説明

薬液吸上部材

【課題】 薬液容器内の薬液を揮散部に吸い上げるための薬液吸上部材であって、薬液を残渣無く効率よく吸い上げることができ、美観を高め得る薬液吸上部材を提供する。
【解決手段】 薬液吸上部材1は、容器2底側に配置される側の端部を少なくとも2以上に分岐させた可撓性を有する分岐片1aと、分岐片1aの先端部から揮散部3へ薬液を毛管現象によって吸い上げるように薬液吸上部材1の少なくとも一部に形成された吸上部と、を有することとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭剤、芳香剤、防虫剤、除菌剤、殺虫剤等の薬液を吸い上げるための薬液吸上部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の薬液吸上部材としては、硬質のものとしてファイバーを寄せ集めたもの、或いは、軟質のものとして不織布、濾紙、糸状の樹脂等が使用されている(例えば特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特開昭62−164466号公報
【特許文献2】特開平2−200137号公報
【特許文献3】特開平4−308501
【特許文献4】実公昭62−2047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の薬液容器の容器底部は一般に強度確保のために中心部が内方へ凸で周縁部が凹の形状をしており、容器底部の周縁凹所に薬液が残り易いが、従来の薬液吸上部材において、硬質の薬液吸上部材は、その下端が容器底部の中央部に位置し、容器底部の周縁凹所に残った薬液を吸い上げることが出来ず、他方、軟質の薬液吸上部材では、その先端を容器の底部周縁凹所に到達させることにより該周縁凹所の薬液を吸い上げることができるが、周縁凹所を残らず吸い上げるためには薬液吸上部材をその先端が周縁凹所に嵌るように細くしていた。しかしながら、従来では通常は一箇所で吸い上げるため、薬液吸上部材を細くすると、吸上効率が低下するという問題があった。この吸上効率の低下は、薬液が減って、吸い上げるべき高さが高くなるに従い、顕著となる。また薬液容器を傾いた設置面に置くと、薬液が溜まっている部分に薬液吸上部材が接触していないと、さらに薬液が残るという問題があった。
【0004】
また、特に消臭剤や芳香剤等の容器では美観が重要視されることが多いが、薬液吸上部材を細くして目立たないようにしようとしても、薬液吸上部材が容器主体の美観を損なう場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、薬液を残渣無く効率よく吸い上げることのできる薬液吸上部材を提供することを主たる目的とする。
【0006】
また、本発明は、美観を損なわない構成とすることのできる薬液吸上部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る薬液吸上部材は、薬液容器内の薬液を揮散部に吸い上げるための薬液吸上部材であって、容器底側に配置される側の端部を少なくとも2以上に分岐させた可撓性を有する分岐片と、該分岐片の先端部から前記揮散部へ薬液を毛管現象によって吸い上げるように該薬液吸上部材の少なくとも一部に形成された吸上部を有することを特徴とする。
【0008】
前記薬液吸上部材は、透明なプラスチック材料によって形成されていることが好ましい。前記薬液吸上部材は1つであってもよいし、複数あってもよい。
【0009】
前記吸上部は、薬液吸上部材の表面に形成された筋状溝によって構成されていることが好ましい。
【0010】
また、前記筋状溝は、該筋状溝上の分岐点において分岐して、前記分岐片の各々に延びていることが好ましい。前記筋状溝の分岐点は、前記分岐片の近傍に配置されていることが好ましい。
【0011】
前記薬液吸上部材は、容器底部の内周縁等に存在する凹部に到達するように配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る薬液吸上部材によれば、容器底側に配置される側の端部を少なくとも2以上に分岐させた可撓性を有する分岐片が、毛管現象によって薬液を吸い上げるので、複数箇所から薬液を吸い上げることができ、残渣なく、効率良く吸い上げることが出来る。
【0013】
また、薬液吸上部材を透明なプラスチック材料によって形成することにより、美観を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本願発明に係る薬液吸上部材の実施形態について、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、全図及び全実施形態を通じて、同様の構成部分には同符号を付した。
【0015】
図1は、薬液吸上部材1が収容された消臭剤入り容器2を示している。薬液吸上部材1は、薬液容器2内の薬液Lを、容器口部に配置した揮散部3へ毛管作用によって吸い上げる働きをする。揮散部3は、吸い上げた薬液を一定期間保持し、揮発させ得るものであれば良く、例えば、不織布等で形成された公知の揮散部を採用することができる。なお、図1の符号4はキャップを示す。
【0016】
薬液吸上部材1は、容器2底側に配置される側の端部を少なくとも2以上に分岐させた可撓性を有する分岐片1aを有している。また、薬液吸上部材1は、図2に示すように、分岐片1aの先端部から揮散部3へ薬液Lを毛管現象によって吸い上げるように薬液吸上部材1の少なくとも一部に形成された吸上部5を有している。
【0017】
薬液吸上部材1は、図2に示す例のような帯板状とする他、円筒状(図3参照)等であってもよく、種々形状を採用することができる。薬液吸上部材は、図示例のように1つであってもよいし、複数あってもよい。
【0018】
薬液吸上部材1は、容器2底部の内周縁等に存在する凹部に到達するように配置されていることが好ましい。従って、分岐片1aは、それ自身が撓むことによって、少なくともその先端が容器底の周縁部の2カ所以上に接することができれば良く、多数を分岐させて容器底の全周縁凹部に亘って接することができるようにしてもよい。なお、分岐片1aは、容器2の底近傍で分岐するように構成することが美観上好ましい。
【0019】
吸上部5は、毛管現象によって薬液を吸い上げることができる構成であれば良いが、図示例のように、分岐片1aの先端から揮発部に至る上端に亘って連通するように薬液吸上部材1の表面に形成した筋状溝によって構成することが好ましい。
【0020】
吸上部5を構成する筋状溝は、毛管現象によって薬液を吸い上げることができる溝であれば、如何なる形状、寸法等であってもよく、例えば、図3に拡大断面によって示すような異形断面形状とすることもできる。
【0021】
また、吸上部5を構成する筋状溝は、連続した一本の溝によって形成される場合だけでなく、隣接して平行に延びる数本の溝や、図4に示すように、短い溝をギザギザ状に形成して全体として筋状に延びている場合等、毛管現象に寄与する溝が全体として筋状をしておれば良い。
【0022】
吸上部5を構成する筋状溝は、該筋状溝上の途中に設けた分岐点5aにおいて分岐し、分岐片1aの各々に延びるように形成することが好ましい。吸上部5を構成する筋状溝の分岐点5aは、分岐片1aの近傍に配置されていることが美観上好ましい。
【0023】
薬液吸上部材1は、PET、PP、PE等でプラスチック材料を用いて、一般的な成形方法により成型することができる。薬液吸上部材1は、特に透明材料で形成することが美観上好ましい。
【0024】
薬液吸上部材1をこのような透明材料によって形成した場合、吸上部5を構成する筋状溝は、薬液吸上部材1の表面に“筋”となって目立つため、美観上は、その本数を少なくした方が良い。また、例えば、薬液吸上部材1が図2に示すような帯状である場合は、薬液吸上部材1の分岐片1aを除く部分において、図2に示すように長手方向に延びる縁部に筋状溝を形成しておけば、該筋状溝が目立ちにくく、美観を高め得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る薬液吸上部材の一実施形態を、消臭剤容器とともに示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る薬液吸上部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る薬液吸上部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る薬液吸上部材の一実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 薬液吸上部材
2 容器
3 揮散部
5 吸上部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液容器内の薬液を揮散部に吸い上げるための薬液吸上部材であって、容器底側に配置される側の端部を少なくとも2以上に分岐させた可撓性を有する分岐片と、該分岐片の先端部から前記揮散部へ薬液を毛管現象によって吸い上げるように該薬液吸上部材の少なくとも一部に形成された吸上部と、を有することを特徴とする薬液吸上部材。
【請求項2】
前記薬液吸上部材が透明なプラスチック材料によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の薬液吸上部材。
【請求項3】
前記吸上部は、薬液吸上部材の表面に形成された筋状溝によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の薬液吸上部材。
【請求項4】
前記筋状溝は、該筋状溝上の分岐点において分岐して、前記分岐片の各々に延びていることを特徴とする請求項3に記載の薬液吸上部材。
【請求項5】
前記筋状溝の分岐点が、前記分岐片の近傍に配置されていることを特徴とする請求項4記載の薬液吸上部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−271866(P2006−271866A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99274(P2005−99274)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】