説明

薬剤物質の送達制御用マトリックス組成物

医薬使用のための新規なマトリックス組成物。本マトリックス組成物は改善された生物学的利用能が所望される状況および/または殆ど溶けないか、または不溶な活性物が使用される状況において特に適しているようにデザインされている。したがって、経口使用のための医薬組成物の制御された放出が被覆されたマトリックス組成物の形態で提供され、該マトリックス組成物が、i) 第1のポリマーがポリエチレングリコール類およびポリエチレンオキシド類からなる群から選択されており、そして第2のポリマーがポリ(エチレングリコール-b-(DL-乳酸-コ-グリコール酸)-b-エチレングリコール(PEG-PLGA PEG)、ポリ((DL-乳酸-コ-グリコール酸)-g-エチレングリコール) (PLGA-g-PEG)、ポロキサマー類およびポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)を含むエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーから選択されている、共に可塑化特性を有し、かつ最大限200℃の温度の溶融点または溶融間隔を有する第1および第2のポリマーの混合物、ii) 治療上、予防上および/または診断上の活性物質を含み、そのマトリックス組成物は、前記マトリックスの一表面において露出する開口を少なくとも一つ有する被覆が備えられており、そこでは活性物質が実質的にゼロ次放出で放出される、被覆されたマトリックス組成物の形態にある経口使用のための放出制御性医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に経口投与後の1以上の活性物質の送達のために、医薬領域における使用に好適な新規のマトリックス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
この10年間の間、医薬組成物からの活性医薬物質の放出を加減するための多くの異なるシステムが開発された。それらの多くは、組成物からの活性物質のゼロまたは一次放出速度を得ることを目的とする。ゼロ次放出速度(すなわち、時間に対する活性物質の一定放出)は、医薬組成物から得ることが極めて困難であると思われる。本発明は、高分子マトリックス組成物に基づいており、それはゼロ次放出方法で活性物質を送達すると解釈される。本発明は、本出願人の以前記載した薬物送達システム(例えばEP-B-0 406 315、EP-B-0 493 513、EP-B-0 740 310およびWO 99/51208を参照)に基づくさらなる開発であり、それらは本明細書中に引例として組み込まれる。
【0003】
活性物質の制御された放出は、例えばそれをポリエチレングリコールマトリックス中に包埋させることに得られることが知られている(WO99/51208、EP-B-0 493 513およびEP-B-0 746 310(同一出願人)。しかしながら、まだ解決される必要がある挑戦の1つは、例えば、経口投与投与後の医薬組成物は、公知の組成物と比較して改善された生物学的利用能をもたらす、殆んど溶けない薬剤物質のための医薬組成物を提供することである。多くの結晶性の治療上の活性物質は、例えば体液のような水性媒体中で非常に僅かな溶解性を有する。結晶性化合物をその非晶質状態に変えることが、化合物の水溶性を実質的に増加することは周知である。したがって、この10年間の間、非晶質形態にある活性物質を有する組成物を提供する多くの試みがなされてきた。
しかしながら、通常、非晶質形態は熱力学的に安定ではなく、したがって、結晶性形態の析出物が、保管の間に生ずるかもしれない。本発明は、上記の問題と取組んでいる。
【0004】
本発明の説明
製剤の放出制御のために、固体分散体または固溶体が溶解度を増加し、したがって異なる化合物の経口的な生物学的利用能を潜在的に増加する魅力的な方法を提供する。
固体分散体が溶解増大をもたらすことにより、いくつかの可能性があるメカニズムがある。
それらは、a)薬剤粒子径の減少、2)湿潤性改善のための薬剤粒子の表面特性の変更、3)有効成分のより高いエネルギー固体状態形態(例えば、非晶質)の形成のように分類され得る。
【0005】
したがって、固体分子分散体(非晶質形態)を開発する第1の理由は、乏しい水溶性薬剤の溶解を高め、経口の生物学的利用能を改善することである。しかしながら、非晶質固体の再結晶、それらのより高い吸湿性およびそれらの反応性は、安定な組成物の開発において、障害を生じ得る。水の取り込みの増加は、より密度が高い結晶性化合物により示される表面吸着ではなく、非晶質固体が、それらの内部の構造内に水を吸着する能力から生じている。したがって、いくつかの状況においては、結晶相に比例して固体組成物中の非晶質材料の度合いを制御でき、同時に製剤の所望の放出パターンを得ることができることが有利であり得る。本発明による所望の放出パターンを用いることは、ゼロ次放出、拍動性または突発性および即時放出のような、制御された放出を意味する。
【0006】
本発明によれば、PEOとポロキサマーのようなブロックコポリマーとの特定の組み合わせは、非晶質および/または非晶質/結晶相の制御ならびにポリマーマトリックスシステムからの活性物質の制御された放出を可能にすることを示した。
【0007】
本明細書中、用語「PEO」はポリエチレンオキシド類およびポリエチレングリコール類を包含する。
【0008】
本発明は、改善された生物学的利用能が所望されるような状況、および/または僅かか、または不溶な活性物質が使用されるような状況において特に好適であるためにデザインされた新規なマトリックス組成物に関する。したがって、本発明は、マトリックス組成物が、
i) 第1のポリマーがポリエチレングリコール類およびポリエチレンオキシド類からなる群から選択されており、そして
【0009】
第2のポリマーがポリ(エチレングリコール-b-(DL-乳酸-コ-グリコール酸)-b-エチレングリコール(PEG-PLGA PEG)、ポリ((DL-乳酸-コ-グリコール酸)-g-エチレングリコール) (PLGA-g-PEG)、ポロキサマー類およびポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)を含むエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーから選択されている、
共に可塑化特性を有し、かつ最大限200℃の溶融点または溶融温度差を有する第1および第2のポリマーの混合物、
ii) 治療上、予防上および/または診断上の活性物質、
を含み、
【0010】
そのマトリックス組成物は、前記マトリックスの一表面において露出する開口を少なくとも一つ有する被覆剤が備えられており、その被覆剤は、
i) 熱可塑性の特性を有し、組成物に用いられる水性媒体中に実質的に不溶性である第1のセルロース誘導体、
および少なくとも一つの
ii) 水に可溶性または分散性である第2のセルロース誘導体、
iii) 可塑剤、と
iv) 充填剤、
を含み、
そこでは活性物質が実質的にゼロ次放出で放出される、
被覆されたマトリックス組成物の形態にある経口使用のための放出制御性医薬組成物が提供される。
【0011】
マトリックス組成物
本発明による医薬組成物は、PEOを含む第1のポリマー、上記のような第2のポリマーおよび1以上の活性物質を含む。
【0012】
ポリマー類
特定の具体例において、ポリマーは実質的に水溶性もしくは結晶性ポリマーであるか、あるいは実質的に水溶性および/または結晶性ポリマーの混合物である。以下の議論から見えるように、ブロックコポリマーは、所望の形態中のマトリックス組成物内に存在する活性物質の或る度合いを確実にする活性物質用可溶化剤として供され得る。
第1および第2のポリマーの混合物は重要であり、マトリックス組成物の好適な特性を提供する。第1および第2のポリマーの混合物は、活性物質のための分散媒体または溶媒としても重要である。本発明による組成物の製造は、2つのポリマーが一緒に溶融し、この溶融物において活性物質を溶解させるか、または分散させるために、ポリマーの混合物を加熱することにより好適に行なわれる。以下に、好適な第1および第2のポリマー類に関してより詳細に示す。
【0013】
第1のポリマーはポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレンオキシドである。ポリエチレングリコール類(分子量が約100,000を越えるときポリエチレンオキシド類と表示する)は、エチレングリコールの縮合ポリマー類の混合物である。このポリマー類は、一般式 H(OCH2CH2)nOH (ここで、nは4以上の整数である)を有する。一般に、数字が各PEGの後に続き、それがその平均分子量に対応する。
【0014】
本発明による使用に好適なPEO類は、結晶および/または非晶質形態にあり、少なくとも約20,000の分子量を有しているか、あるいはそのようなポリマー類の混合物である。
【0015】
それは、典型的には、約20,000〜約700,000ダルトン、約20,000〜約600,000ダルトン、約35,000〜約500,000ダルトン、約35,000〜約400,000ダルトン、約35,000〜約300,000ダルトン、約50,000〜約300,000ダルトンのような、例えば約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約75,000ダルトン、約100,000ダルトン、約150,000ダルトン、約200,000ダルトン、約250,000ダルトン、約300,000ダルトンまたは約400,000ダルトンのような約20,000ダルトンからの分子量を有する。
【0016】
本発明の好ましい具体例において、第1のポリマーは約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約100,000ダルトンおよび約200,000ダルトンの分子量を有する。
【0017】
異なる平均分子量を有するPEGの混合物は、所望の平均分子量を有するPEGを得るために用いることができる。所望の分子量に最も近いMWを有するPEGを使用することが必要であるような場合には、表示することが重要である。所望のMWを有するPEGを得るために必要な2つのPEGの個々の量は、水酸基価および上記の式から計算され得る。
【0018】
上記のように、本発による組成物の好適な製造方法は、加熱(好適な方法は、例えば、射出成形および押出である)により、したがって用いられるポリマー類がそのような方法に好適な温度で溶融し、かつ同時にその温度が、その製造工程の間に活性物質が分解を受ける恐れがあるほど高くあるべきでない温度であることが重要である。したがって、第1のポリマーは典型的には、例えば約30〜約100℃または約40〜約80℃のような約20〜120℃の溶融点を有する。
【0019】
一般に、第1のポリマーは第2のポリマーより、より大量に存在する。したがって、マトリックス組成物中の第1のポリマーの濃度は、例えば約20〜約99%、約30〜約99重量%、約35〜約95重量%、約35〜約90重量%、約35〜約85重量%、約35〜約80重量%、約40〜約75重量%、約45〜約70重量%、約45〜約65重量%、約55〜約85重量%または約60〜約85重量%のような約10〜約99.5%であり得る。
【0020】
通常、第2のポリマーは、第1のポリマーと比較すると、より低い分子量を有するポリマーである。一般に、第2のポリマーは、親水性(例えば、第1のポリマーおよび/または体液)と、疎水性の環境(例えば、親油性の医薬物質)との間で結合するように、親水性と疎水性の構成単位を有する。第2のポリマーの分子量は、少なくとも約2,000ダルトンである。
【0021】
上記のように、重要な問題は、組成物中の活性物質の溶解に有利な組成物中の条件を得ることである。これにより、活性物質の結晶および非晶質状態との間のバランスは、非晶質状態に対して有利であり、すなわち、改善した安定性が得られる。
【0022】
この目的を達成するために、本発明者らは、この可溶化効果を有する特に好適なポリマー性物質を見出した。そのような可溶化剤は、起こり得る相分離およびそれによって増大する活性物質の結晶化の恐れを避けるか、または減少させるためにマトリックス材料として用いられるポリマー性材料と両立できることが重要である。溶解度増加剤と両立できる好適なマトリックス材料の例は、例えばポロキサマー類のような水溶性ポリマーのようなブロックコポリマーである。
【0023】
とりわけ、PEOを含むシステムにおけるような結晶性構造の形成能を有するポリマー類を含むポリマーシステムにおいて、相分離は、活性物質の結晶への分子の再編成に有利であり得た。選択された薬剤は、ポリマーシステム中で相互に作用しあうか、または界面に付着することができ、それによって結晶構造を形成するために必要な分子相互作用を妨げるように見える。この防止のメカニズムは、立体的な障害および/またはマトリックスポリマーへの付着を通して、たぶん少しは、溶解度増加剤の界面活性剤特性により得ることができる。すなわち、ポロキサマーのようなポリマー類を含む両立できるマトリックス薬剤は、再結晶へのポリマーキャリヤーを防止することにより非晶質状態から結晶相への活性物質の転移の速度を減じ、それによって活性物質の析出を減少できる。
【0024】
特に好ましい本発明の具体例において、第2のポリマーは、親水性の構成単位としてエチレングリコールを、そして疎水性の構成単位としてプロピレングリコールを含む。
【0025】
ポロキサマー類は、コポリマー類またはブロックコポリマー類であり、エチレンオキシド(EO)およびプロピレンオキシド(PO)の非イオン性界面活性剤の範囲である。組成物は、ポリエチレンオキシド鎖が側面に位置するPOブロックであり得、2個の1級官能性水酸基を生じるか、あるいは逆の構造で、そこでは中央のEOブロックがポリプロピレングリコール基の間に挟まれており、結果として2級水酸基の末端基の可塑剤となる。
【0026】
ケイミカルアブストラクト中にジオールEO/POブロックコポリマーは、CAS登録番号との組合せで、-ヒドロキシ-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)-ブロックコポリマーの名の下に記載されている。
【0027】
そのようなポリマーは、式 HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aHを有し、aが、例えば約30〜約140、約50〜約100、約65〜約90、約70〜約90のような約10〜約150の整数であり、bが、例えば約15〜約80、約20〜約60、約25〜約55のような約10〜約80の整数であるポロキサマーである。本発明による使用のためのポロキサマーは、例えば約4,000ダルトン〜約15,000ダルトンまたは約6,000ダルトン〜約10,000ダルトンのような約2,000ダルトン〜約20,000ダルトンの分子量を有する。
【0028】
本発明の組成物中の使用のために好適な特定のブロックコポリマーの例は:
ポロキサマー101、ポロキサマー105、ポロキサマー108、ポロキサマー123、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー184、ポロキサマー185、ポロキサマー188、ポロキサマー217、ポロキサマー231、ポロキサマー234、ポロキサマー235、ポロキサマー237、ポロキサマー238、ポロキサマー282、ポロキサマー284、ポロキサマー288、ポロキサマー331、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335、ポロキサマー338、ポロキサマー401、ポロキサマー402、ポロキサマー403、ポロキサマー407である。
【0029】
ポロキサマー類は、商標プルロニック(Pluronic、(商標))またはルトロール(Lutrol (商標))の下に販売されている。
【0030】
通常、第1のポリマーは第2のポリマーより、より高濃度で存在する事実により、第1ポリマーと同じ程度に重要ではないけれど、第2のポリマーの溶融点も重要である。通常、本発明による使用のための好適な第2のポリマーは、例えば約30〜約100℃または約40〜約80℃のような約20〜120℃の溶融点を有する。
【0031】
特定の具体例において、本発明の組成物中の使用のための好適なポロキサマーは、例えば少なくとも約20のような、少なくとも約18のHLB値を有する。好適なポロキサマーの平均分子量は、典型的には少なくとも約2,000である。
【0032】
マトリックス組成物中の第2のポリマーの濃度は、例えば約1%〜約90重量%、約5重量%〜約90重量%、約10重量%〜約90重量%、約10重量%〜約80重量%、約10重量%〜約70重量%、約10重量%〜約60%、約10重量%〜約50%、約15%〜約50重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約15%〜約40重量%、約15%〜約35重量%または約15%〜約30重量%のような約0.5%〜約95重量%である。
【0033】
マトリックス組成物がPEOおよびポロキサマーを含む具体例において、重量比(PEO/ポロキサマー)は、例えば約10:1〜約1:10、約5:1〜約1:5または約3:1〜約1:3のような、約10:0.1〜約0.1:10の範囲である。
【0034】
本発明による組成物からの活性物質の放出は、例えば活性物質の少なくとも約60%の放出に至るまで、少なくとも約70%の放出に至るまで、または少なくとも約80%の放出に至るまでのような、少なくとも約50%の放出に至るまでゼロ次動力学に従う。特に、例えば、いわゆる修復媒体としての機能が検討されてきたPEG 400 モノステアレートまたはPEG 2000 モノステアレートの少しの含有量もないポリマー性マトリックス組成物からゼロ次放出を得ることができることが驚くべきことに見出された。そのような修復媒体は、実質的に親水性の領域を有しており、それは(結晶性)ポリマー相に親和性を与え、それによってポリマーマトリックス中の列理と裂け目の間の領域を埋め込み、そしてこれらの領域およびポリマーマトリックス自体における水親和性を減少させる。ポリマー結晶の間の界面における水拡散は、それによって実質的に排除され、したがって、マトリックスの表面層への組成物中の水の拡散を制限するので、表面上の水性相または水性媒体にさらされた組成物の表面の溶解作用により主に引き起こされる。言い換えると、修復媒体はポリマーマトリックス組成物中での水の拡散を妨げるように見える。
【0035】
しかしながら、約20より上の相対的に高いHLB値を有する表面活性物質は、水浸透性から間隙および裂け目を保護できるとは考えられない。或る場合には、本発明者らは、PEG モノステアレート 2000のような表面活性剤の包含が、溶解安定性に関してポリマー放出システムの流動性および/または安定性に対して悪影響を有することを観察した。
【0036】
本発明者らは、水がマトリックス中に拡散できるが、ポリマーマトリックス組成物からゼロ次放出を得ることができることを見出した。水がポリマーマトリックス組成物中へ拡散するとき、生じた境界層(または膨潤層)は、水性媒体にさらされたマトリックス組成物の表面において形成され得る。一般に、そのような境界層を通しての活性物質の拡散は活性物質の放出のために重要であり、したがって、境界層の厚さが放出速度にとって重要である。
【0037】
しかしながら、本発明者らは、境界層の厚さが相対的に小さいこと、ならびに/または組成物の浸食および境界層を通しての活性物質の拡散によりポリマーマトリックス組成物からの活性物質の放出が決定されることを確実にすることにより、ポリマーマトリックス組成物からの活性物質の放出速度に対する境界層の影響を排除できるかまたは実質的に排除でき、例えあるとしても、放出速度全体に対してないか、または極く僅かだけの影響のみを有することができることを見出した。
【0038】
本発明者らは、水がポリマーマトリックス組成物内に拡散することが可能なとき、時間単位当たり一定の表面積の浸食により左右されるか、または制御されるときにゼロ次放出が得られることを見出した。ポリマーマトリックス組成物の浸食が優勢な放出メカニズムであることを確実にするために、本発明者らは、ポリマーマトリックス組成物への水の拡散速度が水性媒体中へポリマーマトリックス組成物の溶解速度に実質的に対応するすることを確実にする特性を有するポリマーマトリックス組成物を提供することが必要であることを見出した。したがって、この方向に従ってポリマーマトリックス組成物中に含まれる成分の性質および量を調節することにより、本発明者らは、ゼロ次放出メカニズムにより活性物質が放出されるポリマーマトリックス組成物を得た。
【0039】
用いられた組成物は、少なくとも一表面が水性媒体にさらされており、この表面が浸食の間に実質的に一定または制御された表面積を有するような方法で被覆されている。本明細書において、制御された表面積は、単位投与量システムの被覆の形から典型的に予測された予め決められた表面積に関する。
それは単純な同形の円筒形または最初の放出時間を減少(または増加)させるための先が細くなった末端を有することができる円筒形を有する。
【0040】
本発明によるマトリックス組成物(および医薬組成物)は、医薬物質の生物学的利用能を改善するための使用のため特に適している。それらは医薬物質のための溶媒または分散媒体のためにも適しており、したがって、固溶体または固体分散体を提供する。医薬テクノロジー(および本明細書)において、用語「固体分散体」は半固体分散体も包含する。その用語により、不活性な固体または半固体担持体中の、1以上の固体、例えば、カルベジオールのような活性物質の微細に分散した分配が理解される。活性物質は、分子分散形態で、すなわち、固溶体として、微細な結晶性の分散形態で、ガラス状の非晶質層または微細な非晶質粉末として分散して存在し得る。共融混合物、すなわち、活性物質の結晶性構造および担持体も、「固体分散体」の定義の中に包含される。通常、平均粒子径は分散したシステムの分類に用いられる。コロイド分散体は分散相が約1〜約1000 nmの間の粒子径を有するときであり、粗大分散体は少なくとも約1000 nmの平均粒子径を有し、分子分散体は約1 nm未満の粒子径を有する。種々の状態の組合わせは、非常に起こり得、最も支配的な性質は、X線解析スペクトルまたは示差熱分析により決定される。
【0041】
本発明による医薬組成物において、活性物質のいくつかは、例えば固体または半固溶体(semi-solid solution)の形態のような分子分散体で存在し得る。
【0042】
しかしながら、典型的には、本発明による医薬組成物は、コロイド分散体または分子分散体で非晶質形態上に活性物質を含む。
【0043】
活性物質の結晶または結晶性形態は、本発明の組成物中に多くて部分的に存在できる。組成物の保管により、いくらかの再結晶が起こるかもしれないことが予期され、組成物の医薬特性(溶解データおよび組成物の生物学的利用能)に影響を有さないか、または小さな影響を有す限り、それは容認される。
【0044】
本発明の好ましい観点において、組成物は、少なくとも部分的に、例えば約0.01μm〜約500μm、約0.05μm〜約500μm、約0.1μm〜約500μm、約0.5μm〜約500μm、約1μm〜約500μm、典型的には約0.5μm〜約300μm、より典型的には約1μm〜約200μm、とりわけ約1μm〜約100μmのような、少なくとも約0.01μmの平均粒子径を有する非晶質形態で存在する活性物質を含む。
【0045】
活性物質
本発明による組成物および活性物質の固体分散体を含む安定な組成物を得るための概念は、その他の活性物質、例えば溶け難い物質にも適用できる。本発明による医薬組成物は、1以上の活性物質、すなわち、治療上、予防上、診断上および/または生物学的活性物質を含む。
本明細書中で用いられている用語「活性物質」は、有益な結果を生じさせるために組成物から送達され得るどんな化合物、またはそれらの混合物も幅広く含む。
【0046】
上記のように、本発明の組成物は、穏やかな加熱により非晶質形態に変換でき、同時に限られた水溶性を有する結晶性活性物質の取り込みに適している。しかしながら、例えばより高い水溶性活性物質のようなその他の活性物質を用いるのが望ましい状況があるかもしれない。
【0047】
以下のリストは水溶性および水に溶け難い活性物質の両方を包含する。
活性で有益な薬剤は、それらが用いられる環境に利する殺虫薬、除草剤、殺菌剤、殺生物剤、殺藻薬、殺鼠剤、殺真菌剤、殺虫薬、酸化防止剤、植物ホルモンプロモーター、植物成長阻害剤、防腐剤、消毒剤、殺菌剤、触媒、化学反応物、発酵物、健康食品、滋養剤、化粧品、治療上の活性物質(医薬物質)、ビタミン類、性器滅菌剤、受精阻害剤、受精促進剤、空気清浄器、微生物減衰器、環境にやさしい薬剤および他の薬剤を含む。
【0048】
本明細書中、用語「医薬物質」は、動物、特にヒトおよび霊長類を含む哺乳類において局所的もしくは全身性の効果を生じるどんな生理的または薬理学的活性物質も含む。その他の動物は、羊、ヤギ、牛、馬およびブタのような家庭内用動物、変種動物または家畜、ハツカネズミ、ネズミおよびモルモットのような実験動物、魚、鳥類、爬虫類および動物園動物を含む。用語「治療上、予防上および/または診断上の活性物質」はその意味の中に、用語「医薬物質」を含む。
【0049】
本明細書中、用語「生態学的物質」は、環境の中の植物または動物に対して生物学的効果を有する非治療的物質を示す。生物学的物質は殺虫剤または除草剤のような農薬、肥料、フェロモン、植物成長ホルモンなどであり得る。
【0050】
本発明の医薬品組成物に含まれている活性物質または活性物質類は多くの薬剤分類から、とりわけ経口的に、直腸的に、膣に有利に投与されるか、または体腔(例えば、膀胱、骨盤腎、胆嚢、子宮、中枢神経系窩、感染性/悪性/術後空洞など)に投与される物質から選択され得る。
【0051】
そのような物質の例は、催眠性、鎮静、向精神薬、抗痙攣薬、筋弛緩剤、鎮痛薬、抗炎症剤、麻酔剤、鎮痙剤、抗潰瘍剤、駆虫薬、抗菌剤、抗真菌剤、心血管薬、利尿剤、細胞増殖抑制性、抗腫瘍剤、抗ウィルス薬、抗緑内障薬、抗うつ剤、交感神経興奮薬、血糖降下剤、診断用薬、咳止め、精神賦活薬、抗パーキンソン病薬、局所麻酔剤、筋収縮剤、抗マラリア剤、ホルモン剤、避妊薬、食欲抑制剤、関節炎治療薬、抗糖尿病薬、抗高血圧薬、解熱剤、
【0052】
抗コリン作用薬、気管支拡張薬、中枢神経薬、強心剤、血管拡張剤、血管収縮剤、うっ血除去剤、ヘマチン、鉄塩および鉄錯体、電解質補填剤、殺菌剤、副交感神経遮断薬、副交感神経作用薬、制吐剤、精神刺激薬、ビタミン剤、β-ブロッカー、H2-ブロッカー、β2-作動薬、反対刺激薬、凝固変性剤、興奮薬、抗ホルモン剤、薬物拮抗剤、脂質調節剤、尿酸排泄薬、強心配糖体、麦角およびその誘導体、去痰薬、筋弛緩剤、抗ヒスタミン剤、瀉下剤、造影剤、放射性薬品、造影剤、抗アレルギー剤である。
【0053】
本発明の組成物中での使用に好適な特定の活性物質の例は:
カルベジオール、モルヒネ、ジクロフェナク、ニフェジピン、カルシトニン、リバスチグミン、メチルフェニデート、フルオロキセチン、ロシグリタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、コデイン、エチルモルヒネ、デキストロメトルファン、ノスカピン、ペントキシベリン、アセチルシステイン、ブロムヘキシン、エピネフリン、イソプレナリン、オルシプレナリン、エフェドリン、フェノテロール、リミテロール、イプラトロピウム、コリンテオフィリネート、プロキシフィリン、ベクロメタゾン、ブデソニド、デスラノシド、ジゴキシン、
【0054】
ジギトキシン、ジソピラミド、プロスシラリジン、キニジン、プロカインアミド、メキシレチン、フレカイニド、アルプレノロール、プロプロアノロール、ナドロール、ピンドロール、オキシプレノロール、ラベタロール、チモロール、アテノロール、ペンタエリトリチルテトラナイトレート、イソソルビッドジナイトレート、イソソルビッドモノナイトレート、ニフェジピン、フェニルアミン、バラパミル、ジルチアゼム、シクランデラール、ニコチニルアルコール、イノシトールニコチネート、アルプロスタジル、エチレフリン、プレナルテロール、ドブタミン、ドーパミン、ジヒドロエルゴタミン、グアネチジン、ベタニジン、メチルドーパ、レゼルピン、グアンファシン、トリメタファン、ヒドララジン、ジヒドララジン、
【0055】
プラゾシン、ジアゾキシド、カプトプリル、ニフェジピン、エナラプリル、ニトロプルシッド、ベンドロフルメチアジド、ヒドロクロルチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、クロルタリドン、シネタゾン、クロパミド、メフルシド、メトラゾン、ブメタニド、エタクリナシド、スピロノラクトン、アミロリド、クロフィブレート、ニコチン酸、ニセリトロール、ブロムフェニラミン、シンナリジン、デキシクロルフェニラミン、クラマスチン、アンタゾリン、シプロヘプタジン、プロエタジン、シメチジン、ラニチジン、スクラルファート、パパベリン、モキサベリン、アトロピン、ブチルスコポラミン、エメプロン、グルコピロン、
【0056】
ヒヨスチアミン、メペンゾラール、メチルスコポラミン、オキシフェンシクリミン、プロバンテリン、テロジリン、センナグリコシド、サグラダエキストラクト、ダントロン、ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、エツロス、ジフェノキシレート、ロペラミド、サラゾスルファピリジン、ピルビン、メベンダゾール、ジメチコン、フェロフマレート、フェロスクシネート、フェリテトラセミソディウム、シアノコバラミン、フォリッドアシッドヘパリン、ヘパリン コファクター、ジクルマロール、ワーファリン、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、血液凝固第VIII因子、血液凝固第IX因子、ビタミンK、チオペタ、ブスルファン、クロランブシル、シクロホスファミド、メルファラン、カルムスチン、メルカプトプリン、
【0057】
チオグアニン、アザチオプリン、シタラビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、プロカルバジン、ダカルバジン、ロムスチン、エストラムスチン、テニポシド、エトポシド、シスプラチン、アムサクリン、アミノグルテチミド、ホスフェストロール、メドロキシプロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、メゲステロール、ノルエチステロン、タモキシフェン、シクロスポリン、スルフィソミジン、ベンシルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、ジクロキサシリン、クロキサシリン、フルコキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、ピバンピシリン、バカンピシリン、ピペラシリン、メズロシリン、メシリナム、
【0058】
ピブメシリナム、セファロチン、セファレキシン、セフラジン、セファドロキシル、セファクロール、セフェロキシム、セフォタキシム、セフタジジム、セフォキシチン、アズトレオナム、イミペネム、シラスタチン、テトラサイクリン、リメサイクリン、デモクロサイクリン、メタサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、クロラムフェニコール、スピラマイシン、フシジン酸、リノマイシン、クリンダマイシン、スペクチノマイシン、リファンピシン、アムホテリシンB、グリセオフルビン、ニスタチン、バンコマイシン、メトロニダゾール、チニダゾール、トリメトプリム、ノルフロキサシン、サラゾスルファピリジン、アミノサリル、イソニアジド、エタンブトール、ニトロフラントイン、ナリジクス酸、
【0059】
メタナミン、クロロキン、ヒドロキシクロロキン、チニダゾール、ケトコナゾール、アシクロビル、インターフェロンイドクスリジン、レチナール、チアミン、デキシパンテノール、ピリドキシン、葉酸、アスコルビン酸、トコフェロール、フィトミナジオン、フェンフラミン、コルチコトロピン、テトラコサクチド、チロトロピン、ソマトトロピン、ソマトレム、バソプレシン、リプレシン、デスモプレシン、オキシトシン、クロリオンゴナドトロピン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、フルオキシメステロン、メステロロン、ナンドロロン、スタノゾロール、オキシメトロン、シプロテロン、レボチロキシン、リオチロニン、プロピルチオウラシル、カルビマゾール、チアマゾール、ヂヒドロタキステロール、アルファカルシドール、カルシチロール、インスリン、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリピチド、グリベンクラミド、フェノバルビタール、メチプリロン、ピリチルジオン、メプロバメート、クロルジアゼポキシド、
【0060】
ジアゼパム、ニトラゼパム、バクロフェン、オキサゼパム、ジカリウムクロラゼペート、ロラゼパム、フルニトラゼパム、アルプラゾラム、ミダゾラム、ヒドロキシジン、ダントロレン、クロメチアゾール、プロピオンマジン、アリメマジン、クロルプロマジン、レボメプロマジン、アセトフェナジン、フルフェナジン、パーフェナジン、プロクロルペラジン、トルフルオペラジン、ジキシラジン、チオジラジン、ペリシアジン、クロプロチキセン、チザニジン、ザレプロン、ズクロペンチゾール、フルペンチゾール、チチキセン、ハロペリドール、
【0061】
トリミプラミン、オピプラモール、クロミプラミン、デシプラミン、ロフェプラミン、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、マプトロチリン、カフェイン、シンナリジン、サイクリジン、ジメンヒジネート、メクロジン、プロメタジン、チエチルペラジン、メトクロプラミド、スコポラミン、フェノバルビタール、フェニトイン、エトスクシミド、プリミドン、カルバマゼピン、クロナゼパム、オルフェナドリン、アトロピン、ベンザトロピン、ビペリデン、メチキセン、プロシリジン、レボドパ、ブロモクリプチン、アマンタジン、アンベノン、ピリドスチグミン、シンスチグミン、ジスルフィラム、モルヒネ、コデイン、ペンタゾシン、ブプレノルフィン、ペチジン、フェノペリジン、フェンタニル、メタドン、ピリトラミド、デキストロプロポキシフェン、ケトベミドン、アセチルサリチル酸、
【0062】
セレコキシブ、フェナゾン、フェニルブタゾン、アザプロパゾン、ピロキシカム、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、シプロヘプタジン、ピジチフェン、フルメドロキソン、アロプリノール、プロベネシド、ソジウムマウロチオマレートオーロノフィン、ペニシラミン、エストラジオール、エストラジオールバレリアネート、エストリオール、エチニルエストラジオール、ジヒドロゲステロン、リネストレノール、メドロキシプログレステロン、ノルエチステロン、シクロフェニル、クロミフェン、レボノルゲストレル、メストラノール、オルニダゾール、チニダゾール、エコナゾール、クロトリマゾール、ナタミシン、ミコナゾール、
【0063】
スルベンチン、メチルエルゴタミン、ジノプロスト、ジノプロストン、ガメプロスト、ブロモクリプチン、フェニルプロパノールアミン、ソジウムクロモグリケート、アゼタゾラミド、ジクレオフェンアミド、βカロチン、ナロキソン、カルシウムホリナート、特にクロニジン、テフィリン、ジピラダモール、ヒドロクロチアジド、スコポラミン、インドメタシン、フロセミド、塩化カリウム、モルヒネ、イブプロフェン、サルブタモール、ターブタリン、スルホニルウレア、メトホルミン、インスリン、カルシトニン、グルカゴン様ペプチド1である。
【0064】
活性物質は、電荷がないか、または荷電分子、分子複合体、結晶性形態、非晶質形態、多形形態、溶媒和物または無水物のような種々の形態、ならびに塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、ラウリン酸塩、パルミチン酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、サリチル塩のような医薬的に許容な塩であり得る。
【0065】
酸性の活性物質のために、金属、アミン類、アミノ酸類の塩または有機カチオン、第4級アンモニウムが用いられ得る。
ここでの使用のために適した溶解度特性を有するエステル類およびアミド類のような活性物質の誘導体が単独で、またはその他の薬剤と混合されて用いられ得る。
組成物からの誘導体の放出後に、それはエンザイム、体内pHによる加水分解またはその他の代謝過程により母薬剤またはもう一つの生物学的に活性な形態に変換され得る。
【0066】
本発明の医薬組成物は、その上ポリペプチド類、例えばホルモン類、リパーゼ、プロテアーゼ、カルボハイドレート、アミラーゼ、ラクトフェリン、ラクトパーオキシダーゼ、リソチームのような酵素類、ナノ粒子などおよび抗体の送達にも適している。本組成物は、生きているか、弱力化されているかまたは死んでいる微生物、例えばバクテリア、例えば連鎖球菌類、例えばストレプトコッカス・フェシウム(S. faecium)のような胃腸内バクテリア、バシラス・サチリス(B. subtilis)およびバシラス・リヘニフォルミス(B. licheniformis)のような桿菌類、乳酸菌(lactobacteria)、アスペルギルス類、ビフィズス因子(bifidogenic factors)、または常在ウィルス、エンテロウィルスのようなウィルス類、バクテリオファージ、例えばワクチンとして、パン酵母のようなカビ、サッカロミセス・セレビシェおよび不完全菌類の送達のためにも用いられ得る。本発明の組成物は、リポソーム、シクロデキストリン、ナノ粒子、ミセルおよび脂質のような特殊化された担持体中の活性薬剤の送達のためにも用いられ得る。
【0067】
本発明の組成物が適するさらなる使用は、動物に対する活性物質の送達である。獣医用のそのような活性物質の例は、駆虫薬、コルチコステロイド、抗生物質、抗炎症剤、成長促進剤およびパーミッタント(permittants)、抗真菌剤および抗蠕虫薬である。
【0068】
多くの活性物質には多形がある。すなわち種々の異なる結晶性形態が存在する。結晶の異なる形態のように、温度、圧力、湿気などに関して異なる安定性特性が存在し得、いくつかの形態は準安定であり得、より安定な形態は溶け難い傾向があり、結晶化した大部分の活性物質を医薬組成物中で非晶質状態に変換し保存することが所望される。
【0069】
本発明は、胃の中での保持時間において変動の可能性があるにもかかわらず、予測できる放出を維持するために、酸性および塩基性環境の両方で同一の放出速度を有するゼロ次放出パターンで活性物質を放出することができる組成物を得るために立証する。それは、分散媒体、すなわち、マトリックス組成物が、組成物の浸食および活性物質の放出が生じるとき組成物の予測されない挙動を避けるために、注意深く選択されることが大事である。
【0070】
活性物質が固体分散体中または固溶体の形態にあるマトリックス組成物中に存在する場合において、本発明者らは、通常の条件下で保管する間にいくらかの好ましくない析出物の形成を防ぐことを可能にする好適な濃度における固体分散体中に活性物質が存在する安定な組成物を得るために最も重要であることを見出した。既に本明細書中で論じたように、活性物質の結晶の形成を防ぐことが特に興味ある。
【0071】
通常、過飽和システム(すなわち、媒体中に与えられた物質の濃縮が、媒体中の溶解度より大きいシステム)は、或る時間の後に、媒体における物質の析出を導く。安定なシステムである飽和システムにおいて、固体と溶解物質との間で平衡が生じる。活性物質が溶解した形態で存在し、その物質の濃度が溶解度より十分低いシステムにおいて、通常、析出物の形成に関しては、(物質が不要な生成物などに分解されない限り)何の変化も起こらない。したがって、溶解したシステムは安定なシステムであるとして考えられる。しかしながら実際には、状況はしばしばより複雑で、通常、異なった方法の使用により溶解したシステムでさえ安定化させることが必要である。
【0072】
上記のように、本発明による組成物は、少なくとも活性物質のほとんどをゼロ次放出メカニズムにより放出することが重要である。制御放出送達システムについての研究の一つの観点は、血漿薬物レベルの安定状態を生じるシステムデザインを含む。そのようなシステムからの活性物質の放出も、ゼロ次薬物放出動力学として呼ばれる。
【0073】
本発明の医薬組成物は、ゼロ次放出メカニズムによるような制御された方法で活性物質を放出するためにデザインされている。したがって、その組成物は、特に活性物質の制御された放出に適している。本明細書中において、用語「制御された放出」は、予め決められた放出期間の間の望ましい放出速度を意味するために用いられている。「変更性」、「遅延性」、「持続性」、「遷延性」および「拡大性」放出などのような用語は、本明細書中において、用語「制御された放出」と同義語である。
【0074】
本発明の具体例において、活性物質は医薬的に活性な散剤である。典型的な散剤は、約0.01μm〜約500μm、0.1μm〜約500μm、典型的には約0.5μm〜約300μm、より典型的には約1μm〜約200μm、とりわけ約5μm〜約100μmの粒子径を有する。
【0075】
本発明による医薬組成物は、i) ゼロ次放出が得られる、そしてii) 予め決められた時間の間に制御された放出が得られることにより、−水溶性および水に溶けにくいか、または不溶性活性物質のための使用に適している。
しかしながら、少なくとも一つの治療上、予防上および/または診断上の活性物質が、室温で、水中に、例えば最大限約1 mg/ml、最大限約0.1 mg/mlのような、最大限約0.05 mg/ml、例えば最大限約0.001 mg/mlのような最大限約3 mg/ mlの溶解度、および/またはi) 投与後の体内での遅延性滞留時間、ii) 副作用に関するピークを避けるための減少された血漿濃度、iii) 例えば患者のより良い服薬遵守を得るための減少された頻度などを得るための、所望される活性物質の持続性放出を有する場合の使用のために特に適していることが予期される。
【0076】
この目的を達成するために、実質的に疎水性の活性物質は、マトリックス組成物の浸食速度の減少という結果になる傾向があると思われる。実質的に親水性の水溶性活性物質は、逆の効果、すなわち、それらはマトリックスのより早い浸食という結果になる傾向を有すると思われる。
【0077】
少なくとも一つの治療上、予防上および/または診断上の活性物質は、マトリックス組成物の重量で、約60%に至るまで、典型的には約50%に至るまでの量で好適に存在する。約60%の活性物質含有量は、最大限の含有量であると予期され、さらにポリマーおよび適切な場合には、組成物中の医薬的に許容な賦形剤の十分な含有量を可能にする。一方、活性物質は、当該活性物質の特性および効能に依存して、はるかにより少量で組成物中に存在し得る。
【0078】
安定性
本発明による組成物は十分な安定性を有することを目的とする。
本明細書中、用語「安定性」および「安定化剤」は以下の1以上を包含するために用いられている:
最終組成物に関する安定性:
i) 組成物の物理安定度に関する安定性(外観、色、強度など)
ii) 組成物からの活性物質のインビトロ溶解挙動に関する安定性
【0079】
個々の組成物の安定性:
iii) 活性物質の化学安定度に関する安定性(活性物質のその他−通常−好ましくない生成物への分解)
iv) 組成物中で活性物質が有する形態に関する安定性;通常、活性物質はポリマー中に固体分散体として溶解(分子分散)している。
そのような場合、組成物中における活性物質の結晶の析出またはその他の形成は、安定性問題の兆候である。
v) 成分i) として使用される医薬的に許容なポリマーの物理的および化学的安定性。
【0080】
通常、安定性は特定の保管および試験条件下に考慮される。本明細書において、安定な組成物は、(物理的パラメーターが考慮されるときは)少なくとも2週間または(化学的パラメーターが考慮されるときは)少なくとも3ヶ月間の間で(特定の特性に関して)20%を超えて変化しない組成物である。特定の条件は、本明細書中の本願請求項にでている。
【0081】
好ましい具体例において、物理安定度は、25℃の保管条件および60%の相対湿度において少なくとも6ヶ月のような少なくとも3ヶ月、さらに好ましくは少なくとも9ヶ月である。
【0082】
本発明の重要な特性は、活性物質が固体分散体としてその非晶質形態に変換され、かつ安定化され得ることである。非晶質状態および/または固体分散体は、組成物中の活性物質の濃度の非常に注意深い選択によるおよび/または項目i)〜v)の下で上記の条件の1以上を安定化することによるのどちらかで安定化される。
【0083】
安定化剤は、その結晶性形態および/またはその非晶質形態のいずれでも活性物質の溶解度を改善するために寄与する。いずれの理論にも束縛されることなく、安定化剤は、ポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレンオキシドと一緒になって分散媒体を意味し、そこでは活性物質の溶解度はポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレンオキシドより高くなり得ると当然思われる。同一のものは、活性物質の非晶質形態の安定性に関しても適用できる。
【0084】
したがって、本発明による組成物は、活性物質を含む分散媒体を形成する第1および第2のポリマーとともに活性物質を安定化剤として含むことができる。
【0085】
以下に、安定化剤として使用され得る種々の物質の例が示されている。それらは特定の機能を有するとして挙げられているけれども、それらは、組成物に対してその他の安定化効果も有しており、したがって、同様にその他の安定化過程用に使用され得る。一つの例は、例えば活性物質の非晶質状態の安定性と組成物の溶解挙動に対する影響の両方に対する安定化影響を有すると信じられている酸性物質の使用である。したがって、以下の安定化剤の分類は、特定の機能のために安定化物質の使用を制限するべきではなく、同様に、その他の安定化機能も提供する。
【0086】
組成物中の活性物質の非晶質状態を有し、同時に組成物からの活性物質の放出にも関する好適な安定性を有する組成物を有する要件は、組成物のための以下の原則の1以上を組合わせることにより時間の増加のために得ることができる。
【0087】
1. 溶解した形態にある活性物質を有するために状態を確実にするためのポリマーマトリックスにおけるpH調整。
2. 組成物が腸液のような中性/塩基性媒体に付された場合の活性物質の(例えば、結晶のような)析出物の恐れを減少させるためのポリマーマトリックスへの緩衝剤の添加。
3. 溶解性増加剤またはそれらの混合物と両立できるマトリックスの添加。
【0088】
4. 組成物にとって所望の範囲内にある浸食時間を得るために可能な範囲内の相対的に高い分子量を有する1以上のポリマーの選択。
5. 活性物質とポリマーとの物理的な接触する組成物の製造方法における、少なくとも一つの加熱工程の包含。
6. Tgと保管温度との間の拡大した違いを有するための組成物のTgの増加。好適な物質は、例えば、モノ-、ジ-、オリゴ-またはポリ-サッカライドである。
【0089】
特定の具体例において、第1のポリマーの組成物として使用される医薬的に許容なポリマーは、結晶および/または非晶質形態にあり、少なくとも約20,000の分子量を有するポリエチレンオキシドか、またはそのようなポリマー類の混合物である。
好適なポリマー類についてより詳細がここに記載される。PEO中の特定の活性物質の溶解度は、とりわけ、使用されるPEOの品質と分子量に依存する。したがって、本発明の組成物中の活性物質の好適な濃度を決定するためには、当該PEO(または使用される他のポリマー)中の活性物質の溶解度を測定することが必要である。通常、溶解度は当該PEOの溶融点または軟化点に相当する温度で測定され、測定された溶解度は飽和溶解度である。当該技術分野における当業者は、特定のポリマー中における特定の物質の溶解度の測定の仕方を知っている。
【0090】
医薬的に許容な賦形剤
一般に、この前で挙げられている安定化剤は、医薬的に許容な賦形剤としても使用され得る。
【0091】
マトリックス組成物中の他の成分
マトリックス組成物は、例えばマトリックス組成物の技術上の特性を改善し、より容易に製造できるようにするため、または組成物の安定性を改善するために、さらに他の賦形剤を含むこともできる。
【0092】
本発明のマトリックス組成物中での使用のための好適な医薬的に許容な賦形剤は、充填剤、希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、pH-調節剤、粘度調節剤、溶解性増加または減少剤、浸透性活性薬剤、安定化剤、表面活性薬剤および溶媒からなる群から選択される。
【0093】
好適な賦形剤は、従来の錠剤またはカプセル賦形剤を含む。これらの賦形剤は、例えばリン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトースもしくはスクロースまたは他の二糖類、セルロース、セルロース誘導体、カオリン、マンニトール、乾燥デンプン、グルコースまたは他の単糖類、デキストリンまたは他の多糖類、ソルビトール、イノシトールあるいはそれらの混合物のような希釈剤;アカシア、アルギン酸ナトリウム、デンプン、ゼラチン、糖類(グルコース、スクロース、右旋性ブドウ糖およびラクトースを含む)、糖密、トチャカエキス、
【0094】
パンワーゴム、ガッチゴム、イサポール フスクの粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ビーゴム、ラーチ アラボラクタン(larch arabolactan)、ポリエチレングリコール類、エチルセルロース、水、アルコール類、蜜蝋、例えばPVP K90 (ポリマーの他の成分との混合を改善するために用いられ得る)のようなポリビニルピロリドンまたはそれらの混合物のような結合剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物性油脂、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、カーボワックス4000、ラウリル硫酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびそれらの混合物のような滑沢剤;デンプン、白土、クロスカルメロース(crosscarmellose)を含むセルロース誘導体、ガム質、アライン(aligns)、炭酸水素塩と弱酸との種々の組合わせ(例えば、炭酸水素ナトリウム/酒石酸またはクエン酸)、
【0095】
クロスプロビドン(crosprovidone)、デンプングリコール酸ナトリウム、寒天、陽イオン交換樹脂、柑橘類パルプ、ビーゴム HV、海綿、ベントナイトまたはそれらの混合物のような崩壊剤;水性アルコールを含むアルコール類、石油ベンジン、アセトン、エーテルまたはそれらの混合物のような揮発性溶媒;ソルビトールおよびグリセリンのような可塑剤;およびカカオ脂、例えば約1,000〜500,000ダルトン、典型的には約1,000〜100,000ダルトン、より典型的には1,000〜50,000ダルトン、とりわけ約1,000〜10,000ダルトン、特に約1,500〜5,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール類またはポリエチレンオキシド類、ならびにそれらの混合物、水素化植物性油脂、グリセリンゼラチンまたはそれらの混合物のようなその他のものであり得る。
【0096】
マトリックス組成物は、セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、微結晶性セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルからなる群から選択されるセルロース誘導体をさらに含むことができる。
これらのセルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびメチルセルロースは、マトリックス組成物中への混合に好ましい。
【0097】
さらに、このマトリックス組成物は、上品で、口当たりの良い製剤を提供するために甘味剤、矯味矯臭剤および着色剤からなる群から選択される1以上の薬剤を含むことができる。着色剤の例は、水溶性食品・医薬品・化粧品用着色剤(FD&C dyes)およびそれらのレーキおよびアムスター(Amstar)製のDi-Pacのような直接圧縮糖類との混合物である。
その上、トラガント、アカシアまたはアタパルガイト タルクのような着色剤移行阻止剤が加えられ得る。特定の例は炭酸カルシウム、酸化クロム-コバルト-アルミニウム、フェリックフェロシアネート、酸化第二鉄、クエン酸鉄アンモニウム、三酸化第二鉄水和物、酸化鉄類、炭酸マグネシウム、二酸化チタンを含む。
【0098】
好適な充填剤の例は、またデキストリン、スクラルフェート、カルシウム ヒドロキシアパタイトおよびリン酸カルシウム類である。
【0099】
充填剤は、充填剤と活性物質との組合せが、第1の組成物の重量で約60%に至るまで、典型的には約50%に至るまで含むような量で添加され得る。
【0100】
担持体システムを軟らかくするために、組成物中に可塑剤を加えることができる。好適な可塑剤は、リン酸エステル類;フタル酸エステル類;アミド類;鉱油;脂肪酸およびエステル類;脂肪アルコール類、アセチル化水素化綿実グリセリドおよびアセチル化水素化大豆油グリセリドを含む植物性油脂および水素化植物性油脂;アセチルトリブチル シトレート、アセチルトリエチル シトレート、ヒマシ油、ジアセチルモノクリセライド、ジプロピレングリコール サリチレートグリセリン、グリセリルココエート、モノ-およびジ-アセチル モノグリセライド、ニトロベンゼン、二硫化炭素、β-ナフチル サリチレート、フタリル グリコレート、ジオクチル フタレート;ソルビトール、ソルビトール グリセリル トリシトレート;
【0101】
スクロース オクタアセテート;a-トコフェリル ポリエチレングリコール スクシネート、リン酸エステル類;フタル酸エステル類;アミド類;鉱油;脂肪酸およびエステル類;脂肪アルコール類;および植物性油脂、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールおよびミリスチルアルコールを含む脂肪アルコール;メチル アビエテート、アセチル トリブチル シトレート、アセチル トリエチル シトレート、ジイソオクチル アジペート、アミル オレエート、ブチル リシノールエート、ベンジル ベンゾエート、脂肪酸のブチルおよびグリコール エステル、ブチル ジグリコール カルボネート、
【0102】
ブチル オレエート、ブチル ステアレート、ジ(β-メトキシエチル) アジペート、ジブチル セバケート、ジブチル タートレート、ジイソブチル アジペート、ジヘキシル アジペート、トリエイチレングリコール ジ(β-エチル ブチレート)、ポリエチレングリコール ジ(2-エチル ヘキソエート)、ジエチレングリコール モノラウレート、モノマー性ポリエチレンエステル、松ヤニの水素化メチルエステル、メトキシエチル オレート、ブトキシエイチル ステアレート、ブチルフタリルブチル グリコレート、グリセロール トリブチレート、トリエチレングリコール ジペラルゴネート、β-(p-tert-アミルフェノキシ)エタノール、β-(p-tert-ブチルフェノキシ)エタノール、β-(p-tert-ブチルフェノキシエチル)アセテート、ビス(β-p-tert-ブチルフェノキシジエイtル)エーテル、カンファー、クマールW-1、クマールMH-1、
【0103】
クマールV-1、ジアミル フタレート、(ジアミルフェノキシ)エタノール、ジフェニルオキシド、テクニカルヒドロアビエチルアルコール、ベッコリン、ベンゼンヘキサヒドロクロンド、クロラフィン40、ピッコラスティックA-5、ピッカラスティックA-25、、フレクソールB-400、グリセロールα-メチル-α-フェニルエーテル、塩素化ナフタレン、HB-40、モノアミルフタレート、ネビラック10 o-ニトロジフェニルおよびパラクリル26からなる群から選択される。
【0104】
好ましい抗酸化剤は、例えば界面活性剤特性によるTPGSの形態にあるTPG、BHA、BHT、t-ブチル ヒドロキノン、アスコルビン酸カルシウム、没食子酸、ヒドロキノン、マルトール、没食子酸オクチル、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、トコフェロールおよびその誘導体、クエン酸、酒石酸ならびにアスコルビン酸を含む。その他の抗酸化剤は、例えば亜リン酸塩のような三価の亜リン酸、フェノール性抗酸化剤、ヒドロキシアミン類、置換ベンゾフラノン類のようなラクトン類を含む。ヒンダードフェノール類、チオシナージスト類(thiosynergists)および/またはヒンダードアミン類がポリマー類の長期安定性に有用であるが、以下の抗酸化剤も、活性物質が酸化に付される状況における使用にも適している:
【0105】
酸類(アスコルビン酸、エルソルビン酸、エチドロン酸、没食子酸、次亜リン酸、ノルジヒドログアヤレチン酸、プロピオン酸など)、フェノール類(例えば、BHA、BHT、t-ブチル ヒドロキノン、没食子酸ドデシル、没食子酸オクチル、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン)、有機および無機塩(アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、メタ重亜硫酸カリウム)、エステル類(アスコルビン酸カルシウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジミリスチル、チオジプロピオン酸ジステアリル)、ピラノン(マルトール)およびビタミンE (トコフェロール、D-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、トコフェリル アセテート、d-α-トコフェロール アセテート、dl-α-トコフェリル アセテート。
しかしながら、当業者に公知のその他の抗酸化剤も本発明に従って用いることができる。
【0106】
その他の物質もPEO/PEG/ポロキサマーマトリックス中に可溶化剤として含むことができ、本発明者らは、有機または無機差の取り込みが組成物からの溶解に有利であることを見出した。
【0107】
好適な酸は、無機酸、有機酸およびそれらの医薬的に許容される塩または錯体からなる群から選択され得る。それらの混合物も適切である。
【0108】
その酸は、例えば酢酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アクリル酸、安息香酸、リンゴ酸、マレイン酸、ソルビン酸など、アスパラギン酸、グルタミン酸などのようなモノ-、ジ-、オリゴ-、ポリ-カルボン酸またはアミノ酸であり得る。
【0109】
好適な有機酸の例は、酢酸/エタン酸、アジピン酸、アンゲリカ酸、アスコルビン酸/ビタミンC、カルバミン酸、ケイヒ酸、シトラマル酸、ギ酸、フマル酸、没食子酸、ゲンチシン酸、グルタコン酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、乳酸、レブリン酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、オキザミン酸、ピメリン酸およびピルビン酸を含む。
好適な無機酸は、ピロリン酸、グリセロリン酸、オルトまたはメタリン酸のようなリン酸、ホウ酸、塩酸および硫酸を含む。
【0110】
本発明の特定の観点において、酸性物質は、メタおよび/またはオルトリン酸である。
【0111】
本組成物中の酸性物質の濃度は、通常、例えば約1重量%〜約7.5重量%または約2%〜約6重量%のような約0重量%〜約10重量%である。
【0112】
pH依存性放出
上記の組成物は、pH依存性の様式で活性物質を放出するのが便利な場合がある。例えばWO 99/51208に記載されるように、pH依存性放出は、いわゆる放出速度調節剤を含有させることにより得ることができる。放出速度調節剤は、腸溶性コーティングを製造するのに製薬産業において通常用いられる物質から選択されるのが好ましい。腸溶性コーティングとしての使用に適する異なるタイプのいくつかの化合物が当該技術において知られている。
【0113】
例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, 1990を参照されたい。放出調節剤は、特に、3つの一般的な部類、すなわちセルロース誘導体、メタクリル酸ポリマーおよび変性ゼラチン化合物のうちの1つから選択され得る。好ましい放出調節剤は、セルロース アセテート フタレート、ポリビニル アセテート フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース フタレートおよびヒドロキシプロピル メチルセルロース アセテート スクシネート、ならびにメタクリル酸コポリマーを含む。変性ゼラチン化合物は、例えばホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒドで処理されたゼラチンを含む。
【0114】
放出調節剤として適切な市場で入手可能なポリマーの例は、Rohm GmbH, Germanyから入手可能なオイドラギット(EUDRAGIT、商標) Lおよびオイドラギット(商標) S、ならびにShin-Etsu Chemical Co., Japanから入手可能な腸溶性コーティング剤である。放出調節剤は、一般的に、組成物中に、マトリックスの重量に基づいて約0.1〜10%、好ましくは約0.5〜4%、例えば約1〜3%、例えば約1.5〜2.0%の量で存在する。所望により、1種より多い放出調節剤の適切な混合物を、いずれの所定の組成物において所望の放出プロフィールを得るために用いることができる。
【0115】
放出調節剤は、活性物質の放出/マトリックスの浸食においてpH依存性の違いを出すことを可能にする。
【0116】
形状
上記の組成物の幾何学的形状は、上記の制御されたゼロ次を得るために重要である。つまり、本発明の好ましい場合において、本発明の医薬組成物は、マトリックスの浸食の間に露出されることとなる表面積を実質的に一定にすることを可能にする幾何学的形状を有する。適切な形状は、EP-B-0 406 315、EP-B-0 493 513、EP-B-0 740 310およびWO 99/51208に示さ、これらが参照される。
【0117】
種々の形状およびサイズを有する組成物の具体例は:
【0118】
【表1】

【0119】
次の表は、円柱形で、両末端に楕円形の開口を有する製剤を示す。
【0120】
【表2】

【0121】
得られた被覆組成物は、両側の末端で開口していた。
開口末端についての面積は、円柱形製剤の容積/長さとして算出される。
【0122】
本発明のさらなる実施形態において、1種のみの特定のマトリックス組成物に基づいて異なる強度を作製することができる。
【0123】
次いで、医薬組成物の異なる強度は、所望の放出持続期間を示した所望の特定の製剤に基づいて作製される。次いで、放出期間は、各強度製剤において同じ長さを保持することにより守られる。単純に、露出面積を、基礎の製剤の強度と比較して異なる所望の強度における所望の増加または減少と同じ倍数に、それぞれ減少または増加させることによる。言い換えると、元来の基礎の製剤の活性物質の量と表面積との間の比が、各個別の強度製剤において一定である。
【0124】
しかし、浸食速度(浸食マトリックスの長さ/単位時間)が、非直線性を示す面積のサイズに依存する場合には、付加的な強度製剤の算出された面積における重要でない修正が必要であろう。しかし、このような非直線性は、同じマトリックス組成物の2つの異なる露出面積を用いて別個に浸食速度を測定することにより試験され得る。製剤が異なる溶解速度を示す場合、面積と速度との間の比を算出することができる。
【0125】
これらの因子は、異なる医薬強度において全く同じマトリックスが好まれるときに、特定の所望される新しい強度の面積および/または長さを調整するのに用いることができる。
【0126】
インビトロでは、面積が減少する場合、製剤の現在の形状が浸食過程の間にチューブの被覆または壁が損傷されずに維持されるチューブであることを念頭において、溶解パラメータの物理的因子(パドル回転速度)が、表面積についての浸食を減少させる効果を有するはずであると考えられている。
【0127】
被覆
よって、上記の医薬組成物は、意図する放出期間の間に体液のような流体に実質的に不溶性でかつ不浸透性であり、一方または両方の末端に開口を有する被覆を施された円柱形の棒の形状を有することができる。被覆として有用なポリマーは、押出により、溶液でまたは分散液の形で加工できるものが好ましい。最も好ましいものは、食品グレードまたは医薬グレードの品質で入手可能なものである。このようなポリマーの例は、セルロース アセテート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン ポリウレタン、ポリビニル アセテート、ポリビニル クロライド、シリコーンゴム、ラテックス、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、テフロン(登録商標)、ポリ乳酸またはポリグリコール酸およびそれらのコポリマー類、エチレン ビニル アセテート (EVA)、スチレン-ブタジエンスチレン (SBS)およびスチレン-イソプレン-スチレン(SIS)のようなコポリマーである。
【0128】
被覆は、マトリックスが浸食されて活性物質が放出されるまで被覆が損傷されないままであるように被覆がマトリックス組成物よりもかなりゆっくりと溶解するという条件において、意図する放出期間の間に体液のような流体に実質的に溶解性でかつ浸透性である被覆であることもできる。適切なポリマーの例は、以下に記載するポリオールを含む。
【0129】
被覆は、マトリックスの残りの部分よりも実質的に遅く浸食する形の上記のマトリックス物質のいずれかをさらに含むことができる。よって、被覆は、1種以上の実質的に水溶性の結晶性ポリマーと、任意に非イオン性乳化剤とを含むことができ、該被覆は、活性成分を含むマトリックス組成物よりも実質的に遅い速度で水相に浸食し、それにより活性成分を含むマトリックス組成物の実質的に一定の面積がマトリックス組成物の浸食の間に露出され、かつそれにより活性成分を含むマトリックス組成物が浸食すると被覆が実質的に浸食するような被覆である。このような被覆は、その縦方向の浸食速度がマトリックスの縦方向の浸食速度と実質的に同じであり、それによりマトリックスと被覆とが実質的に同じ速度で組成物の中心に向かって縦方向に浸食するように設計される。
【0130】
したがって、マトリックス組成物が水性媒体により完全に浸食されたときに、被覆も実質的に完全に浸食される。このような被覆を有するマトリックス組成物は、活性物質が放出されると完全に生分解されるという明らかな利点を有する。このような被覆は、典型的には、ポリエチレングリコールと、例えばポリエチレングリコール400モノステアレートまたは別の非イオン性乳化剤の充填剤をさらに含んでいてもよい混合物との組み合わせである。被覆における非イオン性乳化剤と充填剤との混合物の含量は、活性物質を含むマトリックスの性質、例えば浸食速度および大きさに従ってそれぞれの具体的な場合に決定される。
【0131】
本発明のある実施形態において、被覆は、マトリックスの浸食の後に崩壊するかまたは粉になる(crumble)ものである。このタイプの被覆は、活性成分を含むマトリックスにより支えられている限りは損傷されないままであるが、マトリックスの浸食の後には損傷されないままでいる能力を失い、それにより崩壊するかまたは粉になるので、該被覆は、例えばヒトまたは動物において、マトリックスの完全な浸食および活性成分の放出の後にいずれの有意な量で残らない。上記の被覆は例として与えられ、本発明をいずれの方式において限定することを意図するものではない。
【0132】
被覆は、メタクリレート、メタクリレート-ガラクトマンナンのコポリマーなどを用いた腸溶性コーティングでもあり得る。
【0133】
興味のある実施形態において、本発明の放出制御性組成物は、マトリックスの少なくとも1の表面を露出する少なくとも1の開口を有する被覆をさらに有し、該被覆は水性媒体に露出すると、水性媒体中にマトリックスが浸食する速度と等しいかまたはそれより遅い速度で粉になるおよび/または浸食し、該マトリックスの表面の水性媒体への露出が制御されることを許容するものである。このタイプの被覆は、WO 95/22962に記載され、これを参照し、本明細書中に参照として組み込む。これらの被覆は:
【0134】
(a) 熱可塑性の特性を有し、組成物が使用される水性媒体中に実質的に不溶性である第一のセルロース誘導体、例えばエチルセルロース、例えば44.5〜52.5%の範囲のエトキシル含量を有するエチルセルロース、またはセルロース アセテート、セルロース プロピオネートまたはセルロース ナイトレート;と
【0135】
(b) 水に溶解性または分散性である第二のセルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびその塩、セルロース アセテート フタレート、微結晶セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群より選択されるセルロース誘導体;
【0136】
(c) 可塑剤、例えばホスフェートエステル;フタレートエステル;アミド;鉱油;脂肪酸およびそのポリエチレングリコール、グリセリンまたは糖とのエステル;脂肪アルコールおよびそのポリエチレングリコール、グリセリンまたは糖とのエーテル;ならびに植物油;または非イオン界面活性剤からなる群より選択される;および
(d) 充填剤、例えば希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤のような通常の錠剤またはカプセルの賦形剤から選択される
の少なくとも1種とを含む。
【0137】
第一のセルロース誘導体、例えばエチルセルロースは、典型的に、被覆中に例えば約20〜約95重量%、約30〜約90重量%、約40〜約90重量%、約45〜約90重量%、約50〜約85重量%または約50〜約80重量%のような約10〜約99重量%の濃度で含まれる。
【0138】
可塑剤の使用は、エチルセルロースまたは第一のセルロース誘導体の加工性を向上させるために、しばしば所望される。可塑剤は、非イオン界面活性剤、例えばジアセチル化モノグリセリド、ジエチレングリコール モノステアレート、エチレングリコール モノステアレート、グリセリル モノオレエート、グリセリル モノステアレート、プロピレングリコール モノステアレート、マクロゴールエステル、マクロゴールステアレート 400、マクロゴールステアレート 2000、ポリオキシエチレン 50 ステアレート、マクロゴールエーテル、セトマクロゴール 1000、ラウロマクロゴール、ノノキシノール、オクトシノール(octocinols)、チロキサポール、ポロキサマー、ポリビニルアルコール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、
【0139】
ポリソルベート85、ソルビタン モノラウレート、ソルビタン モノオレエート、ソルビタン モノパルミテート、ソルビタン モノステアレート、ソルビタン セスキオレエート、ソルビタン トリオレエート、ソルビタン トリステアレートおよびスクロースエステル;ニトロベンゼン、二硫化炭素、β-ナフチルサリチレート、フタリルグリコレート、ジオクチルフタレートから選択される非イオン界面活性剤であり得る。
【0140】
他の適切な可塑剤は、EP-B-0 746 310から明らかであり、これを参照する。
【0141】
このタイプの被覆は、上記のタイプの放出調節剤をさらに含むことができ、胃および腸のそれぞれにおける浸食の相対速度の点でマトリックス組成物の浸食プロフィールに類似の浸食プロフィールが被覆に賦与される。この場合、マトリックス中の放出調節剤の濃度よりもいくらか高い濃度の放出調節剤を被覆に組込み、被覆が胃内でマトリックスより早く浸食しないことを確実にするのが有利である。
【0142】
医薬組成物
上記のように、本発明による医薬組成物は、被覆されたマトリックス組成物形態であり、そこから活性物質が、ゼロ次放出メカニズムで放出される。
【0143】
医薬物質を含む本発明の医薬組成物は、一般的に経口投与用であり、錠剤もしくはカプセルの形態または多様な単位剤形の形態であり得る。活性物質の放出の速度を制御することが出来るようにするために、組成物は、1日当り1〜6回、通常は1日1〜3回のような1日1〜4回の経口投与が適応される。技術により1日1または2回だけの投与用の組成物も供給され得る。本文脈において、「1日1回」とは、適当な治療および/または予防の応答を得るために、1日に1度の医薬組成物を投与することのみが必要であることを意味する。しかしながら、あらゆる投与は、必要とされる活性物質の量をただ1つの組成物中に配合することができないか、またはより小さな組成物が好ましい場合、1用量単位よりも多い、例えば2〜4用量単位のような共投与(co-administration)を含み得る。
【0144】
活性物質の投与量は、特定の物質、組成物等で治療されるヒトまたは動物の年齢、体重状態に依存する。そのような因子の全ては、当業者に周知である。
活性物質の制御された放出は、第1番目の組成物の1つの表面または複数の表面の実質的に一定の速度での崩壊により引き起こされる。
【0145】
活性物質がマトリックスから放出される速度は、あらかじめ決められた速度、すなわち、ある時間の間に制御できる速度である。各特定の場合に要求される放出速度は、マトリックス中に含まれる活性物質の全体の投薬量と同様に、とりわけ、その所望の効果を発揮するために放出される活性物質の量に依存し得る。それゆえ、マトリックスを構成する物質およびマトリックス中の活性物質の配分は、活性成分の所望の放出レベルを保証するための1以上の基準によって選択される。
【0146】
本発明の医薬組成物から得られる活性物質の制御された放出により、問題の治療に必要な投与量に相当する活性物質を、特定の時間の間に、実質的に一定の速度で放出することが可能であり、それゆえに、例えば、1日当り数回までの設定された間隔での薬剤の投与を要求するような厳密な用法の遵守を、不要にする。
【0147】
さらに、本発明の医薬組成物中に2以上の異なる活性物質を含むことが可能であり、これらの2以上の異なる活性成分は、異なる濃度および/または間隔で放出されるように適応され得、したがって、患者が処方された養生法に従うことをより容易にする。
他の公知の制御された放出組成物と比較して、本発明の医薬組成物のさらなる利点は、医薬組成物が、比較的単純で安価な方法で製造され得ることである。
【0148】
さらに、本発明の医薬組成物は、輸送システムの量に比較して、活性物質の高濃度の取り込みを可能にする。このことは、とりわけ、この組成物が、治療上、予防上および/または診断上の活性物質の輸送用として用いられるとき、組成物の大きさが不必要に大きくならず、要求される活性物質の量の輸送を可能にするので、明らかに大きな利点である。さらに、殆んど溶けないか、または不溶性の活性物質が、本発明の組成物中に容易に取込まれ得る。このように、本発明の組成物は、例えば殆んど溶けないか、または不溶性の、そうでなくても投与することを難しくし得る医薬粉末の輸送用として使用され得る。
【0149】
上記のように、医薬組成物からの活性成分の放出は、USPによるインビトロでの溶解性試験により測定される実質的にゼロ次放出に一致する。実質的にゼロ次放出は、例えば少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間もしくは少なくとも5時間のような少なくとも1時間の時間に、または例えば少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間もしくは少なくとも10時間のような少なくとも5時間の時間で得られる。
【0150】
複数単位組成物
さらに、本発明の医薬組成物は、例えばカプセルまたは錠剤のような複数単位医薬組成物の製剤で使用される。複数単位医薬組成物は、該組成物を摂取するヒトまたは動物の胃の中で、個々の単位が、その組成物の崩壊で利用できるようになるような1つの形態中に多種多様な個々の単位を含む医薬組成物、典型的にはカプセルまたは錠剤である。したがって、この場合、上記の複数単位医薬組成物中の少なくともいくつかの各単位は、そのような組成物中に取込まれることを可能にする大きさの個々の単位の本発明の組成物から構成される。
【0151】
製剤
本発明の第1の組成物と同様に輸送システムは、医薬工業でそれ自身が知られているか、または例えば、問題の組成物中に用いられる所望の実施態様または材料に依存するポリマーベースの物質の製造中で使用される種々の方法により製造される。上記のように、本発明の1つの利点は、比較的単純で安価な方法により製造できることである。
【0152】
本発明の組成物は、その組成物中に非晶質形態の活性物質を有することが必要とされるときに特に好適である。なぜなら本発明の組成物の製造のために一番便利な方法は、活性物質と一緒にポリマーを加熱することを含み、結晶の状態から非晶質の状態への転化は、エネルギーの付加(加熱すること)を必要とするからである。
【0153】
通常、本発明の組成物を製造する時、加熱は、射出成形方法のために用いられる。加熱の間に、種々の性質のPEPが、特にホルムアルデヒドおよびギ酸の生成を招くフリーラジカルを生成することが観察された。これらの生成は、しばしば、例えば、組成物中に存在する活性物質のさらなる分解に導き得る。それゆえ、この点から必要な対策をとる必要がある。ハイドロパーオキサイドによる酸化的フリーラジカル分解は、ある遷移金属、特に銅、コバルトおよびマンガンのそれらにより触媒され得る。
【0154】
したがって、そのような遷移金属イオンを全く含まないか、または非常に少量のみ含んだ品質のPEOの使用は、安定性を改善し得る。もう1つの可能性は、生成されるフリーラジカルが、もしあれば、その組成物中の活性成分の分解を有意に増加しないことを保証する品質の成分ii)を使用することである。そのような品質は、例えば加熱の間、フリーラジカルの生成を防ぐことによるか、生成されるあらゆるフリーラジカルを補足することによって作用する抗酸化剤を含む品質であろう。もう1つの可能性は、あらゆる加熱が発生する以前に、そのような抗酸化剤をその製剤に加えることである。
【0155】
好適な品質は、PEO 200,000またはDow ChemicalsからのLFを含む。
それゆえ、本発明の組成物は、パーオキサイドの生成を阻害し、そして/または存在するあらゆるパーオキサイドを不活性化する1以上の抗酸化剤をさらに含み得る。
【0156】
使用のために好適な抗酸化剤は、βカロチン(ビタミンA前駆体)、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(sodium formaldehyde sulfoxylate)、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールヘミスクシネート、TPGSもしくは他のトコフェロール誘導体、スルフィド、ホスフィンなどを含む。他の好適な抗酸化剤はここの中に記載される。
【0157】
さらに、活性成分の非晶質状態は、好ましい実施態様中に医薬単位の射出成形を含む、本件発明の生成物の製造の処理操作により、好ましい。
【0158】
射出成形技術は、射出成形が配合物が機械に入った時から最終的な医薬単位が包装用に排出されるまで、たった1つの密閉室(single closed compartment)で行なわれるので、1つの工程中の高められた圧力の間に、成分を空気および湿気に曝露することなく、同時に混合および加熱する利点を有する。
【0159】
本発明のもう1つの観点において、配合工程は、射出成形機に供給するのに好適なペレットを得るための押出工程に続いて行なわれ得る。この押出工程は、より均質な混合をもたらし、それにより、最終医薬品のより高い再現性をもたらし得る。
【0160】
医薬組成物は、例えば押出および浸漬被覆、射出成形および浸漬被覆により、あるいは押出もしくは射出成形および噴霧法もしくは浸漬法による溶媒被覆、またはマトリックス組成物および活性物質とで被覆する同時押出成形によって製造され得る。
さらに詳しい説明については、ここの中の実験部分に言及される。
本発明は、以下の図および本発明を限定しない実施例でさらに説明する。
【0161】
図1は、バッファー50 rpm中のPEO、LF(より低いpH)およびNFの異なる2つの度合(grade)におけるポロキサマー含有量の関数として、溶解放出時間を示す。
図2は、バッファー50 rpm中PEO NF中のプロキサマー含有量の関数として、累積溶解放出時間を示す。製剤83 100%のポロキサマー188;製剤86は60:40のPEO NFおよびポロキサマーを含有、製剤85は比較として100%PEO NFを含有。製剤の溶解分析は、ポロキサマー188に対するPEOの比を変えることにより、放出速度を制御することが可能であることを示した。
【0162】
図3は、PEO LFと一緒の12.5%のバクロフェンの、溶解に対するポロキサマー含有量の効果を示す。
図4は、PEO LFと一緒の25%のバクロフェンの、溶解に対するポロキサマー含有量の効果を示す。
図5は、PEO NFと一緒の25%のバクロフェンの、溶解に対するポロキサマー含有量の効果を示す。
【0163】
図6は02 0143-142と表示された、実施例11の組成物に関する溶解プロファイルを示す。溶解は30℃、60% RHで26日間の保存後に測定された。図は、02 0154-142と表示されたの組成物に関する溶解プロファイルを示し、押出工程を製造に加えることによって影響されない溶解を示す。
図7は03-002-142と表示された製剤、同様のプラセボ製剤(ここで、カルベジオールがPEOで置き換えられ、同様の製造パラメーター下に製造された)のX線回折を示す。原料物質のカルベジオールも示される。
【0164】
図8は、03-0002-142と表示された製剤のX線回折を示し、原料物質カルベジオールも示される。
図9は、03-0002-142と表示された製剤およびその同様のプラセボ製剤(ここで、カルベジオールがPEOで置き換えられ、同様の製造パラメーター下に製造された)のX線回折を示す。X線回折からの結論は、結晶カルベジノールは、原料物質の形態または他の多形の形態のどちらでも、カルベジオールの全量の5%の検出限界で存在しないということである。
図10は、03-0002-142と表示された実施例16の成分に関連する溶解プロファイルを示す。溶解時間は274 mig(6.25時間)で、放出はゼロ時である。溶解媒体はpH 6.8、50 rpmである。
【0165】
実施例
放出制御性組成物の一般的な製造方法を、以下に示す。
【0166】
マトリックス組成物の製造
精密な量のポリマーおよび/またはポリマーブレンド、続いて精密な量の活性物質と医薬上許容される賦形剤とをMTIミキサーに投入する。混合を2050/1450 rpmで10分+4分+短い最終のスピンで行う。混合の開始時に温度は約19℃(第一の期間)であり、混合物の最終温度は約52℃である(第二および第三の期間)。次いで、混合物を室温まで冷却させ、これで射出成形機に供給する準備ができる。
【0167】
被覆組成物の製造
被覆組成物は、まずエチルセルロース、次いでセトステアリルアルコール、および最後に二酸化チタンをMTI-ミキサーに約21℃の温度で加えることにより製造した。9分近く、1000 rpm (I: 0.9 A)で混合した後、ミキサーを停止し(温度約46℃)、付着した物質を手で混合物に混ぜ合わせた。混合物を約10分間放置して冷却させた。次いで、塊の形成を最小限にするために、短い高速混合で混合を仕上げた。混合物を室温まで冷却させ、その後、混合物は射出成形機に供給されるのに適切な硬さを有した。
【0168】
被覆組成物の例
【0169】
【表3】

【0170】
最終の投与単位を、2つの異なる方法に従って製造することができる。
一方の方法において、被覆とマトリックスとを別々に成形し、続いて成形されたマトリクスを手動で混ぜ合わせて成形された被覆をふさぐ。用いる成形機は、Arburg Allrounder 220 S 250/60である。
【0171】
第二の方法において、被覆を第一工程で成形し、第二工程でマトリックスを被覆内で直接成形する1つのプロセスで被覆とマトリックスとを成形する。用いる成形機は、Arburg Allrounder 420 V 800-60/35である。
【0172】
次の表は、円柱形で、両末端に円形の開口を有する製剤を示す。
【表4】

【0173】
次の表は、円柱形で、両末端に楕円形の開口を有する製剤を示す。
【表5】

【0174】
被覆組成物の製造
A. ロトラブ(Rotolab)での混合
精密な量の成分をロトラブミキサーに加える。混合を1200 rpmで行う。ミキサーのジャケットを55〜64℃に加熱する。物質の温度が約50〜51℃になったときにミキサーを停止する。付着した物質をミキサーボウルと短いスピンから手で剥がし落とすことにより混合物に混ぜ合わせる。
【0175】
B. MTIミキサーでの混合
精密な量の成分をMTIミキサーに加える。混合を1000 rpmで行う。物質の温度が約46℃になったときにミキサーを停止する。付着した物質をミキサーボウルと短いスピンから手で剥がし落とすことにより混合物に混ぜ合わせる。ミックスを10分間放置して冷却させ、塊を壊すために短いスピンにかける。
【0176】
マトリックス組成物の製造
予備ブレンド
ピストンとギャンブリングカード(gambling card)を用いて乳鉢において手で予備ブレンドを行う。予備ブレンドは、成分または非粉末の成分の少量が均一に分散されることを助ける。予備ブレンドの成分は、幾何学的希釈により混合される。この方法において、最少量の成分を等しい容量の別の成分(希釈剤)と一緒に乳鉢内に入れる。2つの物質を、これらがよく混合されるまですりつぶす(粉砕して混合する)。次いで、等しい量の希釈剤を再び混合物に加え、これらが完全に混合されるまで繰り返してすりつぶす。この手順を、全ての希釈剤を加えて混合するまで繰り返す。予備ブレンドの全てがマトリックス組成物中に用いられるか、少量の成分の所望の量を含有するストックブレンドの一部分が用いられるかのいずれかである。
【0177】
ドライブレンド:
ロトラブでの混合
精密な量の成分および可能であれば予備ブレンドをロトラブミキサーに加える。混合を1000 rpmで約10分間行う。ミキサーのジャケットは加熱しない。付着した物質をミキサーボウルと短いスピンから手で剥がし落とすことにより混合物に混ぜ合わせる。
【0178】
MTIミキサーでの混合
精密な量の成分および可能であれば予備ブレンドをMTIミキサーに加える。混合を1000〜1500 rpmで約10分間行う。付着した物質をミキサーボウルと短いスピンから手で剥がし落とすことにより混合物に混ぜ合わせる。
【0179】
粉砕機での混合
全ての成分を大きい粉砕機(直径〜30 cm)内で幾何級数的希釈により混合する。最少量の成分に、(いくらかの)二番目に少ない量の成分をまず加える。次いで、これらを二番目の成分が全て加えられるまですりつぶす。次いで、三番目に少ない量の成分を加え、これを続ける。
【0180】
湿式造粒:
MTIミキサーでの混合
精密な量の乾燥成分および可能であれば予備ブレンドをMTIミキサーに加える。これらを1分間、1000 rpmで混合する。次いで、液体の成分をふたの孔を通してゆっくりと加える。これは4〜8分かかる。付着した物質をミキサーボウルから手で剥がし落として2〜4分間、1000 rpmで混合することにより混合物に混ぜ合わせる。
【0181】
ロットの混ぜ合わせ:
重量混合
2以上のバッチを混ぜ合わせる場合、これらを容器に移して1〜3分間手動で振とうする。
【0182】
押出機使用の配合例
(バッチ番号:CM79)
バッチサイズ:1 kg.
装置:35 L/D EMP21-35 TSA 共回転二軸押出機。空冷環とトラフを有する冷却タワー。ボルテックスチューブは用いない。フィーダーホッパーに供給する窒素ブランケット。
ゾーン1 (供給ゾーン)温度:29〜30℃
ゾーン2 (混合ゾーン)温度:60〜61℃
ゾーン3 (混合ゾーン)温度:72〜75℃
ゾーン4 温度:68〜70℃
ゾーン5 温度:64〜65℃
ゾーン6 温度:60〜68℃
ダイゾーン温度:61〜64℃
トルク (104 amp.の%):25〜29 %
ダイ圧力:22〜25 bar
スクリュー速度:56〜111 rpm
計量単位(dosing unit)速度:0.4〜1.0
ペレット引取速度:4〜5
ペレタイザーのローター速度:7
コメント:押出物のストリングは、当初、黄色で粘性があった。次いで白色になり、粘性が低くなった。
【0183】
射出成形パラメータ
射出成形設定パラメータは、通常、以下に示す限界内である。実際のパラメータは、説明のために、個別のバッチのいくつかと関連して開示する。
【0184】
【表6】

【0185】
【表7】

【0186】
【表8】

【0187】
以下に、本発明を説明するために、いくつかの製剤例を示す。種々の組成物は、特に明記しない限りは上記の一般的な方法に従って製造された。類似のマトリックスおよび/または設計の間の比較のために特定の溶解時間に言及する。
【0188】
実施例1
23℃、pH 7.6の水で4.3 mg/mLの溶解度の活性物質の放出時間を、ポロキサマー188からなるマトリックス組成物中で、pH 1.0の溶解媒体およびバッファー6.8中で試験して、このような賦形剤が本発明によるマトリックス組成物に与える影響を評価するために、異なる賦形剤について試験する。マトリックス組成物を加熱して混合し、最終的に円柱形のプラグに成形し、これは円柱形の殻に溶解の前に挿入される。
【0189】
ポロキサマー188からのバクロフェンの放出速度は、いずれかの有機酸が含まれる場合にバッファー6.8中で増加した。最も重大な効果は、クエン酸を用いたときに観察された。これは、酸の種々のpKa値および溶解性に関連し得る。
【0190】
【表9−1】

【表9−2】

【0191】
実施例2
23℃、pH 7.6の水で4.3 mg/mLの溶解性を有し、本発明による種々のマトリックス組成物において対応する溶解時間と放出速度とを有する活性物質を有する組成物。結果は、本発明によるPEOおよびブロックコポリマーの種々の比での使用により放出速度を制御する可能性を示す。
【0192】
【表10−1】

【表10−2】

【0193】
本発明によるバクロフェン製剤の溶解パラメータを、図1〜図5に開示する。
バクロフェン25%を有する上記の実施例から、単一のポリマーとしてのPEO NFおよびポロキサマー188についての溶解速度は、106/27であり、係数3.93に相当する。60:40のブレンドの使用により、PEO NF単独に比べて放出速度が係数1.22で増大する。言い換えると、放出速度は、ポリマー担体PEO NFを40%のポロキサマーで置き換えることにより、PEO単独で得られる速度から係数約3で減少する。
【0194】
適切な所望の放出時間は、少数の試験に基づくグラフから見出し得ることが明らかである。
【0195】
実施例3
本発明による組成物(バッチ番号02-0121-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 70.68%
ポロキサマー [Lutrol F127] 16.97%
カルベジロール 11.67%
PM 0.19%
BHT 0.49%
1投与形態は、22 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ6 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
【0196】
実施例4
本発明による組成物(バッチ番号02-0128-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 (LF) 74.30%
ポロキサマー (Lutrol F68) 13%
カルベジロール 12.0%
メタ重亜硫酸ナトリウム 0.2%
BHT 0.5%
1投与形態は、23 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ9 mmであり、円形の断面形状を有した。
【0197】
実施例5
本発明による組成物(バッチ番号02-0130-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 64.80%
ポロキサマー [Lutrol F68] 20.5%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
1投与形態は、26 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ6 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
溶解は、ゼロ次放出、および330分(5.5時間)の溶解時間を示した。
【0198】
実施例6
本発明による組成物(バッチ番号02-0131-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 (LF) 69.85%
ポロキサマー (Lutrol F68) 17.45%
カルベジロール 12.0%
メタ亜硫酸ナトリウム 0.2%
BHT 0.5%
1投与形態は、23 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ9 mmであり、円形の断面形状を有した。
【0199】
実施例7
本発明による組成物(バッチ番号02-0132-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 (LF) 65.45%
ポロキサマー (Lutrol F68) 21.85%
カルベジロール 12.0%
メタ亜硫酸ナトリウム 0.2%
BHT 0.5%
組成物は長さ9 mmであり、円形の断面形状を有した。
【0200】
実施例8
本発明による組成物(バッチ番号02-0133-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 (LF) 61.10%
ポロキサマー (Lutrol F68) 26.2%
カルベジロール 12.0%
メタ亜硫酸ナトリウム 0.2%
BHT 0.5%
1投与形態は、22 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ9 mmであり、円形の断面形状を有した。
【0201】
実施例9
本発明による組成物(バッチ番号02-0134-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 61.40%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.4%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ6 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
【0202】
同じ容積で7.5 mmの楕円形状の類似の製剤(バッチ02-0140-042)を製造した。
溶解は、両方についてゼロ次を示し、
7.5 mmについて370分、1.22 mm/時間の浸食時間に相当;
6 mmについて290分、1.24 mm/時間の浸食時間に相当
の溶解時間を示した。
【0203】
実施例10
本発明による組成物(バッチ番号02-0141-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 60.78%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.21%
カルベジロール 13.86%
PM 0.20%
BHT 0.50%
オルトリン酸 4.45%
TiO2 1.00%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。溶解は、類似のバッチ(02-0140-042、マトリックスはバッチ0134と同一)の溶解と比較したときに、TiO2の添加によりいずれの有意な変化を示さなかった。
【0204】
実施例11
本発明による組成物(バッチ番号02-0143-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 60.60%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.2%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
KH2PO4 1.0%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
溶解:図11からわかるように(ベッセル4、5および6を表す下のカーブ)、溶解はゼロ次である。未処理データからの溶解時間は360分(6時間)。
【0205】
実施例12
比較組成物(バッチ番号02-0145-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 79.80%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
KH2PO4 1.0%
組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
【0206】
実施例13
本発明による組成物(バッチ番号02-0151-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 61.40%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.4%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
【0207】
実施例14
本発明による組成物(バッチ番号02-0152-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 60.60%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.2%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
KH2PO4 1.0%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
【0208】
実施例15
本発明による組成物(バッチ番号02-0154-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 61.40%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.4%
カルベジロール 14.0%
PM 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
溶解:図11からわかるように(ベッセル1、2および3を表す上のカーブ)、溶解はゼロ次である。未処理データからの溶解時間は360分(6時間)。よって、該組成物は実施例34のバッチ0143に対応するので、溶解時間は押出配合により変化しない。
【0209】
実施例16
本発明による組成物(バッチ番号03-0002-042)を、以下の成分から製造した。
マトリックス: 重量%
PEO 200.000 LF 60.6%
ポロキサマー [Lutrol F68] 19.2%
カルベジロール 14%
メタ亜硫酸カリウム 0.2%
BHT 0.5%
オルトリン酸 4.5%
KH2PO4 1.0%
1投与形態は、25 mgのカルベジロールを含有する。組成物は長さ7.5 mmであり、楕円形の断面形状を有した。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】図1は、バッファー50 rpm中のPEO、LF(より低いpH)およびNFの異なる2つの度合(grade)におけるポロキサマー含有量の関数として、溶解放出時間を示す。
【図2】図2は、バッファー50 rpm中PEO NF中のプロキサマー含有量の関数として、累積溶解放出時間を示す。製剤83 100%のポロキサマー188;製剤86は60:40のPEO NFおよびポロキサマーを含有、製剤85は比較として100%PEO NFを含有。製剤の溶解分析は、ポロキサマー188に対するPEOの比を変えることにより、放出速度を制御することが可能であることを示した。
【図3】図3は、PEO LFと一緒の12.5%のバクロフェンの、溶解に対するポロキサマー含有量の効果を示す。
【図4】図4は、PEO LFと一緒の25%のバクロフェンの、溶解に対するポロキサマー含有量の効果を示す。
【図5】図5は、PEO NFと一緒の25%のバクロフェンの、溶解に対するポロキサマー含有量の効果を示す。
【図6】図6は02 0143-142と表示された、実施例11の組成物に関する溶解プロファイルを示す。溶解は30℃、60% RHで26日間の保存後に測定された。図は、02 0154-142と表示されたの組成物に関する溶解プロファイルを示し、押出工程を製造に加えることによって影響されない溶解を示す。
【図7】図7は03-002-142と表示された製剤、同様のプラセボ製剤(ここで、カルベジオールがPEOで置き換えられ、同様の製造パラメーター下に製造された)のX線回折を示す。原料物質のカルベジオールも示される。
【図8】図8は、03-0002-142と表示された製剤のX線回折を示し、原料物質カルベジオールも示される。
【図9】図9は、03-0002-142と表示された製剤およびその同様のプラセボ製剤(ここで、カルベジオールがPEOで置き換えられ、同様の製造パラメーター下に製造された)のX線回折を示す。X線回折からの結論は、結晶カルベジノールは、原料物質の形態または他の多形の形態のどちらでも、カルベジオールの全量の5%の検出限界で存在しないということである。
【図10】図10は、03-0002-142と表示された実施例16の成分に関連する溶解プロファイルを示す。溶解時間は274 mig(6.25時間)で、放出はゼロ時である。溶解媒体はpH 6.8、50 rpmである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス組成物が、
i) 第1のポリマーがポリエチレングリコール類およびポリエチレンオキシド類からなる群から選択されており、そして
第2のポリマーがポリ(エチレングリコール-b-(DL-乳酸-コ-グリコール酸)-b-エチレングリコール(PEG-PLGA PEG)、ポリ((DL-乳酸-コ-グリコール酸)-g-エチレングリコール) (PLGA-g-PEG)、ポロキサマー類およびポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)を含むエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーから選択されている、
共に可塑化特性を有し、かつ最大限200℃の温度の溶融点または溶融間隔を有する第1および第2のポリマーの混合物、
ii) 治療上、予防上および/または診断上の活性物質、
を含み、
そのマトリックス組成物は、前記マトリックスの一表面において露出する開口を少なくとも一つ有する被覆が備えられており、その被覆は、
i) 熱可塑性の特性を有し、組成物に用いられる水性媒体中に実質的に不溶性である第1のセルロース誘導体、
および少なくとも一つの
ii) 水に可溶性または分散性である第2のセルロース誘導体、
iii) 可塑剤、と
iv) 充填剤、
を含み、
そこでは活性物質が実質的にゼロ次放出で放出される、
被覆されたマトリックス組成物の形態にある経口使用のための放出制御性医薬組成物。
【請求項2】
第1のポリマーが、結晶および/または非晶質形態にある少なくとも約20,000の分子量を有するポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレンオキシドあるいはそのようなポリマーの混合物である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレンオキシドが、例えば約20,000〜約700,000ダルトン、約20,000〜約600,000ダルトン、約35,000〜約500,000ダルトン、約35,000〜約400,000ダルトン、約35,000〜約300,000ダルトン、約50,000〜約300,000ダルトンのような、例えば約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約75,000ダルトン、約100,000ダルトン、約150,000ダルトン、約200,000ダルトン、約250,000ダルトン、約300,000ダルトンまたは約400,000ダルトンのような約20,000ダルトンからの分子量を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリエチレンオキシドが、約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約100,000ダルトンおよび約200,000ダルトンの分子量を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
第1のポリマーが、例えば、約30〜約100℃または約40〜約80℃のような約20〜120℃の溶融点を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
マトリックス組成物中の第1のポリマーの濃度が、例えば、約20〜約99%、約30〜約99重量%、約35〜約95重量%、約35〜約90重量%、約35〜約85重量%、約35〜約80重量%、約40〜約75重量%、約45〜約70重量%、約45〜約65重量%、約55〜約85重量%または約60〜約85重量%のような約10〜約99.5%である請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
第2のポリマーが、少なくとも約2,000ダルトンの分子量を有する請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
第2のポリマーが式 HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aHを有し、aが、例えば約30〜約140、約50〜約100、約65〜約90、約70〜約90のような約10〜約150の整数であり、bが、例えば約15〜約80、約20〜約60、約25〜約55のような約10〜約80の整数であるポロキサマーである、請求項1〜7のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項9】
ポロキサマーが、例えば約4,000ダルトン〜約15,000ダルトンまたは約6,000ダルトン〜約10,000ダルトンのような約2,000ダルトン〜約20,000ダルトンの分子量を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
第2のポリマーが、例えば約30〜約100℃または約40〜約80℃のような約20〜120℃の溶融点を有する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
第2のポリマーが、例えば少なくとも約20のような、少なくとも約18のHLB値を有する請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
マトリックス組成物中の第2のポリマーの濃度が、例えば約1%〜約90重量%、約5重量%〜約90重量%、約10重量%〜約90重量%、約10重量%〜約80重量%、約10重量%〜約70重量%、約10重量%〜約60%、約10重量%〜約50%、約15%〜約50重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約15%〜約40重量%、約15%〜約35重量%または約15%〜約30重量%のような約0.5%〜約95重量%である、請求項1〜11のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項13】
組成物の少なくとも一表面の浸食による水性媒体中への活性物質の制御された放出のための請求項1〜12のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項14】
活性物質が、その結晶、多形もしくは非晶質形態またはそれらの混合物のいずれかで存在する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項15】
活性物質が少なくとも部分的に、分散体中に固形で存在する、請求項1〜14のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項16】
活性物質が少なくとも部分的に、例えば固体または半固溶体の形態のような分子分散体で存在する、請求項1〜15のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項17】
活性物質が固溶体を含む分子分散体で存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
活性物質が少なくとも部分的にコロイド分散体で存在する、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項19】
活性物質が少なくとも部分的に結晶性形態で存在する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
活性物質が少なくとも部分的に、例えば約0.05μm〜約500μm、約0.1μm〜約500μm、典型的には約0.5μm〜約300μm、より典型的には約1μm〜約200μm、とりわけ約1μm〜約100μmのような、約0.01μm〜約500μmの平均粒子径を有する非晶質形態で存在する、請求項1〜19のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項21】
第1および第2のポリマーが、活性物質が含まれている分散媒体を一緒に形成している、請求項1〜20のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
安定化剤を含む請求項1〜21のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項23】
安定化剤が、拡散および溶解調節剤、pH-調節剤、緩衝剤、組成物中の成分の流動性を増加しない薬剤、結晶形成を防止する薬剤および抗酸化の特性を有する薬剤からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
安定化剤が、無機酸、無機塩基、無機塩、有機酸もしくは塩基およびそれらの医薬的に許容な塩、糖類、オリゴ糖類、多糖類ならびにセルロースおよびセルロース誘導体、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
有機酸が、例えば酢酸、エタン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アクリル酸、安息香酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、アンゲリカ酸、アスコルビン酸/ビタミンC、カルバミン酸、ケイヒ酸、シトラマル酸、ギ酸、フマル酸、没食子酸、ゲンチシン酸、グルタコン酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、乳酸、レブリン酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、オキザミン酸、ピメリン酸、ピルビン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸のようなモノ-、ジ-、オリゴ、ポリカルボン酸もしくはアミノ酸、またはそれらの混合物である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
無機酸が、ピロリン酸、グリセロリン酸、オルトもしくはメタリン酸のようなリン酸、ホウ酸、塩酸または硫酸、あるいはそれらの混合物である、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
好適な無機化合物がアルミニウムを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項28】
好適な有機塩基が、p-ニトロフェノール、スクシンイミド、ベンゼンスルホンアミド、2-ヒドロキシ-2-シクロヘキセノン、イミダゾール、ピロール、ジエタノールアミン、エチレンアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ヒドロキシアミンおよびアミン類の誘導体、クエン酸ナトリウム、アニリンおよびヒドラジン、またはそれらの混合物からなる群から選択される. 請求項24に記載の組成物。
【請求項29】
好適な無機塩基が、例えば酸化アルミニウム 3水和物もしくはアルミナのような酸化アルミニウム 、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、KOHなど、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
有機酸の医薬的に許容な塩が、例えばリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなど、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなど、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウムなど、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛など、またはそれらの混合物のような、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である、請求項24に記載の組成物。
【請求項31】
無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど、またはそれらの混合物である請求項24に記載の組成物。
【請求項32】
医薬的に許容な賦形剤が、グルコースおよび他の単糖類、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、イノシトール、グルコース、ソルビトール、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、マンニトール、フルクトース、ラクトース、スクロース、および他の二糖類、デキストリン、デキストランまたは他の多糖類、アミロース、キシラン、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロースおよびセルロース誘導体、アミロペクチン、ペクチン、デンプン、ナトリウムデンプンなど、カオリン、ベントナイト、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、ゼラチン、右旋性ブドウ糖、糖密、トチャカエキス、パンワーゴム、ガッチゴム、イサポール フスクの粘液、ビーゴム、グリコールレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、二酸化ケイ素、白土、クロスカルメロース、ガム質、寒天などまたはそれらの混合物から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項33】
充填剤、希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、pH-調節剤、粘度調節剤、溶解性増加または減少剤、浸透性活性薬剤および溶媒からなる群から選択される医薬的に許容な賦形剤をさらに含む、請求項1〜32のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項34】
安定化剤が、その溶媒和物および無水物を含むクエン酸である、請求項24に記載の組成物。
【請求項35】
クエン酸が、例えば最大限約12重量%のような、例えば最大限約10重量%のような、例えば最大限約8重量%のような、例えば最大限約5重量%のような、例えば最大限約3重量%のような、例えば最大限約2重量%のような、最大限約1重量%または最大限約0.5重量%のような最大限約15重量%の含水量を有する、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
安定化剤が、リン酸もしくはホスホン酸またはそれらの塩である請求項24に記載の組成物。
【請求項37】
リン酸がオルトもしくはメタリン酸またはそれらの混合物である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
組成物中の活性物質の濃度が、最大限で成分i) の溶融点または溶融差の最低端点に相当する温度における成分i) の飽和濃度に相当する、請求項1〜37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項39】
第1のポリマーおよび/または第2のポリマーが、もし形成されるのであれば、形成されたフリーラジカルが組成物中の活性物質の分解を大きく増加させないことを確実にする性質である、請求項1〜38のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項40】
過酸化物の形成を阻害するかおよび/または存在するいくらかの過酸化物を不活性化する1以上の抗酸化剤をさらに含む、請求項1〜39のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項41】
活性物質が抗酸化剤特性を有する、請求項1〜40のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項42】
組成物が物理安定度に関して安定である、請求項1〜41のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項43】
組成物が、組成物からの活性物質のインビトロ溶解に関して安定である、請求項1〜42のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項44】
組成物が、t50%、すなわち、活性物質の50重量%が溶解媒体中に溶解するための時間が、同様の保管および試験条件下で2週間の時間差で同一バッチからの2つの組成物を比較したとき、例えば最大限±15重量%、最大限±10重量%、最大限±7.5重量%、最大限±5重量%、最大限±2.5重量%、最大限±1.5重量%または最大限1重量%のような最大限±20重量%で異なるような様式で、インビトロ溶解挙動に関して安定である、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
組成物が活性物質の化学安定度に関して安定である、請求項1〜44のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項46】
組成物中の活性物質の濃度が、室温で、例えば6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月または24ヶ月のような少なくとも3ヶ月の期間の間、例えば最大限70%、最大限65%、最大限60%、最大限55%、最大限50%または最大限45%のような最大限75%の相対湿度で保存したときに、例えば最大限15重量%、最大限10重量%、最大限7.5重量%または最大限5重量%のような最大限20重量%で減少する、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
活性物質が、例えば最大限約90重量%、最大限約85重量%、最大限約80重量%、最大限約75重量%、最大限約70重量%、最大限約65重量%または最大限約60重量%のような約0.1〜約98重量%の濃度で組成物中に存在する、請求項1〜46のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項48】
活性物質が、例えば最大限約1 mg/ml、最大限約0.1 mg/ml、最大限約0.05 mg/mlのような、例えば最大限約0.001 mg/mlのような最大限約3 mg/mlの溶解度を有する、請求項1〜47のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項49】
いずれかの露出したマトリックス表面が実質的に一定の速度で浸食される、請求項1〜48のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項50】
組成物に用いられる水性媒体中において、マトリックスが完全に浸食される前に被覆が、完全に崩壊されないか、または浸食されない、請求項1〜49のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項51】
前記第1のセルロース誘導体が、加熱したときに、射出成形、吹込み成形および圧縮成形を含む成形または押出により成形できるセルロース エーテルである、請求項1〜50のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項52】
セルロース エーテルが、少なくとも1つのエチルセルロースを含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
前記第1のセルロース誘導体が、セルロース アセテート、セルロース プロピオネートおよびセルロース ナイトレートからなる群から選択される、請求項1〜51のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項54】
前記第2のセルロース誘導体が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、セルロース アセテート フタレート 、微結晶性セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択される、請求項1〜53のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項55】
カルボキシメチルセルロースの前記塩が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記可塑剤が、リン酸エステル類;フタル酸エステル類;アミド類;鉱油;脂肪酸およびそれらのポリエチレングリコール、グリセリンまたは糖類とのエステル類;脂肪アルコールおよびそれらのポリエチレングリコール、グリセリンまたは糖類 とのエーテル類;植物性油脂および水素化植物性油脂;ニトロベンゼン、二硫化炭素、β-ナフチル サリチレート、フタリル グリコレート、ジヂオクチル フタレートなどからなる群から選択される、請求項1〜55のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項57】
前記脂肪アルコールが、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールおよびミリスチルアルコールからなる群から選択される、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記可塑剤が非イオン性界面活性剤である請求項1〜55のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項59】
固体分散体が、ポリエチレングリコール2000 モノステアレートまたはポリエチレングリコール400 モノステアレートを含まない、請求項1〜58のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項60】
第1のポリマーが、少なくとも100,000ダルトンかつ最大限400,000ダルトンの分子量を有する、請求項1〜59のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項61】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から5〜6時間以内で組成物から放出される、請求項1〜60のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項62】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から4〜5時間以内で組成物から放出される、請求項1〜60のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項63】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から3〜4時間以内で組成物から放出される、請求項1〜60のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項64】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から2〜3時間以内で組成物から放出される、請求項1〜60のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項65】
組成物からの活性物質の放出が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、ゼロ次放出が開始する前に、0.25〜4時間、例えば1〜2時間のような0.5〜3時間、実質的に遅らされる、請求項1〜64のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項66】
方法が、組成物を構成する個々の成分の溶融または半固体の、混合物の好適な形態への射出成形、射出成形を用いる被覆の塗布および組成物を固化するためのこのようにして調製された被覆された組成物の冷却を含む、請求項1〜65のいずれか一つに記載の組成物の製造方法。
【請求項67】
方法が、実質的に単一連続法である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
冷却が、例えば約5℃〜約18℃、約10℃〜約16℃のような、例えば約10℃、約12℃、約14℃、約15℃または約16℃のような約0℃〜約20℃の温度に制御された条件下で行なわれる、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
ポリマーと活性物質が互いに物理的に接触している間、加熱工程を含む請求項66または67に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス組成物が、
i) 第1のポリマーが、結晶および/または非晶質形態にあり、少なくとも約20,000の分子量を有するポリエチレングリコール類およびポリエチレンオキシド類か、またはそのようなポリマーの混合物からなる群から選択され、そして
第2のポリマーが少なくとも約18のHLB値を有するポロキサマー類から選択されている、
共に可塑化特性を有し、かつ最大限200℃の温度の溶融点または溶融間隔を有する第1および第2のポリマーの混合物、
ii) 治療上、予防上および/または診断上の活性物質、
を含み、
ここで、そのマトリックス組成物中の第2のポリマーの濃度が約5〜約90重量%であり、
そのマトリックス組成物は、前記マトリックスの一表面において露出する開口を少なくとも一つ有する被覆が備えられており、その被覆は、
i) 熱可塑性の特性を有し、組成物に用いられる水性媒体中に実質的に不溶性である第1のセルロース誘導体、
および少なくとも一つの
ii) 水に可溶性または分散性である第2のセルロース誘導体、
iii) 可塑剤、および
iv) 充填剤、
を含み、
そこでは活性物質が実質的にゼロ次放出で放出される、
被覆されたマトリックス組成物の形態にある経口使用のための放出制御性医薬組成物。
【請求項2】
ポリエチレングリコールおよび/またはポリエチレンオキシドが、例えば約20,000〜約700,000ダルトン、約20,000〜約600,000ダルトン、約35,000〜約500,000ダルトン、約35,000〜約400,000ダルトン、約35,000〜約300,000ダルトン、約50,000〜約300,000ダルトンのような、例えば約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約75,000ダルトン、約100,000ダルトン、約150,000ダルトン、約200,000ダルトン、約250,000ダルトン、約300,000ダルトンまたは約400,000ダルトンのような約20,000ダルトンからの分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリエチレンオキシドが、約35,000ダルトン、約50,000ダルトン、約100,000ダルトンおよび約200,000ダルトンの分子量を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
第1のポリマーが、例えば、約30〜約100℃または約40〜約80℃のような約20〜120℃の融点有する請求項1〜3のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項5】
マトリックス組成物中の第1のポリマーの濃度が、例えば、約20〜約95%、約30〜約95重量%、約35〜約95重量%、約35〜約90重量%、約35〜約85重量%、約35〜約80重量%、約40〜約75重量%、約45〜約70重量%、約45〜約65重量%、約55〜約85重量%または約60〜約85重量%のような約10〜約95%である請求項1〜4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
第2のポリマーが、少なくとも約2,000ダルトンの分子量を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項7】
第2のポリマーが式 HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)aHを有し、aが、例えば約30〜約140、約50〜約100、約65〜約90、約70〜約90のような約10〜約150の整数であり、bが、例えば約15〜約80、約20〜約60、約25〜約55のような約10〜約80の整数であるポロキサマーである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項8】
ポロキサマーが、例えば約4,000ダルトン〜約15,000ダルトンまたは約6,000ダルトン〜約10,000ダルトンのような約2,000ダルトン〜約20,000ダルトンの分子量を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
第2のポリマーが、例えば約30〜約100℃または約40〜約80℃のような約20〜120℃の融点を有する、請求項1〜8のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項10】
第2のポリマーが、少なくとも約20のHLB値を有する請求項1〜9のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項11】
マトリックス組成物中の第2のポリマーの濃度が、約10重量%〜約80重量%、約10重量%〜約70重量%、約10重量%〜約60%、約10重量%〜約50%、約15%〜約50重量%、約10重量%〜約45重量%、約10重量%〜約40重量%、約15%〜約40重量%、約15%〜約35重量%または約15%〜約30重量%である、請求項1〜10のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項12】
組成物の少なくとも一表面の浸食による水性媒体中への活性物質の制御された放出のための請求項1〜11のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項13】
活性物質が、その結晶、多形もしくは非晶質形態またはそれらの混合物のいずれかで存在する、請求項1〜12のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項14】
活性物質が少なくとも部分的に、分散体中に固形で存在する、請求項1〜13のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項15】
活性物質が少なくとも部分的に、例えば固体または半固溶体の形態のような分子分散体で存在する、請求項1〜14のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項16】
活性物質が固溶体を含む分子分散体で存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
活性物質が少なくとも部分的にコロイド分散体で存在する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
活性物質が少なくとも部分的に結晶形態で存在する、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項19】
活性物質が少なくとも部分的に、例えば約0.05μm〜約500μm、約0.1μm〜約500μm、典型的には約0.5μm〜約300μm、より典型的には約1μm〜約200μm、とりわけ約1μm〜約100μmのような、約0.01μm〜約500μmの平均粒子径を有する非晶質形態で存在する、請求項1〜18のいずれか一つに記載の医薬組成物。
【請求項20】
第1および第2のポリマーが、活性物質が含まれている分散媒体を一緒に形成している、請求項1〜19のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項21】
安定化剤を含む請求項1〜20のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項22】
安定化剤が、拡散および溶解調節剤、pH-調節剤、緩衝剤、組成物中の成分の流動性を増加しない薬剤、結晶形成を防止する薬剤および抗酸化の特性を有する薬剤からなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
安定化剤が、無機酸、無機塩基、無機塩、有機酸もしくは塩基およびそれらの医薬的に許容な塩、糖類、オリゴ糖類、多糖類ならびにセルロースおよびセルロース誘導体、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
有機酸が、例えば酢酸、エタン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アクリル酸、安息香酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、アンゲリカ酸、アスコルビン酸/ビタミンC、カルバミン酸、ケイヒ酸、シトラマル酸、ギ酸、フマル酸、没食子酸、ゲンチシン酸、グルタコン酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリコール酸、グリオキシル酸、乳酸、レブリン酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、オキザミン酸、ピメリン酸、ピルビン酸、アスパラギン酸およびグルタミン酸のようなモノ-、ジ-、オリゴ、ポリカルボン酸もしくはアミノ酸、またはそれらの混合物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
無機酸が、ピロリン酸、グリセロリン酸、オルトもしくはメタリン酸のようなリン酸、ホウ酸、塩酸または硫酸、あるいはそれらの混合物である、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
好適な無機化合物がアルミニウムを含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項27】
好適な有機塩基が、p-ニトロフェノール、スクシンイミド、ベンゼンスルホンアミド、2-ヒドロキシ-2-シクロヘキセノン、イミダゾール、ピロール、ジエタノールアミン、エチレンアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、ヒドロキシアミンおよびアミン類の誘導体、クエン酸ナトリウム、アニリンおよびヒドラジン、またはそれらの混合物からなる群から選択される. 請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
好適な無機塩基が、例えば酸化アルミニウム 3水和物もしくはアルミナのような酸化アルミニウム 、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、KOHなど、またはそれらの混合物からなる群から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
有機酸の医薬的に許容な塩が、例えばリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなど、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなど、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウムなど、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カルシウム、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛など、またはそれらの混合物のような、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である、請求項23に記載の組成物。
【請求項30】
無機塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど、またはそれらの混合物である請求項23に記載の組成物。
【請求項31】
医薬的に許容な賦形剤が、グルコースおよび他の単糖類、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、イノシトール、グルコース、ソルビトール、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、マンニトール、フルクトース、ラクトース、スクロース、および他の二糖類、デキストリン、デキストランまたは他の多糖類、アミロース、キシラン、例えば微結晶性セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロースおよびセルロース誘導体、アミロペクチン、ペクチン、デンプン、ナトリウムデンプンなど、カオリン、ベントナイト、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、ゼラチン、右旋性ブドウ糖、糖密、トチャカエキス、パンワーゴム、ガッチゴム、イサポール フスクの粘液、ビーゴム、グリコールレート、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、二酸化ケイ素、白土、クロスカルメロース、ガム質、寒天などまたはそれらの混合物から選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項32】
充填剤、希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、pH-調節剤、粘度調節剤、溶解性増加または減少剤、浸透性活性薬剤および溶媒からなる群から選択される医薬的に許容な賦形剤をさらに含む、請求項1〜31のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項33】
安定化剤が、その溶媒和物および無水物を含むクエン酸である、請求項23に記載の組成物。
【請求項34】
クエン酸が、例えば最大限約12重量%のような、例えば最大限約10重量%のような、例えば最大限約8重量%のような、例えば最大限約5重量%のような、例えば最大限約3重量%のような、例えば最大限約2重量%のような、最大限約1重量%または最大限約0.5重量%のような最大限約15重量%の含水量を有する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
安定化剤が、リン酸もしくはホスホン酸またはそれらの塩である請求項23に記載の組成物。
【請求項36】
リン酸がオルトもしくはメタリン酸またはそれらの混合物である、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
組成物中の活性物質の濃度が、最大限で、成分i) の融点または溶融差の最低端点に相当する温度における成分i) の飽和濃度に相当する、請求項1〜36のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項38】
第1のポリマーが、もし形成されるのであれば、形成されたフリーラジカルが組成物中の活性物質の分解を大きく増加させないことを確実にする性質である、請求項1〜37のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項39】
過酸化物の形成を阻害するかおよび/または存在するいくらかの過酸化物を不活性化する1以上の抗酸化剤をさらに含む、請求項1〜38のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項40】
活性物質が抗酸化剤特性を有する、請求項1〜39のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項41】
組成物が物理安定度に関して安定である、請求項1〜40のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項42】
組成物が、組成物からの活性物質のインビトロ溶解に関して安定である、請求項1〜41のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項43】
組成物が、t50%、すなわち、活性物質の50重量%が溶解媒体中に溶解するための時間が、同様の保管および試験条件下で2週間の時間差で同一バッチからの2つの組成物を比較したとき、例えば最大限±15重量%、最大限±10重量%、最大限±7.5重量%、最大限±5重量%、最大限±2.5重量%、最大限±1.5重量%または最大限1重量%のような最大限±20重量%で異なるような様式で、インビトロ溶解挙動に関して安定である、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
組成物が活性物質の化学安定度に関して安定である、請求項1〜43のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項45】
組成物中の活性物質の濃度が、室温で、例えば6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月または24ヶ月のような少なくとも3ヶ月の期間の間、例えば最大限70%、最大限65%、最大限60%、最大限55%、最大限50%または最大限45%のような最大限75%の相対湿度で保存したときに、例えば最大限15重量%、最大限10重量%、最大限7.5重量%または最大限5重量%のような最大限20重量%で減少する、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
活性物質が、例えば最大限約90重量%、最大限約85重量%、最大限約80重量%、最大限約75重量%、最大限約70重量%、最大限約65重量%または最大限約60重量%のような約0.1〜約98重量%の濃度で組成物中に存在する、請求項1〜45のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項47】
活性物質が、例えば最大限約1 mg/ml、最大限約0.1 mg/ml、最大限約0.05 mg/mlのような、例えば最大限約0.001 mg/mlのような最大限約3 mg/mlの溶解度を有する、請求項1〜46のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項48】
いずれかの露出したマトリックス表面が実質的に一定の速度で浸食される、請求項1〜47のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項49】
組成物に用いられる水性媒体中において、マトリックスが完全に浸食される前に被覆が、完全に崩壊されないか、または浸食されない、請求項1〜48のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項50】
前記第1のセルロース誘導体が、加熱したときに、射出成形、吹込み成形および圧縮成形を含む成形または押出により成形できるセルロース エーテルである、請求項1〜49のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項51】
セルロース エーテルが、少なくとも1つのエチルセルロースを含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記第1のセルロース誘導体が、セルロース アセテート、セルロース プロピオネートおよびセルロース ナイトレートからなる群から選択される、請求項1〜50のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項53】
前記第2のセルロース誘導体が、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの塩、セルロース アセテート フタレート 、微結晶性セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシメチルプロピルセルロースからなる群から選択される、請求項1〜52のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項54】
カルボキシメチルセルロースの前記塩が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩からなる群から選択される、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記可塑剤が、リン酸エステル類;フタル酸エステル類;アミド類;鉱油;脂肪酸およびそれらのポリエチレングリコール、グリセリンまたは糖類とのエステル類;脂肪アルコールおよびそれらのポリエチレングリコール、グリセリンまたは糖類 とのエーテル類;植物性油脂および水素化植物性油脂;ニトロベンゼン、二硫化炭素、β-ナフチル サリチレート、フタリル グリコレート、ジヂオクチル フタレートなどからなる群から選択される、請求項1〜54のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項56】
前記脂肪アルコールが、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコールおよびミリスチルアルコールからなる群から選択される、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
前記可塑剤が非イオン性界面活性剤である請求項1〜54のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項58】
固体分散体が、ポリエチレングリコール2000 モノステアレートまたはポリエチレングリコール400 モノステアレートを含まない、請求項1〜57のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項59】
第1のポリマーが、少なくとも100,000ダルトンかつ最大限400,000ダルトンの分子量を有する、請求項1〜59のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項60】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から5〜6時間以内で組成物から放出される、請求項1〜59のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項61】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から4〜5時間以内で組成物から放出される、請求項1〜59のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項62】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から3〜4時間以内で組成物から放出される、請求項1〜59のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項63】
組成物からの活性物質の放出がゼロ次であり、活性物質の約50重量%が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、放出開始から2〜3時間以内で組成物から放出される、請求項1〜59のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項64】
組成物からの活性物質の放出が、本明細書中に記載の溶出試験により測定されているように、ゼロ次放出が開始する前に、0.25〜4時間、例えば1〜2時間のような0.5〜3時間、実質的に遅らされる、請求項1〜63のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項65】
方法が、組成物を構成する個々の成分の溶融または半固体の混合物の、好適な形態への射出成形、射出成形を用いる被覆の塗布および組成物を固化するためのこのようにして調製された被覆された組成物の冷却を含む、請求項1〜64のいずれか一つに記載の組成物の製造方法。
【請求項66】
方法が、実質的に単一連続法である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
冷却が、例えば約5℃〜約18℃、約10℃〜約16℃のような、例えば約10℃、約12℃、約14℃、約15℃または約16℃のような約0℃〜約20℃の温度に制御された条件下で行なわれる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
ポリマーと活性物質が互いに物理的に接触している間、加熱工程を含む請求項65または66に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−521301(P2006−521301A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504340(P2006−504340)
【出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000217
【国際公開番号】WO2004/084869
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(505360306)
【氏名又は名称原語表記】EGALET A/S
【住所又は居所原語表記】Lejrvej 39−41,Kirke Vaerlose,DK−3500 Vaerlose,DENMARK
【Fターム(参考)】