薄膜シート
【課題】 基材から剥離シート及び保護シートを容易且つきれいに剥がすことができるとともに、基材を被貼着物に対して容易且つきれいに貼り付けることができる薄膜シートを提供する。
【解決手段】 本発明に係る薄膜シートは、薄膜からなる基材と、基材の一方の面に設けられた粘着層と、粘着層を覆う剥離シートと、基材の他方の面を覆う保護シートとを備える薄膜シートであって、剥離シートは、基材の一方の面を分割して被覆する複数の剥離シート片からなり、各剥離シート片の間には、基材の一方の面の被覆領域を区分する第1区分線がそれぞれ設けられ、保護シートは、基材の他方の面を分割して被覆する複数の保護シート片からなり、各保護シート片の間には、基材の他方の面の被覆領域を区分する第2区分線がそれぞれ設けられ、第1区分線は、第2区分線と基材を挟んでずれた位置に設けられている。
【解決手段】 本発明に係る薄膜シートは、薄膜からなる基材と、基材の一方の面に設けられた粘着層と、粘着層を覆う剥離シートと、基材の他方の面を覆う保護シートとを備える薄膜シートであって、剥離シートは、基材の一方の面を分割して被覆する複数の剥離シート片からなり、各剥離シート片の間には、基材の一方の面の被覆領域を区分する第1区分線がそれぞれ設けられ、保護シートは、基材の他方の面を分割して被覆する複数の保護シート片からなり、各保護シート片の間には、基材の他方の面の被覆領域を区分する第2区分線がそれぞれ設けられ、第1区分線は、第2区分線と基材を挟んでずれた位置に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類の汗ジミ防止に用いられる汗ジミ防止シートや、液晶画面の保護に用いられる保護シート等、多岐にわたって薄膜シートが使用されている。このような薄膜シートは、使用時に衣類や液晶画面等の被貼着物に貼り付けられる薄膜状の基材と、基材の一方の面に設けられ、被貼着物に基材を貼り付けるための粘着層と、使用時まで粘着層を保護するための剥離シートと、基材の他方の面を使用時まで保護するための保護シートとからなる。
【0003】
このような薄膜シートの一例として、ここでは衣類の汗ジミ防止シートを取り上げる。人の脇の下は汗をかきやすく、その汗が衣類に汗ジミとして付着するのを防止するために、従来から特許文献1に示されるような汗取りパッドが使用されてきた。この汗取りパッドは、肌に触れる面から、汗を吸収する吸収層、吸収した汗を衣類に付着するのを防止する防水フィルム層、吸収層及び防水フィルム層を衣類に貼り付けるための粘着層、粘着層の粘着面を保護する剥離シートを積層して形成されている。このような汗取りパッドは、汗の吸収性が要求される、一方で、使用者が違和感を覚えない薄さで形成されることも要求される。そのため、図10〜図12に示されるように、吸収層を設けず、汗ジミを防止するための基材101、基材101を衣類に貼り付けるための粘着層102、粘着層102を保護する剥離シート103、及び、基材の表面を保護する保護シート104からなる汗ジミ防止シート100が開発されている。図示例の汗ジミ防止シート100は、保護シート104に把持部105が設けられており、使用時には、剥離シート103を剥がして粘着層102により基材101を衣類に貼り付けた後、把持部105を持って保護シート104を基材101から剥がす構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3294459号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10〜図12に示されるような汗ジミ防止シート100では、基材101の一端から他端まで一度に全ての保護シート104を剥がすようになっている。このように保護シート104の全てを一度に基材101から剥がす場合、基材101が衣類に貼り付きにくいと、保護シート104の剥離途中で、基材101が衣類から剥がれてしまい、保護シート104を剥がしにくいという問題があった。また、保護シート104を無理に剥がそうとすると、この種の汗ジミ防止シート100では、基材101が非常に薄いため、基材101と衣類との間に空気が入ったり、基材101の粘着層102同士がくっつき基材101に皺が生じたりする等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、基材から剥離シート及び保護シートを容易且つきれいに剥がすことができるとともに、基材を被貼着物に対して容易且つきれいに貼り付けることができる薄膜シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薄膜シートは、薄膜からなる基材と、前記基材を被貼着物に貼り付けるために前記基材の一方の面に設けられた粘着層と、前記粘着層を覆う剥離可能な剥離シートと、粘着剤を介して前記基材の他方の面を覆う剥離可能な保護シートとを備える薄膜シートであって、前記剥離シートは、前記基材の一方の面を分割して被覆する複数の剥離シート片からなり、各剥離シート片の間には、前記基材の一方の面の被覆領域を区分する第1区分線がそれぞれ設けられ、前記保護シートは、前記基材の他方の面を分割して被覆する複数の保護シート片からなり、各保護シート片の間には、前記基材の他方の面の被覆領域を区分する第2区分線がそれぞれ設けられ、前記第1区分線は、前記第2区分線と前記基材を挟んでずれた位置に設けられている。
【0008】
上記した構成の薄膜シートは、薄膜シートから剥離シート及び保護シートを剥がす際に、薄膜シートを上下に湾曲させて、各剥離シート片及び各保護シート片の各区分線側の端部を基材から浮き上がらせ、その端部を持って各剥離シート片及び各保護シート片を基材の端縁側に向かって剥がして使用するものである。したがって、保護シートを基材の端縁側から剥がさないので、上記した従来の汗ジミ防止シートのように、保護シートの剥離中に被貼着物から基材が剥がれるという問題が生じず、基材から容易且つきれいに保護シートを剥がすことができる。
【0009】
ここで、第1区分線及び第2区分線が基材を挟んで同じ位置に(完全に一致させて)設けられた場合、基材が非常に薄いために、基材の材質によっては、区分線の位置で基材が容易に断裂するという問題が生じる。また、各区分線の位置が基材を挟んで同じであることに加え、各区分線を基材の幅を横断する略直線状とした場合は、基材が区分線の位置で容易に折れ曲がってしまう結果、薄膜シートを平坦なシート状に維持できず、剥離シートを剥離しにくくなり、一つの剥離シート片を剥がして基材を被貼着物に貼り付ける際には、露出した粘着層が被貼着物の目的の箇所以外の箇所に意図せず貼り付いたり、基材の粘着層同士がくっついたりして、基材を被貼着物にきれいに貼り付けることができないという問題が生じる。しかしながら、上記薄膜シートでは、剥離シート側の第1区分線と保護シート側の第2区分線とが、基材を挟んでずれた位置に設けられているため、基材は各区分線の位置で剥離シート又は保護シートによって少なくとも部分的に被覆されている。したがって、区分線の位置で基材が断裂するのを防止でき、また、基材が容易に折れ曲がらずに平坦なシート状に維持されるので、剥離シートを剥がしやすく、基材を被貼着物に容易に且つきれいに貼り付けることができる。
【0010】
なお、本発明の上記した構成において、「区分線」とは、第1の剥離シート片の端部と第2の剥離シート片の端部とが互いに接している場合には、その端部の間を、第1の剥離シート片の端部と第2の剥離シート片の端部とが重なる場合には、基材に接している各剥離シート片の端部をそれぞれ指しており、「ずれた位置」とは、第1区分線と第2区分線が基材を挟んで一致していないことを意味している。これらの点については、本明細書を通じで同様の意味である。
【0011】
上記薄膜シートにおいて、剥離シート及び保護シートは、それぞれ1枚のシートからなり、シートに少なくとも1つのスリットを形成することにより、剥離シート片及び保護シート片を形成することができる。そして、第1区分線及び第2区分線は、各剥離シート片及び各保護シート片の境界に設けることができる。この構成を有することにより、各剥離シート片及び各保護シート片の区分線側の各端部は基材にしっかりと接着した状態で維持されるため、使用前に意図せず基材から剥離シート及び保護シートが剥がれるのを防止することができる。また、上記構成の薄膜シートでは、剥離シート及び保護シートにスリットを設けることにより、各剥離シート片及び各保護シート片を形成しているが、剥離シート及び保護シートに対してスリットを設ける位置、つまりは、第1区分線及び第2区分線の位置が基材を挟んでずれている。そのため、例えばカッター等を用いて剥離シート及び保護シートに対してスリットを形成する場合、基材は、その表裏両側から同じ位置にスリット形成による負荷を受けないので、スリットを基材の表裏の同じ位置に設ける場合と比べると、スリット形成による基材の破損を防止することができる。
【0012】
また、上記薄膜シートにおいて、剥離シートの複数の剥離シート片の内、最先に剥がされる剥離シート片が覆う基材の被覆領域上には、第2区分線を設けない構成とすることができる。
【0013】
上記薄膜シートは、まず、最先に剥がされる剥離シート片(以下、「一次剥離シート片」という。)を基材から剥がし、この基材の一次剥離シート片を剥がした部分を被貼着物に貼り付けてから、残りの剥離シート片を剥がしながら基材を被貼着物に貼り付ける。その後、基材の他方の面を保護している保護シートを剥がして使用される。このとき、前記一次剥離シート片を基材から剥がす際、基材の他方の面に設けられる第2区分線が、前記一次剥離シート片が覆う被覆領域上に存在すると、前記一次剥離シート片の剥離中に、この第2区分線の位置で基材が折れ曲がってしまうことがある。そのため、薄膜シートを平坦なシート状に維持できず、粘着層同士が貼り付いたり、基材を被貼着物に貼り付ける際に、露出した粘着層が意図せず被貼着物の目的以外の箇所に貼り付いたりして、基材を被貼着物にきれいに貼り付けにくくなるおそれがある。しかしながら、上記構成を有していると、前記一次剥離シート片を剥がしたとしても、この一次剥離シート片が覆う被覆領域では、第2区分線が存在しないので、前記一次剥離シート片の剥離中に基材が折れ曲がることがない。よって、上記のような問題を防止することができ、基材を被貼着物に容易にきれいに貼り付けることができる。また、残りの剥離シート片は、前記一次剥離シート片を剥がした部分を被貼着物に貼り付けた後、基材から剥がされ、それと同時に基材が被貼着物に貼り付けられていく。そのため、残りの剥離シートの被覆領域上に設けられている第2区分線の位置において、保護シートが基材から浮き上がったとしても、皺などを生じさせることなく基材をきれいな状態で被貼着物に貼り付けることができる。
【0014】
さらに、上記薄膜シートにおいて、第1区分線及び第2区分線は、互いに平行な直線状に形成することが好ましい。
【0015】
また、上記薄膜シートにおいて、剥離シートは、第1の剥離シート片及び第2の剥離シート片からなるとともに、保護シートは、第1の保護シート片及び第2の保護シート片からなることができる。そして、第1の剥離シート片及び第2の剥離シート片の間に設けられた第1区分線と、第1の保護シート片及び第2の保護シート片の間に設けられた第2区分線との距離が少なくとも1cm以上とすることができる。この構成を有することで、基材を第1区分線の位置で湾曲させて、各剥離シート片を剥がす際に、基材の湾曲により、第2区分線の位置で第1及び第2の保護シート片が基材から浮き上がるのを防止することができる。よって、各剥離シート片を剥がす際に基材に皺が生じるのを防止できる結果、各剥離シート片を基材から容易に剥がすことができ、また、基材を容易にきれいな状態で被貼着物に貼り付けることができる。
【0016】
また、上記薄膜シートにおいて、基材の一方の面に設けられる粘着層の粘着力が、保護シートを基材に貼り付ける際に使用される粘着剤の粘着力より大きくすることができる。この構成により、被貼着物に基材が貼り付く力の方が、保護シートが基材に貼り付く力より大きくなるため、基材を被貼着物に貼り付けた後に、基材が被貼着物から剥がれることなく基材から保護シートを容易に剥がすことができる。
【0017】
さらに、上記薄膜シートにおいて、基材を不透液性とすることができる。また、上記薄膜シートは、衣類の脇部内側に貼り付けて使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る薄膜シートによれば、基材から剥離シート及び保護シートを容易且つきれいに剥がすことができるとともに、基材を被貼着物に対して容易且つきれいに貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の薄膜シートの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の薄膜シートのA−A断面図である。
【図3】実施例1において使用した薄膜シートの平面図である。
【図4】実施例2において使用した薄膜シートの平面図である。
【図5】実施例3において使用した薄膜シートの平面図である。
【図6】実施例4において使用した薄膜シートの平面図である。
【図7】実施例5において使用した薄膜シートの平面図である。
【図8】実施例6において使用した薄膜シートの平面図である。
【図9】比較例において使用した薄膜シートの平面図である。
【図10】従来の汗ジミ防止シートの剥離シート側を示す平面図である。
【図11】従来の汗ジミ防止シートの保護シート側を示す平面図である。
【図12】図10の汗ジミ防止シートのB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る薄膜シートの一実施形態について添付図面を参照して説明する。ここでは、本発明の薄膜シートを、衣類(被貼着物)の特に袖ぐり部に貼り付けて、汗が衣類に付着するのを防止する汗ジミ防止シートに適用した場合について説明する。図1は、本実施形態の薄膜シート1の平面図で、図1(a)は、剥離シート側から見た図を、図1(b)は、保護シート側から見た図を、それぞれ示している。また、図2は、図1の薄膜シート1の断面図を示す。薄膜シート1は、図1及び図2に示すように、基材3、粘着層5、剥離シート10、保護シート20から形成される。この薄膜シート1は、基材3から剥離シート10を剥がし、粘着層5を介して基材3を衣類に貼り付けた後、保護シート20を基材3から剥がすことにより、衣類に装着され使用されるものである。
【0021】
基材3には、10〜200μm程度の厚みの透明又は半透明のフィルムが使用される。このように基材3は厚みが非常に薄いため、基材3を衣類に装着した場合であっても、使用者が違和感を覚えにくく、また、基材3が透明又は半透明であるため、基材3が衣類の外部から透けて見えることはない。さらに、この基材3は、不透液性を有しており、これにより、汗が衣類に付着するのを確実に防止することができる。基材3に使用されるフィルムの材料としては特に限定されないが、衣類の汗ジミ防止シートとしては、衣類の伸縮性に追随しやすいポリウレタンフィルムが好ましい。基材3は、図1の平面視において、中央よりやや下側に左右一対のくびれ部7が設けられており、くびれ部7を介して上下2つの領域1a,1bに分けられている。このくびれ部7が基材3を衣類に貼り付ける際の袖ぐり部の位置となり、領域1aが衣類の身ごろ側に、領域1bが衣類の袖側に、それぞれ装着される(以下、「領域1a」を「身ごろ側領域1a」といい、「領域1b」を「袖側領域1b」という。)。身ごろ側領域1aは、袖側領域1bよりも面積が大きく形成されており、脇の発汗位置に適切に対応できるようになっている。このように、基材3にくびれ部7を設けることで、衣類に基材3を貼り付ける際に、くびれ部7を衣類の袖ぐり部に合わせることによって基材3の貼り付け位置を容易に特定でき、基材3を衣類に適切に貼り付けることができる。また、身ごろ側領域1aより袖側領域1bの面積を小さくすることで、細い袖部にも基材3を貼り付けやすくなる。
【0022】
基材3の一方の面には、衣類に基材3を貼り付けるための粘着層5が設けられている。この粘着層5に用いられる粘着剤としては、衣服などに貼ることができるものであればとくに限定されないが、汗ジミ防止シートの場合、汗によって粘着力が低下しないことから、非水溶性の粘着剤が好ましい。
【0023】
基材3の粘着層5上には、衣服への装着時まで粘着層5を保護し、装着時に粘着層5から剥離可能な剥離シート10が貼り付けられている。この剥離シート10は、例えばプラスチックフィルム、繊維製シート、紙製シート等にシリコン樹脂等の剥離剤を塗布することにより構成され、剥離剤側が粘着層5に貼着されるものである。特に、薄膜として形成される基材3を衣服に装着するまで保護し、その基材3を衣服に貼り付け易いように薄膜シート1を平坦なシート状に維持するために、剥離シート10は、基材3よりも厚く形成されるか、基材3よりも硬い材料で形成されることが好ましい。剥離シート10は、本実施形態では、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12の2つの剥離シート片からなり、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12によって、基材3の一方の面が分割して覆れている。この第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12は、例えば、剥離シート10を基材3と同形状を有する1枚のシートにより構成し、このシートにカッター等を用いてスリットを形成してシートを2つの部分に分けることにより、形成される。
【0024】
第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12の境界には、各剥離シート片によって覆われた基材3の一方の面の被覆領域を仕切る第1区分線13が延びている。この第1区分線13を境として基材3を湾曲させ、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12の第1区分線13側の一端部を基材3から浮き上がらせることで、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12を基材3から剥がすことが可能になる。なお、第1区分線13は、図1(a)に示すように、形成が容易であることから直線状に形成されるのが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、曲線状や波型状等、種々の形状に形成することも可能である。
【0025】
基材3の粘着層5と反対側の面(基材3の他方の面)には、使用時まで基材3を保護し、使用時には基材3から剥離可能な保護シート20が貼り付けられている。この保護シート20は、例えばプラスチックフィルム、繊維製シート、紙製シート等に弱粘着性の粘着剤を塗布することにより構成されており、この粘着剤を介して保護シート20は基材3に貼り付けられている。また、薄膜として形成される基材3を衣服に装着するまで保護し、その基材3を衣服に貼り付け易いように薄膜シート1を平坦なシート状に維持するために、保護シート20も、剥離シート10と同様に、基材3よりも厚く形成されるか、基材3よりも硬い材料で形成されることが好ましい。この保護シート20を基材3に貼り付ける粘着剤の粘着力は、上記した基材3を衣類に貼り付ける粘着層5の粘着力よりも小さいことが好ましい。これにより、基材3を衣類に貼り付けた後に保護シート20を基材3から剥がす際に、基材3が衣類から剥がれることなく保護シート20を基材3から容易に剥がすことができる。
【0026】
保護シート20は、本実施形態では、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22の2つの保護シート片からなり、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22によって、基材3の他方の面が分割して覆われている。この第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22は、例えば、保護シート20を基材3と同形状を有する1枚のシートにより構成し、このシートにカッター等を用いてスリットを形成してシートを2つの部分に分けることにより、形成される。
【0027】
第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22の境界には、各保護シート片によって覆われた基材3の他方の面の被覆領域を仕切る第2区分線23が延びている。この第2区分線23を境として基材3を、上記した剥離シート片を剥がす場合とは反対方向に湾曲させ、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22の第2区分線23側の一端部を基材3から浮き上がらせることで、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22を基材3から剥がすことが可能になる。なお、第2区分線23は、図1(b)に示すように、形成が容易であることから直線状に形成されるのが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、曲線状や波型状等、種々の形状に形成することも可能である。
【0028】
上記した第1区分線13及び第2区分線23は、基材3を挟んで互いに重複することなく、異なる位置に設けられている。本実施形態では、第1区分線13と第2区分線23とが基材3を挟んだ状態で互いに交差することがないように設けられており、より好ましくは、第1区分線13と第2区分線23とが平行に設けられるとともに、第1区分線13及び第2区分線23が少なくとも1cm以上の距離d(図1(b)に示す)を離して設けられる。
【0029】
第1区分線13と第2区分線23との間の距離dが近すぎると、基材3を第1区分線13の位置で湾曲させて各剥離シート片を基材3から剥離させるときに、基材3の湾曲により、基材3の裏側(保護シート20側)の第2区分線23の位置で保護シート20が基材3から浮き上がり、各剥離シート片を基材3から剥がす際に、第1区分線13付近において粘着層5同士がくっついて、基材3に皺等が生じるおそれがある。しかし、上記したように、第1区分線13と第2区分線23との間の距離dを1cm以上離すことにより、各剥離シート片を基材3から剥がす際に、第2区分線23の位置で保護シート20が基材3から浮き上がるのが防止され、これにより、各剥離シート片の剥離時に基材3が保護シート20にしっかりと接着した状態が維持されるので、基材3に皺等が生じることなく、各剥離シート片を基材3から容易に且つきれいに剥がすことが可能になる。なお、本実施形態では、第1区分線13と第2区分線23とを平行に設けているが、必ずしも平行にする必要はなく、第1区分線13と第2区分線23とを平行に設けない場合には、第1区分線13と第2区分線23との間の距離は、二つの線上の点を結ぶ線分のうちの最短のものの長さを指す。
【0030】
さらに加えて、基材3裏側(保護シート20側)の第2区分線23は、基材3表側(剥離シート10側)の第2の剥離シート片12が覆う被覆領域上に設けられる、つまり、第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上には設けられないことが好ましい。ここで、本実施形態の薄膜シート1においては、まず、剥離シート片11,12のうち、基材3の身ごろ側領域1a側に設けられている第1の剥離シート片11を基材3から剥がし、この基材3の第1の剥離シート片11を剥がした部分を衣服に貼り付けた後、残りの袖側領域1b側に設けられている第2の剥離シート片12を基材3から剥がすことで、基材3が衣服に貼り付けられる。このとき、最先に剥がされる第1の剥離シート片11を基材3から剥がす際に、基材3の裏側に設けられる第2区分線23が当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在すると、基材3が非常に薄いフィルムであるために、この第1の剥離シート片11を剥離している最中に、第2の区分線23の位置において基材3が折れ曲がってしまい、これにより、薄膜シート1を平坦なシート状に維持できず、露出した粘着層5同士がくっつき合ったり、基材3を衣服に貼り付ける際に、粘着層5が衣服の目的以外の箇所に貼り付いたりして、基材3をきれいな状態で衣服に貼り付けにくいことがある。これに対して、第2区分線23が第2の剥離シート片12が覆う被覆領域上に存在して当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在しない場合には、第1の剥離シート片11の剥離中、基材3が折れ曲がることがないため、基材3を容易に且つきれいな状態で衣服に貼り付けることができる。
【0031】
以上のことから、上記した第1区分線13及び第2区分線23は、互いに距離dが1cm以上離れているとともに、第2区分線23は、基材3の反対側の最先に剥がされる剥離シート片(本実施形態では身ごろ側領域1aに設けられている第1の剥離シート片11)が覆う被覆領域上には設けられていないこと、つまりは、第1区分線13よりも袖側領域1b側に設けられるように設定されることがより好ましい。
【0032】
上記した構成の薄膜シート1は、非常に薄い厚み有する基材3の一方の面に粘着層5を形成し、粘着層5上に、1枚のシートで形成された剥離シート10を貼り付けるとともに、基材3の他方の面に、1枚のシートで形成された保護シート20を貼り付けることにより形成される。このように形成された薄膜シート1が、製造ラインにおいて一方向に並べて置かれ、この製造ライン上を流れる間に、剥離シート10及び保護シート20に対してカッター等を用いてスリットを形成することで、第1、第2の各剥離シート片11,12、第1、第2の各保護シート片21,22、及び、第1、第2の各区分線13,23がそれぞれ形成される。
【0033】
上記した薄膜シート1の形成過程においては、剥離シート10に対してスリットを形成する位置(第1区分線13を設ける位置)と、保護シート20に対してスリットを形成する位置(第2区分線23を設ける位置)とが基材3を挟んでずれているため、カッター等により剥離シート10及び保護シート20をそれぞれ切断して各剥離シート片11,12及び各保護シート片21,22を形成したとしても、基材3は、その表裏両側の同じ位置に、この切断による負荷を受けない。このように本実施形態では、基材3の一箇所に集中して切断(スリット形成)による負荷が生じないので、スリットを基材3の表裏の同じ位置に形成する場合と比べて、スリット形成位置における基材3の強度が過度に弱くなるのを防止することができ、スリット形成により基材3が断裂したり破損したりするという問題を防止することができる。
【0034】
また、基材3を衣類に貼り付ける際には、基材3の左右のくびれ部7が衣服の袖ぐり部に位置決めされることから、剥離シート10に対しては、左右のくびれ部7を結ぶ直線状にスリットを形成して第1区分線13を設けるのが、基材3を衣類に貼り付けやすくなるので好ましい。また、薄膜シート1の製造上、製造をより容易にするためには、剥離シート10及び保護シート20それぞれに対して、直線状且つ平行にスリットを形成して、互いに平行な直線状の第1区分線13および第2区分線23を設けるのが好ましい。これにより、製造ラインにおいて、スリット形成のためのカッター等を薄膜シート1に対して直線状に移動させるだけでよいうえ、剥離シート10及び保護シート20にスリットを設けるにあたり、薄膜シート1の向きをいちいち変える手間を省くことができるので、剥離シート10及び保護シート20に容易にスリットを形成することが可能になる。
【0035】
次に、上記した構成の薄膜シート1を衣類に貼り付けて使用する方法について説明する。まず、衣類に対して基材3の身ごろ側領域1aを貼り付けるために、保護シート20側を内側にして第1区分線13の位置で薄膜シート1を湾曲させ、基材3の身ごろ側領域1aを覆う第1の剥離シート片11の第1区分線側の端部を浮き上がらせる。そして、その端部をつまんで第1の剥離シート片11を剥がし、基材3を衣類に貼り付ける。次に、同様に薄膜シート1を湾曲させて第2の剥離シート片12の第1区分線側の端部を基材3から浮き上がらせて、第2の剥離シート片12を剥がしながら、基材3全体を衣類に貼り付ける。このとき、最先に剥がされる身ごろ側領域1a側の第1の剥離シート片11を基材3から剥がす際に、基材3の裏側には、この第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に第2区分線23が設けられていないので、基材3の薄さと保護シート20の厚さによって、基材3が折れ曲がることがない。また、基材3から第2の剥離シート片12を剥がす際には、基材3の身ごろ側領域1a部分が既に衣服に貼り付けられており、第2の剥離シート片12を剥がしながら基材3を衣服に貼り付けるため、第2区分線23の位置で基材3が保護シート20から浮き上がったとしても、基材3に皺などを生じさせることなく、基材3をきれいな状態で容易に衣服に貼り付けることができる。
【0036】
その後、薄膜シート1を、粘着層5側を内側にして第2区分線23の位置で湾曲させ、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22を基材3から剥がすことで、使用状態となる。このとき、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22は、第2区分線23側の端部から基材3の外縁側に向かって剥がす。したがって、保護シート20が1枚のシートからなる従来の汗ジミ防止シートのように、保護シート20を剥がす際に、基材3が衣服から剥がれることがなく、容易且つきれいに保護シート20を剥がすことができる。また、基材3を衣類に貼り付ける粘着層5の粘着力は、保護シート20を基材3に貼り付ける粘着剤の粘着力よりも大きいので、基材3が衣類から剥がれることなく、保護シート20を基材3から容易且つきれいに剥がすことが可能となる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、薄膜シート1の形状は、図示のような略ひょうたん状の形状に限られず、四角状、円状、略楕円状等、衣類に貼り付けることが可能な種々の形状とすることができる。また、上記実施形態では、基材3の身ごろ側領域1aの面積を袖側領域1bの面積より大きくしているが、これを同じ面積にすることも可能である。また、必ずしもくびれ部7を設ける必要はない。
【0038】
また、上記実施形態では、剥離シート10及び保護シート20をそれぞれ2つに切断することで、第1、第2の剥離シート片11,12及び第1、第2の保護シート片21,22を形成しているが、3つ以上に切断してそれぞれ3つ以上のシート片を形成してもよい。また、各シート片は、1枚のシートを切断して形成するものに限られず、基材3の表裏各面に対して予め2枚以上のシート片を用意し、基材3の表裏各面を分割して被覆するように各シート片を貼り付けるようにしてもよい。このとき、各シート片の端部は、互いに接していてもよいし、重なっていてもよい。各シート片の端部が重なる場合には、基材に接している各シート片の端部が上記した実施形態における区分線となる。
【0039】
また、上記実施形態では、薄膜シートを汗ジミ防止シートとして使用したが、これに限定されず、例えば、携帯電話、液晶テレビ、パソコンの液晶ディスプレイ等の液晶画面の保護シートとして使用することも可能である。このとき、基材の形状、基材に使用されるフィルムの素材、粘着剤の種類、剥離シート及び保護シートの素材については、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。上記実施形態に示した薄膜シートの層構造(剥離シート、粘着層、基材及び保護シート)を共通にして、第1区分線及び第2区分線の位置を変えた6個の実施例(実施例1〜6)及び1個の比較例を作成し、衣類に装着して使用したときの薄膜シートの使用感を評価した。なお、各実施例1〜6及び比較例の薄膜シートの各層は、それぞれ下記の材料及び厚みで形成されている。
基材 :不透液性ポリウレタンフィルム、30μm
粘着層 :非水溶性アクリル系粘着剤、10μm
剥離シート :シリコン樹脂をコーティングした紙製シート、120μm
保護シート :粘着剤としてPVAをコートした紙製シート、120μm
【0041】
使用感の評価は、6名の被験者に対して行い、剥離シート及び保護シートの基材からの剥がし易さ、並びに、基材の衣類(被貼着物)への貼り付け易さについて、3段階評価(0点〜2点)の6名の平均値を算出して評価を行った。なお、3段階評価の内容は、剥離シート及び保護シートの基材からの剥がし易さについては、剥がし易い場合は2点、どちらともいえない場合は1点、剥がし難い場合は0点として評価する。また、基材の衣類への貼り付け易さについては、貼り付け易い場合は2点、どちらともいえない場合は1点、剥がし難い場合は0点として評価する。
【0042】
まず、実施例1〜6について説明する。
(実施例1)
実施例1は、図3(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の袖側領域1b側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例2)
実施例2は、図4(a),(b)に示すように、保護シート20に対して第2区分線23を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第1区分線13を剥離シート10に対して第2区分線23よりも基材3の身ごろ側領域1a側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例3)
実施例3は、図5(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の身ごろ側領域1a側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例4)
実施例4は、図6(a),(b)に示すように、保護シート20に対して第2区分線23を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第1区分線13を剥離シート10に対して第2区分線23よりも基材3の袖側領域1b側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例5)
実施例5は、図7(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の袖側領域1b側に1.0cmの距離をあけて形成している。
(実施例6)
実施例6は、図8(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の袖側領域1b側に0.5cmの距離をあけて形成している。
【0043】
次に、比較例について説明する。
(比較例)
比較例の薄膜シート100’は、図9(a),(b)に示すように、図10に示す従来の薄膜シート100と同形状であり、剥離シート10には第1区分線13を形成しているが、保護シート20には区分線を形成せず、端部に保護シート20の剥離に用いる把持部24を設けている。
【0044】
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、実施例1〜6は、比較例に比べて剥離シート10及び保護シート20を基材3から剥がしやすく、且つ、基材3を衣類に貼り付けやすいという結果が得られた。この実施例の中でも、実施例1〜5と実施例6とを比べると、第1区分線13と第2区分線23との間の距離を1cm以上離す構成とすることにより、剥離シート10(第1、第2の剥離シート片11,12)を基材3から特に剥がしやすいという結果が得られた。これは、実施例6のように、第1区分線13と第2区分線23との間の距離が近すぎると、基材3を第1区分線13の位置で湾曲させて各剥離シート片11,12を基材3から剥がそうとする際に、基材3裏側の第2区分線23の位置で保護シート20が基材3から浮き上がり、これにより、第1区分線13付近において粘着層5同士がくっついて基材3に皺等が発生して、各剥離シート片11,12を基材3からきれいに剥がしにくくなったからである。この結果から、第1区分線13と第2区分線23とは、1cm以上距離を離す方が好ましいことが確認された。
【0047】
さらに、実施例1,2,5と実施例3,4とを比較すると、第2区分線23を最先に剥がす第1の剥離シート11が覆う被覆領域上に設けない構成とすることにより、基材3を衣服に貼り付けやすいという結果が得られた。これは、実施例3,4のように、最先に剥がされる第1の剥離シート片11を基材3から剥がす際に、基材3裏側の第2区分線23が当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在すると、この第1の剥離シート片11を剥離している途中で、第2の区分線23の位置において基材3が折れ曲がってしまい、これにより、薄膜シート1を平坦なシート状に維持できず、露出した粘着層5同士がくっつき合ったり、基材3を衣服に貼り付ける際に、粘着層5が衣服の目的以外の箇所に貼り付いたりして、基材3を衣服に貼り付けにくくなったからである。これに対して、実施例1,2,5のように、第2区分線23が第2の剥離シート片12が当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在しない場合には、第1の剥離シート片11の剥離中、この第1の剥離シート片11が覆う被覆領域では、基材3が保護シート20に被覆されているので、基材3が折れ曲がることがなく、上記した問題は生じない。この結果から、第2区分線23を最先に剥がす第1の剥離シート11が覆う被覆領域上に設けない方がより好ましいことが確認された。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、剥離シート10と保護シート20とにスリットを入れ、第1区分線13及び第2区分線23を設けて各シート片11,12,21,22を形成することにより、各シート10,20を基材3の一端部から他端部まで一度に捲ることがなくなる。これにより、各シート10,20を剥がす際に基材3に皺が生じたり、基材3の粘着層5同士がくっついたりするリスクを減少することができる。また、剥離シート10の第1区分線13と保護シート20の第2区分線23との位置をずらすことにより、基材3は、第1区分線13の位置では保護シート20によって、第2区分線の位置では剥離シート10によって被覆されているため、基材3が容易に断裂することがない。そのため、基材3を非常に薄く形成することが可能となる。そして、各区分線13,23が1cm以上の距離をあけてずれていることで、各剥離シート片11,12を基材3から剥がす際に、基材3の湾曲により保護シート20が第2区分線23側において基材3から浮き上がることを防止でき、これにより、各剥離シート片11,12を基材3から容易にきれいに剥がすことができる。また、薄膜シート1の製造過程においては、基材3に、剥離シート10及び保護シート20を積層させてから、剥離シート10と保護シート20とにカッター等でスリットを形成するが、各区分線13,23の位置が1cm以上ずれていることで、スリット形成による負荷が基材3の一箇所に集中して加えられることがないので、各区分線13,23の位置において基材3が切れやすくなったり、弱くなったりするのを防止することができる。さらに、最先に剥がす身ごろ側領域1a側の第1の剥離シート片11の被覆領域上に第2区分線23を設けないようにすることで、第1の剥離シート片11を基材3から容易且つきれいに剥がすことができ、基材3を衣服に容易に且つきれいに貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 薄膜シート
3 基材
5 粘着層
10 剥離シート
11 第1の剥離シート片
12 第2の剥離シート片
13 第1区分線
20 保護シート
21 第1の保護シート片
22 第2の保護シート片
23 第2区分線
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類の汗ジミ防止に用いられる汗ジミ防止シートや、液晶画面の保護に用いられる保護シート等、多岐にわたって薄膜シートが使用されている。このような薄膜シートは、使用時に衣類や液晶画面等の被貼着物に貼り付けられる薄膜状の基材と、基材の一方の面に設けられ、被貼着物に基材を貼り付けるための粘着層と、使用時まで粘着層を保護するための剥離シートと、基材の他方の面を使用時まで保護するための保護シートとからなる。
【0003】
このような薄膜シートの一例として、ここでは衣類の汗ジミ防止シートを取り上げる。人の脇の下は汗をかきやすく、その汗が衣類に汗ジミとして付着するのを防止するために、従来から特許文献1に示されるような汗取りパッドが使用されてきた。この汗取りパッドは、肌に触れる面から、汗を吸収する吸収層、吸収した汗を衣類に付着するのを防止する防水フィルム層、吸収層及び防水フィルム層を衣類に貼り付けるための粘着層、粘着層の粘着面を保護する剥離シートを積層して形成されている。このような汗取りパッドは、汗の吸収性が要求される、一方で、使用者が違和感を覚えない薄さで形成されることも要求される。そのため、図10〜図12に示されるように、吸収層を設けず、汗ジミを防止するための基材101、基材101を衣類に貼り付けるための粘着層102、粘着層102を保護する剥離シート103、及び、基材の表面を保護する保護シート104からなる汗ジミ防止シート100が開発されている。図示例の汗ジミ防止シート100は、保護シート104に把持部105が設けられており、使用時には、剥離シート103を剥がして粘着層102により基材101を衣類に貼り付けた後、把持部105を持って保護シート104を基材101から剥がす構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3294459号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10〜図12に示されるような汗ジミ防止シート100では、基材101の一端から他端まで一度に全ての保護シート104を剥がすようになっている。このように保護シート104の全てを一度に基材101から剥がす場合、基材101が衣類に貼り付きにくいと、保護シート104の剥離途中で、基材101が衣類から剥がれてしまい、保護シート104を剥がしにくいという問題があった。また、保護シート104を無理に剥がそうとすると、この種の汗ジミ防止シート100では、基材101が非常に薄いため、基材101と衣類との間に空気が入ったり、基材101の粘着層102同士がくっつき基材101に皺が生じたりする等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、基材から剥離シート及び保護シートを容易且つきれいに剥がすことができるとともに、基材を被貼着物に対して容易且つきれいに貼り付けることができる薄膜シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薄膜シートは、薄膜からなる基材と、前記基材を被貼着物に貼り付けるために前記基材の一方の面に設けられた粘着層と、前記粘着層を覆う剥離可能な剥離シートと、粘着剤を介して前記基材の他方の面を覆う剥離可能な保護シートとを備える薄膜シートであって、前記剥離シートは、前記基材の一方の面を分割して被覆する複数の剥離シート片からなり、各剥離シート片の間には、前記基材の一方の面の被覆領域を区分する第1区分線がそれぞれ設けられ、前記保護シートは、前記基材の他方の面を分割して被覆する複数の保護シート片からなり、各保護シート片の間には、前記基材の他方の面の被覆領域を区分する第2区分線がそれぞれ設けられ、前記第1区分線は、前記第2区分線と前記基材を挟んでずれた位置に設けられている。
【0008】
上記した構成の薄膜シートは、薄膜シートから剥離シート及び保護シートを剥がす際に、薄膜シートを上下に湾曲させて、各剥離シート片及び各保護シート片の各区分線側の端部を基材から浮き上がらせ、その端部を持って各剥離シート片及び各保護シート片を基材の端縁側に向かって剥がして使用するものである。したがって、保護シートを基材の端縁側から剥がさないので、上記した従来の汗ジミ防止シートのように、保護シートの剥離中に被貼着物から基材が剥がれるという問題が生じず、基材から容易且つきれいに保護シートを剥がすことができる。
【0009】
ここで、第1区分線及び第2区分線が基材を挟んで同じ位置に(完全に一致させて)設けられた場合、基材が非常に薄いために、基材の材質によっては、区分線の位置で基材が容易に断裂するという問題が生じる。また、各区分線の位置が基材を挟んで同じであることに加え、各区分線を基材の幅を横断する略直線状とした場合は、基材が区分線の位置で容易に折れ曲がってしまう結果、薄膜シートを平坦なシート状に維持できず、剥離シートを剥離しにくくなり、一つの剥離シート片を剥がして基材を被貼着物に貼り付ける際には、露出した粘着層が被貼着物の目的の箇所以外の箇所に意図せず貼り付いたり、基材の粘着層同士がくっついたりして、基材を被貼着物にきれいに貼り付けることができないという問題が生じる。しかしながら、上記薄膜シートでは、剥離シート側の第1区分線と保護シート側の第2区分線とが、基材を挟んでずれた位置に設けられているため、基材は各区分線の位置で剥離シート又は保護シートによって少なくとも部分的に被覆されている。したがって、区分線の位置で基材が断裂するのを防止でき、また、基材が容易に折れ曲がらずに平坦なシート状に維持されるので、剥離シートを剥がしやすく、基材を被貼着物に容易に且つきれいに貼り付けることができる。
【0010】
なお、本発明の上記した構成において、「区分線」とは、第1の剥離シート片の端部と第2の剥離シート片の端部とが互いに接している場合には、その端部の間を、第1の剥離シート片の端部と第2の剥離シート片の端部とが重なる場合には、基材に接している各剥離シート片の端部をそれぞれ指しており、「ずれた位置」とは、第1区分線と第2区分線が基材を挟んで一致していないことを意味している。これらの点については、本明細書を通じで同様の意味である。
【0011】
上記薄膜シートにおいて、剥離シート及び保護シートは、それぞれ1枚のシートからなり、シートに少なくとも1つのスリットを形成することにより、剥離シート片及び保護シート片を形成することができる。そして、第1区分線及び第2区分線は、各剥離シート片及び各保護シート片の境界に設けることができる。この構成を有することにより、各剥離シート片及び各保護シート片の区分線側の各端部は基材にしっかりと接着した状態で維持されるため、使用前に意図せず基材から剥離シート及び保護シートが剥がれるのを防止することができる。また、上記構成の薄膜シートでは、剥離シート及び保護シートにスリットを設けることにより、各剥離シート片及び各保護シート片を形成しているが、剥離シート及び保護シートに対してスリットを設ける位置、つまりは、第1区分線及び第2区分線の位置が基材を挟んでずれている。そのため、例えばカッター等を用いて剥離シート及び保護シートに対してスリットを形成する場合、基材は、その表裏両側から同じ位置にスリット形成による負荷を受けないので、スリットを基材の表裏の同じ位置に設ける場合と比べると、スリット形成による基材の破損を防止することができる。
【0012】
また、上記薄膜シートにおいて、剥離シートの複数の剥離シート片の内、最先に剥がされる剥離シート片が覆う基材の被覆領域上には、第2区分線を設けない構成とすることができる。
【0013】
上記薄膜シートは、まず、最先に剥がされる剥離シート片(以下、「一次剥離シート片」という。)を基材から剥がし、この基材の一次剥離シート片を剥がした部分を被貼着物に貼り付けてから、残りの剥離シート片を剥がしながら基材を被貼着物に貼り付ける。その後、基材の他方の面を保護している保護シートを剥がして使用される。このとき、前記一次剥離シート片を基材から剥がす際、基材の他方の面に設けられる第2区分線が、前記一次剥離シート片が覆う被覆領域上に存在すると、前記一次剥離シート片の剥離中に、この第2区分線の位置で基材が折れ曲がってしまうことがある。そのため、薄膜シートを平坦なシート状に維持できず、粘着層同士が貼り付いたり、基材を被貼着物に貼り付ける際に、露出した粘着層が意図せず被貼着物の目的以外の箇所に貼り付いたりして、基材を被貼着物にきれいに貼り付けにくくなるおそれがある。しかしながら、上記構成を有していると、前記一次剥離シート片を剥がしたとしても、この一次剥離シート片が覆う被覆領域では、第2区分線が存在しないので、前記一次剥離シート片の剥離中に基材が折れ曲がることがない。よって、上記のような問題を防止することができ、基材を被貼着物に容易にきれいに貼り付けることができる。また、残りの剥離シート片は、前記一次剥離シート片を剥がした部分を被貼着物に貼り付けた後、基材から剥がされ、それと同時に基材が被貼着物に貼り付けられていく。そのため、残りの剥離シートの被覆領域上に設けられている第2区分線の位置において、保護シートが基材から浮き上がったとしても、皺などを生じさせることなく基材をきれいな状態で被貼着物に貼り付けることができる。
【0014】
さらに、上記薄膜シートにおいて、第1区分線及び第2区分線は、互いに平行な直線状に形成することが好ましい。
【0015】
また、上記薄膜シートにおいて、剥離シートは、第1の剥離シート片及び第2の剥離シート片からなるとともに、保護シートは、第1の保護シート片及び第2の保護シート片からなることができる。そして、第1の剥離シート片及び第2の剥離シート片の間に設けられた第1区分線と、第1の保護シート片及び第2の保護シート片の間に設けられた第2区分線との距離が少なくとも1cm以上とすることができる。この構成を有することで、基材を第1区分線の位置で湾曲させて、各剥離シート片を剥がす際に、基材の湾曲により、第2区分線の位置で第1及び第2の保護シート片が基材から浮き上がるのを防止することができる。よって、各剥離シート片を剥がす際に基材に皺が生じるのを防止できる結果、各剥離シート片を基材から容易に剥がすことができ、また、基材を容易にきれいな状態で被貼着物に貼り付けることができる。
【0016】
また、上記薄膜シートにおいて、基材の一方の面に設けられる粘着層の粘着力が、保護シートを基材に貼り付ける際に使用される粘着剤の粘着力より大きくすることができる。この構成により、被貼着物に基材が貼り付く力の方が、保護シートが基材に貼り付く力より大きくなるため、基材を被貼着物に貼り付けた後に、基材が被貼着物から剥がれることなく基材から保護シートを容易に剥がすことができる。
【0017】
さらに、上記薄膜シートにおいて、基材を不透液性とすることができる。また、上記薄膜シートは、衣類の脇部内側に貼り付けて使用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る薄膜シートによれば、基材から剥離シート及び保護シートを容易且つきれいに剥がすことができるとともに、基材を被貼着物に対して容易且つきれいに貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の薄膜シートの一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1の薄膜シートのA−A断面図である。
【図3】実施例1において使用した薄膜シートの平面図である。
【図4】実施例2において使用した薄膜シートの平面図である。
【図5】実施例3において使用した薄膜シートの平面図である。
【図6】実施例4において使用した薄膜シートの平面図である。
【図7】実施例5において使用した薄膜シートの平面図である。
【図8】実施例6において使用した薄膜シートの平面図である。
【図9】比較例において使用した薄膜シートの平面図である。
【図10】従来の汗ジミ防止シートの剥離シート側を示す平面図である。
【図11】従来の汗ジミ防止シートの保護シート側を示す平面図である。
【図12】図10の汗ジミ防止シートのB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る薄膜シートの一実施形態について添付図面を参照して説明する。ここでは、本発明の薄膜シートを、衣類(被貼着物)の特に袖ぐり部に貼り付けて、汗が衣類に付着するのを防止する汗ジミ防止シートに適用した場合について説明する。図1は、本実施形態の薄膜シート1の平面図で、図1(a)は、剥離シート側から見た図を、図1(b)は、保護シート側から見た図を、それぞれ示している。また、図2は、図1の薄膜シート1の断面図を示す。薄膜シート1は、図1及び図2に示すように、基材3、粘着層5、剥離シート10、保護シート20から形成される。この薄膜シート1は、基材3から剥離シート10を剥がし、粘着層5を介して基材3を衣類に貼り付けた後、保護シート20を基材3から剥がすことにより、衣類に装着され使用されるものである。
【0021】
基材3には、10〜200μm程度の厚みの透明又は半透明のフィルムが使用される。このように基材3は厚みが非常に薄いため、基材3を衣類に装着した場合であっても、使用者が違和感を覚えにくく、また、基材3が透明又は半透明であるため、基材3が衣類の外部から透けて見えることはない。さらに、この基材3は、不透液性を有しており、これにより、汗が衣類に付着するのを確実に防止することができる。基材3に使用されるフィルムの材料としては特に限定されないが、衣類の汗ジミ防止シートとしては、衣類の伸縮性に追随しやすいポリウレタンフィルムが好ましい。基材3は、図1の平面視において、中央よりやや下側に左右一対のくびれ部7が設けられており、くびれ部7を介して上下2つの領域1a,1bに分けられている。このくびれ部7が基材3を衣類に貼り付ける際の袖ぐり部の位置となり、領域1aが衣類の身ごろ側に、領域1bが衣類の袖側に、それぞれ装着される(以下、「領域1a」を「身ごろ側領域1a」といい、「領域1b」を「袖側領域1b」という。)。身ごろ側領域1aは、袖側領域1bよりも面積が大きく形成されており、脇の発汗位置に適切に対応できるようになっている。このように、基材3にくびれ部7を設けることで、衣類に基材3を貼り付ける際に、くびれ部7を衣類の袖ぐり部に合わせることによって基材3の貼り付け位置を容易に特定でき、基材3を衣類に適切に貼り付けることができる。また、身ごろ側領域1aより袖側領域1bの面積を小さくすることで、細い袖部にも基材3を貼り付けやすくなる。
【0022】
基材3の一方の面には、衣類に基材3を貼り付けるための粘着層5が設けられている。この粘着層5に用いられる粘着剤としては、衣服などに貼ることができるものであればとくに限定されないが、汗ジミ防止シートの場合、汗によって粘着力が低下しないことから、非水溶性の粘着剤が好ましい。
【0023】
基材3の粘着層5上には、衣服への装着時まで粘着層5を保護し、装着時に粘着層5から剥離可能な剥離シート10が貼り付けられている。この剥離シート10は、例えばプラスチックフィルム、繊維製シート、紙製シート等にシリコン樹脂等の剥離剤を塗布することにより構成され、剥離剤側が粘着層5に貼着されるものである。特に、薄膜として形成される基材3を衣服に装着するまで保護し、その基材3を衣服に貼り付け易いように薄膜シート1を平坦なシート状に維持するために、剥離シート10は、基材3よりも厚く形成されるか、基材3よりも硬い材料で形成されることが好ましい。剥離シート10は、本実施形態では、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12の2つの剥離シート片からなり、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12によって、基材3の一方の面が分割して覆れている。この第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12は、例えば、剥離シート10を基材3と同形状を有する1枚のシートにより構成し、このシートにカッター等を用いてスリットを形成してシートを2つの部分に分けることにより、形成される。
【0024】
第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12の境界には、各剥離シート片によって覆われた基材3の一方の面の被覆領域を仕切る第1区分線13が延びている。この第1区分線13を境として基材3を湾曲させ、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12の第1区分線13側の一端部を基材3から浮き上がらせることで、第1の剥離シート片11及び第2の剥離シート片12を基材3から剥がすことが可能になる。なお、第1区分線13は、図1(a)に示すように、形成が容易であることから直線状に形成されるのが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、曲線状や波型状等、種々の形状に形成することも可能である。
【0025】
基材3の粘着層5と反対側の面(基材3の他方の面)には、使用時まで基材3を保護し、使用時には基材3から剥離可能な保護シート20が貼り付けられている。この保護シート20は、例えばプラスチックフィルム、繊維製シート、紙製シート等に弱粘着性の粘着剤を塗布することにより構成されており、この粘着剤を介して保護シート20は基材3に貼り付けられている。また、薄膜として形成される基材3を衣服に装着するまで保護し、その基材3を衣服に貼り付け易いように薄膜シート1を平坦なシート状に維持するために、保護シート20も、剥離シート10と同様に、基材3よりも厚く形成されるか、基材3よりも硬い材料で形成されることが好ましい。この保護シート20を基材3に貼り付ける粘着剤の粘着力は、上記した基材3を衣類に貼り付ける粘着層5の粘着力よりも小さいことが好ましい。これにより、基材3を衣類に貼り付けた後に保護シート20を基材3から剥がす際に、基材3が衣類から剥がれることなく保護シート20を基材3から容易に剥がすことができる。
【0026】
保護シート20は、本実施形態では、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22の2つの保護シート片からなり、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22によって、基材3の他方の面が分割して覆われている。この第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22は、例えば、保護シート20を基材3と同形状を有する1枚のシートにより構成し、このシートにカッター等を用いてスリットを形成してシートを2つの部分に分けることにより、形成される。
【0027】
第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22の境界には、各保護シート片によって覆われた基材3の他方の面の被覆領域を仕切る第2区分線23が延びている。この第2区分線23を境として基材3を、上記した剥離シート片を剥がす場合とは反対方向に湾曲させ、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22の第2区分線23側の一端部を基材3から浮き上がらせることで、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22を基材3から剥がすことが可能になる。なお、第2区分線23は、図1(b)に示すように、形成が容易であることから直線状に形成されるのが好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、曲線状や波型状等、種々の形状に形成することも可能である。
【0028】
上記した第1区分線13及び第2区分線23は、基材3を挟んで互いに重複することなく、異なる位置に設けられている。本実施形態では、第1区分線13と第2区分線23とが基材3を挟んだ状態で互いに交差することがないように設けられており、より好ましくは、第1区分線13と第2区分線23とが平行に設けられるとともに、第1区分線13及び第2区分線23が少なくとも1cm以上の距離d(図1(b)に示す)を離して設けられる。
【0029】
第1区分線13と第2区分線23との間の距離dが近すぎると、基材3を第1区分線13の位置で湾曲させて各剥離シート片を基材3から剥離させるときに、基材3の湾曲により、基材3の裏側(保護シート20側)の第2区分線23の位置で保護シート20が基材3から浮き上がり、各剥離シート片を基材3から剥がす際に、第1区分線13付近において粘着層5同士がくっついて、基材3に皺等が生じるおそれがある。しかし、上記したように、第1区分線13と第2区分線23との間の距離dを1cm以上離すことにより、各剥離シート片を基材3から剥がす際に、第2区分線23の位置で保護シート20が基材3から浮き上がるのが防止され、これにより、各剥離シート片の剥離時に基材3が保護シート20にしっかりと接着した状態が維持されるので、基材3に皺等が生じることなく、各剥離シート片を基材3から容易に且つきれいに剥がすことが可能になる。なお、本実施形態では、第1区分線13と第2区分線23とを平行に設けているが、必ずしも平行にする必要はなく、第1区分線13と第2区分線23とを平行に設けない場合には、第1区分線13と第2区分線23との間の距離は、二つの線上の点を結ぶ線分のうちの最短のものの長さを指す。
【0030】
さらに加えて、基材3裏側(保護シート20側)の第2区分線23は、基材3表側(剥離シート10側)の第2の剥離シート片12が覆う被覆領域上に設けられる、つまり、第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上には設けられないことが好ましい。ここで、本実施形態の薄膜シート1においては、まず、剥離シート片11,12のうち、基材3の身ごろ側領域1a側に設けられている第1の剥離シート片11を基材3から剥がし、この基材3の第1の剥離シート片11を剥がした部分を衣服に貼り付けた後、残りの袖側領域1b側に設けられている第2の剥離シート片12を基材3から剥がすことで、基材3が衣服に貼り付けられる。このとき、最先に剥がされる第1の剥離シート片11を基材3から剥がす際に、基材3の裏側に設けられる第2区分線23が当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在すると、基材3が非常に薄いフィルムであるために、この第1の剥離シート片11を剥離している最中に、第2の区分線23の位置において基材3が折れ曲がってしまい、これにより、薄膜シート1を平坦なシート状に維持できず、露出した粘着層5同士がくっつき合ったり、基材3を衣服に貼り付ける際に、粘着層5が衣服の目的以外の箇所に貼り付いたりして、基材3をきれいな状態で衣服に貼り付けにくいことがある。これに対して、第2区分線23が第2の剥離シート片12が覆う被覆領域上に存在して当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在しない場合には、第1の剥離シート片11の剥離中、基材3が折れ曲がることがないため、基材3を容易に且つきれいな状態で衣服に貼り付けることができる。
【0031】
以上のことから、上記した第1区分線13及び第2区分線23は、互いに距離dが1cm以上離れているとともに、第2区分線23は、基材3の反対側の最先に剥がされる剥離シート片(本実施形態では身ごろ側領域1aに設けられている第1の剥離シート片11)が覆う被覆領域上には設けられていないこと、つまりは、第1区分線13よりも袖側領域1b側に設けられるように設定されることがより好ましい。
【0032】
上記した構成の薄膜シート1は、非常に薄い厚み有する基材3の一方の面に粘着層5を形成し、粘着層5上に、1枚のシートで形成された剥離シート10を貼り付けるとともに、基材3の他方の面に、1枚のシートで形成された保護シート20を貼り付けることにより形成される。このように形成された薄膜シート1が、製造ラインにおいて一方向に並べて置かれ、この製造ライン上を流れる間に、剥離シート10及び保護シート20に対してカッター等を用いてスリットを形成することで、第1、第2の各剥離シート片11,12、第1、第2の各保護シート片21,22、及び、第1、第2の各区分線13,23がそれぞれ形成される。
【0033】
上記した薄膜シート1の形成過程においては、剥離シート10に対してスリットを形成する位置(第1区分線13を設ける位置)と、保護シート20に対してスリットを形成する位置(第2区分線23を設ける位置)とが基材3を挟んでずれているため、カッター等により剥離シート10及び保護シート20をそれぞれ切断して各剥離シート片11,12及び各保護シート片21,22を形成したとしても、基材3は、その表裏両側の同じ位置に、この切断による負荷を受けない。このように本実施形態では、基材3の一箇所に集中して切断(スリット形成)による負荷が生じないので、スリットを基材3の表裏の同じ位置に形成する場合と比べて、スリット形成位置における基材3の強度が過度に弱くなるのを防止することができ、スリット形成により基材3が断裂したり破損したりするという問題を防止することができる。
【0034】
また、基材3を衣類に貼り付ける際には、基材3の左右のくびれ部7が衣服の袖ぐり部に位置決めされることから、剥離シート10に対しては、左右のくびれ部7を結ぶ直線状にスリットを形成して第1区分線13を設けるのが、基材3を衣類に貼り付けやすくなるので好ましい。また、薄膜シート1の製造上、製造をより容易にするためには、剥離シート10及び保護シート20それぞれに対して、直線状且つ平行にスリットを形成して、互いに平行な直線状の第1区分線13および第2区分線23を設けるのが好ましい。これにより、製造ラインにおいて、スリット形成のためのカッター等を薄膜シート1に対して直線状に移動させるだけでよいうえ、剥離シート10及び保護シート20にスリットを設けるにあたり、薄膜シート1の向きをいちいち変える手間を省くことができるので、剥離シート10及び保護シート20に容易にスリットを形成することが可能になる。
【0035】
次に、上記した構成の薄膜シート1を衣類に貼り付けて使用する方法について説明する。まず、衣類に対して基材3の身ごろ側領域1aを貼り付けるために、保護シート20側を内側にして第1区分線13の位置で薄膜シート1を湾曲させ、基材3の身ごろ側領域1aを覆う第1の剥離シート片11の第1区分線側の端部を浮き上がらせる。そして、その端部をつまんで第1の剥離シート片11を剥がし、基材3を衣類に貼り付ける。次に、同様に薄膜シート1を湾曲させて第2の剥離シート片12の第1区分線側の端部を基材3から浮き上がらせて、第2の剥離シート片12を剥がしながら、基材3全体を衣類に貼り付ける。このとき、最先に剥がされる身ごろ側領域1a側の第1の剥離シート片11を基材3から剥がす際に、基材3の裏側には、この第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に第2区分線23が設けられていないので、基材3の薄さと保護シート20の厚さによって、基材3が折れ曲がることがない。また、基材3から第2の剥離シート片12を剥がす際には、基材3の身ごろ側領域1a部分が既に衣服に貼り付けられており、第2の剥離シート片12を剥がしながら基材3を衣服に貼り付けるため、第2区分線23の位置で基材3が保護シート20から浮き上がったとしても、基材3に皺などを生じさせることなく、基材3をきれいな状態で容易に衣服に貼り付けることができる。
【0036】
その後、薄膜シート1を、粘着層5側を内側にして第2区分線23の位置で湾曲させ、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22を基材3から剥がすことで、使用状態となる。このとき、第1の保護シート片21及び第2の保護シート片22は、第2区分線23側の端部から基材3の外縁側に向かって剥がす。したがって、保護シート20が1枚のシートからなる従来の汗ジミ防止シートのように、保護シート20を剥がす際に、基材3が衣服から剥がれることがなく、容易且つきれいに保護シート20を剥がすことができる。また、基材3を衣類に貼り付ける粘着層5の粘着力は、保護シート20を基材3に貼り付ける粘着剤の粘着力よりも大きいので、基材3が衣類から剥がれることなく、保護シート20を基材3から容易且つきれいに剥がすことが可能となる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、薄膜シート1の形状は、図示のような略ひょうたん状の形状に限られず、四角状、円状、略楕円状等、衣類に貼り付けることが可能な種々の形状とすることができる。また、上記実施形態では、基材3の身ごろ側領域1aの面積を袖側領域1bの面積より大きくしているが、これを同じ面積にすることも可能である。また、必ずしもくびれ部7を設ける必要はない。
【0038】
また、上記実施形態では、剥離シート10及び保護シート20をそれぞれ2つに切断することで、第1、第2の剥離シート片11,12及び第1、第2の保護シート片21,22を形成しているが、3つ以上に切断してそれぞれ3つ以上のシート片を形成してもよい。また、各シート片は、1枚のシートを切断して形成するものに限られず、基材3の表裏各面に対して予め2枚以上のシート片を用意し、基材3の表裏各面を分割して被覆するように各シート片を貼り付けるようにしてもよい。このとき、各シート片の端部は、互いに接していてもよいし、重なっていてもよい。各シート片の端部が重なる場合には、基材に接している各シート片の端部が上記した実施形態における区分線となる。
【0039】
また、上記実施形態では、薄膜シートを汗ジミ防止シートとして使用したが、これに限定されず、例えば、携帯電話、液晶テレビ、パソコンの液晶ディスプレイ等の液晶画面の保護シートとして使用することも可能である。このとき、基材の形状、基材に使用されるフィルムの素材、粘着剤の種類、剥離シート及び保護シートの素材については、目的や用途に応じて適宜選択することができる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。上記実施形態に示した薄膜シートの層構造(剥離シート、粘着層、基材及び保護シート)を共通にして、第1区分線及び第2区分線の位置を変えた6個の実施例(実施例1〜6)及び1個の比較例を作成し、衣類に装着して使用したときの薄膜シートの使用感を評価した。なお、各実施例1〜6及び比較例の薄膜シートの各層は、それぞれ下記の材料及び厚みで形成されている。
基材 :不透液性ポリウレタンフィルム、30μm
粘着層 :非水溶性アクリル系粘着剤、10μm
剥離シート :シリコン樹脂をコーティングした紙製シート、120μm
保護シート :粘着剤としてPVAをコートした紙製シート、120μm
【0041】
使用感の評価は、6名の被験者に対して行い、剥離シート及び保護シートの基材からの剥がし易さ、並びに、基材の衣類(被貼着物)への貼り付け易さについて、3段階評価(0点〜2点)の6名の平均値を算出して評価を行った。なお、3段階評価の内容は、剥離シート及び保護シートの基材からの剥がし易さについては、剥がし易い場合は2点、どちらともいえない場合は1点、剥がし難い場合は0点として評価する。また、基材の衣類への貼り付け易さについては、貼り付け易い場合は2点、どちらともいえない場合は1点、剥がし難い場合は0点として評価する。
【0042】
まず、実施例1〜6について説明する。
(実施例1)
実施例1は、図3(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の袖側領域1b側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例2)
実施例2は、図4(a),(b)に示すように、保護シート20に対して第2区分線23を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第1区分線13を剥離シート10に対して第2区分線23よりも基材3の身ごろ側領域1a側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例3)
実施例3は、図5(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の身ごろ側領域1a側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例4)
実施例4は、図6(a),(b)に示すように、保護シート20に対して第2区分線23を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第1区分線13を剥離シート10に対して第2区分線23よりも基材3の袖側領域1b側に1.5cmの距離をあけて形成している。
(実施例5)
実施例5は、図7(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の袖側領域1b側に1.0cmの距離をあけて形成している。
(実施例6)
実施例6は、図8(a),(b)に示すように、剥離シート10に対して第1区分線13を基材3の左右のくびれ部7を結ぶ直線状に形成する一方、第2区分線23を保護シート20に対して第1区分線13よりも基材3の袖側領域1b側に0.5cmの距離をあけて形成している。
【0043】
次に、比較例について説明する。
(比較例)
比較例の薄膜シート100’は、図9(a),(b)に示すように、図10に示す従来の薄膜シート100と同形状であり、剥離シート10には第1区分線13を形成しているが、保護シート20には区分線を形成せず、端部に保護シート20の剥離に用いる把持部24を設けている。
【0044】
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1に示すように、実施例1〜6は、比較例に比べて剥離シート10及び保護シート20を基材3から剥がしやすく、且つ、基材3を衣類に貼り付けやすいという結果が得られた。この実施例の中でも、実施例1〜5と実施例6とを比べると、第1区分線13と第2区分線23との間の距離を1cm以上離す構成とすることにより、剥離シート10(第1、第2の剥離シート片11,12)を基材3から特に剥がしやすいという結果が得られた。これは、実施例6のように、第1区分線13と第2区分線23との間の距離が近すぎると、基材3を第1区分線13の位置で湾曲させて各剥離シート片11,12を基材3から剥がそうとする際に、基材3裏側の第2区分線23の位置で保護シート20が基材3から浮き上がり、これにより、第1区分線13付近において粘着層5同士がくっついて基材3に皺等が発生して、各剥離シート片11,12を基材3からきれいに剥がしにくくなったからである。この結果から、第1区分線13と第2区分線23とは、1cm以上距離を離す方が好ましいことが確認された。
【0047】
さらに、実施例1,2,5と実施例3,4とを比較すると、第2区分線23を最先に剥がす第1の剥離シート11が覆う被覆領域上に設けない構成とすることにより、基材3を衣服に貼り付けやすいという結果が得られた。これは、実施例3,4のように、最先に剥がされる第1の剥離シート片11を基材3から剥がす際に、基材3裏側の第2区分線23が当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在すると、この第1の剥離シート片11を剥離している途中で、第2の区分線23の位置において基材3が折れ曲がってしまい、これにより、薄膜シート1を平坦なシート状に維持できず、露出した粘着層5同士がくっつき合ったり、基材3を衣服に貼り付ける際に、粘着層5が衣服の目的以外の箇所に貼り付いたりして、基材3を衣服に貼り付けにくくなったからである。これに対して、実施例1,2,5のように、第2区分線23が第2の剥離シート片12が当該第1の剥離シート片11が覆う被覆領域上に存在しない場合には、第1の剥離シート片11の剥離中、この第1の剥離シート片11が覆う被覆領域では、基材3が保護シート20に被覆されているので、基材3が折れ曲がることがなく、上記した問題は生じない。この結果から、第2区分線23を最先に剥がす第1の剥離シート11が覆う被覆領域上に設けない方がより好ましいことが確認された。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、剥離シート10と保護シート20とにスリットを入れ、第1区分線13及び第2区分線23を設けて各シート片11,12,21,22を形成することにより、各シート10,20を基材3の一端部から他端部まで一度に捲ることがなくなる。これにより、各シート10,20を剥がす際に基材3に皺が生じたり、基材3の粘着層5同士がくっついたりするリスクを減少することができる。また、剥離シート10の第1区分線13と保護シート20の第2区分線23との位置をずらすことにより、基材3は、第1区分線13の位置では保護シート20によって、第2区分線の位置では剥離シート10によって被覆されているため、基材3が容易に断裂することがない。そのため、基材3を非常に薄く形成することが可能となる。そして、各区分線13,23が1cm以上の距離をあけてずれていることで、各剥離シート片11,12を基材3から剥がす際に、基材3の湾曲により保護シート20が第2区分線23側において基材3から浮き上がることを防止でき、これにより、各剥離シート片11,12を基材3から容易にきれいに剥がすことができる。また、薄膜シート1の製造過程においては、基材3に、剥離シート10及び保護シート20を積層させてから、剥離シート10と保護シート20とにカッター等でスリットを形成するが、各区分線13,23の位置が1cm以上ずれていることで、スリット形成による負荷が基材3の一箇所に集中して加えられることがないので、各区分線13,23の位置において基材3が切れやすくなったり、弱くなったりするのを防止することができる。さらに、最先に剥がす身ごろ側領域1a側の第1の剥離シート片11の被覆領域上に第2区分線23を設けないようにすることで、第1の剥離シート片11を基材3から容易且つきれいに剥がすことができ、基材3を衣服に容易に且つきれいに貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 薄膜シート
3 基材
5 粘着層
10 剥離シート
11 第1の剥離シート片
12 第2の剥離シート片
13 第1区分線
20 保護シート
21 第1の保護シート片
22 第2の保護シート片
23 第2区分線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜からなる基材と、前記基材を被貼着物に貼り付けるために前記基材の一方の面に設けられた粘着層と、前記粘着層を覆う剥離可能な剥離シートと、粘着剤を介して前記基材の他方の面を覆う剥離可能な保護シートとを備える薄膜シートであって、
前記剥離シートは、前記基材の一方の面を分割して被覆する複数の剥離シート片からなり、各剥離シート片の間には、前記基材の一方の面の被覆領域を区分する第1区分線がそれぞれ設けられ、
前記保護シートは、前記基材の他方の面を分割して被覆する複数の保護シート片からなり、各保護シート片の間には、前記基材の他方の面の被覆領域を区分する第2区分線がそれぞれ設けられ、
前記第1区分線は、前記第2区分線と前記基材を挟んでずれた位置に設けられている薄膜シート。
【請求項2】
前記剥離シートおよび前記保護シートは、それぞれ1枚のシートからなり、前記シートに少なくとも1つのスリットを形成することにより、前記剥離シート片および前記保護シート片が形成され、
前記第1区分線および前記第2区分線は、各剥離シート片および各保護シート片の境界に設けられる請求項1に記載の薄膜シート。
【請求項3】
前記剥離シートの複数の剥離シート片の内、最先に剥がされる剥離シート片が覆う前記基材の被覆領域上には、前記第2区分線が設けられていない請求項1または2に記載の薄膜シート。
【請求項4】
前記第1区分線および前記第2区分線は、直線状に形成され、互いに平行である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項5】
前記剥離シートは、第1の剥離シート片および第2の剥離シート片からなるとともに、前記保護シートは、第1の保護シート片および第2の保護シート片からなり、
前記第1の剥離シート片および前記第2の剥離シート片の間に設けられた前記第1区分線と、前記第1の保護シート片および前記第2の保護シート片の間に設けられた前記第2区分線との距離が少なくとも1cm以上ある請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項6】
前記粘着層の粘着力は、前記粘着剤の粘着力よりも大きい請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項7】
前記基材が不透液性である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項8】
衣類の脇部内側に貼り付けて使用される請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項1】
薄膜からなる基材と、前記基材を被貼着物に貼り付けるために前記基材の一方の面に設けられた粘着層と、前記粘着層を覆う剥離可能な剥離シートと、粘着剤を介して前記基材の他方の面を覆う剥離可能な保護シートとを備える薄膜シートであって、
前記剥離シートは、前記基材の一方の面を分割して被覆する複数の剥離シート片からなり、各剥離シート片の間には、前記基材の一方の面の被覆領域を区分する第1区分線がそれぞれ設けられ、
前記保護シートは、前記基材の他方の面を分割して被覆する複数の保護シート片からなり、各保護シート片の間には、前記基材の他方の面の被覆領域を区分する第2区分線がそれぞれ設けられ、
前記第1区分線は、前記第2区分線と前記基材を挟んでずれた位置に設けられている薄膜シート。
【請求項2】
前記剥離シートおよび前記保護シートは、それぞれ1枚のシートからなり、前記シートに少なくとも1つのスリットを形成することにより、前記剥離シート片および前記保護シート片が形成され、
前記第1区分線および前記第2区分線は、各剥離シート片および各保護シート片の境界に設けられる請求項1に記載の薄膜シート。
【請求項3】
前記剥離シートの複数の剥離シート片の内、最先に剥がされる剥離シート片が覆う前記基材の被覆領域上には、前記第2区分線が設けられていない請求項1または2に記載の薄膜シート。
【請求項4】
前記第1区分線および前記第2区分線は、直線状に形成され、互いに平行である請求項1〜3のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項5】
前記剥離シートは、第1の剥離シート片および第2の剥離シート片からなるとともに、前記保護シートは、第1の保護シート片および第2の保護シート片からなり、
前記第1の剥離シート片および前記第2の剥離シート片の間に設けられた前記第1区分線と、前記第1の保護シート片および前記第2の保護シート片の間に設けられた前記第2区分線との距離が少なくとも1cm以上ある請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項6】
前記粘着層の粘着力は、前記粘着剤の粘着力よりも大きい請求項1〜5のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項7】
前記基材が不透液性である請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜シート。
【請求項8】
衣類の脇部内側に貼り付けて使用される請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−135945(P2012−135945A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289646(P2010−289646)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】
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