説明

薬剤包装機

【課題】切断機構部の小型化、省スペース化が図れる薬剤包装機を提供する。
【解決手段】複数の薬剤を収納する薬剤収納機構を備え、該薬剤収納機構から取り出した任意の薬剤を薬包シートへ導き、該薬包シートを熱溶着して分包袋を形成し、切断機構により所定位置で切断する薬剤包装機において、切断機構60は、薬包シート20を受ける固定体61と、該固定体と協働して薬包シート20を挟持する可動体63とを有し、可動体63は、固定体61に向けて突出自在な切断刃71を備え、固定体61と可動体63とで薬包シート20を挟持した状態で、切断刃71を突出させて、薬包シート20を押し切る構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や薬局などにおいて、医師の処方箋に基づいて調剤された薬剤を一回投与量毎に薬包シートで包装するための薬剤包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処方箋に従って調剤された薬剤を患者に投薬する場合、患者自身がその都度、異なる薬剤を組み合わせて服用しなくても良いように、自動薬剤包装機等で、一回の投薬に必要な薬剤を同一分包袋に分包して投薬している。この分包に使用される薬包シートは、薬包シート内に投薬を投入した後に熱溶着によって密閉され、分包袋が多数一連に連続して形成される。そして、カッター機構により、所定位置において切断されて患者に供給される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−132007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のカッター機構では、薬包シートを切断するためのカッター刃が、例えば鋸をひくように動作するため、切断機構部がどうしても大型化し、設置スペースを大きくとる、という問題があった。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、切断機構部の小型化、省スペース化が図れる薬剤包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、複数の薬剤を収納する薬剤収納機構を備え、該薬剤収納機構から取り出した任意の薬剤を薬包シートへ導き、該薬包シートを熱溶着して分包袋を形成し、切断機構により所定位置で薬包シートを切断する薬剤包装機において、前記切断機構は、前記薬包シートを受ける固定体と、該固定体と協働して前記薬包シートを挟持する可動体とを有し、前記可動体は、前記固定体に向けて突出自在な切断刃を備え、前記固定体と前記可動体とで薬包シートを挟持した状態で、前記切断刃を突出させて、薬包シートを押し切る構成とした、ことを特徴とする。
本発明では、切断機構が、固定体と可動体とで薬包シートを挟持した状態で、前記切断刃を突出させて、薬包シートを押し切る構成としたため、可動体を、例えば水平方向に固定体に向けて移動し、その後に、切断刃を僅か前方に押し出せばよく、従来のように、カッター刃を、例えば鋸をひくように動作させる必要もないため、機構部の小型化が図れ、省スペース化が図れる。
【0005】
前記切断機構の上流側及び下流側に、薬包シートの送り方向と垂直な軸周りを回転する各一対の薬包シート送りローラを有し、上流側の薬包シート送りローラと前記固定体との間に、薬包シートの前縁を前記切断機構に案内する案内体を備えてもよい。
これによれば、切断機構で薬包シートを切断した後、案内体が、後続する薬包シートの前縁を切断機構に案内するため、後続する薬包シートの前縁が、仮に反ったとしても、切断機構に安定して送り込まれる。
前記可動体に、前記切断刃を収納する縦長の開口が形成され、前記固定体に、前記切断刃を受ける凹溝が形成されてもよい。
切断刃が可動体の面積内に位置するため、切断刃が可動体から張り出すことがなく、コンパクト化が図れる。
前記可動体及び前記切断刃は、共通の駆動モータにより駆動されてもよい。
これによれば、アクチュエータの共通化により機構が簡素化できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、切断機構が、固定体と可動体とで薬包シートを挟持した状態で、切断刃を突出させて、薬包シートを押し切るため、可動体を、例えば水平方向に固定体に向けて移動し、その後に、切断刃を僅か前方に押し出せばよく、従来のように、カッター刃を、例えば鋸をひくように動作させる必要もないため、機構部の小型化が図れ、省スペース化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態に係る薬剤包装機について説明する。
図1は、薬包シート20内に薬剤としての固形製剤を投入して包装する薬剤包装機1の外観斜視図であり、図2は、図1の薬剤包装機1の内部を側面から見た状態を示す概要図である。
薬剤包装機1は、病院や調剤薬局などに設置されるもので、矩形状の外装ケース2内に設けられた薬剤収納機構3と、その下方に設けられた薬剤包装機構14などから構成されている。外装ケース2内の上部には薬剤収納機構3のタブレットケース収納部5が構成されており、このタブレットケース収納部5は上面開口をトップテーブル4により開閉自在に閉塞されている。
【0008】
タブレットケース収納部5の内部には複数のタブレットケース6・・・が収納されており、その前上部にはサブ収納部7が設置されている。
このサブ収納部7は前記タブレットケース6内に収納できない薬剤(例えば、半分に切断された錠剤など)を収納するものであり、モータ8の図示しない回転軸のプーリに張られたベルト9によって図示しないベルトコンベア(この場合、チェーン或いは、ギア等で接続しても良い)が駆動される。そして、ベルトコンベアには収納区画7Aが連続して複数設けられている。
【0009】
また、各タブレットケース6・・・の下部には図示しないフォトセンサ等の排出カウント装置がそれぞれ設けられている。
この排出カウント装置は上側の各タブレットケース6・・・にそれぞれ連通すると共に、内部にモータ駆動式の排出ドラムが内蔵されている。また、排出ドラムは側面に複数形成された溝内に前記錠剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤などの固形化された製剤である薬剤が上下一列に入り込む構造とされている。そして、薬剤は排出ドラムが回転することによって、各溝内から一個ずつ落下され、その数は前記フォトセンサにより検出されてカウントされるように構成されている。
【0010】
また、サブ収納部7・・・の一端には落下通路が形成されており、この落下通路は後述するターンテーブル10上に連通している。係るサブ収納部7の収納区画7A内には前述の如き薬剤がそれぞれ収納され、使用者によるスイッチ操作でモータ8が回転することにより、各収納区画7A・・・の薬剤が落下通路から一個ずつターンテーブル10上に落下するように構成されている。
【0011】
そして、各タブレットケース6・・・及び前記落下通路の下方には薬剤を収集するための円盤状のターンテーブル10が設けられており、このターンテーブル10は前記全タブレットケース6・・・及び落下通路の下方に対応する面積を有している。また、ターンテーブル10の中心部には円錐状に盛り上がった隆起部10Aが形成されており、この隆起部10A下方に設けられた図示しないターンテーブルモータにより、ターンテーブル10は所定の速度で回転駆動される。
【0012】
また、ターンテーブル10の周囲には環状のガイド11が起立して設けられており、ガイド11の適所には排出口Dが切込み形成されている。
排出口Dの下方には後述するシュータ13が設けられ、このターンテーブル10の回転によってガイド11側に集められた薬剤は、このシュータ13内に落下するように構成されている。このシュータ13は逆四角錐形状を呈しており上端開口が前記ターンテーブル10の排出口Dに対応すると共に、開口する下端(先端)を二つ折りした薬包シート20の間の上方に対応している。
【0013】
図3は、ターンテーブル10の下方に設けられた薬剤包装機構14を示す。
この薬剤包装機構14は後述する薬包シートロール19を装着する装着手段と、引き出された薬包シート20を所定の位置に案内する案内手段と、薬包シート20の先端を引っ張る引き込み手段とをベース15上に配置して構成されている。薬包シート装着手段は、ベース15上に回転自在に起立して設けられた回転軸16と、この回転軸16の底部に位置して外方に張り出した円盤状の載置板17と、この載置板17の下側(ベース15との間)に配設されたソレノイド駆動のブレーキ(図示せず)などから構成されている。
【0014】
該回転軸16は、後述する薬包シートロール19の軸材21の内径に略合致した(それより少許小さい)外径を有する円柱状を呈しており、この回転軸16は薬包シートロール19に形成された軸材21内に着脱可能に挿入される。
ここで、薬包シートロール19は硬質合成樹脂製(厚肉紙製でも良い)の中空管状軸材(通常紙管と称される)21と、その周囲に巻回された前記薬包シート20とから構成されている。該薬包シート20は、所定幅の縦長の帯状であり、軸材21の周囲にロール状に巻回して設けられている。
【0015】
また、薬包シート20は、低密度ポリエチレンシートの一方の面に、PETシートを重ね合わせて接合してあり、その中央部で、低密度ポリエチレンシート側が内面側になるように二つ折りにして両端をぴったりと重ね合わせて形成されている。薬包シート20は、二重に折り曲げられた折部20Aを下側にし、二重に折り曲げられた開口部20B(折部20Aと反対側)を上側に向けてセットされる。この薬包シート20は二重に折り曲げられた状態で折部20Aを軸材21の下端縁側として当該軸材21に巻回され、巻回した薬包シート20の最終端から引き出されている。
【0016】
薬剤包装機構14には回転軸16の側方に位置して案内手段としてのテンションレバー23が設けられている。このテンションレバー23は、2本のローラ24、25間に差し渡されている。このとき、ローラ24はベース15に固定されており、ローラ25はこのローラ24を中心として揺動自在とされている。該ローラ25は、図示しないバネ材によって回転軸16から離間する方向に付勢されている。また、このローラ25の位置は図示しないスイッチによって検出される。尚、26は案内ローラであり、ローラ24の側方のベース15上に立設されている。
【0017】
テンションレバー23と回転軸16を挟んで反対側のベース15上に引き込み手段としての引込ローラ30が設けられている。この引込ローラ30は一対の幅狭のゴムローラ(天然ゴム或いは合成ゴム等のローラ)33、33Aから成り、回転軸32、34の上端に回動自在に取り付けられている。31は引き込みモータである。
【0018】
また、詳細は後述するヒートシール機構27の下流側に位置する他方のゴムローラ33Aの回転軸34は図示しないコイルバネ等により付勢され、所定の圧力で一方のゴムローラ33Aがゴムローラ33に圧接され、引込モータ31が回転することによって両ゴムローラ33、33Aが回転するように構成されている。そして、この両ゴムローラ33、33Aの間に薬包シート20(開口部20B側)を挟持することにより、薬包シート20を薬包シートロール19より引き出すものである。
【0019】
図4は、ヒートシール機構27の斜視図である。なお、図4において、薬包シート20は右側から左側へと送られる。
ヒートシール機構27は、案内ローラ26と引込ローラ30との間に設けられ、前記薬包シート20の開口部20Bを合掌熱溶着により封止し、且つ、一包毎に仕切る機能を有している。ヒートシール機構27は、所定の間隔で対向して設けられた一対のヒータ29、39から構成されている。また、一方のヒータ29には、作動装置28が設けられている。この作動装置28は、一方のヒータ29を、対向する他方のヒータ39に圧接或いは離間自在に構成されている。そして、各ヒータ29、39を通電することにより、これらは所定の温度に発熱する。
【0020】
ヒータ29、39は、図4における上下方向(薬包シート20の短手方向。薬包シート20の幅方向ともいう)に延びる垂直部29A、39Aと、この垂直部29A、39Aの上端部から薬包シート20の送り方向(薬包シート20の長手方向)の下流側に延びる平行部29B、39Bとからそれぞれ構成されている。すなわち、ヒータ29、30は、図4に示すように、逆L字形状をなしている。また、ヒータ29、39の垂直部29A、39Aは、両側から挟んで薬包シート20の折部20A側から開口部20Bまで熱溶着し、垂直溶着部38を形成して固定する。これにより、ヒートシール機構27の上流側には、開口部20Bが未溶着な状態で、垂直溶着部38と折部20Aとで囲まれた略三角形状の小袋36Aが形成される。なお、上述したシュータ13は、小袋36Aの上方に位置し、タブレットケース6から落下した薬剤がシュータ13から小袋36Aの内部に入るようになっている。また、平行部29B、39Bは垂直部29A、39Aよりも下流側の開口部20Bを熱溶着するように構成されている。
【0021】
ヒートシール機構27で薬包シート20を熱溶着した後、薬包シート20は、引込ローラ30の回転により引込ローラ30側(図4のT方向)に所定距離移動する。そして、ヒータ29、39で薬包シート20を熱溶着することにより、ヒータ29、39の垂直部29A、39Aの下流側(引込ローラ30側)に折部20A以外が熱溶着されて薬剤が封入された分包袋36を形成すると共に、垂直部29A、39Aの上流側に小袋36Aを形成する。また、ヒータ29の垂直部29Aには、上下方向に延びる垂直歯41が設けられている。一方、ヒータ39の垂直部39Aには、この垂直歯41と対応する部分に、垂直歯41を受ける垂直歯受け部51が設けられている。
これらの垂直歯41及び垂直歯受け部51は、薬包シート20の上下方向の長さよりも長く形成されており、薬包シート20の折部20Aから開口部20Bまでを熱溶着する際に、熱溶着部の幅の略中心(折部20Aから開口部20B迄)にミシン目37(ミシン目状の穴)を形成する。
これにより、薬包シート20の三方(残りの一方は折部20A)が熱溶着され、全周が閉塞された分包袋36が形成されると共に、ミシン目37から切り離して分包袋36を分離できるようになっている。
【0022】
さらに、ヒータ29の平行部29Bには、垂直部29Aの近傍であって垂直部29Aの下流側に、上下方向に延びる切込歯43が設けられている。
一方、ヒータ39の平行部39Bには、この切込歯43と対応する部分に、切込歯43を受ける切込歯受け部53が設けられている。これらの切込歯43及び切込歯受け部53は、平行部29B、39Bの上下方向の高さよりも短く形成されており、上端部は、薬包シート20の開口部20Bよりも上側に位置している。これにより、薬包シート20の上側の溶着部に、切込み45が形成される。この切込み45は、患者が分包袋36を容易に開封するためのものである。
【0023】
また、ヒータ29の熱溶着部には、切込歯43の周囲に空隙部46が設けられている。この空隙部46では、薬包シート20は溶着されない。そのため、切込み45の周囲には未溶着部47が形成されることになる。
【0024】
図5は、切断機構を示している。
切断機構60は、上述した一対の幅狭のゴムローラ(薬包シート送りローラ)33、33Aの下流側に配置される。切断機構60は、薬包シート20を受ける固定体61と、該固定体61と協働して薬包シート20を挟持する可動体63とを備え、これらは定盤65上に配置されている。
可動体63は、基材63Aと表面材63Bとを有し、上記基材63Aには、上下に間隔をあけて2本の連結棒66,67が固定され、2本の連結棒66,67は、支持体68に固定されている。基材63Aと表面材63Bには、縦長の開口70が貫通し、該開口70には、鋸歯状の切断刃71が貫通自在に格納されている。切断刃71は平板状の切断刃本体73の先端縁に形成され、切断刃本体73はホルダ74に固定され、ホルダ74は支持体68と並設されている。
【0025】
75は、カム機構(図示せず)を収納する架台であり、架台75には、駆動モータ77が固定されている。駆動モータ77の出力軸(図示せず)は、架台75の内側に位置し、この出力軸には上記カム機構が連結されている。そして、該駆動モータ77が駆動されると、カム機構が動作し、まず、支持体68とホルダ74を一体に押し出し、可動体63と切断刃71が一体に押し出される。
ついで、薬包シート20を挟んで、可動体63が固定体61に当接すると、上記カム機構が、ホルダ74だけを僅かに押し出し、切断刃71だけが押し出されて、固定体61に形成した縦長の凹溝61Aに嵌る。縦長の凹溝61Aの長さは、少なくとも薬包シート20の幅寸法よりも長い。この構成によれば、固定体61と可動体63とによって、薬包シート20を挟持した状態で、切断刃71だけを、固定体61の凹溝61Aに嵌るまで突出することで、薬包シート20が切断される。切断刃71は鋸刃状であり、切断刃71が押し出されると、まず、切断刃71の複数の鋭利な先端部が薬包シート20に突き刺さり、切断刃71が、さらに、押し出されて固定体61の凹溝61Aに嵌ると、薬包シート20が、切断刃71により押し切られる。押し切りが終了すると、上記カム機構の動作により、切断刃71が後退する。切断刃71が、可動体63の開口70に格納されると、切断刃71と可動体63が一体となって、図5に示す位置に後退して待機する。これら可動体63及び切断刃71は、共通の駆動モータ77により駆動されるため、アクチュエータの共通化により駆動機構が簡素化できる。
【0026】
上記幅狭のゴムローラ(薬包シート送りローラ)33は回転軸32を有し、この回転軸32には、タイミングベルト81が掛けられ、タイミングベルト81は、引き込みモータ31の出力軸に掛けられている。
また、ゴムローラ33の回転軸32には、同期用タイミングベルト(図示せず)が掛けられ、同期用タイミングベルトは、切断機構60の下流側に位置した、幅狭のゴムローラ(薬包シート送りローラ)83に掛けられている。84は、ゴムローラ83と対をなす幅狭のゴムローラである。
この構成では、引き込みモータ31が駆動されると、タイミングベルト81を介し、ゴムローラ(薬包シート送りローラ)33,33Aが回転し、同期用タイミングベルトを介し、ゴムローラ83,84が回転する。
【0027】
切断機構60の上流側及び下流側には、上記のように、ゴムローラ33,33A、及びゴムローラ83,84が配置され、これらは、共に、引き込みモータ31により駆動されて、薬包シートの送り方向と垂直な軸周りを回転する。
そして、上流側のゴムローラ33と、上記固定枠61との間には、薬包シート20の前縁を、固定体61と可動体63の間(切断機構60)に案内するための、板を折り曲げた状態の案内体87が配置されている。この案内体87の可動体63側の面は、固定体61の可動体63側と面一になるように配置されている。
【0028】
つぎに、薬剤包装機1の操作手順並びに動作を説明する。
先ず、図3に示すように、薬包シートロール19の軸材21内に回転軸16を挿入しながら薬包シートロール19を載置板17上に載置する。このとき、薬包シートロール19は、薬包シート20の開口部20Bを上側に向けて取り付けられる。このように薬包シートロール19を回転軸16に装着した後、当該薬包シートロール19の薬包シート20を先端から引き出し、テンションレバー23のローラ25、24の外側を順次経て案内ローラ26の内側を通り、続いてヒータ29の間を経て引込ローラ30まで引き回す。そして、薬包シート20の先端を引込ローラ30の両ゴムローラ33、33A間に挿入し、引込モータ31を駆動させると、ゴムローラ33、33Aは互いに圧接しながら薬包シート20をヒートシール機構27側より反対側(手前側)方向に引っ張るので、薬包シート20は引込ローラ30に引き込まれる。
【0029】
薬包シート20は、図5に示すように、切断機構60に進入すると、切断刃71により所定位置で切断される。
切断する位置は任意に制御されるが、例えば図4に示す位置Aである。薬包シート20は、分包袋36を連続的に形成しているが、切断する位置Aの近傍では、前後の数カ所の袋に亘って薬剤を入れていない。
本実施の形態によれば、薬剤の入っていない位置Aの分包袋36において、薬包シート20を、固定体61と可動体63とによって挟持し、この状態で、切断刃71だけを、固定体61の凹溝61Aに嵌るまで突出することで、薬包シート20の位置Aを簡単に押し切りできる。固定体61及び可動体63の幅寸法は、分包袋36の幅寸法よりも幅狭に形成されることが望ましい。
【0030】
本構成では、切断機構60が、固定体61と可動体63とで薬包シート20を挟持した状態で、切断刃71を突出させて、薬包シート20を押し切るため、可動体63を水平方向に固定体61に向けて移動し、その後に、切断刃71を僅か前方に押し出せばよく、従来のように、カッター刃を、例えば鋸をひくように動作させる必要もないため、機構部の小型化が図れ、省スペース化が図れる。また、薬包シート20を、固定体61と可動体63とで挟んでピンと張った状態で、切断刃71を押し出すので、薬包シート20を確実にきれいに切断することができる。
【0031】
切断機構60の上流側のゴムローラ33と固定枠61との間に、薬包シート20の前縁を、切断機構60に案内する案内体87を設けたため、切断機構60で薬包シート20を切断した後、案内体87が、後続する薬包シート20の前縁を切断機構60に案内するので、後続する薬包シート20の前縁部に、仮に湾曲した反りがあったとしても、切断機構60に安定的に送り込まれる。
可動体63に、切断刃71を収納する縦長の開口70が形成されるため、切断刃71が可動体63の面積内に位置することとなり、切断刃71が可動体63から張り出すことがなく、コンパクト化が図れる。
【0032】
以上、一実施の形態に基づいて、本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記実施の形態では、一つの駆動モータ77に連結したカム機構により、可動体63及び切断刃71を駆動する構成としたが、動力伝達機構においては、カム機構に限定されず、可動体63及び切断刃71を駆動でき、最後に切断刃を押し出せればよく、クランク機構等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る薬剤包装機の外観斜視図である。
【図2】薬剤包装機の内部を側面から見た状態を示す概要図である。
【図3】薬剤包装機構を示す斜視図である。
【図4】ヒートシール機構を示す斜視図である。
【図5】切断機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 薬剤包装機
3 薬剤収納機構
20 薬包シート
27 ヒートシール機構
33、33A ゴムローラ(薬包シート送りローラ)
36 分包袋
60 切断機構
61 固定体
63 可動体
70 開口
71 切断刃
77 駆動モータ
83,84 ゴムローラ(薬包シート送りローラ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の薬剤を収納する薬剤収納機構を備え、該薬剤収納機構から任意に取り出した薬剤を薬包シートへ導き、該薬包シートを熱溶着して分包袋を形成し、切断機構により所定位置で薬包シートを切断する薬剤包装機において、
前記切断機構は、前記薬包シートを受ける固定体と、該固定体と協働して前記薬包シートを挟持する可動体とを有し、前記可動体は、前記固定体に向けて突出自在な切断刃を備え、前記固定体と前記可動体とで薬包シートを挟持した状態で、前記切断刃を突出させて、薬包シートを押し切る構成とした、
ことを特徴とする薬剤包装機。
【請求項2】
前記切断機構の上流側及び下流側に、薬包シートの送り方向と垂直な軸周りを回転する各一対の薬包シート送りローラを有し、上流側の薬包シート送りローラと前記固定体との間に、薬包シートの前縁を前記切断機構に案内する案内体を備えた、
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤包装機。
【請求項3】
前記可動体に、前記切断刃を収納する縦長の開口が形成され、前記固定体に、前記切断刃を受ける凹溝が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤包装機。
【請求項4】
前記可動体及び前記切断刃は、共通の駆動モータにより駆動される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の薬剤包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−83538(P2010−83538A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254562(P2008−254562)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】