説明

薬剤組成物及び製造法

熱溶融法により製造される、N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル及びポロキサマー188を含むことを特徴とする処方が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分として、N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステルの塩酸塩(以降、R411という)を有する新規な処方に関する。R411は、喘息の処置において活性を有する。
【0002】
R411は、結晶形で入手でき、生理学的範囲で、pH依存型の物理化学的性質(即ち、溶解度、安定性及び透過性)を有する。
【0003】
pH効果に加えて、R411の溶解度は、また、対イオンのタイプ及び濃度にも依存する。
【0004】
エステル結合を有するR411は、また、アルカリ加水分解(pH>6で)を受けやすい。pH依存型の物理化学的性質及び限られた透過性(58×10-6cm2/秒)によって、結果として、本化合物の、低くかつ変わりやすい経口生物学的利用能になる。種々の動物種における生物学的利用能は、6%(サル)〜20%(ラットとイヌ)の範囲である。
【0005】
pH依存型の物理化学的性質を有する弱塩基は、製剤科学者に独特の難問を提示する。溶解速度が溶解度と生物学的利用能を限定する薬物では、これは著しい難問となる。生物学的利用能を改善するのに利用される一般的なアプローチは、薬物の粒度の縮小、共溶媒又は錯化剤の使用、親水性マトリックス中への薬物の分散、脂質ベースの薬物送達システム(自己乳化薬物送達システム、マイクロエマルション、ミセル系及び固体分散体など)の利用、及び分子分散体を含み、そして幾つかの文献及び特許、例えば、Choiら, Drug Dev. Ind. Pharm., vol 29(10), 1085-1094, 2003;Yuekselら, Eur. J. Pharm. and Biopharm., vol 56(3), 453-459, 2003及び米国特許第6,632,455号のもとになっている。
【0006】
R411により提示される生物学的利用能の難問は、低い溶解度のせいだけでなく、胃腸液中での限られた安定性のためでもあった。したがって、両方の問題を回避する処方のアプローチを要する。溶解度の改善に基づいて生物学的利用能を改善するためのポロキサマーの使用が文献に記述されている(Reddyら, J. Pharm. Sci., vol 65, 115-118及び1753-1758, 1976並びにGeneidiら, Pharm. Ind., 42, 315-1980)。しかし、文献には、ポロキサマーが、よりおそい溶解にもかかわらず、生物学的利用能を改善できることには言及されていない。更には、薬物の化学安定性に及ぼすその効果、又は薬物の食品効果プロフィールの改善について言及されていない。これらの知見は、我々の発明の基礎を形成する。
【0007】
感湿性薬物の安定性を更に改善するために、内部乾燥剤の使用が開示されている。無水乳糖の吸脱着等温線は、この形の乳糖が、より高い湿度で、水分を吸収する傾向にあることを示している。この水分引力のため、無水乳糖は、感湿性薬物を処方するのに有望な賦形剤とは見られていない(Patelら, Int. J. Pharm., vol 264, 35-43, Is:1-2, 2003及びEur. J. Pharm. And Biopharm., vol.46, 177-182, Is:2, 1998)。文献データに反して、R411処方に無水乳糖を含めることが、水分介在性の不安定さに有益であることを立証した。
【0008】
圧縮助剤としてのプロソルブの使用は確立されている。同様に、個々の成分である微結晶性セルロースとコロイド状二酸化ケイ素の物理混合物よりも、それが優れていることも確立している(Drug Dev. Ind. Pharm., vol 30, 103-109, Is:1, 2004)。しかし、特に好ましく方式で溶解安定性に影響を及ぼすその能力は、驚くべき知見であり、そして、処方における一層の強化と考えられる。
【0009】
最後に、加工方法の利用も含まれる。R411ポロキサマー混合物は、幾つかの手段により加工することができる。しかし、生物学的利用能の見込みから最大の効果を得るためには、溶融造粒及び溶融押出のような方法による念入りな混合が好ましい。これらの手法の幾つかの有用性は、文献に確立されている。感湿性生成物の造粒の他の方法よりも、それらが優れていることもまた、報文にされている(Passeriniら, Eur. J. Pharm. Sci., vol 15, 71-78, Is:1, 2002)。しかし、この文献は、その利点を初期化学安定性だけに限定し、他方、R411処方の場合には、その利点が、自明でない、溶解安定性の形で長時間にわたり観察される。
【0010】
本発明は、薬物動態の性能が改善された、即ち、生物学的利用能が強化され、食品効果が減少した、R411の経口投与剤形にした薬剤組成物を提供する。本組成物は、溶融造粒又は溶融押出法により製造された、ポロキサマー188(ルトロール(Lutrol)F68(登録商標))と一緒に、単位用量中、50mg〜400mgのR411を含む。安定性において、助力される利点を得るため、プロソルブSMCC50(登録商標)及び無水乳糖のような二次的な賦形剤の使用もまた開示されている。
【0011】
本発明は、R411を経口投与するための薬剤組成物であって、組成物の総重量に基づいて、約50mg〜400mgのR411、そして重量%ベースで、約5〜40%のポロキサマー188、約1〜20%のプロソルブSMCC50(登録商標)及び約20〜60%の無水乳糖を含む組成物を提供する。
【0012】
好ましい組成物は、300〜400mgのR411、約10〜25%のポロキサマー188、約2〜4%のプロソルブSMCC50(登録商標)及び約30〜50%の無水乳糖を含む。
【0013】
重要な賦形剤に関して、最も好ましい組成物は、以下に示される:
R411 318mg
ポロキサマー188 136mg
無水乳糖 228mg
プロソルブSMCC50 40mg
【0014】
先行技術において知られている、崩壊剤及び滑沢剤のような他の賦形剤並びに充填剤は、投与剤形の製造及び/又は性能を改善するために、必要に応じて加えることができる。ポロキサマー188(ルトロールF68(登録商標))は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーであり、そしてNFモノグラフに、ポロキサマー188としてリストされている。ポロキサマーは、広い範囲の分子量、融点及び親水性で入手でき、そして、一般に、生物学的利用能を改善するための湿潤剤として、製剤処方中に使用されている。これらは、BASF(ニュージャージー州、米国)により供給される。本発明において使用されるルトロールF68(登録商標)は、8400ダルトンの範囲の分子量、52°〜54℃の融点及び18〜29のHLB(親水性・親油性バランス)及び1ミクロン〜500ミクロンの範囲の平均粒度を有する。これを処方中にR411と共に使用することが、従来の錠剤よりも遅く溶解するマトリックスを提供し、そして更に小腸での、不都合な溶解度及び安定性を有する薬物に、より高い生物学的利用能を提供するように、独特の状況を提示する。更には、この医薬組成物は、また、生成物の薬物動態性能に及ぼす食品の効果を最小化する。ポロキサマー188の好ましい物理的形状は、念入りな混合を達成するために、微粒子物質である。第2選択の他の非イオン性界面活性剤は、ビタミンE TPGS(イーストマン・コダック)、ゲルシレ(Gelucire)44/14、ゲルシレ50/13(ガッテフォッセ(Gattefosse、ニュージャージー州)、ソルトール(Solutol)HS15、ポロキサマー407、ポロキサマー338、ルトロールF77、クレモホール(Cremophor)RH40(BASF、ニュージャージー州)、ジパルミチン酸スクロース及びジステアリン酸スクロース(クローダ(Croda)、ニュージャージー州)を含む。
【0015】
無水乳糖は、カリー・バイオサイエンス(Cary Biosciences)(イリノイ州、米国)又はDMVインターナショナル(オランダ)により供給される。これは、一般に、増量剤、圧縮助剤及び医薬活性物の担体として使用される。その吸湿性のため、感湿性物質と共に使用することは推奨されないが、しかし、この特定のケースでは、水分スカベンジャーとして作用するため、その吸湿性が改善された溶解安定性を授けた。
【0016】
プロソルブSMCC(登録商標)は、2%のコロイド状二酸化ケイ素と98%の微結晶性セルロースを含む共加工された賦形剤である。処方中の個々の賦形剤は、USP/NFの要件を満たしている。これは、JRSにより供給され、2つの等級で入手できる;微結晶性セルロースの異なる粒度(即ち、それぞれ、50ミクロンと90ミクロン)に関連して、プロソルブSMCC50(登録商標)及びプロソルブSMCC90(登録商標)。プロソルブは、圧縮助剤とし製剤中に使用される。R411処方中の有用性は、圧縮助剤としてだけでなく、生成物の溶解安定性を改善することを助ける。全ての文献データは、プロソルブが圧縮特性において優れていることを示しているものの、その個々の成分よりも、共加工された賦形剤の使用によって、物理安定性における改善については言及していないため、これは驚くべき知見である。
【0017】
このポリマーマトリックス中核処方は更に、結合剤、充填剤、安定化剤、圧縮助剤、滑沢剤、造粒助剤、流動性助剤などのような、他の薬剤学的に許容しうる賦形剤を含んでいてもよい。この膜コーティングは更に、乳白剤、色素、着色料などのような、他のコーティング賦形剤を含んでいてもよい。このような物質及び使用すべき量の選択は、当該分野の範囲内と考えられる。膜コーティングの硬化及び破裂を最小化するために、ポリマーコーティング物質と組合せて可塑剤を利用することが、しばしば望ましい。本発明に使用することができる可塑剤の例は、以下を含む:トリアセチン、プロピレングリコール、約200〜約1,000の分子量を有するポリエチレングリコール、フタル酸ジブチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸トリエチル、植物油及び鉱油、脂肪酸、C6−C18脂肪酸の脂肪酸グリセリドなど。
【0018】
本発明により製造される中核要素は、従来の打錠装置、カプセル充填装置又は成形装置で製造することができる。
【0019】
本発明は、以下の実施例により更に、非限定的に、例証される:
【0020】
実施例1
N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩(R411)
以下の反応スキーム及び工程が標題生成物を製造する:
【0021】
【化1】

【0022】
工程10生成物の製造
2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒドを、トルエン中で還流させながらn−ブチルアミンと反応させ、対応するイミン中間体を製造した。蒸留による濃縮後、反応混合物をTHFで希釈する。クロロ基の金属−ハロゲン交換は、このイミン中間体を、THF中で、1.4当量のMeMgClで処理することにより達成された。イミン基は、希酸で加水分解し、そして2−クロロ−6−メチルベンズアルデヒド(10)をヘキサンで抽出して、この工程の生成物を真空蒸留によって精製する。
【0023】
工程3生成物の製造
2−クロロ−6−メチルベンズアルデヒド(10)を、アセトニトリル中で、DMSO/NaClO2を用いて酸化し、2−クロロ−6−メチル安息香酸中間体(11)とする。過剰のオキシダントを中和して、所望の酸をトルエンで抽出する。反応混合物中の微量の水をトルエンの部分蒸留により除去する。2−クロロ−6−メチル安息香酸中間体(11)を含むこのトルエン溶液を直接工程2の反応に付す。塩化オキサリルを、2−クロロ6−メチル安息香酸(11)のトルエン溶液に、触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)の存在下、いれる。蒸留による濃縮後、過剰の塩化オキサリルをクエンチするために水を加える。生じた塩化2−クロロ−6−メチルベンゾイル中間体(2)の溶液を、酢酸エチルと水酸化ナトリウム水溶液中で、4−ニトロ−L−フェニルアラニンメチルエステル塩酸塩と合わせる。飽和重炭酸ナトリウム溶液の添加によって反応を終了させる。反応の終了後、珪藻土を用いてこのバッチを濾過してもよい。層を分離して、有機相を水で洗浄する。蒸留により酢酸エチルをトルエンで置換する。冷却及びヘキサンでの混合物の希釈後、工程3生成物を結晶化し、濾過により回収し、ヘキサンで洗浄して、乾燥する。
【0024】
工程6生成物の製造
工程(3)生成物を、テトラヒドロフラン(THF)中で、加熱しながら、スルフィド化(sulfided)Pt/C触媒で水素化し、工程4中間体を得た。濾過による触媒の除去後、工程4中間体のTHF溶液を冷却し、塩化2,6−ジクロロベンゾイル及び水酸化ナトリウム水溶液と合わせた。反応の終了後、工程5中間体を追加分の水酸化ナトリウム水溶液で処理し、結果として、メチルエステルの加水分解になる。この混合物を酢酸イソプロピルで希釈して、塩酸で酸性にする。水層を分離して、有機層を水で洗浄する。THFの置換及び蒸留による酢酸エチルの濃縮後、工程6生成物を結晶化し、濾過により回収し、洗浄して、乾燥する。この物質は、酢酸イソプロピルとの溶媒和物である。
【0025】
工程8生成物の製造
DMF中の、工程6生成物、塩化2−(ジエチルアミノ)エチル塩酸塩(1当量)及び炭酸ナトリウムの混合物を約45℃まで加熱する。反応の終了後、混合物を冷却して、酢酸イソプロピル及び塩化アンモニウム水溶液と合わせる。水相を分離して、廃棄し、そして有機層をDMF及び水で洗浄する。このバッチを酢酸イソプロピルで希釈して、真空下で濃縮して、遊離アミンの溶液を得る。このバッチを水含量について試験する。このバッチを加熱し、次に、窒素ガスで希釈したガス状塩化水素を水面下に加え、最終生成物の目的の塩酸塩(8)を沈殿させる。このバッチを冷却し、濾過により回収し、酢酸イソプロピルで洗浄して乾燥する。この最終生成物は、砕塊させるか(delump)又は粉状にしてもよい。
【0026】
実施例2
湿式造粒法により製造される処方
R411医薬品は、従来の湿式造粒法により製造することができる。典型的な組成と製造方法は、以下に例証される。秤量した量のR411、ポロキサマー188、クロスポビドン、ポビドンK30、マンニトール及びフマル酸を高剪断造粒機に入れる。内容物を中速に設定した羽根車及び十字スクリューで約2分間混合する。内容物を混合しながら、液体導入口を通して、水を噴霧することにより、必要量の精製水を加える。混合は、電力消費の読みに基づく、目標造粒終点を達成するまで、続ける。得られた顆粒は、フィッツ(Fitz)粉砕機により、低速で砕塊させる。この砕塊された顆粒は、目標とする水分含量に達するまで、流動床乾燥により、〜35℃で乾燥する。乾燥顆粒は、フィッツ粉砕機により粉砕され、更なる加工のための均一な大きさの顆粒を得る。これらの顆粒は、適切なブレンダーで混和することにより、クロスポビドン、タルク及びステアリン酸マグネシウムのような外部賦形剤と混合される。適切な打錠成形機を用いて、この粉末塊を、錠剤に圧縮する。この圧縮錠は、適切な錠剤コーティング装置を用いて、処方に示されるフィルムコートでコートされる。湿式造粒はこの生成物に適するが、潜在的安定性の懸念及び加工上の難問のため、適さない。この生成物の水性湿式造粒は、狭い造粒終点のため、顕著な製造上の難問を提示した。造粒工程の不適切な制御は、圧縮及び溶解プロフィールに関連する問題を引き起こす。
【0027】
湿式造粒
成分 mg
R411 318.00
ポロキサマー188 114.00
ポビドンK30 6.00
クロスポビドン(粒内) 6.00
マンニトール 0.00
フマル酸 30.00
クロスポビドン(粒外) 6.00
マンニトール 93.00
タルク 18.00
ステアリン酸Mg 9.00
核総重量 600.00
フィルムコート
ヒプロメロース・コーティング・システム(タルク、着色料及び乳白剤と共に)
17.00
アクアコート(Aquacoat)ECD30 2.18
トリアセチン 0.82
総重量 620
【0028】
【表1】

【0029】
実施例3
熱溶融造粒により製造される処方
この生成物の熱溶融造粒は、ポロキサマー188の低融点(52°〜54℃)を利用する。典型的な組成物は表に示され、そして製造方法は概略図に提示される。製造工程は、高剪断造粒、流動床冷却、粉砕、混和、圧縮及びコーティングからなる。秤量した量のR411、ポロキサマー188及びクロスポビドン(粒内)をジャケット付きの高剪断造粒機に入れる。この粉末は、ジャケットの温度を、60℃の温水を循環させることにより、上昇させながら、中速の羽根車及びチョッパーで混合される。床温度が50℃に達するまで、粉末を間欠的に混合される。ポロキサマーの均一な溶融及び均一な造粒を保証するため、連続混合は、床温度が50℃に達してから、開始される。混合は、電力消費に関して、目標造粒終点が達成されるまで続けられる。この顆粒は、フィッツ粉砕機を通すことにより、砕塊される。この砕塊される顆粒は、周囲条件の流動床で冷却される。冷却顆粒は、フィッツ粉砕機を通して粉砕され、均一な顆粒の粒度分布をうる。粉砕顆粒は、適切なブレンダーで、クロスポビドン(粒外)、フマル酸、プロソルブ、タルク、無水乳糖及びステアリン酸マグネシウムのような外部賦形剤と混合される。適切な打錠成形機を用いて、この混合顆粒を圧縮して核とする。この圧縮錠は、通気式コーティングパン中、適切なフィルムコートを用いて、フィルムコートされる。あるいは、この顆粒は、同様に硬ゼラチンカプセルに充填されうる。
【0030】
熱溶融造粒
成分 mg
R411 318.00
クロスポビドン(粒内) 8.00
ポロキサマー188 136.00
無水乳糖 228.00
フマル酸 30.00
タルク 24.00
クロスポビドン(粒外) 8.00
プロソルブSMCC50 40.00
ステアリン酸Mg 8.00
核総重量 800.00
フィルムコート
ヒプロメロース・コーティング・システム(乳白剤、着色料及びタルクと共に)
17.00
アクアコートECD30 2.18
トリアセチン 0.82
総重量 820
【0031】
【表2】

【0032】
熱溶融造粒法は、造粒に影響を及ぼすため、52〜54℃のポロキサマー188の溶融挙動を利用し、非常に優れている造粒工程の制御を与える。一貫した造粒が、より着実な(robust)後続加工を与え及び再現性ある溶解を得る。したがって、熱溶融造粒は、従来の水性湿式造粒とは対照的に、より確実な製品を与える。
【0033】
実施例4
熱溶融押出法により製造される処方
R411の造粒は、熱溶融押出法により達成されうる。これは、R411とポロキサマー188が最も念入りに混合されて、その結果、より均一で確実な医薬品が得られるため、最も好ましい方法である。熱溶融押出法は、連続工程であるため、また、医薬品のスケールアップにも、加えられる利点を与える。概略図としての製造法と共に、典型的な薬剤組成物を表に与える。
【0034】
R411及びポロキサマー188は、適切なブレンダー(ビン又はツインシェル(twin shell)型)で一緒に混合される。軸回転を100〜200rpmに維持しながら、この混合物を、一定速度(10〜20g/分)のギア操作フィーダーを用いて、適切な押出機(ライストリッツ(Leistritz)二軸押出機)に入れられる。二軸押出機は、適切なスクリュー形状を備え、バレル温度(マイクロ−1(Micro-1)単位の8個のバレルについて)は30、40、60、70、70、70、70、70℃に維持される。押出物は、3mmの金型を用いて、出口から回収され、コンベヤーベルト上で空冷される。回収した押出物は、適切な条件(中速で2mmスクリーンなど)を用いて、フィッツ粉砕機により粉砕した。この顆粒を適切なブレンダー中、外部賦形剤と混和する。最終混和物は、打錠成形機を用いて、錠剤に圧縮される。この核は、通気式コーティングパン中、適切なフィルムコートを用いて、コートされうる。
【0035】
熱溶融押出
成分 量(mg)
R411 318.00
ポロキサマー188 170.00
無水乳糖 100.00
クロスポビドン 25.00
フマル酸 30.00
プロソルブSMCC50 40.00
タルク 15.00
ステアリン酸マグネシウム 10.00
核総重量 710.00
フィルムコート 20.00
錠剤総重量 730.00
【0036】
【表3】

【0037】
実施例5
乾式造粒法(スラッギング又はローラー圧縮)により製造される処方
乾式造粒法による医薬品製造を例証する一例をこのセクションに提示する。典型的な医薬組成物は、下表に与えられる。R411、ポロキサマー188、プロソルブSMCC50及びステアリン酸マグネシウムの一部を、適切なブレンダー(ビン又はツインシェル型)で一緒に混合する。スラッギング法の場合には、この粉末塊を圧縮して、およそ10〜15SCU硬度の平面錠(直径1インチ)にする。ローラー圧縮では、所望の圧力で、移動ローラーの間で圧縮することにより、粉末塊を圧縮してリボン状にする。次に、このリボン又はスラッグを、適切なミル(フィッツ又はコ・ミル(Co-mill))を用いて粉砕し、100〜200ミクロンの範囲の平均粒度を持つ均一な顆粒を得る。この顆粒を、適切なブレンダーで外部賦形剤と混和する。最終混和物は、打錠成形機を用いて、錠剤に圧縮される。この核は、通気式コーティングパン中、適切なフィルムコートを用いてコートされうる。
【0038】
造粒法
成分 %w/w
R411 40.0
ポロキサマー188 15.0
無水乳糖 17.0
クロスポビドン 4.0
フマル酸 4.0
プロソルブSMCC50 14.5
タルク 2.0
ステアリン酸マグネシウム 1.5
フィルムコート 2.0
【0039】
実施例6
硬ゼラチンカプセル中にポロキサマー188を含む処方
湿式造粒、溶融造粒、溶融押出又はローラー圧縮のような、前の実施例に示されるような任意の方法により得られる顆粒を、外部賦形剤(必要に応じて)と混合して、適切なサイズの硬カプセル殻中に充填する。単純な一例が下に示され、ここで、R411、ポロキサマー188、クロスポビドン及びポビドンを湿式造粒法により造粒される。この顆粒を流動床乾燥機で乾燥し、粉砕して、ステアリン酸マグネシウムのような外部賦形剤と混合する。次に、最終混和物を硬ゼラチンカプセル中に充填する。
【0040】
成分 量(mg) 量(mg)
75mg/カプセル 300mg/カプセル
R411 79.50 318.00
ポロキサマー188(粉砕) 28.80 115.20
クロスポビドン 2.28 9.12
ポビドンK30 2.28 9.12
ステアリン酸マグネシウム 1.14 4.56
充填総重量 114.00 456.00
硬ゼラチンカプセル 37.80 104.00
カプセル総重量 151.80 560.00
【0041】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約50mg〜400mgのN−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩、そして重量%ベースで、b)約5〜40%のポロキサマー(poloxamer)188、c)約0〜20%のプロソルブ(ProSolv)SMCC50(登録商標)及びd)約0%〜60%の無水乳糖を含む、単位用量の組成物。
【請求項2】
更に、a)300〜400mgのN−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル塩酸塩、b)約10〜25%のポロキサマー188、c)約2〜4%のプロソルブSMCC50(登録商標)及びd)約30〜50%の無水乳糖を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該組成物が、熱溶融造粒法又は熱溶融押出法により製造される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
以下:
N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
318.00mg
ポロキサマー188 114.00mg
ポビドンK30 6.00mg
クロスポビドン(粒内) 6.00mg
フマル酸 30.00mg
クロスポビドン(粒外) 6.00mg
マンニトール 93.00mg
タルク 18.00mg
ステアリン酸Mg 9.00mg
核総重量 600.00mg
を含む組成物を有する、フィルムコート錠。
【請求項5】
以下:
N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
318.00mg
クロスポビドン(粒内) 8.00mg
ポロキサマー188 136.00mg
無水乳糖 228.00mg
フマル酸 30.00mg
タルク 24.00mg
クロスポビドン(粒外) 8.00mg
プロソルブSMCC50 40.00mg
ステアリン酸Mg 8.00mg
核総重量 800.00mg
を含む組成物を有する、フィルムコート錠。
【請求項6】
以下:
N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
318.00mg
ポロキサマー188 170.00mg
無水乳糖 100.00mg
クロスポビドン 25.00mg
フマル酸 30.00mg
プロソルブSMCC50 40.00mg
タルク 15.00mg
ステアリン酸マグネシウム 10.00mg
核総重量 710.00mg
フィルムコート 20.00mg
錠剤総重量 730.00mg
を含む組成物。
【請求項7】
以下:
N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
79.50mg
ポロキサマー188(粉砕) 28.80mg
クロスポビドン 2.28mg
ポビドンK30 2.28mg
ステアリン酸マグネシウム 1.14mg
充填総重量 114.00mg
硬ゼラチンカプセル 37.80mg
カプセル総重量 151.80mg
を含む組成物。
【請求項8】
以下:
N−(2−クロロ−6−メチルベンゾイル)−4−[(2,6−ジクロロベンゾイル)アミノ]−L−フェニルアラニン−2−(ジエチルアミノ)エチルエステル
318.00mg
ポロキサマー188(粉砕) 115.20mg
クロスポビドン 9.12mg
ポビドンK30 9.12mg
ステアリン酸マグネシウム 4.56mg
充填総重量 456.00mg
硬ゼラチンカプセル 104.00mg
カプセル総重量 560.00mg
を含む組成物。

【公表番号】特表2009−523754(P2009−523754A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550713(P2008−550713)
【出願日】平成19年1月8日(2007.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050144
【国際公開番号】WO2007/082809
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】