説明

薬剤収納容器

【課題】直立に適し、また、その直立状態で薬剤を効率的に製造することができる薬剤収納容器を提供すること。
【解決手段】薬剤収納容器1は、先端側に液体が出入り可能な口部7を有し、可撓性を有する材料で構成された収納部2と、収納部2内に収納され、口部7を介して流入した液体によって溶解される薬剤とを備えるものである。この薬剤収納容器1の収納部2は、ブロー成形により成形され、収納部2内に液体が充填された際に、変形して容積が増大する容積変化部35と、口部7が鉛直上方に位置するように収納部2が直立した際に、容積変化部35よりも下方に位置する、薬剤Qが収納される薬剤収納部36とを有し、薬剤収納部36には、平坦な底部361が形成され、平坦な底部361には接着部材が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
抗がん剤、免疫抑制剤等、医療従事者が誤って触れると危険な粉末薬剤は、可撓性を有する薬剤バッグに予め収納されているものがある。この薬剤収納バッグとしては、2枚のシート材の縁部同士を融着したものを用いることができる(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の薬剤収納バッグに収納されている粉末薬剤は、当該薬剤収納バッグに設けられた口部を介して充填された溶解液によって溶解され、この状態で用いられる。
【0003】
この特許文献1に記載の薬剤収納バッグは、溶解液が未だ充填されていない状態では、シート材の内面同士のほとんどの部分が密着した状態となっている。このため、薬剤収納バッグの口部から溶解液を充填しようとしても、溶解液が薬剤収納バッグに円滑に流入することができず、十分な溶解液を充填することができないことがある。また、特許文献1に記載の薬剤収納バッグでは、シート材同士の融着部付近に薬剤が位置している場合、溶解液の充填量によっては、当該溶解液が前記融着部付近にまで行き渡らないことがある。このため、前記融着部付近の薬剤が溶解液に接することができない、すなわち、溶解液で溶解されないという問題も生じる。
【0004】
また、特許文献1に記載の薬剤収納バッグでは、例えば粉末薬剤が、該薬剤を含有する液状組成物を凍結乾燥により乾燥して製造される場合、凍結乾燥装置の薬剤収納バッグ載置部(ステージ)上に、倒れた状態で載置される。そして、この状態で、薬剤収納バッグ載置部を薬剤収納バッグごと冷却する。これにより、薬剤収納バッグ内の液状組成物が凍結乾燥されて、粉末薬剤が生成される。
【0005】
ところで、同じ面積の薬剤収納バッグ載置部上に、特許文献1に記載の複数の薬剤収納バッグが倒れた状態で載置されると、複数の薬剤収納バッグを薬剤収納バッグ載置部に載置する際に載置数が限られるといった問題がある。すなわち、一度に凍結乾燥することができる薬剤収納バッグの数量が少なくなり、効率が悪いという問題が内在した。
【0006】
上記の問題に対して、一度に凍結乾燥することができる薬剤収納バッグの数量を多くする方法として、複数の薬剤収納バッグを直立して薬剤収納バッグ載置部上に載置する方法が考えられる。しかしながら、この状態では各薬剤収納バッグと薬剤収納バッグ載置部との接触面積が、倒れた状態で載置した場合に比べて極端に減少してしまう問題が生じる。このため、各薬剤収納バッグ内の薬剤を十分に凍結乾燥することができず、その結果、当該薬剤収納バッグ内で粉末薬剤を製造することができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−206118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、直立に適し、また、その直立状態で薬剤を効率的に製造することができる薬剤収納容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本薬剤収納容器は、先端側に液体が出入り可能な口部を有し、該薬剤収納容器内に収納され、前記口部を介して流入した前記液体によって溶解される薬剤とを備える薬剤収納容器であり、前記容器は、前記容器内に前記液体が充填された際に、変形して容積が増大する容積変化部と、前記口部が鉛直上方に位置するように前記容器が直立した際に、前記容積変化部よりも下方に位置する、前記薬剤が収納される薬剤収納部とを有し、前記薬剤収納部には、平坦な底部が形成され、前記底部に接着部材を有している、ことを特徴とする。
【0010】
上記の本発明によれば、口部が鉛直上方に位置するように容器が直立した際に、薬剤収納部は、容積変化部よりも下方に位置するように配置される。そして、薬剤収納部が容積変化部よりも下方に位置した直立した状態で、薬剤収納容器をステージ等のような平板上に載置した際、当該薬剤収納容器は、薬剤収納容器の底部に設けられた接着部材により、直立状態を維持し、安定した状態で平板上に載置される。これにより、薬剤収納部に収納される薬剤が、薬剤を含む液状組成物を凍結乾燥させることにより得られるものである場合には、凍結乾燥装置が有する平板状のステージ上に、液状組成物が充填された薬剤収納容器を直立した状態で載置する。この状態でステージごと薬剤収納容器を冷却する際、安定した状態でステージ上に載置することが可能となる。また、薬剤収納部の底部が接着部材により、平坦な面を形成し、これにより、薬剤収納容器を平板上に載置した際、平板と平面で接することが可能となる。ゆえに、薬剤収納容器は、薬剤収納部内の薬剤を凍結乾燥させる際に効率よく凍結乾燥させることが可能となる。
【0011】
また、前記薬剤収納容器はブロー成形を用いて形成される、ことを特徴とする。
【0012】
上記のような構成によれば、薬剤収納容器はブロー成形を用いて形成されるため、当該薬剤収納容器は接着面などの凹凸部を有しない形状となり、凍結乾燥装置の平板状のステージに薬剤収納容器を直立した状態で載置する際、容器とステージとを密接した状態とすることが可能となる。
【0013】
また、前記容積変化部は、前記容器内に未だ前記液体が充填されていない初期状態で間隙を介し対向して設けられた、扁平形状をなす一対の扁平部と、前記扁平部の外周に設けられた枠部と、前記一対の扁平部のうちの少なくとも一方の扁平部と前記枠部とを連結し、容易に変形可能な易変形部とを有し、前記容器内に前記液体が充填された際には、前記易変形部が変形することにより、前記扁平部同士が互いに前記初期状態よりも離間して、前記容器の容積が増大する、ことを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、薬剤収納容器が、内部に液体が充填した際に容積変化部の容積が増大するよう構成される。このため、容器内に液体を容易に充填することができる。また、このとき液体を過不足なく充填することができ、よって、その充填された液体で薬剤を確実に溶解することができる。
【0015】
また、上記薬剤収納容器は、その前記枠部が形成されている部分の肉厚の平均厚さが前記扁平部部分の肉厚の平均厚さよりも薄い、ことを特徴とする。
【0016】
上記薬剤収納容器は、その前記易変形部が形成されている部分の肉厚の平均厚さが前記枠部が形成されている部分の肉厚の平均厚さよりも薄い、ことを特徴とする。
【0017】
また、上記接着部材は、前記底部と一体に形成されている、ことを特徴とする。
【0018】
前接着部材は、前記底部に取り外し可能に設置されている、ことを特徴とする。
【0019】
前記接着部材は、磁石を有している、ことを特徴とする。
【0020】
前記接着部材は、粘着性物質を含む、ことを特徴とする。
【0021】
上記のような構成により、薬剤収納容器を凍結乾燥装置のステージ上において、直立した状態を安定して載置することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、薬剤収納容器が、内部に液体が充填した際に容積変化部の容積が増大するよう構成されているため、当該容器内に液体を容易に過不足なく充填することができ、薬剤を確実に溶解することができる。
【0023】
また、本発明によれば、口部が鉛直上方に位置するように容器を直立させる際に、薬剤収納部の底部に形成された接着部材により、凍結乾燥装置の平板上のステージに直立した状態で安定かつ容易に載置することが可能となり、また、接着部材により、平坦な底部を形成することができる。
【0024】
また、本発明によれば、接着部材が磁石や粘着性物質を含むことにより、凍結乾燥装置のステージ上に容易に安定して載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の薬剤収納容器の第1実施形態を示す斜視図(初期状態を示す図)である。
【図2】本発明の薬剤収納容器の第1実施形態を示す斜視図(液体充填状態を示す図)である。
【図3】図1中のA−A線断面図である。
【図4】図1中のB−B線断面図である。
【図5】図2中のC−C線断面図である。
【図6】図2中のD−D線断面図である。
【図7】本発明の薬剤収納容器の第1の実施形態の底部付近を示す縦断面図である。
【図8】本発明の薬剤収納容器の第2実施形態を示す斜視図(初期状態を示す図)である。
【図9】本発明の薬剤収納容器の第2の実施形態に係る接着部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の薬剤収納容器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
<第1の実施形態>
図1および図2は、それぞれ、本発明の薬剤収納容器の第1の実施形態を示す斜視図(図1は初期状態を示す図、図2は液体充填状態を示す図)、図3は、図1中のA−A線断面図、図4は、図1中のB−B線断面図、図5は、図2中のC−C線断面図、図6は、図2中のD−D線断面図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3および図5中(図7〜図9についても同様)の上側を「先端」、「上」または「上方」、下側を「基端」、「下」または「下方」と言う。
【0028】
図1および図2に示す薬剤収納容器1は、中空の収納部2と、収納部2内に収納された粉末状の薬剤Qとで構成されている。薬剤Qは、薬剤収納容器1の初期状態(図1参照)で、予め収納部2の薬剤収納部36に収納されている。この薬剤Qは、収納部2の口部7を介して充填された溶解液Rによって溶解されて用いられる。以下、薬剤Qが溶解液Rによって溶解されたものを「薬液P」と言う。また、収納部2に溶解液Rが充填された状態を「溶解液充填状態(図2参照)」と言う。
【0029】
収納部2は、内部空間31を有する胴部3と、胴部3の先端部(上部)に設けられた口部7とで構成されている。以下の説明では、特に断らない限り、「初期状態」についてのものを言う。なお、初期状態での内部空間31の容積は、特に限定されないが、例えば、1〜50mLであるのが好ましく、3〜30mLであるのがより好ましい。
【0030】
図1〜図3および図5に示すように、胴部3は、内部空間31の容積が可変する伸縮自在な容積変化部35と、内部空間31内に薬剤Qが収納される薬剤収納部36とに分けることができる。
【0031】
容積変化部35は、収納部2内に溶解液Rが充填された際に、変形して容積が増大する部分である。各図に示すように、容積変化部35は、扁平形状をなす一対の扁平部32a、32bと、扁平部32a、32bの外周側に設けられた枠部33と、各扁平部32a、32bと枠部33とを連結する易変形部34a、34bとを有している。
【0032】
各扁平部32a、32bは、それぞれ、長尺な板状をなす部分である。この扁平部32aと扁平部32bとは、間隙311を介し、すなわち、各内面321同士が非接触で対向して設けられている。図3に示すように、収納部2内に未だ溶解液Rが充填されていない初期状態では、間隙311の大きさ(間隙距離d1)は、薬剤収納容器1の長手方向に沿って一定となっている。これにより、口部7を介して流入した溶解液Rが間隙311を通過することができ、よって、薬剤収納容器1の収納部2の薬剤収納部36にまで容易に行き渡り、溶解液Rを容易かつ確実に充填することができる。これにより、薬剤Qは当該溶解液Rにより溶解される。
【0033】
なお、初期状態での間隙距離d1は、特に限定されないが、例えば、0.5〜25mmであるのが好ましく、1〜15mmであるのがより好ましい。間隙距離d1がこのような数値範囲内であることにより、薬剤収納容器1をブロー成形により製造する場合、当該薬剤収納容器1を安定して製造することができる。
【0034】
また、扁平部32aと扁平部32bとは初期状態で既に互いに離間しているため、溶解液Rが収納部2内に流入した際には、当該溶解液Rは、各扁平部32a、32bをそれぞれ容易に押し広げることができる。これにより、溶解液充填状態では、扁平部32aと扁平部32bとが互いに反対方向に向かって移動して、扁平部32aと扁平部32bとが互いに初期状態よりも大きく離間することとなる(図5、図6参照)。これにより、容積変化部35の内部空間31が増大し、よって、内部空間31内に溶解液Rを過不足なく収納することができる。
【0035】
また、各扁平部32aおよび32bの内面321には、親水化処理が施されていても良い。これにより、各内面321がそれぞれ親水性を有することとなり、間隙311内を溶解液Rが容易に通過することができる。また、薬液Pを口部7を介してシリンジ等で吸引する際、膨張した胴部3内で薬液Pが円滑に流れることができ、よって、その吸引操作を容易に行うことができる。また、各扁平部32aおよび32bの内面321に薬剤Qが癒着するのを防止することができる。なお、各扁平部32aおよび32bの内面321に親水化処理を施す方法としては、特に限定されないが、例えば、プラズマ処理による方法が挙げられる。
【0036】
図1、図2に示すように、各扁平部32a、32bの外周側には、枠部33が設けられている。この枠部33は、各扁平部32a、32bの全周を囲んでいる。これにより、初期状態での薬剤収納容器1の形状が維持され、溶解液Rを充填した際に薬剤収納容器1が膨張し易くなる。また、溶解液充填状態での薬剤収納容器1の形状も維持される。これにより、当該薬剤収納容器1を把持し易くなる。
【0037】
また、枠部33は、前述したように、平面視で長尺状をなす扁平部32a(扁平部32bについても同様)をその外周方向に沿って囲むように形成されている。このため、当該枠部33を扁平部32aの短手方向の両側にそれぞれ位置する側部331と、長手方向の先端側に位置する先端部332とに分けることができる。側部331は、その横断面形状がC字状をなしている(図4参照)。
【0038】
初期状態では、枠部33の内面で囲まれたリング状の側部空間312は、その長さ平均距離d0が平板状の間隙311の間隙距離d1よりも長い(図4参照)。これにより、初期状態で胴部3内に流入した溶解液Rは、当該胴部3内では、間隙311よりも側部空間312側へ流下する。そして、側部空間312を流下した溶解液Rは、間隙311へと流れ込む。これにより、溶解液Rが内部空間31内全体に行き渡り、よって、薬剤収納部36内の薬剤Qが溶解液Rで攪拌されて、溶解される。
【0039】
初期状態では、図4に示すように、各扁平部32a、32bは、側面視で枠部33の幅Wの範囲内に位置している。これにより、初期状態での薬剤収納容器1が扁平形状であっても、薬剤収納容器1内に溶解液Rを確実に充填することができる。
【0040】
図3に示すように、枠部33の先端部332には、その内面で囲まれた空間の幅が基端方向に向かって漸減するガイド部334が形成されている。口部7を介して溶解液Rが流入した際に、その溶解液Rは、ガイド部334によって、間隙311に導入され易くなる。
【0041】
扁平部32aは、その外周部が易変形部34aを介して枠部33と連結され、扁平部32bは、その外周部が易変形部34bを介して枠部33と連結されている。
【0042】
図1に示すように、易変形部34a、34bは、それぞれ、初期状態で枠部33の内側にあり、その枠部33の周方向に沿った環状をなす部分である。
【0043】
図4に示すように、枠部33の厚さt2は、扁平部32a(扁平部32bについても同様)の厚さt1よりも薄くなっている。また、易変形部34a(易変形部34bについても同様)の厚さt3は、枠部33の厚さt2と同等あるいはそれよりも薄くなっている。収納部2では、扁平部32aの弾性率は、枠部33および易変形部34aの弾性率より大きく、枠部33の弾性率は、易変形部34aの弾性率と同等あるいはそれよりも大きいものである。
【0044】
このような厚さの大小関係により、易変形部34a、34bは、それぞれ、扁平部32a、32bや枠部33よりも容易に変形することができる。このように、薬剤収納容器1では、変形する部位が特定されている。これにより、薬剤収納容器1が初期状態から溶解液充填状態となる際に当該薬剤収納容器1が変形するが、このときに、間隙311および側部空間312の大きさが減少するのを確実に防止することができる。これにより、薬剤収納容器1内に溶解液Rを十分に充填することができる。
【0045】
なお、厚さt1の大きさは、特に限定されないが、例えば、0.2〜1mmであるのが好ましく、0.3〜0.8mmであるのがより好ましい。厚さt2(厚さt3についても同様)の大きさは、特に限定されないが、例えば、0.05〜0.9mmであるのが好ましく、0.1〜0.7mmであるのがより好ましい。また、厚さt1と厚さt2との差は、特に限定されないが、例えば、0.05〜0.8mmであるのが好ましい。
【0046】
さて、前述したように、収納部2の胴部3は、容積変化部35と薬剤収納部36とに分けることができる。この薬剤収納部36は、易変形部34a、34bを囲む枠部33が延長したもの、すなわち、枠部33の基端側の一部で構成されている。
【0047】
図1〜図3に示すように、口部7が鉛直上方に位置するように収納部2が直立した際に、薬剤収納部36は、容積変化部35よりも下方に位置するように配置される。また、薬剤収納部36には薬剤Qが収納されているため、当該薬剤収納部36が容積変化部35よりも重くなる(図3参照)。そして、薬剤収納部36が容積変化部35よりも下方に位置した状態、すなわち、直立した状態で、薬剤収納容器1を例えば後述する凍結乾燥装置10のステージ101上に載置した際、当該薬剤収納容器1は、直立状態を維持して、安定してステージ101上に載置される。
【0048】
また、薬剤収納部36には、平坦な底部361が形成されている。これにより、薬剤収納容器1を凍結乾燥装置10のステージ101上に載置した際、薬剤収納容器1は、ステージ101と平面で接することとなる(図3参照)。これにより、薬剤収納容器1は、直立状態を維持して、安定してステージ101上に載置される。このように、薬剤収納容器1は、直立に適したものとなっている。
【0049】
また、薬剤収納部36の平坦な底部361には、接着部材600が設けられている。接着部材600には、ステージ101と当接する当接面610が形成されている。接着部材600は、後述する薬剤収納容器1がブロー成形により形成される際に形成された平坦な底部361が、ステージ101上に載置した状態で隙間なくステージ101の平面と当接するのを補助する。すなわち、薬剤収納容器1は、当接面610を介してステージ101と接する。接着部材600は、薬剤収納容器1と一体に成形されてもよく、また薬剤収納容器1とは別部材と形成された後、平坦な底部361に接着剤や溶着等で取り付けることもできる。
【0050】
接着部材600としては、例えば、磁石や接着剤、粘着物質としてエラストマーや各種ゴム、またマジックテープ(登録商標)などが挙げられる。また、接着部材600が別部材として設けられる場合、例えば、金属や硬質性樹脂の枠を備える補助部材や、補助部材に上述の磁石や接着剤、粘着物質を種々設けることも可能である。これにより、凍結乾燥装置10のステージ101上に薬剤収納容器1を載置した際、薬剤収納容器1はステージ101上で安定して、ステージ101の平面と密着した状態で接することができる。
【0051】
また、薬剤収納部36に収納される薬剤Qが、当該薬剤Qを含む液状組成物を凍結乾燥させることにより得られるものである場合には、薬剤収納部36内で薬剤Qは、凍結乾燥装置10を用いて、次のようにして製造される。凍結乾燥装置10は、平板状をなすステージ101を有している。この凍結乾燥装置10では、ステージ101を冷却することができるよう構成されている。
【0052】
まず、薬剤収納容器1は、直立状態でステージ101に載置されており、この状態で薬剤収納部36内に前記液状組成物が充填されている。薬剤収納容器1は、前述したように直立に適したものであるため、直立状態が維持され、よって、不本意に倒れたりするのが防止される。そして、ステージ101上の薬剤収納容器1ごと、当該ステージ101を冷却する。薬剤収納容器1は、その平坦な底部361を介して、ステージ101と面接触しているため、薬剤収納部36内の液状組成物が確実に冷却される。これにより、薬剤Qが確実に得られる。
【0053】
このように、薬剤収納容器1は、直立状態で、薬剤収納部36内の液状組成物を冷却して、薬剤Qを効率的に製造することができる。
【0054】
また、前述したように、薬剤収納容器1は、ステージ101上では直立状態で載置される。このため、薬剤収納容器1を倒した状態で載置した場合よりも、ステージ101に載置される薬剤収納容器1の載置数が多くなる。これにより、多くの薬剤収納容器1を冷却することができ、よって、薬剤Qを収納した薬剤収納容器1を一度に多数製造することができる。
【0055】
また、薬剤収納部36は、その容積が、溶解液Rが流入して容積変化部35の容積が増大した際の当該容積変化部35の容積よりも小さい。
【0056】
以上のような収納部2(胴部3と口部7の一部(筒状部72)とを含む)は、可撓性を有する材料、すなわち、軟質樹脂材料で構成されている。この軟質樹脂材料としては、特に限定されないが、例えば、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)のようなポリエステル、軟質ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミドエラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。また、胴部3は、単層で構成されていても良いし、複数の層が積層された積層体で構成されていても良い。
【0057】
また、このような軟質樹脂材料で構成される収納部2は、ブロー成形により製造される。ブロー成形で製造することにより、収納部2を所定の形状に容易に形成することができ、かつ収納部2を継ぎ目なく形成することが可能となる。また、収納部2の内面を平滑なものとすることができる。ブロー成形として、例えば、押出型ブロー成形、射出型ブロー成形、延伸ブロー成形や3次元ブロー成形などが挙げられる。
【0058】
薬剤収納容器1の先端側には、溶解液Rが流入したり、薬液Pが流出したりする口部7が配置されている。また、この口部7には、弾性材料で構成された、自己閉塞性を有する弁体5が装着されている。
【0059】
口部7は、枠部33の先端部332に設けられた筒状をなす筒状部72と、筒状部72に装着される蓋部73とを備えている。
【0060】
筒状部72は、その内部に弁体設置部721が形成されている。この弁体設置部721は、第2の内腔部723と、それより基端側に位置し、第2の内腔部723の内径よりも縮径した第3の内腔部724とに分けることができる。また、第3の内腔部724の内径は、後述する弁体5の胴部55の最大外径より若干大きいのが好ましい。
【0061】
また、筒状部72の底面722の中心部には、管状体で構成された内部突起725が設けられている。弁体5が押圧され始めたとき、この内部突起725により、弁体5の内部が支えられて、弁体5に座屈が生じるのを防止することができる。また、溶解液Rが口部7内を通過するに際し、溶解液Rの滞留が生じるのを防ぐことができる。
【0062】
蓋部73は、内部に弁体5を収納する内腔部を有し、筒状部72(弁体設置部721)に連結されるものである。この蓋部73は、例えば、硬質樹脂材料で構成されている。
【0063】
蓋部73の内部には、弁体5の頭部50が挿入可能な第1の内腔部731と、第1の内腔部731に連通し、第1の内腔部731より拡径した嵌合部733とが形成されている。
【0064】
第1の内腔部731は、その形状が弁体5の頭部50の外形に対応するよう形成されている。
【0065】
また、嵌合部733は、筒状部72の外周部に嵌合する部位である。これにより、蓋部73と筒状部72とが液密に連結され、よって、口部7の内部の溶解液Rが蓋部73と筒状部72との間から漏れるのを防止することができる。また、蓋部73と筒状部72とが連結した際、第1の内腔部731と第2の内腔部723とが連通し、第1の内腔部731、第2の内腔部723および第3の内腔部724で形成された空間に弁体5を設置することができる。
【0066】
蓋部73の外周部には、雄ネジ部738が形成されている。口部7では、その雄ネジ部738は、後述するシリンジ90の口部901と同心的に設けられた筒状のロック部902の内周部に形成された雌ネジ部903と螺合する部位である。
【0067】
このような構成の口部7では、その内側の内腔部が、溶解液Rが通過可能な流路として機能する。
【0068】
図3、図5に示すように、口部7には、弁体5が設置されている。これにより、口部7にシリンジ90を接続した際、当該シリンジ90の端面と先端面511とが液密に密着ことができる(図5参照)。
【0069】
弁体5は、管状の胴部55と、胴部55の一端部に一体的に設けられた頭部50とを有している。
【0070】
頭部50は、その形状が有底筒状をなしており、溶解液Rや薬液Pが通過可能な内腔部515と、平面状の先端面511から内腔部515に到達するスリット(開閉部)512とが形成されている。このスリット512は、その形状がほぼ一文字状をなしている。スリット512の形状がこのように簡単であることにより、先端面511(スリット512付近)を押圧した際に当該先端面511が変形し、よって、スリット512が確実に開口する。また、この押圧を解除した際には、先端面511が復元し、よって、スリット512が確実に閉じる。このように弁体5は、自己閉塞性を有するものである。
【0071】
また、このようなスリット512の作動により、口部7の開口部を容易に封止及び封止解除することができる。
【0072】
また、先端面511が平面状をなしていることにより、シリンジ90を接続する場合、予め、先端面511(スリット512)を容易に消毒することができる。
【0073】
また、頭部50は、前述したような押圧力が付与されていないとき、蓋部73の第1の内腔部731に挿入され、スリット512が閉じている。
【0074】
胴部55は、蛇腹状をなす筒状体で構成されている。すなわち、胴部55は、外形において大径リング部552と小径リング部553とが軸方向に交互に配列された蛇腹状をなしている。このような胴部55は、頭部50が蓋部73の第1の内腔部731に挿入される方向に付勢する変形部として機能している。
【0075】
このように胴部55が変形部として機能していることにより、別途に付勢手段を構成するための部品を口部7に設ける必要がなく、部品点数の減少、構造の簡素化に寄与することができる。
【0076】
また、この胴部55は、弁体5がその胴部55側から頭部50側に向って復元する復元力の大半を担っているが、頭部50がその復元力の一部を担っていても良い。
【0077】
以上のような構成の収納部2内には、薬剤Qが収納されている。この薬剤Qとしては、特に限定されないが、例えば、抗がん剤、免疫抑制剤等、医療従事者が誤って触れると危険な薬剤や、抗生剤、止血剤等の使用にあたって溶解が必要な薬剤、小児用の薬剤等の希釈が必要な薬剤、ワクチン、ヘパリン、小児用の薬剤等の複数回取り分ける薬剤等が挙げられる。
【0078】
また、薬剤Qは、当該薬剤Qを含む液状組成物を凍結乾燥により乾燥することによって得られるものである。凍結乾燥を用いることにより、薬剤Qの種類によらず確実に乾燥することができる。
【0079】
薬剤Qを溶解する溶解液Rは、シリンジ90を用いて、薬剤収納容器1に充填される。この溶解液Rとしては、特に限定されないが、例えば、生理食塩水が挙げられる。
【0080】
次に、薬剤収納容器1の使用方法の一例について詳細に説明する。
[1]
まず、初期状態の薬剤収納容器1と、溶解液Rが充填されたシリンジ90とを用意する。
【0081】
[2]
次に、薬剤収納容器1に矢印Sからとシリンジ90を接続する(図5参照)。このとき、シリンジ90の口部901が薬剤収納容器1の口部7の弁体5を基端方向に押圧する。これにより、前述したように弁体5のスリット512が開状態となり、薬剤収納容器1内とシリンジ90内とが連通する。
【0082】
[3]
次に、シリンジ90の押し子を操作して溶解液Rを薬剤収納容器1の口部7を介して、薬剤収納容器1内に注入される(図5参照)。注入された溶解液Rは、側部空間312を通過し、当該側部空間312全体を満たし、その後、間隙311に入り込んで当該間隙311全体を満たす。また、側部空間312を通過した溶解液Rは、薬剤収納部36の内部にも行き渡り、当該薬剤収納部36全体を満たす。これにより、薬剤収納容器1の内部空間31全体に溶解液Rが充填される。また、このとき、溶解液Rが各扁平部32a、32bを外方に向かって押し広げようとするため、易変形部34a、34bが変形し、よって、扁平部32a、32b同士がさらに離間する。その結果、薬剤収納容器1の内部空間31の容積が増大する。このように、薬剤収納容器1では、当該薬剤収納容器1内に溶解液Rを容易に充填することができる。また、薬剤Qを溶解するのに十分な溶解液Rを充填することができる。
【0083】
また、溶解液Rを充填する際、薬剤収納容器1の内部空間31の容積が増大するため、当該内部空間31の圧力上昇を抑制することができる。また、溶解液Rの充填量は、薬剤収納容器1の内部空間31の最大容積以下とすることができる。
【0084】
[4]
次に、シリンジ90が接続された薬剤収納容器1全体を振盪する。これにより、薬剤Qが溶解液Rによって、より確実に溶解される。
【0085】
[5]
次に、薬剤収納容器1内の薬液Pをシリンジ90内に吸引する。この薬液Pの吸引量は、シリンジ90の押し子の操作量に応じて適宜調整することができる。
【0086】
<第2の実施形態>
以下、本発明に係る薬剤収納容器の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2の実施形態に係る薬剤収納容器の初期状態を示している。
【0087】
第2の実施形態に係る薬剤収納容器は、第1の実施形態にかかる薬剤収納容器と、接着部材が別部材として、取り外し可能に設けられている点で異なる。そのため、ここでは接着部材について説明し、第1の実施形態に係る薬剤収納容器と共通する部分については、同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0088】
薬剤収納容器1’には、薬剤収納部36の平坦な底部361に、接着部材600’が取り外し可能に設けられている。接着部材600’には、ステージ101と当接する当接面610’と、当接面に略垂直に設けられた柱部620が形成されている(図9参照)。
【0089】
当節面610’は、平坦な面を構成している。なお、当節面610’は、接着部材600’の底部全域に渡って形成されているのが望ましいが、枠状に形成されていても良い。この場合、枠内に平坦な底部361を収容することができる。
【0090】
柱部620は、当節面610’に略垂直に設けられている。これにより薬剤収納容器1’に対して接着部材600’を容易かつ安定して取り付けることができる。なお、柱部620は、図9では当接面610’の頂点部に設けられているがこれに限定されず、当接面610’の縁部に複数も受けられていても良い。また、薬剤収納容器1’外周を覆う面状に設けられていても良い。
【0091】
これにより、接着部材600’は、ブロー成形により形成される際に形成された平坦な底部361が、ステージ101上で直立するのを補助し、また隙間なくステージ101の平面と当接するのを補助する。すなわち、薬剤収納容器1’は、当接面610’と柱部620を介してステージ101と接する。
【0092】
接着部材600’としては、例えば、金属や硬質性樹脂の部材や、前記部材に磁石や接着剤、粘着物質を種々設けることも可能である。これにより、凍結乾燥装置10のステージ101上に薬剤収納容器1’を載置した際、薬剤収納容器1’はステージ101上で安定して、ステージ101の平面と密着した状態で接することができる。
【0093】
以上のような薬剤収納容器1’は、凍結乾燥時に、接着部材600’を底部平坦な底部361に取り付けることにより、直立状態でステージ101に安定して載置され、直立状態が維持されるとともに、当接面610’を介してステージ101と面接触するため、薬剤収納部36内の液状組成物が確実に冷却することができ、薬剤Qが確実に得られる。
【0094】
このように、薬剤収納容器1’は、安定した直立状態を維持できるとともに、薬剤収納部36内の液状組成物を冷却して、薬剤Qを効率的に製造することができる。
【0095】
以上、本発明の薬剤収納容器を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、薬剤収納容器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていても良い。
【0096】
また、本発明の薬剤収納容器は、前記実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであっても良い。
【0097】
また、収納部は、ブロー成形により製造されたものに限定されず、例えば、収納部となる一対の半割体同士を接合することにより製造されたものであっても良い。
【0098】
初期状態で、各扁平部は、それぞれ枠部の短手方向のほぼ中心部に位置しているがこれに限定されず、例えば、枠部の短手方向の一方側に偏在していても良い。
【0099】
また、薬剤収納容器には、例えば、窒素等のような不活性ガスが予め充填されていても良い。これにより、当該薬剤が酸化するのを防止することができる。
【0100】
また、薬剤収納容器の口部には、各実施形態では弁体が装着されているが、これに限定されず、ゴム栓等の接続形態でも良く、また弁体が省略されていても良い。
【0101】
収納される薬剤としては、前記各実施形態では粉末状のものであったが、これに限定されず、例えば、錠剤状、ゲル状、液状のものであっても良い。
【0102】
また、薬剤収納容器の容積変化部は、2枚の扁平部のうち、双方にそれぞれ易変形部が設けられているものに限定されず、例えば、一方の扁平部に設けられている易変形部を省略し、他方の扁平部にのみに易変形部が設けられたものであっても良い。
【符号の説明】
【0103】
1、1’ 薬剤収納容器 2 収納部
3 胴部 31 内部空間
311 間隙 312 側部空間
32a、32b 扁平部 321 内面
33 枠部 34a、34b 易変形部
35 容積変化部 36 薬剤収納部
361 底部 5 弁体
50 頭部 55 胴部
600、600’ 接着部材 610、610’ 当接面
7 口部 72 筒状部
73 蓋部 90 シリンジ
901 口部 10 凍結乾燥装置
101 ステージ P 薬液
Q 薬剤 R 溶解液
d0 距離 d1 間隙距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に液体が出入り可能な口部を有し、前記口部を介して流入した液体によって溶解される薬剤を収容する薬剤収納容器であって、
前記薬剤収納容器は、前記薬剤収納容器内に前記液体が充填された際に、変形して容積が増大する容積変化部と、
前記口部が鉛直上方に位置するように前記薬剤収納容器が直立した際に、前記容積変化部よりも下方に位置する前記薬剤が収納される薬剤収納部とを有し、
前記薬剤収納部には、平坦な底部が形成され、
前記底部に接着部材を有している
ことを特徴とする薬剤収納容器。
【請求項2】
前記薬剤収納容器は、ブロー成形を用いて製造されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤収納容器。
【請求項3】
前記容積変化部は、前記薬剤収納容器内に前記液体が充填されていない初期状態で、間隙を介し対向して設けられた扁平形状をなす一対の扁平部と、
前記扁平部の外周に設けられた枠部と、
前記一対の扁平部のうちの少なくとも一方の扁平部と前記枠部とを連結し、容易に変形可能な易変形部とを有し、
前記薬剤収納容器内に前記液体が充填された際には、前記易変形部が変形することにより、前記扁平部同士が互いに前記初期状態よりも離間して、前記薬剤収納容器の容積が増大する請求項1ないし2に記載の薬剤収納容器。
【請求項4】
前記薬剤収納容器は、その前記枠部が形成されている部分の肉厚の平均厚さが前記扁平部が形成されている部分の肉厚の平均厚さよりも薄い請求項1ないし3のいずれかに記載の薬剤収納容器。
【請求項5】
前記薬剤収納容器は、その前記易変形部が形成されている部分の肉厚の平均厚さが前記枠部が形成されている部分の肉厚の平均厚さよりも薄い請求項1ないし4のいずれかに記載の薬剤収納容器。
【請求項6】
前記接着部材は、前記底部と一体に形成されている請求項1ないし5のいずれかに記載の薬剤収納容器。
【請求項7】
前接着部材は、前記底部に取り外し可能に設置されている請求項1ないし5に記載の薬剤収納容器。
【請求項8】
前記接着部材は、磁石を有している請求項1ないし7のいずれかに記載の薬剤収納容器。
【請求項9】
前記接着部材は、粘着性物質を含む請求項1ないし8のいずれかに記載の薬剤収納容器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−206233(P2011−206233A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76508(P2010−76508)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】