説明

薬剤等徐放性複合体

【課題】 薬剤などの機能性物質を生体に投与するのに用いられ、簡便に調製することができ且つ生体適合性においても良好な新しい構造体を提供する。

【解決手段】 カチオン性部位を有する機能性物質(例えば、ドキソルビシンのような抗腫瘍薬)、アニオン性の水溶性ポリマー(例えば、γ−またはα−ポリグルタミン酸)、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物(例えば、4級アンモニウム型脂質)から成り、前記機能性物質を徐放することを特徴とする複合体。カチオン性部位を有する機能性物質、アニオン性の水溶性ポリマー、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物を含有する水溶液を攪拌・混合した後、超音波処理することによって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤などを生体の所望の組織や細胞などに投与するのに利用され得る新規な複合体(コンプレックス)に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤や化粧料などの機能性物質を生体の所望の組織や細胞などに運び放出して投与することはドラッグデリバリーシステム(DDS)として広範な研究・開発が盛んに進められている。
【0003】
ドラッグデリバリーシステムに従来より多く用いられている手法は、脂質二分子膜(脂質二重膜)から成るリポソームを担体として、これに目的の機能性物質を封入(内包)させるものである。しかし、一般に、リポソームは生体内で異物として認識され、例えば血球成分から攻撃を受けるので、これを回避するため多糖類やPVA(ポリビニルアルコール)などを使って化学修飾する手段が採られている〔例えば、特公平4−56008号公報(特許文献1)、特公昭63−32329号公報(特許文献2)、特許第2641472号公報(特許文献3)、特公昭5−67605号公報(特許文献4)、特表平10−508578号公報(特許文献5)など〕。しかし、このような手段は、化学修飾に煩雑な工程を必要とし、また、生体適合性などにおいて必ずしも満足すべきものばかりではない。
【特許文献1】特公平4−56008号公報
【特許文献2】特公昭63−32329号公報
【特許文献3】特許第2641472号公報
【特許文献4】特公昭5−67605号公報
【特許文献5】特表平10−508578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、薬剤などの機能性物質を生体に投与するのに用いられ、簡便に調製することができ且つ生体適合性においても良好な新しいタイプの構造体を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、研究を重ねた結果、γ(ガンマ)−ポリグルタミン酸やα(アルファ)−ポリグルタミン酸に代表される水溶性ポリマーと、特定の両親媒性化合物とを用いて、目的の機能性物質を複合体(コンプレックス)化する技術を確立することによって上記目的を達成したものである。
【0006】
かくして、本発明に従えば、カチオン性部位を有する機能性物質、アニオン性の水溶性ポリマー、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物から成り、前記機能性物質を徐放することを特徴とする複合体が提供される。
【0007】
さらに、本発明は、上記の複合体を調製する方法であって、カチオン性部位を有する機能性物質、アニオン性の水溶性ポリマー、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物を含有する水溶液を攪拌・混合した後、超音波処理する工程を含むことを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の複合体は、以下に詳述するように、目的の機能性物質(薬剤等)をγ−ポリグルタミン酸やα−ポリグルタミン酸等の水溶性ポリマーを用いて静電気的相互作用に因りより弱く保持するとともに、両親媒性化合物を添加してその保持能を向上させることにより、生理条件下の水溶液中における当該機能性物質の徐放を可能にした新しい構造体である。
【0009】
本発明において用いられるアニオン性の水溶性ポリマーとしては、静電気的相互作用により目的の機能性物質を保持できるものであれば、いずれも使用できるが、特に好ましいのは、γ−ポリグルタミン酸またはα−ポリグルタミン酸(以下、それぞれγ−PGAまたはα−PGAと記すことがある)である。γ−PGAまたはα−PGAは食品素材から得られ高い安全性が確認されており、生体適合性(生体親和性)や親水性(保水性)において優れている。γ−PGAまたはα−PGAの他には、ポリアスパラギン酸、ポリ乳酸、ポリペプチド類などもアニオン性の水溶性ポリマーとして本発明において使用可能である。なお、本発明の複合体に用いられる水溶性ポリマーは、薬剤等の機能性物質および両親媒性化合物と確実に相互作用が発揮され得るようなサイズ(分子量)を有することが好ましいと考えられる。例えば、γ−PGAまたはα−PGAの場合、分子量60万〜150万のもの、理想的には分子量80万以下のものを用いることが好ましい。
【0010】
本発明の複合体は、カチオン性の機能性物質を保持して構成される。薬剤の多くは、生理条件下の水溶液において塩酸塩などのカチオン性の形態で供されるので、本発明におけるカチオン性の機能性物質として適用可能である。かくして、本発明が適用される好ましい薬剤の例として、ドキソルビシン〔Doxorubicin:抗腫瘍薬の一種、アドリアマイシン(Adriamycin)ともいう〕が挙げられる。ドキソルビシン以外には、Daunorubicin(抗腫瘍薬)、Vincristine(抗腫瘍薬)、Vinblastine(抗腫瘍薬)、Idarubicin(抗腫瘍薬)、Amphotericin
B(抗真菌薬)、Dibucaine(局所麻酔薬)、Propranolol(β遮断薬)、Quinidine(不整脈治療薬)、Dopamine(強心・昇圧薬)、Imipramine(抗うつ薬)、Diphenhydramine(抗ヒスタミン薬)、Quinine(抗マラリア薬)、Chloroquine(抗マラリア薬)、Diclofenac(抗炎症薬)等の薬剤にも適用できる。また、マンニトール等の化粧料(化粧品用保湿剤)なども、機能性物質として本発明に適用できる。さらに、水溶性のもののみならず、脂溶性の機能性物質、例えばビタミンEなどにも適用される。以上の物質は例示であり、本発明は、その他の合成または天然の各種の物質に適用可能である。
【0011】
本発明の複合体は、如上のカチオン性部位を有する機能性物質およびアニオン性の水溶性ポリマーに加えて、分子の端部にカチオン基を有する両親媒性化合物から構成される。よく知られているように、両親媒性化合物とは、分子の端部に疎水部および極性部(親水部)の両方を有する化合物である。本発明で用いられる両親媒性化合物の疎水部としては、アルキル基、アリル基、脂環基、縮合多環基、およびこれらの基にフルオロカーボン鎖を含むもの、さらに、これらの組合せが挙げられる。他方、本発明の複合体を形成するのに用いられる両親媒性化合物の極性部(親水部)としては、カチオン性を呈するアンモニウム基または塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン)残基を含むものが好ましい。かくして、本発明において用いられるのに好適な両親媒性化合物として、図1に示されるような4級アンモニウム型脂質を例示することができる。図1に示す式において、一般に、mは10〜16の整数を表し、nは2〜8の整数を表す。なお、図1に示すものも含めて、本発明で使用される両親媒性化合物は、それ自身で二分子膜から成るリポソームを形成し得るものであるが、本発明の複合体はリポソームではない。
【0012】
本発明の複合体は、上述したような機能性物質(薬剤等)、水溶性ポリマーおよび両親媒性化合物を含有する水溶液を攪拌・混合した後、超音波処理することにより調製(製造)される。より詳細には、カチオン性部位を有する機能性物質の水溶液、アニオン性の水溶性ポリマーの水溶液、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物の水溶液に生理食塩水を添加して激しく攪拌・混合し(例えば、ボルテックスミキサーを使用する)、暫く放置した後、遠心分離に供して上澄みを除き、次に、残った沈殿に生理食塩水を添加して超音波処理することにより再分散させる。配合比は、一般に、重量比で、水溶性ポリマーに対して、薬剤等の機能性物質を25分の1から15分の1程度、両親媒性化合物を30分の1から20分の1程度にするのが好ましい。
【0013】
以上のようにして調製される本発明の複合体は、ポリイオンコンプレックスを形成しているものと考えられる。図2および図3はこの様子を示すものである。図2は、機能性物質の例としてドキソルビシン(塩酸ドキソルビシン)(図2のI)、および水溶性ポリマーの例としてγ−PGA(図2のII)が模式的な構造式(下段)とともに示され、さらに、両親媒性化合物の例として分子端部にカチオン基を有し二本鎖の疎水部から成る両親媒性化合物の構造が模式的に示されている(図2のIII)。図3には、図2に示される構成成分から本発明の複合体が形成される様子が模式的に示されている。図2および図3の説明は、γ−PGAを用いる場合に沿っているが、α−PGAなどの他の水溶性ポリマーを用いる場合も同様である。
【0014】
カルボキシル基(COOH)に因るアニオン性のγ−PGAと塩酸塩に因るカチオン性のドキソルビシンとは、静電的相互作用で複合体を形成するものと考えられる。このときドキソルビシンが凝集されるため濃度消光がおき蛍光強度(Em. 585nm)が減少する(図3のI)。しかし、この相互作用は弱く容易にドキソルビシンは分散してしまう(後述の実施例参照)。
【0015】
この系にカチオン性両親媒性化合物が存在すると、直径が例えば約0.5μm程度の凝集体が形成される(図3のII)。より強い極性を持つ両親媒性化合物が優勢にγ−PGAと相互作用してポリイオンコンプレックスを形成するためと考えられる。
このときドキソルビシン分子の疎水的な部分は両親媒性化合物の疎水部に位置するように配向するため、γ−PGAのドキソルビシン保持能力が向上すると考えられる(図3のIII)。
【0016】
なお、既述したように、本発明において用いられる両親媒性化合物は、図2のIIIに示されるような二分子膜から成るリポソームを形成し得るものであるが、本発明の複合体は、例えば、上記のようにドキソルビシン/γ−PDA/両親媒性化合物から成るポリイオンコンプレックスであり、リポソームではない。
【0017】
かくして、ポリイオンコンプレックスから成る本発明の複合体は、薬剤等の目的の機能性物質を適度に保持しながら生理条件下の水溶液中において徐放することができるので、DDS等として利用可能である。事実、機能性物質として抗腫瘍薬(抗癌剤)を保持する本発明の複合体は、マウスを用いた実験において少量の投与量で抗癌効果を発揮することが確認されている(後述の実施例参照)。
以下、本発明の特徴を更に具体的に示すために実施例を記すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
【実施例1】
【0018】
ポリイオンコンプレックスの調製、SEM観察、および粒径測定
機能性物質としてドキソルビシン塩酸塩(以下、DBと記すことがある)、水溶性ポリマーとしてγ−PGA(明治フードマテリアル製、分子量60万)、および両親媒性化合物として図1の式(II)(m=12、n=2)で表わされる化合物(以下、12GP2と記すことがある)を用いて、下記のように本発明に従う複合体(ポリイオンコンプレックス)を調製した。
生理食塩水5mlに、γ−PGA水溶液(濃度20mg/ml)1ml、Lipid水溶液(濃度0.8mg/ml)1ml、およびDB水溶液(1mg/ml)1mlに添加し、ボルテックスミキサーを使用して激しく攪拌、混合した。30分間室温で放置後12,000rpm、5分間遠心した。上澄みを除き残った沈殿に生理食塩水(5ml)を加え、プローブ型超音波発生装置を用いて超音波処理(25〜60W、3分)することにより再分散させた。
【0019】
以上のようにして得られた複合体の走査型電子顕微鏡(SEM)観察の結果を図4に示す。γ−PGA/DB/12GP2複合体は球状で粒径100〜1,000nmの複合体を形成しており、粒径の小さなものが会合して、より大きな会合体を形成していることが推察される。
また、この複合体について動的光散乱法(装置:シスメックス株式会社製ゼータサイザナノシリース)により粒径を測定した。その結果、調製10分後で387.5nmであったものが、30分後に553.9nmとなった。放置しておくと大きな会合体(粒径3057nm)を形成し、これを再分散すると粒径571.5nmの複合体にもどった。これらの結果は、上記SEM観察の結果と良く一致している。
【実施例2】
【0020】
機能性物質保持率の測定および徐放性試験
<保持率の測定>
実施例1で得られた複合体中のDB保持率を次のようにして求めた:実施例1の操作における遠心分離後の上澄みを分光光度計で測定し(吸収波長470nm)、DB濃度を求める。添加したDB濃度から上澄みのDB濃度を差し引いたものを保持率とした。その結果、上記の操作におけるDBの平均保持率は約98.6%であった。カチオン性部位を有する機能性物質として、DB(ドキソルビシン)の代わりにAmphotericin Bを用いて、DBの場合と同様の手法によりAmphotericin B/γ−PGA/12GP2複合体を調製して、その保持率を調べた(但し、分光光度測定における吸収波長:385nm)ところ、その保持率は88.0%であった。
【0021】
<徐放性試験>
次に、実施例1で調製した複合体(ポリイオンコンプレックス)が薬剤(DB)に関して徐放性を有することを透析率で検証した。すなわち、実施例1で既述したように生理食塩水5mlに再分散させた複合体(γ−PGA/12GP2/DB複合体)を透析膜(カット分子量:10,000)に入れ、生理食塩水1,000ml中で透析を行った。比較のために、DBのみから成る試料、およびγ−PGAとDBとから成る試料についても同様の操作により透析を行った。
【0022】
その結果を図5に示す。なお、図5ではγ−PGAを単にPGAとしている。図5に示されるように、DBのみでは急激に透析され90分後にはDB保持率は僅かに2%であった。また、PGA/DB系においてもDB保持率の経時的減少は大きく90分後には33%となっており、PGA/DBの系が強固な化学結合(共有結合)に因るのではなく、弱い静電気的な相互作用に因るポリイオンコンプレックスであることを推測させる。これに対して、本発明に従うPGA/12GP2/DB複合体は、徐々にDBを放出する特性を有し、当初約93%であったDB保持率は90分後においては約77%であり、12GP2(両親媒性化合物)の添加により目的の機能性物質の保持力を向上させて徐放性を発現することが理解される。
【実施例3】
【0023】
蛍光分光スペクトル測定
本発明の複合体における結合の様子を調べるために、構成成分の組合せに応じた蛍光分光スペクトルを測定した。図6に、それぞれの組合せによる蛍光の強度変化を示す。また、表1には、分子運動の大きさの尺度となる蛍光P値の測定結果を示している。
用いたサンプルは、次のとおりである:生理食塩水(0.85%NaCl、415μl)、γ−PGA水溶液(明治フードマテリアル)(2%γ−PGA、10μl)、カチオン性脂質水溶液(20mM、12GP2、25μl)、ドキソルビシン塩酸塩(DB)水溶液(10mg/ml、50μl)。生理食塩水中でそれぞれの成分をボルテックスミキサーを使用して激しく混合した。30分室温で放置後、遠心分離(12,000rpm、5分)し上澄みを除去した後、5ml生理食塩水を加えプローブ型超音波発生装置で処理し(25〜60W、3分)で再分散して測定に供した。
【0024】
【表1】

【0025】
アニオン性のγ−PGAとカチオン性のドキソルビシン(DB)が静電気的相互作用で複合体を形成する。このときDBが凝集させるため濃度消光が起き蛍光強度(Em. 585nm)が減少すると考えられる〔図6、a)→b)〕。この場合、P値はわずかな上昇が見られるだけなので、DBの運動性にはさほど影響は見られない。カルボキシル基とDBの1級アミンとの静電気的相互作用に因ると理解される。さらにカチオン性脂質を加えても蛍光スペクトル変化がほとんどないが〔図6、b)→c)〕、P値は上昇している(P値:0.084→0.100)。これはカチオン性脂質がγ−PGAと静電気的相互作用で複合体(ポリイオンコンプレックス)を形成するとき、DBの運動性を低下させるように配向するためと考えられる。
【実施例4】
【0026】
マウス試験
実施例1で調製した複合体をマウスに注射してその有効性を調べた。
Sarcoma180移植マウスを用いて制癌効果を比較した。実施例1で調製した本発明に従うPGA/12GP2/DB複合体群、DB単独群、コントロール群(それぞれN=5)につき、生理食塩水に溶かして投与し、腫瘍重量、生存率を調べた。また、組織移行についてKI-67染色、HE染色、共焦点レーザー顕微鏡を用いて確認した。腫瘍重量の測定結果を図7、生存率の結果を図8に示す。
図7に示すように、腫瘍重量は本発明複合体100μg、DB単独150μg共にコントロール群に比し優位に増殖を抑制した。また、本発明のドキソルビシン含有複合体100μgはドキソルビシン150μgに比し、2/3の投与量にもかかわらず同等以上の腫瘍細胞の増殖を抑制した。さらに、図8に示されるように、コントロール群では12日で100%死亡したにもかかわらず3週間後の生存率は40%と本発明複合体100μg、DB単独150μgに優位差は無かった。このことから、本発明ドキソルビシン複合体は、少ない投与量で同等もしくはそれ以上のSarcoma180腫瘍細胞の増殖抑制が見られた。
【0027】
組織移行についてはKI−67染色、HE染色、共焦点レーザー顕微鏡の観察結果から腫瘍細胞の増殖抑制および良好な腫瘍細胞移行を確認した。ドキソルビシンは腫瘍細胞内のDNA鎖にインターカレーションすることで逆転写を阻害し、腫瘍細胞の増殖抑制能を発揮する。KI−67染色およびHE染色から腫瘍細胞が死滅していることが確認された。また、図9は、本発明のドキソルビシン含有複合体を投与したマウスの腫瘍細胞の共焦点レーザー顕微鏡像である。ドキソルビシンは腫瘍細胞の核に結合することが知られている。図9から、本発明のドキソルビシン含有複合体も同様に腫瘍細胞に取り込まれ白く白色していることが分かる。このように、本発明の複合体は目的通りに腫瘍細胞に到達しドキソルビシンを放出し、DDS効果を十分に発揮している。これらのことから少ない投与量で効果が得られ副作用の軽減が推測されるドキソルビシン含有複合体の有用性が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の複合体を構成するのに好適な両親媒性化合物の例の化学構造式を示す。
【図2】本発明の複合体を構成するのに好適なドキソルビシン(機能性物質)、γ−PGA(水溶性ポリマー)および両親媒性化合物を模式的な構造式とともに示す。
【図3】本発明の複合体が形成される様子を模式的に示す。
【図4】本発明の複合体のSEM像を例示する。
【図5】本発明の複合体について行った徐放電試験の結果を比較サンプルについて行ったものとともに示す。
【図6】本発明の複合体および比較サンプルについて測定した蛍光の強度変化を示す。
【図7】本発明の複合体および比較サンプルについて行ったマウスの制癌試験における腫瘍重量の測定結果を示す。
【図8】本発明の複合体および比較サンプルについて行ったマウスの制癌試験における生存率の結果を示す。
【図9】本発明の複合体を投与したマウスの腫瘍細胞の共焦点レーザー顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性部位を有する機能性物質、アニオン性の水溶性ポリマー、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物から成り、前記機能性物質を徐放することを特徴とする複合体。
【請求項2】
前記水溶性ポリマーがγ−ポリグルタミン酸またはα−ポリグルタミン酸である請求項1の複合体。
【請求項3】
前記両親媒性化合物が、4級アンモニウム型脂質または塩基性アミノ酸残基を有する脂質である請求項1または2の複合体。
【請求項4】
前記機能性物質が薬剤である請求項1〜3のいずれかの複合体。
【請求項5】
薬剤がドキソルビシンである請求項4の複合体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの複合体を調製する方法であって、カチオン性部位を有する機能性物質、アニオン性の水溶性ポリマー、および分子端部にカチオン基を有する両親媒性化合物を含有する水溶液を攪拌・混合した後、超音波処理する工程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図4】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−208055(P2008−208055A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44957(P2007−44957)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【出願人】(505457433)株式会社オフィス・ケイ (6)
【出願人】(507062369)
【Fターム(参考)】