説明

薬学的塩

【課題】薬学的活性物質と少なくとも一種の代用糖とを含有する薬学的塩、これらの塩を含有する薬剤の提供
【解決手段】(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールとサッカリン酸との薬学的塩。該塩は水中での前記塩の溶解度が250mg/ml(水)以下であり、ゲル剤、チューインガム、ジュース剤、スプレー剤、錠剤、咀嚼錠剤、コーティング錠剤、散剤、容易に還元可能な乾燥製剤の状態で調製される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性化合物と少なくとも一種の代用糖との薬学的塩、これらの塩を含有する薬剤、および、その薬剤を製造するためのこれらの塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
経口投与では、優れた活性を有する種々の薬学的活性化合物は、強い苦味、多くの場合には患者に吐き気を催させる味覚をもたらす。患者によっては、この不快な味を経験することにより、投与指導を守らなくなったり、摂取したとたんにこのような活性化合物を放出する薬剤を受け付けなくなったりする。
【0003】
水に対して非常に高い溶解度を有する、薬剤を与える薬学的活性化合物の製剤は、薬剤の応用において問題を頻繁に引き起こす。即ち、放出が調節された剤形の調製は、活性化合物の塩の水に対する溶解度が非常に高いために、度々、困難になる。実際のところ、これらの活性化合物の放出遅延化は、例えば、放出遅延性フィルムコーティングで、前記剤形をコーティングすることにより達成することができる。しかしながら、放出を遅延するこの方法は、水性コーティング系からの放出遅延性フィルムコーティングが、度々、水に対する非常に高い溶解度を有する活性化合物に対して不十分な拡散バリアに過ぎないため、割高である。したがって、これらの遅延放出性の活性化合物製剤の調製には、多層フィルムを用いた比較的複雑なコーティング工程が必要となる。その上、このような放出遅延性コーティングが有機溶媒から形成される場合には、想起される環境問題および溶媒残余の問題により、適切な製剤の調製はより高いものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、活性化合物の苦味がない薬学的組み合わせを得られるようにすることである。好ましくは、相当する活性化合物は、調製がより簡単であり、活性化合物の放出がより効果的に遅延されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、この目的は、薬学的活性化合物と少なくとも一種の代用糖とからの薬学的塩―即ち、生理学的に許容される塩―の提供により達成される。
【0006】
したがって、本発明は、薬学的活性化合物と少なくとも一種の代用糖との薬学的塩(但し、代用糖と、トラマドール、(+)−トラマドール、(−)−トラマドール、(+)−デメチルトラマドールおよび(−)−デメチルトラマドールとの各薬学的塩を除く)に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の薬学的塩の水への溶解度は、250mg/ml(水)以下、好ましくは200mg/ml以下、特に好ましくは150mg/ml以下、さらに特に好ましくは100mg/ml以下である。このことは特に、本発明の薬学的塩の水への溶解度をPharmazeutische Stoffliste[薬学的物質リスト(Pharmaceutical Substance List)]、第12版ABDATA Pharma-Daten-Service、65735 Eschborn/Taunus記載の対応する活性化合物の最も水溶性が高い塩の水に対する溶解度と比較すると、本発明の薬学的塩の水に対する溶解度は、それに対応する塩酸塩に比べて好ましくは少なくとも50%、好ましくは少なくとも65%、特に好ましくは少なくとも75%、さらに特に好ましくは少なくとも85%低いという事実にも見られる。ここに、当該文献の記載を参照として引用し、本開示の一部とみなす。
【0008】
本発明によると、適した代用糖は、少なくとも一価に負に荷電した状態を形成していて各薬学的活性化合物と塩を形成することができる全ての代用糖である。本発明によると、薬学的塩には、塩成分として、2種またはそれ以上の異なる代用糖を有する薬学的活性化合物も含まれる。好ましくは、本発明の薬学的塩は、塩形成性の代用糖として、サッカリン、シクラマートまたはアセスルファム、特に好ましくはサッカリンを含有する。
【0009】
本発明によると、適した活性化合物は、少なくとも一価に正に荷電した状態を形成していて各代用糖とアニオン状態の塩を形成することができるすべての薬学的活性化合物である。
【0010】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、本発明の薬学的塩中の塩形成性の活性化合物は、塩形成性の鎮痛薬、抗肥満薬、興奮薬、抗低酸素血症薬、抗リウマチ薬、オピオイド拮抗薬、駆虫薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬、抗生物質、抗痴呆薬(ヌートロピックス)、抗糖尿病薬、鎮吐薬、抗めまい薬、抗癲癇薬、血圧降下薬、血圧上昇薬(antihypotensives)、抗真菌薬、抗炎症薬、鎮咳薬、去痰薬、動脈硬化薬、β−レセプター阻害薬、カルシウムチャンネル阻害薬、気管支閉塞症薬(broncholytics)、抗喘息薬、コリン作用薬、利尿薬、循環促進薬(circulation-promoting agents)、離脱薬(weaning agents)、老衰薬(geriatrics)、催眠薬、鎮静薬、免疫調節薬、口腔治療薬、咽頭治療薬、冠動脈薬(coronary agent)、抗脂血症薬、局所麻酔薬、神経治療薬、胃薬、腸薬、偏頭痛薬、筋弛緩薬、麻酔薬、神経障害製剤(neuropathy preparations)、眼科用薬品(ophthalmologicals)、耳科用薬品(otologicals)、パーキンソン病薬、向精神薬、鼻科用薬品(rhinologicals)、副鼻腔炎薬、鎮痙薬、血小板凝集阻害薬、結核病薬、泌尿器科用薬品(urologicals)および細胞増殖抑制薬からなる群から選ばれる。特に好ましくは、前記塩形成性の活性化合物は、塩形成性の鎮痛薬、興奮薬、抗低酸素血症薬、抗アレルギー薬、抗不整脈薬、鎮吐薬、抗めまい薬、血圧降下薬、血圧上昇薬、鎮咳薬、去痰薬、β−レセプター阻害薬、カルシウムチャンネル阻害薬、眼科用薬品、耳科用薬品、鎮痙薬および泌尿器科用薬品からなる群から選ばれる。さらに特に好ましくは、前記塩形成性の活性化合物は、塩形成性の鎮痛薬(但し、トラマドール、(+)−トラマドール、(−)−トラマドール、(+)−デメチルトラマドールおよび(−)−デメチルトラマドールを除く)からなる群から選ばれる。
【0011】
前記薬学的活性化合物が塩形成性の鎮痛薬である場合には、それは好ましくは塩形成性のオピオイドまたは塩形成性のオピオイド類似体―例えば、E.Friderichs、T.Christoph、H.Buschmann、"Analgesics and Antipyretics"; Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版CD−ROM、Wiley-VCH、Weinheim、2000、または、Pharmaceuticals、J.L. McGuire(Editor)、Analgesics and Antipyretics、第2巻、341−434頁、Wiley-VCH、Weinheimに記載されているごときもの―、あるいは、エフェドリン、クロロキン、リドカイン、エタベリン、プレグルメタシンまたはトリフルプロマジンである。ここに、当該開示を参照として引用し、本開示の一部とみなす。特に好ましくは、前記塩形成性の鎮痛薬は、モルヒネ、コデイン、エチルモルヒネ、ジアセチルモルヒネ、ジヒドロコデイン、エトルフィン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レボルファノール、オキシコドン、オキシモルフォン、ペチジン、ケトベミドン、フェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、サフェンタニル、レボメタドン、レボメタジル、デキストロ−モラミド、デキストロプロポキシフェン、ジフェノキシレート、ピリ−トラミド、チリジン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾジン(dezozine)、メプタジノール、ナルブフィン、ナロルフィン、ペンタゾ−シン、フルピルチンおよびネフォパムからなる群から選ばれるか、あるいは、エフェドリン、クロロキン、リドカイン、エタベリン、プレグルメタシンおよびトリフルプロマジンからなる群の代表である。さらに特に好ましくは、前記塩形成性の鎮痛薬は、モルヒネ、コデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、チリジン、フェンタニルおよびブプレノルフィンからなる群から選ばれる塩形成性のオピオイドまたはオピオイド類似体である。
【0012】
同様に好ましくは、前記塩形成性の活性化合物は、一般式I:
【0013】
【化1】

【0014】
[ここで、
XはOH、F、Cl、HまたはOCOR基であり、
はC1−4−アルキル基であり、
はHまたはC1−4−アルキル基であり、RはHまたは直鎖のC1−4−アルキル基であり、あるいは、基Rおよび基Rは一緒にC4−7−シクロアルキル基を形成し、
がHである場合には、Rはメタ−O−Z〔ここで、ZはH、C1−3−アルキル、PO(O−C1−4−アルキル)、CO(OC1−5−アルキル)、CONH−C−(C1−3−アルキル)、または、CO−C−R〔ここで、Rはオルト−OCOC1−3−アルキルまたはメタ−もしくはパラ−のCHN(R〔ここで、RはC1−4−アルキルまたは4−モルホリノ〕〕〕であり、または、Rはメタ−S−C1−3−アルキル、メタ−Cl、メタ−F、メタ−CR1011〔ここで、R、R10およびR11はHまたはF〕、オルト−OH、オルト−O−C2−3−アルキル、パラ−Fまたはパラ−CR1011〔ここで、R、R10およびR11はHまたはF〕であり、あるいは、Rがパラ−Cl、−F、−OHまたは−O−C1−3−アルキルの場合には、Rはメタ−Cl、−F、−OHまたは−O−C1−3−アルキルであり、あるいは、RおよびRは一緒に3,4−OCH=CH−または3,4−OCH=CHO−であり、RはC1−3−アルキルである]
で表され、ラセミ体もしくはジアステレオマー的に純粋な鏡像異性体として可能な立体異性体の状態で、または、各鏡像異性体が非等モル量で存在する鏡像異性体混合物の状態である1−フェニル−3−ジメチルアミノプロパン化合物の塩形成性の化合物である。
【0015】
一般式Iの1−フェニル−3−ジメチルアミノプロパン化合物の塩形成性の化合物であって、XはOH、F、ClまたはHであり、RはC1−4−アルキル基であり、RはHまたはCHであり、RはHまたはCHであり、RがHである場合には、Rはメタ−O−C1−3−アルキル、メタ−OH、メタ−S−C1−3−アルキル、メタ−F、メタ−Cl、メタ−CH、メタ−CFH、メタ−CFまたはパラ−CFであり、あるいは、Rがパラ−Clまたは−Fである場合には、Rはメタ−Clまたは−Fであり、あるいは、RおよびRは一緒に3,4−OCH=CH−であるものが好ましい。
【0016】
一般式Iの1−フェニル−3−ジメチルアミノプロパン化合物の塩形成性の化合物であって、基Rおよび基Rが異なる意味を持ち、それらの化合物が立体配置Ia:
【0017】
【化2】

【0018】
を有するジアステレオマーの状態で存在するものが特に好ましい。
【0019】
前記一般式Iの1−フェニル−3−ジメチルアミノプロパン化合物の塩形成性の化合物であって、(1RS,2RS)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)フェノール、(−)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノール、(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノール、(2RS,3RS)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタン−3−オール、(−)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−1−フルオロ−2−メチルプロピル)フェノール、(+)−(1R,2R)−3−(3−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)フェノール、(+)−(2R,3R)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタン−3−オールおよび(−)−(2S,3S)−1−ジメチルアミノ−3−(3−メトキシフェニル)−2−メチルペンタン−3−オールからなる群から選ばれるものが非常に特に好ましい。
【0020】
前記一般式Iの1−フェニル−3−ジメチルアミノプロパン化合物の塩形成性の化合物の調製および、適切な場合には、光学的に純粋な対掌体への分離は当業者に知られている通常の方法により行うことができる。好ましくは、調製および、適切な場合には分離は、DE-A-4426245またはEP 0 693 475 B1に記載されているようにして行われ、それらを参照としてここに引用し、本開示の一部とみなす。
【0021】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、本発明の薬学的塩が、塩形成性の活性化合物として、一般式II:
【0022】
【化3】

【0023】
[ここで、
1’はH、OH、ClまたはF、好ましくはH、OHまたはFであり、
2’およびR3’は同一または異なり、H、C1−4−アルキル、ベンジル、CF、OH、OCH−C、O−C1−4−アルキル、ClまたはF―但し、基R2’または基R3’の少なくとも一つはHである―であり、
4’はH、CH、PO(O−C1−4−アルキル)、CO(OC1−5−アルキル)、CO−NH−C−C1−3−アルキル、CO−C−R5’、CO−C1−5−アルキル、CO−CHR6’−NHR7’、または、非置換もしくは置換のピリジル基、チエニル基、チアゾイル基もしくはフェニル基であり、
5’はオルト位のOC(O)C1−3−アルキルまたはメタ位もしくはパラ位のCHN(R8’〔ここで、R8’はC1−4−アルキルであるか、または、両方の基R8’はNと一緒に4−モルホリノ基である〕であり、
6’およびR7’は同一または異なり、HまたはC1−6−アルキルであり、
但し、R2’およびR3’の両方の基がHである場合には、R1’がH、OHまたはClであるときにR4’はCHではなく、あるいは、R1’がOHのときにR4’はHではない]
で表され、ラセミ体もしくはジアステレオマー的に純粋な鏡像異性体として可能な立体異性体の状態で、または、各鏡像異性体が非等モル量で存在する鏡像異性体混合物の状態である6−ジメチルアミノメチル−1−フェニルシクロヘキサン化合物の塩形成性の化合物である。
【0024】
前記一般式IIの6−ジメチルアミノメチル−1−フェニルシクロヘキサン化合物の塩形成性の化合物であって、一般式IIa:
【0025】
【化4】

【0026】
[ここで、フェニル環およびジメチルアミノメチル基は、各場合において、互いにエクアトリアル位置に配置されている]
の立体配置で存在するものが好ましい。
【0027】
(−)−(1R,2R)−3−(2−ジメチルアミノメチルシクロヘキシル)フェノール、(1RS,3RS,6RS)−6−(ジメチルアミノメチル)−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールおよび(1RS,3RS,6RS)−6−(ジメチルアミノメチル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールからなる群から選ばれる、前記一般式IIの6−ジメチルアミノメチル−1−フェニルシクロヘキサン化合物の塩形成性の化合物が特に好ましい。
【0028】
前記一般式IIの6−ジメチルアミノメチル−1−フェニルシクロヘキサン化合物の塩形成性の化合物の調製および、適切な場合には、前記の光学的に純粋な対掌体への分離は、当業者に知られている通常の方法により行うことができる。好ましくは、調製および、適切な場合には分離は、DE-A-19525137に記載されているようにして行われる。当該文献の記載をここに参照として引用し、本開示の一部とみなす。
【0029】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、本発明の薬学的塩は、塩形成性の活性化合物として、一般式III:
【0030】
【化5】

【0031】
[ここで、各場合において、
AはOまたはSであり、
1’’はH、C1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C5−7−シクロアルキルまたはハロゲン化C1−6−アルキルであり、基:
【0032】
【化6】


は、
【0033】
【化7】


、または、
【0034】
【化8】


であり、
2’’はC1−6−アルキル、C2−6−アルケニル、C5−7−シクロアルキルメチル、置換もしくは非置換のフェニル、または、置換もしくは非置換のベンジルである]
で表され、ラセミ体もしくはジアステレオマー的に純粋な鏡像異性体として可能な立体異性体の状態で、または、各鏡像異性体が非等モル量で存在する鏡像異性体混合物の状態である1−フェニル−2−ジメチルアミノメチルシクロヘキサン−1−オール化合物の塩形成性の化合物である。
【0035】
前記一般式IIIの1−フェニル−2−ジメチルアミノメチルシクロヘキサン−1−オール化合物の塩形成性の化合物であって、
1’’は、H、C1−4−アルキル、2’−メチル−2’−プロペニル、シクロペンチルまたはフルオロエチル―但し、AがSである場合には、R1’’はC1−4−アルキルである―であり、
2’’は、C1−4−アルキル、C2−4−アルケニル、シクロペンチルメチル、フェニル、C1−4−アルコキシフェニル、ベンジル、C1−4−アルキルベンジル、モノ−もしくはジハロゲン化フェニルまたはモノ−もしくはジハロゲン化ベンジルであるものが好ましい。
【0036】
前記一般式IIIの1−フェニル−2−ジメチルアミノメチルシクロヘキサン−1−オール化合物の塩形成性の化合物であって、
1’’は、H、メチル、エチル、イソプロピル、2’−メチル−2’−プロペニル、シクロペンチルまたはフルオロエチル―但し、AがSである場合には、R1’’はメチルである―であり、
2’’は、メチル、プロピル、2’−メチルプロピル、アリル、2’−メチル−2’−プロペニル、シクロペンチルメチル、フェニル、3−メトキシフェニル、ベンジル、4−tert−ブチルベンジル、4−クロロベンジル、4−フルオロベンジルまたは3,4−ジクロロベンジルであるものが特に好ましい。
【0037】
前記一般式IIIの1−フェニル−2−ジメチルアミノメチルシクロヘキサン−1−オール化合物の塩形成性の化合物であって、式IIIa:
【0038】
【化9】

【0039】
[ここで、フェニル環およびジメチルアミノメチル基は、各場合において、互いにエクアトリアル位置に配置されている]
の立体配置で存在するものが非常に特に好ましい。
【0040】
(+)−(1R,2R,4S)−2−(ジメチルアミノメチル)−4−(4−フルオロベンジルオキシ)−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノール、(+)−(1R,2R,4S)−2−ジメチルアミノメチル−4−(4−クロロベンジルオキシ)−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサノールおよび(+)−(1R,2R,4S)−3−[2−ジメチルアミノメチル−4−(4−フルオロベンジルオキシ)−1−ヒドロキシシクロヘキシル]フェノールからなる群から選ばれる、前記一般式IIIの1−フェニル−2−ジメチルアミノメチルシクロヘキサン−1−オール化合物の塩形成性の化合物が最も好ましい。
【0041】
前記一般式IIIの1−フェニル−2−ジメチルアミノメチルシクロヘキサン−1−オール化合物の塩形成性の化合物の調製および、適切な場合には光学的に純粋な対掌体への分離は、当業者に知られている通常の方法により行うことができる。好ましくは、調製および、適切な場合には分離は、DE-A-19547766に記載されているようにして行われ、それをここに参照として引用し、本開示の一部とみなす。
【0042】
本発明のもう一つの好ましい実施形態では、前記薬学的塩は、塩形成性の活性化合物として、一般式IV:[ここで、
【0043】
【化10】

【0044】
基R1’’’はC1−5−アルキルであり、R2’’’はHまたはC1−5−アルキルであり、あるいは、R1’’’およびR2’’’は一緒に−(CH2−4−、−(CH−CHR7’’’または−CH−CHR7’’’−CH−であり、
3’’’はHまたはC1−5−アルキルであり、
4’’’はH、OH、C1−4−アルキル、O−C1−4−アルキル、O−ベンジル、CF、O−CF、Cl、FまたはOR8’’’であり、
5’’’はH、OH、C1−4−アルキル、O−C1−4−アルキル、O−ベンジル、CHF、CF、O−CF、Cl、FまたはOR8’’’であり、
6’’’はH、OH、C1−4−アルキル、O−C1−4−アルキル、O−ベンジル、CF、O−CF、Cl、FまたはOR8’’’―但し、基R4’’’、基R5’’’または基R6’’’の二つはHである―であり、あるいは、
4’’’およびR5’’’は一緒に−CH=C(R9’’’)−O−または−CH=C(R9’’’)−S− ―但し、R6’’’はHである―であり、あるいは、
5’’’およびR6’’’は一緒に−CH=CH−C(OR10’’’)=CH− ―但し、R4’’’はHである―であり、
7’’’はC1−8−アルキル、C3−8−シクロアルキル、O−C1−4−アルキル、O−ベンジル、CF、ClまたはFであり、
8’’’はCO−C1−5−アルキル、PO(O−C1−4−アルキル)、CO−C−R11’’’、CO(O−C1−5−アルキル)、CO−CHR12’’’−NHR13’’’、CO−NH−C−(R14’’’または非置換もしくは置換のピリジル基、チエニル基、チアゾイル基もしくはフェニル基であり、
9’’’はHまたはC1−4−アルキルであり、
10’’’はHまたはC1−3−アルキルであり、
11’’’はオルト位のOC(O)−C1−3−アルキルまたはメタ位もしくはパラ位のCH−N−(R15’’’〔ここで、R15’’’はC1−4−アルキルであり、または、両方の基R15’’’はNと一緒に4−モルホリノ基を形成する〕であり、
12’’’およびR13’’’は同一または異なり、H、C1−6−アルキルまたはC3−8−シクロアルキル、あるいは、R12’’’およびR13’’’は一緒に−(CH3−8−であり、
14’’’はH、OH、C1−7−アルキル、O−C1−7−アルキル、フェニル、O−アリール、CF、ClまたはF―但し、2つの基R14’’’は同一または異なる―である]
で表され、ラセミ体もしくはジアステレオマー的に純粋な鏡像異性体として可能な立体異性体の状態で、または、各鏡像異性体が非等モル量で存在する鏡像異性体混合物の状態であるジメチル−(3−アリールブト−3−エンイル)アミン化合物の塩形成性の化合物である。
【0045】
前記一般式IVのジメチル−(3−アリールブト−3−エンイル)アミン化合物の塩形成性の化合物であって、
1’’’はC1−3−アルキルであり、R2’’’はHまたはC1−3−アルキルであり、あるいは、R1’’’およびR2’’’は一緒に−(CH2−4−または−(CH−CHR7’’’であり、
3’’’はHまたはC1−3−アルキルであり、
4’’’はH、OH、CF、Cl、FまたはOR8’’’であり、
5’’’はH、OH、C1−4−アルキル、O−C1−4−アルキル、O−ベンジル、CHF、CF,Cl、FまたはOR8’’’であり、
6’’’はH、OH、O−C1−4−アルキル、O−ベンジル、CF、Cl、FまたはOR8’’’―但し、基R4’’’、基R5’’’または基R6’’’の二つはHである―であり、あるいは、
4’’’およびR5’’’は一緒に−CH=C(R9’’’)−O−または−CH=C(R9’’’)−S− ―但し、R6’’’はHである―であり、あるいは、
5’’’およびR6’’’は一緒に−CH=CH−C(OR10’’’)=CH− ―但し、R4’’’はHである―であり、
7’’’はC1−4−アルキル、CF、ClまたはF
であるものが好ましい。
【0046】
前記一般式IVのジメチル−(3−アリールブト−3−エンイル)アミン化合物の塩形成性の化合物であって、
1’’’はCHまたはCであり、R2’’’はH、CHまたはCHCHであり、あるいは、R1’’’およびR2’’’は一緒に−(CH2−3−または−(CH−CHR7’’’であり、
3’’’はH、CHまたはCHCHであり、
4’’’はHまたはOHであり、RはH、OH、OCH、CHFまたはOR8’’’であり、RはH、OHまたはCF―但し、基R4’’’、基R5’’’または基R6’’’の二つはHである―であり、あるいは、
4’’’およびR5’’’は一緒に−CH=C(CH)−S− ―但し、R6’’’はHである―であり、あるいは、
5’’’およびR6’’’は一緒に−CH=CH−C(OH)=CH− ―但し、R4’’’はHである―であり、
8’’’はCO−C−R11’’’〔ここで、R11’’’はオルト位のOC(O)−C1−3−アルキルである〕であるものが特に好ましい。
【0047】
前記一般式IVのジメチル−(3−アリールブト−3−エンイル)アミン化合物の塩形成性の化合物であって、
1’’’はCHであり、R2’’’はHまたはCHであり、あるいは、R1’’’およびR2’’’は一緒に−(CH2−3−または−(CH−CH(CH)−であり、
3’’’はHまたはCHであり、
4’’’はHであり、R5’’’はOHまたはOR8’’’であり、R6’’’はHであり、R8’’’はCO−C−R11’’’〔ここで、R11’’’はオルト位のOC(O)−CHである〕であるものが非常に特に好ましい。
【0048】
前記一般式IVのジメチル−(3−アリールブト−3−エンイル)アミン化合物の塩形成性の化合物が、トランス−(−)−(1R)−3−[1−(2−ジメチルアミノ−1−メチルエチル)プロペニル]フェノールであることが最も好ましい。
【0049】
前記一般式IVのジメチル−(3−アリールブト−3−エンイル)アミン化合物の塩形成性の化合物の調製および、適切な場合には光学的に純粋な対掌体への分離は、当業者に知られている通常の方法により行うことができる。好ましくは、これらの化合物の調製および、適切な場合には分離は、EP 0 799 819 Alに記載されているようにして行われる。当該文献の記載をここに参照として引用し、本開示の一部とみなす。
【0050】
塩形成性の抗肥満薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはD−ノルプソイドエフェドリン、フェニルプロパノールアミン、アンフェプラモン、メフェノレックスまたはエフェドリンを含有することができる。
【0051】
塩形成性の興奮薬および/または抗低酸素血症薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはノルフェネフリン、ヘプタミノールまたはアメジニウム、特に好ましくはアメジニウムを含有することができる。
【0052】
塩形成性のオピオイド拮抗薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはレバロルファン、ナロキソンまたはナルトレキソンを含有することができる。
【0053】
塩形成性の駆虫薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはピルビニウムを含有することができる。
【0054】
塩形成性の抗アレルギー薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはレプロテロール、トリプロリジン、ヒドロキシジン、アゼラスチン、ジフェンヒドラミン、プロメタジン、フェニルアミン、デキスクロルフェニラミン、クレマスチン、トラマゾリン、ブロムフェニルアミン、ジメチンデン、レボカバスチン、ドキシルアミン、シプロヘプタジン、カルビノキサミン、メクロジン、バミピン、クロルフェノキサミン、ケトチフェンまたはセチリジン、特に好ましくはジフェンヒドラミンを含有することができる。
【0055】
塩形成性の抗不整脈薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはオルシプレナリン、アプリンジン、ベラパミール、メトプロロール、キニジン、アミオダロン、ソタロール、プロパフェノン、ジルチアゼム、ジソピラミド、プロプラノロール、イパトロピウム、メキシレチン、プラジュマリン、プロカインアミド、ガロパミル、プロパフェノン、デタジュミウム、フレカイニド、オクスプレノロールまたはトカイニド、特に好ましくはベラパミールまたはジルチアゼムを含有することができる。
【0056】
塩形成性の抗生物質として、本発明の薬学的塩は、好ましくはバンコマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、ミノサイクリン、リンコマイシン、バカンピシリン、アミカシン、クロルテトラサイクリン、ネオマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシン、キニン、クロロキン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、コリスチン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、セフェタメトピボチル(cefetametpivotil)、アマンタジン、ハロファンタリン、サキナビル、メフロキン、フラミセチン、セフェピム、ブロムフェキシン、セフポドキシメプロキセチル(cefpodoximeproxetil)、オキシテトラサイクリン、プログアニル、ペフロキサシン、ポリミキシンB、ヒドロキシクロロキン、スペクチノマイシン、スルタミシリン、バラシクロビルまたはグレパフロキサシンを含有することができる。
【0057】
抗痴呆薬(ヌートロピックス)として、本発明の薬学的塩は、好ましくはブタラミン、メマンチン、ピリチノール、ドネペジル、モキサベリン、メクロフェノキセート、ジヒドロエルゴトキシン、ビキジル、ナフチドロフリル、ジヒドロエルゴコルニン、ジヒドロエルゴクリスチン、ベンジクラン、プロカイン、デアモール、ジイソプロピルアミンまたは3−ピリジルメタノールを含有することができる。
【0058】
塩形成性の抗糖尿病薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはメトホルミンを含有することができる。
【0059】
塩形成性の鎮吐薬および/または抗めまい薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはベタヒスチジン、ドラセトロン、メクロジン、ヒドロキシシン、ジフェンヒドラミン、ピリドキシン、グラニセトロン、トリフルプロマジン、トリエチルペラジン、ベタヒスチン、アリザプリドまたはオダンセトロン、特に好ましくはジフェンヒドラミンを含有することができる。
【0060】
塩形成性の抗癲癇薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはチアガビンを含有することができる。
【0061】
塩形成性の血圧降下薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはジヒドララジン、プラゾシン、アミロリド、ブナゾシン、ニカルジピン、アルプレノロール、カンデサルタンシレキセチル、メトプロロール、ベラパミール、プロプラノロール、ペンブトロール、ドキサゾシン、クロニジン、ベナゼプリル、フェノキシベンズアミン、ジルチアゼム、ジイソプロピルアミン、ウラピド、カルテオロール、グアネチジン、グアンファシン、テラゾシン、オクスプレノロール、シクレタニン、ベタキソロール、ネビボロール、アセブトロール、シクレタニン、ベタキソロール、ネビボロール(nebivolol)、アセブトロール、エナラプリルまたはインドールアミン、特に好ましくはベラパミールまたはジルチアゼムを含有することができる。
【0062】
塩形成性の血圧上昇薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはエチルエフリン、フォレドリン、ノルフェネフリン、カフェドリン、セオドレナリン、オキシロフリン(oxilofrine)、ドブタミン、ドーパミン、フェニルエフリン、ミドドリン、ヘプタミノール、オキセドリン、酒石酸塩、フォレドリンまたはゲペフリン、特に好ましくはフェニルエフリンを含有することができる。
【0063】
塩形成性の抗真菌薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはベンズアルコニウム、エコナゾール、ミコナゾール、メチルロザニリニウム、テルビナフィン、アモロルフィン、フェンチコナゾール、デクアリニウム、オキシコナゾール、クロコナゾール、イソコナゾールまたはセルタコナゾールを含有することができる。
【0064】
塩形成性の抗炎症薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはオルフェナドリンを含有することができる。
【0065】
塩形成性の鎮咳薬および/または去痰薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアンブロキソール、ドキシサイクリン、ブロムヘキシン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、テルブタリン、クロルフェナミン、エプラジノン、エフェドリン、クロルブチノール、ペントキシベリン、ピパゼテートまたはベンプロペリン、特に好ましくはジフェンヒドラミンを含有することができる。
【0066】
塩形成性の動脈硬化薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはブタラミンを含有することができる。
【0067】
β−レセプター阻害薬および/またはカルシウムチャンネル阻害薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアセブトロール、ニカルジピン、アルプレノロール、メトプロロール、ベラパミール、エナラプリル、ブプラノロール、ペンブトロール、プロプラノロール、ビソプロロール、エスモロール、セリプロロ−ル、ベナゼプリル、ジルチアゼム、メピンドロール、ソタロール、カルテオロール、ガロパミルまたはオクスプレノロール、特に好ましくはベラパミールまたはジルチアゼムを含有することができる。
【0068】
塩形成性の気管支閉塞症薬および/または抗喘息薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはケトチフェン、レプロテロール、オルシプレナリン、サルブタモール、テルブタリン、エフェドリン、ツロブテロール、イパトロピウム、フェノテロール、テルブタリン、ホルモテロール、サルブタモール、オキシトロピウムまたはピルブテロールを含有することができる。
【0069】
塩形成性のコリン作用薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはピリドスチグミン、ベタネコールまたはネオスチグミンを含有することができる。
【0070】
塩形成性の利尿薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアミロリドまたはオクスプレノロールを含有することができる。
【0071】
塩形成性の循環促進薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはブタラミン、ナフチドロフリル、ブフロメジル、モキサベリン、ベンシクランまたはメクロフェノキセートを含有することができる。
【0072】
塩形成性の離脱薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはナルトレキソン、メタドン、ブプレノルフィンを含有することができる。
【0073】
塩形成性の老衰薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはプロカインまたはデアノレース(deanolace)を含有することができる。
【0074】
塩形成性の催眠薬および/または鎮静薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはプロメタジン、酒石酸ゾルピデム、ミダゾラム、メルペロンまたはフルラゼパムを含有することができる。
【0075】
塩形成性の免疫調整薬として、本発明の前記薬学的塩が、好ましくはレバミゾールを含有することができる。
【0076】
塩形成性の口腔および/または咽頭の治療薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはクロルヘキシジンまたはセチルピリジニウムを含有することができる。
【0077】
塩形成性の冠動脈薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはオキシフェドリンを含有することができる。
【0078】
塩形成性の抗脂血症薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはコレスチポールを含有することができる。
【0079】
塩形成性の局所麻酔薬および/または神経治療薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、ロピバカイン、プロカイン、アルチカインまたはプリロカインを含有することができる。
【0080】
塩形成性の胃薬および/または腸薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはピゾチフェン、ピレンゼピン、ロキサチジン、ラニチジン、ブチノリン、メタンテリニウムまたはメトクロプラミドを含有することができる。
【0081】
塩形成性の偏頭痛薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはリスライド、メチセルジド、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、スマトリプタン、リザトリプタンまたはナラトリプタンを含有することができる。
【0082】
塩形成性の筋弛緩薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアルクロニウム、ミバクロニウム、アトラクリウム、ベクルミウム(vecurmium)、パンクルミウム(pancurmium)、スキサメトニウム、トルペリゾン、プリジノール、オーフェナドリンまたはチザミジンを含有することができる。
【0083】
塩形成性の麻酔薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはケタミンまたはミダゾランを含有することができる。
【0084】
塩形成性の神経障害製剤として、本発明の薬学的塩は、好ましくはチアミンを含有することができる。
【0085】
塩形成性の眼科用薬品および/または耳科用薬品として、本発明の薬学的塩は、好ましくはオキシブプロカイン、プロキシメタカイン、カナマイシン、トラゾリン、テトラヒドロゾリン、トラマゾリン、フェニレフリン、キシロメタゾリ(xylomethazoli)、ナファゾリン、チモロール、メチプラノロール、ベタキゾロール、ベフノロール、レボブノロール、ブリモニジン、クロニジン、ピロカルピン、ジピベフリン、アセクリジン、アプラクロニジン、ネオスチグミン、ドルゾラミド、アトロピン、スコポラミン、シクロペントレートまたはホモトロピン、特に好ましくはフェニルエフリンを含有することができる。
【0086】
塩形成性のパーキンソン病薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアマンタジン、ビペリデン、セレジリン、ブロモクリプチン、トリヘキシフェニジル、メトリキセン、ベンザセリド、リスリド、ベンザトロピン、ロピニロール、ペルゴリド、ブピジン、プロシクリジン、プラミペキソール、ボマピンまたはチアプリドを含有することができる。
【0087】
塩形成性の向精神薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはトラニルシプロミン、アミトリプチリン、ドキセピン、マプロチリン、クロミプラミン、オピプラモール、イミプラミン、トリミプラミン、ロフェプラミン、デシプラミン、ジベンゼピン、ノルトリプチリン、ミアンセリン、シタロプラン、フルボキサミン、フルオキセチル(fluoxetil)、トラゾドン、パロキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、ビロキサシン、ベンラファキシン、プロメタジン、クロルプロチキセン、ズクロペンチキソール、ピパンペロン、フルフェナジン、フルペンチキソール、メルペロン、プロチペンジル、チオリダジン、レボメプロマジン、クエチアピン、トリフルプロマジン、ペラジン、フェネチリン、メチルフェニデート、ヒドロキシシン、ブスピロン、デアノレースまたはメマンチンを含有することができる。
【0088】
塩形成性の鼻科用薬品/副鼻腔炎薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはジフェニルピラリン、キシロメタゾリン、オキシメタゾリン、トラマゾリン、インダナゾリン、ナファゾリンまたはテトリゾリンを含有することができる。
【0089】
塩形成性の鎮痙薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアトロピン、フェナマジド、ブチルスコポラミニウム、プロピベリン、メベベリン、ピペンゾレート、オキシブチニン、フラボキセート、トロスピウム、デナベリンまたはグリコピロニウムを含有することができる。
【0090】
塩形成性の血小板凝集阻害薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはチロフィバン、チクロピジンまたはクロピドグレルを含有することができる。
【0091】
塩形成性の結核病薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはエタンブトールを含有することができる。
【0092】
塩形成性の泌尿器科用薬品として、本発明の薬学的塩は、好ましくはコリン、トルテロジン、フェノキシベンズアミン、アトロピン、プロピベリン、ジスチグミン、エメプロニウム、タンスロシン、ドキサゾシン、テラゾシン、アルフゾシン、バメタン、ヨヒンビンまたはシルデナフィルを含有することができる。
【0093】
塩形成性の細胞増殖抑制薬として、本発明の薬学的塩は、好ましくはアクラルビシン、ニムスタチン(nimustatin)、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、デカルバジン、ビンデシン、エピルビシン、ゲムシタビン、プロカルバジル、ミトキサントロン、ベダムスチン(bedamustine)、イダルビシン、アクラルビシン、イリノテカン、トポテカン、トレミフェンまたはタモキシフェンを含有することができる。
【0094】
本発明の薬学的塩は、当業者に知られている通常の方法により調製することができる。好ましくは、本発明の薬学的塩の調製のために、前記各活性化合物の少なくとも一種の塩と前記各代用糖の少なくとも一種の塩とを、各場合において、それぞれ別々に、できるだけ少量の溶媒または混合溶媒中に、場合により温めながら、溶解させる。
【0095】
次いで、両方の溶媒を組み合わせ、場合により混合し、場合により冷却する。前記活性化合物と前記代用糖との本発明の薬学的塩が、前記で場合により冷却された溶液から少なくとも部分的に析出する場合には、これは通常の方法により、好ましくは吸引濾過により分離される。次いで、前記で分離された薬学的塩は、必要な場合には、当業者に知られている通常の方法、例えば再結晶、洗浄または適した溶媒中で攪拌することにより精製される。
【0096】
それでもなお前記薬学的塩が完全に析出してこない場合には、前記の残りの溶液は、好ましくはロータリーエバポレーター中で完全に濃縮され、本発明の薬学的塩が当業者に知られている通常の方法により、前記残渣から抽出され、以下に記載されているようにして精製される。
【0097】
各場合において、調製および適した反応条件―例えば、温度または反応時間等―に適した溶媒または混合溶媒は、当業者による簡単な先行試験により、決定することが可能である。前記活性化合物の塩と前記代用糖の塩の両方が、水に対して十分な溶解度を有する場合には、使用される溶媒は水であることが好ましい。使用される各活性化合物の塩は、好ましくはその塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、硫酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩またはメチル硫酸塩である。使用される各代用糖の塩は、好ましくはそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩またはアンモニウム塩である。
【0098】
当然ながら、前記の各活性化合物自体を代用糖の遊離酸と適した反応媒体中で相互に反応させ、単離し、適切な場合には、当業者に知られている通常の方法により、こうして得られた薬学的塩を精製することができる。
【0099】
本発明のもう一つの目的は、本発明による少なくとも一種の薬学的塩、および、適切な場合には生理学的に許容される添加物を含有する薬剤である。
【0100】
好ましくは、塩形成性のオピオイド、オピオイド類似体、エフェドリン、クロロキン、リドカイン、エタベリン、プレグルメタシンもしくはトリフルプロマアジン(triflupromaazine)または上記の一般式I、II、IIIもしくはIVの塩形成性の化合物と代用糖との本発明の少なくとも一種の薬学的塩を含有する本発明の薬剤が、痛みの抑制のために用いられる。好ましくは、本発明の薬剤が、これらの活性化合物の薬学的塩として、対応するサッカリン酸塩を含有する。
【0101】
尿失禁の治療のために、上記の一般式I、II、IIIもしくはIVの塩形成性の化合物またはオキシブチミン、トルテロジン、プロピベリンおよびトロスピウムからなる群から選ばれる化合物と代用糖との少なくとも一種の薬学的塩を含有する本発明の薬剤が好ましく用いられる。好ましくは、本発明の薬剤が、該活性化合物の薬学的塩として、対応するサッカリン酸塩を含有する。
【0102】
本発明の薬剤は、固形、半固形または液状で存在することができる。本発明の薬剤は、経口投与に好適である。
【0103】
好ましい実施形態では、本発明の薬剤は、ゲル剤、チューインガム、ジュース剤、スプレー剤、錠剤、咀嚼錠剤、コーティング錠剤、散剤―適切な場合にはカプセルに詰められる―、または、容易に還元可能な乾燥製剤として、好ましくはゲル剤として、水性もしくは油性のジュース剤として、舌下のスプレー剤、錠剤もしくは咀嚼錠剤として調製され、存在する。
【0104】
同様に好ましくは、本発明の薬剤が多粒子形態、好ましくはマイクロタブレット剤、マイクロカプセル剤、顆粒剤、活性化合物の結晶もしくはペレット剤の形、特に好ましくはマイクロタブレット剤、顆粒剤もしくはペレット剤―場合により、カプセルに詰められるか、または、圧縮して錠剤とする―の形で調製され、存在することもできる。
【0105】
本発明の薬剤が顆粒剤またはペレット剤の形で存在する場合には、これらは好ましくは0.1〜3mmの範囲、特に好ましくは0.5〜2mmの範囲のサイズを有することができる。
【0106】
本発明の薬剤がマイクロタブレット剤の形で存在する場合には、これらは好ましくは0.5〜5mmの範囲、特に好ましくは1〜3mmの範囲、さらに特に好ましくは1〜2mmの範囲の直径を有することができる。
【0107】
本発明の薬剤が、活性化合物の結晶、マイクロ粒子、マイクロペレット剤またはマイクロカプセルの形で存在する場合には、これらは好ましくは10μm〜1mmの範囲、特に好ましくは15μm〜0.5mmの範囲、さらに特に好ましくは30μm〜200μmの範囲の直径を有することができる。
【0108】
実施形態により、本発明の薬剤は、別の成分として、当業者に知られている通常の生理学的に許容される添加物をさらに含有することもできる。
【0109】
本発明の薬剤が錠剤またはマイクロタブレット剤の形で存在する場合には、これらは生理学的に許容される添加物、好ましくは微結晶性セルロース、セルロースエーテル、ラクトース、スターチ、スターチ誘導体、糖アルコール、リン酸水素カルシウムならびに当業者に知られている通常の結合剤、流動性調整剤(flow regulator)、滑沢剤および/または崩壊剤として存在することができる。
【0110】
本発明の薬剤がゲル剤またはチューインガムの形で存在する場合には、これらは生理学的に許容される添加物として、好ましくはメチルパラベン、プロピルパラベン、キシリトールおよび/またはキサンタンのガムを含有することができる。
【0111】
本発明の薬剤がペレット剤、顆粒剤またはマイクロペレット剤の形で存在する場合には、これらは生理学的に許容される添加物として、好ましくは微結晶性セルロース、セルロースエーテル、ラクトース、スターチおよびスターチ誘導体、糖アルコール、リン酸水素カルシウム、脂肪アルコール、グリセロールのエステルまたは脂肪酸エステルを含有することができる。
【0112】
本発明の薬剤がマイクロカプセル剤またはマイクロ粒子の形で存在する場合には、それらの調製のために用いられる工程の性質によっては、これらは当業者に知られている通常の生理学的に許容される添加物を含有することができる。
【0113】
本発明の薬剤は、当業者に知られている通常の方法により調製することができる。
【0114】
本発明の薬剤が錠剤の形で存在する場合には、好ましくは本発明の薬学的塩、および適切な場合には、前記生理学的に許容される添加物は、好ましくはもう一方と均一に混合され、湿式、乾式もしくは融解の顆粒形成により顆粒剤が製造され、圧縮して錠剤とされ、または前記薬学的塩と更なる添加物との直接タブレット化により製造される。
【0115】
ペレット剤の形である本発明の薬剤は、好ましくは前記薬学的塩と生理学的に許容される添加物とを混合し、押し出し成形し、球状化することによるか、植込ペレット化(build-up pelletization)することによるか、または、直接ペレット化することにより、高速ミキサー中もしくは回転式流動層中で、製造することができる。前記ペレット剤は、特に好ましくは、湿った塊を押し出し成形し、続いて球状化することにより調製される。
【0116】
マイクロカプセル剤は、通常のマイクロカプセル化の工程、例えば、スプレー乾燥、スプレー固化またはコアセルベーション等により調製される。
【0117】
半固形の本発明の薬剤―例えば、ゲル剤またはチューインガム等―は、口腔粘膜を介する本発明の薬剤の投与に好適であり、固形または液状の本発明の薬剤―例えば、油性もしくは水性のジュース剤、錠剤または多粒子形態等―は、胃管を介する本発明の薬剤の投与に好適である。固形の本発明の薬剤からの活性化合物の吸収が胃管を経由してのみされる予定である場合には、それらは少なくとも一種の腸溶性コーティングを有していなければならない。この腸溶性コーティングにより、それらの活性化合物は胃管を不溶のまま通過することができ、前記薬学的塩は腸管内でのみ放出される。好ましくは、前記腸溶性コーティングは5〜7.5の間のpHで溶解するものである。
【0118】
本発明の薬剤は、本発明の薬学的塩を部分的または完全な遅延放出形態でも含有することができる。
【0119】
活性化合物の放出遅延化は、放出遅延性コーティングの形成、放出遅延性マトリックスへの埋め込み、イオン交換樹脂への結合またはこれら上述の放出遅延化の方法の組み合わせに基づくことが好ましい。
【0120】
好ましくは、前記放出遅延性コーティングは、水不溶性の、場合により改質された天然もしくは合成のポリマー、または、天然、半合成もしくは合成のワックスもしくは脂肪または脂肪アルコール、または、これら上述の成分の少なくとも二種の混合物である。
【0121】
放出遅延性コーティングの調製のためにコーティング材料として使用される水不溶性ポリマーは、好ましくは、ポリ(メタ)アクリレート、特に好ましくは、ポリ(C1−4)アルキル(メタ)アクリレート、ポリ(C1−4)ジアルキルアミノ−(C1−4)アルキル(メタ)アクリレートおよび/またはそれらのコポリマー、さらに特に好ましくは、2:1のモノマーのモル比を有するエチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー、1:2:0.1のモノマーのモル比を有するエチルアクリレート/メチルメタクリレート/トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドコポリマー、1:2:0.2のモノマーのモル比を有するエチルアクリレート/メチルメタクリレート/トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドコポリマー、または、これら上述のポリマーの少なくとも二種の混合物である。
【0122】
これらのコーティング材料は、30重量%strengthの水性ラテックス分散液として、Eudragit RS30D(登録商標)、Eudragit NE30D(登録商標)およびEudragit RL30D(登録商標)の名称で市販されており、そのままでコーティング材料としても好適に使用される。
【0123】
同様に好ましくは、本発明の薬剤のための前記放出遅延性コーティングの調製のために使用される前記水不溶性ポリマーは、ポリビニルアセテート、場合によっては更なる添加物との組み合わせであってもよい。これらは、27重量%のポリビニルアセテートと、2.5重量%のポビドンと、0.3重量%の硫酸ラウリルナトリウム(Kollicoat SR30D(登録商標))とを含有する水性分散液として市販されている。
【0124】
もう一つの好ましい実施形態では、コーティング材料として、本発明の薬剤の前記放出遅延性コーティングは、水不溶性セルロース誘導体、好ましくはアルキルセルロース―例えば、エチルセルロース等―または、セルロースエステル―例えば、セルロースアセテート等―に基づく。エチルセルロースまたはセルロースアセテートのコーティングは、好ましくは水性の擬似ラテックス分散液から形成される。水性のエチルセルロース擬似ラテックス分散液は、30重量%strength分散液(Aquacoat(登録商標))または25重量%strength分散液(Surelease(登録商標))として市販されており、そのままでコーティング材料としても好ましく使用される。
【0125】
天然、半合成または合成のワックス、脂肪または脂肪アルコールとして、本発明の薬剤中に前記放出遅延性コーティングが、好ましくはカルナウバワックス、蜜蝋、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノベヘネート(Compritol ATO888(登録商標))、グリセロールジトリパルミトステアレート(Precirol AT05(登録商標))、微結晶性ワックス、セチルアルコール、セチルステアリルアルコールまたはこれらの成分の少なくとも二種の混合物を含有することができる。
【0126】
前記放出遅延性コーティングが水不溶性の、場合により改質された天然および/または合成のポリマーに基づく場合には、前記コーティングの分散液または溶液は、対応するポリマーのほかに、当業者に知られている通常の生理学的に許容される可塑剤を、必要な最低フィルム温度(minimum film temperature)を低下させるために含有することができる。
【0127】
適した可塑剤は、例えば、C−C40の脂肪族もしくは芳香族のジカルボン酸とC−Cの脂肪族アルコールとの脂肪親和性ジエステル―例えば、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルセバケートもしくはジエチルセバケート等―、クエン酸の親水性もしくは脂肪親和性のエステル―例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリブチルシトレートもしくはアセチルトリエチルシトレート等―、ポリアルキレングリコール―例えば、ポリエチレングリコールもしくはプロピレングリコール等―、グリセロールのエステル―例えば、トリアセチン、Myvacet(登録商標)(アセチル化モノ−もしくはジグリセリド、C23〜C25)、中鎖トリグリセリド(Miglyol(登録商標))等―、オレイン酸または上述の可塑剤の少なくとも二種の混合物である。
【0128】
好ましくは、Eudragit RS(登録商標)と、場合によりEudragit RL(登録商標)の水性分散液が、可塑剤としてトリエチルシトレートを含有する。
【0129】
好ましくは、前記放出遅延性コーティングが、前記可塑剤を、使用したポリマー基準で5〜50重量%、特に好ましくは10〜40重量%、さらに特に好ましくは10〜30重量%の量含有する。
【0130】
各場合において、例えばセルロースアセテートに対して、より多量の可塑剤―セルロースアセテート量基準で好ましくは110重量%まで―を使用することもできる。
【0131】
その上、前記放出遅延性コーティングは、当業者に知られている更なる通常の添加物、例えば、滑沢剤、好ましくはタルクもしくはグリセロールモノステアレート等、着色顔料、好ましくは酸化鉄もしくは二酸化チタン、または界面活性剤(例えば、Tween 80(登録商標)等)等を含有することができる。
【0132】
前記の遅延された活性化合物成分の放出特性は、当業者に知られている通常の方法により―例えば、前記コーティングの厚さにより、または、前記コーティング成分としての更なる添加物の使用により―、調節することができる。適した添加物は、例えば、親水性もしくはpH依存性の孔形成剤―例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ラクトース、ポリエチレングリコールもしくはマンニトール等―または、水溶性ポリマー―例えば、ポリビニルピロリドンもしくは水溶性セルロース等―であり、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはヒドロキシプロピルセルロースである。
【0133】
前記放出遅延性コーティングは、不溶性または脂肪親和性の添加物―例えば、アルキル化ケイ素(例えば、Aerosil R972(登録商標)として市販されている)もしくはステアリン酸マグネシウム等―を、遅延をさらに促進するために含有することもできる。
【0134】
本発明の薬剤の各々の調製は、場合により、前記放出性コーティングの他に、少なくとも一種のコーティングをさらに有することもできる。これは、例えば、味を改良するための更なるコーティングまたは腸溶性コーティングであってもよい。
【0135】
前記腸溶性コーティングは、1:1の各モノマーのモル比を有するメタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit L(登録商標))、1:2の各モノマーのモル比を有するメタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit S(登録商標))、1:1の各モノマーのモル比を有するメタクリル酸/エチルアクリレートコポリマー(Eudragit L30D-55(登録商標))、7:3:1の各モノマーのモル比を有するメタクリル酸/メチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー(Eudragit FS(登録商標))、シェラックヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートフタレート、または、これら上述の成分の少なくとも二種の混合物であって、場合により上述の水不溶性のポリ(メタ)アクリレートと組み合わせて、好ましくはEudragit NE30D(登録商標)および/またはEudragit RL(登録商標)および/またはEudragit RS(登録商標)と組み合わせて使用することができるものに基づくことが好ましい。
【0136】
前記コーティングは、各コーティングに適しており、当業者に知られている通常の工程により―例えば、溶液、分散液もしくは懸濁液をスプレーすることによるか、融解工程によるか、または、粉末適用工程によるか―形成することができる。前記の溶液、分散液もしくは懸濁液は、水性および/または有機の溶液もしくは分散液の形態で使用することができる。この文脈においては、水性分散液が好ましく使用される。好ましく使用することができる有機溶媒は、アルコール―例えば、エタノールもしくはイソプロパノール―、ケトン―例えば、アセトン等―、エステル―例えば、エチルアセテート―、塩素化炭化水素―例えば、ジクロロメタン等―であり、アルコールまたはケトンが特に好ましく使用される。上述の溶媒の少なくとも二種の混合物を使用することもできる。
【0137】
前記薬剤が多粒子形態で存在し、前記活性化合物が少なくとも部分的には遅延形態で放出されるべき場合には、放出遅延性コーティングが形成されることが好ましく、その結果、前記活性化合物の塩を含有する多粒子形態は、調製後に、対応するポリマー、ならびに適切な場合には他の活性化合物および/または同じ活性化合物の塩、ならびに適切な場合にはさらに水性および/もしくは有機の媒体、好ましくは水性媒体からの生理学的に許容される添加物が、流動層工程によりコーティングされ、該コーティングは好ましくは通常の温度で流動層中で同時に乾燥され、適切な場合には必要に応じてアニールされる。
【0138】
好ましくは、前記コーティングの乾燥は、ポリ(メタ)アクリレートコーティングに対して、30〜50℃の範囲、特に好ましくは35〜45℃の範囲の送風温度で行われる。
【0139】
セルロースに基づくコーティング―例えば、エチルセルロースまたはセルロースアセテート等―に対しては、乾燥は好ましくは50〜80℃の範囲、特に好ましくは55〜65℃の範囲の温度で行われる。
【0140】
ワックスコーティングは、融解コーティングにより流動層中で形成され、該コーティング後に、完全に固化させるために各融解範囲未満の温度で冷却することにより形成されることが好ましい。ワックスコーティングの形成は、有機溶媒中でそれらの溶液にスプレーすることによって行うこともできる。
【0141】
前記活性化合物の放出特性を改質するために、本発明の薬剤は、放出遅延性マトリックス―好ましくは均一に分散されたそれ―中でも放出が遅延されるべき前記薬学的塩を含有することができる。
【0142】
使用することができるマトリックス材料は、生理学的に許容される親水性材料であって、当業者に知られているものである。好ましくは、使用される前記親水性マトリックス材料はポリマーであり、特に好ましくはセルロースエーテル、セルロースエステルおよび/またはアクリル樹脂である。さらに特に好ましくは、使用される前記マトリックス材料は、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸および/またはそれらの誘導体―例えば、それらの塩、アミドもしくはエステル等―である。
【0143】
疎水性材料から作られたマトリックス材料、例えば、疎水性ポリマー、ワックス、脂肪、長鎖脂肪酸、脂肪アルコールまたは適切なエステルもしくはエーテル、あるいは、上述の材料の少なくとも二種の混合物が同様に好ましい。特に好ましくは、使用される疎水性材料はC12−C13−脂肪酸のモノ−もしくはジグリセリドおよび/またはC12−C30−脂肪アルコールおよび/またはワックス、あるいは、上述の材料の少なくとも二種の混合物である。
【0144】
上述の親水性および疎水性の材料の混合物を、放出遅延性マトリックス材料として使用することも可能である。
【0145】
前記放出遅延性マトリックスは、当業者に知られている通常の方法により調製することができる。
【0146】
本発明のもう一つの目的は、本発明の少なくとも一種の薬学的塩の使用および、適切な場合には、薬剤を製造するための生理学的に許容される添加物の使用である。対応する薬剤を、各活性化合物に対して知られている症状の治療のために使用することができる。
【0147】
塩形成性のオピオイド、オピオイド類似体、エフェドリン、クロロキン、リドカイン、エタベリン、プレグルメタシン、トルフルプロマジン(truflupromazine)または上述の一般式I、II、IIIもしくはIVの塩形成性の化合物の少なくとも一種の薬学的塩を、痛みの抑制のための薬剤を製造するために使用することが好ましく、使用されるこれらの活性化合物の塩はそれらのサッカリン酸塩であることが好ましい。
【0148】
上述の一般式I、II、IIIもしくはIVの塩形成性の化合物の少なくとも一種の薬学的塩の使用を、尿失禁の治療のための薬剤を製造するために使用することは同様に好ましく、使用されるこれらの活性化合物の塩はそれらのサッカリン酸塩が好ましい。
【0149】
患者に投与される各薬学的塩の合計量は、例えば、その患者の重量、痛みまたは疾患の症状または度合いの程度により変化する。所望の効果を達成するために、これらがどの程度の量投与されるべきかは、各活性化合物の特性の観点から、当業者に知られている。
【0150】
薬学的活性化合物と代用糖との本発明の薬学的塩は、これらの活性化合物の従来一般に使用されていた塩と比較して、水に対する溶解度が低い点で区別される。好ましくは、これらは各活性化合物のサッカリン酸塩であって、その水溶解度が通常250mg/ml以下であり、対応する活性化合物の従来の塩の水溶解度と比較して、通常少なくとも50%低いものである。
【0151】
この方法により、薬剤を与えるこれらの薬学的塩の調製―例えば、押し出し成形による顆粒の調製―も単純化される。その変化した溶解度のために、本発明の薬学的塩によって、さらに通常の遅延化工程を用いた前記活性化合物のより効果的な放出遅延化が可能となる。したがって、本発明のこれらの薬学的塩を含有する遅延放出性の薬剤は、より簡単にかつより安価に製造することができる。これは本発明の薬剤のその他の改質―例えば、腸溶性コーティング等―にも当てはまる。
【0152】
その上、本発明の薬剤―それは、口腔粘膜または胃管を介して前記各薬学的塩を投与するために使用される―から、放出遅延性マトリックスおよび/または放出遅延性コーティングを使用せずに、しかしながら適切な場合には腸溶性コーティングがされて、前記各活性化合物が十分にコントロールされた放出が達成される。
【0153】
さらに、経口投与の形態の本発明の薬剤―それは、投与するや否や、または、投与した直後に、前記各活性化合物を放出する―は、それらの大変苦い、または、吐き気を催させる味が、前記代用糖を同時に放出することにより相殺されるという利点を有する。したがって、患者の投与指導を守ろうとする気持ちは改善し、そして、前記各活性化合物を塩として含有する前記薬剤はずっと受けつけられ易くなる。その上、本発明の薬剤は糖尿病薬にも適している。
【0154】
種々の上述の活性化合物に対する従来の活性化合物の塩の水溶解度―例えば、Pharmazeutische Stoffliste[薬学的物質リスト(Pharmaceutical Substance List)]、第12版ABDATA Pharma-Datan-Service、65735、Eschborn/Taunus―は知られている。当該開示を参照としてここに引用し、本開示の一部とみなす。
【0155】
活性化合物の塩の水溶解度が未知である場合には、それは以下に示す方法―その方法により、本発明の薬学的塩の水溶解度も測定されてきた―により測定することができる。
【0156】
透明の材料―例えば、ガラスまたはプラスチック等―から作られた透明で無色の容器に、イオンフリーの水1mlまたはそのフラクション(量A(ml))を20℃の温度で導入する。次いで、マグネチック攪拌棒で攪拌している間に、試験されることとなっている従来の活性化合物の塩または本発明の薬学的塩を一部添加した。
【0157】
添加した塩Bの量(mg)が完全に溶解したら、更なる量の前記各塩を徐々に添加した。各々の更なる添加を記録し、その溶液の挙動を観察した。適した背景を背にして不溶の塩による最初の濁りが見えたらすぐに、攪拌をさらに10分間継続した。続いて不溶の成分が残った場合には、使用した物質の合計量C(mg)を測定した。攪拌中に透明の溶液が再び生じたら、不溶の塩による最初の濁りが残るまで、さらに少量の前記各塩を添加し、そして、各場合において、その混合物を10分間再び攪拌した。次いで、過剰な量の不溶の物質を少量の水を添加することにより攪拌しながら溶液に導入した。透明な溶液が得られた後に、使用した水の合計量D(ml)を測定した。次いで、水1mlあたりの前記各塩の溶解度を次式:
【0158】
【数1】


にしたがって計算した。
【0159】
前記各塩の塩化した量B(mg)がすぐに溶解せず、濁りを生じた場合には、その塩を添加した後に、その混合物をさらに10分間攪拌した。それでもなお不溶の塩が残る場合には、攪拌しながら少量の水を加えることにより溶液に導入した。透明な溶液が得られた後に、使用した水の合計量E(ml)を測定した。次いで、水1mlあたりの前記各塩の溶解度を次式:
【0160】
【数2】


にしたがって計算した。
【0161】
本発明は、例を用いて以下で説明される。これらの説明は一例に過ぎず、一般的な発明概念を制限するものではない。
【実施例】
【0162】
例:
例1:
調製およびそれに続いて光学的に純粋な化合物(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノールの分離は、DE-A-4426245により行った。当該開示の対応部分をここに参照として引用し、本開示の一部とみなす。
【0163】
(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノールサッカリン酸塩の調製のために、(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノール塩酸塩2.58g(10mmol)と、サッカリンナトリウム二水和物2.42g(10mmol)を、いずれの場合も、できるだけ少量の水に、温めながら完全に溶解した。次いで、両方の溶液を相互と攪拌しながら混合し、一晩、涼しい場所に放置した。析出した(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノールサッカリン酸塩を上澄み母液から分離し、エタノールで精製し、通常の方法により単離した。
【0164】
例2:
ジフェンヒドラミンサッカリン酸塩の調製のために、ジフェンヒドラミン塩酸塩5.0g(17.1mmol)と、サッカリンナトリウム二水和物4.13g(17.1mmol)を、それぞれ、できるだけ少量の水に、温めながら、完全に溶解した。次いで、両方の溶液をもう一方と攪拌しながら混合し、一晩、涼しい場所に放置した。析出したジフェンヒドラミンサッカリン酸塩を上澄み原液から分離し、エタノールで精製し、通常の方法により単離した。
【0165】
例3:
ベラパミールサッカリン酸塩の調製のために、ベラパミール塩酸塩415mg(0.845mmol)と、サッカリンナトリウム二水和物204mg(0.845mmol)を、それぞれ、できるだけ少量の水に、温めながら、完全に溶解した。次いで、両方の溶液をもう一方と攪拌しながら混合し、一晩、涼しい場所に放置した。析出したベラパミールサッカリン酸塩を上澄み原液から分離し、エタノールで精製し、通常の方法により単離した。
【0166】
例4:
モルヒネサッカリン酸塩の調製のために、モルヒネ塩酸塩三水和物285mg(0.76mmol)と、サッカリンナトリウム二水和物183mg(0.76mmol)を、それぞれ、できるだけ少量の水に、温めながら、完全に溶解した。次いで、両方の溶液をもう一方と攪拌しながら混合し、一晩、涼しい場所に放置した。析出したモルヒネサッカリン酸塩を上澄み原液から分離し、エタノールで精製し、通常の方法により単離した。
【0167】
例5:
経口用ゲルの調製のために、メチルパラベン0.33gと、プロピルパラベン0.05gと、キシリトール75.0gとを初めに純水198.0gに80℃の温度で溶解し、次にその混合物を40℃に冷却した。次いで、初めに例2により得られたジフェンヒドラミンサッカリン酸塩0.94g、次にキサンタンガム2gを攪拌しながら添加し、攪拌を1時間継続し、蒸発した水を置換した。20〜25℃の温度に冷却した後、その混合物を攪拌しながら、Tutti-Frutti 9/008897(Dragoco Gerberding & Co. AG, 37603 Holzminden)0.625gを用いて味付けした。
【0168】
例6:
細分したチューインガムの塊(Popeye Amural Confections, Yorkville, Illinois, USA)5gをファンタ皿(Fanta dish)中で30〜40℃の温度に温めた。次いで、例2により得られたジフェンヒドラミンサッカリン酸塩187.9mgを前記粘性チューインガムのの中に乳棒を用いて導入した。次いで、その均一な塊を各々1g分となるようにテフロン化された鋳型に分配した。
【0169】
味試験は、ジフェンヒドラミンサッカリン酸塩を含有する前記チューインガムが、素晴らしい味を最初に有し、比較的長時間噛んだ後でさえもなお楽しめるということを示した。
【0170】
例7:
水性ベースのジュース剤の調製のために、メチルパラベン0.33gと、プロピルパラベン0.05gと、キシリトール75.0gを、純水199.22g中に80℃の温度で溶解した。その混合物を40℃に冷却し、そして例1により得られた(+)−(1S,2S)−3−(3−ジメチルアミノ−1−エチル−2−メチルプロピル)フェノールサッカリン酸塩78.5mgを攪拌しながら添加した。次いで、キサンタンガム0.25gを添加し、1時間攪拌を継続し、蒸発した水を置換した。20〜25℃の温度に冷却した後、オレンジ−マンダリンフレーバー10888-56(Givaudan Roure Flavors Ltd. CH 8600 Duebendorf)0.075gと共に攪拌しながら、その混合物に味付けした。
【0171】
例8:
この例では、対応する活性化合物のある薬学的塩および従来の塩の水溶解度を、上述の方法により測定した。したがって、得られた水溶解度の値を下記の表1に示す。
【0172】
表1:
これらの活性化合物の、本発明のある薬学的塩および対応する従来の塩の水溶解度である。各場合において使用した従来の塩を括弧内に示す。
【0173】
【表1】

【0174】
【表2】

【0175】
表1による溶解度の値から見られるように、前記各活性化合物のサッカリン酸塩の溶解度は、対応する従来の活性化合物の塩と比較して低い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールとサッカリンとの薬学的塩。
【請求項2】
請求項1に記載の薬学的塩であって、水中での前記塩の溶解度が250mg/ml(水)以下であることを特徴とする上記薬学的塩。
【請求項3】
(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールのサッカリン酸塩、および生理学的に許容される添加物を含有する薬剤。
【請求項4】
(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールのサッカリン酸塩を含有する痛みの抑制のための薬剤。
【請求項5】
(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールのサッカリン酸塩を含有する尿失禁の抑制のための薬剤。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の薬剤であって、それがゲル剤、チューインガム、ジュース剤、スプレー剤、錠剤、咀嚼錠剤、コーティング錠剤、散剤、容易に還元可能な乾燥製剤の状態で調製されて存在することを特徴とする上記薬剤。
【請求項7】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の薬剤であって、それが多粒子形態で調製されて存在することを特徴とする上記薬剤。
【請求項8】
前記塩が少なくとも部分的には遅延放出形態で存在することを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項9】
請求項8に記載の薬剤であって、放出遅延化が放出遅延性コーティング、放出遅延性マトリックスへの埋め込み、イオン交換樹脂との結合、または、これらの方法の少なくとも二種の組み合わせにより行われることを特徴とする上記薬剤。
【請求項10】
請求項9に記載の薬剤であって、前記遅延放出性コーティングが水不溶性の、天然もしくは合成のポリマーに基づくか、または、天然、半合成もしくは合成のワックスもしくは脂肪または脂肪アルコールまたはこれらの成分の少なくとも二種の混合物に基づくことを特徴とする上記薬剤。
【請求項11】
請求項9に記載の薬剤であって、前記マトリックスが親水性マトリックス材料に基づくことを特徴とする上記薬剤。
【請求項12】
請求項9に記載の薬剤であって、前記マトリックスが疎水性マトリックス材料に基づくことを特徴とする上記薬剤。
【請求項13】
請求項3〜12のいずれか1項に記載の薬剤であって、それが保護コーティングを有することを特徴とする上記薬剤。
【請求項14】
痛みを抑制するための薬剤の製造のための、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールのサッカリン酸塩の使用。
【請求項15】
尿失禁を治療するための薬剤の製造のための、(1RS,3RS,6RS)−6−ジメチルアミノメチル−1−(3−メトキシフェニル)シクロヘキサン−1,3−ジオールのサッカリン酸塩の使用。

【公開番号】特開2011−79843(P2011−79843A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257524(P2010−257524)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【分割の表示】特願2002−567284(P2002−567284)の分割
【原出願日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(502231188)グリューネンタ−ル・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (7)
【Fターム(参考)】