薄膜磁気誘導素子およびその製造方法
【課題】フェライト基板に形成される貫通孔内の部材(メッキ膜やアンダーフィル)に空洞が形成されないようにすることで、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】フェライト基板1に形成される貫通孔2a、3aは第1主面から形成した穴2b、3bと第2主面から形成した穴2c、3cを接続して形成し、メッキシード層12を介して、端子電極6a、6bおよび接続導体2並びにコイル導体4、5および接続導体2を形成し、穴2cと穴3cに絶縁膜16を充填する。穴2bの深さT1を穴2cの深さT2より浅くし、穴2bの側壁の傾斜S1を穴2cの側壁の傾斜S2より緩やかにし、穴3bの深さT3を穴3cの深さT4より浅くし、穴3bの側壁の傾斜S3を穴3cの側壁の傾斜S4より緩やかにすることで、図示しないアンダーフィルを空洞なしに貫通孔2a、3aに充填できて、高い信頼性を確保することができる。
【解決手段】フェライト基板1に形成される貫通孔2a、3aは第1主面から形成した穴2b、3bと第2主面から形成した穴2c、3cを接続して形成し、メッキシード層12を介して、端子電極6a、6bおよび接続導体2並びにコイル導体4、5および接続導体2を形成し、穴2cと穴3cに絶縁膜16を充填する。穴2bの深さT1を穴2cの深さT2より浅くし、穴2bの側壁の傾斜S1を穴2cの側壁の傾斜S2より緩やかにし、穴3bの深さT3を穴3cの深さT4より浅くし、穴3bの側壁の傾斜S3を穴3cの側壁の傾斜S4より緩やかにすることで、図示しないアンダーフィルを空洞なしに貫通孔2a、3aに充填できて、高い信頼性を確保することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板に形成した半導体集積回路と、コイルやコンデンサ、抵抗などの受動部品で構成されるDC−DCコンバータである超小型電力変換装置などに用いられる薄膜磁気誘導素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子情報機器、特に、携帯型の各種電子機器の普及が著しい。それらの電子情報機器は電池を電源とするものが多く、DC−DCコンバータなどの電力変換装置を内蔵している。
このような電力変換装置の小型化の要求は強く、ハイブリッド型電源モジュールの小型化は、MCM(マルチチップモジュール)技術や、積層セラミック部品などの技術より進歩してきている。しかし、インダクタやトランスなどの磁気誘導部品は集積回路と比べると体積が非常に大きいために、電子機器の小型化を図る上で最大の制約になっている。
この問題を解決するために、超小型電力変換装置が提案されている。半導体集積回路を形成した半導体基板と、薄膜インダクタである薄膜磁気誘導素子を積層して接続した超小型の電力変換装置を形成する。この超小型化を図るために、高いインダクタンスを持たせたままインダクタを小型・薄膜化するため、薄膜磁気誘導素子として磁性絶縁基板の表裏に形成されたコイル導体を、磁性絶縁基板を貫通する貫通孔に形成された接続導体で接続し、ソレノイド状にコイルを形成して作られる構造が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図7は、従来の薄膜磁気誘導素子の構成図で、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図、同図(c)は同図(a)のY−Y線で切断した要部断面図である。
薄膜磁気誘導素子は、磁性絶縁基板であるフェライト基板51と、このフェライト基板51の外周部に貫通孔52aを形成し、この貫通孔52aに形成した接続導体52で互いを接続した表面側の端子電極56aおよび裏面側の端子電極56bと、フェライト基板51の中央部に貫通孔53aを形成し、この貫通孔53aに形成した接続導体53で互いに接続した第1主面(表面)側のコイル導体54と第2主面(裏面)側のコイル導体55とで構成される。表面側の端子電極56aと裏面側の端子電極56bと接続導体52を合わせたものが外周部に形成した電極であり、表面側のコイル導体54と裏面側のコイル導体55と接続導体53を合わせたものが中央部に形成したソレノイド状のコイルである。
【0004】
このフェライト基板51の第1主面側(表面側)の端子電極56aに図示しないスタッドバンプを介して半導体基板が固着し、第2主面側(裏面側)の端子電極56bは図示しない半田を介してプリント基板や積層セラミックコンデンサアレイと接続する。
図8は、図7のG部およびH部の詳細拡大図であり、同図(a)は図7のG部の詳細拡大図、同図(b)は図7のH部の詳細拡大図である。
貫通孔52aは第1主面から形成した穴52bと第2主面から形成した穴52cを接続して形成する。穴52bと穴52cが接続する箇所は貫通穴52aで最も狭くなっているくびれ箇所Zである。同様に、貫通孔53aは第1主面から形成した穴53bと第2主面から形成した穴53cを接続して形成する。穴53bと穴53cが接続する箇所は貫通孔53aで最も狭くなっているくびれ箇所Zである。
【0005】
同図(a)に示されるように、第1主面上、第2主面上および貫通孔52aの側壁にメッキシード層62を介して、端子電極56a、56bおよび接続導体52がCu層で形成され、また、同図(b)に示されるように第1主面上、第2主面上および貫通孔53aの側壁にメッキシード層62を介して、コイル導体54、55および接続導体53がCu層で形成される。穴52cと穴53cは絶縁膜66で充填される。
前記の穴52bの深さT5を穴52cの深さT6を同じ深さにし、穴52bの側壁の傾斜S5を穴52cの側壁の傾斜S6と同じ傾斜にする。また、前記の穴53bの深さT7を穴53cの深さT8を同じ深さにし、穴52bの側壁の傾斜S7を穴52cの側壁の傾斜S8と同じ傾斜にする。
図9は、図7の従来の薄膜磁気誘導素子の製造方法であり、同図(a)から同図(g)は工程順に示した要部工程断面図である。これらの工程断面図は、図8(a)に相当した断面図であり、フェライト基板51に形成した貫通孔52a近傍の断面図を拡大したものである。
【0006】
まず、フェライト基板51の第1主面および第2主面から、貫通孔52aを形成するために、フェライト基板51の第1主面、第2主面にレジスト69を形成し、貫通孔52aを形成するためのパターニングする。(同図(a))。
つぎに、フェライト基板51の第1主面にレジスト69をマスクに穴52bをサンドブラストで形成する(同図(b))。
つぎに、第2主面にレジスト69をマスクに穴53bを穴52bと接するまでサンドブラストで掘削し、貫通孔52aを形成する。このように、片面ずつ加工を行うが、この際の加工量を表裏で同じにすることで、穴52bと穴52cが接続する箇所で貫通孔52aの開口部が最小となり、この箇所がくびれ箇所Zとなる。貫通孔52aの第1主面からくびれ箇所Zまでの穴52bの深さT5を第2主面からのくびれ箇所Zまでの穴52cの深さT6と同じにし、穴52bの側壁の傾斜S5を穴52cの側壁の傾斜S6と同じにする。(同図(c))。
【0007】
つぎに、レジスト69を除去する(同図(d))。
つぎに、貫通孔52aの側壁およびフェライト基板51の表面に導電性を与えるためのメッキシード層62を形成する。その後、端子電極56a、56bを形成するためのマスクをレジスト70で形成する(同図(e))。
つぎに、レジスト70の開口部に電界メッキでCu層71を形成する。このとき貫通孔52aにもメッキされる(同図(f))。
つぎに、レジスト70を除去して、Cu層71は互いに接続した端子電極56a、56bと接続導体52となり、フェライト基板51の外周部に形成される電極となる(同図(g))。
つぎに、第2主面の表面にレジストで保護膜66を形成する(同図(h))。
【0008】
尚、図8(b)の接続孔53aやコイル導体54、55および接続導体53は、前記の図9(a)から(h)の各工程で同時に形成される。
このように形成された薄膜磁気誘導素子のフェライト基板51の第1主面の端子電極56aに、図10で示すように、スタットバンプ76を介して半導体基板75を固着し、半導体基板75とフェライト基板51の間にアンダーフィル77を注入し硬化させて、半導体基板75とフェライト基板51の密着性を補強して超小型電力変換装置が完成する。
尚、図10において、同図(b)、(c)はそれぞれ同図(a)のG部およびH部の詳細拡大図である。
【特許文献1】特開2004−72815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9の製造工程で、フェライト基板51の外周部の電極と中央部のコイルを形成した場合、フェライト基板51にサンドブラスト処理で両面から加工された貫通孔52a、53aは、フェライト基板51の断面の中心部に向かってすり鉢状となり、フェライト基板51の断面の中心部で貫通孔52a、53aの幅が最小になる形状となる。この幅が最小になる箇所が前記したくびれ箇所Zとなる。この貫通孔52a、53aの側面には、メッキシード層62を介してメッキ膜であるCu層21が形成され、その後、第2主面側からレジストなどの保護膜66が形成され、貫通孔52a、53aの第2主面は側の部分が保護膜66で充填される。その後、図10に示すように、半導体基板75をフェライト基板51にスタッドバンプ76を介して固着した後、アンダーフィル77を半導体基板75とフェライト基板51の間の隙間に注入し、貫通孔52a、53aはアンダーフィル77で充填される。
【0010】
しかし、貫通孔52a、53aの側壁の傾斜S5、S6が急な場合、側壁を伝わって落ちるアンダーフィル77の速度が早く、アンダーフィル77は空気を巻き込んで貫通孔52a、53aに進行する。そうすると、貫通孔52a、53aのくびれ箇所Zより下に充填された保護膜66との間に空洞90(ボイド)が形成されることがある。
また、貫通孔52a、53aの側壁の長さが長い場合は、アンダーフィル77が側壁を伝わって貫通孔52a、53aのくびれ箇所Zに達する前に貫通孔52a、53aが塞がれて保護膜66との間で空洞90が形成されることがある。
また、貫通孔52a、53aの幅が狭い場合は、アンダーフィル77が貫通孔52a、53aの奥に進行しにくくなり、保護膜66の間に空洞90が形成されることがある。
このようにして、空洞90が形成されると、リフロー炉による半田付けなどの温度ストレスが印加された場合、空洞90が膨張してアンダーフィル77が貫通孔52a、53aの側面から剥離し、その剥離が進行すると、アンダーフィル77がフェライト基板51から剥離して信頼性を低下させる。また、温度ストレスが大きいと、この空洞80が急激に膨張して爆発する場合もある。
【0011】
さらに、スタッドバンプ76とアンダーフィル77の境界に剥離が進行するとこの剥離箇所を通して水分などが半導体基板75に進入して半導体集積回路を劣化させる。
前記の第2主面側に形成する保護膜66は裏面側のコイル導体55を保護する役割と、アンダーフィル77が貫通孔52a、53aを通して垂れ流れるのを防止する役割がある。しかし、半田付けされる端子電極56bでは、保護膜66は貫通孔52a内とその近傍にのみ形成され、保護膜66の役割は、貫通孔52a、53aを通ってアンダーフィル77が垂れ流れるのを防止することである。また保護膜66は金属との密着性が良好でなく、保護膜66は貫通孔52aの側壁から剥離しやすい。剥離すると前記のように水分などの進入が起こり信頼性を低下させる。そのため、貫通孔52aを塞ぐ部材としては、レジストなどの保護膜66を用いないで、電極を形成するメッキ膜(Cu層:接続導体52)などを用いる方がよい。
【0012】
このメッキ膜で貫通孔52aを塞ぐためには、メッキ膜の厚みを厚くする必要がある。 図11は、メッキ膜を厚くしたときの要部断面図であり、同図(a)は図8(a)に相当した断面図、同図(b)は図8(b)に相当した断面図である。
メッキ膜を厚くすると、中央部にあるくびれ箇所Z近傍でメッキ膜が異常成長して、メッキ膜が十分形成されない部分が生じ、貫通孔52aを塞ぎ、同図(a)に示すように、貫通孔52aのくびれ箇所Z付近でメッキ膜である接続導体82aと接続導体82bが接する箇所に空洞91が形成されたりする。また、同図(b)でも同様の現象が起こる。この空洞91が形成されると、リフロー炉による半田付けなどの温度ストレスでメッキ膜が剥離し、信頼性を低下させる。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、貫通孔を充填する部材(メッキ膜やアンダーフィル)で貫通孔内に空洞が形成されないようにすることで、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面および第2主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって狭まり、最も狭くなったくびれ箇所の位置が前記磁性絶縁基板の第2主面より第1主面に近い構成とする。
【0014】
また、前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第1主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜が、前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第2主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜より緩いとよい。
また、前記第1接続導体が前記第1貫通孔の側壁に形成され、前記第2導体表面を被覆するとともに、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第1貫通孔のくびれ箇所までを充填して該くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有するとよい。
また、前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第2貫通孔のくびれ箇所までを充填し、該くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有するとよい。
また、前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記第2接続導体が前記くびれ箇所を塞ぐとよい。
【0015】
また、磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子の製造方法において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面、第2主面の両主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって互いに接続するまで掘削されて形成され、第1主面からの掘削深さが浅く、第2主面からの掘削深さが深くなるようにした製造方法とする。
【0016】
また、前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を形成するための掘削をサンドブラスト法を用いて行うとよい。
また、前記磁性絶縁基板がフェライト基板であるとよい。
また、前記磁性絶縁基板の第1電極に半導体基板の突起電極を介して前記半導体基板を固着し、該半導体基板と前記磁性絶縁基板の隙間に接着剤を充填したとき、該接着剤が前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を充填するとよい。
また、前記接着剤がアンダーフィルであるとよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明により、磁性絶縁基板の両面から堀り進めて形成する貫通孔のくびれ箇所を一方の表面に近く位置させることで、貫通孔を充填する部材(特に、メッキ膜およびアンダーフィル)に空洞が形成されず、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子を形成するすることができる。
また、貫通孔のくびれ箇所に近い方の表面への貫通孔の側壁の傾斜を緩やかにすることで、貫通孔を充填する部材に空洞が形成されず、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子を形成するすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態について以下の実施例にて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、この発明の第1実施例の薄膜磁気誘導素子の構成図で、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図、同図(c)は同図(a)のY−Y線で切断した要部断面図である。この薄膜磁気誘導素子はソレノイド状の薄膜インダクタである。
薄膜磁気誘導素子は、磁性絶縁基板であるフェライト基板1と、このフェライト基板1の外周部に貫通孔2aを形成し、この貫通孔2aに形成した接続導体2で互いを接続した表面側の端子電極6aおよび裏面側の端子電極6bと、フェライト基板1の中央部に貫通孔3aを形成し、この貫通孔3aに形成した接続導体3で互いに接続した第1主面(表面)側のコイル導体4と第2主面(裏面)側のコイル導体5とで構成される。表面側の端子電極6aと裏面側の端子電極6bと接続導体2を合わせたものが外周部に形成した電極であり、表面側のコイル導体4と裏面側のコイル導体5と接続導体3を合わせたものが中央部に形成したソレノイド状のコイルである。
【0020】
このフェライト基板1の第1主面側(表面側)の端子電極6aに図示しないスタッドバンプを介して半導体基板が固着し、第2主面側(裏面側)の端子電極6bは図示しない半田を介してプリント基板や積層セラミックコンデンサアレイと接続する。
図2は、図1のA部およびB部の詳細拡大図であり、同図(a)は図1のA部の詳細拡大図、同図(b)は図1のB部の詳細拡大図である。
前記の貫通孔2a、3aは第1主面から形成した穴2b、穴3bと第2主面から形成した穴2c、3cを接続して形成する。また穴2bと穴2cが接続する箇所および穴3bと穴3cが接続する箇所は貫通孔2a、3aで最も狭くなっているくびれ箇所Zである。第1主面上、第2主面上および貫通孔2a、3aの側壁にメッキシード層12を介して、端子電極6a、6bおよび接続導体2をCu層で形成し、また第1主面上、第2主面上および側壁にメッキシード層12を介して、コイル導体4、5および接続導体2がCu層で形成する。その後で穴2cと穴3cに絶縁膜16を充填する。
【0021】
前記の穴2bの深さT1を穴2cの深さT2より浅くし、穴2bの側壁の傾斜S1を穴2cの側壁の傾斜S2より緩やかにし、穴3bの深さT3を穴3cの深さT4より浅くし、穴3bの側壁の傾斜S3を穴3cの側壁の傾斜S4より緩やかにする。
このような形状の貫通孔2a、3aとすることで、図示しない半導体基板をスタッドバンプを介してフェライト基板1に固着し、これらの隙間に図示しないアンダーフィルを充填する場合に、絶縁膜16との界面に空洞を形成することなくアンダーフィルを充填できる。
図3は、図1の薄膜磁気誘導素子の製造方法であり、同図(a)から同図(g)は工程順に示した要部工程断面図である。これらの工程断面図は、図2(a)に相当した断面図であり、フェライト基板1に形成した貫通孔2a近傍の断面図を拡大したものである。
【0022】
磁性絶縁基板として、厚さ525μmのNi−Zn系のフェライト基板1を用いた。このフェライト基板1の厚さは必要とされるインダクタンス、コイル電流値、フェライト基板1の特性から決定されるものであり、今回の実施例の厚さに限ったものではない。但し、フェライト基板1が100μm程度以下と薄い場合は磁気飽和が起こり易くなり、また、1mm以上と厚い場合には超小型電力変換装置の厚さ自体が厚くなってしまうため使用目的に合わせ選定すると良い。尚、磁性絶縁基板としてはフェライト基板1に限ったものでなく、絶縁性の磁性基板であればよい。今回は容易に基板状に形成しうる材料としてフェライト基板1を用いた。
まず、フェライト基板1の第1主面および第2主面から、貫通孔2aを形成するために、フェライト基板1の第1主面、第2主面にレジスト19を形成し、貫通孔2aを形成するためのパターニングする。(同図(a))。
【0023】
つぎに、フェライト基板1の第1主面にレジスト19をマスクに穴2bを中央より浅く形成する。穴2bの形成方法には、レーザー加工、サンドブラスト加工、放電加工、超音波加工および機械加工があり、コスト、適用性で選定することもできる。ソレノイド型の薄膜インダクタは加工部位が多いのでサンドブラスト工程を採用した。加工量の調整は、加工時間、加工速度などを調整することで行う(同図(b))。
つぎに、第2主面にレジスト19をマスクに穴3bを穴2bと接するまでサンドブラストで掘削し、貫通孔2aを形成する。このように、片面ずつサンドブラスト加工を行うことで、穴2bと穴2cが接続する箇所で貫通孔2aの開口部が最小となり、この箇所がくびれ箇所Zとなる。そして、サンドブラスト加工の加工量を表裏で異ならせることにより、貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所Zまでの穴2bの深さT1を第2主面からのくびれ箇所Zまでの穴2cの深さT2より浅くし、穴2bの側壁の傾斜S1を穴2cの側壁の傾斜S2より小さくする。貫通孔2aをこのような形状とすることで、図示しない半導体基板をスタッドバンプを介したフェライト基板1に固着し、これらの隙間にアンダーフィルを充填するとき、穴2cを充填した絶縁膜16との界面に形成される空洞の発生を抑制できる(同図(c))。
【0024】
つぎに、レジスト19を除去する(同図(d))。
つぎに、貫通孔2aの側壁およびフェライト基板1の表面に導電性を与えるためおよび後のCuメッキの前処理としてTi/Cu膜をスパッタで形成しメッキシード層12を形成する。このとき貫通孔2aにも導電性が与えられるが、必要であれば無電解メッキなどを行っても良い。真空蒸着法、CVD法などでもよい。密着層としてはTiに限らずCr、W、Nb、Taなどを用いても良い。その後、端子電極6a、6bを形成するためのマスクをレジスト20で形成する。本実施例ではネガ型のフィルムタイプレジストを用いて行っている(同図(e))。
つぎに、レジスト20の開口部に電界メッキでCu層21を形成する。このとき貫通孔2aにもメッキされる。貫通孔2aのフェライト基板1の表面より最も離れた内部はメッキ金属膜の成長にばらつきが生じる場合があるが、貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所までの距離T1を短く(第1主面から浅く)、また側壁の傾斜S1を緩にした場合には、メッキ膜の異常成長はなく、第1主面側(表面側)の貫通孔2aの側壁は確実にメッキ膜で被覆されて、Cu層21を形成するときに空洞は形成されない(同図(f))。
【0025】
つぎに、レジスト20を除去して、Cu層21は互いに接続した端子電極6a、6bおよび接続導体2となり、フェライト基板1の外周部に形成される電極となる(同図(g))。
つぎに、第2主面の表面にレジストで保護膜16を形成する(同図(h))。
尚、図2(b)の接続孔3aやコイル導体4、5および接続導体3は、前記の図3(a)から(h)の各工程で同時に形成される。
このように形成された薄膜磁気誘導素子のフェライト基板1の第1主面の端子電極6aに、図4で示すように、スタットバンプ26を介して集積回路が形成された半導体基板25を固着し、半導体基板25とフェライト基板1の間にアンダーフィル27を注入し硬化させて、半導体基板25とフェライト基板1の密着性を補強して超小型電力変換装置が完成する。尚、図4(b)、(c)はそれぞれ同図(a)のA部およびB部の詳細拡大図である。
【0026】
図3の貫通孔2aの形成方法では、貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所Zまでの距離T1が短く(表面から浅く)、その側壁の傾斜S1が緩いため、図4に示すように、アンダーフィルは空気を巻き込まずに貫通孔2a内をレジスト表面に達するまで進行しアンダーフィル内に空洞は形成されない。その結果、高い信頼性を確保できる。
【実施例2】
【0027】
図5は、この発明の第2実施例の薄膜誘導素子の構成図で、同図(a)は図2(a)に相当する要部断面図、同図(b)は図2(b)に相当する要部断面図である。
図2との違いは、貫通孔2aのくびれ箇所Zを接続導体32aとなるメッキ膜のCu層で塞ぎ、穴2cの側壁に形成される接続導体32bとなるメッキ膜のCu層が接続導体32aとなるCu層に接続し、貫通孔2aの第2主面側から保護膜16を除去した点である。
貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所までの距離が短く(表面から浅く)、その側壁の傾斜S1を緩くすることで、接続導体32aとなるCu層をメッキで厚く成長させても、くびれ箇所Z付近でのメッキ膜であるCu層の異常成長が抑制されて、C部の接続導体32aとなるCu層内で完全に塞ぐことができる。また、穴2cの側壁に形成される接続導体32bとなるメッキ膜のCu層が接続導体32aにその先端が接続し、接続導体32b同士が異常成長で接続することがないので、接続導体32aと接続導体32bの間で空洞が形成されることがない。また、接続導体32aで貫通孔2aが完全に塞がれるので、アンダーフィルの垂れ流しを接続導体32aで防止できる。その結果、レジストなどの保護膜16が不要となり、信頼性が向上する。
【0028】
また、貫通孔3aについても同様に接続導体33aで貫通孔3aを塞くことができるが、貫通孔33aを接続導体33aで塞ぐと、保護膜16を貫通孔3aを充填したときに接続導体33aと保護膜16との間に空洞が形成される可能性があり、貫通孔3aは接続導体33aで塞がない方がよい。
【実施例3】
【0029】
図6は、この発明の第3実施例の薄膜誘導素子の構成図で、同図(a)は図5(a)に相当する要部断面図、同図(b)は図5(b)に相当する要部断面図である。
図5との違いは、裏面側からの貫通孔2a、3aの加工面積を大きくして、開口部の表面幅W2、W4をW1、W3より大きくしている点である。加工面積を大きくすることで、穴2c、3cの側壁の傾斜S2、S4が図5の場合より緩やかになり、穴2c、3cの深部までのメッキ膜である接続導体32b、33bをさらに良好な状態で形成することができるので、E部、F部に空洞が形成されることを図5のC部、D部よりもさらに抑制することができる。
そのため、設計寸法に余裕がある場合は穴2c、3cの加工面積を大きくする方が好ましい。
【0030】
尚、前記の第1実施例から第3実施例の薄膜磁気誘導素子はソレノイド状のコイルを有する薄膜インダクタであるが、トロイダル状のコイルを有する薄膜インダクタの場合も本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の第1実施例の薄膜磁気誘導素子の構成図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図、(c)は(a)のY−Y線で切断した要部断面図
【図2】図1のA部およびB部の詳細拡大図であり、(a)は図1のA部の詳細拡大図、(b)は図1のB部の詳細拡大図
【図3】図1の薄膜磁気誘導素子の製造方法であり、(a)から(g)は工程順に示した要部工程断面図
【図4】この発明の薄膜磁気誘導素子を搭載した超小型電力変換装置の要部断面図
【図5】この発明の第2実施例の薄膜誘導素子の構成図で、(a)は図2(a)に相当する要部断面図、(b)は図2(b)に相当する要部断面図
【図6】この発明の第3実施例の薄膜誘導素子の構成図で、(a)は図5(a)に相当する要部断面図、(b)は図5(b)に相当する要部断面図
【図7】従来の薄膜磁気誘導素子の構成図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図、(c)は(a)のY−Y線で切断した要部断面図
【図8】図7のG部およびH部の詳細拡大図であり、(a)はG部の詳細拡大図、(b)はH部の詳細拡大図
【図9】図7のフェライト基板に電極とコイルを形成する方法であり、(a)から(g)は工程順に示した要部工程断面図
【図10】保護膜とアンダーフィルの界面に空洞が形成された模式図
【図11】接続導体に空洞が形成された模式図
【符号の説明】
【0032】
1 フェライト基板
2、3、32a、32b、33a、33b 接続導体
2a、3a 貫通孔
2b、2c、3b、3c 穴
4、5、34、35 コイル導体
6a、6b 端子電極
12 メッキシード層
16 保護膜
19、20 レジスト
21 Cu層
25 半導体基板
26 スタッドバンプ
27 アンダーフィル
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体基板に形成した半導体集積回路と、コイルやコンデンサ、抵抗などの受動部品で構成されるDC−DCコンバータである超小型電力変換装置などに用いられる薄膜磁気誘導素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子情報機器、特に、携帯型の各種電子機器の普及が著しい。それらの電子情報機器は電池を電源とするものが多く、DC−DCコンバータなどの電力変換装置を内蔵している。
このような電力変換装置の小型化の要求は強く、ハイブリッド型電源モジュールの小型化は、MCM(マルチチップモジュール)技術や、積層セラミック部品などの技術より進歩してきている。しかし、インダクタやトランスなどの磁気誘導部品は集積回路と比べると体積が非常に大きいために、電子機器の小型化を図る上で最大の制約になっている。
この問題を解決するために、超小型電力変換装置が提案されている。半導体集積回路を形成した半導体基板と、薄膜インダクタである薄膜磁気誘導素子を積層して接続した超小型の電力変換装置を形成する。この超小型化を図るために、高いインダクタンスを持たせたままインダクタを小型・薄膜化するため、薄膜磁気誘導素子として磁性絶縁基板の表裏に形成されたコイル導体を、磁性絶縁基板を貫通する貫通孔に形成された接続導体で接続し、ソレノイド状にコイルを形成して作られる構造が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
図7は、従来の薄膜磁気誘導素子の構成図で、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図、同図(c)は同図(a)のY−Y線で切断した要部断面図である。
薄膜磁気誘導素子は、磁性絶縁基板であるフェライト基板51と、このフェライト基板51の外周部に貫通孔52aを形成し、この貫通孔52aに形成した接続導体52で互いを接続した表面側の端子電極56aおよび裏面側の端子電極56bと、フェライト基板51の中央部に貫通孔53aを形成し、この貫通孔53aに形成した接続導体53で互いに接続した第1主面(表面)側のコイル導体54と第2主面(裏面)側のコイル導体55とで構成される。表面側の端子電極56aと裏面側の端子電極56bと接続導体52を合わせたものが外周部に形成した電極であり、表面側のコイル導体54と裏面側のコイル導体55と接続導体53を合わせたものが中央部に形成したソレノイド状のコイルである。
【0004】
このフェライト基板51の第1主面側(表面側)の端子電極56aに図示しないスタッドバンプを介して半導体基板が固着し、第2主面側(裏面側)の端子電極56bは図示しない半田を介してプリント基板や積層セラミックコンデンサアレイと接続する。
図8は、図7のG部およびH部の詳細拡大図であり、同図(a)は図7のG部の詳細拡大図、同図(b)は図7のH部の詳細拡大図である。
貫通孔52aは第1主面から形成した穴52bと第2主面から形成した穴52cを接続して形成する。穴52bと穴52cが接続する箇所は貫通穴52aで最も狭くなっているくびれ箇所Zである。同様に、貫通孔53aは第1主面から形成した穴53bと第2主面から形成した穴53cを接続して形成する。穴53bと穴53cが接続する箇所は貫通孔53aで最も狭くなっているくびれ箇所Zである。
【0005】
同図(a)に示されるように、第1主面上、第2主面上および貫通孔52aの側壁にメッキシード層62を介して、端子電極56a、56bおよび接続導体52がCu層で形成され、また、同図(b)に示されるように第1主面上、第2主面上および貫通孔53aの側壁にメッキシード層62を介して、コイル導体54、55および接続導体53がCu層で形成される。穴52cと穴53cは絶縁膜66で充填される。
前記の穴52bの深さT5を穴52cの深さT6を同じ深さにし、穴52bの側壁の傾斜S5を穴52cの側壁の傾斜S6と同じ傾斜にする。また、前記の穴53bの深さT7を穴53cの深さT8を同じ深さにし、穴52bの側壁の傾斜S7を穴52cの側壁の傾斜S8と同じ傾斜にする。
図9は、図7の従来の薄膜磁気誘導素子の製造方法であり、同図(a)から同図(g)は工程順に示した要部工程断面図である。これらの工程断面図は、図8(a)に相当した断面図であり、フェライト基板51に形成した貫通孔52a近傍の断面図を拡大したものである。
【0006】
まず、フェライト基板51の第1主面および第2主面から、貫通孔52aを形成するために、フェライト基板51の第1主面、第2主面にレジスト69を形成し、貫通孔52aを形成するためのパターニングする。(同図(a))。
つぎに、フェライト基板51の第1主面にレジスト69をマスクに穴52bをサンドブラストで形成する(同図(b))。
つぎに、第2主面にレジスト69をマスクに穴53bを穴52bと接するまでサンドブラストで掘削し、貫通孔52aを形成する。このように、片面ずつ加工を行うが、この際の加工量を表裏で同じにすることで、穴52bと穴52cが接続する箇所で貫通孔52aの開口部が最小となり、この箇所がくびれ箇所Zとなる。貫通孔52aの第1主面からくびれ箇所Zまでの穴52bの深さT5を第2主面からのくびれ箇所Zまでの穴52cの深さT6と同じにし、穴52bの側壁の傾斜S5を穴52cの側壁の傾斜S6と同じにする。(同図(c))。
【0007】
つぎに、レジスト69を除去する(同図(d))。
つぎに、貫通孔52aの側壁およびフェライト基板51の表面に導電性を与えるためのメッキシード層62を形成する。その後、端子電極56a、56bを形成するためのマスクをレジスト70で形成する(同図(e))。
つぎに、レジスト70の開口部に電界メッキでCu層71を形成する。このとき貫通孔52aにもメッキされる(同図(f))。
つぎに、レジスト70を除去して、Cu層71は互いに接続した端子電極56a、56bと接続導体52となり、フェライト基板51の外周部に形成される電極となる(同図(g))。
つぎに、第2主面の表面にレジストで保護膜66を形成する(同図(h))。
【0008】
尚、図8(b)の接続孔53aやコイル導体54、55および接続導体53は、前記の図9(a)から(h)の各工程で同時に形成される。
このように形成された薄膜磁気誘導素子のフェライト基板51の第1主面の端子電極56aに、図10で示すように、スタットバンプ76を介して半導体基板75を固着し、半導体基板75とフェライト基板51の間にアンダーフィル77を注入し硬化させて、半導体基板75とフェライト基板51の密着性を補強して超小型電力変換装置が完成する。
尚、図10において、同図(b)、(c)はそれぞれ同図(a)のG部およびH部の詳細拡大図である。
【特許文献1】特開2004−72815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9の製造工程で、フェライト基板51の外周部の電極と中央部のコイルを形成した場合、フェライト基板51にサンドブラスト処理で両面から加工された貫通孔52a、53aは、フェライト基板51の断面の中心部に向かってすり鉢状となり、フェライト基板51の断面の中心部で貫通孔52a、53aの幅が最小になる形状となる。この幅が最小になる箇所が前記したくびれ箇所Zとなる。この貫通孔52a、53aの側面には、メッキシード層62を介してメッキ膜であるCu層21が形成され、その後、第2主面側からレジストなどの保護膜66が形成され、貫通孔52a、53aの第2主面は側の部分が保護膜66で充填される。その後、図10に示すように、半導体基板75をフェライト基板51にスタッドバンプ76を介して固着した後、アンダーフィル77を半導体基板75とフェライト基板51の間の隙間に注入し、貫通孔52a、53aはアンダーフィル77で充填される。
【0010】
しかし、貫通孔52a、53aの側壁の傾斜S5、S6が急な場合、側壁を伝わって落ちるアンダーフィル77の速度が早く、アンダーフィル77は空気を巻き込んで貫通孔52a、53aに進行する。そうすると、貫通孔52a、53aのくびれ箇所Zより下に充填された保護膜66との間に空洞90(ボイド)が形成されることがある。
また、貫通孔52a、53aの側壁の長さが長い場合は、アンダーフィル77が側壁を伝わって貫通孔52a、53aのくびれ箇所Zに達する前に貫通孔52a、53aが塞がれて保護膜66との間で空洞90が形成されることがある。
また、貫通孔52a、53aの幅が狭い場合は、アンダーフィル77が貫通孔52a、53aの奥に進行しにくくなり、保護膜66の間に空洞90が形成されることがある。
このようにして、空洞90が形成されると、リフロー炉による半田付けなどの温度ストレスが印加された場合、空洞90が膨張してアンダーフィル77が貫通孔52a、53aの側面から剥離し、その剥離が進行すると、アンダーフィル77がフェライト基板51から剥離して信頼性を低下させる。また、温度ストレスが大きいと、この空洞80が急激に膨張して爆発する場合もある。
【0011】
さらに、スタッドバンプ76とアンダーフィル77の境界に剥離が進行するとこの剥離箇所を通して水分などが半導体基板75に進入して半導体集積回路を劣化させる。
前記の第2主面側に形成する保護膜66は裏面側のコイル導体55を保護する役割と、アンダーフィル77が貫通孔52a、53aを通して垂れ流れるのを防止する役割がある。しかし、半田付けされる端子電極56bでは、保護膜66は貫通孔52a内とその近傍にのみ形成され、保護膜66の役割は、貫通孔52a、53aを通ってアンダーフィル77が垂れ流れるのを防止することである。また保護膜66は金属との密着性が良好でなく、保護膜66は貫通孔52aの側壁から剥離しやすい。剥離すると前記のように水分などの進入が起こり信頼性を低下させる。そのため、貫通孔52aを塞ぐ部材としては、レジストなどの保護膜66を用いないで、電極を形成するメッキ膜(Cu層:接続導体52)などを用いる方がよい。
【0012】
このメッキ膜で貫通孔52aを塞ぐためには、メッキ膜の厚みを厚くする必要がある。 図11は、メッキ膜を厚くしたときの要部断面図であり、同図(a)は図8(a)に相当した断面図、同図(b)は図8(b)に相当した断面図である。
メッキ膜を厚くすると、中央部にあるくびれ箇所Z近傍でメッキ膜が異常成長して、メッキ膜が十分形成されない部分が生じ、貫通孔52aを塞ぎ、同図(a)に示すように、貫通孔52aのくびれ箇所Z付近でメッキ膜である接続導体82aと接続導体82bが接する箇所に空洞91が形成されたりする。また、同図(b)でも同様の現象が起こる。この空洞91が形成されると、リフロー炉による半田付けなどの温度ストレスでメッキ膜が剥離し、信頼性を低下させる。
この発明の目的は、前記の課題を解決して、貫通孔を充填する部材(メッキ膜やアンダーフィル)で貫通孔内に空洞が形成されないようにすることで、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面および第2主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって狭まり、最も狭くなったくびれ箇所の位置が前記磁性絶縁基板の第2主面より第1主面に近い構成とする。
【0014】
また、前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第1主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜が、前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第2主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜より緩いとよい。
また、前記第1接続導体が前記第1貫通孔の側壁に形成され、前記第2導体表面を被覆するとともに、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第1貫通孔のくびれ箇所までを充填して該くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有するとよい。
また、前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第2貫通孔のくびれ箇所までを充填し、該くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有するとよい。
また、前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記第2接続導体が前記くびれ箇所を塞ぐとよい。
【0015】
また、磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子の製造方法において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面、第2主面の両主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって互いに接続するまで掘削されて形成され、第1主面からの掘削深さが浅く、第2主面からの掘削深さが深くなるようにした製造方法とする。
【0016】
また、前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を形成するための掘削をサンドブラスト法を用いて行うとよい。
また、前記磁性絶縁基板がフェライト基板であるとよい。
また、前記磁性絶縁基板の第1電極に半導体基板の突起電極を介して前記半導体基板を固着し、該半導体基板と前記磁性絶縁基板の隙間に接着剤を充填したとき、該接着剤が前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を充填するとよい。
また、前記接着剤がアンダーフィルであるとよい。
【発明の効果】
【0017】
この発明により、磁性絶縁基板の両面から堀り進めて形成する貫通孔のくびれ箇所を一方の表面に近く位置させることで、貫通孔を充填する部材(特に、メッキ膜およびアンダーフィル)に空洞が形成されず、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子を形成するすることができる。
また、貫通孔のくびれ箇所に近い方の表面への貫通孔の側壁の傾斜を緩やかにすることで、貫通孔を充填する部材に空洞が形成されず、高い信頼性の薄膜磁気誘導素子を形成するすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態について以下の実施例にて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、この発明の第1実施例の薄膜磁気誘導素子の構成図で、同図(a)は要部平面図、同図(b)は同図(a)のX−X線で切断した要部断面図、同図(c)は同図(a)のY−Y線で切断した要部断面図である。この薄膜磁気誘導素子はソレノイド状の薄膜インダクタである。
薄膜磁気誘導素子は、磁性絶縁基板であるフェライト基板1と、このフェライト基板1の外周部に貫通孔2aを形成し、この貫通孔2aに形成した接続導体2で互いを接続した表面側の端子電極6aおよび裏面側の端子電極6bと、フェライト基板1の中央部に貫通孔3aを形成し、この貫通孔3aに形成した接続導体3で互いに接続した第1主面(表面)側のコイル導体4と第2主面(裏面)側のコイル導体5とで構成される。表面側の端子電極6aと裏面側の端子電極6bと接続導体2を合わせたものが外周部に形成した電極であり、表面側のコイル導体4と裏面側のコイル導体5と接続導体3を合わせたものが中央部に形成したソレノイド状のコイルである。
【0020】
このフェライト基板1の第1主面側(表面側)の端子電極6aに図示しないスタッドバンプを介して半導体基板が固着し、第2主面側(裏面側)の端子電極6bは図示しない半田を介してプリント基板や積層セラミックコンデンサアレイと接続する。
図2は、図1のA部およびB部の詳細拡大図であり、同図(a)は図1のA部の詳細拡大図、同図(b)は図1のB部の詳細拡大図である。
前記の貫通孔2a、3aは第1主面から形成した穴2b、穴3bと第2主面から形成した穴2c、3cを接続して形成する。また穴2bと穴2cが接続する箇所および穴3bと穴3cが接続する箇所は貫通孔2a、3aで最も狭くなっているくびれ箇所Zである。第1主面上、第2主面上および貫通孔2a、3aの側壁にメッキシード層12を介して、端子電極6a、6bおよび接続導体2をCu層で形成し、また第1主面上、第2主面上および側壁にメッキシード層12を介して、コイル導体4、5および接続導体2がCu層で形成する。その後で穴2cと穴3cに絶縁膜16を充填する。
【0021】
前記の穴2bの深さT1を穴2cの深さT2より浅くし、穴2bの側壁の傾斜S1を穴2cの側壁の傾斜S2より緩やかにし、穴3bの深さT3を穴3cの深さT4より浅くし、穴3bの側壁の傾斜S3を穴3cの側壁の傾斜S4より緩やかにする。
このような形状の貫通孔2a、3aとすることで、図示しない半導体基板をスタッドバンプを介してフェライト基板1に固着し、これらの隙間に図示しないアンダーフィルを充填する場合に、絶縁膜16との界面に空洞を形成することなくアンダーフィルを充填できる。
図3は、図1の薄膜磁気誘導素子の製造方法であり、同図(a)から同図(g)は工程順に示した要部工程断面図である。これらの工程断面図は、図2(a)に相当した断面図であり、フェライト基板1に形成した貫通孔2a近傍の断面図を拡大したものである。
【0022】
磁性絶縁基板として、厚さ525μmのNi−Zn系のフェライト基板1を用いた。このフェライト基板1の厚さは必要とされるインダクタンス、コイル電流値、フェライト基板1の特性から決定されるものであり、今回の実施例の厚さに限ったものではない。但し、フェライト基板1が100μm程度以下と薄い場合は磁気飽和が起こり易くなり、また、1mm以上と厚い場合には超小型電力変換装置の厚さ自体が厚くなってしまうため使用目的に合わせ選定すると良い。尚、磁性絶縁基板としてはフェライト基板1に限ったものでなく、絶縁性の磁性基板であればよい。今回は容易に基板状に形成しうる材料としてフェライト基板1を用いた。
まず、フェライト基板1の第1主面および第2主面から、貫通孔2aを形成するために、フェライト基板1の第1主面、第2主面にレジスト19を形成し、貫通孔2aを形成するためのパターニングする。(同図(a))。
【0023】
つぎに、フェライト基板1の第1主面にレジスト19をマスクに穴2bを中央より浅く形成する。穴2bの形成方法には、レーザー加工、サンドブラスト加工、放電加工、超音波加工および機械加工があり、コスト、適用性で選定することもできる。ソレノイド型の薄膜インダクタは加工部位が多いのでサンドブラスト工程を採用した。加工量の調整は、加工時間、加工速度などを調整することで行う(同図(b))。
つぎに、第2主面にレジスト19をマスクに穴3bを穴2bと接するまでサンドブラストで掘削し、貫通孔2aを形成する。このように、片面ずつサンドブラスト加工を行うことで、穴2bと穴2cが接続する箇所で貫通孔2aの開口部が最小となり、この箇所がくびれ箇所Zとなる。そして、サンドブラスト加工の加工量を表裏で異ならせることにより、貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所Zまでの穴2bの深さT1を第2主面からのくびれ箇所Zまでの穴2cの深さT2より浅くし、穴2bの側壁の傾斜S1を穴2cの側壁の傾斜S2より小さくする。貫通孔2aをこのような形状とすることで、図示しない半導体基板をスタッドバンプを介したフェライト基板1に固着し、これらの隙間にアンダーフィルを充填するとき、穴2cを充填した絶縁膜16との界面に形成される空洞の発生を抑制できる(同図(c))。
【0024】
つぎに、レジスト19を除去する(同図(d))。
つぎに、貫通孔2aの側壁およびフェライト基板1の表面に導電性を与えるためおよび後のCuメッキの前処理としてTi/Cu膜をスパッタで形成しメッキシード層12を形成する。このとき貫通孔2aにも導電性が与えられるが、必要であれば無電解メッキなどを行っても良い。真空蒸着法、CVD法などでもよい。密着層としてはTiに限らずCr、W、Nb、Taなどを用いても良い。その後、端子電極6a、6bを形成するためのマスクをレジスト20で形成する。本実施例ではネガ型のフィルムタイプレジストを用いて行っている(同図(e))。
つぎに、レジスト20の開口部に電界メッキでCu層21を形成する。このとき貫通孔2aにもメッキされる。貫通孔2aのフェライト基板1の表面より最も離れた内部はメッキ金属膜の成長にばらつきが生じる場合があるが、貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所までの距離T1を短く(第1主面から浅く)、また側壁の傾斜S1を緩にした場合には、メッキ膜の異常成長はなく、第1主面側(表面側)の貫通孔2aの側壁は確実にメッキ膜で被覆されて、Cu層21を形成するときに空洞は形成されない(同図(f))。
【0025】
つぎに、レジスト20を除去して、Cu層21は互いに接続した端子電極6a、6bおよび接続導体2となり、フェライト基板1の外周部に形成される電極となる(同図(g))。
つぎに、第2主面の表面にレジストで保護膜16を形成する(同図(h))。
尚、図2(b)の接続孔3aやコイル導体4、5および接続導体3は、前記の図3(a)から(h)の各工程で同時に形成される。
このように形成された薄膜磁気誘導素子のフェライト基板1の第1主面の端子電極6aに、図4で示すように、スタットバンプ26を介して集積回路が形成された半導体基板25を固着し、半導体基板25とフェライト基板1の間にアンダーフィル27を注入し硬化させて、半導体基板25とフェライト基板1の密着性を補強して超小型電力変換装置が完成する。尚、図4(b)、(c)はそれぞれ同図(a)のA部およびB部の詳細拡大図である。
【0026】
図3の貫通孔2aの形成方法では、貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所Zまでの距離T1が短く(表面から浅く)、その側壁の傾斜S1が緩いため、図4に示すように、アンダーフィルは空気を巻き込まずに貫通孔2a内をレジスト表面に達するまで進行しアンダーフィル内に空洞は形成されない。その結果、高い信頼性を確保できる。
【実施例2】
【0027】
図5は、この発明の第2実施例の薄膜誘導素子の構成図で、同図(a)は図2(a)に相当する要部断面図、同図(b)は図2(b)に相当する要部断面図である。
図2との違いは、貫通孔2aのくびれ箇所Zを接続導体32aとなるメッキ膜のCu層で塞ぎ、穴2cの側壁に形成される接続導体32bとなるメッキ膜のCu層が接続導体32aとなるCu層に接続し、貫通孔2aの第2主面側から保護膜16を除去した点である。
貫通孔2aの第1主面からくびれ箇所までの距離が短く(表面から浅く)、その側壁の傾斜S1を緩くすることで、接続導体32aとなるCu層をメッキで厚く成長させても、くびれ箇所Z付近でのメッキ膜であるCu層の異常成長が抑制されて、C部の接続導体32aとなるCu層内で完全に塞ぐことができる。また、穴2cの側壁に形成される接続導体32bとなるメッキ膜のCu層が接続導体32aにその先端が接続し、接続導体32b同士が異常成長で接続することがないので、接続導体32aと接続導体32bの間で空洞が形成されることがない。また、接続導体32aで貫通孔2aが完全に塞がれるので、アンダーフィルの垂れ流しを接続導体32aで防止できる。その結果、レジストなどの保護膜16が不要となり、信頼性が向上する。
【0028】
また、貫通孔3aについても同様に接続導体33aで貫通孔3aを塞くことができるが、貫通孔33aを接続導体33aで塞ぐと、保護膜16を貫通孔3aを充填したときに接続導体33aと保護膜16との間に空洞が形成される可能性があり、貫通孔3aは接続導体33aで塞がない方がよい。
【実施例3】
【0029】
図6は、この発明の第3実施例の薄膜誘導素子の構成図で、同図(a)は図5(a)に相当する要部断面図、同図(b)は図5(b)に相当する要部断面図である。
図5との違いは、裏面側からの貫通孔2a、3aの加工面積を大きくして、開口部の表面幅W2、W4をW1、W3より大きくしている点である。加工面積を大きくすることで、穴2c、3cの側壁の傾斜S2、S4が図5の場合より緩やかになり、穴2c、3cの深部までのメッキ膜である接続導体32b、33bをさらに良好な状態で形成することができるので、E部、F部に空洞が形成されることを図5のC部、D部よりもさらに抑制することができる。
そのため、設計寸法に余裕がある場合は穴2c、3cの加工面積を大きくする方が好ましい。
【0030】
尚、前記の第1実施例から第3実施例の薄膜磁気誘導素子はソレノイド状のコイルを有する薄膜インダクタであるが、トロイダル状のコイルを有する薄膜インダクタの場合も本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の第1実施例の薄膜磁気誘導素子の構成図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図、(c)は(a)のY−Y線で切断した要部断面図
【図2】図1のA部およびB部の詳細拡大図であり、(a)は図1のA部の詳細拡大図、(b)は図1のB部の詳細拡大図
【図3】図1の薄膜磁気誘導素子の製造方法であり、(a)から(g)は工程順に示した要部工程断面図
【図4】この発明の薄膜磁気誘導素子を搭載した超小型電力変換装置の要部断面図
【図5】この発明の第2実施例の薄膜誘導素子の構成図で、(a)は図2(a)に相当する要部断面図、(b)は図2(b)に相当する要部断面図
【図6】この発明の第3実施例の薄膜誘導素子の構成図で、(a)は図5(a)に相当する要部断面図、(b)は図5(b)に相当する要部断面図
【図7】従来の薄膜磁気誘導素子の構成図で、(a)は要部平面図、(b)は(a)のX−X線で切断した要部断面図、(c)は(a)のY−Y線で切断した要部断面図
【図8】図7のG部およびH部の詳細拡大図であり、(a)はG部の詳細拡大図、(b)はH部の詳細拡大図
【図9】図7のフェライト基板に電極とコイルを形成する方法であり、(a)から(g)は工程順に示した要部工程断面図
【図10】保護膜とアンダーフィルの界面に空洞が形成された模式図
【図11】接続導体に空洞が形成された模式図
【符号の説明】
【0032】
1 フェライト基板
2、3、32a、32b、33a、33b 接続導体
2a、3a 貫通孔
2b、2c、3b、3c 穴
4、5、34、35 コイル導体
6a、6b 端子電極
12 メッキシード層
16 保護膜
19、20 レジスト
21 Cu層
25 半導体基板
26 スタッドバンプ
27 アンダーフィル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面および第2主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって狭まり、最も狭くなったくびれ箇所の位置が前記磁性絶縁基板の第2主面より第1主面に近いことを特徴とする薄膜磁気誘導素子。
【請求項2】
前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第1主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜が、前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第2主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜より緩いことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気誘導素子。
【請求項3】
前記第1接続導体が前記第1貫通孔の側壁に形成され、前記第2導体表面を被覆するとともに、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第1貫通孔の前記くびれ箇所までを充填して前記くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気誘導素子。
【請求項4】
前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第2貫通孔の前記くびれ箇所までを充填して前記くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気誘導素子。
【請求項5】
前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記第2接続導体が前記くびれ箇所を塞ぐことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気誘導素子。
【請求項6】
磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子の製造方法において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面、第2主面の両主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって互いに接続するまで掘削されて形成され、第1主面からの掘削深さが浅く、第2主面からの掘削深さが深くなるようにしたことを特徴とする磁性絶縁基板の製造方法。
【請求項7】
前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を形成するための掘削をサンドブラスト法を用いて行うことを特徴とする請求項6に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項8】
前記磁性絶縁基板がフェライト基板であることを特徴とする請求項6または7に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項9】
前記磁性絶縁基板の第1電極に半導体基板の突起電極を介して前記半導体基板を固着し、該半導体基板と前記磁性絶縁基板の隙間に接着剤を充填したとき、該接着剤が前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を充填することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項10】
前記接着剤がアンダーフィルであることを特徴とする請求項9に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項1】
磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面および第2主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって狭まり、最も狭くなったくびれ箇所の位置が前記磁性絶縁基板の第2主面より第1主面に近いことを特徴とする薄膜磁気誘導素子。
【請求項2】
前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第1主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜が、前記くびれ箇所の位置から前記磁性絶縁基板の第2主面までの前記第1、第2貫通孔の側壁の傾斜より緩いことを特徴とする請求項1に記載の薄膜磁気誘導素子。
【請求項3】
前記第1接続導体が前記第1貫通孔の側壁に形成され、前記第2導体表面を被覆するとともに、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第1貫通孔の前記くびれ箇所までを充填して前記くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気誘導素子。
【請求項4】
前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記磁性絶縁基板の第2主面から前記第2貫通孔の前記くびれ箇所までを充填して前記くびれ箇所を塞ぐ絶縁膜を有することを特徴とする請求項1または2に記載の磁気誘導素子。
【請求項5】
前記第2接続導体が前記第2貫通孔の側壁に形成され、前記第2接続導体が前記くびれ箇所を塞ぐことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気誘導素子。
【請求項6】
磁性絶縁基板と、該磁性絶縁基板の第1主面に形成された第1導体と前記磁性絶縁基板の第2主面に形成された第2導体と前記磁性絶縁基板を貫通する第1貫通孔に形成された第1接続導体とをそれぞれ接続してなるコイル導体と、前記磁性絶縁基板の第1主面の外周部に形成された第1電極と前記磁性絶縁基板の第2主面の外周部に形成され、前記第1電極の直下に形成された第2電極と前記磁性絶縁基板を貫通する第2貫通孔に形成された第2接続導体とをそれぞれ接続してなる電極とを有する薄膜磁気誘導素子の製造方法において、
前記第1、第2貫通孔が、前記磁性絶縁基板の第1主面、第2主面の両主面から前記磁性絶縁基板の内部に向かって互いに接続するまで掘削されて形成され、第1主面からの掘削深さが浅く、第2主面からの掘削深さが深くなるようにしたことを特徴とする磁性絶縁基板の製造方法。
【請求項7】
前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を形成するための掘削をサンドブラスト法を用いて行うことを特徴とする請求項6に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項8】
前記磁性絶縁基板がフェライト基板であることを特徴とする請求項6または7に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項9】
前記磁性絶縁基板の第1電極に半導体基板の突起電極を介して前記半導体基板を固着し、該半導体基板と前記磁性絶縁基板の隙間に接着剤を充填したとき、該接着剤が前記磁性絶縁基板の第1、第2貫通孔を充填することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【請求項10】
前記接着剤がアンダーフィルであることを特徴とする請求項9に記載の薄膜磁気誘導素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−339553(P2006−339553A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165035(P2005−165035)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(503361248)富士電機デバイステクノロジー株式会社 (1,023)
【Fターム(参考)】
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