説明

薬品管理システム

【課題】センサが少なくて製造も保守も遣りやすい撮像方式でも区画単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ区画分けの自由度が更に高まるよう、トレー内底で仕切片を両者の面同士の当接と当接状態維持力にて支持することを前提として、小物や細い薬品類の区画まで安定して仕切ることのできる薬品管理システムを実現する。
【解決手段】トレー10と、上面が面ファスナ12の中敷部材11と、その面ファスナ12に下面の面ファスナ26が当接されてトレー10の内部空間を仕切って複数の区画に分割する縦断面形状凵字状・縦壁部分平面形状冂字状の仕切片であって凵字状のうち縦壁部分21が仕切機能を果たし横板部分22,23の上面に薬品類8の機械読取用識別コード27が付される複数の仕切片20と、トレー10を上から撮る撮像装置30と、その画像からコード27を読み取って薬品類8の使用を検知する検知装置40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トレーにセットして医療現場で使用される薬品類の使用状況を管理するための薬品管理システムに関し、詳しくは、トレーを仕切って各区画に薬品類を収容するとともに薬品類の使用の有無を区画毎に把握する薬品管理システムに関する。
なお、薬品類には、アンプル・バイアル・造影剤等の注射薬の他、箱・ボトル等に収容された錠剤・散剤等の医薬品や、薬品と一緒に使用される補助薬品も該当する。
【背景技術】
【0002】
バーコードは一般にシート表面に印刷されて光学的に読み取られるが、多様な物品の表面への印刷にも読取にも適う識別コードとして、色の配列で符号化情報を表すカラービットコード(1Dや1.5Dのカラービットコードと呼ばれたりリフレクティブカラーコードと呼ばれることもある)が開発されている(例えば特許文献1,2参照)。その読取は、カラービットコードを含んだ画像データをエリアセンサ等の撮像装置で取り込んで複数の色領域あるいは色領域群に区分けし、区分けした各領域色や各領域群を境界条件や個数条件等を用いて絞り込んでから実際にデコードを行うことで、二次元バーコードのような切り出しマーク等を用いなくても、シンプルにデコードできるものとなっている。
【0003】
そして、このようなカラービットコードを導入した薬品管理システムが実用化されている(例えば特許文献3参照)。このシステムは、トレーにセットして医療現場で使用される薬品類の使用状況を管理するためのものであり、トレーを仕切って各区画に薬品類を収容するとともに薬品類の使用の有無を区画毎に把握するようになっている。具体的には、トレーにセットすべき薬品類の配置を調剤指示に応じて決定する配置決定手段と、トレーの内底に敷ける印刷用紙に薬品類の識別コードを配置に対応させて印刷する印刷手段と、トレーと共に印刷用紙を上から撮る撮像手段と、その画像から識別コードを読み取って薬品類の使用の有無を判別する判定手段とを備えている。トレーの内部空間を仕切って多数の区画に分ける着脱式の仕切であって区画の異なるものを幾種類か備えていて、その仕切データと剤形データとを参照して、仕切の自動選択まで行うようになっている。
【0004】
この薬品管理システムは、医療現場で使用される薬品類の使用状況を管理するために薬品類の有無を検出するに際して、個別検出方式では感応部・検出部(センサ)の個数が多くて製造や保守の負担が大きいことから、撮像方式を採用したものである。撮像方式であれば、感応部・検出部(センサ)が単一か少数個で済むので、製造も保守も遣りやすい。しかも、センサの少ない撮像方式を踏襲したうえで、トレーを仕切って区画分けするようにもしたことにより、区画単位で確実な検出を行える画像が得られるようになっているので、薬品類の使用状況を迅速かつ的確に把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−287414号公報
【特許文献2】特開2009−003721号公報
【特許文献3】特開2011−024663号公報
【特許文献4】特願2010−268848号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
もっとも、トレーを仕切って区画分けするときの自由度に関しては、そもそも仕切を必要としない薬品セット装置や,仕切の挿着をそれぞれの凹みについて自由に選択できる医材収納管理装置といった個別検出方式のものに比べて、区画室内で薬品類の有無に応じて見え隠れする既知の識別コードを一括撮像して読み取る薬品管理システム(例えば特許文献3参照)は、仕切の選択が全区画確立済み現物の準備に加えて全区画のデータ登録まで済んだ完成版の仕切に限定されるため、仕切の作成に要する材料や工数がトレー等に比べて嵩みがちなうえ、仕切が準備できた場合であっても、システム管理やデータ更新の権限を持った者のいない現場等では、トレーの内部空間を仕切る区画の変更や追加登録が、規制されるので、手軽ではない。
【0007】
とは言え、そのような撮像方式の薬品管理システムについてもトレー内部空間の区画分けの自由度を向上させるのは有益かつ重要である。そして、その自由度を個別検出方式並に引き上げるには、例えば、上述した薬品セット装置のように仕切部材挿着用凹みをトレーの内底に多数形成しておき、そこに細切れの仕切を付け替えられるようにすれば良いと思われる。そして、各凹みへの仕切挿着の有無を検出して区画を自動認識すれば良い。
しかしながら、撮像方式の薬品管理システムでは、仕切部材挿着用孔が平面視で縦横の二次元配置(マトリクス状)で多数設けられるので、凹み一次元配置の薬品セット装置のように仕切検出部材を凹み毎に設けて仕切を個別に検出するのは実用性に欠ける。
【0008】
また、撮像方式の薬品管理システムでは、画像認識ならハードウェアの改造を回避できる利点があるので、画像認識にて仕切の有無を検出することも考えられるが、トレー内部一括撮像方式の場合、中央と縁部とで仕切の画像が異なる等のことから、仕切検出結果の信頼性を高めるのが難しいので、併用ならまだしも、画像認識だけでは解決できない。
さらに、上述した撮像方式の薬品管理システムでは、薬品類の識別コードを印刷した印刷用紙がトレーと仕切との間に置かれるが、そのままでは仕切をトレーに挿着させるときに印刷用紙が邪魔になるので、識別コードの各区画への付け方も変えることとなる。
【0009】
そこで、センサが少なくて製造も保守も遣りやすい撮像方式でも区画単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ区画分けの自由度まで高い薬品管理システムを実現するために、薬品管理システムが改良されている。順を追って詳述すると、薬品類を収容するためのトレーと、前記トレーの内底に装着されて前記トレーの内部空間を仕切って複数の区画に分割する仕切と、前記区画に収容すべき薬品類の機械読取用識別コードを前記区画の内底に保持するコード保持手段と、前記トレーを上から撮る撮像手段と、その画像から前記機械読取用識別コードを読み取って前記薬品類の使用を検知する検知手段とを備えた従来の薬品管理システムに(例えば特許文献3参照)、次のような改良が施されている。
【0010】
すなわち、上記の基本的な構成を前提として、更に、前記トレーの内底に直に又は前記トレーの内底に敷かれる平板状の中敷部材に多数の仕切部材挿着用孔がマトリクス状配置で穿孔形成されており、前記仕切が各々は前記仕切部材挿着用孔に対し抜取り可能に挿着されて前記区画の一辺または二辺を画する複数の仕切片に分かれており、前記区画を画する前記仕切片のうち一つは縦断面形状がL字状をしていてそのL字状のうち縦長部分が仕切機能を果たし横長部分の上面が前記コード保持手段になっている、という薬品管理システムが開発されている(特許文献4の解決手段1欄を参照)。
【0011】
このような薬品管理システムにあっては(特許文献4の効果欄を参照)、トレーの内部空間を新規に区画分けするときや区画分けを変更するようなときには、マトリクス状配置(即ち平面視で縦横の二次元配置)でトレーの内底に多数存在している仕切部材挿着用孔から適宜なものを選出してそこに仕切片を挿着する作業を繰り返すことで、印刷用紙に邪魔されることなく容易に、さらには例え現場で手作業で行ったとしても容易に、トレーの内部空間を収容予定の各薬品類に対応した所望の複数区画に分割することができる。しかも、仕切片の挿着時に、各区画について、該当する区画室に収容すべき薬品類の機械読取用識別コードを付された仕切片を一つずつ採択することで、容易かつ的確に、機械読取用識別コードを各区画室の内底に付けておくことができる。また、このようにして各区画室に付された機械読取用識別コードは、トレーと仕切との間に印刷用紙を置く既述の従来システムのそれと同様に一括撮像可能なものとなっている。
【0012】
そして、使用時には、従来の薬品管理システムと同様に、区分け済みトレーの各区画室に薬品類をセットし、そのトレーを手術や治療などの医療行為に供し、戻ってきたトレーを撮像装置の下に置いてシステムに委ねる。そうすると、後は自動で、トレーが上から撮られ、さらに、その画像から各区画の機械読取用識別コードが読み取られ、その読取結果に基づいて薬品類の使用が検知される。この場合も、従来システムと同様、区画室内で薬品類の有無に応じて見え隠れする既知の識別コードを読み取る間接的な手法を採用したことにより、区画単位で薬品類の使用が的確に判別される。そのため、この薬品管理システムは、センサが少なくて製造も保守も遣りやすい撮像方式でも区画単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ区画分けの自由度まで高いシステムとなっている。
【0013】
ところが、所期の目標に達すると、より高い目標が発現してくる。すなわち、上記の改良タイプ薬品管理システムでは、仕切片を装着できる部位が、トレーのどこでも良いわけでなく、マトリクス状に予め形成されている仕切部材挿着用孔に限られることから、そのような限定を廃して区画分けの自由度を更に高めることが次の技術課題となる。
そして、その実現手段としては、仕切片の下面をトレーの内底面に当接させれば仕切片がトレーに係着するとともにトレーを押さえて仕切片を強く引っ張れば仕切片がトレーの内底面から離脱するよう、仕切片の下面とトレーの内底面に、当接状態を維持しようとする当接状態維持力を出す面ファスナや磁気引力を導入することが考えられる。
【0014】
しかしながら、このような面同士の当接と当接状態維持力で仕切片を支持する場合、仕切片の下面があまりにも小さかったり細かったりすると、仕切片の姿勢が不安定になりやすい。
このため、トレーに仕切部材挿着用孔があったときには万能とも言えた縦断面L字状の仕切片だけでは、小物や細い薬品類には安定な区画を提供しきれない。
そこで、センサが少なくて製造も保守も遣りやすい撮像方式でも区画単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ区画分けの自由度が更に高まるよう、トレー内底で仕切片を両者の面同士の当接と当接状態維持力にて支持することを前提として、小物や細い薬品類の区画まで安定して仕切ることのできる薬品管理システムを実現することが技術課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の薬品管理システムは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、薬品類を収容するためのトレーと、前記トレーの内底に装着されて前記トレーの内部空間を仕切って複数の区画に分割する仕切と、前記区画に収容すべき薬品類の機械読取用識別コードを前記区画の内底に保持するコード保持手段と、前記トレーを上から撮る撮像手段と、その画像から前記機械読取用識別コードを読み取って前記薬品類の使用を検知する検知手段とを備えた薬品管理システムにおいて、対をなすものが当接すると対間に当接状態維持力が作用する当接面維持部材対が設けられ、前記当接面維持部材対の一方が前記トレーの内底に直に又は前記トレーの内底に敷かれる平板状の中敷部材に装備され、前記当接面維持部材対の他方が前記仕切の下面または下部に装備され、前記仕切が前記当接面維持部材対の他方と共に各々は前記トレーの内底に並べられて前記区画の一辺または複数辺を画する複数の仕切片に分かれており、前記仕切片が下面を前記トレーの内底面または前記中敷部材の上面に当接させて前記当接面維持部材対の当接状態維持力にて前記トレーの内底に固定保持されるものであり、前記仕切片のうち一つは、並立する二個の並立縦壁部分とそれらの下端部を連結する一個の連結横板部分とを合わせて縦断面形状が凵字状になっている部分を含むとともに、前記連結横板部分を両脇のうち何れか一方または双方へ張り出させた横板張出部分を含んでおり、前記並立縦壁部分が対向二辺の仕切機能を果たし前記連結横板部分の上面が前記コード保持手段になっていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の薬品管理システムは(解決手段2)、上記解決手段1の薬品管理システムであって、前記仕切片のうち凵字状の縦断面を持ったもののうち一つは、前記並立縦壁部分とその一端部を連結する連結縦壁部分とを合わせて平面形状が冂字状になっている縦壁部分を含むとともに、前記連結縦壁部分を前記連結横板部分の張出と同じ方向へ張り出させた縦壁張出部分を含んでいることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の薬品管理システムは(解決手段3)、上記解決手段1,2の薬品管理システムであって、前記当接面維持部材対に面ファスナ及び永久磁石のうち何れか一方が採用されている又は双方が併用されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような本発明の薬品管理システムにあっては(解決手段1)、トレーの内部空間を新規に区画分けするときや区画分けを変更するようなときには、トレーの内底に仕切片を並べたり並べ直すことで、印刷用紙に邪魔されることなく容易に、例え現場で手作業で行ったとしても容易に、さらには当接面維持部材対の導入によりマトリクス状配置に限定されることもないので上記の改良システムより自由な配置で、トレーの内部空間を収容予定の各薬品類に対応した所望の複数区画に分割することができる。もちろん、仕切片に機械読取用識別コードを付しておいて、区画室内で薬品類の有無に応じて見え隠れする既知の識別コードを一括撮像することで、区画単位で薬品類の使用を的確に判別する能力も、既述の従来システムや上記の改良システムから損なうことなく引き継いでいる。
【0019】
しかも、縦断面形状が凵字状になっている部分のうちの下部の横板部分を両脇のうち何れか一方または双方へ張り出させた形状になっている仕切片が一個以上は使用されているが、このような仕切片は、二本の並立縦壁部分の画する複辺担当区画の幅より下面の幅が広くなっているため、その複辺担当区画がかなり細かったり小さくても、さらには当接面維持部材対の当接状態維持力によってトレー内底に支持されているにもかかわらず、安定な姿勢で同じ位置に固定される。これにより、取り扱い対象の薬品類に小物や細物が含まれていても総ての薬品類に安定な区画が提供されることとなる。
したがって、この発明によれば、センサが少なくて製造も保守も遣りやすい撮像方式でも区画単位での確実な検出を行える画像が得られるうえ区画分けがマトリクス状配置に限定されないで区画分けの自由度がより高いのに小物や細い薬品類の区画まで安定して仕切ることのできる薬品管理システムを実現することができる。
【0020】
また、本発明の薬品管理システムにあっては(解決手段2)、該当する区画の対向二辺が並立縦壁部分によって安定状態で仕切られるのに加えて、その一端側に位置する他の一辺すなわち該当区画の三番目の辺やそれを隣の区画に延長した部分まで連結縦壁部分や縦壁張出部分によって安定状態で仕切られる。しかも、その安定に必要な仕切片の下面の面積が対向二辺側の並立縦壁部分の下の連結横板部分や横板張出部分の下面によって充足されるので、三番目の辺やその延長部分を仕切る連結縦壁部分や縦壁張出部分の安定支持のために余分な面積を割く必要がない。
したがって、この発明によれば、小物や細い薬品類の区画まで安定して且つ稠密に仕切ることのできる薬品管理システムを実現することができる。
【0021】
さらに、本発明の薬品管理システムにあっては(解決手段3)、面ファスナを採用した場合は、仕切片の下面とトレー側の内底面とに面ファスナを貼り付けることで、簡便かつ安価に当接面維持部材対を実装することができる。また、永久磁石を採用した場合も、使用部材を磁化させたり使用部材に永久磁石を装着する等のことで、やはり簡便かつ安価に当接面維持部材対を実装することができるうえ、適度な磁場環境に置くことで一時的に当接状態維持力を加減することまでできる。さらに、面ファスナと永久磁石とを使用条件に応じて使い分けることも、両者を併用して当接状態維持力を強化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例1について、薬品管理システムの構造等を示し、(a)がトレーと仕切片との展開斜視図、(b)が仕切済みトレーの斜視図、(c)が収容済みトレーの斜視図、(d)がカートの斜視図、(e)が使用済みトレーの検査ユニットの斜視図、(f)が検知装置のブロック図である。
【図2】縦断面形状凵字状・縦壁部分平面形状冂字状の仕切片であって横板張出部分も縦壁張出部分も右へ張り出しているものを示し、(a)が平面図、(b)が斜視図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
【図3】縦断面形状凵字状・縦壁部分平面形状冂字状の仕切片であって横板張出部分も縦壁張出部分も左へ張り出しているものを示し、(a)が平面図、(b)が斜視図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
【図4】縦断面形状凵字状・縦壁部分平面形状冂字状の仕切片であって横板張出部分も縦壁張出部分も左右へ張り出しているものを示し、(a)が平面図、(b)が斜視図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
【図5】縦断面形状L字状の仕切片を示し、(a)が平面図、(b)が斜視図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
【図6】機械読取用識別コード及び目視読取用薬品名の装着状態を示す平面図であり、(a)が右方向張出の仕切片、(b)が左方向張出の仕切片、(c)が左右両方向張出の仕切片、(d)が縦断面形状L字状の仕切片である。
【図7】トレーの内底に仕切片を並べて装着したところの平面図である。
【図8】更に薬品類を収容したところの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
このような本発明の薬品管理システムについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1により説明する。
図1〜8に示した実施例1は、上述した解決手段1〜3(出願当初の請求項1〜3)を総て具現化したものである。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、ボルト等の締結具や,ヒンジ等の連結具,電気回路・電子回路等の詳細などは図示を割愛し、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。また、仕切片20,50の図示に際しては、それらの外面のうち、外接する仮想直方体の外面に一致する部分には、散点模様を付している。
【実施例1】
【0024】
本発明の薬品管理システムの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)がトレー10と中敷部材11と仕切片20,50との展開斜視図、(b)が仕切済みトレー10と収容予定の薬品類8との斜視図、(c)が薬品類8を収容した収容済みトレー10の斜視図である。
【0025】
また、図1(e)は、使用済みトレー10とそこから取り出された薬品類8を検知する検査ユニット30+40との斜視図であり、図1(f)は検知装置40のブロック図である。さらに、図2〜図4は、何れも、本発明の縦断面形状凵字状・縦壁部分平面形状冂字状の仕切片20を示し、(a)が平面図、(b)が斜視図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。そのうち、図2は、横板張出部分23も縦壁張出部分25も右へ張り出している右方向張出の仕切片20に係り、図3は、横板張出部分23も縦壁張出部分25も左へ張り出している左方向張出の仕切片20に係り、図4は、横板張出部分23も縦壁張出部分25も左右へ張り出している左右両方向張出の仕切片20に係る図である。
【0026】
また、図5は、縦断面形状L字状の仕切片50を示し、(a)が平面図、(b)が斜視図、(c)が正面図、(d)が右側面図である。
また、図6は、機械読取用識別コード27及び目視読取用薬品名28の装着状態を示す平面図であり、(a)が右方向張出の仕切片20、(b)が左方向張出の仕切片20、(c)が左右両方向張出の仕切片20、(d)が縦断面形状L字状の仕切片50である。図7は、トレー10の内底に仕切片20,50を並べて区画分けしたところの平面図であり、図8は、それらの区画に薬品類8を収容したところの平面図である。
【0027】
この薬品管理システムは(図1参照)、薬品類8を区分収容して手動や自動で運搬するためのトレー10と、トレー10の内底に敷かれる平板状の中敷部材11と、縦断面形状凵字状の部分を含む仕切片20と、縦断面形状L字状の仕切片50と、トレー10を上から撮る撮像手段としての撮像装置30と、その画像から機械読取用識別コード27を読み取って薬品類8の使用を検知する検知手段としての検知装置40とを備えている。
そのうち、トレー10と中敷部材11と仕切片20,50(図1(a)参照)は適宜に組み合わせて一体的な仕切済みトレー10(図1(b),図7参照)にして使用されるものであり、撮像装置30と検知装置40は作業用机の上に取り付けられて一体的に纏まった検査ユニット30+40になっている(図1(e)参照)。
【0028】
空のトレー10は(図1(a)参照)、浅い角皿状の箱体を図示したが、薬品類8を並べて収容し手に持って運んだり机上に置いたり収納区画に出し入れできれば他の盆状容器であっても良い。
中敷部材11は(図1(a)参照)、トレー10の内部空間にピッタリ収まって内底に固定されるようになっている又はトレー10の内部空間に入れても遊ばないよう適宜なフック等で内底に固定されるようになっている平板であり、上面には面ファスナ12が貼り付けられている。面ファスナ12は、図示の例では中敷部材11の上面の全域に配されているが、仕切片20,50を装着されない領域については省かれていても良い。
【0029】
面ファスナ12は、後述する面ファスナ26に対応していて、面ファスナ26と対になって当接面維持部材対として機能するものであれば、市販の汎用品で足り、例えば対応する面ファスナ12,26のうち何れか一方が輪状起毛からなり他方が鈎状起毛や茸状起毛からなるものが普及していて使い易い。そして、対をなす面ファスナ12と面ファスナ26とが両者のファスナ面を向かい合わせにして当接すると、両者の起毛同士が係合して面ファスナ12と面ファスナ26との間には引き剥がしにも横ずらしにも抗する当接状態維持力が作用するようになっている。
【0030】
仕切片20と仕切片50は(図1(a)〜(c),図2〜図5参照)、何れもトレー10の内底に装着されてトレー10の内部空間を仕切って複数の区画に分割する仕切部材であるが、単独でトレー10の内底の全域をカバーするほど大きなものではなく、複数・多数の仕切片20,50の分担部分を合わせることによりトレー10の内底で必要な範囲をカバーするものである(図7参照)。個々の仕切片20,50は(図2〜図5参照)、下面に面ファスナ26が貼り付けられていて、トレー10の内底の中敷部材11の面ファスナ12に対して面ファスナ26を当接させることにより、中敷部材11に装着され、中敷部材11を介してトレー10の内底に固定保持され、トレー10の内底に固定されてトレー10の内部空間を仕切ることで、担当する区画の一辺以上を画するものである。
【0031】
仕切片20は(図1〜図4参照)、右方向張出タイプ(図2参照)と左方向張出タイプ(図3参照)と左右両方向張出タイプ(図4参照)との3タイプを図示したが、何れも、仕切機能を担う仕切本来の要部である縦置き平板状の並立縦壁部分21,21と、それらの下端部を連結している横置き平板状の連結横板部分22とを具備している。並立縦壁部分21,21は、並立する二個の縦壁部分21が平行状態で(図では左右から)対向して一方向(図では前後)に延びているものであり、それらと横板部分22とが一体化して縦断面形状が凵字状の部分になっている。すなわち、仕切片20は、どのタイプも、縦断面形状が凵字状になっている部分21,21,22を具備しており(図2〜図4の(c)の散点部分を参照)、その縦断面形状凵字状部分21,21,22は、下部に横たわる連結横板部分22と、その両脇に直立する並立縦壁部分21,21とを具備している。
【0032】
また、どのタイプの仕切片20も(図2〜図4参照)、二個の並立縦壁部分21,21の一方の端部(図では後端)を連結している縦置き平板状の連結縦壁部分24を具備していて、それらを連ねた縦壁部分21,21,24に係る平面形状が冂字状になっている。すなわち、仕切片20は、どのタイプも、縦壁部分平面形状冂字状部分21,21,24を具備している(図2〜図4の(a)の散点部分を参照)。そして、このような仕切片20は、担当する区画の各辺のうち、対向二辺(図では前後に延びた左右の二辺)を二個の並立縦壁部分21,21が仕切り、その対向二辺の一端部を繋ぐ三番目の一辺(図では左右に延びた後方の一辺)を連結縦壁部分24が仕切るものとなっている。
【0033】
さらに、仕切片20は(図2〜図4参照)、二つの張出部分23,25も具備している。そのうち横板張出部分23は、横置き平板状の連結横板部分22を厚さ一定のまま面積を広げる形で拡張した横置き平板状の横板部分であり、縦壁張出部分25は、縦置き平板状の連結縦壁部分24をやはり厚さ一定のまま面積を広げる形で拡張した縦置き平板状の縦壁部分である。横板張出部分23と縦壁張出部分25の張出方向は、各タイプ内では同じであり、右方向張出タイプの仕切片20では(図2参照)、横板張出部分23も縦壁張出部分25も右へ同じ長さだけ張り出している。
【0034】
これに対し、左方向張出タイプの仕切片20では(図3参照)、横板張出部分23も縦壁張出部分25も左へ同じ長さだけ張り出しており、左右両方向張出タイプの仕切片20では(図4参照)、横板張出部分23も縦壁張出部分25も左右へ同じ長さだけ張り出している。それらの張出長が連結横板部分22の幅と同じになっている仕切片20を図示したが、仕切片20がトレー10の内底に安定支持されれば、張出長は、連結横板部分22の幅より短くても長くても良い。左右両方向張出タイプの仕切片20では、左右両側の張出部分23,25の張出長が左右では異なっていても良く、その左右の張出長の合計長が連結横板部分22の幅より短くなっていても良く長くなっていても良い。
【0035】
また、仕切片50は(図5参照)、縦断面形状L字状のものであり、上述した左方向張出タイプの仕切片20から中央の縦壁部分21を省いたものと同じになっている。すなわち、仕切片50は、仕切機能を担う仕切本来の要部である縦置き平板状の縦壁部分(先願の特許文献4では縦長部分とされた部分)と、その下端部から横方向に拡張された横置き平板状の横板部分(先願の特許文献4では横長部分とされた部分)とを具えている。縦壁部分には、並立縦壁部分21,21のうち残された端(図では左端)の縦壁部分21に相当するものと、それに直交する連結縦壁部分24及び縦壁張出部分25に相当する端(図では後端)のものとで、二個が含まれている。それらの各部は一体化していて、縦壁部分と横板部分との縦断面形状がL字状になっている。
【0036】
さらに(図6参照)、これらの仕切片20,50では、仕切片20の連結横板部分22も、仕切片20の横板張出部分23も、仕切片50の横板部分も、上面に、それぞれが担当するトレー10の区画に収容すべき薬品類8に係る機械読取用識別コード27と目視読取用薬品名28とが直接印刷あるいは印刷シール貼付などで付されており、機械読取用識別コード27を区画の内底に保持するコード保持手段となっている。機械読取用識別コード27は、薬品類8を特定するための符号であり、通常は他の調剤機等でも用いられている共通の薬品コードが使用される。具体的な印刷表示は、1Dや1.5Dのカラービットコードで行われ、カラープリンタを用いて例えば直線状や渦巻状の表示が使用できるようになっている。目視読取用薬品名28は、薬品類8を特定するための名称であり、明朝体やゴシック体といった目視読取可能な文字で印刷表示されている。
【0037】
後者の目視読取用薬品名28は、仕切片20の連結横板部分22や横板張出部分23さらには仕切片50の横板部分の上面のうち並立縦壁部分21,21の何れか一方に近い部分に付されているのに対し、前者の機械読取用識別コード27は、横板部分22,23等の上面のうち並立縦壁部分21,21から遠い部分に付されている。特に、連結横板部分22についてはその横幅が担当区画の横幅Wに完全一致するので、機械読取用識別コード27の横位置Pが該当区画の横幅Wのほぼ半分の所にされている(図6(a)〜(c)参照)。
【0038】
また、横板張出部分23についても、その横幅が単独で担当区画の横幅Wに完全一致または略一致する場合や(図6(a)〜(b)参照)、その横幅が左右から合わさって担当区画の横幅Wに完全一致または略一致する場合も(図6(c)参照)、機械読取用識別コード27の横位置Pが該当区画の横幅Wのほぼ半分の所にされている。
このような機械読取用識別コード27の横位置Pは、該当区画に薬品類8が収容されると、機械読取用識別コード27の全部または一部が薬品類8によって隠されて、該当区画から機械読取用識別コード27を機械読取できなくなる部位である。
【0039】
撮像装置30は(図1(e),(f)参照)、例えばCCDカメラが採用され、撮像方向を下にして机上面の上方に設置されており、机上の撮影範囲にトレー10が置かれると作動してそのトレー10を上から撮るものであるが、トレー10の内底に装着された仕切片20の連結横板部分22や横板張出部分23さらには仕切片50の横板部分の上面に付された機械読取用識別コード27がカラーで印刷されているので、その画像も的確に得られるよう、カラー撮影の可能なものが採用されている。
【0040】
検知装置40は(図1(e),(f)参照)、いわゆるノートパソコン等のプログラマブルな情報処理装置からなり、撮像装置30から画像データを入力して出力装置46に薬品類8の使用状況の集計結果等を出力するものであり、そのために、画像データ41とコードデータ42のデータ領域がメモリに割り付けられるとともに、読取プログラム43と判定プログラム44と集計プログラム45がインストールされている。
【0041】
画像データ41は、機械読取用識別コード27の付された仕切片20を内底に装着されたトレー10の薬品類セット面を撮像装置30で撮ったカラー画像であるが、この装置では特に使用済みトレー10を対象として撮った画像が使用されるようになっている。
コードデータ42は、機械読取用識別コード27を読み取るのに必要なパターン情報であり、1Dや1.5Dのカラービットコードを規定するデータが予め登録されている。
【0042】
読取プログラム43は、画像データ41が得られる度に、その画像データに対しコード切出やコード認識を試行して、その画像からコードデータ42を利用して機械読取用識別コード27を読み取るようになっている(例えば特許文献1,2参照)。
判定プログラム44は、読取プログラム43の識別コード読取結果に基づいて薬品類8の使用を検知するが、機械読取用識別コード27を読み取れたときには使用済みトレー10から該当の薬品類8が取り出されて使用されたと判定するようになっている。
【0043】
集計プログラム45は、判定プログラム44の判定結果から薬品類使用数量を剤種毎に計数するとともに、トレー単位や日時単位など適宜な基準で集計し、その計数結果や集計結果を出力装置46に出力するようになっている。
出力装置46は、薬品類の使用結果を視認可能な状態やデータ管理等の可能な状態で出力できるものであれば足り、検知装置40に付属のディスプレイでも良く、プリンタなどの印刷装置でも良く、電子データを在庫管理システムやピッキングシステム等へ送信する通信ユニットでも良い。
【0044】
この実施例1の薬品管理システムについて、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図1(a)〜(c)はトレー10の内部空間を仕切片20,50で仕切ってそこに薬品類8を収容し終えるまでのトレー10及び仕切片20や薬品類8の斜視図であり、図7は仕切済みトレー10の内底の平面図、図8は収容済みトレー10の内底の平面図である。また、図1(d)は、収容済みトレー10や使用済みトレー10をカート9で搬送しているところの斜視図であり、図1(e)は、使用済みトレー10から取り出された薬品類8を検査ユニット30+40で調べているところの斜視図である。
【0045】
この薬品管理システムは、基本的に院内薬局やナースセンター等の調剤場所に置かれ、トレー10に薬品類8を収容する作業や,トレー10から取り出された薬品類8を検査ユニット30+40で検知する処理も,調剤場所で行われるが、トレー10から薬品類8を取り出して使用するのは、通常、手術室など別の場所である。
その詳細を作業手順に従い、空のトレー10の内部空間の区画分け、仕切済みトレー10への薬品類8の収容、収容済みトレー10の搬出および使用済みトレー10の搬入、使用済み薬品類8の検知の順で、以下に述べる。
【0046】
先ず(図1(a)参照)、空のトレー10の内部空間を区画分けするために、空のトレー10の内底に中敷部材11を敷き、それに仕切片20や仕切片50を装着する作業を適宜繰り返して仕切済みトレー10を作り上げる(図1(b),図7参照)。そうすると、仕切済みトレー10の内部空間は、仕切片20の並立縦壁部分21,21と連結縦壁部分24と縦壁張出部分25と仕切片50の縦壁部分とで仕切られて、多数の区画室に分割される。各区画室は、平面視の形が矩形に近く、サイズの同じものを幾つか作るのも、サイズの異なるものを作るのも、配置の決定も、配置の変更も、仕切片20,50の着脱で簡単かつ迅速に行うことができる。
【0047】
例えば(図7参照)、横幅が並立縦壁部分21,21に挟まれた連結横板部分22で規定された細めの区画13や、左右両方向張出の仕切片20の片方の横板張出部分23で規定された最小幅の区画14、それと左両方向張出の仕切片20の横板張出部分23とを併せて規定された細めより少し広い区画15、仕切片50で規定された広めの区画16,17等を容易に作ることができるが、どのサイズの区画室についても、区画室の内底に含まれる機械読取用識別コード27と目視読取用薬品名28の組が各区画室に一組ずつになるよう、また機械読取用識別コード27がなるべく区画室の内底の中央に位置するよう、仕切片20,50の選択と向きに注意しながら、手術セット薬品といった収容予定の薬品類8に一対一で対応する区画室を作っておく。
【0048】
次に(図1(b)参照)、薬剤師や看護士などの調剤作業者が仕切済みトレー10の各区画室に一つずつ薬品類8を収容するが、調剤作業者は区画室内の機械読取用識別コード27及び目視読取用薬品名28の何れか一方または双方と薬品類8の識別コード及び薬品名の何れか一方または双方とが一致しているのを目視等で確認しながら収納すれば良いため、収納作業も容易かつ迅速に行うことができるので、手術セット薬品などの必要な薬品類8を区分収容した収容済みトレー10が素早く完成する(図1(c),図8参照)。
【0049】
そして(図1(d)参照)、完成した収容済みトレー10は一旦はカート9に積み込んでおき、次の仕切済みトレー10の作成とそれに対する薬品類8の収容とを繰り返して、次々に収容済みトレー10を完成させ、それらも次々にカート9に積み込む。それから、使用場所が同じか近い等のため纏めて一緒に搬送すると良い収容済みトレー10が総て揃うかタイムアウトしたようなときには、カート9を手術室などの使用場所へ移動させて薬品類8を使用させる。そして、収容していた多数の薬品類8のうち総てが又は一部が使用場所で取り出されて不使用の薬品類8だけが残っている使用済みトレー10は、搬出時のカート9か他のカート9に積み込んで搬送し、調剤場所に搬入する。
【0050】
それから(図1(e)参照)、調剤場所に戻って来た使用済みトレー10は、手術等で使用された薬品類8が取り出されて無くなっているので、直ちにでも後ほどでも良いが、薬品類使用状況確認のため人手で検査ユニット30+40の机上の撮影範囲に置く。
すると(図1(f)参照)、撮像装置30によって使用済みトレー10が上から撮られ、その画像データ41が検知装置40に取り込まれる。画像データ41には、仕切片20,50による区画割り状態と、各区画での薬品類収容状態とが、写っており、薬品類8の取り出された区画では機械読取用識別コード27が現われるが、薬品類8の残っている区画では機械読取用識別コード27が隠されている。
【0051】
画像データ41が入力されると、読取プログラム43によってコードデータ42に基づく機械読取用識別コード27の読取が行われ、判定プログラム44によって読取プログラム43の識別コード読取結果に基づいて薬品類8の使用が検知される。具体的には、画像データ41から識別候補領域が切り出されて、各切出領域で識別コード読取が試行され、機械読取用識別コード27が読み取れたときには、該当する薬品類8が使用されたと判定される。それから、集計プログラム45によって、判定プログラム44の判定結果に基づいて薬品類使用数量が剤種やトレー単位などで集計され、その集計結果が出力装置46から出力される。こうして、使用済みトレー10を人手で撮影範囲に置けば、後は自動で、使用済みトレー10が撮られ、そのトレー10から取り出して使用された薬品類8がトレー毎に把握されて、在庫や発注の管理にも利用される。使用状況の確認が済んだトレー10は、机上から他の保管棚などに移されて、再使用や変更に備えることとなる。
【0052】
[その他]
なお、上記実施例では、安価で手軽な当接面維持部材対の具体例として面ファスナが採用され、面ファスナ12が中敷部材11の上面に装着されていたが、面ファスナ12はトレー10の内底面に直に装着しても良く、そうすることにより中敷部材11を省くことができる。安価で手軽な当接面維持部材対の他の具体例としては永久磁石も挙げられる。トレー10の底板や中敷部材11を永久磁石にするとともに、仕切片20それぞれに永久磁石を嵌め込んだり仕切片20それぞれを永久磁石にするのも良いが、トレー10の底板側を永久磁石にすれば仕切片20は全部または下部に軟鉄を採用しても良い。仕切状態の安定化の観点からは磁気引力が強い方が望ましいのに対し、仕切り直しの容易化の観点からは磁気引力が弱い方が好ましいので、仕切り直し時には電磁石の上にトレー10を載置して一時的に磁気引力を弱めると仕切片の並べ直しが遣り易くなる。
【0053】
また、上記実施例では、使用済みトレー10を一つずつ撮影していたが、トレー10が小さくて撮像装置30の撮影範囲に複数並べて置ける場合は、複数のトレー10を纏めて一度に撮影するようにしても良い。
さらに、上記実施例では、検査ユニット30+40が机上に纏めて装備されていたが、検査ユニット30+40は、分散システムで具体化しても良く、既述したトレー内部一括撮像方式の薬品管理システム(特許文献3参照)のようにトレー搬送用カートなどに搭載しても良く、その既述システムと合体させても良い。
【0054】
また、上記実施例で、検知装置40は、画像データ41から機械読取用識別コード27を読み取れたときには直ちに該当する薬品類8の使用があったものと判定するようになっていたが、既述したトレー内部一括撮像方式の薬品管理システムの判定プログラムのように(特許文献3参照)、セットデータを参照した一致確認まで行うようにしても良い。例えば、登録モードでは判定プログラム44の結果をセットデータに登録する登録プログラムを検知装置40に追加インストールしておいて、仕切済みトレー10に薬品類8を収容する前に仕切済みトレー10を検査ユニット30+40で処理して機械読取用識別コード27の配置状態をセットデータに登録させることや、収容済みトレー10から薬品類8を取り出して使用する前に収容済みトレー10を検査ユニット30+40で処理して機械読取用識別コード27の配置状態をセットデータに登録させることで、使用済みトレー10の検査結果をセットデータに照らし合わせてチェックすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の薬品管理システムは、上述したような院内薬局向けシステムに限らず、手術室向けや,ICU向け,病棟向けなど種々の医療現場で使用することができる。
【符号の説明】
【0056】
8…薬品類、9…カート、
10…トレー、11…中敷部材、12…面ファスナ、
20…仕切片(縦断面形状凵字状・縦壁部分平面形状冂字状)、
21…並立縦壁部分、22…連結横板部分、23…横板張出部分、
24…連結縦壁部分、25…縦壁張出部分、26…面ファスナ、
27…機械読取用識別コード、28…目視読取用薬品名、
30…撮像装置(検査ユニット)、40…検知装置(検査ユニット)、
41…画像データ、42…コードデータ、43…読取プログラム、
44…判定プログラム、45…集計プログラム、46…出力装置、
50…仕切片(縦断面形状L字状)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬品類を収容するためのトレーと、前記トレーの内底に装着されて前記トレーの内部空間を仕切って複数の区画に分割する仕切と、前記区画に収容すべき薬品類の機械読取用識別コードを前記区画の内底に保持するコード保持手段と、前記トレーを上から撮る撮像手段と、その画像から前記機械読取用識別コードを読み取って前記薬品類の使用を検知する検知手段とを備えた薬品管理システムにおいて、対をなすものが当接すると対間に当接状態を維持しようとする当接状態維持力が作用する当接面維持部材対が設けられ、前記当接面維持部材対の一方が前記トレーの内底に直に又は前記トレーの内底に敷かれる平板状の中敷部材に装備され、前記当接面維持部材対の他方が前記仕切の下面または下部に装備され、前記仕切が前記当接面維持部材対の他方と共に各々は前記トレーの内底に並べられて前記区画の一辺または複数辺を画する複数の仕切片に分かれており、前記仕切片が下面を前記トレーの内底面または前記中敷部材の上面に当接させて前記当接面維持部材対の当接状態維持力にて前記トレーの内底に固定保持されるものであり、前記仕切片のうち一つは、並立する二個の並立縦壁部分とそれらの下端部を連結する一個の連結横板部分とを合わせて縦断面形状が凵字状になっている部分を含むとともに、前記連結横板部分を両脇のうち何れか一方または双方へ張り出させた横板張出部分を含んでおり、前記並立縦壁部分が対向二辺の仕切機能を果たし前記連結横板部分の上面が前記コード保持手段になっていることを特徴とする薬品管理システム。
【請求項2】
前記仕切片のうち凵字状の縦断面を持ったもののうち一つは、前記並立縦壁部分とその一端部を連結する連結縦壁部分とを合わせて平面形状が冂字状になっている縦壁部分を含むとともに、前記連結縦壁部分を前記連結横板部分の張出と同じ方向へ張り出させた縦壁張出部分を含んでいることを特徴とする請求項1記載の薬品管理システム。
【請求項3】
前記当接面維持部材対に面ファスナ及び永久磁石のうち何れか一方が採用されている又は双方が併用されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された薬品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−59563(P2013−59563A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201094(P2011−201094)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000151472)株式会社トーショー (156)
【Fターム(参考)】