正することができる。
【0038】
このように利用される方法は、産業化の可能性が大きく、コストは極めて限定されており、故障の危険性も大きく減少し、自動調節されているので、再現性も十分に満足できるものである。
【0039】
さらに、熱による剛性化処理は、無菌環境を備えるラインの外部で実施されるが、これはかなり大きな利点である。
【0040】
このようにして製造される薄壁容器の壁の厚さは、材料/表面の比重が150〜250g/m、より好ましくは150〜200g/mの範囲にあるようにされ、その剛性が大きく向上することから、大きな荷重に耐えることができる。特にそのような容器を、パレット化することができ、パレットはそれ自体を積み重ねることができる。
【0041】
また、加熱作業は無菌環境での瓶詰めラインの外部であり、閉じられた容器について実施されているので、衛生的な観点から、瓶詰めの間液体に付与されている品質保持の保証に反論することはできない。
【0042】
同様に、容器の内部の加圧を可能にする場所は無菌環境で作業する区域から離れているので、場合によっては汚染源となるものが除去される。
【0043】
加熱は、好ましい実施方法は熱風によるものであることを上記に記載したが、赤外線による加熱も同様に使用することができる。
【0044】
さらに、関係する材料は、現在最も広く使用されているので、PETであるが、変形から生じる残留応力を示すことができる容器を形成するのに適した材料ならいずれの材料でも本発明に関係するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸ガス非含有液体を収容するための薄壁容器の加圧方法において、下記の一連の段階、
‐残留応力を生成して、薄壁容器を製造し、
‐該炭酸ガス非含有液体でこの容器を冷間充填し、
‐充填後、容器の栓を閉じ、及び、
‐液体の温度を上昇させずに、容器の壁を加熱して、該応力の弛緩温度点に到達させ、該容器の内部への加圧を生じさせる、
ことからなることを特徴とする方法。
【請求項2】
薄壁容器の製造は、ブロー成形からなることを特徴とする請求項1に記載の容器の加圧方法。
【請求項3】
栓をした容器の加熱は、熱風の送風によって実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の容器の加圧方法。
【請求項4】
容器の充填は、無菌環境で実施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の容器の加圧方法。
【請求項5】
薄壁容器の壁の材料/表面積の比重は、約150〜250g/m、特に好ましくは、150〜200g/mの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の容器の加圧方法。
【請求項6】
材料は、ポリエチレンテレフタレート、すなわち、PETであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の容器の加圧方法。
【請求項7】
炭酸ガス非含有液体は、ミネラルウォーター、油、果汁、ミルクであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の容器の加圧方法。
【請求項8】
数10バールの内部超過圧力を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法によって製造される薄壁容器。
【請求項9】
材料/表面積の比重は、約150〜250g/mの範囲にあることを特徴とする請求項8に記載の容器。
【請求項10】
材料/表面積の比重は、約150〜200g/mの範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の容器。

【公表番号】特表2011−500457(P2011−500457A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528459(P2010−528459)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051825
【国際公開番号】WO2009/053615
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510082994)テクソー エイチアール エスエイエス (2)
【Fターム(参考)】