説明

薬剤投与装置

【課題】製剤シリンジを自動判別し正しい製剤を投与することができる薬剤投与装置を提供する。
【解決手段】マイクロプロセッサは、製剤又は製剤シリンジの色を基準値により判定して製剤の有効性等を判別し、その判別結果をLCD等によりユーザに通知する。また、ステップS4では、マイクロプロセッサは、色検出部13から受け取った色データが基準値内にあるか否かを判定する。色データが基準値内であれば、ステップS5に進み、色データが基準値を外れていれば、ステップS6に進む。ステップS6では、マイクロプロセッサは、製剤を確認する旨のメッセージを報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製剤が入った製剤シリンジを装着し、生体等に製剤を投与可能な薬剤投与装置に係り、詳細には、装着された製剤を自動判別する薬剤投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製剤シリンジの薬液を被験者に投与する場合、作業者は適切な薬液の製剤シリンジを用意する。薬剤投与装置は、所定操作に対応して注入実行機構でピストン部材とシリンダ部材とを相対移動させ、薬液シリンジから被験者に薬液を投与する。
【0003】
従来の薬剤投与装置には、製剤に付属の梱包材に印字されたバーコード又は製剤シリンジに貼り付けられたバーコードを、薬剤投与装置に搭載されているバーコードリーダにて読み取り、結果を表示部に表示し作業者が簡単かつ確実に製剤を確認することができる、薬剤投与装置を含む薬剤注入システムが実用化されている(例えば特許文献1)。
【0004】
図1A.Bは、従来の薬剤投与装置の構成を示す図、図2は、従来の薬剤投与装置のバーコードラベルの表示例を示す図である。
【0005】
図1A.B及び図2に示すように、薬液注入システムは、薬液注入装置100と薬液シリンジ200とを有する。
【0006】
薬液注入装置100は、タッチパネル105、バーコードリーダ108、及び注入ヘッド110が搭載されている。注入ヘッド110は、シリンジ保持機構として2つの凹部112が形成されており、これらの凹部112に薬液シリンジ200のシリンダ部材201が個々に着脱自在に保持される。
【0007】
薬液シリンジ200は、シリンダ部材201とピストン部材202からなり、シリンダ部材201にピストン部材202がスライド自在に挿入されている。シリンダ部材201に薬液が充填されて封止キャップ203が装着され、全体が梱包材204で密封される。
【0008】
薬剤シリンジ200の梱包材とシリンダ部材とピストン部材の少なくとも1つに薬液の識別データ205が記録されており、薬剤投与装置が識別データごとに薬液データを記憶している。薬剤投与装置は、識別データ205をバーコードリーダ108にて読み取り薬液データを検索して、表示部108に表示するので被験者に注入される薬液の各種データを作業者が簡単かつ確実に確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−298550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の製剤注入システムにあっては、バーコードで判別するため、使用者自身が製剤シリンジを見ただけでは製剤が判別し難いという課題を有していた。
【0011】
また、上記の場合、バーコードの判別と製剤シリンジの薬液注入装置への装着が同時に行われないため、使用者が間違ってバーコードと異なる製剤シリンジを薬液製剤注入装置に装着した場合、間違った製剤を投与する危険性があった。更に、薬液注入装置側にバーコードリーダが必要になるので大型化し携帯性が悪化、高価になる課題があった。
【0012】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、製剤シリンジを自動判別し正しい製剤を投与することができる薬剤投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の薬剤投与装置は、体に対して製剤を投与する携帯型の薬剤投与装置であって、装着部を有する装置本体と、容器の中に前記製剤が入った製剤シリンジと、前記製剤シリンジを包含し、前記装着部に装着され、前記製剤シリンジを前記装置本体に対して固定するシリンジカバーと、前記製剤の色、前記製剤シリンジの色、前記製剤シリンジの先端に設けられているキャップの色、前記製剤シリンジ内部のガスケットの色、又は、前記製剤シリンジに貼り付けられたラベルの色、のうち少なくとも一つ以上から反射する反射光により色を検出する色検出手段と、前記色検出手段の検出結果に基づいて前記製剤が適用外であるか否かを判別する判別手段と、前記判別手段により前記製剤が適用外であると判別された場合に判別結果を報知する報知手段とを備え、前記シリンジカバーは、前記製剤シリンジが前記装置本体に固定された際に前記反射光を通過させる窓部若しくは開口部有する、又は、透明部材である、構成を採る。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、製剤シリンジに充填されている製剤、又は製剤が入った製剤シリンジを判別し、判別結果を報知することにより、製剤シリンジを自動判別し正しい製剤を投与することができる。
【0015】
また、使用者の使い勝手を損なうことなく、小型で簡単かつ確実に製剤判別が可能な薬剤投与装置を実現することができ、間違った製剤の投与を防止する安全性の高い薬剤投与装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A.B】従来の薬剤投与装置の構成を示す図
【図2】従来の薬剤投与装置のバーコードラベルの表示例を示す図
【図3】本発明の実施の形態1に係る薬剤投与装置の全体斜視図
【図4】上記実施の形態1に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着する前の状態を示す内部断面図
【図5】上記実施の形態1に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着した後の状態を示す内部断面図
【図6】上記実施の形態1に係る薬剤投与装置の色検出部の周辺の要部拡大断面図
【図7】上記実施の形態1に係る薬剤投与装置の電気回路のブロック図
【図8】上記実施の形態1に係る薬剤投与装置の製剤シリンジ交換時の製剤判別の動作を示すフロー図
【図9】上記実施の形態1に係る薬剤投与装置の製剤シリンジ投与時の製剤判別の動作を示すフロー図
【図10】本発明の実施の形態2に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着する前の状態を示す内部断面図
【図11】上記実施の形態2に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着した後の状態を示す内部断面図
【図12】上記実施の形態2に係る薬剤投与装置の透過型色検出部の周辺の要部拡大断面図
【図13】本発明の実施の形態3に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着する前の状態を示す内部断面図
【図14】上記実施の形態3に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着した後の状態を示す内部断面図
【図15】上記実施の形態3に係る薬剤投与装置の第1の色検出部及び第2の色検出部の周辺を拡大した要部断面図
【図16】上記実施の形態3に係る薬剤投与装置の製剤シリンジ交換時の製剤判別の動作を示すフロー図
【図17】本発明の実施の形態4に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着する前の状態を示す内部断面図
【図18】上記実施の形態4に係る薬剤投与装置の製剤シリンジをシリンジホルダ内へ装着した後の状態を示す内部断面図
【図19】上記実施の形態4に係る薬剤投与装置の第1の色検出部及び第2の色検出部を用いる製剤判別の動作を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る薬剤投与装置の全体斜視図である。
【0019】
図3に示すように、薬剤投与装置1は、筐体2、先端キャップ3、確認窓4、シリンジカバー5、検出用突起5b(図4参照)、電源ボタン6、エア抜きボタン7、完了ボタン8、薬剤投与ボタン9、及び表示手段であるLCD(Liquid Crystal Display)10を備えて構成される。
【0020】
薬剤投与装置1は、装置本体の外装である筐体2によって覆われている。
【0021】
先端キャップ3は、筐体2の一端に着脱可能であり、製剤シリンジ11の装着・脱着や薬液を注入する注射針の着脱時に必要に応じて着脱される。
【0022】
先端キャップ3は、内部確認用の確認窓4を有しているため、透明な部材で構成したシリンジカバー5を介して製剤シリンジ11(図4参照)の有無や種類、製剤の量等を視覚的に確認することができる。
【0023】
また、先端キャップ3は、製剤投与用の注射針が露出しないようにカバーする役割を有し、さらに、製剤投与時においては、先端キャップを皮膚に当接させ、製剤投与用の注射針を先端キャップの前面開口部から、皮膚に前記注射針を刺して、製剤を投与する。
先端キャップは、注射針などの先端が尖った鋭利な部材をカバーして、操作時における安全性を確保している。
【0024】
確認窓4は、透明な部材で構成したシリンジカバー5を介して製剤シリンジ11(図4参照)の有無や種類、製剤の量等を視覚的に確認する内部確認用の窓である。確認窓4は、内部が視覚的に確認できればよく、例えば透明若しくは半透明な部材で構成されていてもよく、また物理的に削り取られた開口でもよい。
【0025】
電源ボタン6は、薬剤投与装置1の電源をON/OFFする。これにより、薬剤投与装置1の動作をするための起動を行なう。
【0026】
エア抜きボタン7は、製剤シリンジ11(図4参照)内の空気抜きを行なうときに使用するものである。製剤シリンジ11内や投与するための注射針(内部が空洞である中空針)内にエアーが入っている場合があるため、このエアー抜きボタン7により、製剤シリンジなどの内部の空気を除去する。
【0027】
完了ボタン8は、エア抜き動作を行った後や各種表示の確認等、必要な操作を完了した時、次のステップに進むことを可能にする。
【0028】
薬剤投与ボタン9は、薬剤を投与する準備が完了した後、薬剤投与時に押す。
【0029】
LCD10は、充電残量やエア抜き操作等の各種の必要な情報を表示する。
【0030】
図4及び図5は、製剤シリンジ11を薬剤投与装置1内へ装着前後の状態を示す断面図である。図4は、製剤シリンジ11を薬剤投与装置1側の装着部であるシリンジホルダ50内へ装着する前の状態を示す内部断面図、図5は、製剤シリンジ11をシリンジホルダ50内へ装着した後の状態を示す内部断面図である。
【0031】
シリンジホルダ50は、製剤シリンジ11を薬剤投与装置1本体に装着する装着部であり、ピストンケース12、着脱溝12a、ピストン15などから構成されている。シリンジホルダ50は、製剤シリンジ11の底部をピストン15に当接させることで、製剤シリンジ11の中心軸方向の挿入を規制して保持し、かつシリンジカバー5を介して製剤シリンジ11をピストンケース12及び着脱溝12aに嵌合させることで、製剤シリンジ11の外周方向のズレを規制して保持する。
【0032】
図4に示すように、シリンジカバー5の装着前の状態では、薬剤投与装置1のシリンジカバー5を外し、製剤シリンジ11を薬剤投与装置1に挿入後、シリンジカバー5を装着して、筐体2内部にあるピストンケース12と嵌合する。シリンジカバー5は、図4に示すように、着脱用突起5aと、検出用突起5bと、開口部5cとを備える。
【0033】
図5に示すように、シリンジカバー5を薬剤投与装置1に装着した後の状態では、着脱用突起5aは、筐体2内に設けられたピストンケース12の内周面側に形成された着脱用溝12aと嵌合する。
【0034】
検出用突起5bは、筐体2の内部に構成したシリンジカバー検出レバー14aの一端を押圧するために設けられている。
【0035】
製剤シリンジ11は、色検出に用いられるラベル11aを有する。
【0036】
ピストンケース12は、筐体2の内壁面に沿って設けられた略円筒形状の部材であって、外周面側に薬剤投与ボタン9、ピストンケース12の内部には、判別手段である色検出部13、シリンジカバー検出部14、ピストン15、ピストン駆動用モータ16が設けられている。
【0037】
薬剤投与ボタン9は、薬剤投与装置1の側面に設けられており、製剤を投与する際に押下される。
【0038】
ピストン15は、前進して投与側(図5において左方向)に向かって製剤を押し出す。
【0039】
シリンジカバー検出部14は、シリンジカバー検出レバー14a、シリンジカバー検出レバースプリング14b、シリンジカバー検出スイッチ14cを有している。シリンジカバー5がピストンケース12内に挿入されると、シリンジカバー5に設けられた検出用突起5bがシリンジカバー検出レバー14aを押すことで、シリンジカバー検出レバースプリング14bのばね力に反して移動してシリンジカバー検出スイッチ14cを押下する。これにより、シリンジカバー5がピストンケース12内に装着されたことを検出することができる。
【0040】
ピストン駆動用モータ16は、所望の方向へ回転することにより、製剤の投与方向においてピストン15を前後進(伸縮)させる。
【0041】
図6は、判別手段の一例である色検出部13の周辺の拡大図である。
【0042】
図6に示すように、色検出部13は、LED13a、遮光壁13b、カラーセンサ13c、及びプリント基板13dを有する。
【0043】
色検出部13は、LED13aから出力されたRGB成分を含む白色光17が開口部5cを通過して製剤シリンジ11に貼り付けられたラベル11aに当たると、ラベル11aと同じ色成分を持つ反射光18に変換され、カラーセンサ13cは、開口部5cを通過して到着した反射光18を受光し、デジタル変換後マイクロプロセッサ20(図7参照)へ出力することで色検出が可能となる。遮光壁13bは、LED13aの白色光17がカラーセンサ13cへ直接入るのを防ぐ役目をしており、製剤シリンジに貼り付けられているラベル11aの色検出をより正確に行なうことが可能となる。
【0044】
図7は、薬剤投与装置1の電気回路及びその周辺のブロック図である。
【0045】
図7に示すように、薬剤投与装置1は、電源ボタン6、エア抜きボタン7、完了ボタン8、薬剤投与ボタン9、色検出部13、シリンジカバー検出スイッチ14c、ピストン駆動用モータ16、制御部であるマイクロプロセッサ20と電気的にそれぞれ接続されている。また、薬剤投与装置1は、装置の電源である電源部19、モータドライブ回路21、電流検知回路22、エンコーダ23、表示部24(LCD10)、サウンダ25、及びバイブレータ26を備えて構成される。
【0046】
電源ボタン6は、薬剤投与装置1の電源のON/OFFの切り替えに使用する。これをONすることにより、薬剤投与装置1の動作をするための起動を行う。
【0047】
エア抜きボタン7は、薬剤投与前の前準備として一般的に行われるエア抜き動作をさせる時に使用する。
【0048】
完了ボタン8は、必要な操作を完了した時に押下して次のステップに移行するのに使用される。
【0049】
薬剤投与ボタン9は、薬剤投与動作を開始させたいときに使用される。
【0050】
電源部19は、薬剤投与装置1の電源部分を示す。電源部19は、携帯性を重視して充電式電池19a及び充電回路19bから構成されている。なお、電源部19には、一次電池を使用しても動作可能である。充電式電池には、ニッケル水素やリチウムイオンなどの電池が使用される。
【0051】
表示部24と、サウンダ25と、バイブレータ26とは使用者への報知手段に使用される。表示部24は、図3に示すLCD10やLED及び有機EL等を指し現在の動作状態、警告の表示等を視覚的に確認するために使用される。
【0052】
表示用LEDなどの光学式の報知方法においては、点灯及び点滅などによる報知が可能である。また、マルチカラータイプの表示用LEDなどを用いる場合、RGBの各色を切り換えたり、各色の比率による任意の色を点灯または点滅表示したりすることで、報知内容の重要度や緊急度も視覚的に報知することが可能となる。したがって、聴覚的に不自由な人に有効である。
【0053】
また、前記表示用LEDは、上記LCD10とは別個に設けても構わない。表示部24は、製剤シリンジ11を薬剤投与装置1に装着する装着部近傍に配置してもよい。
【0054】
サウンダ25は、マイクロプロセッサ20からの音声信号により、警告音、薬剤投与中の音、充電開始時及び完了時の音出力、音声での動作のアナウンス等、聴覚的に報知する場合に使用される。したがって、視覚的に不自由な人に有効である。
【0055】
バイブレータ26は、振動により警告等を報知する。バイブレータ26は、警告音や音声の代わり、又は警告音や音声と同時に振動で使用者に異常等を通知することでより効果的に薬剤投与装置などの状態をより確実に伝えることができる。
【0056】
マイクロプロセッサ20は、装置全体の動作を制御するとともに、各種ボタン6〜9から送られてきた電気信号から装置の対応する動作を制御する。
【0057】
特に、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与の動作を制御する。具体的には、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与ボタン9が押されると、シリンジカバー検出スイッチ14cと色検出部13とを確認し、製剤シリンジ11が正常に装着されているか確認する。製剤シリンジ11が正常に装着されているかの確認後、モータドライブ回路21に電気信号を送りピストン駆動用モータ16を動作させる。ピストン駆動用モータ16が回転すると、機械的に接続されているピストン15(図4参照)が前進し、製剤シリンジ11内の製剤が体内へ投与される。薬剤の投与量は、ピストン駆動用モータ16に接続されたエンコーダ23からの出力信号(パルス信号)をカウントすることで投与量を判断し管理する。
【0058】
また、マイクロプロセッサ20は、図8及び図9で後述するプログラムを実行することにより、製剤シリンジを判別する判別手段としての機能を有する。さらに、マイクロプロセッサ20は、予め設定されている製剤投与量の情報に基づいて、生体に投与する製剤の投与量を、前記モータドライブ回路を自動的に制御して投与することが出来る。つまり、製剤投与量制御部も有している。また、前記製剤投与量などの投与に関する製剤投与情報を設定する製剤投与情報設定部も有している。製剤又は製剤シリンジの色を判別するための基準値なども予め設定されているが、該基準値や製剤投与量などの製剤投与に関係する情報はメモリに格納されている。
【0059】
電流検知回路22は、ピストン駆動用モータ16に異常な荷重(注射針の不装着時や針詰まり時)がかかったときに電流値が通常より大きく変化するため、その異常電流値を検知し、マイクロプロセッサ20に電気信号を送信する。マイクロプロセッサ20は、上記電気信号を受け取ると異常と判断し、薬剤投与動作を中断し、LCD10にエラー等を表示させたり、表示用LEDを点滅させたり、サウンダ25で警告音を出力させたり、バイブレータ26で振動することにより使用者に異常を通知する。
【0060】
シリンジ検出部14を構成するシリンジカバー検出スイッチ14cは、製剤または製剤シリンジ11が薬剤投与装置1に装着されたかどうかを検出する製剤シリンジ検出部に相当し、製剤シリンジの交換時に、正しく装着されたかどうかを検出する。
【0061】
以下、上述のように構成された薬剤投与装置1の動作について説明する。
【0062】
まず、製剤シリンジ11交換時の動作について述べる。
【0063】
図8は、製剤シリンジ11交換時の製剤判別の動作を示すフローチャートであり、マイクロプロセッサ20により実行される。図中、Sは動作フローの各ステップを示す。
【0064】
ステップS1では、マイクロプロセッサ20は、シリンジカバー検出スイッチ14cなどを使用して、製剤シリンジ11が薬剤投与装置1に正しく装着されたか否かをチェックする。製剤シリンジ11が取り付けられていない場合は、ステップS2の待機状態に移行する。
【0065】
製剤シリンジ11が装着されている場合は、ステップS3で、マイクロプロセッサ20は、色検出部13から色データを受け取る。
【0066】
ステップS4では、マイクロプロセッサ20は、色検出部13から受け取った色データが基準値内にあるか否かを判定する。色データが基準値内であれば、ステップS5に進み、色データが基準値を外れていれば、ステップS6に進む。
【0067】
ステップS5では、正しい製剤シリンジが装着されたとして、マイクロプロセッサ20は、エア抜き動作を含む投与前準備処理へ移行する。
【0068】
ステップS6では、間違った製剤シリンジが装着されたとして、マイクロプロセッサ20は、製剤を確認する旨のメッセージを警告報知する。具体的には、間違った製剤を投与する可能性があることを使用者に知らせるために、マイクロプロセッサ20は、表示手段であるLCD10にメッセージ「!製剤を取り外し確認して下さい」旨の警告を表示する。また、マイクロプロセッサ20は、サウンダ25で警告音を報音する、バイブレータ26で振動する。また、表示用LEDを点滅させて報知してもよい。さらにこれらの組み合わせでもよい。
【0069】
ステップS7では、マイクロプロセッサ20は、間違った薬剤が投与できないように薬剤投与装置1を自動停止する。薬剤投与装置1側において自動的に間違った薬剤が投与できないようにすることは、使用者に対する安全面において、非常に有効である。
【0070】
また、製剤/製剤シリンジの判別動作は薬剤投与を開始する際にも実施する。
【0071】
図9は、製剤シリンジ11投与時の製剤判別の動作を示すフローチャートである。基本的な動作は、図8のフローと同様である。
【0072】
ステップS11では、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与ボタン9がユーザに押下されたか否かをチェックする。薬剤投与ボタン9がユーザにより押下されていない場合は、ステップS12の待機状態に移行する。
【0073】
薬剤投与ボタン9がユーザにより押下された場合は、ステップS13に移り、マイクロプロセッサ20は、色検出部13から色データを受け取る。
【0074】
ステップS14では、マイクロプロセッサ20は、色検出部13から受け取った色データが基準値内にあるか否かを判定する。色データが基準値内であれば、ステップS15に進み、色データが基準値を外れていれば、ステップS16に進む。
【0075】
ステップS15では、正しい製剤シリンジが装着されているとして、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与処理へ移行する。
【0076】
ステップS16では、マイクロプロセッサ20は、製剤を確認する旨のメッセージを報知する。具体的には、間違った製剤を投与する可能性があることを使用者に知らせるために、マイクロプロセッサ20は、LCD10にメッセージ「!製剤を取り外し確認して下さい」旨の警告を表示する。また、マイクロプロセッサ20は、サウンダ25で警告音を報音する、バイブレータ26を振動させる。また、表示用LEDを点滅させて報知してもよい。さらにこれらの組み合わせでもよい。
【0077】
ステップS17では、間違った製剤シリンジが装着されているとして、マイクロプロセッサ20は、間違った薬剤が投与できないように薬剤投与装置1を自動停止する。薬剤投与装置1側において自動で間違った薬剤が投与できないようにすることは、使用者に対する安全面において、非常に有効である。
【0078】
このように、薬剤投与を開始する際(薬剤投与の直前含む)に製剤判別を行うことで、間違った製剤を投与する危険性をより低減することができる。間違った製剤投与は、本処理により未然に防止することができる。
【0079】
薬剤投与を開始する際に製剤判別を行う理由としては、図8の製剤交換時の製剤判別処理が何らかの理由で行われなかった場合であっても間違った製剤投与は確実に防止することにある。また、図9の製剤投与時の製剤判別処理に、図8の製剤交換時の製剤判別処理を併用する理由としては、二重チェックによる信頼性の向上に加え、薬剤投与直前での薬剤投与停止という事態は避けて、投与前準備段階で発見できることが好ましいことによる。
【0080】
なお、図8の製剤交換時と図9の製剤投与時の、いずれか一方を実施してもよい。但し、間違った製剤投与を確実に防止する観点から、製剤交換時と薬剤投与時の双方で実施する本実施の形態が好ましい。
【0081】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の薬剤投与装置1に搭載されているマイクロプロセッサ20は、製剤又は製剤シリンジの色を基準値により判定して製剤の有効性等を判別し、その判別結果をLCD10等によりユーザに通知するので、製剤シリンジを自動判別し正しい製剤を投与することができる。使用者は製剤シリンジの確認を自分で目視する作業等が不要になり、手間をかけることなく容易に実施できることができる。また、使用者の使い勝手を損なうことなく、簡単かつ確実に製剤判別が可能になる。さらに、装置の大型化を招くこともない。
【0082】
また、本実施の形態では、図4、図5及び図6に示すシリンジカバー検出手段と、色検出手段を有することで、製剤シリンジの装着及び製剤の使用の可否を判断する。製剤シリンジの交換及び薬剤投与ボタン押下は、薬剤投与のために必要な作業であり、この必要な作業から自動に製剤シリンジの有効性を検出することで、確実に簡単に薬剤の投与の可否が判断でき、かつその状態を報知することで使用者が容易に製剤を投与することができる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、製剤や製剤シリンジ11の色を反射光で検出していたが、これだけに限られず、製剤シリンジ11とシリンジカバー5が一体型の場合には、シリンジカバー5自体に判別用の色を付けて判別する方法やシリンジカバー5に色判別用のラベル11aを貼り付けて判別する方法も考えられる。基本的には、上記の本実施の形態と同様の方式を使用することで、同様の効果が実現できる。
【0084】
(実施の形態2)
実施の形態2は、色検出手段に透過型色検出部を適用した例である。
【0085】
図10及び図11は、本発明の実施の形態2に係る薬剤投与装置の製剤シリンジ42を薬剤投与装置1内へ装着前後の状態を示す断面図である。図10は、製剤シリンジ42をシリンジホルダ50内へ装着する前の状態を示す内部断面図、図11は、製剤シリンジ42をシリンジホルダ50内へ装着した状態を示す内部断面図である。図4及び図5と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0086】
図10及び図11に示すように、シリンジカバー41は、透過型カラー検出用であり、第1の開口部41aと第2の開口部41bを有する。また、シリンジカバー41は、一部又は全体が透明な部材で形成されている。
【0087】
製剤シリンジ42は、透明容器タイプであり、製剤42a、第1のガスケット42b、第2のガスケット42c、容器42dとを有する。
【0088】
透過型色検出部43は、LED43a、カラーセンサ43bを有する。詳細については図12により後述する。
【0089】
図10に示すように、シリンジカバー41の装着前の状態では、薬剤投与装置1のシリンジカバー41を外し、製剤シリンジ42を薬剤投与装置1に装着後、シリンジカバー41を装着して、筐体2内部にあるピストンケース12と嵌合する。
【0090】
図11に示すように、シリンジカバー装着後の状態では、製剤シリンジ42は、シリンジカバー41に装着され、シリンジカバー41の第1の開口部41aと第2の開口部41bが、透過型色検出部43のLED43aとカラーセンサ43bにそれぞれ対応する。
【0091】
図12は、上記透過型色検出部43の周辺を拡大した要部断面図である。
【0092】
図12に示すように、透過型色検出部43は、LED43a、カラーセンサ43bを有する。透過型色検出部43は、LED43aから出力されたRGB成分を含む白色光47が製剤シリンジ42を透過することで透過光44に変換され、カラーセンサ43bは、その透過光44をデジタル変換しマイクロプロセッサ20へ出力する。
【0093】
透過光44は、製剤シリンジ42内に収納されている製剤42a又は容器42dを透過すると、フィルタ効果により、製剤42a又は容器42dのそれぞれと同じ色成分を持つ。したがって、製剤42a又は容器42dの色検出が可能となる。
【0094】
このように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、製剤または製剤容器の色を自動判別するので、使用者は製剤シリンジの確認を自分で目視する作業等が不要になり、手間をかけることなく製剤シリンジの正否判別を実施することができる。使用者の使い勝手にとらわれずに簡単かつ確実に製剤自体の色による製剤の正否判別を容易にできることから、安全性と共に作業性を向上させることができる。
【0095】
また、実施の形態2では、製剤自体の色を判別できることが可能となったため、製剤シリンジ側に血液が人体側から逆流した場合や、製剤の保存状態が悪い時に製剤が変色した場合の判別においても、自動で判別できるという特有の効果がある。
【0096】
さらに、製剤の色が同じ場合でも、製剤の種類毎に容器の色を変え、この容器の色を判別することで製剤の自動判別が可能となることも見出された。
【0097】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1の反射型色検出部の特徴を活かし、さらに複数の色検出手段を備える例である。
【0098】
図13及び図14は、本発明の実施の形態3に係る薬剤投与装置の製剤シリンジ46を薬剤投与装置1内へ装着前後の状態を示す断面図である。図13は、製剤シリンジ46をシリンジホルダ50内へ装着する前の状態を示す内部断面図、図14は、製剤シリンジ46をシリンジホルダ50内へ装着した後の状態を示す内部断面図である。図4及び図5と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0099】
図13及び図14に示すように、薬剤投与装置1は、第1の色検出部47と第2の色検出部48とを有する。第1の色検出部47及び第2の色検出部48については、図15により後述する。第1の色検出部47と第2の色検出部48の2箇所の色検出部を有することで複数箇所の色検出が可能になりより高度な製剤の自動判別が可能となる。
【0100】
シリンジカバー45は、第1の開口部45aと第2の開口部45bを有する。
【0101】
製剤シリンジ46は、溶解使用タイプであり、粉末製剤46a、シリンジ凸部46b、第1のガスケット46c、薬液46d、及び第2のガスケット46eを備える。
【0102】
図13に示すように、シリンジカバー45の装着前の状態では、薬剤投与装置1のシリンジカバー45を外し、製剤シリンジ46を薬剤投与装置1に挿入後、シリンジカバー45を装着して、筐体2内部にあるピストンケース12と嵌合する。
【0103】
図14は、シリンジカバー装着後の状態を示している。
【0104】
図15は、上記第1の色検出部47及び第2の色検出部48の周辺を拡大した要部断面図である。図6と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0105】
第1の色検出部47と第2の色検出部48の構成は、図6の色検出部13と同じである。図6の色検出部13を、第1の色検出部47と第2の色検出部48として2箇所設置する。
【0106】
第1の色検出部47と第2の色検出部48は、LED13aから出力されたRGB成分を含む白色光17が第1のガスケット46c及び第2のガスケット46eに当たると、各ガスケット(46c及び46e)と同じ色成分を持つ各反射光18に変換され、第1の色検出部47と第2の色検出部48は、各反射光をデジタル変換し、マイクロプロセッサ20へ出力することで色検出が可能となる。
【0107】
図16は、製剤シリンジ(溶解使用タイプ)46交換時の製剤判別の動作を示すフローチャートである。
【0108】
ステップS21では、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与ボタン9がユーザに押下されたか否かをチェックする。薬剤投与ボタン9がユーザにより押下されていない場合は、ステップS22の待機状態に移行する。
【0109】
薬剤投与ボタン9がユーザにより押下された場合は、ステップS23へ移り、マイクロプロセッサ20は、第1の色検出部47から色データ1を受け取り、次にステップS24で、マイクロプロセッサ20は、第2の色検出部48から色データ2を受け取る。
【0110】
ステップS25では、マイクロプロセッサ20は、第1の色検出部47及び第2の色検出部48から受け取った色データ1及び色データ2がそれぞれ基準値内にあるか否かを判定する。
【0111】
色データ1及び色データ2が基準値内であれば、マイクロプロセッサ20は、挿入された製剤シリンジ46を新品と判断してステップS26に進む。
【0112】
ステップS26では、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与装置1に内蔵のピストン駆動用モータ16を駆動させることによりピストン15を一定量前進させ製剤を自動溶解させる。
【0113】
上記ステップS25で色データ1及び色データ2が基準値から外れていれば、ステップS27に進む。
【0114】
ステップS27では、マイクロプロセッサ20は、製剤を確認する旨のメッセージを報知する。具体的には、間違った製剤を投与する可能性があることを使用者に知らせるために、マイクロプロセッサ20は、表示手段であるLCD10にメッセージ「!製剤を取り外し確認して下さい」旨の注意・警告を表示する。また、マイクロプロセッサ20は、サウンダ25で警告音を報音する、バイブレータ26で振動する。また、表示用LEDを点滅させて報知してもよい。さらにこれらの組み合わせでもよい。
【0115】
ステップS28では、マイクロプロセッサ20は、間違った薬剤が投与できないように薬剤投与装置1を自動停止する。薬剤投与装置1側において自動で間違った薬剤が投与できないようにする製剤投与防止手段を有することは、使用者に対する安全面において、非常に有効である。
【0116】
このように、実施の形態3によれば、製剤シリンジのガスケットの色を判別することが可能となったため、製剤の保存状態、つまり新品かどうかの新品判断も容易に自動判別することができる。
【0117】
例えば、製剤を溶解して使用するタイプの薬剤投与装置において、製剤シリンジの2箇所のガスケットを色判断した後に、製剤を自動溶解させることが可能になる。また、さまざまなタイプの製剤の自動判別にも対応できるという特有の効果がある。
【0118】
(実施の形態4)
実施の形態4は、反射型色検出部と透過型色検出部の2種類の色検出手段を備える例である。
【0119】
図17及び図18は、本発明の実施の形態4に係る薬剤投与装置の製剤シリンジ11を薬剤投与装置1内へ装着前後の状態を示す断面図である。図17は、製剤シリンジ11をシリンジホルダ50内へ装着する前の状態を示す内部断面図、図18は、製剤シリンジ11をシリンジホルダ50内へ装着した後の状態を示す内部断面図である。図4、図5、図13及び図14と同一構成部分には同一符号を付して重複箇所の説明を省略する。
【0120】
図17及び図18に示すように、シリンジカバー57は、複数箇所カラー検出用であり、第1の開口部57a、第2の開口部57b、及び第3の開口部57cを有する。
【0121】
製剤シリンジ11は、色検出に用いられるラベル11aを有する。
【0122】
第1の色検出部58は、LED58a及びカラーセンサ58bを有し、図12の透過型色検出部43と同様の方法で、製剤シリンジ11からの透過光をデジタル変換し、マイクロプロセッサ20へ出力することで色検出が可能となる。
【0123】
第2の色検出部59は、図6の色検出部13と同様の構成を有し、同様の方法で製剤シリンジ11からの反射光をデジタル変換し、マイクロプロセッサ20へ出力することで色検出が可能となる。
【0124】
第1の色検出部58と第2の色検出部59の2箇所の色検出部を有することで複数箇所の色検出が可能になり、より高度な製剤の自動判別が可能となる。
【0125】
図19は、第1の色検出部58及び第2の色検出部59を用いる製剤判別の動作を示すフローチャートである。
【0126】
ステップS31では、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与ボタン9がユーザに押下されたか否かをチェックする。薬剤投与ボタン9がユーザに押下されていない場合は、ステップS32の待機状態に移行する。
【0127】
薬剤投与ボタン9がユーザに押下されている場合は、ステップS33で、マイクロプロセッサ20は、第2の色検出部59から色データ2を受け取る。
【0128】
ステップS34では、マイクロプロセッサ20は、第2の色検出部59から受け取った色データ2が基準値内にあるか否かを判定する。
【0129】
色データ2が基準値を外れていれば、ステップS35で、マイクロプロセッサ20は、製剤を確認する旨のメッセージを報知する。具体的には、間違った製剤を投与する可能性があることを使用者に知らせるために、マイクロプロセッサ20は、LCD10にメッセージ「!製剤を取り外し確認して下さい」旨の注意・警告を表示する。また、マイクロプロセッサ20は、サウンダ25で警告音を報音する、バイブレータ26で振動する。また、表示用LEDを点滅させて報知してもよい。さらにこれらの組み合わせでもよい。
【0130】
ステップS36では、マイクロプロセッサ20は、間違った薬剤が投与できないように薬剤投与装置1を自動停止する。薬剤投与装置1側において自動で間違った薬剤が投与できないようにすることは、使用者に対する安全面において、非常に有効である。
【0131】
上記ステップS34で色データ2が基準値内であれば、ステップS37で、マイクロプロセッサ20は、第1の色検出部58から色データ1を受け取る。
【0132】
ステップS38では、マイクロプロセッサ20は、第1の色検出部58から受け取った色データ1が基準値内にあるか否かを判定する。
【0133】
色データ1が基準値内であれば、マイクロプロセッサ20は、挿入された製剤シリンジ11を新品と判断してステップS39に進む。
【0134】
ステップS39では、マイクロプロセッサ20は、薬剤投与処理へ移行する。
【0135】
上記ステップS38で色データ1が基準値を外れていれば、ステップS40で、マイクロプロセッサ20は、製剤を確認する旨のメッセージを報知する。具体的には、劣化した又は異常のある製剤を投与する可能性があることを使用者に知らせるために、マイクロプロセッサ20は、LCD10にメッセージ「!製剤が変色しています」旨の注意・警告を表示する。また、マイクロプロセッサ20は、サウンダ25で警告音を報音する、バイブレータ26で振動する。また、表示用LEDを点滅させて報知してもよい。さらにこれらの組み合わせでもよい。
【0136】
ステップS41では、マイクロプロセッサ20は、劣化した又は異常のある薬剤が投与できないように薬剤投与装置1を自動停止する。薬剤投与装置1側において自動で劣化した又は異常のある薬剤が投与できないようにする製剤投与防止手段を有することは、使用者に対する安全面において、非常に有効である。
【0137】
このように、実施の形態4によれば、まず第2の色検出部59により製剤シリンジ11に有するラベル11aの色を判定して、製剤シリンジの種類を自動判別する。次いで、第1の色検出部58により、製剤自体の色を判定して製剤が変色していないかどうかを自動判別する。このような2種類の色判別を実施することによって、使用者は製剤シリンジの確認を自分で目視する作業等が不要になり、手間をかけることなく製剤シリンジの判別を容易に実施できることができる。すなわち、使用者の使い勝手にとらわれずに簡単かつ確実に、前記2種類の項目を色検出することで、より安全に本薬剤投与装置を使用することができ、作業性を向上させることができる。
【0138】
さらに、第1の色検出部58を、実施の形態1のような反射型の色検出部に代え、所定の場所に、例えば、(1)日油技研工業の不可逆性の温度管理用示温材、(2)共同印刷「ヒューミジャッジ」のような湿度インジケータを配置して、その温度管理用示温材や湿度インジケータの色又は色の変化を検出することも可能である。これらの検出により、製剤の保存状態(製剤周辺の温度や湿度など)もより正確に自動判別することが要求される薬剤投与装置にも対応できるという優位的な点が見出された。各種薬剤投与装置に広く活用が期待される。
【0139】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0140】
また、本実施の形態では薬剤投与装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、装置の名称は薬剤注入装置、薬剤投与システム等であってもよいことは勿論である。
【0141】
また、上記薬剤投与装置を構成する各部、例えば薬剤投与ボタンの種類、その数及び接続方法などはどのようなものでもよい。
【0142】
以上説明した薬剤投与方法は、この薬剤投与方法を機能させるためのプログラムでも実現される。このプログラムはコンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【0143】
2008年12月16日出願の特願2008−320056の日本出願に含まれる明細書、図面及び要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明に係る薬剤投与装置は、薬剤投与のために必要な動作をすることで正確に製剤シリンジを自動判別する機能を有し、製剤が入った製剤シリンジを装着し、生体等に製剤を投与可能な薬剤投与装置等として有用である。特に、高齢者や子供、身体の不自由な方の自己注射や、家族の方による患者への注射等に有用である。
【符号の説明】
【0145】
1 薬剤投与装置
2 筐体
3 先端キャップ
4 確認窓
5,41,45,57 シリンジカバー
5a 着脱用突起
5b 検出用突起
5c 開口部
6 電源ボタン
8 完了ボタン
7 エア抜きボタン
8 完了ボタン
9 薬剤投与ボタン
10 LCD
11,42,46 製剤シリンジ
11a ラベル
12 ピストンケース
12a 着脱用溝
13 色検出部
13a,43a,58a LED
13b 遮光壁
13c,43b,58b カラーセンサ
13d プリント基板
14 シリンジカバー検出部
14a シリンジカバー検出レバー
14b シリンジカバー検出レバースプリング
14c シリンジカバー検出スイッチ
15 ピストン
16 ピストン駆動用モータ
19 電源部
19a 充電式電池
19b 充電回路
20 マイクロプロセッサ
21 モータドライブ回路
22 電流検知回路
23 エンコーダ
24 表示部
25 サウンダ
26 バイブレータ
41a,45a,57a 第1の開口部
41b,45b,57b 第2の開口部
42a 製剤
42b,46c 第1のガスケット
42c,46e 第2のガスケット
42d 容器
43 透過型色検出部
46a 粉末製剤
46d 薬液
47,58 第1の色検出部
48,59 第2の色検出部
50 シリンジホルダ
57c 第3の開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
体に対して製剤を投与する携帯型の薬剤投与装置であって、
装着部を有する装置本体と、
容器の中に前記製剤が入った製剤シリンジと、
前記製剤シリンジを包含し、前記装着部に装着され、前記製剤シリンジを前記装置本体に対して固定するシリンジカバーと、
前記製剤の色、前記製剤シリンジの色、前記製剤シリンジの先端に設けられているキャップの色、前記製剤シリンジ内部のガスケットの色、又は、前記製剤シリンジに貼り付けられたラベルの色、のうち少なくとも一つ以上から反射する反射光により色を検出する色検出手段と、
前記色検出手段の検出結果に基づいて前記製剤が適用外であるか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記製剤が適用外であると判別された場合に判別結果を報知する報知手段と
を備え
前記シリンジカバーは、前記製剤シリンジが前記装置本体に固定された際に前記反射光を通過させる窓部若しくは開口部有する、又は、透明部材である、
薬剤投与装置。
【請求項2】
前記装置本体に装着されることにより、前記シリンジカバーを覆う先端キャップを有し、
前記先端キャップは、ユーザが前記装置本体に固定された前記製剤シリンジを視覚的に確認することが可能な位置に窓部を有する、
請求項1記載の薬剤投与装置。
【請求項3】
前記製剤シリンジは、製剤の種類毎に容器の色が異なる、
請求項1又は請求項2に記載の薬剤投与装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記判別結果を聴覚的手段により報知する請求項1から請求項3のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記判別結果を振動で報知する請求項1から請求項4のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記判別結果を視覚的手段により報知する請求項1から請求項5のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項7】
製剤投与を実行する製剤投与手段と、
前記判別手段により、前記装置本体に固定された前記製剤シリンジが適用外であると判別された場合に前記製剤投与手段による前記製剤投与動作を停止する製剤投与防止手段と
を備える請求項1から請求項6のいずれかに記載の製剤投与装置。
【請求項8】
製剤シリンジの交換を検出する製剤交換検出手段を備え、
前記判別手段は、前記製剤交換検出手段により製剤シリンジが交換されたことを検出した際に前記判別を実施する請求項1から請求項7のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項9】
製剤投与を実行する製剤投与手段を備え、
前記判別手段は、前記製剤投与手段による薬剤投与動作開始の際に前記判別を実施する請求項1から請求項8のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項10】
前記判別手段は、前記シリンジカバーを前記装着部に装着した際又は装着した後に前記判別を実施する請求項1から請求項8のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項11】
製剤投与を実行する製剤投与手段を備え、
前記判別手段は、前記シリンジカバーを前記装着部に装着した際又は装着した後に前記判別を実施し、且つ、前記製剤投与手段による薬剤投与動作開始の際にも前記判別を実施する請求項10記載の薬剤投与装置。
【請求項12】
前記報知手段は、前記装着部近傍に設けられている請求項1から請求項11のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項13】
前記シリンジカバーが前記装置本体に装着されたことを検出する製剤シリンジ検出部を有する請求項1から請求項12のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項14】
予め設定されている所定の製剤投与量情報により、前記製剤シリンジ内の製剤を生体に自動的にその所定の製剤投与量を投与する製剤投与量制御部を有する請求項1から請求項13のいずれかに記載の薬剤投与装置。
【請求項15】
生体に投与する製剤投与量情報を予め設定できる製剤投与情報設定部を有する請求項14記載の薬剤投与装置。


【図1A.B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−39394(P2013−39394A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228056(P2012−228056)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2010−542816(P2010−542816)の分割
【原出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】