説明

薬剤、方法および使用

【課題】GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)ペプチドに関連する医療用薬剤の提供。
【解決手段】細胞増殖抑制に関与しているGnRH IおよびGnRH IIペプチドの構造要件を決定し、GnRH IおよびGnRH IIペプチドの増殖防止活性をペプチドの特異的アミノ酸残基を置換することによって調節したペプチドを含む、医療用薬剤。該薬剤は婦人科癌、前立腺癌、良性前立腺過形成、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、膵臓癌、胃癌などの治療に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療に用いられる、薬剤、組成物および方法に関する。詳細には、本発明は、GnRHペプチドに関連する薬剤に関する。
【0002】
ヒトには、少なくとも2つの形態のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が存在する。GnRH IIの生物学的作用は余り明らかにされていないが、GnRH Iが哺乳類生殖の神経内分泌制御における中心的レギュレーターであることは知られている。視床下部ニューロンから放出されたGnRH Iは、下垂体前葉においてその特異的なGタンパク質結合受容体(GPCR)に結合し、最終的にゴナドトロピンの合成および放出を刺激する (Kaiser et al., 1997; Millar et al., 2004)。GnRHは、下垂体外組織および幾つかのタイプの癌、特に生殖系の癌に対し、さらなる効果を有する。これらの腫瘍において上記ホルモンおよび受容体のmRNAが見出されており、GnRHによる細胞増殖の直接的阻害がイン・ビトロおよびイン・ビボで示されている(Limonta et al., 2003およびGrundker et al., 2002に概説)。この新規作用はごく最近に調査されたものであり、矛盾したデーターが収集されている。例えば、腫瘍細胞において2つの独特な結合部位および薬理学的に異なる受容体が発見されたことにより、研究者には、第二のサブタイプ受容体(I型下垂体受容体とは対照的にII型と命名)の存在を提案するものもある(Enomoto et al., 2004; Grundker et al., 2004; Neill et al., 2004)。しかしながら、II型受容体は幾つかの霊長類で分離されているものの、機能代替的サブタイプはヒトでは見出されていない(Morgan et al., 2003)。さらに、婦人科癌で見出されたmRNAおよびcDNAは、I型受容体に相当する(Limonta et al., 2003)。
【0003】
GnRHがその増殖防止作用を伝達する分子機構も、論議の的になっている。幾つかの証拠は、腫瘍で発現した受容体は、Gqに結合する下垂体受容体とは異なり、最初にGiに結合することを示している(Grundker et al., 2002; Limonta et al., 2003)。(増殖因子およびその受容体の発現およびホスホチロシンホスファターゼの活性化の減少による)増殖因子作用のダウンレギュレーション、Aktおよび60個の酸性リボソームリンタンパク質の阻害(それぞれ、細胞生存およびタンパク質合成を抑制する)、および幾つかのマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化など他の多数の細胞内経路は、活性化されるとされている(Grundker 2001; Chen et al., 2002; Kim et al., 2004b; Kimura et al., 1999; Kraus et al., 2004 Tanaka et al., 2003)。細胞増殖時におけるGnRH暴露の成果は、(増殖に対する細胞内含量およびステロイドホルモン依存性を規定する)細胞型、治療方法、および他には、時に不明瞭な因子によって明らかに決定される。
【0004】
英国特許第2,237,571 A号明細書は、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体に関する。Folkersら (1985, Proc. Natl. Acad. Sci.米国., 82:1070-1074)は、黄体形成ホルモン放出ホルモンと生物学的に同等なデカペプチドに関する。Millaら(1989, J. Biol. Chem., 35:21007-21013)は、脊椎動物のゴナドトロピン放出ホルモンのキメラ類似体に関する。
【0005】
GnRHペプチドは、以前は下垂体によるホルモンの放出を調節することによって癌のような増殖性疾患を治療するために投与されてきた。しかしながら、増殖防止はリガンドの固有の特徴でもあり、これはリガンド誘導選択的シグナル伝達(LISS)と呼ばれる現象である特定のシグナル伝達カスケードを優先的に活性化することができることが近年明らかとなった(Maudsley et al., 2004; Millar & Pawson, 2004)。これは、下垂体受容体を活性化しないので拮抗薬として特性決定されたリガンドが、同じ受容体を介して他の細胞型の細胞増殖抑制をどのように伝達することができるかを説明している。これまでに、これらの特性を有するリガンドは、極めて少数しか確認されていない。
【0006】
本発明者らは、細胞増殖抑制に関与しているGnRH IおよびGnRH IIペプチドの構造要件を決定し、驚くべきことには、GnRH IおよびGnRH IIペプチドの増殖防止活性をペプチドの特異的アミノ酸残基を置換することによって調節することができることを見出した。
【0007】
ヒトGnRH Iのペプチドは、(アミノ酸残基について三文字コードを用いて表示され): pGlu-His-Trp-Ser-Tyr-Gly-Leu-Arg-Pro-Gly.NH2である。
【0008】
ヒトGnRH IIのペプチドは、(アミノ酸残基について三文字コードを用いて表示され): pGlu-His-Trp-Ser-His-Gly-Trp-Tyr-Pro-Gly.NH2である。
【0009】
詳細には、本発明者らは、GnRH Iペプチドの5および/または7および/または8位のアミノ酸残基の置換、特に8位のアルギニン残基の除去により増殖防止活性が高まることを見出した。さらに、GnRH IIペプチドの6位に一定のD-アミノ酸残基を導入することによって、増殖防止活性が高まる。この予想外の発見によれば、癌のような増殖防止疾患の治療に用いるための強力かつ選択的薬剤を提供される。
【0010】
したがって、第一の態様では、本発明は、ペプチド配列:pGlu-His-Trp-Ser-R1-Gly-R2-R3-Pro-A
(上記式中、
a) R1がHisであり、R2がLeuであり、R3がArgであるか、または
b) R1がTyrであり、R2がTrpであり、R3がArgであるか、または
c) R1がTyrであり、R2がLeuであり、R3がTyrであるか、または
d) R1がHisであり、R2がTrpであり、R3がArgであるか、または
e) R1がHisであり、R2がLeuであり、R3がTyrであるか、または
f) R1がTyrであり、R2がTrpであり、R3がTyrであり、
Aが、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる群から選択されるペプチド配列を含んでなる、医療用薬剤を提供する。
【0011】
好ましくは、Zは分子量が200未満であり、好ましくは150未満であり、好ましくは100未満である。好ましくは、ZはNHR'であって、R'がHまたはC1-C4アルキルであるか、またはZはOR"であって、R"がC1-C4アルキルである。好ましくは、Zはアミドである。好ましくは、ZはNH2またはN-プロピルアミドまたはN-エチルアミド(NHEt)またはN-メチルアミドまたはN-ブチルアミドである。
【0012】
「pGlu」という略号は、修飾アミノ酸、ピログルタメートを表す。
好ましくは、AはアザGly.NH2である。「アザGly」という略号は、アザグリシンであって、C-H基が窒素原子によって置換されているものを表す。「アザGly.NH2」は、アザグリシンのアミド化形態を表す。
【0013】
好ましくは、AはDAla.NH2またはGlu.NH2である。「DAla.NH2」および「Glu.NH2」という略号は、それぞれD-アラニン残基グルタミン酸残基のアミド化形態を表す。
【0014】
好ましくは、AはDAla-Glu.NH2またはDAla-DAla.NH2またはDAla-Gly.NH2である。
【0015】
好ましくは、AはβAla.NH2である。「βAla」という略号は、β-アラニン、すなわち、アラニンの修飾形態であって、アミノ基がカルボキシル基に対してβ(ベータ)-位にあるものを表す。「βAla.NH2」という略号はβ-アラニンのアミド化形態を表す。
【0016】
好ましくは、AはPro.Z であって、ZがNH2、N-プロピルアミド、N-エチルアミド、N-メチルアミドおよびN-ブチルアミドからなる群から選択されるものである。
【0017】
「Gly.NH2」という略号は、グリシン残基のアミド化形態を表す。好ましくは、本発明の薬剤は、C-末端に電荷を持たないC-末端残基を有し、NH2またはNHEt(N-エチルアミド)のようなC-末端基で修飾することによって達成することができる。
【0018】
「薬剤」とは、本発明のペプチド配列を含んでなるまたはからなる分子の塩(例えば、有機または無機酸付加塩)、エステルおよび溶媒和物が挙げられる。この用語は、関連薬剤と同じ生物学的機能および/または活性を有する誘導体をも包含するものとされる。さらに、本発明の目的に対して、この用語は関連薬剤のプロドラッグ(例えば、エステル)も包含する。「プロドラッグ」という用語は、経口または非経口投与の後でイン・ビボで代謝されて、関連薬剤を実験的に検出可能な量でかつ所定の投薬時間内で形成する重要な任意の組成物を包含する。
【0019】
好ましくは、本発明の薬剤はGnRH受容体に可逆的または不可逆的に結合することができ、かつ好ましくはGnRH受容体に選択的に結合することができる。「選択的に結合する」とは、本発明の薬剤が別のポリペプチドより少なくとも10倍強力に、好ましくは少なくとも50倍強力に、さらに好ましくは少なくとも100倍強力にGnRH受容体に結合する能力を包含する。好ましくは、本発明の薬剤は、生理学的条件下、例えば、イン・ビボでGnRH受容体に結合する。
【0020】
本発明の薬剤は、本発明の薬剤を標的細胞(例えば、癌細胞)にターゲッティングおよび/または局在化しおよび/または本発明の薬剤の半減期(t1/2)を増加させることができる1個以上の残基からなりまたはそれを含んでなることもできる。このような残基は本発明の薬剤の効力を増加させることができる。好ましくは、本発明の薬剤がペプチド配列の6位にD-アミノ酸(好ましくはD-LysまたはD-GluまたはD-AspまたはD-Cys)を含んでなるペプチド配列を含んでなりまたはそれからなるときにはこれらのアミノ酸残基は特に修飾を受けやすく、本発明の薬剤に1個以上の残基を包含してもよい。
【0021】
好ましくは、1個以上の残基はステロイドホルモン分子(例えば、プロゲステロン、テストステロン、エストラジオールまたはコルチゾールなど)であり、D-アミノ酸の側鎖に結合している。ステロイドホルモン分子は血漿タンパク質に結合することができ、GnRHペプチドの代謝クリアランスを減少させることが示されている(Ratcliffe et al, 2006, Endocrinology, 147:571-9)。ステロイドホルモンに結合したGnRHペプチドはWO2004/08725号明細書に記載されており、上記明細書は、引用することにより本明細書の一部とされる。あるいは、1個以上の残基はビタミンB12またはビタミンDのようなビタミンであり、D-アミノ酸の側鎖に結合している。ビタミンは、GnRHペプチドの経口バイオアベイラビリティーを向上させることが示されている(Russell-Jones et al, 1995, Bioconjug. Chem., 6:34-42、Russell- Jones et al, 1995, Bioconjug. Chem., 6:459-465)。
【0022】
好ましくは、GnRH受容体に結合して活性化する本発明の薬剤の能力は、1個以上の残基によって影響されずおよび/または余り影響されない。
【0023】
GnRH受容体に対する薬剤の親和性および分娩シグナル伝達経路に関与する細胞内機構への受容体の結合など幾つかの因子が、本発明の薬剤の増殖防止活性を決定する。例えば、本発明の薬剤の増殖防止活性は、単にGnRH受容体に対するそのアフィニティーによっては決定されず、例えば、本発明の2種類の薬剤は異なる増殖防止活性を有するがGnRH受容体に対して同一のアフィニティーを有することがある。
【0024】
GnRH受容体は、7個の膜貫通ドメイン(7TM)を有するGタンパク質結合受容体(GPCR)である。このような受容体のクローニングおよび特性決定は、例えば、Tsutsumi et al (1992, Mol. Endocrinol, 6:1163-1169)およびKakar et al. (1992, Biochem. Biophys. Res. Comm., 189:289-295)およびChi et al. (1993, Mol. 細胞. Endocrinol, 91:R1-6)に記載されている。
【0025】
GnRHペプチド(またはその類似体)のGnRH受容体への結合を測定する方法としては、Tsutsumi et al. (1992, Mol. Endocrinol, 6:1163-1169)およびKakar et al. (1992, Biochem. Biophys. Res. Comm., 189:289-295)およびChi et al. (1993, Mol. 細胞. Endocrinol, 91:R1-6)に記載の競合的結合測定法が挙げられる。簡単に説明すれば、その方法では、目的のペプチドまたは類似体をI125で標識し、その結合を、未標識ペプチドの存在下、GnRH受容体を発現する総細胞またはGnRH受容体を含んでなる膜にて測定する。
【0026】
第二の態様によれば、本発明は、ペプチド配列: pGlu-His-Trp-Ser-Tyr/His-Gly-Leu/Trp-R4-Pro-A
(上記式中、
R4はアルギニンを除く任意のアミノ酸であり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる、医療用薬剤を提供する。
【0027】
好ましくは、Zは分子量が200未満であり、好ましくは150未満であり、好ましくは100未満である。好ましくは、ZはNHR'であって、R'がHまたはC1-C4アルキルであるか、またはZはOR"であって、R"がC1-C4アルキルである。好ましくは、Zはアミドである。好ましくは、ZはNH2またはN-プロピルアミドまたはN-エチルアミド(NHEt)またはN-メチルアミドまたはN-ブチルアミドである。
【0028】
Tyr/Hisとは、アミノ酸チロシン(Tyr)またはアミノ酸ヒスチジン(His)がペプチド配列の5位に存在することを包含する。
【0029】
Leu/Trpとは、アミノ酸ロイシン(Leu)またはアミノ酸トリプトファン(Trp)がペプチド配列の7位に存在することを包含する。
【0030】
好ましくは、AはアザGly.NH2である。
好ましくは、AはDAla.NH2またはGlu.NH2である。
好ましくは、AはDAla-Glu.NH2またはDAla-DAla.NH2またはDAla-Gly.NH2である。
好ましくは、AはβAla.NH2である。
好ましくは、AはPro.Zであって、ZがNH2、N-プロピルアミド、N-エチルアミド、N-メチルアミドおよびN-ブチルアミドからなる群から選択されるものである。
【0031】
好ましくは、本発明は、薬剤であって、R4がアラニン、アスパラギン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンを含んでなる群から選択されるものを提供する。
【0032】
「アミノ酸」という用語は、α-炭素原子に結合したカルボキシル(-COOH)およびアミノ(-NH2)基を両方とも有する水溶性有機化合物の群のいずれかを包含する。アミノ酸は、一般式R-CH(NH2)COOHによって表すことができ、基Rは水素または有機基であり、任意の特定のアミノ酸の特性を決定する。α-炭素原子の回りの4個の異なる基により、アミノ酸に光学活性が付与される。2つの鏡像形態は、L-異性体およびD-異性体と呼ばれる。典型的には、L-アミノ酸のみがタンパク質の成分である。好ましくは、本発明の第一および第二の態様の薬剤のGnRH受容体結合残基は、L-アミノ酸からなる。
【0033】
ペプチド結合の形成を介して、アミノ酸は互いに結合して短鎖(ペプチド)または長鎖(ポリペプチド)を形成する。タンパク質が様々な比率の約20種類の一般に存在するアミノ酸から構成されており、その配列がタンパク質の形状、特性および生物学的役割を決定することは周知である。このようなペプチドまたはポリペプチド鎖中のアミノ酸残基は通常は鎖の番号を付けられた位置によって呼ばれ、最初の位置(すなわち、1位)は、鎖のN-末端のアミノ酸に割り当てられる。
【0034】
第三の態様によれば、本発明は、ペプチド配列:pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-X-LTrp-LTyr-LPro-A
(上記式中、XはD-アミノ酸残基であり、Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-D Ala.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなるまたはからなる薬剤の、増殖性疾患の治療用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0035】
好ましくは、本発明は、XがD-アルギニン、D-リシン、D-トリプトファン、D-リシン、D-チロシン、D-アラニン、D-セリンを含んでなる群から選択される使用を提供する。
【0036】
好ましくは、AはアザGly.NH2である。
好ましくは、AはDAla.NH2またはGlu.NH2である。
好ましくは、AはDAla-Glu.NH2またはDAla-DAla.NH2またはDAla-Gly-NH2である。
好ましくは、AはβAla.NH2である。
好ましくは、AはPro.Zであって、ZがNH2、N-エチルアミド、N-プロピルアミド、N-メチルアミドおよびN-ブチルアミドからなる群から選択されるものである。
【0037】
第四の態様によれば、本発明は、
i) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro-A、
ii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LTrp-LTyr-LPro-A、
iii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LGln-LPro-A、
iv) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LLeu-LPro-A、
v) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LTyr-LPro-A、
v-B) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LArg-LPro-A、
vi) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DTrp-LTrp-LArg-LPro-A、
vii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DLys-LTrp-LTyr-LPro-A、
viii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro.Y、
ix) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LLeu-LArg-LPro-A、
x) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LTrp-LArg-LPro-A、
xi) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LLeu-LArg-LPro-A、
xii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTyr-LLeu-LArg-LPro-A、
xiii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DAla-LTrp-LTyr-LPro-A、
xiv) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DSer-LTrp-LTyr-LPro-A
(上記式中、YはDAla.NH2またはZであり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる群から選択されるペプチド配列を含んでなる薬剤の、増殖性疾患の治療用の医薬品の製造における使用を提供する。
【0038】
好ましくは、Zの分子量は200未満であり、好ましくは150未満であり、好ましくは100未満である。好ましくは、ZはNHR'であって、R'がHまたはC1-C4アルキルであるか、またはZはOR"であって、R"がC1-C4アルキルである。好ましくは、Zはアミドである。好ましくは、ZはNH2またはN-プロピルアミドまたはN-エチルアミド(NHEt)またはN-メチルアミドまたはN-ブチルアミドである。
【0039】
好ましくは、AはアザGly.NH2である。
好ましくは、AはDAla.NH2またはGlu.NH2である。
好ましくは、AはDAla-Glu.NH2またはDAla-D Ala.NH2またはDAla-Gly.NH2である。
好ましくは、AはβAla.NH2である。
好ましくは、AはPro.Zであって、ZがNH2、N-プロピルアミド、N-エチルアミド、N-メチルアミドおよびN-ブチルアミドであるものである。
【0040】
上記リストのペプチド(viii)の一態様は、配列の9位におけるアミノ酸残基Pro.NHEtであって、この略号がC-末端へのN-エチルアミドの付加によって修飾されたプロリンを表すものを含んでなる。
【0041】
ペプチド(viii)は、YがNHEtであることが好ましい。本発明者らは、Pro.NHEtの存在により増殖防止活性が増したペプチドを生じることを見出した。
【0042】
好ましくは、本発明の第三および第四の態様の薬剤は、L-アミノ酸からなり、6位はD-アミノ酸である。
【0043】
本発明の薬剤は、GnRH Iおよび/またはGnRH IIペプチドのアミノ酸配列を修飾したものを包含する。本発明の薬剤のペプチド配列は、Lu et al (1981) J. Org. Chem. 46, 3433およびその引用文献によって開示されている固相ペプチド合成のFmoc-ポリアミド方式によって合成することができる。9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によって、一時的にN-アミノ基が保護される。この塩基に極めて不安定な保護基の反復開裂は、N,N-ジメチルホルムアミド中20%ピペリジンを用いて行われる。側鎖官能基は、それらのブチルエーテル(セリン トレオニンおよびチロシンの場合)、ブチルエステル(グルタミン酸およびアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リシンおよびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)および4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護される。グルタミンまたはアスパラギンがC-末端残基であるときには、側鎖アミド官能基の保護の目的で4,4'-ジメトキシベンズヒドリル基が用いられる。固相支持体は、3個のモノマーであるジメチルアクリルアミド(主鎖モノマー)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)およびアクリロイルサルコシンメチルエステル(官能化剤)から構成されるポリジメチル-アクリルアミドポリマーに基づいている。ペプチド-樹脂に開裂可能に結合した使用薬剤は、酸に不安定な4-ヒドロキシメチル-フェノキシ酢酸誘導体である。総てのアミノ酸誘導体は、逆N,N-ジシクロヘキシル-カルボジイミド/l-ヒドロキシベンゾトリアゾール媒介カップリング法を用いて加えられるアスパラギンおよびグルタミンを除き、それらのプレフォームド対称無水物誘導体として加えられる。総てのカップリングおよび脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイソチン試験法を用いてモニターする。合成の完了時には、ペプチドは50%スカベンジャー混合物を含む95%トリフルオロ酢酸で処理することによって側鎖保護基の除去と同時に樹脂支持体から開裂する。一般に用いられるスカベンジャーは、エタンジチオール、フェノール、アニソールおよび水であり、正確な選択は合成されるペプチドの成分アミノ酸によって変化する。トリフルオロ酢酸を真空蒸発によって除去した後、ジエチルエーテルで粉砕して粗製ペプチドを得る。含まれている任意のスカベンジャーは、簡単な抽出処理によって除去され、水相の凍結乾燥によりスカベンジャーを含まない粗製ペプチドが得られる。ペプチド合成の試薬は、一般にCalbiochem-Novabiochem (UK) Ltd,ノッティンガムNG7 2QJ, 英国から入手することができる。精製は、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび(主として)逆相高性能液体クロマトグラフィーのような手法の任意の1つまたは組合せによって行うことができる。ペプチドの分析は、薄層クロマトグラフィー、逆相高性能液体クロマトグラフィー、酸加水分解後のアミノ酸分析を用いて、高速原子衝撃(FAB)質量分析法によって行うことができる。
【0044】
本発明の薬剤のペプチド配列は、液相法によって合成することもでき、これは化学および生化学の当業者には周知である。
【0045】
本発明の薬剤のペプチド配列は、擬似ペプチド化合物を含んでなるかまたはそれからなることができる。「擬似ペプチド(peptidomimetic)」という用語は、治療薬としての特定のペプチドのコンホメーションおよび所望な特徴が類似しているが、望ましくない特徴を回避する化合物を表す。例えば、モルフィンは経口投与することができかつペプチドエンドルフィンの擬似ペプチドである化合物である。
【0046】
一般に、ペプチドに関連する治療適用は、経口バイオアベイラビリティーの欠如およびタンパク質分解により限定されている。典型的には、例えば、ペプチドはイン・ビボでエキソ-およびエンドペプチダーゼによって分解され、生物学的半減期は通常は極めて短い。潜在的治療薬としてのペプチドのもう一つの欠点は、それらが経口投与によるバイオアベイラビリティーを欠いていることである。消化管におけるタンパク質分解酵素によるペプチドの分解は、重要な寄与因子となると思われる。しかしながら、問題はさらに複雑であり、速やかな代謝物の不活性化を受けにくい小さな環状ペプチドであっても経口バイオアベイラビリティーをほとんど示さないことが認められているからである。これは、腸管膜を介する輸送がほとんどなく、肝抽出およびその後の腸管への排泄による血液からの速やかなクリアランスによるものと思われる。これらの観察は、多数のアミド結合が経口バイオアベイラビリティーを妨げることがあることを示唆している。ペプチド鎖のアミノ酸残基を結合するペプチド結合は、ペプチド薬を経口投与するときにはばらばらになることがあると考えられる。
【0047】
擬似ペプチドのデザインおよび合成には、多数の様々な方法がある。Sherman and Spatola, J. Am. Chem. Soc, 112:433 (1990)に開示されているような1つの方法によれば、本質的にアイソテリック(isoteric)に1個以上のアミド結合が様々な化学官能基によって置換されている。この段階的方法は、活性類似体が得られるという点で幾分成功している。幾つかの場合には、これらの類似体は、その天然に存在する対応物より長い生物学的半減期を有することが示されている。しかしながら、この方法には限界がある。2個以上のアミド結合の置換に成功することはまれであった。したがって、生成する類似体は、他の場合には分子中で酵素不活性化を受けやすいままであった。ペプチド結合を置換する場合には、新たなリンカー残基がペプチド結合と実質的に同じ電荷分布および実質的に同じ平面性を有するのが好ましい。
【0048】
ペプチド結合が逆転しているレトロ−インバーソ(retro-inverso)擬似ペプチドは、例えば、Meziere et al (1997) J. Immunol. 159 3230-3237に記載の方法などの当該技術分野で知られている方法によって合成することができる。この方法は、主鎖には関連するが側鎖の配向には関連しない変化を含む擬似ペプチドの製造に関する。CO-NHペプチド結合の代わりにNH-CO結合を含むレトロ-インバース(retro-inverse)ペプチドは、より一層抗タンパク質分解性である。ある種のGnRHペプチドのレトロ−インバーソ(retro-inverso)擬似ペプチドは、以前に合成されている(Fromme, 2003, Endocrinology, 144:3262-9)。
【0049】
他の方法では、D-アミノ酸およびN-メチルアミノ酸のような様々なコード化されていないまたは修飾されたアミノ酸が哺乳類ペプチドの修飾に用いられてきた。あるいは、生物活性と考えられるコンホメーションが、環化のような共有修飾によってまたはγ-ラクタムまたは他の種類のブリッジの組込みによって安定化されている。例えば、Veber et al., Proc. Natl. Acad. Sci.米国, 75:2636 (1978)およびThursell et al, Biochem. Biophys. Res. Comm., 111:166 (1983)を参照されたい。
【0050】
合成法の多くに共通するテーマは、ペプチドベースの骨格へのある環状残基の導入であった。環状残基はペプチド構造のコンホメーションスペースを制限し、これが特定の生物学的受容体に対するペプチドのアフィニティーを増加させることがしばしばある。この方法のさらなる利点は、環状残基をペプチドに導入することによって細胞ペプチダーゼに対する感受性が減少したペプチドを生じることもあることである。
【0051】
環状の安定化した擬似ペプチドの合成の一法は、閉環複分解(RCM)である。この方法は、ペプチド前駆体を合成し、これをRCM触媒と接触させてコンホメーションが制限されたペプチドを生成する工程を含む。適当なペプチド前駆体は、2個以上の不飽和C-C結合を含むことがある。この方法は、固相ペプチド合成法を用いて行うことができる。この態様によれば、固相支持体に固定されている前駆体をRCM触媒と接触させた後、生成物を固相支持体から開裂させてコンホメーションが制限されたペプチドを生成させる。
【0052】
D. H. Richの「プロテアーゼ阻害薬」Barrett and Selveson監修, Elsevier (1986)に開示されているもう一つの方法は、酵素阻害薬デザインにおける遷移状態類似体コンセプト(transition state analogue concept)の応用による擬似ペプチドをデザインすることであった。例えば、スタリン(staline)の第二アルコールはペプシン基質の開裂しやすいアミド結合の四面体遷移状態を模倣していることが知られている。しかしながら、遷移状態類似体コンセプト(transition state analogue concept)は、ホルモン作動薬/拮抗薬デザインに明らかな関連性はない。
【0053】
疑問を回避するには、ペプチド配列のアミノ酸残基は標準的ペプチド結合によって結合している必要はない。例えば、上記のように、アミノ酸残基は逆ペプチド結合によって結合していてもよくまたは標準的ペプチド結合の結合距離および空間的配向を模倣する他の結合によって結合していてもよい。
【0054】
本発明の薬剤のペプチド配列は、合成の後にHPLCおよびクロマトグラフィーのような当該技術分野で知られている方法を用いて精製することができる。
【0055】
第五の態様によれば、本発明は、医療用の、本発明の第三または第四の態様で定義された薬剤を提供する。したがって、薬剤は医薬品として用いるために包装し、提供することができる。
【0056】
第六の態様によれば、本発明は、増殖性疾患を治療するための医薬品の製造における、本発明の第一または第二の態様に記載の薬剤の使用を提供する。
【0057】
「増殖性疾患」とは、例えば、癌、生殖癌、良性前立腺過形成、子宮内膜症、子宮繊維症のような個体の体内において望ましくない速度および/または部位での細胞増殖および/または生長を伴う任意の疾患を包含する。
【0058】
本発明の薬剤は生体内プログラムに組込まれた細胞死(すなわち、アポトーシス)および細胞サイクル阻止を誘発することができるので、これらの薬剤は細胞増殖を防止しおよび/または減少させるのに用いることができ、したがって、望ましくない細胞増殖および/または生長を伴う任意の疾患の治療に用いることができる。
【0059】
好ましくは、増殖性疾患は動物の癌であり、さらに好ましくは、癌は生殖癌である。
【0060】
好ましくは、動物はヒトであるが、飼いならした哺乳類(好ましくは、ニワトリ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマなど農業または商業上重要なもの)のような任意の哺乳類でよい。
【0061】
さらに好ましくは、癌は、婦人科癌、前立腺癌、良性前立腺過形成、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、膵臓癌、胃癌を含んでなる群から選択される。本発明のこの側面の特に好ましい態様によれば、癌は前立腺癌または良性前立腺過形成である。
【0062】
GnRH受容体を発現する総ての癌は、本発明の薬剤を用いて潜在的に治療しうる。好ましくは、癌は生殖癌(前立腺、子宮内膜, 子宮頸, 卵巣および乳癌など)であって、それらの総てがGnRH受容体を発現するものである。GnRH受容体を発現する他の癌としては、特に黒色腫、膵臓および胃癌が挙げられる。好ましくは、癌婦人科癌、前立腺癌、良性前立腺過形成、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、膵臓癌、胃癌を含んでなる群から選択される。
【0063】
GnRH受容体の発現は、GnRH受容体を発現しない細胞で誘導することができ、および/または本発明の薬剤を用いる治療に使用するには低すぎるレベルでGnRH受容体を発現する細胞で増加させることができる。GnRH受容体の発現が誘導され、および/または本発明の薬剤を用いる治療に適当な1個以上の細胞におけるレベルにまで増加したときには、その1個以上の細胞は本発明の薬剤を用いて治療することができる。
【0064】
細胞中の遺伝子の発現を誘導する方法は、当該技術分野で周知である。例えば、GnRH受容体の発現は、細胞で1個以上の転写プロモーターまたはその細胞におけるGnRH遺伝子のゲノムコピーの発現の制御に関与するプロモーターの要素を活性化することによって細胞で誘導することができる。あるいは、(GnRH受容体の発現を指示することができる転写および翻訳要素を有するまたは持たない)GnRH受容体をコードする配列を含んでなるポリヌクレオチド分子(例えば、cDNAまたはベクター)を細胞に導入して、そこで当該技術分野で知られている方法を用いて発現させることができる。例えば、ポリヌクレオチド分子を、癌細胞のような標的細胞上または中で発現する受容体に結合することができるリガンドにカップリングさせることによってその標的細胞に導入することができる。例えば、ポリヌクレオチド分子をポリリシン接合体を介してEGF(表皮増殖因子)リガンドにカップリングさせることによって、ポリヌクレオチド分子をEGF受容体を発現するある種の癌細胞に導入することができる。あるいは、ポリヌクレオチド分子を、当業者に周知の方法を用いてウイルスベクター(アデノウイルス)を用いて細胞に導入することができる。
【0065】
細胞タンパク質の発現を検出する方法は、当該技術分野で周知である。GnRH受容体の発現の検出に適当な方法としては、GnRH受容体をコードするmRNAの存在を検出するためのイン・シテューハイブリダイゼーションおよび/または PCR、GnRH受容体タンパク質の存在を検出するための放射性リガンド結合、およびGnRH受容体に特異的に結合することができる抗体を含む方法(例えば、免疫ブロット法、免疫組織化学的方法、免疫蛍光法、およびELISA)が挙げられる。
【0066】
第七の態様において、本発明は、本発明の第一または第二または第三または第四の態様に記載の薬剤の有効量を1個以上の細胞と結合させることを含んでなる1個以上の細胞の増殖を防止および/または減少させる方法を提供する。
【0067】
「有効量」とは、癌細胞のような1個以上の細胞の増殖を減少させるのに十分な本発明の薬剤の量を包含する。有効量は、実施例に記載の方法(例えば、細胞生育力、チミジン組込み、ホスホリノシチド(phosphorinositides)の蓄積およびリガンド結合アフィニティーの観察に用いる方法)を用いることによってイン・ビトロで決定することができる。
【0068】
好ましくは、細胞はヒトまたは動物体の細胞である。さらに好ましくは、動物は飼いならした哺乳類のような任意の哺乳類(好ましくは、ニワトリ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマなど農業または商業上重要なもの)である。
【0069】
第八の態様によれば、本発明は、
v) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro.Y、
w) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTyr-LTyr-LPro-A、
x) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LLeu-LArg-LPro-A、
y) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DAla-LTrp-LTyr-LPro-A、
z) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DSer-LTrp-LTyr-LPro-A
(上記式中、
YはDAla.NH2またはZであり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Zからなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる群から選択されるペプチド配列を含んでなる薬剤を提供する。
【0070】
好ましくは、Zは分子量が200未満であり、好ましくは150未満であり、好ましくは100未満である。好ましくは、ZはNHR'であって、R'がHまたはC1-C4アルキルであるか、またはZはOR"であって、R"がC1-C4アルキルである。好ましくは、Zはアミドである。好ましくは、ZはNH2またはN-プロピルアミドまたはN-エチルアミド(NHEt)またはN-メチルアミドまたはN-ブチルアミドである。
【0071】
好ましくは、AはアザGly.NH2である。
好ましくは、AはDAla.NH2またはGlu.NH2である。
好ましくは、AはDAla-Glu.NH2またはDAla-DAla.NH2またはDAla-Gly.NH2である。
好ましくは、AはβAla.NH2である。
好ましくは、AはPro.Zであって、ZがNH2、N-プロピルアミド、N-エチルアミド、N-メチルアミドおよびN-ブチルアミドからなる群から選択されるものである。
【0072】
第九の態様によれば、本発明は、本発明の第八の態様に記載の薬剤の治療上有効量と薬学上許容可能なキャリヤーを含んでなる医薬組成物を提供する。
【0073】
「治療上有効量」とは、癌細胞のような治療を行う細胞の増殖を防止しおよび/または減少させるのに十分な本発明の薬剤の量を包含する。有効量は、付随の実施例に記載の方法(例えば、細胞生育力、チミジン組込み、ホスホリノシチド(phosphorinositides)の蓄積およびリガンド結合アフィニティーの観察に用いる方法)を用いることによってイン・ビトロで決定することができる。「治療効果」とは、個体の疾患、病気または病態に関連した状態を緩解および/または防止する任意の効果であり、治療を行う病態によって変化する。個体における本発明の薬剤、組成物または医薬品の治療効果の測定に適当な試験は、医学の当業者には公知であろう。
【0074】
「薬学上許容可能な」とは、処方物が滅菌されておりかつ発熱物質を含まないことを包含する。適当な薬学キャリヤーは、薬学の技術分野では周知である。(複数の)キャリヤーは、本発明の薬剤と適合性でありかつその服用者にとって有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。典型的には、キャリヤーは滅菌されておりかつ発熱物質を含まない水または塩水であるが、他の許容可能なキャリヤーを用いることもできる。
【0075】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、注入可能な徐放性薬剤伝達系を用いて伝達することができる。これらは、注射の頻度を減少させるように特にデザインされている。このような系の一例は、組換えヒト生長ホルモン(rhGH)を生物分解性微小球にカプセル封入し、一旦注射すると、持続期間にわたって徐々にrhGHを放出するNutropin Depotである。
【0076】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、必要とされる部位に薬剤を直接放出する外科的に移植した装置によって投与することができる。例えば、Vitrasertは、ガンシクロビールを直接眼に放出してCMV網膜炎を治療する。この毒性薬剤の疾患部位への直接投与により、薬剤の有意な全身性副作用なしに効果的治療が達成される。
【0077】
電気穿孔治療(EPT)システムを、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物の投与に用いることもできる。パルス電場を細胞に送達する装置は、薬剤に対する細胞膜の透過性を増加させ、細胞内薬剤送達を有意に向上させる。
【0078】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、エレクトロインコーポレーション(electroincorporation; EI)によって送達することもできる。EIは、皮膚表面の直径が30ミクロン以下の小粒子が電気穿孔で用いたのと同一または同様の電気的パルスを経験するときに起こる。EIでは、これらの粒子は、角質層を通って皮膚の一層深い層へ送られる。粒子は薬剤または遺伝子を装填しまたはコーティングすることができ、または単に皮膚に孔をあけてそこを通って薬剤が入ることができる「弾丸」として作用することができる。
【0079】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物を送達する代替法は、熱感受性であるReGel注入可能なシステムである。体温以下ではReGelは注入可能な液体であるが、体温ではそれは直ちにゲル貯留を形成し、これは徐々に侵食され溶解して、既知の安全な生物分解性ポリマーとなる。活性物質は、バイオポリマーが溶解するときに時間をかけて送達される。
【0080】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、経口送達することもできる。この方法は、ビタミンB12の体内への自然な摂取工程を用い、タンパク質およびペプチドを同時送達する。ビタミンB12の摂取システムによって運ばれることによって、本発明の核酸、分子および医薬組成物は腸管壁中を移動することができる。複合体がビタミンB12類似体と薬剤との間に合成され、複合体のビタミンB12部分の内性因子(IF)に対する有意なアフィニティーと複合体の活性物質の有意な生物活性を両方とも保持している。
【0081】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、「トロージャンペプチド」によって細胞に導入することができる。これらは、転位特性を有しかつ親水性化合物を血漿膜を横切って運ぶことができるペネトラチンと呼ばれるポリペプチドのクラスである。このシステムは、オリゴペプチドを細胞質および核に直接ターゲッティングすることができ、かつ非細胞型特異性および高効率であることがある。Derossi et al. (1998), Trends 細胞 Biol 8, 84-87を参照されたい。
【0082】
好ましくは、本発明の医薬品および/または医薬組成物は、活性成分の1日用量または単位、1日当たりの副用量、またはその適当な小部分を含む単位投薬量である。
【0083】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、通常は経口または任意の非経口経路によって、活性成分を場合によっては毒性のない有機または無機の酸または塩基の付加塩の形態で薬学上許容可能な投薬形態で含んでなる医薬組成物の形態で投与される。治療を行う疾患および患者並びに投与経路によっては、組成物は様々な用量で投与することができる。
【0084】
ヒトの治療では、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は単独で投与することができるが、通常は意図して投与経路および標準的制約実施に関して選択される適当な薬学賦形剤、希釈剤またはキャリヤーと混合して投与される。
【0085】
例えば、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、香味または着色料を含むことができる即時、遅延または制御放出投与用に錠剤、カプセル、小卵、エリキシル、溶液または懸濁液の形態で経口、口腔または舌下投与することができる。本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、陰茎内注射(intracavemosal injection)によって投与することもできる。
【0086】
このような錠剤は、微晶質セルロース、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウムおよびグリシンのような賦形剤、, 澱粉(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモまたはタピオカ澱粉)、澱粉グリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよびある種の複合ケイ酸塩のような崩壊剤、およびポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシ-プロピルセルロース(HPC)、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような造粒結合剤を含むことができる。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリルおよびタルクのような滑沢剤を含むことができる。
【0087】
同様な型の固形組成物を、ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いることもできる。これに関して好ましい賦形剤としては、ラクトース、澱粉、セルロース、ラクトース、または高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。水性懸濁液および/またはエリキシルについては、本発明の薬剤を様々な甘味または香味料、着色料または色素、乳化および/または懸濁剤、および水、エタノール、プロピレングリコールおよびグリセリンのような希釈剤、およびそれらの組合せと組み合わせることができる。
【0088】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、非経口的に、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内または皮下投与することもでき、またはそれらを輸液法によって投与することができる。それらは、他の部分、例えば、血液と等張性の溶液を作製するための十分な塩またはグルコースを含むことがある滅菌水溶液の形態で最もよく用いられる。水溶液は、必要ならば、適当に(好ましくは、3-9のpHに)緩衝すべきである。滅菌条件下での適当な非経口処方物の調製は、当業者に周知の方法標準的製薬手法によって容易に行われる。
【0089】
非経口投与に適当な医薬品および医薬組成物としては、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および意図したレシピエントの血液と等張性の処方物を生じる溶質を含むことがある水性または非水性の滅菌注射溶液、および懸濁剤および増粘剤を包含することがある水性または非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。この医薬品および組成物は単位用量または複数用量容器、例えば、封入アンプルおよびバイアルで提示することができ、使用直前に滅菌した液体キャリヤー、例えば注射用の水を添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保管することができる。即時注射溶液および懸濁液は、以前に記載した種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0090】
ヒト患者への経口および非経口投与には、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物の1日投薬量レベルは、通常は単回または分割用量での投与で成人当たり10μg-500mg(すなわち、100kgの成人を仮定して約0.1μg-5mg/kg)となる。
【0091】
したがって、例えば、本発明の薬剤の錠剤またはカプセルは、適宜一度に1錠または2錠以上の投与に対して適当な投薬量の活性成分を含むことができる。医師は、いずれにしても個々の患者に最も適当な実際的投薬量を決定するのであり、これは特定の患者の年齢、体重および応答によって変化する。上記の投薬量は、平均的症例の具体例である。これより高いまたは低い投薬量範囲の方がよい個々の場合がありかつこれらの範囲が本発明の範囲内にあることは勿論である。
【0092】
本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は鼻内にまたは吸入によって投与することもでき、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヒドロフルオロアルカン、例えば、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134A3または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFA 227EA3)、二酸化炭素または他の適当な気体を用いる加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器からの乾燥粉末吸入器またはエアゾールスプレーの形態で好都合に送達される。加圧エアゾールの場合には、投薬量単位は、弁を提供して一定量を送達することによって決定することができる。加圧容器、ポンプ、スプレーまたは噴霧器は、例えば、溶媒としてのエタノールと噴射剤の混合物であって、さらに潤滑剤、例えば、ソルビタントリオレエートを含むことができるものを用いて、活性成分の溶液または懸濁液を含むことができる。吸入器または散布器で使用するカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)は、本発明の薬剤とラクトースまたは澱粉のような適当な粉末基剤との粉末混合物を含むように処方することができる。
【0093】
エアゾールまたは乾燥粉末処方物は、好ましくはそれぞれの計量用量または「パフ」が患者に送達するための適当量の本発明の薬剤を含むように処方される。エアゾールによる1日総用量は患者によって変化し、単回用量でまたはさらに普通には1日を通じて分割用量で投与することができることが分かるであろう。正確な投薬量は、医師によって決定される。投薬量は、前立腺癌および/または良性前立腺過形成の治療に用いられる合成GnRH類似体である薬剤ブセレリンまたは酢酸ブセレリンについて用いたのと同様であってもよく、これは当業者に知られている。
【0094】
あるいは、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、座薬または膣座薬の形態で投与することができ、またはローション、溶液、クリーム、軟膏または粉剤の形態で局所投与することができる。本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、例えば、皮膚パッチを用いて経皮投与することもできる。それらは、特に目の疾患を治療するために、目経路によって投与することもできる。
【0095】
目に使用するために、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、等張性のpH調節した滅菌塩水の微粉懸濁液または好ましくは等張性のpH調節した滅菌塩水の、場合によっては塩化ベンジルアルコニウムのような防腐剤と組み合わせた溶液として処方することができる。あるいは、それらはワセリンのような軟膏に処方することができる。
【0096】
皮膚に局所投与するために、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、例えば、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン剤、乳化ワックスおよび水の1個以上との混合物に懸濁または溶解した活性薬剤を含む適当な軟膏として処方することができる。あるいは、それらは、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セトアリール(cetearyl)アルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水の1個以上の混合物に懸濁または溶解した適当なローションまたはクリームとして処方することができる。
【0097】
口への局所投与に適当な処方物としては、香味付けした基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカントゴム中に活性成分を含んでなるロゼンジ、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアラビアゴムのような不活性基剤中に活性成分を含んでなるトローチ、および適当な液体キャリヤー中に活性成分を含んでなる口内洗浄剤が挙げられる。
【0098】
一般に、ヒトでは本発明の薬剤、本発明の薬剤の医薬品および医薬組成物の経口または非経口投与は、特に好適な経路である。
【0099】
家畜への使用については、本発明の薬剤、医薬品および医薬組成物は、通常の家畜での実施に準じて適当な許容可能な処方物として投与され、獣医は特定の動物に最も適当な投薬計画および投与経路を決定する。
【0100】
好適には、処方物は医薬処方物である。
有利には、処方物は家畜処方物である。
【0101】
第十の態様によれば、本発明は、本発明の第一および/または第二および/または第三および/または第四の態様に記載の薬剤の有効量および/または本発明の第八の態様に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含んでなるまたは上記投与することをからなる、癌の治療方法を提供する。
【0102】
有利には、本発明の薬剤は、腫瘍および/または癌細胞に標的設定し、および/または腫瘍および/または癌細胞に直接投与することができる。特に好ましい態様によれば、癌は前立腺癌または良性前立腺過形成である。
【0103】
第十一の態様によれば、本発明は、本発明の第一および/または第二および/または第三および/または第四の態様に記載の薬剤の有効量および/または本発明の第八の態様に記載の医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含んでなるまた上記投与することからなる、増殖性疾患の治療方法を提供する。
【0104】
好ましくは、増殖性疾患の治療方法は、特定の個体および治療に責任のある医師により治療を行う疾患に合うように変更されまたは調整される。しかしながら、本発明の薬剤は、副作用が仮にあったとしても実質的に副作用を示さず、これにより一般的方法をある範囲の増殖性疾患の治療に用いることができるという点で好ましい。
【0105】
第十二の態様によれば、本発明は、本発明の第一および/または第二および/または第三および/または第四の態様に記載の薬剤および/または本発明の第八の態様に記載の医薬組成物を用いる治療に潜在的に感受性の1個以上の細胞を有する個体を同定する方法であって、工程:
a) 試験を行う個体から1個以上の細胞を含んでなる試料を供給し、
b) 試料と、本発明の第一および/または第二および/または第三および/または第四の態様に記載の薬剤および/または本発明の第八の態様に記載の医薬組成物とを結合させ(combining)、
c) 1個以上の細胞の増殖レベルを測定し、
d) 薬剤および/または医薬組成物が1個以上の細胞の増殖を防止および/または減少させる場合、潜在的に治療に感受性の1個以上の細胞を有する個体を同定すること
を含んでなるまたは上記工程からなる方法を提供する。
好ましくは、細胞は癌細胞である。
【0106】
分子および細胞生物学の関連技術の当業者であれば、本発明の薬剤を用いて、本明細書に記載の薬剤および/または本明細書に記載の医薬組成物を用いる治療に潜在的に感受性の癌細胞などの細胞を同定することができることを理解されるであろう。例えば、本発明の薬剤を(本発明の方法および付随の実施例に記載の方法に準じて)診断試薬として用い、試験試料中、癌細胞のような1個以上の細胞上に1個以上のGnRH受容体の存在を検出し、1個以上の細胞の増殖が本発明の薬剤によって防止されおよび/または減少するかどうかを観察することができる。当業者には、1個以上の細胞上の1個以上のGnRH受容体の同定および1個以上の細胞の増殖の防止および/または減少は、細胞が本発明の薬剤および/または医薬品および/または医薬組成物を用いる治療に感受性であることを示している可能性があることは明らかであろう。
【0107】
試験を行う個体から癌細胞のような1個以上の細胞を含んでなる試料を得る方法は、内科および外科における当業者には周知である。例えば、試料は、組織または臓器の生験材料を採取することによってまたは液体材料(血液、リンパ液または腹水(peritoneal fluid)など)を吸引することによって得ることができる。このような方法は、例えば、乳癌および卵巣癌についての個体のスクリーニングに用いられる。
【0108】
第十三の態様によれば、本発明は、本発明の第一および/または第二および/または第三および/または第四の態様に記載の薬剤の製造方法であって、ペプチド配列を化学的に合成する工程を含んでなるまたは該工程からなる方法を提供する。本明細書に定義されている薬剤を合成することができる方法としては、上記のものが挙げられる。
【0109】
本明細書の従来に公表された文書のリストまたは検討は、文書が当該技術分野の状態の一部でありまたは通常の一般的知識であることを容認したものと見なすべきではない。
【0110】
幾つかの公表文献および特許文書が、本発明が関係する技術分野の状態をさらに完全に説明するために本明細書に引用されている。これらの引用文献のそれぞれの開示内容は、引用することにより本明細書の一部とされる。
【実施例】
【0111】
実施例1−実験データー
材料および方法
材料
GnRH IおよびGnRH IIは、Sigma-Aldrich Co. Ltd.(プール,ドーセット,英国)から購入した。修飾したGnRH類似体は、Roger Roeske(インディアナ大学,インディアナポリス,米国)から入手した。抗リン酸化ERK1/2および抗ERK2抗血清は、New England Bio labs (UK) Ltd. (NEB,ヒッチン,ハーツ,英国)から入手した。抗開裂型ポリ[ADPリボース]ポリメラーゼ(PARP)抗体 (Asp214/Gly215、ヒト特異的)は細胞 Signalling Technology, Inc.(ベヴァリー,マサチューセッツ,米国)製であった。総ての二次抗体はSigma製であった。化学阻害剤であるJNK阻害剤II、PD98059(MEK阻害剤)、SB203580(p38 MAPK阻害剤)、ウォルトマンニン(PI-3K阻害剤)、ハービマイシンA(チロシンキナーゼ阻害剤)、PP2(Src阻害剤)、AG1478(EGFR阻害剤)、U-73122(PLC阻害剤)、Ro-31-8220(PKC阻害剤)およびGo 6983 (PKC阻害剤)は、Calbiochem(Calbiochem/Merck Biosciences Ltd., ノッティンガム, イーストミドランズ,英国)から購入し、PTX(Gi阻害剤)はBiomol (Biomol International,エクセター,デヴォン,英国)から購入し、2-APB(2-アミノエチル-ジフェニルボリネート)(IP3により誘発されるCa2+放出阻害剤)はSigmaから購入した。
【0112】
細胞培養
様々なGnRH受容体構築物を発現する安定なHEK293細胞系は、実験室在庫品に属し、他の研究で用いられたものである(例えば、Heding et al., 1998)。細胞を、10%ウシ胎児血清、2%グルタミンおよび1%ペニシリン(10,000単位/ml)/ストレプトマイシン(10,000μg/ml)を補足したダルベッコの改質イーグル培地(DMEM)(Sigma)に37℃で加湿した5% CO2雰囲気中に保持した。細胞処理は、図の説明に示されているように様々な分子濃度および時間で血清含有培地にて37℃で行った。PARP開裂の機構の検討に用いた化学阻害剤は、5μM JNK阻害剤II、20μM PD98059、20μM SB203580、25nMウォルトマンニン、200ng/ml PTX、1μMハービマイシンA、5μM PP2、10μM AG1478、5μM U-73122、100nM Ro-31-8220、1μM Go 6983および20μM 2-APBであった。
【0113】
免疫ブロット法
6穴プレート上で増殖する細胞を刺激した後、細胞単層を氷上に置き、氷冷したダルベッコのリン酸緩衝食塩水(DPBS)で2回洗浄し、NP-40を基剤とする可溶化緩衝液(5mM HEPES、0.25M NaCl、0.5% NP-40、10%グリセロール、2mM EDTA pH8.0、1mM PMSF、0.01mg/mlロイペプチン、1mM Na2VO4)中でリーシスした。可溶化溶解物を、15,000 rpmで15分間遠心分離することによって透明にした。透明にした総細胞溶解物の50μl分量を、等容の2xレムリ試料緩衝液と混合し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分離し、PVDF膜(NEN Life Sciences/PerkinElmer Life and Analytical Sciences, ビーコンフィールド,バックス,英国)に移した。これらの膜を、4%ウシ血清アルブミン、50mM Tris-HCl, pH 7.0、0.05% Tween-20および0.05% NP-40ブロッキング溶液でブロックした。ERK1/2のリン酸化は、抗ホスホ特異的ERK1/2ウサギポリクローナル抗体(NEB)の1:1,000希釈液で検出した。アポトーシスは、PVDF膜を抗開裂型PARPウサギポリクローナル抗体の1:1,000希釈液で4℃で一晩緩やかに振盪しながらインキュベーションすることによって評価した。これらの応答の範囲は、続いて未リン酸化形態のERK2(NEB)に対する抗血清(1:1,000希釈液)を一次抗体ストリッピング免疫ブロット法に適用することによって規格化した。アルカリホスファターゼ接合IgG(Sigma)を、総ての場合に二次抗体として用いた。タンパク質の可視化は酵素結合化学蛍光(Amersham Biosciences Ltd.,セントジルス,バックス,英国)を用いて行い、Typhoon 9400 Phosphorimagerを用いて定量した。
【0114】
細胞生育力および数
第一の方法については、様々なGnRH受容体構築物を発現するHEK293細胞を12穴のPLLをコーティングしたプレートに50,000個の細胞(1ml中)/ウェルで播種し、新鮮なペプチドを毎日添加して5日間の連続GnRH暴露で培養した。次に、トリパンブルー除外細胞を血球計で計数した。第二の方法については、細胞を5,000個の細胞(100μl中)/ウェルで96穴プレートに播種し、正確に上記のように処理した。10μl WST-1試薬(Roche Diagnostics Ltd., ルイス,イーストサセックス,英国)を直接それぞれのウェルに加え、37℃で3時間後、マイクロプレートELISAリーダーを用いてブランクとしてのバックグラウンドコントロールに対して450nm(リファレンス690nm)で吸光度を測定した。
【0115】
チミジン組込み分析
24穴のPLLをコーティングしたプレート上で増殖する細胞の培地を除去し、完全な新鮮培地中0.5μCi[3H]チミジン(Amersham)をそれぞれのウェルに加えた。一晩インキュベーションの後、培地を除去し、細胞を1ml PBSで3回洗浄し、0.5mlの0.1N NaOH中に室温で15分間放置した。次に、抽出物をシンチレーションバイアルに移し、Optiphase "HiSafe 3"カクテル(PerkinElmer)2mlを加え、3Hカウント数を液体シンチレーション1450 Wallac MicroBeta(登録商標) TriLuxカウンターで測定した。
【0116】
結合分析
GnRH受容体を発現するHEK293細胞に対する80pMの[125I][His5,D-Trp6]GnRH Iの特異結合を、様々な未標識リガンドの非存在および存在下で結合した標識GnRH Iの量の差として計算した。12穴のPLLをコーティングしたプレート上で増殖する細胞単層を、80pM放射性リガンド(100,000cpm)および10-6-10-12M 未標識リガンドを含む結合緩衝液(10mM HEPES, 1% BSA/DMEM)中でインキュベーションした。4℃で4時間インキュベーションした後、平衡に達した。次に、細胞を0.1M NaOH中でリーシスし、抽出物の放射能を1261 Wallac MultiGammaカウンターで測定した。
【0117】
総イノシトールリン酸の蓄積
12穴のPLLコーティングしたプレート上で増殖するGnRH受容体を安定的に発現するHEK293細胞を、イノシトール不含DMEM(Sigma)中で1μCi/ml myo-[H3]イノシトール(Amersham)で48時間予備標識した。実験当日に、細胞をアッセイ緩衝液(140mM NaCl, 20mM HEPES, 8mMグルコース, 4mM KCl, 1mM MgCl2, 1mM CaCl2, 1mg/ml BSA)で洗浄し、10mM LiCl(アッセイ緩衝液中)で30分間予備インキュベーションし、様々な濃度のペプチド(同緩衝液中)で37℃で1時間刺激した。インキュベーションは培地を除去し、細胞を氷冷10mMギ酸中で30分間リーシスすることによって終結した。イノシトールリン酸を、1Mギ酸アンモニウムおよび0.1Mギ酸を用いて陰イオン交換樹脂(AG(登録商標)1-X8, Bio-Rad)クロマトグラフィーによって抽出した。液体シンチラントを最終溶出物に加え、[3H]イノシトールリン酸をβカウンターで測定した。
【0118】
データー分析
棒グラフおよび曲線は、Prism 3.0 (GraphPad Software, Inc.:サンディエゴ,カリフォルニア,米国)を用いて得た。IC50およびEC50値は、非線形回帰分析によって測定した。曲線は、片側モデルに最もよく適合した。示されている図は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、特に断らない限りそれぞれの点は3回の測定値の平均であり、平均値の標準誤差(S.E.M.)は誤差バーとして表した。値は、図の説明にあるように規格化した。
【0119】
結果
C-末端尾の欠落は細胞増殖阻害を形質導入するための受容体要件である。
確かに、同族受容体を発現する細胞の増殖を阻害する能力はGnRHについて明確に記載されている唯一の特性であるが、I型GnRH受容体(GnRHR)は細胞内のC-末端尾を欠いている唯一のGタンパク質結合受容体であるので、GnRHの細胞生長抑制能はこのGnRHRの特有の特徴によって付与されると仮定した。ヒトGnRHR、ラットGnRHR、およびナマズGnRHRの尾を有するヒトGnRHRおよびTRH受容体(TRHR)の尾を有するラットGnRHRを含んでなる2種類のキメラ受容体を安定に発現する4種類のHEK293細胞系、並びに野生型HEK293細胞の増殖に対するGnRH Iの効果を比較した。 細胞増殖は、GnRH Iで5日間連続処理した後に細胞を計数することによって測定した。C-末端尾の付加は、GnRH Iのキメラ体を発現する2種類の細胞系に対する効果を阻害した(図1A)。GnRH Iは、ナマズGnRHRまたはTRHRを過剰発現するHEK293細胞の増殖を阻害しなかった(データーは示さず)。対応する作動薬で処理した、体内でアドレナリン作動性のLPAおよびエンドセリン受容体を発現する野生型HEK293細胞の増殖抑制を検出することはできなかった(データーは示さず)。上記の総ての受容体の発現は、結合分析法またはウェスタンブロット法によって確認した(データーは示さず)。また、II型 GnRHRの存在は除外したが、II型受容体作動薬を除くI型受容体拮抗薬である135-18ペプチドはGnRH Iの増殖防止効果をブロックしかつイノシトールリン酸の蓄積またはこれらの細胞における増殖抑制を誘発しなかったからである。
【0120】
ERK脱感作プロフィール
C-末端尾を持たないため、GnRHRは速やかに脱感作せず、長時間のPLCβ活性化を行った(例えば、McArdle 2002)。本発明者らは、この速やかな脱感作の欠落がGnRH増殖防止/アポトーシス特性に一層適切である可能性がある他の応答に当てはまるかどうかを検討することにした。ラットGnRHRまたはラットGnRHR/TRHRキメラ体を発現するHEK293細胞を100nM GnRH Iで様々な時間処理し、ERKの活性化をウェスタンブロット法によって測定した。図1Bに示されるように、ERKの活性化はC末端尾を欠いている受容体で一層長く保持される。
【0121】
同時DNA合成阻害およびアポトーシスは細胞増殖を抑制する。
ラット受容体を発現するHEK293細胞上のGnRHによって引き起こされる増殖抑制は細胞増殖の阻害またはアポトーシスの誘発によるものであるかどうかを検討した。一方では、ゲノムへの放射性チミジン組込みを用いて、96時間にわたって細胞増殖を追跡した。GnRH Iと、一層明確には、GnRH II (100nM)による連続処理により、DNA複製は未処理細胞と比較して減少した(図2A)。他方では、カスパーゼ3の基質であるポリ[ADP-リボース]ポリメラーゼ(PARP)の開裂を観察することによってアポトーシスを測定した。このアウトプットを用いれば、GnRH II (100nM)によって誘発されるアポトーシスは最初の処理から24時間後にははっきりと明確になったが、GnRH Iでは同一条件下でPARP開裂を誘発するのに少なくとも48時間を要した(図2B)。細胞質における開裂PARPの増加は核における開裂PARPの増加に比例するので、技術上の容易さのために通常は不純物を除去した総細胞溶解物を検討するだけとした。
【0122】
アポトーシスの分子機構
HEK293/rGnRHR細胞系でのPARP分析法で得られる比較的迅速かつ強いシグナルを利用して、化学阻害剤の大きなパネルを用いてこの効果を送達する分子内機構を検討した。細胞をサブコンフルエンスに培養し、完全培地で阻害剤の非存在下または存在下にて100nM作動薬で48時間処理した。ついで、細胞をリーシスし、特異的抗開裂PARP抗体を用いるウェスタンブロット法を上記のように行った。図3に示されるように、5種類の阻害剤、すなわちPD98059 (17 ± 6、14 ± 13)、ハービマイシンA (9 ± 1、41 ± 4)、PP2 (20 ± 4、18 ± 2)、Go 6983 (47 ± 22、35 ± 18)およびAG1478 (13 ± 10、18 ± 11)は、総作動薬誘導カスパーゼ3活性化の50%以上をブロックした(括弧内の数字は、それぞれ残っているGnRH IおよびGnRH IIによって誘発されるPARP開裂の平均値±S.E.M.である)。JNKII阻害剤もGnRH IおよびGnRH IIによって誘発されるアポトーシスを減少させたが、小さな程度であった(84 ± 29、72 ± 22)。ちなみに、若干数の阻害剤についての結果は、細胞毒性(SB203580および2-APBは単独で有意なPARP開裂を引き起こした)または個体分析法における変動性が大きい(SB203580、PTXおよびウォルトマンニン)ためと慎重に解釈すべきである。
【0123】
細胞増殖阻害に関する類似体の構造-活性相関
したがって、GnRH IIは、同一細胞系の増殖防止およびアポトーシスの誘発にはGnRH Iより効率的であると思われる。デカペプチドGnRH IおよびGnRH IIは3個のアミノ酸が異なっており、したがって、GnRH IIはGnRH Iの類似体と見ることができる。GnRH類似体の増殖防止/アポトーシス効果に関するその構造-活性相関を検討し、この報告をこの種の最初のものとして確立することを決意した。3種類のアミノ酸His5、Trp7およびTyr8を個々にまたは対にしてGnRH I配列に組込み、構造的にGnRH IとGnRH IIの中間の6種類の類似体を得た。
【0124】
ペプチドに連続して5日間暴露した後に、細胞数を測定することによって増殖防止/アポトーシスを予測した。平行して、この応答を、極めて詳細に記載されているイノシトールリン酸蓄積法によって測定されるように、GnRHペプチドによって誘発される古典的Gq共役型PLCβ活性化と比較した。両アウトプットを、一方はラット受容体を発現するものおよび他方はヒト受容体を発現する2種類のHEK293細胞系で測定した。ヒト細胞系を検討に包含したが、この種は臨床的に一層関連している可能性がありかつ極めて低い受容体発現がイン・ビボでの腫瘍状態を一層よく反映している可能性があるからである。実際には、結合が乏しいため、この細胞系での類似体の正確なアフィニティーは測定することはできなかった。
【0125】
総ての類似体のアフィニティーは、イノシトールリン酸蓄積を刺激する能力と正確に相関したが、増殖防止/アポトーシスを生成する能力とは相関しなかった(表1-2、図4-8)。これを説明するのに、ラット受容体では、GnRH IはPLCβを活性化する上でGnRH IIよりも4.7倍有効であったが、GnRH IIは細胞死を誘導する上で13.0倍有効であった(表1, 図5Aおよび6A)。同様に、ヒト受容体では、GnRH IはPLCβを活性化する上でGnRH IIより6.2倍有効であったが、GnRH IIは細胞死を誘導する上で6.7倍有効であった(表2、図7Aおよび8A)。[His5]GnRH IはGnRH Iより高いアフィニティーを示し(表1、図4B)、検討を行った2つの応答について一層良好な効果を示した(表1-2、図5B、6B、7Bおよび8B)。珍しいことには、この類似体は記載した中で最も有効な増殖防止/アポトーシス薬剤である。Trp7のGnRH Iへの導入によって、本来のペプチドのアフィニティーおよびPLCβ活性化能は変化しない(表1-2、図4B、5Bおよび7B)。しかしながら、[Trp7]GnRH Iは、それぞれラットおよびヒト受容体を発現する細胞の増殖を阻害する上でGnRH Iより9.1倍および19.3倍有効であった(表1-2、図6Bおよび8B)。GnRH IにおけるArg8のTyr8による置換は、最も選択的な増殖防止/アポトーシス類似体を生成する唯一の変化であった。ラット受容体では、[Tyr8]GnRH IはGnRH Iと比較してPLCβを刺激する上では27.3分の1の強さであったが、細胞増殖の阻害では4.2倍強力であった(表1、図5Bおよび6B)。同様に、ヒト受容体では、この類似体は本来のペプチドと比較してPLCβを刺激する上では23.7分の1の強さであったが、細胞増殖の阻害では10.7倍強力であった(表2、図7Bおよび8B)。特に、この類似体は極めて低いアフィニティーを示すが(表1、図4B)、細胞死を生成するには、これはGnRH Iより有効である。5位にHisを組込む2種類の二重突然変異体ペプチド、すなわち[His5,Trp7]GnRH Iおよび[His5,Tyr8]GnRH Iは、単一置換によって大まかに説明することができる表現型を示す。したがって、[His5,Trp7]GnRH IはGnRH Iと同様なアフィニティーおよびPLCβ活性化能を有するが、増殖防止/アポトーシス能は向上した(表1-2、図4B、5B、6B、7Bおよび8B)。[His5,Tyr8]GnRH Iは、GnRH Iと[Tyr8]GnRH Iの中間的な特徴を示す(表1-2、図4B、5B、6B、7Bおよび8B)。TyrS置換によるアフィニティーの喪失およびその後のPLCβを刺激する能力の減少は、His5の導入によって部分的に救済され、これにより単一[His5]GnRH I類似体におけるアフィニティーが増加すると思われる。予想されるように、[His5,Tyr8]GnRH Iは、細胞増殖を阻害する上でGnRH I(および[Tyr8]GnRH I)より強力である。最後に、[Trp7,Tyr8]GnRH Iの特徴は、[Tyr8]GnRH Iの特徴とほとんど同一である(表1-2、図4B、5B、6B、7Bおよび8B)。
【0126】
HEK293/ヒトGnRH受容体細胞の増殖に対するGnRH類似体の6位におけるDアミノ酸置換の効果
6位における一連のDアミノ酸置換をGnRH IIおよびGnRH I/IIキメラ体で作製し、高い増殖防止能を有する構造を確立した。これにより、GnRH IIと比較して能力の点で10倍増加している類似体(例えば、ペプチド13、15、21、23、24、27および28)および10倍を上回る選択性を有する類似体(例えば、ペプチド15、24、26および28)が明らかになった。
【0127】
幾つかの類似体は特に強力である(例えば、ペプチド21、23および28)。幾つかの類似体(例えば、ペプチド4、11および28)は、イノシトールリン酸産生と比較して優先的な増殖防止効果を有する。
【0128】
検討
哺乳類GnRH受容体(GnRHR)は、細胞内C-末端尾を持たない唯一のGPCRである(Millar et al, 2004)。ここでは、この構造上の特性がGnRH受容体に独特な特性、すなわち細胞増殖抑制の送達能を付与する。この検討で用いた同じ天然およびキメラ受容体は、HEK293および性腺刺激物質細胞系などの多数の細胞に関して脱感作およびインターナリゼーションプロフィールを検討する目的で過去に用いられてきたものである(Blomenrohr et al., 1999、Heding et al., 1998、Heding et al., 2000、Hislop et al., 2001、Hislop et al., 2000、Lin et al., 1998、Pawson et al., 1998、Vrecl et al., 1998、Willars et al., 1999)。これらの研究は、非哺乳類の尾がホスホ-アクセプター部位を含み、これは反復GnRH結合の後にGq/PLCβおよび受容体インターナリゼーションを活性化するための脱感作速度の増加に関連している。尾のついた受容体は、血漿膜で一層高度に発現することも報告されている(Heding et al., 1998、Lin et al., 1998)。Hislop et al. (2001)は、ヒト(尾なし)およびアフリカツメガエル(尾あり)受容体がERK活性化に関して同様な脱感作パターンを示すことを記録しているが、本発明者らは、ラット受容体に尾を付加することによってもHEK293細胞におけるこの応答の脱感作速度が増加することを観察した。これは、C末端尾が存在しないことにより、哺乳類GnRH受容体に以前には認識されなかった他の機能的特徴が付与される可能性があることを示唆している。
【0129】
さらに、本発明者らは、GnRH Iによって発揮されたHEK293細胞増殖阻害はDNA合成阻害とアポトーシス誘発の組合せの結果であることを示した。これは、これらおよび他の細胞型についてのGnRH作用の以前の報告と一致している(Kim et al, 2004a、Miles et al., 2004、Maudsley et al., 2004、Limonta et al., 2003 Grundker, 2002)。さらに、一連の化学阻害剤を用いて、HEK293細胞におけるGnRH IおよびGnRH Ilによって誘発されるアポトーシスがSrc、EGF受容体、ERKあるいはPKCを必要とすることを示した。最初の3個の要素の関係は明らかであるが、PKCの役割はさらに議論の余地があるところである。第一に、GnRHに刺激されたアポトーシスに対するPKC阻害剤の効果の程度(Go 6983によれば約40%)は他のものによって引き起こされるほど劇的なものではなく、PKCはカスパーゼ3活性化へ導く主要なシグナル伝達カスケードの一部ではない可能性があることを示している。第二に、2種類のPKC阻害剤で得た結果は、一致して肺内。Go 6983は、GnRH効果を減少させるにはRo-31-8220より明らかに効率的であった。これは、2つの分子が異なるPKCアイソフォームをブロックするか、またはこの分析で用いられたRo-31-8220の濃度が最適以下であったと説明することができる。
【0130】
EGFRおよびERKがGnRHによって誘発されるアポトーシスを送達するという検討結果は、これらの分子の活性化が通常は分裂促進シグナルの形質導入および細胞増殖と関連しているので、予想外のものであった。実際に、GnRH IのEGFおよびIGFシグナル伝達の干渉とそれに続くERK活性のダウンレギュレーションが幾つかの癌細胞系で示されている(Limonta et al., 2003)。しかしながら、増大数の最近の報告には、アポトーシス応答の一成分としてのERKも記載されている(例えば、Song et al., 2005)。GnRH系について特に関連して、ERKの阻害がCaov-3ヒト 卵巣癌細胞系におけるGnRH Iによって誘発される細胞サイクル阻止およびOVCAR3ヒト 卵巣癌細胞系におけるGnRH IIによって誘発されるElk-1リン酸化をブロックすることが示されている(Kimura et al., 1999、Kim et al., 2004b)。ERKは、その細胞位置および活性化の時間経過によって多くの膜、細胞質および核基質をリン酸化する(Luttrell, 2003)。高用量のGnRHで長時間処理したHEK293/rGnRHRでは(アポトーシス誘発の要件)、結局はカスパーゼ3活性を刺激するERKの細胞質プールの長時間活性化を主に見出すことができる。この考え方は、Ro-31-8220が転写効果を伝達するERKの核基質を阻害することが示されているので(RSKおよびMSK)、RoはGnRHによって誘発されるアポトーシスに全く効果がないという観察によって間接的に支持されている(Davies et al., 2000)。
【0131】
Farshoriら(2003)は、HEK293/マウスGnRHRにおけるERK活性化はPKCdおよびPyk2によって伝達されることを報告しているが、SrcおよびEGF受容体の関与は除外している。本発明者らの結果とは明らかに反するが、本発明者らはGnRHによって誘発されるアポトーシスにおけるSrc、EGFRおよびERKについての役割を明らかにしたが、それらは必然的にERKで収束する同じシグナル伝達経路に属することを示していないので、これは実際には層でない可能性がある。さらに、実験条件は根本的に異なっており、無血清培地(FarshoriのERK活性化分析法)で10分間であるのに対して、完全培地(本発明者らのPARP分析法)では48時間である。EGFRは、他の細胞に関してはGnRHによって活性化される(Grosse et al., 2000、Kraus et al., 2004)。
【0132】
広範囲チロシンキナーゼ阻害剤ハービマイシンAおよび特異的Srcファミリーのチロシンキナーゼ阻害剤PP2は、HEK293細胞におけるGnRHによって刺激されるアポトーシスでのこの群のキナーゼの役割を示唆している。Srcは、下垂体およびCOS-7細胞でのGnRHによるERKおよびJNKの活性化に関係し(例えば、Grosse et al., 2000、Kraus et al., 2004)、JNK活性化を伝達してDU-145前立腺癌細胞系のGnRHによって誘発される増殖阻害を生じることが示されている。その上、本発明者らは、最近HEK293/rGnRHR細胞系で、GnRH Iがc-Srcを活性化し、これが次に脂質キナーゼDGK?に結合することを明らかにした(Davidson et al., 2004)。この研究では、SrcがEGF受容体の上流または下流で活性化されるかどうかを解明していない。上流であれば、SrcはPKC、β?またはaiGタンパク質サブユニットなどの様々なエフェクターによって、またはGPCRとの直接相互作用によっても活性化することができる。
【0133】
他の細胞型とは異なり(例えば、Maudsley et al., 2004)、GaiがHEK293/rGnRHR細胞の増殖防止を伝達することを明らかにすることはできなかった。GnRHによって誘発されるカスパーゼ3活性化に全く効果がないPTXの他に、これらの細胞でシンチレーション近似分析法(SPA) によって受容体へのGnRH IまたはGnRH IIまたはGi-カップリングによるFSK刺激cAMP阻害を検出しなかった(Coetsee et al, 未公表結果)。これもまた、GnRH刺激アポトーシスにおけるJNKまたはp38 MAPK媒介の例であったが、SB203580の毒性はp38 MAPKの関与を遮断している可能性がある。しかしながら、古典的Gqによって開始される下垂体シグナル伝達経路を表すPLCはアポトーシスカスケードの関連成分ではないという一般的見解に同意する。このことは、DAGおよびCa2+独立であるPKCアイソフォームがまれであるので、部分的PKCの関与と矛盾しない(Naor et al., 1998)。まとめると、HEK293細胞におけるGnRH IおよびGnRH IIのアポトーシス効果はヘテロ三量体性タンパク質によって伝達されないが、Src、β-アレスチンまたは小型のGタンパク質のような他の受容体と相互作用する分子によって伝達される可能性がある。
【0134】
一層強力で、非常に重要なことには一層選択的な癌治療薬の開発は、極めて重要である。今日までのところ、GnRH系での構造-活性相関(SAR)に関する研究はGq/PLCβを調節するリガンドの能力に集中してきた。これは増殖防止を生じるエフェクター経路ではないことを知っているので、細胞増殖阻害に関するリガンドのSARを検討するときには他のアウトプットを観察する必要がある。この報告では、一連の類似体によるホスホイノシチドの蓄積を誘発する結合アフィニティーおよび能力を検討するだけでなく、細胞増殖抑制を生じるリガンドの構造要件をも初めて検討している。この目的に対して、ラットまたはヒトGnRHRを発現するHEK293細胞であって、後者は受容体数が極めて低いものを用いた。
【0135】
哺乳類GnRH IおよびGnRH IIは、3つの構造領域に分割することができる(Millar et al., 2004、Sealfon et al., 1997)。N-末端Glul-His2-Trp3-Ser4およびC-末端Pro9-GlylO配列は、5億年にわたって保存されてきた。両領域は受容体結合に寄与するが、N-末端アミノ酸だけはGqカップリングを生じる受容体活性化にも不可欠である。中央のドメインは、種の中ではおよび同種に存在する様々なGnRHペプチドでは余り保存されない。この領域は、GnRH IではTyr5-Gly6-Leu7-Arg8に対応し、GnRH IIではHis5-Gly6-Leu7-Tyr8に対応する。GnRHのI型哺乳類GnRH受容体との高アフィニティー相互作用では、これらの残基を含むリガンドのβ-II'ターンコンホメーションを必要とする(Momany, 1976およびMillar et al., 2004の文献)。このコンホメーションを付与する相互作用の提案は、Ser4とArg8、Glu 1とGly 10および/またはArg8、およびHis2とTyr5との間のものである(Millar et al., 2004)。Arg8は、哺乳類GnRH受容体の第三の細胞外ループにおける保存されたAsp302と相互作用することも示されており、これはβ-II'ターンコンホメーションを誘発または選択する(Flanagan et al., 1994、Fromme et al., 2001)。Arg8は、Gq刺激を生じる受容体活性化に直接関与しているとは思われないが、この残基はGlu90-Asnl02-Lysl21活性化トリアードと分子内接触を確立すると仮定されているので、そのAsp302への結合によって間接的役割を果たしている可能性がある(Millar et al., 2004)。GnRH IIはβ-II'ターンコンホメーションで予備配列されることを示唆する証拠があり、これは、総てのGnRH受容体に対する比較的高いアフィニティーを説明している(Pfleger et al., 2002)。
【0136】
本発明者らの研究における総てのペプチドのアフィニティーは、ラットの下垂体前葉膜またはラットまたはヒト受容体を一過性で発現するCOS-7およびHEK293細胞を用いる以前の報告と一致している(Miles et al., 2004、Millar et al., 2004、Pfleger et al., 2002)。GnRH Iと比較して、GnRH IIはイノシトールリン酸蓄積を誘発する能力が低いが、同細胞の増殖を阻害する能力は遙かに高い。GnRH IにおいてTyr5をHis5で置換すると、アフィニティーは増加し、これは検討を行った2種類の応答における高い能力と相関した。[His5]GnRH Iは、これまでに報告されたGnRH系における最も強力な細胞増殖抑制剤である。Leu7をTrp7に置換すると、GnRH Iと比較してPLCβを刺激する能力は同じであるが細胞増殖阻害を誘発する能力は高い類似体を生じた。Arg8をTyr8で置換することによって、最も選択的な増殖防止/アポトーシス薬剤を産生した。GnRH Iに関しては、これは、結合アフィニティーおよびPLCβを活性化する能力は大幅に低かった。しかしながら、[Tyr8]GnRH Iは細胞増殖を抑制する能力は4-11倍であった。他の突然変異体ペプチドは、GnRH IおよびGnRH IIの間の中間構造の特徴から予想される機能パラメーターを示した。
【0137】
特に、この研究は、本発明者らのグループによってGnRH受容体系について以前に提案されたリガンドによって誘発される選択的シグナル伝達(LISS)のコンセプトを支持している(Maudsley et al., 2004)。これは、GnRH IおよびGnRH IIによって例示することができ、2つの応答(PLCβ活性化および細胞増殖阻害)についての能力の逆比を示している。単一型の受容体を有する系では、同じアフィニティーと同じシグナル強度を有し相対的能力のランクでは逆転を示す2個の作動薬は、別個の受容体活性状態であってそれぞれが観察された異なる応答に関与しているものを選択的に安定化することができる。
【0138】
まとめとして、本発明者らは、GnRHによって誘発される細胞増殖阻害に関与する受容体薬理学および細胞内機構への新たな識見を提供し、GnRHを基剤とする癌治療薬についての新たな類似体を合理的にデザインする道を開発した。
【0139】
実施例2−医薬処方物の具体例
本発明の薬剤を単独で投与することは可能であるが、1以上の許容可能なキャリヤーと一緒に医薬処方物として含むのが好ましい。(複数の)キャリヤーは、本発明の薬剤と適合しかつその受容者にとって有害でないという意味において「許容可能な」ものでなければならない。典型的には、キャリヤーは水または塩水であり、滅菌されかつ発熱物質を含まないものである。
【0140】
下記の実施例は、活性成分が本発明の薬剤である本発明による医薬品および医薬組成物を例示する。
【0141】
好ましくは、本発明の薬剤は量で提供される。下記の典型的な医薬品および医薬組成物は、10μg-500mgの本発明の薬剤量を含むものが調製することができることが理解されるであろう。例えば、本発明の薬剤は、下記の典型的な医薬品および医薬組成物に示される量の10分の1または100分の1または200分の1または500分の1で含まれ、残りの成分の量はそれに応じて変化することがある。
【0142】
実施例A: 錠剤
活性成分 1mg
ラクトース 200mg
澱粉 50mg
ポリビニルピロリドン 5mg
ステアリン酸マグネシウム 4mg
錠剤は、上記成分から湿式造粒の後に圧縮によって調製される。
【0143】
実施例B: 点眼溶液
活性成分 1mg
塩化ナトリウム,分析級 0.9 g
チオメルサール 0.001 g
精製水を加えて100mlとし、pHを7.5に調整。
【0144】
実施例C: 錠剤処方物
下記の処方物AおよびBを、ポピドンの溶液と共に成分を湿式造粒した後、ステアリン酸マグネシウムを加え、圧縮することによって調製する。
【0145】
処方物A
mg/錠剤 mg/錠剤
(a) 活性成分 1 1
(b) ラクトース B.P. 210 26
(c)ポピドン B.P. 15 9
(d)澱粉グリコール酸ナトリウム 20 12
(e)ステアリン酸マグネシウム 5 3

251 51
【0146】
処方物B
mg/錠剤 mg/錠剤
(a) 活性成分 1 1
(b) ラクトース 150 -
(c)アビセルPH 101(登録商標) 60 26
(d)ポピドンB.P. 15 9
(e)澱粉グリコール酸ナトリウム 20 12
(f)ステアリン酸マグネシウム 5 3

251 51
【0147】
処方物C
mg/錠剤
活性成分 1
ラクトース 200
澱粉 50
ポピドン 5
ステアリン酸マグネシウム 4

260
【0148】
下記の処方物DおよびEを、混合成分の直接圧縮によって調製する。処方物Eで用いたラクトースは、直接圧縮型のものである。
【0149】
処方物D
mg/カプセル
活性成分 1
予備ゼラチン化澱粉NF15 150

151
【0150】
処方物E
mg/カプセル
活性成分 1
ラクトース 150
アビセル(登録商標) 100

251
【0151】
処方物F (制御放出処方物)
この処方物は、ポピドンの溶液と共に成分を湿式造粒した後、ステアリン酸マグネシウムを加え、圧縮することによって調製する。
mg/錠剤
(a) 活性成分 1
(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 112
(Methocel K4M Premium)(登録商標)
(c)ラクトース B.P. 53
(d)ポピドン B.P.C. 28
(e)ステアリン酸マグネシウム 7

201
薬剤放出は約6-8時間にわたって起こり、12時間後に完了した。
【0152】
実施例D: カプセル処方物
処方物A
カプセル処方物は、上記実施例C中で処方物Dの成分を混合し、2部からなる硬質ゼラチンカプセルに充填することによって調製する。処方物B(下記)も、同様に調製する。
【0153】
処方物B
mg/カプセル
(a) 活性成分 1
(b) ラクトース B.P. 143
(c)ナトリウム澱粉グリコール酸 25
(d)ステアリン酸マグネシウム 2

171
【0154】
処方物C
mg/カプセル
(a) 活性成分 1
(b)マクロゴール4000 BP 350

351
カプセルは、マクロゴール4000 BPを融解し、活性成分を融解物に分散させ、融解物を2部からなる硬質ゼラチンカプセルに充填することによって調製する。
【0155】
処方物D mg/カプセル
活性成分 1
レシチン 100
落花生油 100

201
カプセルは、活性成分をレシチンおよび落花生油に分散させ、分散物を軟質の弾性ゼラチンカプセルに充填することによって調製する。
【0156】
処方物E (制御放出カプセル)
下記の制御放出カプセル処方物は、押出機を用いて成分a、bおよびcを押出した後、押出物を球状化して乾燥することによって調製する。次に、乾燥ペレットに放出制御膜(d)をコーティングし、2部からなる硬質ゼラチンカプセルに充填した。
mg/カプセル
(a) 活性成分 1
(b)微晶質セルロース 125
(c) ラクトース BP 125
(d)エチルセルロース 13

264
【0157】
実施例E: 注射用処方物
活性成分 1mg
滅菌した発熱物質を含まないリン酸緩衝液(pH7.0)を加えて10mlとする。
【0158】
活性成分をリン酸緩衝液(35-40℃)の大部分に溶解した後、一定容積とし、滅菌した微孔性フィルターを通して滅菌した10mlのアンバーガラスバイアル(1型)に濾過し、滅菌した蓋とオーバーシールで密封する。
【0159】
実施例F: 筋肉内注射
活性成分 1mg
ベンジルアルコール 0.10 g
グルコフロール75(登録商標) 1.45 g
注射用水を適量加えて、全量を 3.00mlとする。
【0160】
活性成分をグルコフロールに溶解させる。次いで、ベンジルアルコールを加えて溶解し、水を加えて3mlとする。次いで、混合物を滅菌した微孔性フィルターを通して濾過し、滅菌した3mlのガラスバイアル(1型)に密封する。
【0161】
実施例G: シロップ懸濁液
活性成分 1mg
ソルビトール溶液 1.5000 g
グリセロール 2.0000 g
分散性セルロース 0.0750 g
安息香酸ナトリウム 0.0050 g
フレーバー,ピーチ17.42.3169 0.0125ml
精製水を適量加えて全量を 5.0000mlとする。
【0162】
安息香酸ナトリウムを精製水の一部に溶解させ、ソルビトール溶液を加える。活性成分を加えて分散させる。グリセロールに増粘剤(分散性セルロース)を分散させる。2つの分散物を混合し、精製水で所定容積とする。懸濁液をさらに剪断することによって、必要な更なる増粘が達成される。
【0163】
実施例H: 座薬
mg/座薬
活性成分(63 μm)* 1
硬質脂肪, BP (Witepsol H15 - Dynamit Nobel) 1770

1771
* 活性成分は、粒子の少なくとも90%が直径が63 μm以下の粉末として用いる。
【0164】
Witepsol H15の5分の1を、スチームジャケットつき平鍋で最高温度45°Cで融解する。活性成分を200μm篩にかけ、融解ベースに混合しながら切断ヘッドを備えたシルバーソン(silverson)を用いて加え、滑らかな分散物を得る。混合物を45℃に保持しながら、残りのWitepsol H15を懸濁液に加え、均質な混合物を確保するために攪拌する。全懸濁液を250μmステンレススチールスクリーンを連続攪拌しながら通過させ、40°Cに放冷する。38°C-40°Cの温度で、混合物2.02 gを適当なプラスチック鋳型に充填する。座薬を室温まで放冷する。
【0165】
実施例I: 膣座薬
mg/膣座薬(pessary)
活性成分 1
無水デキストロース 380
ジャガイモ澱粉 363
ステアリン酸マグネシウム 7

751
上記成分を直接混合し、膣座薬を生成する混合物の直接圧縮によって調製する。
【0166】
本発明の薬剤は、ゾラデックス、リュープロリド、テヴェレリックス、アバレリックス、ガナレリックス、ゴセレリンなどについても処方することができる。
【0167】
実施例3−本発明の薬剤を用いる増殖性疾患の治療
抗アンドロゲンと療法に応答しない前立腺癌の患者に、1日当たり本発明の薬剤1mgを本発明の方法に準じて筋肉内に投与する。
【0168】
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【0169】
本発明のある態様を具体的に表す好ましい非制限的実施例を、下記の図に関して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1A】C-末端尾を有するまたは欠いているGnRHRを発現する4種類の異なるHEK293細胞系および野生型細胞の5日間連続治療後の細胞数に対するGnRH Iの効果。生育可能細胞を、トリパンブルーインキュベーション後血球計を用いて計数した。それぞれの曲線は少なくとも3個の別の実験の和であり、それぞれの点は3回測定し、S.E.M.は誤差バーとして示した。値は、未治療のままの細胞の数に規格化した(hGnRHR: ヒトGnRHR、hGnRHR/cfGnRHR: ナマズGnRHR尾を有するヒトGnRHR、rGnRHR: ラットGnRHR、rGnRHR/TRHR: ラットTRHR尾を有するラットGnRHR)。GnRH受容体を除く総てのGPCRに存在する細胞内尾の付加により、GnRH Iの増殖防止効果が除去される点に留意されたい。
【図1B】rGnRHR(左)またはrGnRHR/TRHR(右)を発現する2種類のHEK293細胞系における100nM GnRH IによるERK活性化プロフィール。ストリップは、特異的抗リン酸化ERK1/2抗体を用いる典型的ウェスタンブロット法における総細胞溶解物で得られたシグナルを示す。ヒトスグラムのそれぞれのバーは、少なくとも2つの独立した実験から一緒にしたデーターを表し、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、それぞれのデーターセット内で最大ERK活性化に対して規格化した。
【図2A】100nM GnRH IまたはGnRH IIに暴露したHEK293/rGnRHR細胞へのチミジン組込みの時間経過。コントロール細胞は未処理のままであった。示されたグラフは、少なくとも2つの別の実験の典型的なものであり、それぞれの点は3回測定の平均であり、S.E.M.は誤差バーとして示した。カウント数は、最大チミジン組込みに対して規格化した。
【図2B】100nM GnRH I (左)またはGnRH II (右)に暴露したHEK293/rGnRHR細胞におけるPARP開裂(アポトーシスのマーカー)の時間経過。ストリップは、特異的抗開裂PARP抗体を用いる典型的ウェスタンブロット法における総細胞溶解物で得られたシグナルを示す。示されたデーターは、少なくとも2つの別の実験の典型的なものである。
【図3】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH I (A)またはGnRH II (B)によって誘発されたPARP開裂の阻害。細胞は、完全培地で48時間にわたって100nM作動薬および様々な化学的阻害剤(個体濃度についての方法参照)で同時処理した。次いで、粗製の細胞溶解物の抽出物を調製し、PARPの開裂を特異的抗開裂PARP抗血清免疫ブロット法によって測定した。ヒトスグラムのそれぞれのバーは、少なくとも3つの独立した実験から一緒にしたデーターを表し、S.E.Mは誤差バーとして示す。
【図4A】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH IおよびGnRH IIについての競合結合曲線。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。カウント数は、それぞれのデーターセット内の最大特異結合に対して規格化した。
【図4B】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH類似体についての競合結合曲線。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。カウント数は、それぞれのデーターセット内の最大特異結合に対して規格化した。
【図5A】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH IおよびGnRH IIについての総イノシトールリン酸蓄積曲線。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。カウント数は、それぞれのデーターセット内の最大応答に対して規格化した。
【図5B】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH類似体についての総イノシトールリン酸蓄積曲線。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。カウント数は、それぞれのデーターセット内の最大応答に対して規格化した。
【図6A】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH IおよびGnRH IIについての増殖防止曲線。細胞を作動薬で5日間連続処理した後、生育可能細胞をトリパンブルーインキュベーションの後血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図6B】HEK293/rGnRHR細胞におけるGnRH類似体についての増殖防止曲線。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図7A】HEK293/hGnRHR細胞におけるGnRH IおよびGnRH IIについての総イノシトールリン酸蓄積曲線。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は6回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。カウント数は、それぞれのデーターセット内の最大応答に対して規格化した。
【図7B】HEK-293/hGnRHR細胞におけるGnRH類似体についての総イノシトールリン酸蓄積曲線。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は6回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。カウント数は、それぞれのデーターセット内の最大応答に対して規格化した。
【図8A】HEK293/hGnRHR細胞におけるGnRH IおよびGnRH IIについての増殖防止曲線。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図8B】HEK293/hGnRHR細胞におけるGnRH類似体についての増殖防止曲線。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図8C】表1:競合結合分析からのIC50値およびイノシトールリン酸(IP)の蓄積についてのEC50値およびHEK293/rGnRHR細胞における天然および突然変異GnRHペプチドについての細胞増殖阻害(AP)。平均(nM)±S.E.M.を示しており、実験回数は括弧内に示す。* p<0.05, ** p<0.01, *** p<0.005。用いたGnRH受容体はラットGnRH受容体。
【図8D】表2:イノシトールリン酸の蓄積についてのEC50値およびHEK293/hGnRHR細胞における天然および突然変異GnRHペプチドについての細胞増殖阻害。平均(nM)±S.E.M.を示しており、実験回数は括弧内に示す。* p<0.05, ** p<0.01, *** p<0.005。用いたGnRH受容体はヒトGnRH受容体。
【図9】ペプチド24、26および28(表3に示す)による HEK293/hGnRH細胞の増殖阻害。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図10】ペプチド21(表3に示す)によるHEK293/hGnRH細胞の増殖阻害。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図11】ペプチド4および6 (表3に示す)による HEK293/hGnRH細胞の増殖阻害。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図12】ペプチド11および27(表3に示す)によるHEK293/hGnRH細胞の増殖阻害。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図13】ペプチド10、11、15および23 (表3に示す)によるHEK293/hGnRH細胞の増殖阻害。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図14】ペプチド13、65および66(表3に示す)によるHEK293/hGnRH細胞の増殖阻害。細胞を作動薬で5日間連続処理し、トリパンブルーインキュベーションの後、生育可能細胞血球計で計数した。これらの曲線は少なくとも3つの独立した実験の1つを表し、それぞれの点は3回の測定値の平均であり、S.E.Mは誤差バーとして示す。値は、未処理のままの細胞数に対して規格化した。
【図15】表3:GnRH類似体によるHEK293/hGnRH細胞における細胞数およびイノシトールリン酸産生の阻害。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
w) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro.Y、
x) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro-A、
y) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LLeu-LArg-LPro-A、
z) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DSer-LTrp-LTyr-LPro-A
(上記式中、
YはNHEtまたはNH2またはDAla.NH2またはZであり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる群から選択されるペプチドを含んでなる、薬剤。
【請求項2】
ZがNH2またはNHEtである、請求項1に記載の薬剤。
【請求項3】
ペプチドが、
w1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTyr-LTyr-LPro.NHEt、
x1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
y1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LLeu-LArg-LPro-Gly.NH2
z1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DSer-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
を含んでなる群から選択されるものである、請求項1または2に記載の薬剤。
【請求項4】
ペプチド:pGlu-His-Trp-Ser-R1-Gly-R2-R3-Pro-A
(上記式中、
a) R1がHisであり、R2がLeuであり、R3がArgであるか、または
b) R1がTyrであり、R2がTrpであり、R3がArgであるか、または
c) R1がTyrであり、R2がLeuであり、R3がTyrであるか、または
d) R1がHisであり、R2がTrpであり、R3がArgであるか、または
e) R1がHisであり、R2がLeuであり、R3がTyrであるか、または
f) R1がTyrであり、R2がTrpであり、R3がTyrであり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる、医療用薬剤。
【請求項5】
ペプチド:pGlu-His-Trp-Ser-Tyr/His-Gly-Leu/Trp-R4-Pro-A
(上記式中、
R4はアルギニンを除く任意のアミノ酸であり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる、医療用薬剤。
【請求項6】
R4が、アラニン、アスパラギン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシンを含んでなる群から選択されるものである、請求項5に記載の薬剤。
【請求項7】
ZがNH2またはNHEtである、請求項4〜6のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項8】
前記ペプチドが、
a1) pGlu-His-Trp-Ser-His-Gly-Leu-Arg-Pro-Gly.NH2
b1) pGlu-His-Trp-Ser-Tyr-Gly-Trp-Arg-Pro-Gly.NH2
c1) pGlu-His-Trp-Ser-Tyr-Gly-Leu-Tyr-Pro-Gly.NH2
d1) pGlu-His-Trp-Ser-His-Gly-Trp-Arg-Pro-Gly.NH2
e1) pGlu-His-Trp-Ser-His-Gly-Leu-Tyr-Pro-Gly.NH2、または
f1) pGlu-His-Trp-Ser-Tyr-Gly-Trp-Tyr-Pro-Gly.NH2
を含んでなる群から選択されるものである、請求項4〜7いずれか一項に記載の薬剤。
【請求項9】
ペプチド:pLGlu-LHis-LTyr-LSer-LHis-X-LTrp-LTyr-LPro-A
(上記式中、
XはD-アミノ酸残基であり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-D Ala.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる薬剤の、増殖性疾患治療用の医薬品の製造における使用。
【請求項10】
Xが、D-アルギニン、D-リシン、D-トリプトファン、D-リシン、D-チロシン、D-アラニン、D-セリンを含んでなる群から選択される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
i) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro-A、
ii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LTrp-LTyr-LPro-A、
iii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LGln-LPro-A、
iv) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LLeu-LPro-A、
v) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LTyr-LPro-A、
v-B) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LArg-LPro-A、
vi) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DTrp-LTrp-LArg-LPro-A、
vii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DLys-LTrp-LTyr-LPro-A、
viii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro.Y、
ix) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LLeu-LArg-LPro-A、
x) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LTrp-LArg-LPro-A、
xi) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LLeu-LArg-LPro-A、
xii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTyr-LLeu-LArg-LPro-A、
xiii) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DAla-LTrp-LTyr-LPro-A、
xiv) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DSer-LTrp-LTyr-LPro-A
(上記式中、
YはNHEtまたはNH2またはDAla.NH2またはZであり、
Aは、
Z、または
アザGly、または
アザGly.Z、または
DAla.Z、または
Glu.Z、または
DAla-Glu.Z、または
DAla-DAla.Z、または
βAla.Z、または
Pro、または
Pro.Z、または
DAla-Gly.Z、および
Gly.Z
からなる群から選択され、
ZはC-末端アミノ酸残基上の電荷を除去する基である)
を含んでなる群から選択されるペプチドを含んでなる薬剤の、増殖性疾患治療用の医薬品の製造における使用。
【請求項12】
ZがNH2またはNHEtである、請求項9〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
医療に用いられる、請求項9〜12のいずれか一項に記載の薬剤。
【請求項14】
前記ペプチドが、
i-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
ii-1) pLGlu-LHis-LTyr-LSer-LHis-DTrp-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
iii-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LGln-LPro-Gly.NH2
iv-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LLeu-LPro-Gly.NH2
v-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
v-2) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DLys-LTrp-LArg-LPro-Gly.NH2
vi-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LTyr-DTrp-LTrp-LArg-LPro-Gly.NH2
vii-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DLys-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
viii-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DAxg-LTrp-LTyr-LPro.NHEt、
ix-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DArg-LLeu-LArg-LPro-Gly.NH2
x-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LTrp-LArg-LPro-Gly.NH2
xi-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTrp-LLeu-LArg-LPro-Gly.NH2
xii-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DTyr-LLeu-LArg-LPro-Gly.NH2
xiii-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DAla-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
xiv-1) pLGlu-LHis-LTrp-LSer-LHis-DSer-LTrp-LTyr-LPro-Gly.NH2
を含んでなる群から選択されるものである、請求項13に記載の薬剤。
【請求項15】
増殖性疾患治療用の医薬品の製造における、先行するいずれかの請求項に記載の薬剤の使用。
【請求項16】
前記増殖性疾患が動物の癌である、請求項9〜12または15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記癌が生殖癌である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記動物が、ヒト、ニワトリ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマを含んでなる群から選択される、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
前記癌が、婦人科癌、前立腺癌、良性前立腺過形成、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、黒色腫、膵臓癌、胃癌を含んでなる群から選択される、請求項16〜18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤の有効量を1個以上の細胞と結合させることを含んでなる、1個以上の細胞の増殖を防止および/または減少する方法。
【請求項21】
前記細胞がヒトまたは動物体の細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤の治療上有効量と、薬学上許容可能なキャリヤーとを含んでなる、医薬組成物。
【請求項23】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤および/または請求項22に記載の医薬組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含んでなる、癌の治療方法。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤および/または請求項22に記載の医薬組成物の有効量を、それを必要とする個体に投与することを含んでなる、増殖性疾患の治療方法。
【請求項25】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤および/または請求項22に記載の医薬組成物を用いる治療に潜在的に感受性の1個以上の細胞を有する個体を同定する方法であって、
a) 試験を受ける個体から1個以上の細胞を含んでなる試料を供給し、
b) 試料と、請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤および/または請求項22に記載の医薬組成物とを結合させ、
c) 1個以上の細胞の増殖レベルを測定し、
d) 前記薬剤および/または医薬組成物が1個以上の細胞の増殖を防止および/または減少させる場合、潜在的に治療に感受性の1個以上の細胞を有する個体を同定すること
を含んでなる、方法。
【請求項26】
前記細胞が癌細胞である、請求項20〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ペプチドを化学的に合成することを含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の薬剤の製造方法。
【請求項28】
実質的に本明細書に記載のGnRH受容体結合残基を含んでなる薬剤の使用。
【請求項29】
実質的に本明細書に記載の薬剤。
【請求項30】
実質的に本明細書に記載の、1個以上の細胞または癌細胞の増殖を防止および/または減少させる方法。
【請求項31】
実質的に本明細書に記載の医薬組成物。
【請求項32】
実質的に本明細書に記載の、増殖性疾患または癌の治療方法。
【請求項33】
実質的に本明細書に記載の治療に潜在的に感受性の1個以上の細胞または癌細胞を有する個体の同定方法。
【請求項34】
実質的に本明細書に記載の、細胞増殖の防止および/または減少に用いる薬剤の同定方法。
【請求項35】
実質的に本明細書に記載の薬剤の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−56883(P2013−56883A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219710(P2012−219710)
【出願日】平成24年10月1日(2012.10.1)
【分割の表示】特願2009−514867(P2009−514867)の分割
【原出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【出願人】(597166578)メディカル リサーチ カウンシル (60)
【Fターム(参考)】