説明

薬剤用チャイルドプルーフパッケージ

【課題】本発明は、パッケージを開けるために同時に複数の連続運動を実行しなければならないようなチャイルドプルーフパッケージを提供する。
【解決手段】少なくとも一つのブリスターを有するブリスターパックを備えた薬剤用チャイルドプルーフパッケージであって、該ブリスターは、押し開けタイプの薄膜蓋部により閉じられて、薬剤を収容する機能を果たし、前記ブリスターパックの押し開けタイプ薄膜蓋部が、被覆用壁部に対して配置され、前記被覆用壁部は、内側層と外側層とを有する多層部であり、前記内側層は、前記薄膜蓋部に面するようにパッケージされた薬剤用チャイルドプルーフパッケージにおいて、前記内側層は、押し開け可能な開口クロージャーにより覆われた開口部を有し、前記外側層は、開口クロージャー上に配置されると共に前記外側層の輪状領域により囲まれた開口部を有し、前記輪状領域は前記内側層に接着されていないことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体、微粉砕粉末、液体から粉状薬剤の形態をとる薬剤、例えば、錠剤、カプセル、アンプル若しくは糖衣錠などの薬剤用のチャイルドプルーフパッケージに関する。また、本発明は、少なくとも一つのブリスターを有するブリスターパックにより特徴付けられ、このブリスターは、押し開けタイプの薄膜蓋部により閉じられており、薬剤を収容する機能を果たす。薬剤を取り出すために、ブリスターパックの押し開けタイプの薄膜蓋部は、壁部に対して配置され、ブリスターは、閉鎖位置から開放位置へスライドして、壁部に対して移動することができ、この開放位置においては、薬剤を有するブリスターは、前記壁部の開口部に一致するように配置され、薬剤は、この開口部から押し出されるようにパッケージされている。
【背景技術】
【0002】
制御することなく薬を消費することが危険であることは、異論のないことである。特に小さな子供は、床に転がったままの薬剤によりこの潜在的な危険性にとりわけ晒される。
錠剤若しくはこれに類似の薬剤用パッケージの最も一般的な形態は、ブリスターパックのものである。特に、パックの基本位置にあるカップ(いわゆるブリスター)から薄膜蓋部を錠剤が押し出されるようないわゆる押し開けパックが広く知られている。ブリスターパックの他の既知の形態は、蓋部を剥ぎ取ることにより、薄膜蓋部が取り外されるものである。他のブリスターパックは、引きちぎるための補助となるような刻み目を特徴とするものもある。
【0003】
現在、ブリスターパックに関連する子供の安全を向上させるために、主に、強度をより大きくしたり、即ち押し開けタイプのフィルムをより厚くしたり、フィルムを剥がすための付着力をより大きくしたり、若しくは刻み目を引きちぎる場合に摩擦力をより大きくすることにより、開口することを難しくしている。
より大きな力を加えなければ開けられないパッケージの形態は、実際、子供を寄せ付けることはないけれども、老人にとっては問題がある。
【0004】
子供を寄せ付けないようなパッケージの形態が、国際特許出願WO-A-96/03329により知られている。上記パッケージにおいて、ブリスターパックの蓋部は、後壁部により覆われている。弱部ラインに沿って取り外すことができる切り取りストリップが、この後壁部に取り付けられている。錠剤を、蓋部フィルムを介してブリスターから押し出すことができるように、最初この切り取りストリップを取り外さなければならない。
本明細書の最初の部分で述べたチャイルドプルーフパッケージが、1992年9月29日に、PCI/Delvco Inc.により開示された米国特許5,150,793号に記載されている。
【特許文献1】国際特許出願WO-A-96/03329
【特許文献2】米国特許5,150,793号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パッケージを開けるために組み合わせることが必要であるか、若しくは同時に連続運動を実行しなければならないか又は複雑な連続運動を実行しなければならないようなパッケージであって、本明細書の最初の部分に記載されたパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の発明では、押し開けタイプの薄膜蓋部により閉じられた少なくとも一つのブリスターを有するブリスターパックを備え、このブリスターは、薬剤を収容する機能を果たし、薬剤を取り出すために、ブリスターパックの押し開けタイプの薄膜蓋部は、壁部に対して配置され、このブリスターパックは、閉鎖位置から開放位置へとスライドすることにより、この壁部に対して移動し、開放位置にあるとき、薬剤を有するブリスターは、壁部の開口部に一致するように配置され、薬剤を、開口部から押し出すことができるようにパッケージされたチャイルドプルーフパッケージであって、このブリスターパックは後壁部と前部間に配置され、開口部を有する壁部は、後壁部と薄膜蓋部の間に配置される内壁部であり、ブリスターは、閉鎖位置から開放位置へスライドして、開口スリットを移動し、内壁部の開口部は、切り取りストリップにより覆われ、この切り取りストリップは、後壁部に配置され、さらに弱部ラインに沿ってこの後壁部から分離でき、そのことによって縦方向スリットを形成することを特徴とする薬剤用チャイルドプルーフパッケージを提供する。
【0007】
第二の発明では、押し開けタイプの薄膜蓋部により閉じられた少なくとも一つのブリスターを有するブリスターパックを備え、このブリスターは、薬剤を収容する機能を果たし、薬剤を取り出すために、ブリスターパックの押し開けタイプの薄膜蓋部は、壁部に対して配置され、このブリスターパックは、閉鎖位置から開放位置へとスライドして、壁部に対して移動し、この切り取りストリップが取り外され、壁部に、開口部が形成されるとき、薬剤が薄膜蓋部を介して取り出されるチャイルドプルーフパッケージを提供する。
閉鎖位置では、薄膜蓋部が壁部の頑丈な部分に近接するように配置され、開放位置では、薬剤を含むブリスターが、壁部の切り取りストリップに一致するように配置される。
このブリスターパックは、後壁部と前部との間に配置されることが好ましく、そして、開口部を有する壁部は、後壁部と薄膜蓋部間に配置された内壁部であることが好ましい。ここでは、ブリスターは、閉鎖位置から開放位置にスライドして、開口スリットを移動することができ、内壁部の開口部は、切り取りストリップにより覆われ、この切り取りストリップは、後壁部に配置され、さらに、弱部ラインに沿ってこの後壁部から分離してもよく、これにより、縦方向スリットが形成される。
【0008】
このように、本発明に係るパッケージは、子供の安全という目的を果たす好ましい要素として、切り取りストリップと、パッケージング内をスライドすることにより移動することができるブリスターパックとを組み合わせている。また、従来の形態のパッケージングより子供の安全性がより高いパッケージング配列とすることができる。
【0009】
本発明に係るパッケージングを開けるためには、薬剤を押し出すために、ブリスターパックが、ある特定の位置に移動しなければならないこと、及び、パッケージの後壁部から切り取りストリップを取り外すことを組み合わせるスキルが必要である。
【0010】
パッケージの壁部は、カードボード若しくは、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)等のプラスティック材料から構成されていてもよい。この壁部は、単一の層若しくは複数の層であってもよい。ここで、後者としては、カードボードとプラスティック材料とを組み合わせたものであってもよい。
【0011】
開口スリットは、切り取りストリップに対して垂直に配置してもよい。この場合、ブリスターパックの移動の方向は、切り取りストリップの方向に対して垂直の方向である。パッケージが内壁部を含む実施の形態では、開口スリットは、切り取りストリップに対して平行にまた切り取りストリップに覆われるように並んでいても良い。この場合、ブリスターパックの移動は、切り取りストリップの縦方向である。
【0012】
前部及び内壁部は、例えば、少なくとも周辺の一部を接着することにより若しくは熱密閉することにより接合されることが好ましい。また、間に配置されたブリスターパックが、開口スリットの縦方向にスライドして移動するように、接合されることが好ましい。切り取りストリップが剥がされるとき、子供が、内壁部から後壁部を引き剥がすことができないよう、後壁部及び内壁部は、切り取りストリップの少なくとも一部若しくは全体を、例えば、接着若しくは熱密閉することにより接合されることが好ましい。
【0013】
前部の、ブリスターパックに面する側にさらに別の層を取り付けても良い。この付加的な層を、少なくとも一部に、即ち開口スリットの領域に、若しくは全体的に設けても良い。後壁部の、ブリスターパックに面する側に、さらに別の付加的な層を取り付けても良い。この付加的な層は、少なくとも一部(即ち、切り取りストリップの領域)若しくは全体的に設けても良い。付加的な層は、例えばプラスティック材料、好ましくはPVCから形成され、それらは、接着され、熱密閉され、若しくは薄板で覆われても良い。付加的な層は、後壁部に対して前部を引き剥がすことを防止するのに有益である。
【0014】
子供の安全を向上させるため、開口スリットが、閉鎖位置と開放位置との間に、狭部、破壊可能な障害物若しくは他の適切な手段を備えることにより、ブリスターのスライド移動に対して抵抗を増加させても良い。指により加えられたより大きな力が、開口スリットの狭部におけるブリスターに対する摩擦抵抗より大きくならなければならない。さらに開口スリットを、切り取りストリップにより閉じてもよい。ここで、切り取りストリップは、例えば、弱部ライン、好ましくはミシン線により前部に接合される。ストリップを引き剥がすことにより、開口スリットは開放され、ブリスターは移動することができるようになる。
【0015】
内壁部の配列により、切り取りストリップを取り外した後でも、ブリスターパックの薄膜蓋部で見ることができないという利点を有する。内壁部における開口部が容易に見れないように、開口部は、押し開け可能な開口クロージャーにより覆われる。この開口クロージャーは、閉じられた弱部ライン例えば刻み目が入れられたライン若しくは踏みつけられたラインにより画定された内壁部の領域であってもよい。
【0016】
さらに、内壁層の、後壁部に面する側及び/又は内壁層の、プラスティック材料の保護層を備える薄膜蓋部に面する側を被覆することが有利であることが分かる。プラスティック材料は、好ましくはPVC層である。保護層は、内壁部に薄板を張り合わせたり、熱密閉したり、接着しても良い。その結果、こうすることにより、切り取りストリップを取り除いた後でも、小さな子供が、形成された開口部に特に晒される可能性を取り除くことができる。また、他の後壁部も同様である。
【0017】
さらに別の発明として、押し開けタイプの薄膜蓋部により閉じられた少なくとも一つのブリスターを有するブリスターパックを備え、このブリスターは、薬剤を収容する目的を果たし、ブリスターパックの押し開けタイプの薄膜蓋部が、被覆している壁部に対して配置され、被覆している壁部は、多層部であり、ブリスターの薄膜蓋部に面する内側層と、外側層とを備えるようにパッケージされる。この外側層は、部分的若しくは全体的に内側層と接着されていても良い。内側層は、弱部ラインにより画定された押し開け開口クロージャーを備える。外側層は、開口クロージャー上に配置された開口部を有する。開口部及び開口クロージャーは、円形であることが好ましく、開口部は、開口クロージャーに同心円状に配置されることが好ましい。外側層の開口部の大きさは、開口クロージャー以下であることが好ましい。外側層は、開口部を囲っている輪状領域により特徴付けられる。外側層の輪状領域は、内側層に接着されていない。輪状領域は、例えば、円形のミシン線などの弱部ラインにより、平面状の外側層に領域が画定されている。輪状領域は、例えば、切り込み部やミシン線などの放射状の弱部ラインを有することが好ましい。この切り込み部やミシン線は、輪状領域を扇形部(セクタ)に分割する。もし、開口部が開口クロージャーより小さければ、開口クロージャーの弱部ラインは、輪状領域の下に保護され、また、薬剤を押し出すとき、それぞれの扇形部は、王冠若しくは花弁の形状に突出する。内側層は、カードボードから形成されることが好ましく、外側層は、例えばPVCなどのプラスティック材料から形成されていることが好ましい。
【0018】
上述の輪状領域は、子供の気を逸らすための手段を示しており、これは、まず開放された輪状領域、特に開放された扇形部を薄片から引き離すことにより、パッケージを開けようとし、これにより、子供は下にある開口クロージャーにほとんど気を取られない。
【0019】
後壁部は、被覆している壁部の、後壁部に面する外側層に近接するように配列してもよい。ここで、被覆壁部の開口部は、切り取りストリップにより覆われ、この切り取りストリップは、後壁部に配置され、さらに弱部ラインに沿って後壁部から分離することができ、それによって縦方向スリットを形成する。
【0020】
本発明のパッケージにおいて、切り取りストリップを特別な形状に形成することにより、子供の安全を向上させることにさらに貢献しても良い。これは、後壁部の端部まで延び、この端部を折り曲げた後のみ、端部から開放され、その後2本の指の間につかむことができるような把持用フランジであることが好ましい。把持用フランジは、穴を開けられたライン若しくはミシン線などの切り込み部又は弱部ラインにより端部から領域を画定され、それにより、端部を曲げた後、把持用フランジは、弱部ラインに沿って開放され、さらに端部から突出する。
【0021】
パッケージングにおいて、子供の安全を向上させることに対するさらなる貢献として、例えば、バネ付勢要素などの手段を設けてもよい。このバネ付勢要素は、開口スリット内を移動することにより、手を使うことなくブリスターパックを開放位置から閉鎖位置に自動的に戻す。
【0022】
本発明に係るパッケージは、個々が移動可能であるか、若しくはグループ全体として移動可能である一以上のカップを備えていてもよい。複数のカップを有するブリスターパックのカップは、列状に若しくはカラム状に配列して、列状に若しくはカラム状に移動可能であっても良い。この場合、カップは、カップの列及びカラムに対して水平若しくは垂直に移動可能であっても良い。カップの移動の方向が、カップの列若しくはカラムに対して垂直方向である実施の形態において、列若しくはカラムの移動は、同時に少なくとも2つのカップを押した場合だけ行われることが好ましい。例えば、列若しくはカラム内のカップの一つだけを押してスライド移動させると、このブリスターパックは、斜めに傾き、列若しくはカラムの高々一つのカップだけが、近接する壁内の開口部と一致するように移動する。
【0023】
本発明に係るパッケージングを、少なくとも一つのカップを有する少なくとも一つのブリスターパックを含む単一のカードの形態で創作しても良い。ここでは、このカップは、列及びカラム状に配列される。さらに、パッケージングを、折り曲げ可能ないくつかの部分を備えるカードであって、ストリップの形状をした折り曲げ可能なカードの形態で創作しても良い。ここで、この部分は、上記のようなブリスターパックを含んでいてもよい。
【0024】
本発明に係るパッケージングの有益なデザインとして、同時に折り曲げられているストリップ形状のカードが含まれる。この場合、折り曲げられた状態において、一方の端部は、第一折線に沿って中央部に折り曲げられ、第二折線に沿って折り曲げられた蓋部により被覆される。ブリスターパックは、中央部及び端部において設けられることが好ましい。ここで、中央部のブリスターパックは、例えば、朝取ることが意図された第一の錠剤若しくは同様の薬剤の一日分の投与量が含まれ、そして、端部のブリスターパックは、夕刻に取ることが意図された第二の錠剤若しくは同様の薬剤の一日分の投与量が含まれる。
【0025】
本発明に係るパッケージングの第一のバージョンにおいて、開口スリットは、切り取りストリップと垂直に配置される。第二のバージョンにおいて、開口スリットは、切り取りストリップと垂直に及び切り取りストリップに覆われるように配置される。
【0026】
切り取りストリップを画定する壁部の弱部ラインは、ミシン線であることが好ましい。
本発明のさらに利点、特徴及び詳細は、次の好ましい具体的な実施の形態の記載において、以下の図面を参照しながら明らかにされている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
錠剤12若しくは同様な薬剤(例えば、液体を充填したカプセル、若しくは固体を充填したカプセル等)用のパッケージ10が、図1及び2に示されている。前記パッケージ10は、細長い矩形(ストリップ形状)をした平面状カードの形状を有し、さらに、互いに折り曲げることが可能な部分を有する。折り曲げられた状態では、部分Cは第一の折線fに沿って折り曲げられ、第二の折線eに沿って折り曲げられた蓋部Aにより覆われる。このような方法で互いに折り曲げられたパッケージ10の大きさは、折り曲げられていないストリップ形状のカードの約3分の1である。前記カードは、後壁部14B、14C及び前壁部16B、16Cを備える。
【0028】
ブリスターパック18B及び18Cは、それぞれの場合において、中央部Bの後壁部14B及び端部Cの後壁部14Cと、それらに対応する前壁部16B及び16Cとの間に位置する。前記ブリスターパック18B及び18Cは、例えば、PVCから作製されたブリスターフィルム20を備える。ブリスター若しくはカップ22は、前記ブリスターフィルム内において、例えば、熱成形により設けられる。ブリスター22の開口側は、例えばアルミニウム薄片から形成された薄片蓋部24により閉じられ、前記内容物を、前記アルミニウム薄片から押し出しても良い。
【0029】
図示された実施の形態では、中央部Bは、第一の水平方向xに並んだ3つの錠剤のそれぞれに対して、7つのブリスター22の列を有する。そして、端部Cは、第一の水平方向xに並んだ2つの錠剤に対して、ブリスター22の7つの列を備える。それぞれのブリスターパック18B及び18Cは、ブリスター22の列を有する。例えば、中央部B内の錠剤は朝服用し、端部C内の錠剤は夕刻服用するよう意図されている。錠剤の7つの列は、一週間の7つの日に対応している。それゆえ、ここで、示されているパッケージング10のバージョンは、一日に2回2、3錠の錠剤を消費する場合の週間パックに対応する。
【0030】
第一の水平方向xに並んだ7つの切り取りストリップ26は、中央部Bの後壁部14B及び端部Cの後壁部14Cのそれぞれに取り付けられている。ブリスターパック18B及び18Cに対応する中央部Bの前壁部16B及び端部Cの前壁部16Cは、第二の垂直方向yに並んだ3つ若しくは2つの開口スリット44を有する。ブリスター22は、前壁部16Bの後側から、開口スリット44の縦方向に向いた開口スリット44へ導入される。開口スリット44の最大開口部幅bは、ブリスターパック18B及び18C内のそれぞれのブリスター22の直径と基本的に対応する。前壁部16B及び16Cと、後壁部14B及び14Cは、それらの周縁部の少なくとも一部で接合される。また、ブリスターパック18B及び18Cは中央部B及び端部Cに含まれ、ブリスターパック18B及び18Cは、周縁部19内に位置し、周縁部19により領域の範囲が定められ、開口スリット44の縦方向yのみにスライドすることにより移動させても良い。ブリスターパック18B及び18Cを移動する可能性をこのように制限すると、錠剤のそれぞれの列は、対極にある2つの位置、つまり閉鎖位置S及び開放位置Oを有することとなる。ブリスターパック18B及び18Cの対極にある位置間の変位tは、中央部B及び端部C内でブリスターパックを移動させる可能性を制限した結果であり、又は、開口スリット44の長さを対応するように選択した結果である。好ましくは、閉鎖位置S及び開放位置O間に狭部45が存在するように、開口スリット44を選択する。この狭部45を設けた結果、閉鎖位置Sから開放位置Oにブリスター22を移動させる場合に、摩擦抵抗を超えなければならない。この特徴部即ち、開口スリット44の狭部45により、パッケージ10は、チャイルドプルーフ特性(子供を近づけないという特性)が劇的に増加することとなる。錠剤12を取り出した後、ブリスターパック18B及び18Cを閉鎖位置Sに戻し、パッケージ10を子供を近づけない状態に維持しなければならないのは、明らかである。
【0031】
ここで示された実施の形態では、端部Cのブリスターパック18Cに内の一組のブリスター22は、それぞれの場合において、互いに水平にずれている。もちろん、この場合において、前壁部16Cの開口スリットは、形状、及び互いにずれている特徴的部分44a、44bに対応している。
【0032】
平面図に示されているように、開放位置Oにおいて、錠剤12は、後壁部14B及び14Cの切り取りストリップ26上、若しくは縦方向スリット27上に一列に配置される。前記縦方向スリット27は、切り取りストリップ26により領域を定められる。
【0033】
図3に示すように、後壁部14Bの内側に内壁部36が設けられ、前記内壁部は、例えば、カードボードで作られている。同じくカードボードから形成されている内壁部36は、内壁部の、後壁部14Bに面する側に、PVC(ポリ塩化ビニル)の保護層若しくは保護フィルムが設けられることが好ましい。
【0034】
刻み目により、若しくは、内壁部36を部分的に打ち抜くことにより、開口部38を内壁部36に設けても良い。前記開口部38は、未開封のパッケージにおいて、例えば、打ち抜き部40により閉じられる。開口部38の数と配列は、ブリスターパック18Bにおけるそれぞれのブリスター22の数及び配列と対応する。中央部Bの面を垂直な方向から見ると、開口部38は、前壁部16B及び16C内の、対応する開口スリット44内に配置される。開口部38の直径mは、錠剤が、大きな努力を要することなく、開口部を押し開けられるように、錠剤12の直径と対応するように選択される。
【0035】
パッケージ10を開封し一日に必要な量の錠剤12を取り出すことについて、図4〜6により以下に説明する。
中央部Bの切り取りストリップ26を利用できるようにするため、まず、被覆部Aを、中央部Bから切り開く。切り込み30は、中央部Bのサイドの端部から始まっており、切り取りストリップ26に対して平行な第一の水平方向xに並んでいる。この切り込み30の間に端部32が形成され、折り曲げ線pまで延びている。折り曲げ線pに至るように長さ方向に沿って全体に延びる弱部ライン若しくはミシン線28を介して、前記切り取りストリップ26は、後壁部14Bに脱着可能なように取り付けられている。端部32まで延びている切り取りストリップ26の一部は、前記切り取りストリップ26をつかむためのフランジとして設計されている。即ち、把持用フランジ34を端部領域32に形成するため、切り取りストリップ26の弱部ライン28によって、端部32に穴が開けられている。その結果、把持用フランジ34は、折り曲げると、フランジ34が端部32から外される。即ち、把持用フランジ34は、そのままの状態に保持され、2つの指の間に容易につかむことができ、そして、前記切り取りストリップ26を、後壁部14Bの残りの部分から取り外すことができる。
【0036】
中央部Bに対して述べられた手順即ち切り取りストリップ26を取り外すための手順は、類似的に端部Cに適用される。その場合、後壁部14Cの切り込み30及び形成された端部32は、すでに自由な状態にある。
【0037】
切り取りストリップ26が、一日のうちの所望の時間若しくは所望の日に、適当な後壁部14B、14Cから取り外された後、ブリスター22を、閉鎖位置Sから押し出して、開放位置Oへ距離tだけ移動させる。2本の指が、最も離れて配置されたブリスターとかみ合い、その両指により、同時に力を加えることにより、ブリスターパック18B及び18Cが、開口スリット44と平行に押されて、上記の移動は、前壁部16B及び16Cで行われる。
【0038】
例えば、ブリスター22を一つだけ押すことにより、スライド移動を試みるならば、ブリスターパック18B及び18Cは斜めに傾き、錠剤の列の全部が、切り取りストリップ26と一致するように動かない。その結果、高々一つのみの錠剤がパックから押し出され、このことにより、子供の安全を改善することができる。それは、小さな子供は、必要とされるブリスターパック18B及び18Cの平行移動をほとんど行うことができないためである。必要とされるブリスターパック18B及び18Cの平行移動に加えて、開口スリット44の狭部が、移動に対する抵抗となり、錠剤12を取り出すために絶対に必要である移動の動作は、小さな子供は行うことができない。
【0039】
所望の切り取りストリップ26が取り除かれ、ブリスターが開放位置Oに運ばれた後、錠剤は、それぞれのブリスター22の選択された列から、形成された開口部38を介して、パッケージ10から押し出されてもよい。図3に示された具体例において、内壁部36を形成するカードボードには、保護層42として作用するPVCフィルムの薄板が取り付けられ、接着され、又は熱密封されている。これにより、一以上の切り取りストリップ26若しくは後壁部14B及び14Cの全部を取り除いた後であっても、内壁部36の予め打ち抜かれた若しくは刻み目を入れられた開口部38を、子供が容易にさわることができないため、子供に対する安全は向上する。前記PVC層により、小さな子供は、形成された開口部38を開放したり若しくは引き剥がすことができない。さらに、PVC被覆膜により、錠剤を押し出すには、力をさらに加えることが必要となる。もちろん、形成された開口部38を他の形状にしてもよい。例えば、基本的に三角形の部分を形成する星型カットにより、開口部を形成してもよい。それによって、錠剤を押し出すと、個々の部分は、スパイク付き王冠状に開けられる。同様に、保護層42として使用されるPVCフィルムに、弱部ラインを形成しても良く、この弱部ラインは後で形成される開口部に対応する。
【0040】
切り取りストリップ26を、剥離した際に、切り取りストリップ26が、その内側にある内壁部36若しくは保護層42から分離するように、後壁部14B及び14Cを、その内側にある内壁層36若しくは保護層42に接合してもよい。
【0041】
示された具体例において、前壁部16B及び16Cは、後壁部14B及び14Cと同様、カードボードから形成されている。後壁部14A、14B及び14C並びに前壁部16B及び16Cの引き裂きに対する抵抗を増加させるため、プラスティックなどを含有する薄片、例えば、カードボード/PVC薄片を用いても良い。
【0042】
示された具体例において、開口スリット44は、前記切り取りストリップ26に対して垂直に配列されている。開口スリット44が、切り取りストリップ26に対して平行に並んでいてもよいことは、明らかである。しかしながら、これは、それぞれのブリスター22若しくは錠剤12の方向と、それに対応する開口部38との基本原則に影響を与えるものではない。
【0043】
図1とはわずかに異なる実施の形態では、ブリスターパックのブリスターが、カラム状(図面には示されていない)に配列する。図2のように、開口スリットを垂直に配置し、ブリスターパックを垂直に移動させてもよい。この場合、唯一つのブリスターを押し出した場合であっても、ブリスターパックのカラムを傾けることがない。また、この開口スリットを水平に配置し、ブリスターパックを水平に移動させてもよい。この場合も、上記のように、唯一つのブリスターを押し出した場合であっても、ブリスターパックのカラムを傾けることがない。
【0044】
図7a及び図7bは、別の発明に係る被覆壁部の具体例を示している。被覆壁部は、内側層56及び外側層55を備える多層部50である。内側層56は、ブリスターの薄片蓋部に面する。また、外側層55は、後壁部に面していても良い。内側層56は、円形に押し開けられるクロージャー53を備える。この開口クロージャーは、ミシン線54により画定される。外側層は、開口クロージャー53と同心円状に配列された円形開口部57を備える。ここで、開口部57は、開口クロージャー53より小さい。外側層55は、輪状領域61により特徴付けられ、この輪状領域61は、開口部57を囲み、さらに内側層56に接着されていない。この輪状領域61は、ミシン線51により、平面状の外側層55に形成される。
【0045】
前記輪状領域61は、放射状の切り込み部60を有することが好ましく、この切り込み部60は、前記輪状領域61を扇形部52に分割する。薬剤を押し出すときに、開口クロージャー53は押し出され、それぞれの扇形部52は王冠状に開く。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、錠剤用パッケージを後側から見た平面図であって、前記パッケージは、オープンの状態にある。
【図2】図2は、図1に示されたオープンパッケージを内側から見た平面図である。
【図3】図3は、図1及び2のラインI-Iに沿った断面図であって、図1及び2に示したパッケージングの断面図である。
【図4】図4は、被覆部を取り除いている途中の、図1に示したパッケージングの斜視図である。
【図5】図5は、被覆部を取り除いた後の、図4に示したパッケージングの一部の平面図である。
【図6】図6は、切り取りストリップを取り外している途中の、図5に示したパッケージングの一部の平面図である。
【図7a】図7aは、内壁部の開口クロージャーの一部を示した平面図である。
【図7b】図7bは、図7aに示したラインII-IIに沿った断面図であって、図7aに示した内壁部の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのブリスターを有するブリスターパックを備えた薬剤用チャイルドプルーフパッケージであって、
該ブリスターは、押し開けタイプの薄膜蓋部により閉じられて、薬剤を収容する機能を果たし、
前記ブリスターパックの押し開けタイプ薄膜蓋部が、被覆用壁部に対して配置され、前記被覆用壁部は、内側層と外側層とを有する多層部であり、前記内側層は、前記薄膜蓋部に面するようにパッケージされた薬剤用チャイルドプルーフパッケージにおいて、
前記内側層は、押し開け可能な開口クロージャーにより覆われた開口部を有し、前記外側層は、開口クロージャー上に配置されると共に前記外側層の輪状領域により囲まれた開口部を有し、前記輪状領域は前記内側層に接着されていないことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記外側層の開口部は、前記開口クロージャーより小さいことを特徴とする請求項1記載のパッケージ。
【請求項3】
前記輪状領域は、複数のセクタに分割され、前記セクタは、前記内側層に接着されず、また、前記開口クロージャーが押し開けられたとき、王冠状に内壁部から突出されることを特徴とする請求項1記載のパッケージ。
【請求項4】
後壁部は、前記外側層に近接するように配置され、また、前記被覆用壁部に面し、前記被覆用壁部の開口部は、切り取りストリップにより覆われ、前記切り取りストリップは、前記後壁部に配置され、さらに弱部ラインに沿って前記後壁部から分離され、そのことにより縦方向スリットを形成することを特徴とする請求項1記載のパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2008−133055(P2008−133055A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318654(P2007−318654)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【分割の表示】特願2002−581288(P2002−581288)の分割
【原出願日】平成14年3月4日(2002.3.4)
【出願人】(591074002)アルキャン・インターナショナル・リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】ALCAN INTERNATIONAL LIMITED
【Fターム(参考)】