説明

薬剤供給装置

【課題】薬剤の充填にかかる時間を短縮した薬剤供給装置を提供する。
【解決手段】薬剤を種類別に収納した複数のタブレットケースを備え、タブレットケース内の薬剤を任意に取り出してホッパー内に排出し、ホッパー内に集めた薬剤を、ノズル36を通じて袋や瓶などの容器に充填する機能を備えた薬剤供給装置において、ノズルが、充填する薬剤を一時的に留め置くシャッター74を備え、シャッターの上方に薬剤の通過を検知する落下薬剤検出センサ86を備え、落下薬剤検出センサの検知結果に応じて、シャッターを開く制御部を備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を袋や瓶などの容器に充填する機能を備えた薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬剤を種類別に収納したタブレットケースを複数備え、入力された処方データに基づいて、タブレットケースから所定の種類の薬剤を取り出してホッパー内に集め、集めた薬剤をホッパーから袋や瓶などの容器に充填し、所望の種類の薬剤が充填された容器を自動で作成する薬剤供給装置が知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に記載の薬剤供給装置では、自動で、例えば数十個の容器に、連続して、薬剤を充填することができる。
【特許文献1】特開2004−203433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した薬剤供給装置を用いて連続して多数の薬剤を容器に充填する場合、薬剤の充填にかかる時間が長時間化することがあり、薬剤の充填にかかる時間を短縮したいというニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、薬剤の充填にかかる時間を短縮した薬剤供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、薬剤を種類別に収納した複数のタブレットケースを備え、タブレットケース内の薬剤を任意に取り出してホッパー内に排出し、ホッパー内に集めた薬剤を、ノズルを通じて袋や瓶などの容器に充填する機能を備えた薬剤供給装置において、前記ノズルが、充填する薬剤を一時的に留め置くシャッターを備え、該シャッターの上方に薬剤の通過を検知するセンサを備え、該センサの検知結果に応じて、前記シャッターを開く制御部を備えたことを特徴とする。
【0005】
ここで、上記発明の薬剤供給装置において、前記制御部が、カウンターを備え、前記センサの検知に基づき、通過した薬剤の個数をカウントするようにしてもよい。ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤供給装置。
【0006】
また、上記発明の薬剤供給装置において、前記制御部が、タイマーを備え、前記センサの検知に基づき、所定個数の薬剤の通過が確認されたか、あるいは前記タイマーのカウント時間が経過したかのいずれかの時に、前記シャッターを開くようにしてもよい。
【0007】
また、上記発明の薬剤供給装置において、前記センサが、鉛直方向に延びた薬剤の通路に設けられているようにしてもよい。
【0008】
また、上記構成の薬剤供給装置において、複数の前記タブレットケースを収納するタブレットケース収納部を備え、前記タブレットケースから薬剤が排出されてノズルに導入されるまでの時間が、前記タブレットケース収納部における前記タブレットケースの位置によって異なる構成となっているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、薬剤の充填にかかる時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本実施形態にかかる薬剤供給装置1の斜視図であり、図2は、前面パネル2を取外した状態における薬剤供給装置1の正面図であり、図3は、正面右側の側面パネル3を取外した状態における薬剤供給装置1の側面図である。
薬剤供給装置1は、病院や調剤薬局などに設置され、所定の種類、数量の薬剤が充填された分包を一包ずつ作成し、供給する装置である。薬剤供給装置1には、パーソナルコンピュータ95(図6)が接続されており、薬剤供給装置1によって作成される分包に充填される薬剤の種類、数量は、作業者がこのパーソナルコンピュータ95に入力する。
【0011】
図1〜図3に示すように、薬剤供給装置1は、略直方体形状の筐体5を備え、この筐体5は、前面パネル2、側面パネル3、背面パネル6(図3)、上面パネル7、及び、下面パネル8を備えている。前面パネル2には、図1に示すように、作業者が薬剤供給装置1が作成した分包を取り出すための取出口10が設けられている。また、前面パネル2の上部には、コントロールパネル11が設けられている。このコントロールパネル11は、液晶表示パネルからなる表示部12と、複数の操作スイッチを備える入力部13とを備えており、作業者は、表示部12に表示された各種情報を参照するとともに、入力部13の操作スイッチを操作して薬剤供給装置1に対し各種指示を行う。また、前面パネル2の下部は、開放可能であり、開放した状態で後述する包装機21を引き出し可能な構成となっている。
図1に示すように、前面パネル2の上部には、薬剤フィーダ60が設けられている。この薬剤フィーダ60は、後述するタブレットケース22に収容されていない薬剤を薬剤供給装置1に追加するためのものであり、当該薬剤を収容するためのセル61が横並びに並んで設けられている。タブレットケース22に収容されていない薬剤を薬剤供給装置1に追加する場合、作業者は、このセル61の所定の場所に当該薬剤を入れる。
【0012】
筐体5の内部において、上部には、薬剤供給機構部20が設けられている。この薬剤供給機構部20は、後述する制御部90の制御の下、分包に充填する所定の種類、数量の薬剤を排出するものである。
薬剤供給機構部20は、図2及び図3に示すように、薬剤を種類別に収納したタブレットケース22を複数収納するタブレットケース収納部23を備えている。タブレットケース22は、上下方向に細長い直方体の形状をしており、タブレットケース収納部23において直立した状態で前後左右に並んで配置される。
【0013】
タブレットケース22は、上端が開口しており、この開口に連通して、薬剤を収納する薬剤収納部24が形成されている。開口には、開閉自在に蓋体25が設けられている。薬剤収納部24に薬剤を収納する際は、蓋体25を開いて開口を露出し、この開口を介して薬剤収納部24に薬剤を収納する。
薬剤収納部24の下方には、整列盤26が設けられており、この整列盤26の下方には、駆動部27が設けられている。薬剤収納部24に収納された薬剤は、整列盤26において整列し、駆動部27に設けられた揺動アーム(不図示)の揺動運動に従って、1錠ずつタブレットケース22から下方へ向かって落下する構成となっている。また、駆動部27には、整列盤26から落下する薬剤を検出する剤検出センサ92(図6)が設けられており、剤検出センサ92の検出値は、制御部に出力される。
【0014】
薬剤供給機構部20の下方には、タブレットケース22から落下した薬剤をホッパー29に導入する薬剤導入部30が設けられている。この薬剤導入部30には、所定のタブレットケース22から落下した薬剤をホッパー29へ搬送するベルトコンベア31が設けられている。このベルトコンベア31は、図2の矢印Y1に示す方向に回転し、ベルトコンベア31の上方に位置するタブレットケース22から落下した薬剤を、コンベア端部31Aまで搬送し、このコンベア端部31Aからホッパー29に向けて薬剤を落下させて、ホッパー29に薬剤を導入する(図2の矢印Y2参照)。また、薬剤導入部30には、傾斜板32が設けられている。この傾斜板32は、左方に向かうに従って下方に傾斜しており、傾斜板32の上方に位置するタブレットケース22から落下した薬剤をホッパー29に導入する(図2の矢印Y3参照)。これらベルトコンベア31及び傾斜板32によってタブレットケース22から落下した薬剤は、確実にホッパー29に導入される構成となっている。
【0015】
本実施形態では、ホッパー29が正面中央右寄りに配置されている。従って、ホッパー29が正面中央に設けられた場合と比較して、傾斜板32が急勾配となり、この傾斜板32の上方に位置するタブレットケース22から落下する薬剤を、ベルトコンベアを用いることなく、確実にホッパー29へ導入することができる。このため、本実施形態では、ベルトコンベア31が一台で済む。
【0016】
薬剤導入部30の下方には、ホッパー29及び包装機21などを収納する包装機収納部35が設けられている。
ホッパー29には、上述したように、タブレットケース22から落下した薬剤が導入される。ホッパー29は、上面が広く開口するとともに、下方へ向かうに従って縮径しており、下端に下端開口29Aが形成されている。この下端開口29Aには、包装紙に充填するノズル36が連結部37を介して連結されており、薬剤導入部30からホッパー29に導入された薬剤は、下端開口29Aを介してノズル36に排出され、ノズル36によって包装紙に充填される。このノズル36については、後述する。
なお、本実施形態では、タブレットケース22のタブレットケース収納部23における位置によって、タブレットケース22から薬剤が排出されてから、この薬剤がノズル36に導入されるまでの時間が異なる構成となっている。例えば、ベルトコンベア31の上方であって、正面右端に位置するタブレットケース22から薬剤が排出されてからこの薬剤がノズル37に導入されるまでの時間と、傾斜板32の上方であって、正面左端に位置するタブレットケース22から薬剤が排出されてからこの薬剤がノズル37に導入されるまでの時間とでは、前者の方が長い時間となる。
【0017】
包装機21は、制御部90の制御の下、包装紙に所定の文字や画像を印字し、包装紙に薬剤を充填し、一包毎に区画し、一包毎に切断して、所望の種類、数量の薬剤が充填された分包を連続して作成し、取出口10まで搬送する装置である。
図2に示すように、包装機21は、熱溶着可能な包装紙(不図示)を巻きまわすためのロール40と、包装紙に文字や図形などを印刷するプリンタ41と、上述したノズル36と、シリコンゴムからなる熱シールヘッド42と、ロール40から引き出された包装紙を搬送するローラ43と、包装紙を切断するカッター44と、分包を取出口まで搬送するコンベア45と、を備えている。なお、49は、コンベア45を駆動するモータである。
【0018】
ここで、包装機21の基本的な動作について説明すると、ロール40に巻回された包装紙は上面が開き、下端で折られた断面略V字状を呈しており、ローラ43等によってロール40から斜め向かって右斜め下方に引き出された後、プリンタ41によりその表面に印字が成される。次に、ノズル36から排出される薬剤が包装紙内に充填され、熱シールヘッド42による熱溶着で、包装紙は一包毎に区画される。区画されて分包化された包装紙はカッター44で切断され、これにより、所定の種類、数量の薬剤が充填された分包が一包毎に作成される。作成された分包は、コンベア45で取出口10に搬送される。
包装機21は、引出レール46を介して前方へ引き出し自在に設けられた台座47に載置されている。従って、包装機21を前方へ引き出した状態でメンテナンスなどを行うことができる。なお、図3において、48は、包装機21と下部構造体7B間に着脱自在にコネクタ接続された包装機21用のハーネスであり、包装機21の引出量を充分に許容できる長さを有している。
【0019】
次いで、ノズル36について説明する。
図4は、ノズル36及びその周辺の部品の斜視図、図5は、ノズル36の断面図である。
ノズル36は、ホッパー29の下端開口29Aに連結して、略垂直に設けられている。ノズル36は、上端に上端開口36Aが形成されるとともに下端に下端開口36Bが形成され、上下が開口した矩形筒状をしており、その下端開口36Bには、ノズル36の内部に形成された薬剤落下通路71内を落下した薬剤の出口となる薬剤出口部72が形成されている。薬剤落下通路71は、ノズル36の内部において上端開口36Aと下端開口36Bとの間を連通する空間であり、鉛直方向に延びて形成されている。上端開口36Aの一辺H1及び他の辺H2は、それぞれ、薬剤落下通路71における一辺H3及び他の辺H4より長く形成されおり、ホッパー29の下端開口29Aから排出された薬剤が薬剤落下通路71に導入されやすくなっている。また上端開口36Aの一辺H1と他の辺H2は略同一であり、上端開口36Aが正方形に近い形となっている。これにより、様々な形状の薬剤が薬剤落下通路71に落下しやすくなっている。
この薬剤出口部72には、包装紙ガイド73が設けられている。この包装紙ガイド73は、先細りの先端73Aが尖った正面視略V字状をしており、包装紙の進行方向(図2において、左上から右下方へ向かう方向)に対して直行する向きとされ、かつ、図3に示すように、包装紙の進行方向における上流側に位置している。
【0020】
ノズル36から包装紙に薬剤が充填される際、ノズル36は、包装紙ガイド73を介して包装紙に挿入される。そして、ホッパー29からノズル36に導入された薬剤が、薬剤落下通路71を通過して、薬剤出口部72から排出され、包装紙の内部へ充填される。ここで、包装紙ガイド73はV字状であるため、上面が開き、下端で折られた断面略V字状の包装紙の上面開口からこの包装紙ガイド73が挿入しやすい。また、包装紙ガイド73が包装紙に挿入された場合、包装紙は包装紙ガイド73によって膨らむことになるので、包装紙に多量の薬剤をスムーズに充填することができる。
【0021】
ノズル36の内部には、図5に示すように、薬剤落下通路71を開閉するためのシャッター74が設けられている。このシャッター74は、薬剤落下通路71の上下方向における略中央に設けられており、制御部90の制御の下、回動中心部75を中心として回動自在に構成されている。
このシャッター74は、図5に示すように、この回動中心部75が位置する壁76と対向する壁77に向かって、その先端部74Aが斜め下方に延びた状態で薬剤落下通路71を閉塞する(閉状態)。このとき、壁77と先端部74Aは、当接し、または、近接する。この閉状態においては、薬剤落下通路71がシャッター74によって閉塞され、ノズル36に導入された薬剤は、シャッター74上に留め置かれる。
シャッター74は、回動中心部75を中心に図5の矢印Y4に示す方向に回動することにより、薬剤落下通路71を開放する(開状態)。この開状態においては、シャッター74によって妨げられることなく、薬剤が薬剤落下通路71を落下する。
【0022】
図4において、80は、シャッター74を駆動するためのソレノイドであり、ベース81に取り付けられている。シャッター74の回動中心部75は、このソレノイド80のプランジャー(不図示)に取り付けられたアーム82に回動自在に取り付けられたリンク部材83に取り付けられている。また、ベース81に取り付けたポール84とリンク部材83との間には、コイルバネ(不図示)が掛け渡されており、常時、プランジャーを突出させる方向に付勢している。そして、制御部90によってソレノイド80が制御され、コイルバネに抗してプランジャーが引き込まれると、回動中心部75を介してシャッター74は、図5の矢印Y4方向に回動され、開状態となる。なお、制御部90によってシャッター74が開状態とされない間は、シャッター74は、コイルバネの付勢力によって閉状態となる。
【0023】
ノズル36には、図5に示すように、ノズル36の薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数を検出する落下薬剤検出センサ86が設けられている。この落下薬剤検出センサ86は、シャッター74の上部に位置するセンサ取り付け位置89に設けられている。この落下薬剤検出センサ86は、発光素子を有し光を発光する発光部87と、フォトトランジスタを有し発光部87が発光した光を受光する受光部88と、を備えており、これら発光部87と受光部88とが薬剤落下通路71を挟んで対峙している。落下薬剤検出センサ86は、薬剤落下通路71において発光部87と受光部88との間の空間85を通過(落下)する薬剤を検出し、この検出値を制御部90に出力する。制御部90は、後述するが、落下薬剤検出センサ86から入力された検出値に基づいて、薬剤落下通路71を落下した薬剤の個数をカウントする。本実施形態では、図5に示すように、鉛直方向に延びる薬剤落下通路71に落下薬剤検出センサ86が設けられており、この薬剤落下通路71内を鉛直方向に落下する薬剤を落下薬剤検出センサ86によって確実に検出することができる。
【0024】
図6は、薬剤供給装置1の機能的構成を示すブロック図である。
制御部90は、薬剤供給装置1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行手段としてのCPU(Central Processing Unit)や、このCPUに実行される基本制御プログラムや、この基本制御プログラムに係るデータ等を不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)、CPUに実行されるプログラムやこのプログラムに係るデータ等を一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、その他の周辺回路等を備えている。また、制御部90は、図示せぬ発振器が生成した基準クロックに基づいて各種計時動作、及び、現在時刻の計時を実行する。制御部90は、カウンター部90A及びタイマー部90Bを備えているる。
カウンター部90Aは、落下薬剤検出センサ86の検出値に基づいて、薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数をカウントする。
タイマー部90Bは、後述する薬剤収集時間D1を計時する。
この制御部90には、包装機21と、駆動部27と、ベルトコンベア31と、ソレノイド80と、インタフェース部91と、剤検出センサ92と、落下薬剤検出センサ86と、表示部12と、入力部13と、記憶部93と、が接続されている。
【0025】
包装機21は、制御部90の制御の下、上述したように、所定の薬剤が充填された分包を作成するとともに、作成した分包をコンベア45によって取出口10へ搬送する。
駆動部27は、制御部90の制御の下、この駆動部27に設けられた揺動アームを揺動運動し、タブレットケース22から薬剤を1錠ずつ下方へ向かって落下する。
ベルトコンベア31は、制御部90の制御の下、図2の矢印Y1に示す方向に回転し、ベルトコンベア31の上方に位置するタブレットケース22から落下した薬剤を、コンベア端部31Aまで搬送し、このコンベア端部31Aからホッパー29に向けて薬剤を落下させて、ホッパー29に薬剤を導入する。
ソレノイド80は、制御部90の制御の下、閉状態にあるシャッター74を開状態とする。これにより、シャッター74状に一時的に留め置かれた薬剤は、薬剤出口部72を介して包装紙に排出される。
【0026】
インタフェース部91は、信号通信ケーブルなどを介してパーソナルコンピュータ95に接続され、制御部90の制御の下、パーソナルコンピュータ95との間で各種信号を送受信する。この構成により、パーソナルコンピュータ95と薬剤供給装置1との間で各種データを送受信できるとともに、作業者は、パーソナルコンピュータ95を介して薬剤供給装置1に対して各種指示を行うことができる。
剤検出センサ92は、タブレットケース22から排出された薬剤を検出し、検出値を制御部90に出力する。制御部90は、剤検出センサ92から入力された検出値に基づいて、タブレットケース22から排出された薬剤の個数をカウントする。
落下薬剤検出センサ86は、薬剤落下通路71において発光部87と受光部88との間を通過(落下)する薬剤を検出し、この検出値を制御部90に出力する。制御部90のカウンター部90Aは、落下薬剤検出センサ86から入力された検出値に基づいて、薬剤落下通路71を落下した薬剤の個数をカウントする。
表示部12は、制御部90の制御の下、各種情報を表示する。入力部13は、ユーザの入力操作を受け付け、制御部90に出力する。
記憶部93は、EEPROMやフラッシュメモリにより構成され、制御部90の制御の下、書き換え可能に各種データを記憶する。
【0027】
上記構成の薬剤供給装置1は、以下の動作を実行することにより、包装紙に薬剤を充填し、分包を作成する作業にかかる時間の短縮を図っている。以下、フローチャートを用いて薬剤供給装置1の動作について説明する。
【0028】
図7は、分包を作成する際の薬剤供給装置1の動作を示すフローチャートである。
分包の作成に先んじて、作業者は、医師などが作成した処方箋に基づいて、パーソナルコンピュータ95に対し、分包に充填すべき薬剤の種類、数量を示す情報を入力する(ステップSA1)。パーソナルコンピュータ95に入力された情報を示すデータは、インタフェース部91を介して制御部90に出力され、制御部90は、記憶部93に当該データを充填薬剤データとして記憶する。薬剤供給装置1は、この充填薬剤データに基づいて、連続して分包を作成することとなる。
【0029】
作業者によるパーソナルコンピュータ95への入力後、制御部90は、タブレットケース22から所定の種類、数量の薬剤の排出を開始する(ステップSA2)。具体的には、制御部90は、充填薬剤データを参照し、作成する分包に充填すべき薬剤が収納されているタブレットケース22を特定し、駆動部27を制御して、特定したタブレットケース22から薬剤を1錠ずつ下方へ向かって落下する。このとき、剤検出センサ92は、タブレットケース22から排出される薬剤を検出するとともに、検出値を制御部90に出力する。制御部90は、剤検出センサ92から入力された検出値に基づいて、タブレットケース22から排出された薬剤の数量をカウントし、所定の数量が排出された段階で、駆動部27を制御して、薬剤の落下を停止する。
【0030】
ステップSA2において全ての薬剤がタブレットケース22から排出された後、制御部90のタイマー部90Bは、薬剤収集時間D1の計時を開始する(ステップSA3)。ここで、薬剤収集時間D1について説明する。あるタブレットケース22から薬剤が排出されてから、この薬剤が薬剤導入部30及びホッパー29を介してノズル36に導入されるまでの時間をノズル収集時間と称することとすると、薬剤収集時間D1は、複数のタブレットケース22のうち、このノズル収集時間が最も長くなるような場所に位置するタブレットケース22のノズル収集時間よりも長い時間に設定されている。例えば、ノズル収集時間が最も長くなるようなタブレットケース22のノズル収集時間が10秒であるとすると、薬剤収集時間D1は、15秒に設定される。従って、タブレットケース22から薬剤が排出された後、この薬剤収集時間D1が経過した場合、タブレットケース22から排出された薬剤は、確実にノズル36に導入されていることとなる。
【0031】
また、ステップSA2において全ての薬剤がタブレットケース22から排出された後、制御部90のカウンター部90Aは、ノズル36の薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数のカウントを開始する(ステップSA4)。
次いで、制御部90は、落下薬剤検出センサ86の検出値に基づいて、薬剤の落下が検出されたか否かを判別する(ステップSA5)。薬剤の落下が検出された場合(ステップSA5:YES)、制御部90のカウンター部90Aは、落下が検出された薬剤の個数をカウントし(ステップSA6)、充填薬剤データを参照して、カウントした薬剤の個数が、当該分包に充填すべき薬剤の個数に至っているか否かを判別する(ステップSA7)。カウントした薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っている場合(ステップSA7:YES)、分包に充填すべき全ての薬剤がノズル36に導入されていることになるため、制御部90は、ノズル36の薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数のカウントを終了し(ステップSA8)、ソレノイド80を制御してシャッター74を開状態とし、シャッター74上に留まっている薬剤を落下させ、薬剤出口部72を介して包装紙に充填する(ステップSA9)。包装紙に薬剤を充填後、制御部90は、包装機21を制御して、薬剤を充填した包装紙を一包毎に区画し、一包毎に切断して、所望の種類、数量の薬剤が充填された分包を作成し、取出口10に搬送する(ステップSA10)。次いで、制御部90は、全ての分包の作成が終了したか否かを判別し(ステップSA11)、終了していない場合は(ステップSA11:NO)、処理をステップSA2に戻し、終了している場合は(ステップSA11:YES)、処理を終了する。
【0032】
一方、ステップSA5において薬剤の落下が検出されない場合(ステップSA5:NO)や、ステップSA7においてカウントした薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていない場合(ステップSA7:NO)、制御部90は、薬剤収集時間D1が経過したか否かを判別する(ステップSA12)。薬剤収集時間D1が経過していない場合(ステップSA12:NO)、制御部90は、処理をステップSA5に戻し、再び、薬剤の落下が検出されたか否かを判別する。一方、薬剤収集時間D1が経過している場合(ステップSA12:YES)、制御部90は、ノズル36の薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数のカウントを終了する(ステップSA13)。このステップSA13では、薬剤収集時間D1が経過したにもかかわらず、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていないということとなる。
【0033】
ここで、薬剤収集時間D1が経過したにもかかわらず、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていない場合として、例えば、受光部88と発光部87との間を複数の薬剤が同時に重なって落下し、これら複数の薬剤が1つの薬剤として検出されてしまう場合がある。この場合、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至ることはない。これを踏まえ、本実施形態では、タブレットケース22から排出された薬剤が確実にノズル36に導入されている時間である薬剤収集時間D1が経過した場合は、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数にいたっていない場合であっても、薬剤の個数のカウントを終了する構成としている。
【0034】
ステップSA13の落下する薬剤の個数のカウントを終了後、制御部90は、表示部12を制御して、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていないことを表示し、作業者にその旨を報知する(ステップSA14)。作業者は、当該報知に基づいて、カウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていない状態で分包が作成されていることを認識するとともに、当該分包の中身をチェックする。なお、ステップSA14において、制御部90は、プリンタ41によって、当該分包に何らかの印を入れ、作業者にチェックを促すようにしてもよい。
上記報知後、制御部90は、ソレノイド80を制御してシャッター74を開状態とし、シャッター74上に留まっている薬剤を落下させ、薬剤出口部72を介して包装紙に充填する(ステップSA9)。包装紙に薬剤を充填後、制御部90は、包装機21を制御して、薬剤を充填した包装紙を一包毎に区画し、一包毎に切断して、所望の種類、数量の薬剤が充填された分包を作成し、取出口10に搬送する(ステップSA10)。次いで、制御部90は、全ての分包の作成が終了したか否かを判別し(ステップSA11)、終了していない場合は(ステップSA11:NO)、処理をステップSA2に戻し、終了している場合は(ステップSA11:YES)、処理を終了する。
【0035】
図8は、連続して分包が作成される際のタイミングチャートであり、(A)は従来の薬剤供給装置を用いて分包を作成した場合のタイミングチャート、(B)は本実施形態に係る薬剤供給装置1を用いて分包を作成した場合のタイミングチャートである。
まず、図8(A)を用いて従来の薬剤供給装置の動作タイミングを説明する。
図8(A)に示すように、経過時間T0においてタブレットケース22から所定の薬剤が排出され、経過時間T1において所定の薬剤の排出が終了する。薬剤の排出の終了後、薬剤収集時間D1の計時が開始され、経過時間T3において薬剤収集時間D1が経過する。上述したように、薬剤収集時間D1が経過した時点では、タブレットケース22から排出された薬剤は、確実にノズル36に導入されている。薬剤収集時間D1の経過した経過時間T3においてシャッター74が開状態とされ、所定の時間が経過した経過時間T5において閉状態とされる。経過時間T5においてノズル36から薬剤が充填された包装紙を利用して分包の作成が開始されるとともに、次の分包に充填すべき薬剤がタブレットケース22から排出される。
【0036】
次いで、図8(B)を用いて本実施形態に係る薬剤供給装置1の動作タイミングを説明する。
図8(B)に示すように、経過時間T0においてタブレットケース22から所定の薬剤が排出され、経過時間T1において所定の薬剤の排出が終了する。薬剤の排出の終了後、ノズル36の薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数がカウントされ、時間T2においてカウントした薬剤の個数が分包に充填すべき薬剤の個数に至った段階で当該カウントを終了する。タブレットケース22から排出された薬剤は、薬剤収集時間D1よりも短い時間でノズル36に導入されるため、カウントを終了する時間T2は、図8(A)における薬剤収集時間D1が経過した経過時間T3よりも早い時間となる。
落下薬剤のカウントを終了した時間T2において、シャッター74が開状態とされ、所定の時間が経過した経過時間T4において閉状態とされる。経過時間T4においてノズル36から薬剤が充填された包装紙を利用して分包の作成が開始されるとともに、次の分包に充填すべき薬剤がタブレットケース22から排出される。ここで、図8(A)と、図8(B)との比較によって明らかなように、本実施形態に係る薬剤供給装置1は、従来の薬剤供給装置におけるタブレットケースの排出タイミングである経過時間T5よりも早い経過時間T4において、次の薬剤がタブレットケースから排出されることとなり、分包の作成にかかる時間が短縮されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態では、ノズル36が、薬剤を一時的に留め置くシャッター74を備え、シャッター74の薬剤落下通路71を通過する薬剤を検知する落下薬剤検出センサ86を備え、落下薬剤検出センサ86の検知結果に応じて、シャッター74を開く制御部90を備えている。
この構成のため、分包の作成に際し、シャッター74を開状態とすることにより、ノズル36に導入された薬剤を包装紙に充填する場合において、タブレットケース22から薬剤が排出されてから薬剤収集時間D1の経過を待つことなく、落下薬剤検出センサ86によって所定の個数の薬剤がカウントされた時点でシャッター74を開状態とし、次の薬剤をタブレットケース22から排出できる。これにより、図8のタイミングチャートで示したように、従来の薬剤供給装置1と比較して、分包を作成する作業にかかる時間を短縮することができる。
【0038】
また、本実施形態では、制御部90のカウンター部90Aが落下薬剤検出センサ86の検出値に基づいて、ノズル36の薬剤落下通路71を落下する薬剤の個数をカウントする。この構成により、制御部90のカウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が所定の個数に至ったときに、シャッター74を開状態とすることが可能となり、上述したように、分包を作成する作業にかかる時間の短縮を実現できる。
【0039】
また、本実施形態では、タブレットケース22から薬剤を排出した後、制御部90のタイマー部90Bが薬剤収集時間D1を計測する。そして、薬剤収集時間D1が経過したにもかかわらず、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていない場合は、シャッター74を開状態とし、ノズル36から包装紙に薬剤を充填する。
ここで、薬剤収集時間D1が経過したにもかかわらず、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至っていない場合として、例えば、受光部88と発光部87との間を複数の薬剤が同時に重なって落下し、これら複数の薬剤が1つの薬剤として検出されてしまう場合がある。この場合、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数に至ることはない。これを踏まえ、本実施形態では、タブレットケース22から排出された薬剤が確実にノズル36に導入されている時間である薬剤収集時間D1が経過した場合は、カウンター部90Aによってカウントされた薬剤の個数が、分包に充填すべき薬剤の個数にいたっていない場合であっても、薬剤の個数のカウントを終了し、シャッター74を開状態とする。これにより、ノズル36内に分包に充填すべき薬剤が全て導入されているにもかかわらず、分包が作成されない、という事態を防止することができる。
【0040】
また、本実施形態では、落下薬剤検出センサ86が、鉛直方向に延びる薬剤落下通路71に設けられている。従って、この薬剤落下通路71内を鉛直下方に落下する薬剤を、落下薬剤検出センサ86によって確実に検出することができる。
【0041】
また、本実施形態では、タブレットケース22のタブレットケース収納部23における位置によって、タブレットケース22から薬剤が排出されてから、この薬剤がノズル36に導入されるまでの時間が異なる構成となっている。例えば、ベルトコンベア31の上方であって、正面右端に位置するタブレットケース22から薬剤が排出されてからこの薬剤がノズル37に導入されるまでの時間と、傾斜板32の上方であって、正面左端に位置するタブレットケース22から薬剤が排出されてからこの薬剤がノズル37に導入されるまでの時間とでは、前者の方が長い時間となる。この構成において、図7のフローチャートに示す動作が実行されることにより、図8のタイミングチャートで示すように、分包の作成に係る時間を短縮することができる。
【0042】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、本実施形態では、薬剤導入部30において、ベルトコンベア31を1台用いてタブレットケース22から排出された薬剤をホッパー29に導入する構成を備える薬剤供給装置1を例にして説明したが、これは、ベルトコンベア31を用いない装置や、複数台用いる装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態に係る薬剤供給装置の斜視図である。
【図2】薬剤供給装置の正面図である。
【図3】薬剤供給装置の側面図である。
【図4】ノズル、及び、園周辺部品の斜視図である。
【図5】ノズルの断面図である。
【図6】薬剤供給装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】薬剤供給装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】分包を作成する際の薬剤供給装置の動作タイミングを示すタイミングチャートであり、(A)は従来の薬剤供給装置に係るタイミングチャートを示し、(B)は本実施形態に係る薬剤供給装置に係るタイミングチャートを示している。
【符号の説明】
【0044】
1 薬剤供給装置
22 タブレットケース
23 タブレットケース収納部
29 ホッパー
36 ノズル
71 薬剤落下通路(鉛直方向に延びた薬剤の通路)
74 シャッター
86 落下薬剤検出センサ
90 制御部
90A カウンター部
90B タイマー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種類別に薬剤を収納した複数のタブレットケースを備え、タブレットケース内の薬剤を任意に取り出してホッパー内に排出し、ホッパー内に集めた薬剤を、ノズルを通じて袋や瓶などの容器に充填する機能を備えた薬剤供給装置において、
前記ノズルが、充填する薬剤を一時的に留め置くシャッターを備え、該シャッターの上方に薬剤の通過を検知するセンサを備え、該センサの検知結果に応じて、前記シャッターを開く制御部を備えたことを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
前記制御部が、カウンターを備え、
前記センサの検知に基づき、通過した薬剤の個数をカウントすることを特徴とする請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記制御部が、タイマーを備え、
前記センサの検知に基づき、所定個数の薬剤の通過が確認されたか、あるいは前記タイマーのカウント時間が経過したかのいずれかの時に、前記シャッターを開くことを特徴とする請求項1または2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記センサが、鉛直方向に延びた薬剤の通路に設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
複数の前記タブレットケースを収納するタブレットケース収納部を備え、
前記タブレットケースから薬剤が排出されてノズルに導入されるまでの時間が、前記タブレットケース収納部における前記タブレットケースの位置によって異なる構成となっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の薬剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−83495(P2010−83495A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252492(P2008−252492)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】